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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第五章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 ~ #1~#2編

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第25話 今日のパフォーマンスが明日へとつながる

 全員で黒蜜プリンを楽しんだ後、ボクたちはそれぞれの役割へと散って行った。


 ≪初夏≫のみんなはライブのための集中タイムだ。

 マネージャー陣はというと、シオとウタは設営のチェック、そして音響のチェック。ボクと都はそれぞれのステージ衣装の準備。レイはそれの付き添いだ。


 役割は前回の東京公会堂の時とまったく一緒。

 セットリストも一緒だ。

 オンラインに切り替わったからといって、そのために何か特別に変えていることは何もない。これはただ延期したライブをそのままやるに過ぎない。前回用意したものをそのままやるのだ。


 ボクたちは犯罪に屈したりしない。


 だけど会場の規模の違いがあるので、その分の調整は必要だった。おもに音響や舞台装置はどうしてもステージの大きさ、空間の広さによってくる。主にシオに負担をかけてしまうけれど、どうにか準備の目途はついている状態だ。


 今回のためだけに準備したものとしてあえて挙げるなら、オンライン配信用のドローンカメラだ。

 かなりの静音性を維持しつつ、ステージを隈なく撮影してくれる。有人ライブでは実現しえないカメラワークが見られるという意味では、ボクたちにとって新しい試みといえるだろうか。


 でも今回はあくまで普通の定期公演。その第1回目だ。

 さながら観客がいるかのようにライブを行う。シオお得意のVRプロジェクションマッピングで客席に観客も用意するらしいので、ステージから見たら、ホントにいつものライブと変わらないのかもしれない。実際どう見えるのかはまだちゃんと想像がついていないけれど。



* * *


 着替えを終えたボクと都と付き添いのレイは、気になる舞台装置のリハーサルを見に行くことにした。


「やっぱりここの会場はとても広いわね……」


 体育館のフロアに立ち、都が客席を見渡しながらしみじみとつぶやいた。


「キャパ1万人以上だもんね。夢みたいだよね」


 ここを満員にできたとしたら、武道館も視野に入ってくるのではないか。定期公演#2、#3、その後かもしれないけれど、有観客でライブができるようになった時、またこの会場に戻ってくることができるのかな。


「何言ってるのよ。夢なんかじゃないわよ。私たちが向かってる目標は武道館なのよ?」


「そうだよね。夢なんて言っちゃいけないね。ここは目標のための通過点だ。必ず通るし、通り過ぎる場所なんだ」


 ボクたちの聖地。

 だけどそれは通過点に過ぎないのだ。


「客席のほうに座ってみませんか?」


 レイの提案でボクたちはスタンド席に移動する。


「ここってさ、360度ぐるりと観客席がステージを囲んでるじゃない? 東京公会堂と違ってさ」


 ステージ、というか体育館のフロアが空間の一番下にあり、すり鉢状の観客席から若干見下ろされる形になっている。


「観客席の角度は違うけれど、武道館も似たような造りよね」


「そうだね。こういうステージでライブをやるなら、ホントはフォーメーションも変わってくるんだろうね」


 普段は正面の観客、または正面のカメラに向かってパフォーマンスをしている。フォーメーションも1列か2列の横並びがほとんどで、立体的なフォーメーションによるダンスはほとんど取り入れていない。


「もしここでお客さんを入れてライブをやるなら、どんなフォーメーションになるんだろう」


 ボクの記憶が壊れてしまっているのか、以前≪初夏≫のみんなが武道館に立った時、どんなフォーメーションで踊っていたかがまったく思い出せない……。


 とても良かった。輝いていた。伝説のライブだった。


 そんな印象だけが強く残っている状態で、いくら思い出そうとしても、ボクの頭の中にその時のライブの映像が浮かんでくることはなかった。


 なんでかなあ。

 とっても大事なところなのに、しっかり記憶を移してほしかったよ……。


 そういえば武道館でライブをしたのは≪初夏≫のセカンドシーズンと呼ばれていて、5人じゃなくて7人になってからのことだったね。その2人のこともぼんやりしていてよく思い出せないや……。


 おかしいな……。

 前はもっと以前の記憶がはっきりしていた気がするのに、少しずつ記憶が抜け落ちて行っている気がする。


 ボクの記憶領域に何か不具合が出てきているのかもしれない。

 自分がAIだとわかってからずっと避けてきたけれど、やっぱり麻里さんに会いに行かないといけないのかな……。


 本音を言えばこれ以上何も知りたくない。

 でも知らないといけないのだろう……。


 もし何か致命的な不具合が起きていたとして、知らない間に消えていなくなるなんてことになったら最悪だ。≪初夏≫のみんなを見守れないような事態にだけは避けなければいけない。


「かえでくん、あまり思い詰めてもよいことはありませんよ。今日の定期公演に集中しましょう」


 レイに手を握られて、自分の体が小さく震えていたことに初めて気づいた。


 ああ、そうだね。レイの言うとおりだ。

 今日のパフォーマンスが明日へとつながる。次の公演へとつながっていく。その先に武道館があるのだから、見えもしない先のことを思い悩んでもしかたがないね。


 目の前の定期公演のためにできること。

 今はそれだけに集中しよう。


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