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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第五章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 ~ #1~#2編

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第19話 ハッピーバレンタインだよ生配信 その3~サクラ、愛してる。ハッピーバレンタイン

「おお! シオ、変更台本ができたの⁉ どれどれ……え、マジでやるのこれ……伝わる? 盛り上がるかな? まあ、シオセンセの演出を信じるとしますか……」


 流れはたしかにわかる。こっちの方向で合っているとは思うけど、これはどうなんだろう。不安が残るな……。


 でもいくしかない! ハルル頼んだ!

 手元のホワイトボードにカンペを走り書きをする。


『おまたせ。流れを変更してみんなでミニゲームをやるよ。タイトルは――』


「それではですね~。これからバレンタインにちなんだミニゲームを行いたいと思います! 題して~」


 ボクの出したカンペをハルルが読み上げていく。


「『小宮桜争奪♡たった今考えたバレンタインデーの告白~チョコレートを君に捧ぐよ』ゲーム!」


 はい。大人気カードゲームのパク……オマージュですね。

 でもまあ、このゲームは予備知識なくできるから、まあまあ盛り上がる、はず? 外から見てるだけでも楽しいから、配信にも向いてるかもね?


“サクラ、愛してる!”

“バレンタインデーだね、愛してる”

“君のチョコレートは僕の物だ、愛してる。結婚しよう”

“僕の愛は永遠さ。チョコレートをください。愛してる”

“サクにゃん愛してるー!”


 うぉ。

 思ったよりも反応がすごい。みんなこのゲームよく知ってるんだね。それなら良かったよ。


「なんですか~? 告白ゲームですか?」


「バレンタインの告白をすればいいの?」


「わ、わたくしがさっちゃんに告白をををを」


 3人ともどうやら元ネタを知らない様子。ハルルはどうなんだろう。


『みんな、このゲームの元ネタわかる?』


 あ、ダメだ。ハルルも首を振ってる。

 シオセンセ、みんな知らないみたいです。どうします?


 え、何?

 ボク⁉ 嫌ですよ!

 ちょっと、レイ! 無言でグイグイ押すのやめて?

 嫌だよ。出演したくないって!

 うわ、ウタ、それは何? なんか変な粉かけないで! え、おまじない? うーん、ありがとう?


 えー、マジで……。説明だけして帰ってくればいいって?

 うーん。

 わかりましたよ……。


 レイが笑顔でボクからホワイトボードを取り上げて、カンペ係を交代。

 嫌だなあ。


 ボクは足取り重く、カメラの前へ……。


「あ、このゲームの達人が説明にきてくれましたよー!」


 ハルルの声が弾んでいる。

 ボクの気分は沈んでいる。


「カエくんだ! カエく~ん!」


 はいはい、カエくんですよー。


「カエちゃん。君は僕だけの天使。僕にとって君はまるでこの夜空に浮かぶ一番星。愛してる」


 おい、諮ったな! ナギチ、この元ネタ絶対知ってるよね⁉


「ここここコーチ! サクラはみんなから告白されちゃうんでしょうか⁉」


 今説明するから、サクにゃんは落ち着いて一旦座ってね。はい、お水を飲んで深呼吸!


「はーい。みなさんこんばんは……」


 とりあえずカメラに向かって頭を下げてご挨拶。はじめましての方もそうじゃない方もこんばんは。


“お、出た。準レギュラーw”

“カエデだ”

“おっすおっす”

“誰?かわいい”

“お、新参?アイドルマネージャーの楓ちゃんをご存じない?”

“映画にも出てるぞw”

“映画にも出るマネージャー?”

“オーディションにも出てたぞw”

“配信にもしょっちゅう出てるw”


 はい。新しく応援してくださっている方にはボクが何者なのか理解するのはとても難しいと思います。でも説明もしたくないと思います。ボクは裏方なんだよ……おかしいなあ。


「はい、みなさんこんばんはー。はじめましての方、はじめまして。≪The Beginning of Summer≫のマネージャーをしております、七瀬楓と申します。メイメイこと、夏目早月さんの担当マネージャーです。たまに動画にも出たりでなかったりしているのでこれからもよろしくね」


 簡単な自己紹介でしたー。

 なんのこっちゃわからない人は好き放題おもちゃにされているWikipediaでも読んでみてね……。やっぱり見ないで。


「それではこれから『小宮桜争奪♡たった今考えたバレンタインデーの告白~チョコレートを君に捧ぐよ』のゲーム説明をしたいと思いまーす」


 主にメンバー向けにね。


「はい、そう、コメント欄ではわかっている人も多いと思いますが、人気カードゲームを使って、ちょっとだけ今回のバレンタイン仕様にアレンジした内容でお届けしようと思っています」


 まずは初期カードが6枚。全員共通のものが配られます。『僕は』『君は』のように「誰が~」を表したカードを初期カードと呼びますよ。

 そして、ほかに山札からランダムに単語カードというものを6枚配ります。これは1人ずつ違うカードが配られます。『絶対に』とか『守るよ』とか『味噌汁』とか名詞だったり動詞だったりいろいろなパターンがあります。

 ボクが20秒カウントをしますので、その間に初期カード6枚と単語カード6枚、すべてを使い、文章を作ってもらいます。ただの文章じゃないですよ? バレンタインデーの告白の言葉になるような文章を考えてもらいます。


「12枚すべてのカードを使ってください。ただし、最後のカードは『愛してる』で固定してくださいね。その部分は今回のオリジナルとして『サクラ、愛してる。ハッピーバレンタイン』と読み替えて告白してください」


 全部のカードを使うのと、最後のカードは固定とする。これはなかなか難易度が高いので文章を考える時間を通常ルールの10秒から20秒にしている、という感じですね。


「みなさん、イメージつかめましたか?」


 どうかな? 説明伝わった?


「ぜんぜんわかりませ~ん」


「カエちゃん、愛してる。ハッピーバレンタイン♡」


「わ、わたくしがさっちゃんに告白をををを」


 うーん、ダメだな、これ。……シオセンセ、どうします?


『かえでくんがお手本を見せてください』


 えー。マジかー。でもそうなるよね……それしかないかあ。

 言葉の説明だけだと、初見のプレイヤーには意味がわからないって話だよね。配信見ている人もそれは同じか。じゃあまあ……デモをやるしかないか……。


「えっと、説明だけだとわかりにくいと思うので、ボクが試しにやってみせますね」


 気乗りはしないけれど仕方がない。


「サクラは何をすれば良いんですか⁉」


「あ、そうだね。サクにゃんはカメラの前に立って、告白する人の言葉を聞いてください。それで良かったなって思ったら、差し出された指輪を受け取って指にはめておいてください。最後にもう一度全員で指輪を差し出すので、一番グッときた告白をした人を1人だけ決めて、その人の指輪を再び受け取ってください。サクにゃんに2個指輪を受け取られた人が優勝です!」


「指輪を……了解です!」


 まだ告白してないんだけど顔が真っ赤……。

 サクにゃん、最後まで持つかな?


「えーと、じゃあ、ハルル。ボクの準備ができたら、このストップウォッチで20秒計りながら、声に出して1~、2~って読み上げてね」


「OK。おまかせ~」


 よし、じゃあ単語カードを6枚もらって、裏に伏せておく。

 初期カードは裏表いろいろなパターンがあるので、それらを組み合わせてなんとかステキな告白の文章に……なればいいなあ。


「準備OK。カウントよろしく」


「はい。それではスタート!」


 ハルルのコールとともに、単語カードを捲っていく。


 配られた単語カードは――

・この感情

・可愛い

・スーパー

・あの日見た

・真っ白なキャンバス

・のことで頭がいっぱいさ



 うーむ。難しい! でもがんばろう!


「3~、4~」


 まずは長文のところを処理しよう。

『僕は』『君』『のことで頭がいっぱいさ』かな。


 あとは何だ……。

『スーパー』『可愛い』かな。


「8~、9~」


『あの日見た』と『真っ白なキャンバス』が何にも使えない……。

えーどうしよう。


「12~、13~」


 あー、もう、時間がない! とりあえずつなげよう!


『あの日見た』『真っ白なキャンバス』……ああっ、初期カードがあまる!


「16~、17~」


 初期カードは適当に間に入れて! んんー、できた!


「19~、20! 終了! カエデちゃん、さっそく告白をどうぞ!」


「こここここコーチ! よろしくおねがいしましゅ!」


「えっと、まあ、お手本になるかどうか怪しいけどー」


「カエくん、前置きは良いので答えをどうぞ~」


 はい。

 メイメイ厳しいなあ。


「オホン。それではいくよ」


 緊張する……。ナギチ、ちょっと邪魔だから脇に寄ってて。ここはサクにゃんの出番だからね?


「『あの日見た』『僕と』『君だけの』『真っ白なキャンバス』『僕』『は』『この感情』『のことで頭がいっぱいさ』『君は』『スーパー』『可愛い』『サクラ、愛してる。ハッピーバレンタイン』」


----------------------

 あの日見た僕と君だけの真っ白なキャンバス

 僕はこの感情のことで頭がいっぱいさ

 君はスーパー可愛い

 サクラ、愛してる。ハッピーバレンタイン

----------------------


 さっと指輪を差し出す。

 サクにゃん……どう、ですかね?


「サクラ、愛してる……サクラ、愛してる……サクラ、愛してる」


 ポシュッという音が聞こえて、サクにゃんがその場でへたり込んでしまった。


 ええ……。

 ちょっと……一応お手本なんだから判定をしてくれないと困る……。


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