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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第五章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 ~ #1~#2編

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第14話 エゴサとAIチャットサービス~アンチの心理を当てるゲーム

「エゴサって怖いよね。でも1つだけ良い方法があるんだ。聞きたいかい?」


 マキは自信に満ち溢れた表情だ。

 でもボクにドヤ顔しても仕方ないからね。顔近いし。

 

「おおおお願いします!」


 食い気味にハルルが懇願する。

 ハルルも顔近いから。タクシーの座席の座り方、完全に間違えたね。何でボク、真ん中に座っちゃったんだろ。


「よろしい! じゃあ、SNSにあることないこと書かれるっていうけどさ、ないことを書かれている時は、それが『事実無根』だってことは、ハルちゃん自身が一番よくわかってるよね? なんたって自分のことなんだし」


「そう、ですね。なんでこの人、こんなウソをさもホントの出来事のように書くんだろうって怖くなっちゃって……」


「そう、それ!『なんでこの人はこんなことを書くんだろう』これが大事!」


 マキがハルルに向けて指をさす。

 マキの隣にはボクが、タクシーの真ん中の席にはボクが座っていることも忘れて……ほっぺたに指が刺さってて痛いのでやめてください。ここはタクシーの中なので突然暴れないで。


「大事?」


「カエデちょっと邪魔! ハルちゃんは大事なことに気づいてる!『なんで、どうして?』その疑問が出てきた時、もう自分のことから1回離れちゃおう!」


 ひどい……。

 もう運転手さん、どこかで止まって席替えさせてもらえませんか?


「自分のことから離れる?」


「そう、離れる。自分のことはどっかに放り投げちゃって、その書き込んだ人の心理にだけフォーカスしていこう。『なんで、どうして?』だけを考えるようにする」


 そうすると恐怖からただの興味に変わる……か。そんなにうまくいくものかね?


「自分で知らない人の心の中を考えるのは大変だから、AIチャットサービスにでも訊いてみたらいいよ。『この人は何を考えているんですか~?』って」


 AIチャットサービスかあ。なんたらGPTとかね? あれだとSNSの投稿を分析してその人のパーソナルな性格まで踏み込めるのかな。

 うーんと、このサービスってAIってついてるし、もしかしてボクの親戚みたいなものだったりする? ボクがAIチャットサービス使ったらどういうことになるんだろ……。共食い……とは違うよね。


「まあ、もちろん自分でもちょっとは想像してみてね。その考察の答え合わせをしてみるのさ。AIチャットサービスが絶対正解ってわけでもないから、AIとの考察バトルくらいの気持ちでいくとゲーム感覚で楽しいよ♡」


「アンチの心理を当てるゲームですか……」


 ハルルがうなずきながら反芻する。

 でもアイドルのプロフィールに『趣味:アンチの心理を当てるゲーム』って書いてあったらドン引きするからね……。

 闇深い人だなって思う……ウタのプロフィールだったら普通に書いてありそうだけど。


「もちろんアンチだけじゃなくて、ファンの子の考察でもいいよ~」


 そっちのほうがポジティブ。

 でもやっぱりそれもプロフィール欄には書きたくないな。


「ま、わたしが言いたいのは~、心の安定を保つためには逆転の発想も大事ってことよ」


「マキししょー、勉強になります、押忍!」


「勉強になります、押忍!」

 

 ボクとハルルはありがたい教えに頭を下げて感謝する。


「マキもがんばっているんだなあ。あんなにかわいかったマキが、今はしっかりと人気女優として後輩育成をね……」


 洋子ちゃんが一言一言を噛みしめるように言った。感心しているような、淋しさをこらえているような、複雑な感情が見え隠れしていた。


「洋子ちゃんバカにして~! わたしだっていつまでもぺーぺーの若手じゃないのよ! ADをいじめて10年後に干される女優とは違う。後輩もスタッフもみんなわたしを崇め奉るような世界を作るのだよ!」


 いったい誰の話をしているんだろう……。

 めっちゃ良い話かと思いきや、動機が不純!


「さ、話はおしまい。2人とも空港に入る前にこれをつけるのよ」


 マキから渡されたのはマスク。そしてメガネケース?


「何? 乾燥対策?」


「違うってば。芸能人の変装よ!」


 えー、マジで。芸能人ぶっちゃう?

 そんなの人気があるアイドルがやること……だけ、じゃないかあ。あの爆弾事件で、ハルルが命を狙われていた可能性だって否定できていないんだった。


「そうか。ボクたちの舞台挨拶のスケジュールは世間に公開されている……」


「そういうこと~。舞台挨拶の日程を見れば、どんな移動ルートを取るかは簡単に特定できるのよ。福岡から東京なんて、9割の人が飛行機使うに決まってるからね」


 そりゃそうだ。

 犯人がどちらかの空港で待ち構えていたって不思議はないのだ。

 マネージャーとして、ハルルを安全に本社ビルまで送り届けるのがボクの仕事だよね。


「よし、変装だ!」


「そう、変装しましょう!」


「え、あ、はい……」


 ハルルは困惑した様子でボクたちを見つめつつ、渡されたマスクとサングラスを装備した。


「ねえ、マキ……ちょっと良いかな? さっきからさ、もっともらしいこと言ってさ、やっぱりふざけてるでしょ⁉」


 ボクのサングラス……なんで、ひまわりデザインなんだよぉ! 絶対目立つじゃんかよぉ!


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