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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第五章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 ~ #1~#2編

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第12話 大分に到着! 別府温泉!

「うわー、部屋広ーい! 窓の外も絶景じゃんかー! 別府温泉サイコー!」


 ボクたちは新幹線、特急と乗り継いで、なんとか大分に到着。日は完全に落ちてしまったけれど、ギリギリ、夕飯前に旅館にチェックインできたのだった。


「星空がきれいね~。お部屋に露天風呂がついてるなんてステキ~」


 ハルルもボクの横に並び、窓から顔を出して外を見ている。とってもうれしそうだ。


「だしょだしょ☆ マキちゃんセレクトでいっちゃん高い部屋を予約しちゃいました~♡」


 でも4人一緒の部屋なんだよね……。プライベート空間広めなボクとしては1人1部屋が良かったな。


「おまえら~、早く荷物を片付けろ~。飯だ飯! そして酒!」


 そういう洋子ちゃんは、すでに荷物整理を終えて、1人浴衣に着替え終わっていた。


「え~、私先に温泉入りたいんだけど~。ね、カエデ♡」


 マキがこっちを見てくる。……見てくるなあ。……見てるだけじゃなくて服を脱がせようとするのやめて!


「ボク、お風呂には1人で入る派だから……」


「なになに? 恥ずかしいの? マキちゃんのナイスバディー見たら鼻血ブ~しちゃう?」


「鼻血ブーって……自分が昭和じゃん」


 たとえがいちいち古い。


「鼻血ブ~~~ってしないなら一緒に入ろうよ~。体洗ってあげる♡」


「わわわわ私も一緒に入るわっ!」


 ハルルが音速を超えたスピードでボクの肩をがっちりとつかんでくる。


「いや、ボクは1人で……」


 やっぱり人に見られるのは恥ずかしいので……。


「私、知ってるのよ。カエデちゃん、レイちゃんと毎日一緒にお風呂に入ってるでしょ」


「あのおっぱいマネージャー! わたしのカエデになんてことを~!」


 おっぱいマネージャーって。

 レイはなんかもう……レイだからさ……。


「今日はレイちゃんがいないんだから、私と入ろ!」


 ハルルさん……肩が……千切れます……。


「温泉は静かに入りたい……」


「じゃあじゃあ、3人で静かに入ろ♡」


 マキ……鼻息荒い。

 絶対静かに入る気ないでしょ……。


「30分で帰って来いよ~。飯に間に合わなくなるからな」


「は~い♡ 浴衣とタオルをもってレッツらご~!」


 マキとハルルに両方から脇をがっちり決められて、大きな露天の温泉のほうへ連行されていく。せめて部屋のお風呂で……。



* * *


「たっだいま~! いや~、温泉堪能したわ~!」


 元気いっぱいのマキが勢いよく部屋の扉を開ける。


「おう、おかえり。私もさっと部屋の露天風呂に入ったが、なかなかいいもんだな。あとで外の風呂にも行ってみるとしよう」


「外も最高よ~。カエデのお肌もつるつるだし♡」


 ああ、えらい目にあったわ……。

 なんで真っ裸でリアル大岡裂きに合わなきゃいけないんだ……。ほかにお客さんがいなくてホントに良かった……。見られてたらお嫁に……お婿にいけない……。


「カエデちゃんの肌もつるつるだけど、マキさんのスタイルが……どうしたらそんなに美しくなれるんですかっ⁉」


 ハルルがマキに迫る。

 まあ、ハルルが尋ねる気持ちもわかる。正直、マキは女優にしておくにはもったいない……いや、女優だからこそなのかもしれないけれど、一糸まとわぬマキの体はあまりにも美しく、バランスが良すぎた。胸がわりと大きいのに、体全体は細く、くびれがしっかりあって……引き締まったお尻がちょうどいい。グラビアアイドルほどの激しい主張はないけれど、確かな美がそこにはあった……。


「それは遺伝よ」


「遺伝……ですか」


 マキの端的な回答に、泣きそうな顔で下を向くハルル。遺伝っすか……。そうね、ボクも20歳の体になってもマキみたいにはなれないし……くぅ、遺伝子が憎い!


「うそうそ~。バストアップの体操と、腹筋のトレーニングが大事よ♡」


 ハルルのほっぺたを人差し指でくりくりと触りながら、マキがいたずらっぽく言う。


「トレーニングで行けるの⁉ 食事は⁉ 乳製品は⁉ 効果ある⁉」


 レイ先生の言いつけ通り、毎日牛乳とチーズは摂取しているのですが!


「あ~うん。効果はあるんじゃないかな。食べないよりはね」


 うーん。そんなもんかあ。


「でもチーズには乳腺の発達を促す効果があるらしいからね。ちなみにわたしはパルメザンチーズを毎日食べてるよ~」


「おお! ボクもだよ。なんにでも粉チーズかけて食べちゃうかも! じゃじゃーん、マイ粉チーズ!」


 お気に入りの緑のボトルをカバンから取り出す。


 レイの教えは正しかったのだ!

 これからも毎日粉チーズ食べるぞー!


「え、ずるい! 私も粉チーズかけて食べたい!」


 ハルルがうらやましそうに緑のボトルを見つめてくる。

 しかたないなあ。今日は貸してあげましょう。


 と、言おうとしたその時――。


「カエデ、甘いわね。わたしはこれよ!」


 マキがカバンから取り出したのは小さな保冷バッグだった。そしてそこから出てきたのは――。


「そ、それは……まさか、パルミジャーノ・レッジャーノ⁉」


 ボクがスーパーで買った安い粉チーズなんて目じゃない。本物のパルメザンチーズ! パルミジャーノ・レッジャーノを持ち歩いているだとー⁉


「こういう日々の積み重ねが、この美しいバストとくびれを作っているのだよ。わかったかね、若人たちよ」


 ははー。お見逸れいたしました。


 ボクとハルルは完敗の土下座をするのだった。


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