第58話 謎解きスタンプラリー8~チィタマの挑戦状
「チェックポイントの答えを使って導き出した場所は『バー』だニャン!」
バーはここから近いぞ!
ゴーカート乗り場を抜けて東少し。レストランの隣だ! さっき前をちょっと通ったね。
でもちょっと待って!
道の交差点では十分に周囲を確認する。ハンターに見つからないように慎重に。だけど大胆に走ってバーに向かおう!
よし、誰もいないね!
ボクはレストランの前を走り抜け、バーのウエスタンドアを勢いよく開けると、体ごと中に飛び込んだ。
バーカウンターの前に、1人のスタッフが仁王立ちしていた。
その胸に書かれているのは『回答用紙を見せてください』だ。
「なるほど。当てずっぽうでここにきても、回答用紙の答えが正しくないと先に進めない仕組みなんだね。ボクはちゃんと解けてます! どうですか! 見てください!」
誇らしげに回答用紙を掲げてみせる。
どやどや! 正解でしょ⁉
ボクの回答用紙を確認したスタッフは、無言のまま後ろからダイヤル錠のついた宝箱、そして虎猫柄の招き猫を出して渡してきた。
「正解ってことで良いんだよね? これが次の問題ですか?」
スタッフさんは無言のまま何も答えてくれない。
手を下ろして流し目をしている虎猫柄の招き猫……もう招いてないからただの猫――を裏返してみる。
「まあ、そうだよね。『4桁の数字を揃えよ』って書いてある」
鍵は『0000』にセットされていて、もちろん鍵は開かない。
宝箱の側面や裏面に何かヒントがないか……調べてみたけれど何もそれらしきものはない。
「うーん。箱のほうにヒントはなしかあ。そうなると、これまで獲得したヒントの中にこの鍵を開けるための材料があるってことだよね……」
4桁の数といえば1~19の番号が気になるね。
記号と合わせて色で分類はしてある。
◆挿絵
赤・◇・2・16 ◇・10・18
黄・♧・14 ♧・5・7
青・☆・3・12 ☆・9・13
白・♡・8・11 ♡・1・17
緑・♤・4・15 ♤・6・19
「色分けすると、3~4個の数字群に分かれる。けどこれは何を表しているのかなあ。やっぱり地図に書かれている場所が関係しているかも?」
記号のほうは2つずつ、数字のほうは1つずつ地図上にマークされている。
「記号や数字が書かれている実際の場所には、何もそれらしきものはなかったよねー。やっぱり、この紙の中で何かをするのかな」
とりあえずグルーピングしてみよう。
地図上に数字と記号がランダムに置かれているように見えて、だいたい固まってるんだよね。♡のグループは真ん中付近に。◇のグループは左側に。
「あ、もしかして、これって線でつなぐんじゃないの⁉」
♡と1・8・11・17を線で結ぶと……8だ!
「数字の8になった! これだ、これ! きっとそうだ!」
◆挿絵
ほかのグループも線でつないで見る。
◇と2・10・16・18は、あれ、これも8?
☆と3・9・12・13は……うーん? なんかくちゃくちゃだなあ。
♤と4・6・15・19は、これも8か。
♧と5・7・14は、お、これは9だ!
「8889とよくわからないやつ! 一応4桁の数字はできたけど……」
こんな偏った数字にするかなあ。普通に考えるとちょっとおかしい……。
「『ナンバー』のマスの色は白黄赤緑だから……♡♧◇♤か。あ、数字にならなかった☆が抜けてる! 合ってそう! えーと、順番は8988か」
ダイヤル錠を回して8988にそろえていく。
◆挿絵
「……開かない。やっぱりダメかー」
8988ではダイヤル錠は開かなかった。
そんなに8ばっかりになるわけないよね……。
「えーなんだろ。線でつなげるんじゃないとすると、この数字はどうやって使うのかなあ」
わからない……。
でも冷静に。
もう一度手持ちアイテムを確認してみよう。
地図。回答用紙。変な鍵っぽいやつ。オープニングの時開けた封筒。それと鍵のついた宝箱かあ。
ハンディカムカメラは、まあ撮影用だから関係ないよね。
「ここで鍵?」
首に下げていた変な形の鍵っぽいものを取り出してみる。
「でもなあ、ダイヤル錠に差し込み口はないし、これの出番では今回なさそう……」
えー、わからない。
もしかして詰んだ⁉ 何か回収しきれていないヒントがあるのかな……。
「わっかんないよー。わからないニャン! 誰か助けてー! お前はどう思うのさー。同じ猫なら助けてよー。そんなそっぽ向いてないでー」
虎猫柄の招き猫に話しかける。
手も下げてるし、流し目しちゃってるし、何かヒントちょうだいよー。
ニャーン、ニャーン!
おすまし猫ー! 同じ虎猫じゃんかー!
って、あれ? 地図の上にあるこの線……。
何かの印刷ミスかと思ったけど、もしかして……⁉
地図を平らなテーブルの上に置き、虎猫柄の招き猫をその上部に置いてみる。
「あ! これやっぱり招き猫の足のデザインと地図の線が一致する! ここにこいつを置けってこと⁉」
招き猫が上から地図を見下ろしているような構図になった。
◆挿絵
「でもこれが何か……。この招き猫、よそ見してて地図見てないしなあ」
ん、いや、待って?
そもそもこいつはなんで左を向いてるんだ?
これまでの招き猫は普通に正面を見て笑っていた、と思う……。
それなのに最後のこいつだけは手を下ろしていてどこも場所を指示していないし、正面を向いていない。今までと違って左を向いている。
「この目線がヒント? 左に何がある? 地図の先にはバー?」
いや、違うな。
左を見ろ?
左を見ろか!
◆挿絵
「これ、数字を線でつなぐんじゃないんだ! 色に対応した記号の左にある数字を見ろってことだ!」
招き猫の視線の左だから、ボクから見ると地図上の右。
♡の右にある数字は……上の♡の横には何もないから下の♡、5だ!
♧は……これも下の♧の横は6!
◇は上だ。1!
♤は下のやつで4!
「つまり、5614が答えだ! お願いしまーす!」
最後の4を合わせたところで、カチリと音がして鍵が開いた。
◆挿絵




