第56話 謎解きスタンプラリー6~お仕置き執行
ハンターに手を引かれ、ボクは管理棟の中に連行されていく。
管理棟の奥に進んでいくと、そこには5人のハンターが待ちかませていた。全員女性型のハンターだ!
「こんな大人数で何をする気ニャン⁉ 動物虐待はダメですニャン!」
ダメだ、ぜんぜん動じる気配がない。
お仕置きハンターには動物愛護の精神は備わっていないようだ!
無言のままハンターたちが、テーブルの上に置かれた絵筆を手に取る。
「な、何する気ニャン!」
絵筆を持ったハンターたちがじりじりと迫ってくる。
「まさか……エッチなお仕置きはNGですニャン。そういうのはヒマリの担当ですニャン」
5人のハンターが小さな円を作るようにしてボクを包囲する。
全員の手が伸びてきて――。
「やめてー! 助けてニャーン! ひゃっ、ひゃっひゃっひゃっ。ひぃ、ちょ、やめっ、ふひっ、あふぃ」
ハンターたちが代わる代わるボクの肌を絵筆でくすぐる。
「首やめっ! ひざ! 耳!」
もう! こういうのはマキの担当にして!
「えっ、何⁉」
絵筆くすぐり攻撃がやっと終わったかと思ったら、今度は強制的にイスに座らされる。あっという間にローファーを脱がされて、ソックスだけにされてしまった。
「靴! まさかボクもスリッパを⁉」
さっきのマキの姿を思い出す。
あれはひどかった。絵的にも、機能的にも……。
と、ハンターが取り出してきたのはブーツ。しかも虎猫柄のロングブーツだった。こ、これはチィタマデザイン!
「これを履けと?」
無言。
このブーツを履くのがお仕置きなのだと解釈し、足を通していく。おお、ブーツ温かい。
「これでお仕置きが終わりなら、もう行っても良いですかニャン?」
その問いに対しては、待て、のジェスチャーで止められてしまう。
まだほかにもお仕置きがあるのか……。
次に奥からハンターが持ってきたのは、ロング手袋、そしてカチューシャだった。どっちも虎猫柄のチィタマデザイン!
「これもつけろってことですかニャン? そうですか……お、手袋は指ぬきなんだ。助かる」
文字書いたりしなきゃいけないから手元を邪魔しない配慮だろうか。お仕置きなのにちゃんと考えてくれてる、のかな?
最後にネコミミカチューシャをつけて完成。
人型のチィタマっぽい何かになってしまった……いや、制服にネコミミカチューシャと手袋とブーツってどうなんだ? そうとう痛い子なんじゃないの、これ……。
「チィタマですニャン。すっかりお仕置きされちゃいましたが、どうですかニャン? ボク、痛い子になってないですかニャン?」
ハンディカムカメラでも自撮りしておく。
うーむ。制作者の意図した感じになっているのかな……ちょっと自信なし。
大丈夫、これ? 似合ってるの?
「じゃあボクはそろそろ行きますニャン……」
一応ハンターの人たちに声をかけてみる。今度はとくに止められなかった。もう行っても良いってことかな?
周りを警戒しながら、1人ゆっくりと管理棟を出る。
「ひどい目に合った……急いで戻らないとなあ」
あらためて地図を広げて確認する。
ここは管理棟だから、さっきのルートに復帰するには、このまま西に進めばいいかな。プール前がチェックポイント3で、その手前あたりに最後の招き猫がいるはず。ヨシ。
◆挿絵
「急いで戻りまーす。また次のハンターにつかまったら大変だし!」
西へ向かって小走りに進む。
ここも一本道だ。周囲を警戒しながら進まないといけない。
* * *
「おー、黄色の招き猫がいた! 予想通り『♧』『5』『7』だね。これでヒントは全部回収、と」
何事もなく次の招き猫に到着。
さて、このヒントが示すものはなんだろうか。地図上の数字と関係がありそうなんだけど、なんだろうなあ。
◆挿絵
「うーん。やっぱりわからないねー。このヒントたちは何に使うのか……とりあえずチェックポイント3に行ってから考えよう!」
そこで何かわかるかもしれないし。
あれ? でも、最後の招き猫の手が指し示している方向は東? さっききた管理棟のほうだ。
「この招き猫は東のほうを指さしてるなあ。最後のヒントかと思ってたけど、まだ続きがあるのかも。チェックポイント3を確認した後は、また管理棟のほうへ戻ってみようと思います」
よし、まずはプールのほうへ。
ハンターがいたりはしないよね……? さっき捕まった場所だしちょっと怖いなあ。
そういえばマキはどこいったんだろ。
スリッパ姿で逃げる途中に忽然と姿を消したけど……。さすがに気になるなあ。探しに行く余裕はないけども。
あれこれ考えている間に再びプール前。チェックポイント3に到着した。




