第52話 謎解きスタンプラリー2~チェックポイント1
「東へ東へー♪」
この歩いている間のトークのつなぎって何したら良いんだろうね?
無言で歩くのはもちろんダメだろうし、なんか独り言をしゃべらないといけないんだろうなあ。うーんと、映画に関係すること?
「この映像って『朝日は西から昇る』の映画を見てくれた方だけが見られるやつですよねー。どんな人が見てくれてるのかな。やっぱり原作ファンの人かな?」
少女マンガが原作だから、やっぱり女の子が多いのかなあ。あとはマキのファンの人とか?
「ボクは映画出演のオファーを受けてから原作マンガを読んだので、まだにわかなファンなんだよね。連載から追いかけてる人にはぜんぜん考察が及ばないと思うけど、謎が謎を呼ぶ展開は引き込まれちゃうよね。最初読んだ時、かなり好きだなーって思った」
単純な恋愛モノも感情移入できて好きなんだけど、こういうミステリアスな作品はもっと好きかなー。
「『鏡の世界編』を読み終えた時びっくりしたもん。え、このテンションでまだ続くのって」
どう考えても鏡の世界編のラストってあれで最終回だって思うよ。たぶん読んだ人みんなそう思ったと思う。でも、さっすがシオセンセというかなんというか。
「映画は『鏡の世界編』までだけど、人気が出たら次の話もあるのかな? 実はこの特典映像を撮影している時はまだ映画公開前だから人気はわからないや。みんなめっちゃ見てくれるとうれしいなー、なんてね。あ、あれ! 招き猫だ!」
坂の上。またもや大きな木の下に招き猫が鎮座しているのが見えた。
「次のヒントだ! 急ごう!」
カメラマンさんと一緒に、木の下に向かって走る。
「今度は黄色い招き猫だなあ。さて、何が書いてあるかな、と」
招き猫を持ち上げて裏返してみる。
「お、『♧』と『14』かあ。メモしとこ」
地図上の記号と数字が対応しているのかなあ。『♧』と『14』もまあまあ近い位置にある?
◆挿絵
「ほかにヒントはなさそう。次の道はー、招き猫の手の角度からするとこのまままっすぐかな? あ、でも北の道に進むとチェックポイント1(CK1)が近いね。先にちょっと寄り道してみようかな」
今の手持ちのヒントでチェックポイントの問題が解けるかはわからないけれど、とりあえず見てみるだけ見てみよう。
招き猫の指示に反して、左に折れた道を進んでみる。
「ここはアスレチック広場ですかね? わりと本格的な設備だー。ここはターザンロープで伝っていくのかな。落ちると水の中! まあ、これは夏用のアトラクションですよね。え、いや、なんですか? 急にカメラマンさん入ってこないで。『いけ』ってなんですか。嫌ですよ。今日スカートだし」
下にスパッツ履いてたって、さすがに制服姿で水に落ちたくないです。夏なら? 夏でも嫌ですけど。
「落ちたほうが絵になる? はいはい、エロカメラマンは放っておいて、チェックポイントに到着ですよー。わりとわかりやすい。大きな看板にチェッカーフラグのマークと『①』って書いてありますね」
どうやらここがチェックポイント1(CK1)で間違いなさそう。
さてどんな問題でしょうか。
「ここでは何をするんだろう。あ、もしかしてこの方から何かをもらうのかな?」
チェックポイントの隣に佇んでいるお兄さん。よく見ると胸のところに「自己紹介をしてください」と書いてあるね。
「こんにちはー。猫のチィタマですニャン。今日は謎解きスタンプラリーでここに来ましたニャン。スタンプくださいニャン」
こ、これで良いのかな?
あ、お兄さんが封筒を手渡してくれた。合っててみたい。
「お兄さんありがとうニャン。渡されたのは緑色の封筒ですね。中身はー『問題:猫のチィタマが好きな人物を答えよ』ですって。え、こういう感じ? 謎解きじゃなくてクイズなの?」
お兄さんのほうをチラ見しても何も答えてはくれない。
うーん、回答用紙を確認してみるか。
「回答用紙の①って書いてるところが、たぶんこのチェックポイント1(CK1)の答えを書くところだよねえ。並んでいる□は①も②も③も6個ずつか……。チェックポイント1~3全部6個ずつの枠なのがちょっと怪しいけど、普通に考えるとクイズの答えは6文字なのかなー?」
6文字、6文字。思いつくのは1人だけだけど。
「うーん。チィタマが好きなのは朝日ヒマリ? あ・さ・ひ・ひ・ま・りで6文字。こんな感じで良いのかな。ちょっと自信なし……。とりあえず後で消せるように薄く書いておこう」
◆挿絵
まだほかのチェックポイントも確認してみないと、問題と答えの傾向が合っているのかもわからない。
「いったん招き猫の指示に戻りますかねー」
と、引き返そうとした時、事件が起きた。
「あれ? チィタマ?」
振り向いた先にはハルルがいた。なんとチェックポイント1(CK1)でハルルと出会ってしまった! チェックポイントは全員共通なのか⁉
「な、ナズナニャン……。元気かニャン?」
「チィタマ、ここで何してるの~? 何してるのにゃ~ん?」
ハルルがあからさまにこちらの手元を覗き込んでくる。ボクは回答用紙を慌てて折りたたんで隠した。
見られてない? 大丈夫?
「ニャンはチィタマのものだニャン。ややこしくなるからやめるニャン」
「私もかわいい語尾がほしいにゃ~ん。それでチィタマにゃんはここで何をしてるのかな~?」
ハルルはニヤニヤしてこちらを見ているだけだ。ハルルの出方がわからない! あやしい。何を考えているんだろ?
「さ、散歩ニャン。天気がいいから散歩してるニャン!」
「ふ~ん? ここのチェックポイントの答えわかったのかな~? 私にも教えなさいよ!」
うわ、ナズナだ! チィタマにだけ高圧的!
「嫌ニャン! 絶対教えないニャン! チィタマはもう行くニャン!」
逃げないと!
というか、急がないと!
ハルルのあのニヤニヤっぷりからすると、もしかしてすでにけっこう進んでいてゴールが近いのでは⁉
ボクはまだチェックポイント1しかクリアしてない!
のんびり話しながら歩いている場合じゃなかったのでは⁉




