表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第四章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 ~ #1(Pre)編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

218/440

第42話 バースデーイベント3~ナギチ

「カ~エ~ちゃん! 私がきた!」


 ドン!

 仁王立ちのナギチ現る。

 なんでそんなにスリットが深く入ったパーティードレス着てるの? エメラルドグリーンってちょっといつもと雰囲気違うしステキかも。スタイル良いからめっちゃ似合うんですけどー。


「なんだ、ナギチか。エッチなお姉さんの番だと思ったのに外したか~」


 でも今はちょっとウーミーにマッサージの話を聞きたかったな。でもまあ、これがくじで順番決めるおもしろいところかな。


「な~に~? 私とエッチなことしたいの?」


「いや、そういうわけじゃないです」


「しょうがないにゃあ」


 ナギチがニコニコしながらにじり寄ってくる。それとスリットチラチラ捲るんじゃない!

 あいかわらず話聞かない人だな。めちゃくちゃ美人なのになんで残念なんだろう。ちょっといつもと違う雰囲気でときめいたのに一瞬で……。


「まあ、とりあえずそこ座って? 握手会だから、この線からこっち入ってきたらガードマンに頼んで摘まみだしてもらうからね?」


 テーブルの半分よりこっちは握手する側の領域なのだよ。入っちゃいけませんからねー。


「え~。カエちゃんの膝の上に座ってお話ししたいな~♡」


 わしゃキャバ嬢か。

 ナギチのほうが大きいんだから膝の上に乗るのは無理でしょ……。


「おとなしくそこ座って手を出して」


 うーん。どうしてもナギチ相手だと塩対応してしまうな。そんなつもりはないんだけど……なんか喜んでるように見えるからか?


「は~い♡ 握手お願いしま~す♡」


 ほら、めっちゃうれしそう。なーんか、いたずらしたくなっちゃう。むずむず。

 それならば――。

 

「カエちゃん……なんでテーブルに肘を? もしかして腕相撲?」


「よくわかったね。ナギチ、腕相撲で勝負だ!」


 テーブルに肘を直角に突き、手を広げてナギチを誘う。

 これも一種の握手……みたいなものだよね?


「あれ~、腕相撲なんかしちゃって良いのかな~? いっとくけど、私、力は強いからね! 私が勝ったらカエちゃんに何でも言うこと聞いてもらおうっと♡」


「お、良いね。賭けよう! 勝ったほうが相手の言うことを聞く!」


 ボクだって男だ! 力では負けないぞ!


「ナギチが掛け声かけて始めて良いよ」


「へぇ~そんなにハンデもらっちゃって、あとで泣いても知らないよ~だ♡」


 ボクたちは右手を握り合い、左手でテーブルの端をつかんでスタンバイする。

 どっちも余裕の表情でにこやかに笑い合う。

 泣くのはそっちだ!


「さあ、1本勝負!」


「レディー……ゴー!」


 ナギチに遅れることコンマ1秒。一瞬差し込まれたが、五分の位置まで戻す。力の差はない。ほぼ互角。


「おおー、ナギチ……やるね! 細いのに!」


「カエちゃん……こそ、ちっちゃいのに……力……強いわね!」


 お互い余裕がない。本気で力を込める。左手でつかんだテーブルがガタガタと揺れる。


「そういえば、ナギチ。ボク……いつもと……違って見えない?」


 互角ならばここからは心理戦。


「違って? もしかして……胸が大きくなった? パット……増やしてる?」


「増やしてないわ! そこじゃ……ないっ」


 くっそ。こっちが動揺させられたわ。危ない。だいぶ差し込まれた。


「ほら、もっと……?」


「もっと……? わかった、わ! 脱毛……した……でしょ!」


「してない……よ。なぜか……ムダ毛が……生えないから」


「ずるい!」


 うぉ、やばい! 余計なヘイトでパワーが増してきた、だと⁉

 これはまずい……負けそう……。


「ナギチ……そんなに……足……開くと……ドレス開けてる。パンツ、見えてる……ぞ」


「勝負……中……よ! それくらいで……動揺しないわ……よっ!」


 ダメか。……しかたない。ナギチ、ごめん。裏技を使わせてもらう!


「言い忘れてた……けど……生配信中だよ」


「えっ、うそ⁉」


 ナギチの力が一瞬緩む。

 

 いまだ! ボクの体もってくれよー! 界王拳3倍だー!

 ぐぉぉぉぉぉぉ!



* * *


「ふっ、ボクの勝ちのようだね」


 華麗なる逆転劇だった。またつまらないものを斬ってしまったな。


「いや~ん♡ 腕痛~い。カエちゃん力強いよ~♡」


 ぶりっこナギチ。

 カメラを意識してキョロキョロしている。


「ごめん、ウソ」


「何が~? 私も~一生懸命戦ったけど~カエちゃん強くて負けちゃった~♡」


「あれ、ウソだから。配信してない」


 テヘペロ。


「だました~! ズル! ズル! 今のはノーカンよ!」


「ダメですー! 勝負は1回きりですー。それに勝負中にウソついちゃいけないってルールはありませんー」


 勝負は非情なものなのだ。気を抜いたほうが負けなのさ。ここが戦場だったら、ナギチは死んでたんやで。


「はーい。というわけでボクのお願いを聞いてもらおうかなー♪」


「ずるいずるい! あと少しで私の勝ちだったのに!」


 机バンバンしないの! ケーキ崩れるでしょ!


「ボクのお願いはー」


「あ~あ~、きこえな~い!」


 ナギチが自慢の耳をふさぎながら大声を出し始める。

 まったく、子どもだなー。勝負に負けたんだから、諦めなさいよー。


「今度ナギチと2人でお出かけしたいな」


「えっ⁉」


 ピタリと静かになる。

 なーんだ、聞こえてたじゃん。


「だからー、デートしないってことー」


「はい♡」


 うぉ。一瞬でボクの膝の上に⁉ テレポート⁉


「最近できた駅前の中華のお店に行きたいなーって思っててね。ナギチ飲茶好きでしょ?」


「はい♡」


「誰誘うか迷ったんだけど、やっぱりナギチかなーって」


「はい♡」


 ……聞いてるか、これ?


 ピピピ。と、タイマーの音が鳴る。


「あ、時間みたい。詳細はまたあとでメッセするから」


「はい♡」


 ダメだこりゃ。

 おーい、帰ってこーい!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ