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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第四章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 ~ #1(Pre)編

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第35話 『メイメイのゲリラ雷雨』第42回目2(終)

「乳首ドリルの話はいいからさー、今日の昼公演の話しようよ」


 メイメイの演技がいかに素晴らしかったかについて語ろうじゃないか! あんな妹ほしいよね! あんなに健気でかわいい妹なら1人と言わず12人くらいほしいなー。


「ししょーの照子お姉さまはとってもステキでしたね~。なんであんなに美しく踊れるのかな~」


 メイメイは立ち上がって、その場でクルクルと回りだす。


「ああ、あのエアー舞踏会のシーン? あれはホントにすごかった。いないはずの王子様が見えたもん」


“おれ舞台初めて見たけど感動しちゃった”

“役者ってすげーのな”

“CGなしであれ?マジ?”

“マキ姐さんぱねーっす”

“気づいたら空いてる残りの公演チケット買ってたわ”

“次はどうなるんだってワクワクが止まらない”


「やっぱりドラマや映画とは違った1回だけのライブ感? 舞台って良いなって思ったね」


 あれならボクもちょっと出てみたいって思っちゃったよ。さすがにおこがましいけれど、でもそう思っちゃったんです。はい。


「私も夜公演見たいです~。カエくんチケット半分こにして~」


「いや、席半分ずつ座るからチケット半分で良いとかないからね……」


 さすがに今日の夜公演の分のチケットはすでに完売してるもんなあ。


“オレの席で良かったら!”

“交代するぜ”

“おれもおれも”

“また明日も来るしw”

“メイメイちゃんのためなら!”


 コメント欄がメイメイにチケットを譲ろうとして大変なことになってしまった。


「さすがにそれはダメでしょ。キミたちが楽しんでよ。メイメイにはボクの分のチケットを渡すからさ」


「カエくんと一緒に見たいのに~」


 メイメイが机をバンと叩いた。

 そんな無茶言わないでよー。


「配信がある時に一緒に見ようね……」


 さすがに今から2人並びのチケットは千秋楽まで空いてないよ。初日の公演がわりとSNSでバズってるからね。チケットはほぼ完売ってマキが自慢してきたし。空いてても、後ろのほうの1席とか。

 でも今回の盛況っぷりは伊達じゃないね。

 配信と生で2回とも公演見せてもらったけど、マキの演技のクオリティがすごいのもそうだけど、周りのキャスト、演出、舞台装置すべて良い。ぜんぜん主演女優に負けてない。小劇団でこのクオリティは注目されて当然だよ。


「ところでメイメイは今日のシーンのどこが一番お気に入り? 自分の出番の中でって意味で」


 マキの話ばっかりしていてもね。メイメイの話をしたい。メイメイのゲリラ雷雨だし。


「ん~、そうですね~。照子おねえさまがお嫁に行く前日の夜に、家族で小さなパーティーをするシーンかな~」


幸子メイメイが歌をプレゼントするシーンだね」


 姉のしあわせを想い、祝福の歌を捧げる。祝福の気持ちでいっぱいのはずなのに、どこか悲しげで心がキュッと摘ままれるようなそんな歌。


「あれはホントに良かった。比べるのは良くないとは思うんだけど、初日の幸子の人の歌よりもずっと良かったと思う」


「ホントですか~。少し緊張してしまって、声が震えてたから大丈夫かな~って」


 メイメイがどこかホッとしたような表情を見せる。

 歌いだしで緊張しているのも、逆に演技の流れに見えてとても自然だったよ。大好きな姉を送り出す妹だったら、きっとこういう緊張もあるんだろうなって、受け入れられたもん。


「メイメイは一人っ子だよね。姉を想う妹の気持ちってどういうふうに演じてたの?」


「そこが、ししょーから一番たくさん指導されたところですよ~」


「やっぱりそうかあ。そんな気はしてたよ。人間関係のところをきちんと自分の中に落とし込んでおかないと、きっと自然な演技ができないんだろうなあって」


「だからししょーが『いつでもわたしの行動を見ていなさい。何をしようとして、何に困っていて、何を求めているか。それを見なくても想像できるようになりなさい』って言われてて。稽古中は私ずっとししょーの付き人してましたよ~」


「大変そうだなあ。具体的にどんなことしてたの?」


「飲み物を欲しそうにしてたらすぐにコップにお茶を注ぐとか、台本を持ったらラインマーカーを差し出すとか、立ち上がったらイスを引くとかですね~」


「マジ付き人じゃん。それで姉の気持ちがわかるんだ?」


 ただの使いっぱしりにしたかったわけじゃない……よね? マキ……。


「だんだんわかってきましたよ~。おねえさまは周りをよく見てるな~って。何かをする前には困っている人がいないか確認しているし、集中していない人がいたら、それとなく近寄っていってフォローしているし、おねえさまってみんなのおねえさまなんだな~って思って、これまで以上に尊敬しちゃいました~」


“良い話”

“ああ~おねえさま~”

“マキおねえさま~”

“タイが曲がっていましてよ~”

“マキちゃん黄薔薇のイメージw”

“それわかるw”


 往年のオタクどもが。おねえさまって言うとすぐそれだ。

 ……わからなくもないけどさー。ボクは紅薔薇派だけどね。


「だからおねえさまが結婚しちゃうって思った時、すっごく悲しくて、でも国のみんなのおねえさまになるんだな~って思ったらうれしくって、とっても複雑な気持ちになったんですよ~」


「その想いがよく歌に表れていたと思うよ。聞いているこっちが泣きそうになったもん」


 メイメイが歌の最後に泣いていたら、間違いなくもらい泣きしていたと思う。

 回を重ねるごとに演技がうまくなっていったら、次の次の回あたりやばいかもなー。


 と、楽屋の扉をノックする音が聞こえてくる。

 

「メイメイ、もう時間みたい。今日の配信はこれで終わりにしとこう」


「は~い。みんな今日もありがと~。また舞台観に来てね~。今日のゲリラ雷雨はおしまいです~」


“楽しかった!”

“舞台お疲れー”

“さて、俺らも夜公演のために移動しますかw”

“メイメイちゃんの隣の席に座ったらどうしよう!”

“はいはい妄想乙w”

“おつつー”

“また明日!”

“舞台が最後まで成功しますように!”


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