第28話 『メイメイのゲリラ雷雨』第41回目1~ガチャガチャのし過ぎでお金なくなっちゃった?
「記念すべき第41回!『メイメイのゲリラ雷雨』はじまりはじまり~」
中途半端! 41回中途半端! ラッキーナンバーか何かなの?
“うぉー記念の回だ~”
“41!”
“記念碑立てたわ”
“おっすおっす”
“今日も41してる~?”
キミたちも飽きないねぇ。
いやなんかもう、返しの適当さに感動するわー。
「今日はね~。短めに話そうかなって思ってますよ~。なぜなら~?」
メイメイがカメラに向かって耳を澄ますポーズをとる。
え? あ~、「明日から舞台だから早めに寝たいー!」ってことで合っている?
“シェフの新作のスーツが出る日!”
“そろそろ新作が出る周期だな”
“新作のレポよろ”
“そろそろシェフをゲストにだな”
“シェフのスイーツ食べたことないのに毎日食べてる気持ちになってくる”
“シェフ!シェフ!”
「さっすがみんな大正解~!」
うっそ。ボクだけ不正解じゃん……。メイメイ非公式ファンクラブ会員No.1としてのプライドが……。
「カエくんそんなに落ち込んでどうしたんですか? スイーツ食べたくなっちゃいましたか?」
違うわい! だからカメラ外のボクをいじるんじゃない!
「ちゃんと買ってあげますよ~。ガチャガチャのし過ぎでお金なくなっちゃったんでしょ?」
あ、こら! 余計な情報を!
“ガチャガチャ草”
“子どもかよw”
“かわよwww”
“何のガチャガチャにはまってんのw”
“かぶったやつメルカリで出品しろw”
“チィタマのかっこうした写真と一緒に売れば高値で売れるぞw”
それシオの怪しげな壺を売る時のやり口だからね……。絶対やんないよ。
「カエくんがハマってるのは~、いきもの大図鑑シリーズだよ~」
ああっ、はずかしいから言わないで!
「ずっとシリーズ追いかけてるから、部屋がいっぱいになってきちゃってるらしいよ~」
“ダンゴムシならオレも集めたな”
“スズメバチはリアルすぎてキモイ”
“ダイオウグソクムシのレアカラー持ってるぜ”
“箱に入ったメタリックダンゴムシセット持ってるw”
“ありシリーズいっぱいいるwww”
「え~、みんなカエくんのお友達なの~? 虫好きな人多いね~」
「ダイオウグソクムシ良いよね!」
「カエくんいらっしゃい♪」
「あ、つい……」
オタク丸出しで配信に入ってしまった……。また釣られた……。
“かえできたwww”
“レギュラー定期w”
“ダイオウグソクムシいいよな!”
“新作のレオパとクレスの話しようずwww”
“やっぱりまんまるこがねっしょ!”
「だんごむしシリーズも好きー。第1弾から追っていくと、だんだん裏側がリアルになっていくのがキモカワだよねー」
最初は四角くてプラモデルみたいな作りだったのが、だんだんリアルなムシの可動部になっていく進化がすごい。
「あの技術の進歩がたまらないんだよー」
「うん……。私、ちょっとわかってあげられなくてごめんね……」
“メイメイひいてるやんw”
“オタクマネージャー、アイドルを引かせるw”
“事案w”
“はいカエデきもいw”
「ちょっと、手のひら返し! お前らこっち側じゃないのか!」
またみんなに裏切られた!
オタクはオタク同士仲良くしてくれよー!
「でもほら、前にカエくんがくれたちっちゃいダンゴムシのキーホルダーはカバンにつけてるよ!」
「まんまるスイングのクリアブルーね! メイメイにぴったりだと思って!」
「あ、うん。青いし?」
「……なんかごめん」
ぜんぜんうれしそうじゃなかった。
もっとかわいいやつをプレゼントすれば良かったな……。
「ううん! うれしかったですよ~。カエくんがくれるものならなんでもうれしいよ~」
天使のような微笑み。
いや、天使がボクに微笑んでくれている。
「ありがとう天使様。これで思い残すことはございません……」
“落ち込んだと思ったら急に昇天すなw”
“画面が忙しすぎるw”
“楽w屋wでwやwれw”
“ここだけアイドルとマネージャーというより、アイドルとオタクの関係なの草w”
“楓の反応がいちいち俺たちw”
“プレゼントしたものを身に着けてもらえたらそりゃ昇天するわなw”
「みんなカエくんの気持ちが理解できるみたい~。カエくんと仲良くしてあげてね」
“はーい”
“しょうがないにゃあ”
“かえで、お前もこっち側だろ、こいよw”
“しかたねーから仲間に入れてやっか”
“ファンクラブの会費一口10万だぞ?”
「もう全員名前覚えてるからな! 握手会があってもメイメイと握手させないぞ!」
“わかりやすい職権乱用だ!”
“これは上司にチクらなw”
“もしもし偉い人?”
“あのマネージャー態度悪いよw”
“クビになったら俺らと一緒に握手会の列並んでそうw”
「カエくん、みんなと仲良くね~」
「はい……」
“ま~たメイメイに怒られてw”
“ここまで楓のご褒美タイムw”
“お肌つやつや案件”
“メイメイちゃん天使~”
“楓イジリも飽きたから、そろそろ明日の舞台の話しようぜw”
「おい、ボクをいじるのをトークの導入みたいに使うんじゃないよ!」
「カエく~ん? みんなと仲良くできるかな~?」
「はい……」
くぅん。メイメイの笑顔がちょっと怖いよぉ。
「じゃあカエくんが静かになったところで~、明日から始まる舞台の話をしようかな~」
お願いしましゅ……。




