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第5話 『メイメイのゲリラ雷雨』第15回目2

「この間ししょーのおうちにお邪魔したのは、お肉を食べるためではなくてね~、とある脚本を見てもらうためだったんですよ~」


「ですよ~」


 マキがメイメイの口調を真似して復唱する。

 

「ね~」


「ね~♡」


 2人が見つめあって笑いあう。

 

 ちぇっ、仲いいなあ。ちょっとジェラシー。ジェラジェラ。


「とある脚本というのは何でしょ~か! 早押しクイズです!」


 急にクイズ始まった⁉

 自由!


“新作のラノベ!”

“新人賞に応募する原稿”

“映画の脚本”

“コミケ用”

“別名義で出版する18禁”

“エッチな小説”


「ブブ~! みんな不正解~。正解者はいなかったので、今日の景品はボッシュートで~す。ドルドゥドォーン!」


 ちょっと正解っぽいのいなかった?

 マキに頼まれて、これからエッチな展開になる小説書いてなかったっけ?


「あ~、みんな残念だね~。正解者にはマキちゃんといくノーパ〇しゃぶしゃぶフルコースの旅2024ワールドツアーに招待しようと思ってたのにぃ♡」


 なんだそれ……。ノーパ〇……そんなもんワールド展開されてたまるかっ! 日本の恥じゃ!


“うわーいきたかったw”

“ノーPしゃぶしゃぶしたいw”

“しゃぶしゃぶにフルコースってあるのか?”

“正解してたらどうなっちゃってたんだよ……”

“そんなもんでワールドツアーすんなwww”


「それでは正解を発表しちゃいま~す。とある脚本とは……定期公演2024の1月公演で使用する劇の台本でした~。はい拍手~」


 パチパチパチパチパチ。


“8888888888888888”

“はちはちはち”

“いよ~パチパチパチ”

“88888888定期公演”

“パチパチ~”

“拍手!わりとマジな答えだったw”

“88888お、劇やるのか”


 コメント欄がカオス。なぜ拍手を求めた? みんなリアクションと拍手が混じってわけわからなくなってるよ。


「どんな劇かは秘密だけど~。めっちゃ良い感じのに仕上がったよね!」


「ししょーのおかげで、とっても良いと思います~。アカデミー賞授賞待ったなしです~」


 それは待ったがかかる。

 まあ、映像化はしないので、会場でのライブ感をお楽しみください。まだ未稽古だけどね。


「まさかあれがあれであんな展開に! 映画化する時はマキちゃんを主演にしてね!」


「もちろんです~」


 いや、さすがにそこはメイメイが自分で主役やってよ。


“なんのこちゃわからんw”

“自信があるのだけはわかったw”

“我々は絶対にチケットを手に入れねばならんということはわかった”

“いつ発売だっけ?”

“1カ月前かな”

“まだもう少し先か”

“ファンクラブ先行や年間チケットみたいなのはないの?”

“そもそも公式のファンクラブなくね?”

“事務所のほうで先行?”

“WWのアイドルは個別のファンクラブあるっしょ”

“初夏もさすがにそろそろ?”


 あー。そうだね。そういえばまだファンクラブ設立の話は聞いてないな。でも、さすがに先輩アイドルグループに習えば、≪初夏≫もそろそろ作ってもらえるはず。定期公演が良いきっかけかもね。


「ファンクラブですか~。マキちゃんはファンクラブありますか?」


「ん、わたしはないよ。アイドルじゃなくて女優だし。でも非公式のファンクラブはあるっぽい♡」


 ドヤ顔ブイサイン。

 やっぱり非公式でもファンクラブがあるとうれしいものなんだね。


「すごいです~。ファンクラブイベントがあったりするんですか~?」


「さあ? さすがに事務所の活動ではないから、わたしが参加することはできないし、ファン同士でやってくれてるのかな、とは思うよ」


 さすがのマキも苦笑いだ。

 非公式ってことは、つまり勝手にファンクラブを名乗ってるだけだからね。本人とは何ら関係ありませんって、ちょっと悲しい立場ではある。

 ライブや舞台があると、そのファンクラブ一同から花を贈ったりするのが、本人に目に見える形での活動になるのかな。


「私もファンクラブほしいです~。作っていいですか~? ファンクラブ作ったら入ってくれますか~?」


“入る入る~”

“もちのろん”

“アイドル本人が作る非公式ファンクラブw”

“斬新すぎて入りた過ぎるwww”

“もうすでにゲリラ雷雨がファンクラブ活動なんじゃw”

“それあるw”

“なんだ俺らファンクラブ会員だったか”

“どこまでもついていくぜ~”


 意外と受け入れられる本人私設ファンクラブ。事務所が正式に作るだろうからそれを待とう?

 まあ、メイメイがやることに対して全肯定する。これがある意味信者の正しい姿。だがな、ファンクラブ会員No.1は誰にも譲らんぞ!


「ほらみて、メイメイちゃん。カエデがなんか怖い顔でにらんでるよ。勝手にファンクラブって言いだしたからじゃない?」


 違うっ!

 ボクは会員No.1の座をもらおうと……。


「カエくんごめんなさい~。いつもみたいに叩かないで~。おやつ抜きはイヤです~」


「ちょっとメイメイ! ボクがいつメイメイを叩いたのさ!」


 おやつ抜きは何度かしてるけど!


「あ、ひっかかった~♡ はい、今日も配信へようこそ~♡」


 マキに首根っこを捕まえられると、強引にカメラの前に引っ張り込まれてしまった。


「わ~い。ひっかかりました~。みんな大好きカエくんですよ~」


 くっそー。2人して諮ったな!


“はい、おかえりw”

“今日もカエくんはチョロいね~www”

“おや気を抜いたジャージ姿でw”

“毎日出るんだからかわいい服着とけよ~w”

“髪の毛跳ねてるぞw”

“ま~たすっぴんで~”

“ほっぺたにケチャップついてるぞ”


 慌ててほっぺたを触ってみる。


 え、ケチャップ⁉

 ついてないじゃん!


「くっそー。おまえらまで! 全員でだましやがってー! メイメイは夕食後のおやつ抜き!」


「ひどいです~。私だけじゃないです~」


 メイメイが涙声で訴えてくる。

 ダーメ! 首謀者がまとめて罰を受けるがいい!


「しかたない。ここはししょーであるマキちゃんが責任を取ろう」


「責任、とは? おやつ抜き?」


「マキちゃんはししょーとして、キミたちの定期公演を見に行って応援するよ。そして誰よりも大きな花を贈ることを約束するよ」


 マキは胸をドンと叩いて宣言した。


「ししょー!」


「マイベストフレンド!」


 弟子の晴れ舞台に花を贈る。

 すんごいししょーっぽい! ちょっと感動した!


“良い話”

“おれら非公式ファンクラブゲリラ雷雨も大きな花を贈るぞ!”

“ししょーに負けるな”

“1人5000円な”

“たっけぇw”

“たぶんチケット代よりたけえw”

“ケチケチすんな!俺は10口いくぞ!”

“富豪じゃんwもうお前が会長なw”

“会長はメイメイだろw”

“まてまて、サプライズの話をここでしたら全部筒抜けだぞw”

“どうせこそこそしても楓が紛れ込んでくるから筒抜けな件について”


 おう、よくわかってるな。

 お前たちのコソコソなど、この楓様はすべてお見通しなのよ!

 ボクも花代出すからな!


「ししょー。最前列のチケット用意するので、絶対見に来てくださいよ!」


「青いペンライトふりまくるよ♡」


「メイメイ。関係者席は2階なんだ……。最前列は普通に一般販売用だよ……」


 残念なことだね……。


「徹夜して並んで最前列取ります~!」


「いや、たぶんネット販売だし、抽選だから……」


 徹夜で最前列とか、いつの時代のアイドルオタクなのよ……。


「うぅ……。シオちゃんに頼んで、予約システムハッキングしてもらいます~」


「それはマジでダメ」


「ししょー……カエくんがいじめます~」


「おう、よしよし。カエデはひどいなあ。メイメイちゃんがこんなにもがんばってるのになあ」


 メイメイの頭を撫でながら、マキがものすごくニヤニヤした顔でこっちを見てくる。

 いや、どうしろと?

 さすがにここでオチなんてつけられないぞ?


「じゃ、じゃあ……ボクもがんばって最前列取れるようにチケット予約するから……」


「2点。不合格!」


 ぐぅ……。ひどいボケに対するツッコミの正解がわからないよ……。


“カエデ、それはひどいw”

“NSC入りなおせw”

“それじゃあお笑いで食っていけないぞw”

“アドリブ×”

“楓2点www”

“ししょー厳しいw”


 NSCに入ってたことなんてないわっ!

 マジ正解がわからない!

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