表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
174/330

第1話 定期公演の内容どうしよう……

「カエくんどうしましょう~」


 定期公演の発表があってから数日、メイメイはずっとプレッシャーと戦っていた。

 定期公演の記念すべき第1回目のメインMCに抜擢されて悩んでいる。


 定期公演の内容はこうだ。


 公演時間は約90分を予定。

 その中を30分ずつ3パートに分ける構成らしい。


 第1部:オープニング~3曲披露

 第2部:メインMCプロデュースコーナー

 第3部:3曲披露


 第2部はそれぞれの回を担当するメインMCがプロデュースする時間となっている。つまり、30分間何をやるかを考えて、必要に応じて他メンバーへの依頼や演出等の手配をしなければいけないということなのだ。


「メイメイがやりたいことをやったら良いと思うよ? 常識の範囲内で何でも良いよって言われているわけだし」


 そう、常識の範囲内でね。

 予算がどれくらいなのかは聞いていないので、とくに第1回目は探り探りになりそうだけどね。


「やりたいことですか~」


 メイメイがやりたいことって何だろうね。


「スイーツの早食い競争とかでも許されるかも?」


 ファンの人が見たいかはわからないけれど。


「そんなことしないよ~」


 メイメイがほっぺたを膨らませて怒っていた。

 さすがに舞台でスイーツ食べるのはちょっと違うか……。


「早食いなんてしたらスイーツに失礼だよ~」


 そっち⁉


「無難にソロで歌うとかなのかねー? あとは隠された特技を披露するとか?」


「30分もあるし、歌は歌いますよね……。特技……動画でだいたいやりつくしちゃってるかな~」


 まあ、そりゃそうか。

 まだ隠してる特技があるならさっさと出せよって話だしなあ。


「とすると、今までやったことのない新しいことにチャレンジ?」


「1月の定期公演まで2カ月ないよ~」


 そうだ。新しいことをやるにはあまりにも時間がなさすぎる。

 それに加えて、1年間の定期公演の流れを作る大事なミッションも負っているわけで……。実際ボクもプレッシャーを感じてます。


「そうだ! 手品はどうですか~?」


 メイメイが何かを思いついたようだ。


「手品? 舞台でやるんだから、舞台映えするような大きなアクションが必要だけど、そんなのできる?」


 カードマジックのような手元で見せる類の手品はリアル舞台には不向きだろう。そうなると、人体消失とか、人体切断とか……いやいやいや、素人がやっていいものじゃないでしょ!


「カエくんがちっちゃくなっちゃったマジック!」


「ダメです」


 種も仕掛けもないからマジックでも何でもないし、薬飲んで子どもになったら、見ている人がどんな気持ちになるか……。


「でもかわいいですよ?」


「体が燃えそうになってそこそこの時間のたうち回って、10歳の子供に戻る過程を見た人が『お~、メイメイすごい!』ってなると思う?」


「う~~~~ん。カエくん大丈夫かなって思うと思う……」


「そうだよね。そこから2時間戻らないから、『あいつ小さいままだけどどうなったんだ?』って微妙な感じで終わるだろうし、ネットに流されてそれこそニュースになったりしたら、いろいろ困るから絶対ダメだよ」


 常識の範囲内で頼みますよ。

 体が縮む薬なんて非常識ですよ?


 まあ、最近はあの感覚にも慣れてきたけどねー。

 お風呂で髪の毛洗ってもらっている間に縮めるようになってきたし。もはや日課だね。


「じゃあ、カエくんがおっきくなっちゃったマジック!」


「服破れるし、もっとダメだよね?」


 さすがに300人くらいの人の前でヌードになるのはちょっと……。しかも20歳の超ナイスバディーのボク……はい、すみません、ウソです。誇大広告で訴えないでください。はぁあ……。牛乳飲もう。


「カエくんがソロで歌って踊るコーナーにする?」


「いや……メイメイがメインMCのコーナーだからね? プロデュースするにしたって、さすがに自分を売り込むような内容にしないと……」


 なんでも良いというのはそういうことだからね?

 如何にして自分の魅力をファンの人たちに伝えるか。しっかり準備した舞台の上でセルフプロデュースした内容を披露できるチャンス。

 ボクが歌って踊って、仮にファンのみんなが笑って楽しんだとしてもだ。メイメイには何も残らないでしょ。


「私が歌って踊らないとダメですよね~」


 メイメイが再び迷走モードに入り、うろうろしだす。

 髪の毛を掻きむしったり、その場でクルクル回ったり、ほっぺたを叩いたり……悩んでますなあ。


 1つアイディアを出してみるか。


「ん~じゃあ、こういうのはどう?」


 ボクは端末を操作して、メイメイにとある画面を見せた。


「ステキです~! カエくんすごい!」


 メイメイが目を輝かせて拍手をしてくれる。

 気に入ったかな?


「でも、これだとカエくんも……」


「そこはまあ、バディだからね。覚悟を決めて一緒にがんばるよ」


 あんまりこのアイディアを見せたくなかったのは自分が舞台に出ないといけないからってのもある。でも、これ以上悩むメイメイは見たくないし、準備に時間をかけるなら決断は早いほうがいい。


「でもどの話が良いかな~」


「いきなり他の人に協力を求めるのもあれだし、2人でできるのだと……これか、これかな?」


「たしかに! 私はこっちの話が好きです~」


 うん、まあ、妥当かな。

 舞台上で表現できるように調整は……メイメイが得意な分野か。問題ないでしょう。


「じゃあそれで決まりね。シナリオの調整は任せていいかな? 前後に1曲ずつ普通に歌うパートも入れたいし、10分くらいで収まるように」


「はい~。いけると思います。前後の曲は私が決めてもいいですか~?」


 そりゃメイメイのメインMC回だからね。

 しっかりと自分をアピールできる曲にしなよね。


「もちろん! さあ、がんばっていこう!」


 ある程度はシオにフォローしてもらわないといけないところもあるだろうけれど、できるだけ2人でやれることはやってみよう!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ