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第71話 『メイメイのゲリラ雷雨』第6回目3

「シュークリーム食べたくなってきちゃった~」


 まあね、こんなにシュークリームと向き合っていたら、食べたくもなるよね。ボクもちょっと食べたい……。


「そう言うと思いまして、シュークリームをご用意いたしました」


「レイちゃん!」


 レイがナチュラルに配信に移りこむ。


んーと、「お2人がゲリラ配信されるのを横で静かに聞かせていただきます」って言ってなかったっけ?

 出たかったの? まあ出たかったんだよね。


 だってさ、その衣装。


“おっと、美少女レイちゃん登場!”

“やっぱりかわいい”

“なになに。レイちゃんシュークリームの衣装じゃん”

“レイちゃんも一緒に歌ってるの?”

“前髪切った?”

“シュークリームちょうだい”


 うん、いつの間にボクたちとおそろいの衣装に着替えたのさ……。というか、この衣装って予備なんて用意されてないよね……。まあレイのやることに深く考えるのはよそう。


「みなさんこんにちは。仙川零です」


 レイが配信中のスマホに向かって、礼儀正しく頭を下げる。

 ちゃんとアイサツできてえらい!


「レイちゃんいらっしゃい! おそろいの衣装だ~。かわいいよね~」


 メイメイがレイに抱きつくと、レイがちょっと恥ずかしそうにしている。

 

 うーむ、2人を見ているといろいろと捗りますなあ。

 メイメイとレイが歌ったバージョンも見たい気持ちが高まるね。


「あ、そういえば2人でよくカラオケに行くって話してた気がするけど、『シュークリーム』の練習してたりしたの?」


「みんな~! みんな大好きカエくんが再び登場ですよ~」


 あ、しまった。つい気になりすぎて割り込んでしまった。

 入ってしまったものは仕方ないか。


 ボクはイスを動かして、レイをサンドイッチするように並んで座る。


“がまんできなかったかw”

“おかえりカエくんwww”

“3ショットシュークリーム助かる”

“美少女と猫”

“いっそのこと3人でデビューしてくれよー”

“レイちゃんなんかしゃべって”


「先週はいっぱいカラオケに行ったよね~。『シュークリーム』も『涙の雷雲』も練習しましたよ~」


「ナギチは一緒じゃないんだ?」


「なぎささんはお仕事が忙しそうでしたのでお誘いはしてませんでした」


 つまり2人きりかあ。


「ソロユニット曲はお互いのバディ分をフォローしあう感じで歌ったの?」


「そうですね。それぞれのパートだけを歌ってズレを確認したりもしましたが、『涙の雷雲』はデュエットソングなのでやはり相手がいないと難しいですから、さつきさんにお願いしました」


「へぇー。メイメイは演歌、歌えたんだ?」


「あ~、カエくん、シ~! まだレイちゃんの曲はMV公開されてないのに~」


 しまった。

 情報漏洩!


「ここ、ちょっとカットで!」


“はい、演歌いただきました”

“レイちゃん演歌歌うんだー”

“演歌楽しみ(拡散)”

“涙の雷雲は演歌っと”

“おーいみんな演歌だってよ”

“エンカエンカ”


「ちょっとー! みんなわかってるよな⁉ な⁉」


 黙っててくれないと怒られちゃう……。


“圧w”

“ファンに圧をかけてくるマネージャーwww”

“知らないニャンw”

“忘れるためにはこう、もっと誠意を見せてもらわないとね?”

“誠意が足りんなw”

“そうそう、誠意って大事w”


 くそぅ。足元見やがって……。


「誠意って何だよ……」


「やっぱりお金?」


 メイメイ、それを言っちゃあおしまいよー。


“まさかの金”

“金もらえるのw”

“金はダメでしょw”

“もっとこう、あるだろうw”


「お金は詐欺などあるので振り込むのは難しいかもしれません」


「そういう問題じゃない気がするんだけどな」


 レイは本気で言ってるのかボケているのか……審議中。


“脱いだらいいんじゃないですかね(鼻ほじー)”

“脱げ~w”

“楓ならギリ配信停止にはならないだろw”

“まあ平気じゃね?w”

“じゃあ脱ぐ方向でよろw”


「よろ! じゃねー! ダメに決まってるでしょ! ほら、みんなレイの顔見て? これでもボクを脱がせようとするつもり?」


 レイさん怒って……ませんね。顔が赤く……もしかして興奮されてます? そういう趣味もおありなんですか……。


(みんなに裸を見られてはずかしそうにしているかえでくんを想像してしまってつい)


 つい、じゃないんですよ、ついじゃ。


“レイちゃんが怒ってる”

“しかたない脱がせるのはやめよう”

“脱ぐ以外だと歌うしかないな”

“歌ってもらいましょうかね”

“カエデ歌えーw”

“やっぱり歌でしょw”


「カエくん歌ってって~。どうする~?」


 メイメイが期待に満ちた目で見てくる。


 どうする? じゃないでしょ、その顔は。

 歌えって、そう言うことですか。まあ落としどころとしては致し方なし? 多少盛り上がるならやぶさかではないと言いますか。


「しかたない。歌いますか」


“やったぜ!”

“振り付きで頼むよw”

“ソロライブ?”

“歌えー脱げーw”

“音楽どうする?ちゃんとJA〇R×Cに払えよwww”

“ポロリもある?”


 メイメイはニコニコしたまま立ち上がろうとしない。聞く気満々だよ……。つまりマジでソロ? えー緊張するなあ。


「脱がないから! ポロリもないわ!」


 ちょっとカメラから離れてー、これ映ってるかな?


「私カメラ係やりますよ~」


 メイメイが立ち上がり、インカメラからアウトカメラに切り替えてボクだけを映してくる。

 OKサイン。


「こちらで音楽かけますね。かえでくん、わたしも一緒に歌います」


「レイ!」


 なんてやさしいのかしら。

 涙が出ちゃう。


 幻のユニット・レイカエによる『シュークリームが膨らまないの』だー!


 いっちゃうよー!

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