第69話 『メイメイのゲリラ雷雨』第6回目1
「みんな~、メェ~!『メイメイのゲリラ雷雨』第6回目ですよ~」
6回目だけど、まだアイサツが安定しない。
そろそろこの生配信の世界観を作っていってほしい。
“おっすおっす”
“め~”
“MV見た!”
“直視できないかわいさ!”
“最高!”
“メイメイ大好きー天使ー”
“シュークリーム買ってきた”
“シュークリーム焼いてみた”
今日の配信は初っ端同接120人からスタート!
さっきボクたちのMVが公開された効果は大きいかな? 心なしかファンのみんなもテンション高いな。
もちろんボクもテンション高いよ!
「感想ありがと~! 私とカエくんの『シュークリームが膨らまないの』のミュージックビデオが今日公開でした~。みんな見てくれたかな~?」
“1000万回再生した”
“神曲”
“衣装かわいすぎないか”
“楓がまじめにふわふわしてるの笑う”
“メイメイ足長いね~”
“歌の時の声かわいい”
“拡散しまくった”
“こんなん全国のケーキ屋でシュークリーム品薄になるだろ”
“渚の動画見て作ろうぜ?”
“やってみたら簡単にシュークリーム膨らんじゃった”
“タイトル通りにしとけw膨らませるなw”
“2人とも声がかわいすぎてはまる”
わーい、高評価だー。
声がかわいい。ヨシ。
足が長い。ヨシ。
まじめにふわふわしてるの笑う、だと? トンカラ! お前だけは許さんぞ!
「衣装も振り付けもかわいいよね~。私『シュークリームが膨らまないの』大好きなの~。カエくんも最初恥ずかしがってたけど、曲がかかるとふわふわでかわいいの~」
ボクの話をしながらこっちを見るんじゃない!
今日はなぜか空いていた録音ブースを借りている。
なので設備がめっちゃ豪華。音もたぶん前の5回分の配信よりはだいぶ良いはず?
「気づいてる人は気づいてるかな? 実は今日は気合を入れて、『シュークリームが膨らまないの』の衣装を着てきちゃいました~」
そう言いながらカメラを固定してメイメイが立ち上がる。
“かわうぃぃぃぃぃぃぃ!”
“ふわふわだ~!”
“ニーソが片方だけなところがすごく好き”
“髪にもいっぱいリボンやポンポンついてて良き”
“カスタードクリームになりたい人生だった”
“楓は?楓の衣装は?”
“カエく~んwww”
“けちけちしないで見せろ~w”
“MV公開初日くらいサービスサービス!”
メイメイが衣装を着るって言いだした時から、この展開わかってたけどね……。
まあ今日は出るつもりでボクも着てますし……。
「みんなカエくんの衣装も見たいよね~? ね~?」
積極的に煽るんじゃない。
出るから。でもそうやって言われると出にくくなるから!
「今日のスペシャル雷雨ゲスト~! カエくんで~す♡」
拍手する音がマイクに乗ってるから。そういうのは振りだけで良いのよ。
はいはい、出ますから。そんなに手招きしないで。
「はいどうもー。スペシャルゲストでーす」
“かえで!かえで!かえで!”
“やればできるじゃん!”
“ちょっとふてくされんなw”
“普通にかわいいんだよなw”
“おかしい……かわいいw”
“顔は普通なのにかわいいw”
「うっせー!『顔は普通』は余計じゃ! 衣装ももう見せたからボクは帰るよー」
やればできるってなんだよ!
今日はちゃんとメイクだってしてんの! なんならそこにメイクさん(レイ)も待機してるんだからな! ボクのことをちゃんと褒めないとメイクさん(レイ)が黙ってないぞ!
「カエくんかわいい♡ 私よりシュークリームの衣装が似合ってるって思うんだよね~」
「ありがとー。って、ちょっと、メイメイ!」
急に抱きつかないで。
布擦れの音がマイクに乗ってるから。イヤフォンで聞いてる人もいるから、大きな音は注意して!
「背が低いほうがこういうフリフリのドレスは似合うと思うの~」
「そうかなー? ボクは、まさにメイメイのためにデザインされた衣装だなって思ったけどね。めちゃくちゃ似合うー。さっき発売開始されたブロマイド写真5枚組(ランダム封入)も100セット予約したよー」
「え~、そんなの売ってるの? 私知らなかった~」
「公式サイトで発売されてるよ。気になる人は今すぐ概要欄からチェックしてね」
ふう、露骨な宣伝をしてみたよ、と。
“いきなり宣伝わろたw”
“ここにいるようなやつは予約済みだから無意味w”
“100セット?たらんなw1000セットだ!”
“楓の単体のブロマイドが発売されてないんだが?”
“メイメイと一緒に写ってるのは入ってるのか”
“楓はシークレット扱い?”
“はよ売れや”
「あのさ……どこの世界にマネージャーのブロマイド売る事務所があるんだよ。ペアで写ってる時点で信じられないのにさー」
無茶言うなよ。しぇりんがむさんよー。
うーん。しぇりんがむさん、懐かしい名前だなあ。
昔、一緒にメイメイのブロマイド交換したね。そんなキミがボクのブロマイドをほしがっている……へんなの。