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第63話 麻里さんとメイカエレイ探偵団

「ミャコさんね……。最近本業のほうが忙しいみたいで……」


 そうつぶやくハルルの表情はとても暗かった。

 あまりかまってもらえずに淋しいのかな……。


「本業って言うと、大学の研究室のほうかな?」


 マネージャー業が副業なのかと言われるとそうでもないとは思うけれど、両方とも力を入れないといけないから、バランスを取るのはとても難しそう。ボクなんか学生との両立でさえ四苦八苦しているというのに。別の仕事もしている都には頭が下がるよ。

 よし、やつれてたりしたら、存分にイジリ倒してあげよう!


「ええ、ミャコさんは研究員ではなくて教授の助手らしいんだけど、どうも厄介な仕事を頼まれているらしくて……」


 教授の助手……つまりは麻里さんだ!


「麻里さんの助手かあ。それはとーっても、めんどくさそうな仕事を頼まれてるだろうね……」


「麻里ちゃんならめんどうな仕事を押しつけてくるに決まってます~」


「師匠ならめんどうな仕事しか渡さないでしょうね」


 全会一致。うん。間違いない。


「マリさんってそういう感じなの? 私、マリさんに大変お世話にはなってるけれど、あまりお仕事のことをお聞きしたことなくて……」


 ハルルが目を白黒させている。

 まあ無理もない。人は見た目や実績だけではわからないこともあるのだよ。とくにあの麻里さんはね。ボクだってすべてを知ってるわけじゃないけど。


「なんていうか、そういう人なんだよねー。たぶん都はけっこう大変なことを要求されて苦しんでるんだと思うわー」


 合掌。

 なんとか生きてくれ。


「私が手伝えることってないのかな……」


 ハルルが視線を下に落とす。


「うーん。都がハルルに直接助けてって言ったの?」


「言ってないわ……」


「気づいてほしそうな感じは出してた?」


「出してないと思う……ただ疲れているのが隠し切れずに漏れ出てるみたいな感じかしら」


「だとすると、ハルルにできることはないんじゃないかな?」


「そう、よね……」


 ハルルが悔しそうにつぶやく。


 助けてほしいなら助けてほしい。

 都は仕事を抱え込みがちではあるけれど、ちゃんとヘルプを出せる人だからね。


「でも気になるね」


「気になります~」


「気になります」


 とするとやることは1つ。


 ボクたちは頷きあった。

 メイカエレイ探偵団の心は1つだ!



* * *


「それで私のところに直接来た、とそういうわけだな?」


 麻里さんの問いかけに、ボクたち3人は無言で頷いた。


 あの後すぐにアポを取り、メイカエレイ探偵団は、麻里さんの研究室に押しかけてきたのだった。


「都に直接言っても、絶対『大丈夫』しか言わないと思うので、どんな仕事してるのかなーと興味本位で遊びに来ちゃいました!」


 とまあ、軽い感じで入ってみるとして。

 都が入っているのは表のロボット研究のほうのはずだから、まあ、話せることも多いでしょうという目算です。はい。


「軽く遊びに来られても困るんだが……」


 麻里さんは苦笑する。でも本気で嫌がっているわけではなさそう。その理由は――。


「麻里ちゃん麻里ちゃ~ん!」


「あ、こら。早月! だからすぐに高い高いするんじゃない!」


 そう、メイメイだ。

 麻里さんはメイメイに対してだけはめちゃくちゃ甘い。

 娘というより、もはや孫。目の中に入れても痛くない存在だ!


「ボクたちもちゃんとやってますから。たまにはこうして元気な姿も見せに来ますよ」


 おばあちゃんもメイメイに会えてうれしいでしょう?


「報告は聞いている。楓はなかなか忙しそうだな。映画撮影、お疲れニャン」


 麻里さんが意地悪い顔でにやりと笑った。

 う、思わぬ反撃を食らった……。

 

「なぜそれを……」


 チィタマのセリフ回しまで……報告はさらっとした映画撮影の情報だけじゃないな……。詳細な報告をしたのは誰だ⁉


「私は『朝日は西から昇る』の原作のファンでな」


 そうか……これは原作者から直接報告を聞いたな?


「犯人はシオですか。まったく……」


「ああ。栞にはいろいろ手広く活動してもらっているからな。広報担当というやつだな」


 手広く広報、ねえ。手広すぎてシオの活動の全容が見えないんですけどね。シオが何人もいる説を推しておこう。


「シオPのプロデュースはハズレなしだろう?」


「シオPって……。麻里さんっていったいどこまで把握しているんですか……」


 監視カメラでもついてるのか……こわい。


「さあ、どこまでだろうな? ふふん♪」


 不敵な笑み。こわい。

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