表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
158/329

第62話 最近都の元気がないらしい

「今日もゲリラ豪雨お疲れ様。メイメイ、おしゃべり上手になったねー」


 第5回の生配信を終えたメイメイをねぎらっていた。


「わ~い! ありがとうです~。カエくんに褒められちゃった~」


 メイメイが自分に拍手を送りながら喜んでいる。

 今日はMVの感想回になったね。ちゃんと予定通りこなせてえらい!


「ファンの人たちとMV同時再生で実況中継なんてよく思いついたね」


「他のアイドルの子がやっていたのを真似てみましたよ~」


「あ、そうなんだ? 他にもやっている人がいたんだね」


 リサーチ不足。

 そういう手法があるとは知らなかったよ。


「時間を見つけて、他のアイドルの子の配信アーカイブを見るようにしてるんですよ~」


「勉強熱心でえらい! ボクも何かおもしろそうなのを見つけたら共有するね」


「お願いします~」


 他のアイドルのリサーチに、メイメイのファンたちがちゃんと宣伝活動をしているかの監視。しばらくは配信三昧だなあ。がんばろう。



* * *


「カエくん、カエくん。最近ミャコちゃんの元気がないと思うんですけど、何か知ってますか?」


 ゲリラ配信の後片づけをしていると、メイメイがぼそりとつぶやいた。


「都が? 何も聞いてないなあ」


 そういえば前々回の生配信の時に都が体調を崩して以来、あまり会話をしていないかもしれないな。

 映画撮影とかも差し込まれたし、ソロユニットの関係でメイメイと一緒にいることが多いし、なんかすれ違っていたかも。


「メイメイはどこでその情報を?」


 その情報元にあたれば何かわかるかもしれない。


「ハルちゃんが言ってました~。いつも忙しそうにしてるし、疲れてそうだし心配だ~って」


「なるほどね」


 まあ、バディのハルルが1番よく見てるはずだよね。

 都はリーダーとして1人で抱えがちだし、ちょっと全体的に任せきりになってしまっていたかもなあ。


「ちょっとハルルに話を聞いてみようかな」


 直接都のところに行く前に、軽くリサーチをしよう。


「私も行きたいです~」


 メイメイが足元から大きな紙袋を持ち上げる。


「最近ずっと持ってるけど、それ何? めっちゃ気になるんだけど」


「えへへ、秘密です~」


 口に手を当てて笑う。

 やっぱり中身が何か教えてもらえない。

 ずっと持ってるから気になって仕方ないのに!



* * *


「というわけでやってきました」


「何がというわけなのよ? それでそのかっこうは何?」


 ハルルがボクたちの服装を指さす。


「え? メイカエレイ探偵団だけど何か?」


 事件があるところに我らあり! ご存じメイカエレイ探偵団登場だー!

 紙袋にいつも入れて持ち歩いてるのね……。しかもボクの衣装まで。


「当たり前のように言われても……探偵団、なの?」


「ハルちゃん、あの有名なメイカエレイ探偵団を知らないんですか~?」


 メイメイが大げさに驚く。


「知らないけど……。有名なの?」


「有名ですよ~。なんとコミカライズもしています!」


「えっ? それはボクも初耳なんだけど」


 またマンガに⁉


「別冊リトルレディで連載中。現在コミックスも5巻まで発売されていますよ~」


 しかも同人誌じゃない、だと⁉


「へ、へえ~。すごいのね。そのコスプレを?」


 ハルルが若干引いている。

 いや違うんだって! ボクたちが原作だからコスプレじゃなくて……コスプレではあるんだけど。マンガのコスプレじゃなくて、もとはただの探偵のコスプレで……。まあもう良いか別に。


「話は聞かせてもらいました。わたしが説明しましょう」


「レイちゃん!」


 メイメイがうれしそうな声を上げる。

 はい。いつもの登場ですね。ボクはもう驚きませんよ。


「えっ、レイさん⁉ いつからそこに⁉」


 ハルルが激しくリアクションを取る。

 そういうところだよ、ハルル。いつでも新鮮なリアクションを取れるのは、とってもバラエティー向きだと思うの。


「メイカエレイ探偵団とは、この世界の謎を解明すべく結成された探偵団なのです」


「えっ⁉ そうだったっけ?」


 世界の謎? そんなのと戦っていたんだっけか。知らなかったわー。


「と、コミックス第1巻に描いてありました」


 マンガ情報かいっ!

 本家はうちらじゃないの? マンガのほうに設定乗っ取られてどうするの……。


「はいはい、わかりました。その何とか探偵団さんたちが何か御用ですか? 私、世界の謎はもってないわよ」


 そんな態度で来られると、とても言いづらい。

 なぜこのかっこうで来てしまったのか……。


「最近ミャコちゃんの様子がおかしいと聞いて、その謎に迫るために調査しに来ました!」


 おー、これはストレート!

 こういうところはさすがメイメイですね。こういう言いづらい時にズバッといく。物おじしない性格で助かる。


「ミャコさんね……。最近本業のほうが忙しいみたいで……」


 ハルルの表情が一気に暗くなる。


 ふむ。詳しく話を聞こうじゃないの。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ