第61話 『メイメイのゲリラ雷雨』第4回目3(終)
「いつか、ししょーもこの配信にゲストで出てくれないかな~。ししょーはおしゃべりが上手だからみんなも楽しいと思うよ~」
マキはおしゃべりが上手というか、論破が趣味というか。
才能は役者だけにとどまらないよね。マルチタレントとしても人気が出そうに感じる。役者がバラエティー番組出て、お笑い芸人よりおもしろいこと言っちゃうみたいなね。
でも才能って言ったら失礼か。しっかりと努力して磨いた才能だもんね。
「おしゃべりといえばレイちゃん! 私はレイちゃんが1番おもしろいと思うんだ~」
“物静かな文学少女”
“メカクレ!”
“おとなしくて巨乳の!”
“しゃべってるイメージがあまりない”
“楓のルームメイトで渚のマネージャー”
“2人も問題児をお世話するの大変じゃねw”
“それだけ聞くと有能なマネージャーっぽいw”
“まじめ系な人に見えた”
「レイちゃんはおもしろいですよ~。男の子が苦手なので、配信にはあまり出たがらないですけどね」
ファンの人たちにレイの本当の良さが伝わることはなさそう。
「毎日カエくんのお世話をして~、ナギサちゃんのめんどうを見て~。とっても大忙しですけど、私とも一緒に遊んでくれますよ~」
“あれ?その2人と同じカテゴリーにメイメイも入ってい……?”
“気づいてはならぬ気づいてはならぬw”
“ぶっとんでるのはメイメイちゃんも同じw”
“そこが魅力だからw誉め言葉だからw”
“レイちゃんがとってもいい人なのはわかったw”
“わかりすぎてつらいwww”
“カエくんの髪伸びたから洗うの大変だよねwww”
おいー。おまえたちー。メイメイとナギチを同列に語るんじゃない!
天使のお世話ができるのは名誉あることだろう⁉ レイだってメイメイと遊ぶのは楽しくて仕方ないって言ってた(はず)。
「最近レイちゃんとはよくカラオケにいくんですよ~。2人で歌の練習してるの~。ソロユニット曲もあるし、私はライブもあるから」
え、カラオケ⁉ 何でボクは呼んでもらえないの……。ボクもソロユニット曲あるんですけど⁉ って、もうMV撮影終わっちゃいましたけどね。
「レイちゃんとっても歌うまいよ~。歌うまいって言って良いのかな。なりきるのがうまいの」
“なりきる?ものまね?”
“レイちゃんの歌がききたい”
“ソロユニット曲の出番を待て”
“何日目に登場だろう”
“登場順シークレット?”
「あ~それ! モノマネ! どんな声でも出せるの。さすがに低い男性の声はでないけどね。ソロユニット曲の発表順? それは秘密みたいだから楽しみにしててね。明日は誰かな~?」
レイのモノマネってつまり……あれだよね? コスプレ(真)。声はもしかして、サクにゃんたちが作った『脳波信号・音声変換くんType-A(試作版)』を使って変声をしてるのかな。
「私とカエくんの曲は『シュークリームが膨らまないの』だよ。ちなみにレイちゃんのところは『涙の雷雲』」
“たのしみー”
“早く聞きたい。明日来い!”
“どんな曲かな”
“ちょっとだけでも知りたい”
“鼻歌だけ!”
“そういや渚の動画にシュークリーム作るやつでゲスト出演してたよね”
“コラボ動画だったか”
“全然気づいてなかったw”
“けっこう前だった気がする”
“シュークリーム膨らんでたじゃんw”
“今は亡き関西弁のナギサw”
“あーねwww”
“ぶりっ子エルフもあれはあれで腹立つけど味わい深いw”
“何やっても腹立つのが渚の良いところw”
“いうほどいいか、それw”
「ナギサちゃんかわいくなったよね~。この間メレンゲの作り方を教わったんだけど、その時『私、かわいすぎてFBIから狙われてるかもしれない!』って言ってたよ。FBIの人、狙わないであげてね~」
“狙わへんw”
“FBIを何の組織だと思ってるんだw”
“はらたつーw”
“黙ってメレンゲ作ってろw”
“どんな世界観なのかkwsk”
“kwskすんなw”
「ナギサちゃんのパティシエ講座は人気だよね~。私もそういうシリーズ動画撮ってみたいな~。シオちゃんの指示で、バズった動画以外はシリーズ化しちゃいけないので、今のところ私はシリーズなしです~」
メイメイの悲しそうな顔は見たくない……。でもこれが現実。
動物ものも初回以外はそこまで伸びなかったし。キャンプ関連はショート動画としてはわりと人気はあるけれど、爆発的ヒットではない……。
「みんな~。私が撮ったらおもしろそうな動画のネタがあったら教えてください~。新しいファンの人たちが見てくれそうなテーマがほしいんですよ~」
非常に難しい話。
ずっと悩んでいるけれど、答えが出ていない。
メイメイの動画がバズるために何をすればいいのか。
“これまでもけっこういろいろやってるよね”
“ジャンルがバラバラ過ぎてw”
“なんでも形になってて器用だなって思う”
“失敗してる動画もアイドルっぽくていいんじゃないか?”
“ある意味全部成功しちゃってるからそれが予想の範囲内ってこと?”
“驚きはないかもしれない”
“抽象的だな”
“具体的? 水着着ろとか?w”
“そういうことじゃねえw”
“具体的かはわからんが、朗読劇やらんの?”
“なぜ朗読劇?”
“小説書いてるじゃん。マンガ原作予定の”
“ああ、そういうこと?”
“声優みたいだけど聞いてみたいかもな”
“こういう人ですって宣伝するのには使えそう”
“読んでるだけじゃなくて脚本も自分で書いてるんだぜ、みたいな?”
“役者の道に進みたいなら修行にもなるかも”
“ししょーに相談してみたら?”
ほう、朗読劇。
それはまったく思いつかなかったな。
「朗読劇ですか~! やってみたいです~。さっそくししょーに相談してみますね。みんなありがとう~!」
“どういたしまして”
“どういたしましてw”
“どういたしまして”
“どういたしまして”
“どういたしましてww”
こら! ありがとう強化月間はボクだけだからー!
「あ~! もうそろそろ食堂がしまっちゃう時間! 今日の配信はおしまいにしないと! サクちゃんたちのMVは明日みんなで見ようね! 今日も見てくれてありがとうございました~。また明日~。ばいば~い!」
ただの雑談配信……。
MV見ずに終わったよ……。
明日はみんなでちゃんと見ようね⁉ サクにゃんとシオの楽曲、めっちゃ良かったし!