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第26話 限界チャレンジ4~エンディング

「えー、全員の回答が出そろったところで、正解発表といきましょう! レイ、お願い」


 カメラ外に待機しているレイを呼び寄せる。

 布のかかったシロップのボトルを持ってカメラの前に移動してくる。

 

『ジャカジャカジャカジャカジャカジャカジャカジャカ、ジャン!』

 

「はい。みなさんが食べたかき氷のシロップは……『ブルーハワイ』でした」


 レイが布を取り払い、正解のボトルをカメラの前に掲げた。

 花さん、SEの操作ありがとう!


「なんと『ブルーハワイ』でした!」


 一応みんな、わざとらしくリアクション取りだす。

 前列はがっかり、後列は3人手を取り合って喜んでいる。


“だいぶ前から分かってただろw”

“なんという茶番www”

“きっちりリアクションするのえらい”

“後列おめ!”

“メイメイ自信ありげなまま正解した”

“意外と当たるもんだな”



「メイメイ、ウーミー、ナギチ、見事に正解! ハルル、サクにゃんは残念でした!」


「わ~い、正解です~。ご褒美ください~」


 メイメイが席を立ってサクにゃんの横に立つボクのところまで歩いてきてしまう。


「はいはい、お座りください。ルール説明のフリップをおさらいすると」


 花さんの横に置いておいたルール説明用のフリップを取り出してカメラに映す。


「『みごと正解した人にごほうび(後日スペシャルかき氷パーティー)』ですね。今日はご褒美獲得の権利だけなので、後日をお待ちください~」


「え~そうなんですか~。しゅーん」


 悲しそうなメイメイ。

 尺がもう残り少ないから、最後のサプライズにいかないとね。ごめんね。


「はい、おーっと? なんとここでルール追加が行われる模様です。しばらくお待ちください」


 と言いながら、ボクが自分でフリップの一番下に7番目のルールを書き足していく。


「はい、追加ルール! じゃじゃん。『不正解者は罰としてシェフオリジナルスペシャルブレンドのシロップをかけたかき氷を食べる』でーす!」


「なにそれ~! 断固拒否よ!」


「コーチ、聞いてないです!」


 ハルルとサクにゃんが立ち上がって抗議しだす。


 ダメです、こういう罰ゲームはお約束ですから!


“どこからの指示だよw”

“今思いついたろwww”

“リアルタイムで手書きするなw”

“カエデの悪ノリw”

“シェフオリジナルスペシャルブレンドきたー!”

“これは死者が出るか⁉”

“さっきの反応だと口に入れる前に倒れるwww”

“やべーニオイのやつ? マジ?w”

“カエデやるやんw”

“その丸文字カエデちゃんだったのw”

“氷あるのか?”

”まさかシロップだけ直飲み?死ぬぞw”


「はいはーい。ノークレームノーリターンでお願いします。尺も残りわずかなので、2人に罰ゲームを受けてもらいながらみなさんとお別れしましょう。氷は予備のものがちゃんとあるので、もちろん心配いりませんよ」


「はい、こちらにプレーンの氷を用意してあります」


 レイがお盆に乗せて予備の氷を2皿持ってきてくれる。


「そんな心配してないわ! いやよ~! 食べたくない~!」


「コーチ……あれは……許してください……」


 不正解者2名は涙目で罰ゲーム中止を懇願する。そして対照的な正解者組。


「さっちゃん……生きてください……ですわ」


「ハルちゃん、シェフのスペシャルブレンド食べられていいな~」


「あーし……私も、せっかくだからスペシャル食べて見たかったな~。残念♡」


 メイメイはたぶんホントにうらやましがっている節がある。でもナギチ、煽るのはやめなさい。


「そんなに言うなら代わってよ!」


 ハルルが叫ぶ。


「はーい。罰ゲームは交代できませーん。それじゃあ2人とも、プレーンの氷とスプーンをもってー」


 レイに氷とスプーンを配ってもらう。


「じゃあ、この濃い緑色をした謎のスペシャルブレンドシロップを……」


 キャップのフタを開け切らないようにギリギリまで持ち上げてから、一旦自分の鼻をつまむ。司会が続けられないほどの被害を受けたらまずい……。


「ふぉれでは、シロップをかけまふ」


 ちょっとだけね。

 氷がやばい色で染まっていく。

 これ食べていいやつ? ホントに健康に害はないやつ⁉


“やべえ色w”

“なんかもうコケじゃんw”

“何入れたらこうなるんだよwww”

“下手したら死ぬぞw”

“下手しなくても病院送りの可能性wwww”

“あかん、メンバーが2人減ってしまうwww”

“罰ゲームの域を超えてるw”

“ホントにいくのか⁉”


「それでははりきって、実食!」


 ついうっかり、鼻から手を放してしまった。

 うわっ、臭っ!

 マジで大丈夫かな……。


「氷にかかると、臭いはそこまで……」


「空気中の臭いほどでは……」


 おや? 2人の反応が?

 いける、のかな?


「さあ、まずは一口食べてください!」


 時間がないので強めに促す。


「倒れたら責任取ってよねっ!」


「サクラ、いきます!」


 2人は目をつぶり、同時にスプーンを口に入れた。


 どう?


 目を閉じてモグモグしたままノーリアクションの2人。


 反応なし? 大丈夫? まさかそのまま気絶した?


「「おいしい……」」


 ハルルとサクにゃんがハモるようにつぶやく。


「えっ、おいしいの⁉ マジ⁉」


 素でびっくりして声を出してしまった。

 あの悪臭でおいしいとは、どういうことなんだ……。


「シェフのスペシャルに間違いはないんです~」


 メイメイがカメラの正面に仁王立ちになり、大胆に宣言。

 ダイヤモンド会員の信仰心半端ないな。


「あー、えっと……シェフ、ありがとうー! また次回の生配信をお楽しみにー。ご褒美動画は後日アップしますー」


 強制的にエンディングへ。


「ほら、みんなもアイサツ!」


「かき氷おいしかったです~。みんなもかき氷食べましょう~」


「初かき氷おいしかったですわ。また次回お会いいたしましょう」


「今日の私、かわいかった?」


「えっと、サクラ……だまされたのでしょうか。コケかき氷おいしかったです……」


「シェフおそるべし……。ごほんっ! 失礼しました! みなさん、今日の配信は楽しんでいただけたでしょうか? また次回の配信でお会いしましょう。以上、≪The Beginning of Summer≫でした~!」


 首をひねりながらも、役割を思い出したハルルが配信を締める。


 お疲れ様ー。


「いやー、あの臭いで味がおいしいとはびっくりだったね」


「いきなり罰ゲームを追加したりして! 性格悪いわよ!」


「ごめんて。盛り上がるかなーと思ってさ」


「コーチひどいです。サクラの鼻が取れたら責任取ってください!」


「はいはい、これからも罰ゲームは必ず追加していこうかなーって今のうちに言っておこう。ほら、配信終わってもコメントけっこう来てるよ」


“ばいばーい”

“最後の謎の罰ゲームの2人うけるw”

“おいしいかいっ!”

“また次回!”

“ノシ”

“試したいからスペシャルブレンド売ってくれw”

“ちーちゃんかわいいな”

“ハルルしか勝たん”

“カエデ普通に最後まで司会してたなw”

“ウーミー結婚してー”

“なぎさのキャラ変について語る配信しよう”

“語りたいw”

“語るべき”

“あのキャラは許されるのか”

“前よりはかわいいけどな”

“没個性?”

“にじみ出る個性w”

“ノシ”



 みんなそれぞれ関心どころがちがうんだなあ。

 でももっとメイメイの話もして!

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