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第23話 限界チャレンジ1~シェフオリジナルスペシャルブレンド?

 5分ほど≪初夏≫のみんなでフリートークをしてもらっている間に、ボクとレイは大急ぎで準備を進める。


 うーん、流れはこんなもので良いかな。


----------------------------

1.事前に用意したシロップ数種類のパッケージを見せて、その中から正解を選ぶ方式にする。

2.チャレンジ前に全員目隠しをする。

3.全員同じ味のかき氷を用意し、一斉に試食タイム。

4.目隠しをしたままフリップに回答を書く。

5.正解発表!

6.正解した人だけがご褒美獲得! 後日スペシャルかき氷パーティーの動画撮影に参加できる。

----------------------------


 レイ、この流れでどうかな?


(良いと思います。目隠しを外してから回答を書くと、舌の色で正解がわかってしまうかもしれないですから)


 さすが、わかってるねー。

 あと、目隠ししたままフリップに文字を書くのって難しいから、変な字になっておもしろそうっていうのもある。

 レイのほうの準備はどう?

 こっちでルール説明なんかをしておくから、まだ猶予はあるけど。


(シロップはイチゴ、メロン、レモン、アンズ、ブルーハワイ、シェフオリジナルスペシャルブレンドの6種類用意できました。あとは今、予備の氷を削ってもらっているので数分でそちらに戻れます)


 最後のスペシャルブレンドって……。

 やばそう?


(ええ、経緯説明をしたら、シェフが笑いながら、「罰ゲーム用に」と調合してくださったものです)


 罰ゲーム用ね。OK!

 あとよろしくね!


 ボクは作った流れを簡単にルールとしてフリップに書き起こした。

----------------------------

・全員目隠しをしてかき氷を食べて味を当てるゲーム

・6種類のシロップの中から選択する形式

・シロップは全員同じ味にする

・目隠しをしたままフリップに回答を書く

・みごと正解した人にごほうび(後日スペシャルかき氷パーティー)

----------------------------


 よし、これでいいかな。

 フリップを振って、ハルルを呼びよせる。


「あ、かき氷の準備ができたみたいです。なんですかこれ? 今回のチャレンジのルールをもらったのでみんなで確認しましょう」


 ハルルはボクからフリップを受け取りながら、話を続けていく。


「はい、今回のルールはこんな感じです! カメラさんフリップに寄れますか? 皆さん見えてますか?」


“見えてるよー”

“丸っこい文字w”

“独特の字体で読みづらいなww”

“丸文字女の子っぽくていいね”

“全員同じ味を食べるのか、了解”

“目隠しすると味がわからなくなるからなあ”

“かき氷のシロップって全部同じ味じゃなかったか?”

“そうなん? 当てられなくない?”

“最近のは香料を足してるから香りが違うのもあるらしいぞ”

“へー知らんかったわ”

“ためになる豆知識”


 ボクの書く文字って丸文字だったんだ……。

 最近手書きした文字を人に見せる機会がないから、ぜんぜん気づかなかったよ。


(わたしはかえでくんの手書き文字好きですよぅ)


 ん、ありがとう?


(あとでそのフリップは回収して部屋に飾りますね)


 やめなさい。

 ルール把握も終わっちゃうからそろそろ……。


「おまたせしました」


 レイ(実物)が大きな保冷バッグを抱えて帰ってきた。


「お疲れ様! ありがとう!」


 ハルルに準備ができたことを知らせる。


「はい、みなさ~ん! かき氷が到着したみたいです! お待たせしました。これから始めていきますね」


 ハルルの宣言に合わせて、ボクとレイが各自のイスに付属した小さなテーブルの上に、シロップのかかっていないかき氷を置いていく。


「わ~、かき氷です~! おいしそう~!」


 メイメイが小さく手を叩きながら喜んでいる。

 でも、シロップかかってないから、ただのプレーンの氷だよ?


「これが目隠しですね。いろんな種類がある……」


 サクにゃんが自分のテーブルに置かれた目隠しと、他のメンバーのところに置いてある目隠しを見比べている。


「ホントね。ネコ、イヌ、ウサギ、ヒツジ、カエルみんなバラバラね」


 ナギチがイヌの目隠しをつけながらうれしそうにしている。


「ナギチ待って。まだシロップの選択肢を見せてないからまだ目隠しつけないで」


「あ、そっか。ごめんね。カエちゃん、前が見えないから自分で外せないよ~」


 そんなわけあるかいっ!

 と思ったけれど、カメラの前で雑なツッコミをして炎上は避けよう……。


「しかたないなあ。ボクが取ってあげる。はい、これで良い? あ、髪がちょっと乱れて……はい、これでよし、と」


 目隠しを取って、若干跳ねた髪の毛を手櫛で撫でつけてあげる。


「カエちゃんやさしいんだ~。ありがと~♡」


 ナギチが猫なで声を出しながら、ボクの手をギュッと握ってくる。


“唐突に始まった握手会”

“カエちゃんそこ代わりなさい”

“ナギチそこ代わりなさい”

“あら~ナイスですね~”

“かえでちゃんの登場ありがたし”

“一瞬みんなの目が怖かった”

“なになに?”

“握手のお礼にとりあえずギフト投げておきますね~”

“今のナギチなら握手したい”

“推し変か? お?”

“箱推しだからセーフ”


 ちょっと空気! みんなちゃんとして!


(今のはかえでくんが悪いです)


 ボクが悪いの⁉ それって理不尽くさくない⁉


(今のなぎささんは無敵なので)


 無敵のナギチ! ああ、なんかピッカピカだもんなあ。

 みんなごめんよ……。



「はい、若干のハプニングもありましたが、準備が整ったようです」


「シロップはどれですの? イチゴ、メロン、レモン、アンズ、ブルーハワイ……シェフオリジナルスペシャルブレンド?」


 さっそくウーミーがシェフオリジナルスペシャルブレンドに食いつく。


「シェフのオリジナルですか~。かき氷のシロップは私もお目にかかったことがないです~」


「え、っと、今回の対決用のスペシャルブレンドらしいよ、ね、レイ?」


「そうです。他の味もすべてシェフのオリジナルですが、こちらのスペシャルブレンドだけは事前にみなさんに香りを確認していただきます。フタを開けて嗅いでみてください」


 レイが淡々と説明する。罰ゲーム用であることを伏せて。


「な、なんですの……これ……うっ」


 フタを開けた直後、目の前にいたウーミーが涙目になる。


「みっちゃん、サクラにも……うげっ、なんですかこれ……」


 近寄っただけでサクにゃんが顔を押さえてよろける。

 辺りに充満する、という感じではないけれど、近づくと鼻の奥にダイレクトアタックしてくるような薬品臭。何この臭い……漢方⁉


「ちょちょちょっと待って! ストップストップ! マネージャーストップ! これは一旦封印します!」


 やばそうなので急いでフタを締める。

 ねえ、これ……刺激臭でこの後みんな倒れたりしないよね?


「私まだ嗅いでないです~。シェフのスペシャルください~」


「ダメッ! 配信が終わってからにしなさい!」


「しゅん……わかりました……」


 メイメイが悲しそうに肩を落として席に戻っていく。


“ほんまもんの放送事故w”

“異臭で体調不良www”

“あ~かえでが泣かした~”

“マネハラ~”

“先生に言ってやろ~”

“サクラが倒れそうになってたけど、スペシャルやばそうw”

“臭いでバレるから実質5種類”

“食べたら死者でそうwww”

“限界チャレンジってそっちwww”


 しまった。

 いつものノリで……泣かせてないから! 頼む、炎上しないで!

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