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第21話「神界からの最終通告。」

──天界・神々の会議場。


「フランデルの介入で、世界に“芽が出た”らしい。あの、昔消したはずの向上心……まさかまた、芽吹くとはな」


無機質な声が、神々の間に響く。 長く伸びた机の奥、天界監査部の神官たちが冷たい光を帯びた書類を次々に読み上げていた。


「感情の揺れ、夢を語る子ども、魔法の共鳴……最近、静かだった世界がざわついてる。そして一人──“ロルク”って青年が、明らかに自力で動き出してる。抑えたはずの芽が、勝手に伸びた感じだ」


「つまり、変化の“気配”だけは出てきたってことね?」


無表情の神が言い放つ。


「気配だけで進展と言えるのか。結果を伴わない芽吹きは、ただの錯覚では?」 「まだ“意志”とは呼べない。無意識の反応かもしれん」


「しかし──」 と、別の神が声を上げる。


「このまま様子を見れば、芽は花になるかもしれない」


「では逆に問う。我々が待つ理由は何か?」 「滅ぼしてから、また蒔けばいい」


「効率は、再創造のほうが明らかに高い」


「それにしても……なぜ“あの者”を地上に降ろしたのか」 「神王レウスの独断だったらしい。記録は隠されてるけど……あれはきっと、“一か八かの最後の置き土産”だったんだろう」


──静寂。


「ならば、提案する」


中央の玉座から、老神が重く声を落とした。


「“リセット”案を正式に発動する。猶予は、あと一周期──」



──地上。


その頃、フランデルは朝のパンを焼きながら、耳をピクッと動かした。


「……ん? 今、ちょっとヤバい会話が上から聞こえた気が……」


ロルクが怪訝な顔で振り向く。 「なに? また神界ラジオ入ってたの?」


「ノイズ混じりで“最終通告”って言ってたっぽい」


「なんでそんなこと笑って言えるの!?」


「いや〜、リセットされるのも芸術的な散り際かもしんないし?」


「だからそういうとこだよ!!」



その夜、フランデルは空を見上げた。


「……さて。向こうさん、本気になってきたか」


掌をひとつ広げる。


「けど、こっちも“芽”を信じてるからさ。簡単には終わらせないよ」


夜空には、星がいくつも輝いていた。


それぞれが、地上にある“可能性”のように、小さく強く、瞬いていた。



次回予告:「私たちが変えた、世界のカタチ。」


芽吹いた感情、繋がり、夢、そして“意志”。 小さな変化が、人々の中に確かな形となって現れ始める。 選ぶのは、私たち自身──。


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