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ゾンビがいる終末世界を生き抜いた最強少女には異世界はぬるすぎる  作者: 鳥助


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70.浄化魔法の付与

 この町ではネクロマンサーは出現していないらしい。ネクロマンサーの討伐依頼がクエストにはなかったし、そんな噂も冒険者ギルド内ではまるでなかった。


 でも、本当にいないのかは分からない。そこで私たちはしばらくこの町に滞在して、本当にネクロマンサーがいないか確かめることになった。


 私たちは外に出て、魔物がネクロマンサーになっていないか調べ。クガーたちには町の中にネクロマンサーがいないか調べてもらうことになった。


「魔物討伐の時間ですね。沢山戦って、今よりも強くなってみせます!」

「それにちゃんとお金も稼がなくっちゃね。そうじゃないと、生活ができないから」


 森に入った私たち、意気揚々とフィリスが先頭を行き、その後をセシルが続く。今日は町に近い森を探索することになった。


「この森にはスケルトンが蔓延っているみたいですね。今まで戦ってきたゴブリンよりも強いみたいですけれど、今の私たちなら問題ありませんよね?」

「さぁ、どうだろう。スケルトンがどれだけ強いのか、私たちは分からない。まずは一戦してみないと」

「ランクで言えばスケルトンはDランク。それで私たちのランクはネクロマンサーの騒動で一つ上がったからDランク。丁度いい相手だとは思うけれどね」


 先のネクロマンサーの騒動で私たちの冒険者ランクはDまで上がった。このDランクは一般冒険者と言われるランクらしい。これで幅広いクエストを受けられるようになった。


 Dランクでの初めてのクエストはこの森にスケルトンの集団が現れたので、それを殲滅するというクエストだ。


「集団にネクロマンサーがいれば当たりですね。なんてったって、スケルトンはアンデッド。ネクロマンサーにとっては良い戦力でしょうから」

「また前のゴブリンのネクロマンサーと同じで仲間を集めている可能性もあるからね。集団を虱潰しに当たっていけば、ネクロマンサーに出会えるでしょ」

「……そう簡単にはいかないと思うけど」


 もしネクロマンサーがいたとしても、今回も前回と同じような事が起こるかは分からない。もし、不死王が単純な思考の持ち主なら話は別だが……。


「でも、今回の戦いは私たちはあまり活躍できなさそうですね。相手はアンデッドですし、私たちの力では倒せません」

「そうねー。できることと言えば、足止めくらいかしらね」

「それならいい方法がある」

「えっ、本当ですか?」

「どんな方法かしら?」

「浄化魔法の付与、という付与魔法がある」


 聖魔法は攻撃、防御、支援、回復、浄化の五大系統の魔法が使えるが、もっと細分化していくと他の系統の魔法もある。それが、浄化魔法の付与魔法というものだ。


「それって浄化魔法の力を貰えるってことなんですか?」

「まぁ、簡単に言えばそういうこと。浄化魔法をその人に付与させて、その人の攻撃に浄化魔法を乗せることができる」

「聖魔法ってそんな魔法もあったんだ。全然知らなかったわ」

「この浄化魔法の付与は上位職の魔法らしく、聖女だからこそ使える魔法らしい」

「ここに来て、さらに聖女の恩恵に預かれるとは……。ユイさんが仲間で本当に良かったです」


 フィリスが私に向けて手を合わせて拝み始めた、なんだか気持ち悪い。


「じゃあ、私は杖で敵を叩けばいいの? 魔法には浄化魔法の効力とか着かないんでしょ?」

「いや、魔法にも浄化魔法の力が付与される」

「えっ、ということは使った魔法が二属性になるってこと!? それって、凄くない!? なんか、ロマンを感じるわ!」


 浄化魔法の付与の良いところは、使った魔法にもしっかりと力が付与されることだ。これによって、元の魔法の力が損なわれずに、浄化魔法の特性だけが付与された特別な魔法になる。


「ユイさんが浄化魔法の付与をしてくれれば、私たちはアンデッド戦でも戦力になるんですね」

「そういうことだから、しっかりと働いて」

「良かったー。今回も足手まといになるんじゃなかって心配してたから。でも、集団と戦う前に一度試してみたいわね」

「そうですね。どこかにはぐれスケルトンはいないでしょうか?」

「任せて! 新しい魔法を習得したの!」


 へー、新しい魔法? いつの間に、そんな魔法を習得したんだ?


 すると、セシルは杖を両手に持って集中し始めた。


「我に秘められし魔力よ、広大な空間にその手を伸ばし、求めし答えを導け。サーチ!」


 杖から光が放たれると、それは周囲に薄く伸びていった。セシルは目を瞑ったまま動かない。私たちが見守っていると、ゆっくりと目を見開く。


「あっちの方角、二百メートル先にスケルトンが四体固まっているわ」

「おお、凄いです! そんなことが分かるんですね!」

「へー、いい魔法だね」

「ふふっ、そうでしょ? これで探索とか楽になると思うわ。さぁ、行きましょう」


 セシルが上機嫌でスケルトンがいる方角に向かって歩き始めた。その後を私たちが追って行く。


 ◇


「いたわ、スケルトンね」

「しっかりと四体いますね」


 その場所に移動すると、スケルトンがいた。まだ、こちらには気づいていないみたいで、違う方向を向いている。


「じゃあ、浄化魔法の付与をするよ。剣と杖を出して」


 二人が剣と杖を差し出すと、それに向かって手を向けた。


「神よ、悪しき者を払い、迷える魂の導きの力をこの者たちにも与え給え」


 私の手から光が溢れだし、それは剣と杖を包み込んだ。


「あ、なんか分かります。今、この剣に力が宿ったことが」

「不思議ね、これで私が使う魔法に浄化魔法が付与されるんだから」

「私は見ているから、二人で倒してきて」

「任せてください。あの程度、パパッとやっつけてきますよ」

「まだ使っていない魔法があるから、それを見せてあげるわ」


 私なら問題なくスケルトンを倒せると思うが、鍛えるために二人で行かせる。先に出て行ったのは、セシルだ。


「漲る魔力よ、砕けぬ石にその身を変え、敵を穿つ衝撃を放て。ストーンバレット!」


 詠唱をして杖をスケルトンに向けると、杖の先から尖った石が無数に現われて飛び出していった。背後を取られた二体のスケルトンは避ける暇もないまま、無数の尖った石を食らった。その強い衝撃で体はバラバラにされ、一瞬で地面に散らばってしまった。


「次は私ですね!」


 セシルが魔法を打ち終わると、今度はフィリスが出て行った。素早い動きでスケルトンと距離を詰める。フィリスを視界に捉えたスケルトンたちは持っていた剣を振った。


「はっ!」


 その剣を双剣が弾く。だが、弾かれた剣がすぐにフィリスに振り下ろされる。その剣を避けるため、フィリスは後ろに飛んで避けた。そして、剣を構える。


「剣技『スラッシュ』!」


 双剣を交互に振ると、三日月状の剣気が放たれた。それは真っすぐスケルトンに飛んでいき、接触した瞬間――スケルトンの体がバラバラにはじけ飛んだ。


 四体のスケルトンは体をバラバラにされ、地面に転がっている。アンデッドだけど復活する気配はない。付与した浄化魔法が正常に働いたお陰だろう。


「やったわね! それにしても、フィリスもまだ力を隠していたのね」

「今までは自分を鍛えるために近接戦闘をしてきましたからね。剣技を解禁したんです。セシルさんは土魔法も使えるんですね」

「まぁね。風魔法だけじゃないってところを見せられて良かったわ」


 セシルもフィリスも別の力を持っていたことは驚いた。それに戦闘が様になってきたように思える。これだと、足手まといにならずに済みそうだ。


 ……別に信用している訳じゃない。ただの仕事のパートナーとして、役に立ってもらわないと困るからな。


「ユイさん! どうでしたか、私の剣技は! 初歩の剣技ですが、役立ちそうですか?」

「私の土魔法も見た? ちゃんと敵を見て、適性のある魔法を選んで使っているってことは分かってくれる?」

「……まぁまぁだね」

「おお! ユイさんにしては優しい評価をもらいましたよ!」

「ユイのまぁまぁは凄いって最近分かってきたわ。これは、ちゃんと私たちを認めてくれているって証拠ね!」


 やっぱり、口を開けばうるさいな。やっぱり、まだ認められない。

お読みいただきありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
ここに来て、仲間が勝手にレベルアップだとぅっ!? Σ(゜_゜) まさか、この小説は仲間のレベルアップがオート設定なのか!? イベント無し?
二人にも三百万オールの武器が欲しいですね・・・この地でのお楽しみは何か気になってます
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