7月 夏 いんびてーしょん
あの夏に咲いた君の笑顔に 第5話
7月になった。蝉が鳴き始め、本格的な夏の到来を知らせる。彼女とは大学内で会えば、簡単な会話をするくらいの仲になった。私たちの関係を言語化するとしたら、友達が一番適しているであろう。そして、会話を重ねるごとに、彼女を友達以上のものだと思うようになっていた。彼女が私をどう思っているかは分からないが…。
弊学はあと10日で夏休みに入る。それまでに、何とか関係を一歩進めたいところである。だから、試験週間でバタバタと忙しくしているが、デートの誘いをしてみようかと考えていた。決行は、今日、金曜の3限の終わりだ。この時間は運良く、彼女が他の女子と群れてない瞬間であるため、それらの目を気にせず話しかけられるのだ。
終業の時間になった。初めて話しかけた時と、同じくらい緊張している。手の震えが止まらなかったので、ポケットに突っ込んで、彼女に話しかけた。
「ちょっと話があるんだけど、こっち来てくれない?」
彼女はただ事ではないことに感づいたのか、神妙な面持ちで頷いた。私たちは講義室からすぐ近くの、A棟とC棟を繋ぐ渡り廊下へとやって来た。
「話って何?」
彼女が期待しているような様子で伺う。
「単刀直入に言うと、夏休み、どこか一緒に出かけない?」
『デート』なんて言葉を使うのは気恥ずかしいので、直球な表現は避けて誘う。
「それはデートってこと?」
彼女が悪戯な笑みで応える。お見通しだったか…。
「それ、分かってて言ってるよね?」
「どうだろうね?」
またも、悪戯な笑みで応える。だが、その笑みの奥底には、純粋な喜びの感情が見て取れた。
「とにかく、一緒にデートしてくれませ・ん・か!」
私は、半ばやけくそで正直に誘った。
「よろしくお願いします。エスコートは、任せたよ。」
彼女が今までで一番の笑顔で言った。
最後の方が気に食わないので後で書き直すと思います。