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あの夏に咲いた君の笑顔に  作者: 凪野 祐介
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6月 春 適当?

あの夏に咲いた君の笑顔に 第4話

 私は『適当』という言葉が好きだ。座右の銘を『適当に生きる』とするくらいには好きだ。ではなぜ『適当』という言葉をここまで偏愛しているのかというと、この言葉が相反する意味を持っているからである。辞書で引くとこう書いてある。

① 度合いがちょうどいいこと

② でたらめであること

よって、『適当に生きる』という言葉の意味は、ときには真面目に、ときにはサボりながら生きていきたいという意味になる。良い言葉だと思わないかい?

 2限目の終業時に彼女に話しかけることにした。講義中、心臓の鼓動が周囲に聞こえるのではないかと思うくらいに緊張していた。手が震えて手汗が滲み出てくる。大丈夫、大丈夫、適当に喋れれば良いから、適当に…。

 時間が来た。講義室から人が居なくなるのを待つ。彼女が足早に講義室を去って行ったらどうするのか?否、話しかけられるのを待つかのように、まだ講義室に残っている。これは予測していたことだった。2人と教授以外いなくなる。私は彼女の方へ一歩一歩、しっかりと床を踏みしめて歩み寄る。そして、彼女の傍へと行き、喉の奥から絞り出すように声を発した。

「3年の学科、どっちにする?」

「ん?」

彼女はイヤホンをしていたようで私の声が聞こえてなかった。あれ?話しかけて欲しいんじゃなかったの?いや、仕切り直してもう一度。

「3年の学科、どっち選んだ?」

「電気にしました。どうしてですか?」

彼女は本当に困惑した様子で聞いてきた。だが、理由は前から決まっていたため、私は堂々と応えた。

「気になったからだよ。」

「そうなんですか…。」

彼女は照れながら応える。何か変な空気になったため、ありがとうと言い残しその場を去った。

こうして、彼女と自分なりに『適当』な会話をすることができた。度合いが良いのかでたらめなのかは分からないが…。

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