エピソード7 クソアキヤロウ
11月06日 月曜日
やっと晴れた。
土日はやる気が出なさすぎて、びっくりさせられた。家でひたすらゴロゴロしてた。おいしいご飯はアニキが準備してくれて、洗濯とお片付けは私が。本当に寒すぎるので、モコモコの服達をクローゼットの圧縮袋から取り出し、洗濯機に入れる。
そういえばずっと曇りでずっと雨だった、気持ちはダウンしていく一方で、新しいパズルを開けた。少し遊んでたら、眠たくなったので、ポッドキャストをかけて、アニキのコントローラー、カチカチを聴きながら何度も眠りについた。
世界の終わりが来るのなら、きっとこんな感じだ。全てに無気力で、何もできない。
それでも今日はやっとマイナスだったやる気が20まで回復した気がする。
授業はないから練習をしていく、明日の授業とコンサートの準備。携帯のアルバムには秋模様の写真がいっぱい増えていく。青い空にぴったりな紅葉たち、本当に何枚撮っても足りない。長かったけど短く感じた一日が終わっていく。外はもう真っ暗。
日本はどうか、よく知らないけど、ドイツの街頭は同じ通りでも、街灯の色がそれぞれちょっとずつ違う。それに木が合わさると本当にもう、生きている芸術品。
息を飲むように美しい。
こんなに静かに生命力を感じれるのは、きっとこの組み合わせだけ。疲れが溶けていきそう。カシャ、カシャ。角度を一度変えてもう一回、カシャ。雨が降ってたみたい、全然聴こえなかった、駅を目指してホームタウンへ。
駅のドラックストアで、携帯のメモに書いた品々をカゴに入れていく。イヤホンには大音量でNEEの曲が流れる。
今週はもう少し頑張れますように
。
。
。
11月07日 火曜日
やっぱりイケメンは生活必需品、やる気が出る、ありがたい!!
男はサプリメント、こんな言葉をどっかのYoutuberが言ってたのを思い出す。はい!その通りでございますと、激しく同意しかできない!
本当は教授の授業に行くために、朝からバタバタ支度をしていた。でも彼が風邪になってしまって、取り消しに。せっかくいい感じに曲が仕上がったのに、ちょっと残念。それで、本来ならZoom Mettingに参加しないとダメだけど、ついでにサボっちゃいます。ちょっと怒られるだけで済むなら、あんなつまらない会議に出るもんか。
そして今日はまた、授業なしの気軽練習日に変身した。電車は当然のことごとく、またまたまたカオスだった。
とりあえず抹茶ラテ補給。
年下くんと時間が、たまたま合ったので、一緒にラテを飲み、どうでもいいことをゲラゲラ笑いながら、お話をしてた。いい声をしてる、日本語うますぎる。興味はめっちゃ正直に言って、ない。ペロっと行きたいところだが、ここはグッと堪えて、とりあえず様子を見よう。じゃなきゃ、歯止めが効かなくなるのが容易に想像できた。
そして学校へ、四点五練習を終え帰宅。アジアスーパーで醤油と鯖と食材を購入。おいしい晩御飯を食べ、おすすめされたドラマを見た。声を出しながら笑い、涙がボロボロ溢れるのを、手のひらで拭いながら、楽しんだ。最高のドラマ、明日また続きみよう。
そしてドラマをおすすめされた年下くんにありがとうのメッセージを送った。久々に心が踊った。感想はただそれだけだ。
いい作品はこんなに人を魅了し、癒す。自分にもそんな力があるのかな、誰かのためになれるかな。もしそうだったら嬉しい。今週もがんばれそうだ!!
。
。
。
11月08日 水曜日
晴れるとやっぱり気分が違う。青い空に秋模様は、まるで落ち込んでいる自分を励ましてくれるようだ。
早めに授業するところへ行き、ちょっと練習しよう。予定時間より早く出て、駅へ向かう。
でも電車はカオスどころか、走ってすら居なかった、いや全然笑えない。それでも幸運的に、たくさん駅の止まる、一番遅い電車が走っている。授業に遅れない為に早めにいこう。でもそれまでまだちょっと時間があるから、とりあえず駅付近のカフェへ。本当に最近はカフェに救われてばっかりだ。この世界にコーヒーが存在しなかったら、自分は今どこにいるのだろう。
今日は防寒対策をし過ぎて、だいぶ厚着だ、ほんじゃ、アイスアメリカーノに決定。ほぼ満席のカフェでは大きめなテーブルの、イケメンの真正面の席が空いていた。ラッキー、やっぱりここのコーヒーは美味しい、でもイケメンがいたらもっとうまいもんだな。
意外と電車は順調で、予定より早く教室に付けた。半練習でもきっとできたのだけど、集中力のカケラすらなかった。自分に鞭を打つことも出来たけど、今のメンタルでは、鞭どころか、これでもう精一杯だ。
ただただ携帯とカフェインに縋る大人は惨め。
そんなの誰よりもわかってる、でもそれがこの時期を乗り切るのに必要だった。
やっぱり、この仕事は手応えもやり甲斐もない、でも楽。それで本当にいいのか、お前?
いつもそう、考え過ぎるぐらい考えるけど、情熱を注げる仕事と居場所が欲しい、見つかるかな? 今のこのままじゃ、絶対に見つからない。 君と出会ってから、これまでと、これからをよく考えるようになった。アフリカにでも象を観に行ってから、人生の冒険をするよ。
心ここにあらずで、仕事を無事終え、帰る。最後の生徒が病欠になったので、ひとつ前の電車に乗れた。イヤホンで流れてるのはやっぱりNEEの曲だ。やる気皆無皆無皆無モードは、まだまだ続きそうそうだけど、とりあえず頑張れる事をやろう。
エイエイオー!!明日のシュークリームが楽しみだ!! 例のドラマにまた泣かされた。
。
。
。
11月09日 木曜日 雨
昨日夜、飲んだGinのせいで、喉がガラガラだ。とりあえず支度をし、今日もゆっくり走る電車で通勤、天気は相変わらずだ。
少し早く着いたので、お弁当を食べてからお仕事へ。いつもの小ホールで授業をしていく、今日は珍しく窓際の端に寄っていた。でも真ん中に動かす必要もなかったので、こうすれば、空を眺めながら授業できる。さっきの雨は嘘だったみたいに、空はまた青になった、そしてまた曇る。
仕事終わりに、待ち合わせ場所で、シュークリームを取りに行ける住所が送られて来た。楽しみだ!アニキも喜んでくれるといいな!
当然、外はもう真っ暗、駅まで歩いても行けたけど、ちょうど来たバス、シティーエクスプレスに乗った。でも、本来行きたい駅には止まらず、一瞬メッチャ焦った。すぐに携帯を出して調べる。終点のバスも止まる駅は、電車も通る駅で、ホッとした。でなければ、大変なことになっていたし、電車も乗れず、シュウクリームの受け取りも待たせちゃう。
本来ちょうど、間に合うはずなのに、なんとびっくり電車が遅れ始めた。そして、私はすぐに連絡を入れた、申し訳ないですが、15分ぐらい遅れるの受け取りでお願いしますと。そして、焦りながらも、じっと座る、イヤホンにはNEE。他人の遅刻は、全然気にしないのに、人を待たせるのは全然好きじゃない、不安でアセアセする。
まー、なんて意地悪なのでしょう。電車は、それを知っているかのように、さらに遅れる。そして、何度も追いメッセージをし、たくさん謝った。でもお相手の方はとても優しく、焦らずゆっくり来てくださいとお返事をくれて、ホッとした。
待ち合わせの駅に付き、ダダダダっと階段を駆け上がる。携帯は電池切れでマップが使えない。それでも大体の場所はわかっていると思ってた。でも違った、何度も同じ通りを徘徊して、焦る。ヤバい、ヤバい、ヤバい! 時間だけが経っていき、雨が強まる。
通りがかりのお姉さんに、道を聞き、”あっちだよ”っと指を差しながら、方向を教えてくれた。
道理で見つからないわけだ、逆方向だった。いや、今はアハー体験をしている暇がない、急いげー!
信号は赤、だけどこんな時こそ、焦っちゃダメ。アニキがそういつも言ってくれてるのを思い出し、足踏みしながら、緑を待っていた。そして雨の中傘も刺さず、夜の街を駆け巡る。うん、ちょっとロマンチックかも。ドラマのシーンになりそうだ。そして、結局は予定時間より30分遅れで受け取りをした。
とても優しい女性の方が出迎えてくれた。怒られる覚悟できて、慌てて”こんな寒い中待っていただき、ありがとうございます”、”シュークリームずっと楽しみに待っていました”と何度も遅れたことにお辞儀しながら誤った。
”いえ、私も来たばかりなので、大丈夫ですよ。代金ちょうどいただきました。おまけにクッキーシューも入れておきました、お口に合うと嬉しいです”
ウー、優し過ぎる、ありがとう。そう心の中で唱えながら、ハグしようとしてた、自分をグッと戻した、おっと危ない。見知らぬ人に抱きつかれたら、きっとびっくりしちゃう。
”帰ったらドリップコーヒーと一緒にいただきます、待っていただき本当にありがとうございました”、そして、バックでペコペコしながら、相手を目で見送り、駅のホームに降りていった。最寄駅は逆方向なので、乗換の駅にまず向かう、子供靴みたいにキュッキュ、なっているのは雨水のせいだ。
白い箱にはお店のロゴシールと雨が数滴、中には幸せがたっぷり詰まった、4種類の味がある。疲れ切って、お腹も空いているけど、気分は上々洋々だった。早く帰ってアニキと一緒に食べたい。
雨は続く、手荷物がいっぱいで傘を刺すのを諦めた。洋菓子の入った箱、パソコンを入れていたハンドバック、肩には、軽くは無い教材入りのトートバックが、それと戯れて言うことを聴かないマフラーは何度巻いても、風でまた後ろに飛ばされちゃう。
やっと家に着いたのが、もう9時だった。アニキも帰って来たばかりで、サッと一緒に簡単な夕食の準備し、食べた。そしてお待ちかねのスイーツタイム。
秋の憂鬱が一瞬で吹っ飛ぶ、美味しい美味しい味だった。最高!!また今度も注文したい。
。
。
。
11月10日 金曜日
スイーツの力はやっぱりすごい、また元気になれた。朝は早めのカフェへ行き、ゆっくりしてから、スーパーで食べたいグミを見つけて、嬉しかった!それからは駅へ、仕事に向かう。
天気もこんなに悪いのだから、病欠になってしまう生徒さんが増えている。それで今日はいつもよりだいぶ早く帰れるから、飲みにでも行こうかな。無性にビールが飲みたい!
飲み友を誘って、彼も最近仕事で疲れてて、ビールが飲みたいと言ってた。
天気は相変わらず悪い、良くなるのはほんの一瞬で、また悪くなってしまう。今のメンタルにぴったりだ。
やっぱりやる気はないし、脳が回転してないのを、しみじみ感じる。それでもこのスキルが染み付いた体と何かを教えるのは得意みたいで、スムーズに進んで行く。
年上の彼は、本当にとっても優しい。なんでも直してくれるし、なんでも聴いてくれる、でも異性的な魅力感じない、びっくりするぐらいボディータッチもなく、下心が見えない。多分ゲイ、でももしそうでなければ、たまにご飯食べて、お酒飲んでだけがいい。告白されなければ、逃げ続けれるので、今はそのままの関係がいい。
でもどうやら、伝えた日付を土曜日と勘違いしていて、曜日間違えて、ごめんなさい。また来週いけそうな曜日わかったら教えてね、と返事が来た。
じゃあ、仕事おわりに買い物を少しして、そのまま帰ろう。明日はカーニバルで、きっと町中騒いでるだろうから、午後か夕方に外出しよう。
またドラマを見て、ずっと泣いていた。なんでこんなに泣かされるのかな、できなかった告白が成仏してるからかな。寂しくなって、飲みに誘った。
。
。
。
11月11日 土曜日
恒例の大掃除、清潔だけが保たれるのではなく、気持ちのリセットになる。散らかった玄関、畳まずに重ねた服達、溜まった洗濯物、プラごみや段ボール、それがちょっとずつ片付いて行くのは、心のリセットになる。最近はお買い物も皿洗いもアニキに任せっぱなしだ。本当にありがとう!! 来週はもっと手伝おう。
ゆっくりお昼を食べてから、外に出る。まずは友達と本の展覧会へ。ワークショップにも参加し、売られている本や詩集たちを購入せずに眺めた。入口付近には大きな机に雑誌は工具がいっぱいあった、来客が自由にコラージュを作り、その作品たちは収集箱に入れる。そしてそれらは全てコピーされて、作品集になる。
2階ではコミックワークショップが開催されてて、一コマ描いたら次の人に回し、作品を完成していく。楽しかった!約束の時間がそろそろなので、居酒屋に向かう。
けん玉はまるでビデオが撮られているのを知っているように、どうも乗ってくれない。そして友達が撮るのをやめた瞬間に、軽やかなカタッと隣からオーと歓声が上がる。
けん玉ってこんなに楽しかったっけ?多分だいぶ酔っているからだ。どちらもお酒は強い、そして、きっと立ち飲みをしているから酔っていなかもしれない。
出される料理も美味しかったし、合計5つ生、ジンロック、キウイサワーを飲んだ。いい感じに酔って楽しい!! お店を出る頃には23時になっていた、持ち帰りされても良かったのに、本当に詰まらない、駅まで送られてバイバイされた。コイツ、ゲイじゃないなら、絶対彼女いる。ムカつくー!! メイクだけ落として、歯磨きし、そのまま寝た。今日は何も考えずに、そのまま眠そうだ。生活に振り回されるぐらいなら、アルコールでぐるんぐるんしたい、この名言を残して、今日の幕を閉じよう。
。
。
。
11月12日 日曜日
前の日にたっぷりアルコールを飲んでも、二日酔いもできない、おもんない女は朝6:30に起きた。そこからシャワーをして、いつものオートミールを食べ、支度し学校へ向かう。
快晴の秋は最高だ、太陽の光具合が夏と違う感じがする、ちょっと柔らかいような。黄色の銀杏達がそのおかげで、金色になった。私の目が惹きつけるような、まるでこの世界には美しすぎる、綺麗な金色。
シャッターボタンの何度も押し、目で見るほどの綺麗な色は携帯画面に少し色褪せて表示される。
今日はバロックダンスのワークショップがある。なのでコーデもそれに合わせて、お団子を大きい黒いシュシュで止めて、黒のぴったりトップスに、抹茶色の膝丈スカート、ターンをするとふわっとなる。そして、外は寒すぎるので、その上から白のセーター。いい子コーデの完成だ。とてもいい先生でクラスは思ってた以上に楽しかったし、自分の体が喜んでいる気がした。これから、ダンスクラスにでも行こうかな。
そして、何度かお話もリハーサルもしてた子と仲良くられたのが、とっても嬉しかった。ずっともう少し知りたかったしおしゃべりしたかった、けどタイミングが合わなくかった。お昼休憩にご飯に誘われて、まだ少しぎこちないけど、二人とも必死に会話を探し、いっぱい喋った。
“敬語じゃなくてもいいですか?”と少し勇気出して、聴いた自分を褒めてあげたい。そこで初めて歳が離れてることを知った、同い年と思っていたけど、とてもかわいいお姉さんだ。同じ趣味も多く、同じ都市に住んでいる。もっと仲良くなれるといいな。
夕方には授業が終わり、外はもう真っ暗だ。あんなに晴れてたのにまた雨がポツポツ。
そこでも同じ電車に乗って、帰る。日曜日のせいか、平日よりずっと混み合ってた駅は人だらけで、みんなそれぞれ違う方向に行こうとして、ぶつかりそうになる。入り口付近では警察が、ざっと数えても50人は居た。そしてどこかの国旗を持った少数グループの人を囲っていた。そして、昨日のカーニバル感覚の抜けていない酔っぱらい達が街をフラフラ、いろんなコスチュームをしていた。昨日は絶対に大カオスだったに違いない。
まだ時間があったので、飲み物を買いに行った。チーズとビールを、友達は発泡酒を、そしてホームで乾杯。うまい!(オイオイ、流石に飲み過ぎやって、と自分をツッコミたくなった)
昨日浴びたように飲んでた酒は後影も残さず、体内に消化されたか、体外に排出したに違いない。
そして電車は15分遅れの登場、だいぶ前の車両に行ったのに、それでも人がいっぱいで席が空いてなかった。人々をくぐり抜け、出入り口付近で立っていた。空いてる席がないかを徘徊していると、一緒に座れる席を見つけた。一等座車両と二等座車両を跨ぐ、自動ドア前の向かい合った、二つの四人席の通路側の一席ずつ。(ちょっと”の”が多過ぎて、読みにくいかも、後から図でもつけよう、びっくりマークの着いているところに座っていた。)
。。! !。。
。。 。。
それでもまだ足りなかったのだろう、その街のチームがサッカーの試合をしてた。満員電車極上版を私達は体験し、結局ホームタウンに着いたのが90分遅れだった。それでも遅すぎる時間にならなくてよかった、帰ってアニキと晩ごはんを食べよう。
飲み友からおやすみのメッセージが届いて、思わずゲッと声が出てしまった。またやっちまった。それを既読スルーする方法以外が思いつかなく、携帯のアプリを閉じ、ドラマを見た。
この恋あたためますか?
本当、今の自分に需要がありすぎる作品で、毎話毎話泣かされる。ドラマを見てウルッと来ることはよくあるけど、こんなに泣かされたのはララランド以来だ。
涙が静かに何滴も、何滴も流れて、手のひらで拭い、違う方に流れた一滴はペロッとした。”誰とクリスマスを過ごしたい?” 答えはすぐに出た、でも一緒に過ごせそうにはない。
今週は大変だったけど、それ以上に嬉しいことがたくさんあった、生きててよかった。
来週も頑張れそうです。
(やばばばばい、とでも言っておこう。火曜日にまとめて振り返りを書いているのは、もはやレーダーもクソもない、きっと電池切れで反応もしない上に、年末感漂う毎日のせいだ)