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エピソード2

09月30日 土曜日

ルイボスティーの香りがした0時25分、キッチンタイマーが鳴っているのを消し、ティーパックをポットから出した。ドイツはもう暖かい飲み物が美味しい季節になってきた、木には黄色が増え、秋が近ずいて来ているのを喜ぶ自分がいる。


昨日は25歳の誕生日を穏やかに過ごした、お昼までぐっすり寝て、近くのカフェでアニキとおいしいブランチ。食後はたまに販売されてる抹茶シュークリームを食べた、幸せ!!夜は長寿麺を食べ、素敵な一日だった。


でも最近はsms中毒が増して昨日は7時間も見てしまった、流石にそれはやばい!よね?

それをした自分も許してあげたい反面、しっかりデトックスしたいとどこかで思っている。


年末までの目標は“がんばらない”です、寒く日が暮れるのも早い季節だと、憂鬱になりやすいから、自分を大事に守りつつ、おサボりの加減も調節しつつ、To Doリストをこなして行きたいです。

クリスマスには私の大事な大事な幼なじみが日本からドイツに来てくれるみたい、本当に楽しみ!!



10月01日 日曜日

今日smsの使用時間が減ったのを褒めてあげたい!自分偉い!


でもやっぱりやる気が出ず、今日しないといけない事を明日に先延ばしした。

三食はちゃんと食べて2回昼寝をした。


あと一週間で新学期が始まる、がんばれる気が全然しない、それでも出来るだけ自分を責めない。

とりあえず生きる、明日は頑張りたい。アニキが作ってくれた厚焼き卵がおいしいかった、幸せ!



10月02日 月曜日

こんな事言っちゃいけないけど、久々に練習を開始した。バッハのパティータは思ってたより弾けて謎の一安心、こんなの先生に見られたら絶対怒られる!でも日本語わからないからいいや(笑)


そして4時間後、練習部屋を出る。バスに乗り、Sバーンに乗り換え図書館に向かった。中央駅は相変わらず人が多い、そしてどんなに治安のいいところでも駅付近には、魔法の粉で変になってしまった人達の群れが必ずある。それに見向きもせず、パン戦争している鳩達にも見向きせず、真っ直ぐにカフェへ向かう。


でもたまに思ってしまう、この人達は幸せなのか?嬉しそうに笑って踊ってるのは本心からなのか?それと生活に追われて何もかも捨てざる終えなかったのか?

それでも方法はあったはず、と勝手に思ってしまう。


英語っぽいドイツ語を話す黒人を店員さんが元気に迎えてくれた。たわいない会話を二三ラリーしてから、いつものでいいかと聞かれ。でも今日はテイクアウトでと返した、そういえばスタンプ貰うの忘れてた。


昨日は珍しく27度に上がって、アイスアメリカーノがおいしい。少し歩き、路上電車のレールがある横断歩道を右左右してから渡る。


入り口を抜け、右奥を全自動返却カウンターには今日用がないので、右側にあるとても大きなガラス張りのエレベーターへ。大きな鏡があり、ちょうどいいライト、ついつい写真が撮りたくなった。後でストーリーにでも上げよう!


そういえばアニキが’今日はOLみたいだねとコーデにコメントしてくれたのを思い出す、水色のシャツに、ピンクシロがシマシマのベストニット、黒の膝上スカートに、黒のスニーカー、肩を少し超える髪は昨日寝る時にくくったからパーマっぽい。OLと言うか学生気分だ。


二階へ着き、セキリュティー検査ゲートのイケメンに軽くハローを言い、いざ図書館へ!

一階には残念ながら用がないので、黄色階段を登り二階へ。真ん中には空中テラスがあり、一息つきたい時は新鮮な空気が吸える。そこへ向かい、さっきコーヒーのおともに、自分が朝作ったサンドイッチとナッツを鞄から出す。


そしてノートを開き、ページのタイトル欄にOktober Plan (10月の計画)を書く。脳をフル回転させて、鉛筆を走らせる、一瞬MacBookを開く効果音が聴こえた気がする。図書館を出たのは6時だった、あれから計画を書き終え、資料を探し、楽譜をコピーし、韓国語勉強の本を借りた。明日は祝日でスーパーが閉まるので、お買い物へ。


5分も歩かないうちに着いた日本街では、美味しそうな匂いがただよっていた。アジアスーパーは相変わらず人がいっぱいで、レジにはすごい列ができていた。食座を調達し、地下鉄に乗り、帰る。

地下鉄と言っても路面電車みたいで。地下に潜ったり、路上に出てみたりを三、四駅ごとに繰り返す。


おいしい夕飯を食べ終え、今日のティータイムはアニキが日本の空港から買ってきてくれた抹茶ラングドシャーをルイボスティーといただく。最高だった!そして嬉しいことにアニキが見たいデジモンの映画がドイツでも見れる。たった一回の上映、しかもOmU で。(Original mit Untertitel の略で、この場合は日本語音声ドイツ語字幕を指す)


日本の上映と同じ日付で見れるとアニキが嬉しそうに教えてくれ、映画に登場するキャラクターのあれこれを嬉しいそうに語っていた。すぐに10月末のチケットを確保し、その日のお昼にはお寿司を食べに行こうと決めた、本当にとてもとても楽しみ!!



10月03日 火曜日 

(10月04日に振り返り日記を書いた)

昨日は何もしなかった、正しくは何も出来なかった、もっと正しくは生産性マイナスな引きこもり日だった。

自分は責めたくないけど、ちょっとだけ疑問に思ってしまう。この謎に繰り返す二三日ルーティンを、情緒とやる気がこんなにも不安定なのは、生まれて初めてかもしれない、不正出血とこんなに自分をコントロールできないことに悩まされてるのは。


食べたくもないのに永遠に甘いお菓子を食べた、気持ち悪くなるまで。そしてずっと、本当にずっと携帯を見続けた。やらないといけない事を放置して、クローゼットもイヤリングケースもそろそろ片付けなきゃ、せめてこれを書いて終わったらそうしよう。それでご褒美に自分の好きなカフェへ行って本を読もう。


今、生きてる理由はたった二つ。


アニキと月末、一緒に映画を見に行くのと、小川糸先生の作品を全読みしたい。それ以外はとりあえず思い当たらない、学業も仕事も続けてるけど、もう頑張れる気がしない。こんなにネガティブになっているのはきっとカフェインを注入していないからだ。急いでカフェに行かなくちゃ!!



10月04日 水曜日

(10月05日に振り返り日記を書いた,気温16度, ワンピースにニットはさすがにもう寒い)

結局カフェに行ったのは次の日だった。なんと驚き、これを書いている今です。


秋に飲むカプチーノは本当に最高!

前まではラテマキアートを飲んでたけど、ちょっと誰かさんの影響を受けて、今はカプチーノ。あと雨の日には絶対、ヨルシカ様の雨とカプチーノを聴くようになってしまった。


染まりやすいのはいいことなのか、悪いことなのか、まぁとりあえずどっちでもいいや。


昨日はアニキと朝からちょっと揉めた。揉めたと言っても、私は一方的に態度が悪かった。多分PMSのせいで。

モヤモヤを引きずりながらとりあえず練習に行った、でもその前にすぐ近くのショッピングモールでずっと欲しかったピンクのニットを購入。自分へを遅めの誕生日プレゼントだ!これを着て友達と新しくオープンしたピンクのカフェに行くのがとてもとても楽しみ。


そして休憩中にある行動に移った。

それは、ずっと送りたかったメッセージをやっと送れた事だ。冷静すぎる自分にライターをつけるのは簡単じゃない。だから恋愛相談のアドバイスを何度も聴き、当たって砕けろと情熱いっぱいの語りで油を注ぐ、そして実行。


返事は今のところないけど、既読は付いている。一番嬉しい返事は:


日本はちょっとずつだけど、もう慣れてきたよ、ありがとう!アリも誕生日おめでとう!


なんてね。自分の中で小さい何かが終わった。唯一残された後悔は告白しなかったことだ。中学の時も、大学2年の時もそうだった。愛されてばっかりで、やっぱり自分からは告白できない、臆病アリ子だ。今後に活かそう、これからはアタックしまくりの、逃げない恋をしたい。


でも最近はとりあえず彼氏欲しくないから、

神様、もうちょっとだけ遊ばさせてください。できればイケメンと遊びたいです!


はい、大丈夫です。大丈夫じゃないかもしれないけど大丈夫です!

自分がクズなのは百どころか千の承知でございます、 それと最近ホットな結婚話題は100年後の125歳で考えます。


駅前の花屋さんでオレンジのバラを自分のために、先週買った真っ赤のカーネーションはもう枯れてしまった。

そして帰りにアジアスーパーでお米をゲットし、担いで帰る。おかずに黒豆、薄切りの牛肉とネギを、アニキの好きなアロエジュースは最後にカゴに入れた。お詫びの品だ、帰ったらすぐに渡そう。


優しいおかえりで迎え入れてくれたのは当然アニキだ、私はすぐ朝のことを謝った。 “どうせもうすぐ生理とかでしょ”だけを言い残して、夕飯の準備を始めた。自分も練習から帰ってきたばかりで疲れてるはず。本当に本当に寛大、わがままをいつも受け止めてくれてありがとう!感謝しきれませぬ!


やっぱり自分がなにを欲しいのか、誰がそばにいて欲しいのか、わからない。でもその答えが出るまで、楽しく生きてこう!!そう決めた水曜日でした。



10月05日 木曜日

(10月06日に振り返り日記を書いた, 気温は11°、最高気温は20°)


昨日は良い一日だった、久々に明日が楽しみって思た気がする。


新しく買ったパステルピンクのニットの下には薄めのデニムワンピース。ちょっと寒いかも!


駅付近のいつも通っているカフェに行き、おいしいカプチーノをいただいてから練習へ。コーヒースタンプが全部貯まった、嬉しい!ドイツのカフェでは紙のスタンプカードを貰えるところが多く、十杯で一杯無料になる。次行ったら使おう。


そういえば、クリスマスに幼馴染とのヨーロッパ旅行予定が取り消しになってしまった、ちょっと悲しい。友達とどこか遊びに行こう、それか試験とコンサートの準備で休みが潰れてしまうかも、まだわからない。


練習部屋には太陽が少し差してて、ちょうどピアノの前に座ると当たる。ポカポカしながらとりあえず指を走らせた。バッハのパティータはもう基本が仕上がった、あとは細部などをこれからゆっくり削っていく。そしてハイドンのソナタとヘンデルをスイートを始めていく。


帰りの電車はいつもの遅延、それでも文庫本をいつもバックに忍ばせてるので、暇はしなくて済んだ。

電車に揺られながら帰宅、やっと少しずつ怠惰のダラダラ生活とバカンス後遺症から日常を取り返せた気がする。


晩御飯はアニキが作ってくれた魚のスープ、野菜と白米だった、出汁が効いてて、寒い日にぴったりで美味しかった。そして中学が同じだった友達のSMSを見つけたには、昨日夜たまたまスワイプをしてたからだ。


同い年の彼女は今年十月から博士になり、ヨーロッパの音大で新学期を迎える。羨ましいのと、おめでとうって言ってあげたい気持ちとなんで私じゃないのがかけっこする子供達たちみたいに、あの子が勝ったり、この子が勝ったりで、頭痛になりぐらい頭の中をグルグルぐるぐるした。


多分私は好きだった楽器をあの日に捨てた、そして今目の前にある楽器たちも捨てそうだ、別に掴みたい自分もいないけど。


なんならこの人生もう十分なぐらいごめんだ!!こんなのーいらなーい!!

と大声で叫びながら投げ出したい。


普通に高校へ行きたかった、留学なんてしたくなかった、家族と離れてたくなかった。全部お前が勝手に決めて、勝手に夢背をわせて。勝手に人の人生ぐちゃぐちゃにしあがって!自分勝手で人の振り回す今の自分にそっくりで、大嫌い。あの家で、2階の自分の部屋でもっと時間を過ごしたかった。部屋には毎年のニセ成長を記録する様にさまざまな写真が飾られている。当の本人はそんなに長くもすらあの部屋にいなかったのに。勉強机の横には真っ赤なランドセルが、全然汚れのないように見てた、それもそう。日本の小学校にいたのは多分3年もないぐらい、それでまたすぐ別の国に発送された。その前も日本からそういえば発送されてた。いっつも違う国違う都市に。リビングと一階の勉強部屋にはそんなに弾かれなかったピアノ達だけが私の帰りを待っている。あとは部屋いっぱいの別に好きでもないぬいぐるみ達。


全部、お前のせいだ!

と大声で母親の前で叫んでなりたい。でもそんなことはしない。とても大人気なく、大事な人を傷つけてしまうから、親の過ちは繰り返さないために子供達は生まれてきたはずだから。今日は些細な幸せを書く気にもならない。



10月06日 金曜日

(10月07日に振り返り日記を書いた,気温は13°から23°、秋らしい晴れた日)

昨日は最高の金曜日だった!朝早くに起き、運動して、バターマフィンを焼いてから練習へ。

練習を終え、駅に向かい電車で帰る。


ホームにはスーツケースを持った人達で溢れかえっていた。電車もまた遅延、どうやら前の二本電車は来なかったらしい。それでも次々とホームには人が増え続け、やっときた電車にはもう人が入らないぐらいパンパンだった。


二人席に座れたのがラッキーで、窓側には金髪のとっても綺麗なお姉さんが座っていた、前の四人席にはビールを丸一箱飲み終えた男性グループが楽しそうに会話をしながら、ちょっと使い古した携帯を見せ合いっこしていた。その時に前の日の振り返り日記を書いた。


涙が目から零れずに視界が微かにぼやける。膨大な感情が吸い寄せられ、心臓がキュッとなった。

それでも書き終えた頃には少しネガティブが溶けた。


中央駅に着き、朝、駅裏に止めて置いた自転車を引きずり、友達の家へと向かう。

自転車に詳しい人が身近にいるのは幸せだ。後輪がパンクしてしまったのを今日直してもらう。


ひっくり返さてた自転車から様々なネジを取り外して行く、一度修理には出したけど、目の前でちゃんとお世話したのは初めてな気がする。汚れはそう簡単に拭き取れなかった、それもそう、ずっと放って置いたクセに酷使をしていたから。それでも少し磨くとだんだん色がツヤを取り戻した。確かこれは何年か前、コロナ期間中に買ったピンクのシティーバイクだ。


当時は交通機関がかなり制御されてた上に、マスクは当然、街でフラフラしているとパトロールのイケメンすぎる警察官達になにをしに行くのか、聞かれる。でも自転車だと、マスクなしで、川沿いの公園を堪能できる、新鮮の空気が吸う放題。


午後と夕方の境目に修理が終わる。

夕日に照らされながら、久しぶりの自転車は乗り心地が最高だった、秋の風がほどよく冷たい。

ニットの編み目から通り抜けて、体も通り抜けそうだ、どこかに飛ばされてたい、黄色くなった葉っぱ達を見てそう思ってしまった。さっきの大変な修理を隣で見ていただけの私は、友達の毛並みがとっても綺麗な灰色の猫と戯れていた。そのあとはお礼に晩御飯を一緒に食べた。


日本食がこんなに盛んで美味しいのは、全ドイツから見てもきっとここだけに違いない。

ビール、ラーメン、唐揚げをたらふく食べた後は散歩しながら抹茶アイスを食べた、もうお腹いっぱいを繰り返してながらも幸せいっぱいを味わう。自転車を推しながらだいぶ歩いてから、スーパー閉店時間前に滑り込みでちょっと食材を買って行った。


そしてまた自転車に乗る、少し冷たい秋風を浴びながら家を目指す。車も人もほとんどなく、携帯で音楽を流しながらゆっくりゆっくりペダルを漕ぐ。頭を上げるとオレンジ味の強い街頭が眩しく太陽みたいだった。私だけのために光っているみたいだった。



10月07日 土曜日

(実は、を言うといつものカフェで振り返り日記を書いている。本当は昨日に全部見返してから、まとめてあげる予定だったが、もう月曜日の午後、9日になってしまった。気温は13ー21°)


この日は朝から週一の大掃除。バスタブ、トイレ、玄関、リビング、キッチンの順番で。

そしてまたバターマフィンを焼いた。オーブンががんばってくれている25分の間、サクッと運動も済ませてしまう。


何をやっても長続きしない、そんな私がたどり着いた方法は、計画を立ててないと自分を騙すです。計画はざっくり脳内にあるけどないと騙し、毎回がデイワン(一日目)と思い込むと自然とやる気が出て、なんとか続けてる。

て言うかどうにか今回は続いてほしい。


ピーピーっとなったオーブン本当にかまちょだなといつも思う。キッチンのドアを開けると空気中にバターのいい香りが、味も形も大成功だったので、近くに住んでいる友達に後で持っていこう。それからはまったりして、おうちでアニキとお昼を作って食べた。支度を終わって家を後にする、土曜日はやっぱりどこも賑やかで、ザ・休日感に浸れる。見ているだけでも楽しく、映画のシーンみたいだった。


塩が切れたので、友達の家に行く前にスーパーに寄り、二袋500gの塩を自転車の前カゴに入れて、目的地を目指す。

友達だちはおいしいアイスアメリカーノを出してくれた。甘い物がそんなに好きじゃない彼に焼いたマフィンは甘さ控えめにした。あれこれ話してるうちに時間はあっという間にすぎ。おいしいチキン作るよと晩御飯の支度を始めた。料理好きな友達がいるのも本当に幸せなことだ。


いつも美味しい料理をありがとう!



10月08日 日曜日

(これもこれもまた、実は、を言うとさっきのカフェで続きを書いている、スタンプカードで無料にいただいたカプチーノと塩バタークロワッサンを食べながら)


ゆったりな土曜日を後にし、今日は朝から練習する気いっぱいだった。

明日からは新学期。流石に何年も大学にいたら新学期はワクワクしなくなるけど、カッコいい後輩くんだちが入ってきたら嬉しいな、なんて電車で呑気に思っていた。着いた中央駅は日曜日にも関わらず人がいっぱいだ、お店も空いてないのに、みんなどこに行くのだろう。


ホームのエレベーターを下って行き、もう一度小さく人の多さに驚きながら、出口へ向かう。

中央駅はいつでも人人人だ。


まるで映画のワンシーンみたいに、一瞬で気分がおかしくなったのは、出口を出た瞬間からだった。


やっと、自分がなんでこんなに長く、ここに来なかったのかわかった。それでも、思い出達が一瞬に襲いかかって来て、何かが体の中でふつふつ上がってきた。とりあえずそれを無視して、立ち止まっていた脚を動かした。大学に向かいながら、この感情は何かを考え直した。でもそれは考えるまでもない物だった。


大好き

そう、もう一度。


彼が大好きだったのを痛いほど再確認した、せざるを得なかった。でももう他の国に帰ってしまって、どうしようもない。本当に楽しかった思い出と事実だけが重々しくこのシティに残された。あと残っているのは財布に忍ばせてる一枚のチェキだったら。何度も迷ったけど、結局捨てることは出来ずにいる。


とりあえず練習に没頭しようと試すもそんなに集中できなかった。練習を一通りし終えると、友達からメッセージが来てカフェに行くことになった。バニラクリームたっぷりのカンノーロとカプチーノは相性最高だった。近況報告と夏休みに何してたのかを話しているとあっと言う間に一時間が過ぎ、練習に戻る。二人でもう一度学校に向かう途中、知り合いからメッセージが。どうやら来週スペインでコンサートを控えているので是非聴いて欲しいとのことで、その子がいる部屋へ向かう。


広々とした部屋は使い古したグランドピアノと大きな植物が二つ。ここは教授達が主にレッスンで使う。基本、週末には生徒達が使える。友達はソファに、自分はヨガボールに座りながら、一時間半はあっという間にたった。

ちょっとだけ頭には思い出達が過ぎっていたけど、これを聴いて終わったら全て忘れよう、そう自分と約束した。


すごい!素晴らしかった!最高だった!


それだけが唯一の感想で、私は何度も何度もポジティブな褒め言葉だけをプレゼントした。彼女が不安そうにここがダメだった、そこが違ったを繰り返していたから。


音色がとても素敵かつ繊細で、こんなに素晴らしい生演奏を聴けてよかったと心の底から思った。


結構なハードプログラムを仕上げた彼女はもう休みが欲しいと言っていた。疲れ切ったのに、コンサート後はすぐ飛行機で帰ってきて、伴奏の授業にも参加しないとだめ。と言いながら出した楽譜達は辞書と同じぐらいの分厚さだった。


みんなそう。せっかく長い休みを終えて回復したのに、新学期が始まる前に使い果たしてしまった。メンタルケアは大事なことランキングの一位にしないと、やっていけない。


連絡先を交換し、今日は新しい友達ができたことに喜びながら駅に向かう。


でもやっぱり思い出達は踊りだす、帰る電車に揺られながら、あたしはずっと避けてきたプレイリスト開く。

音楽を耳が痛くなるほど爆音で流し、思い出に浸り続けながら、電車を出る。とにかく早歩きをし、アイス屋さんに向かった、ピスタチオ味を無性に食べたくなった。いつもはあるのに、今日に限ってない、最悪だ。駅に戻り、自転車でゆっくりゆっくり帰る。今日はもう何もする気になれない。とりあえず帰ったらご飯食べて寝よう。


月曜日はまた元気になっていますように!

いろんなことがあった一週間でした。

生きててよかった

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