エピソード 16 浴びろ!ビール祭りにジンを添えて!
(1月24日にカフェで書いている)(1月27日友達の家で書いている)(2月1日に、おしゃれなカクテルバーに座りながら書いている、カヌレとチョコネグローニをお供に)
1月8日 月曜日 曇り -5°
寒すぎる朝は、本当に布団から出れる理由がない。
このままこうやって寝てていいですか、となぜ人間は冬眠をしないのですかを、この世界に問いかけたい。なので爆音でいつものお目覚め曲、All Eyes on You をかけて、布団の中でとりあえずダンスをする。さらに目覚めを良くするために、バスルームに駆け込む。シャワーで温かい水を浴びる度に、ついつい驚いてしまう、自分の体は思っていたより冷えていることを。簡単な朝ごはんを食べていると、いつの間にか雪が降っていた。軽すぎる雪は風に遊ばれ、波を空で描くように、自由に飛んでいた、当然ビデオをすぐに撮り、急いで支度をし終え、家を出た。
今日は年明けの初授業で、その前にとりあえず2ブロック練習した。そして、早速いつもの先生のお叱りを受け、感情的になりすぎて一層やめてやろうと思った。
フン!!こんなのやってられるか!!
こんちくしょう!!退学してやる!!
退学してアフリカにでもゾウを見に行ってやる!!
そして、“泣き止んだ子”は一旦落ち着き、突然の、つまらない大人達が大好きな反省タイムに入った。確かに、ちゃんとやってないのはこっちの方だ。そして、これまでになく真剣に、これからについて考えた。手は限界を訴えていたけど、その曲をひたすら、莫大な不安を押し潰す様に、夜遅くまで練習した。はー、今日は勇者にも、ミュージシャンにもなれず、なんなら人間失格です。
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1月9日 火曜日 晴れ -7°
昨日はびっくりするぐらい寝れなかった。
多分疲れとグルグルしてしまった考えとワクワクがトリプルエスプレッソになって、睡眠を押しのけてた。なので速いすぎる早朝から、アニキの好きな牛丼を作って、ホームタウンの空港まで迎に行く。明日からのストライキの影響で、とてもとても長旅になってしまった。日本の関西空港から台北へ、そこからフランクフルトへ、そして本当はそこからICEを乗れば帰って来れたのに、電車が大カオスなので、さらにフランクフルト空港からホームタウン空港へ。合計で、待ち時間を入れず、ざっくり計算しても、きっと20時間は超えている。あと、どうやって慰めたらいいのか、まだ考えてなかった、とりあえず何も聴かない方針で行こう。
朝ごはんを作って終わり、家を出た。今日はとっても寒いけど、久々に晴れている、快晴!!きっと、君がいい天気を持って帰ってきたに違いない。まずはバスに乗って、橋を越えてから、さらに3駅乗り続け、そこから一度乗り換えて、電車でそのまま空港ターミナルに向かう。バスの車窓からは眩しすぎる太陽が、未来もきっとこんなに輝かしいと錯覚してしまいそうだった。イヤホンにはGood Life が流れている、特別のモーメントには、この曲がどうしてもどうしても聴きたくなる。
時間はぴったりで、電車が着いたのと同時に、アニキの飛行機がさっき丁度、着陸した。久々に会えるのは嬉しい、出口を確認して、Aまで急いで向かう。15分待っても出てこないから、少し心配で電話をかけると、スーツケースが遅れてるらしく、私はてっきり、税関にでも取り調べをされて。なんでこんなに沢山、日本からお菓子を買ってきたのか、尋問されているのかと思った。
結局は25分ぐらい待っていて、やっと出てきた、とりあえずはビックハグ!!
それからお疲れ様を何度もいい、アニキは空港や飛行機の中で起きた面白エピソードの数々を語った。本来ならここから直通のバスで家に帰れるけど、方向を乗り間違えて、遠い方の駅に連れてかれた(笑)。バスの中には、運転手以外にたった二人、大きいスーツケースを持っていた怪しいアジア人が。それを笑い飛ばしながら、晴れきった空に飛び立つ飛行機たちを眺めていた。この絶景は、寄り道の一つや二つはしないときっと見れてなかった。そして、中央駅に着く。笑うしかなくアニキはこう言った。きっと、そういうゲーム設定になっているから、出発したところからじゃないと、帰れないって。
やっと家に着き、アニキはとりあえず長旅後のシャワーを、私はそれを待ちながら、ご飯の準備をした。いよいよ待ちに待ったスーツケース開封!中にはアニキにお願いした品々が、びっしり入っていた。スーツケースを空にして、地下室にしまうため、物を出して、リビングに広げた。アニキはきっとこの光景を見るのが2回目に違いない。
お菓子、コスメ雑貨、衣類を3種類に分けて。大きめの袋にまとめて、ユートピアに日本から、はるばるやって来てくれたお菓子を入荷した。(ユートピアは、あのジャングルソファーコーナーを指す、丁度お菓子を置くスペースもあって、アニキとはいつもここでコーヒータイムを満喫している。)
一緒にお昼ご飯を食べて、早速お茶会をして、空港で買ってきてくれた抹茶のお菓子いただいた。美味しいを言えないぐらい美味しすぎて、しみじみ体に響き渡るのを感じながら、さらにドリップコーヒーを一口。最高の最高を朝から味わえるのは最高です!そこからは、学校へ授業に行こうと思ったけど、かなり疲れていて、いい天気だし、家で日光浴を楽しむことにした。先生に”病欠”のメールを書き、大好きなプレイリストを流した。
やっと一安心できたのか、昨日よく寝れなかったのもあり、いつの間にかぐっすり寝ていた。目が覚めると、部屋の中は優しい優しい光が満ちていた、後ろに振り向くと、まっオレンジな空が広がっていた。
この景色を見るために、生きて来たに違いない、そんなことが言いたくなるような、この世に存在しないような絶景だった。
私は呼吸するのを忘れていて、唾を飲んだ、温かい一滴が、頬を優しくなぞって落ちた。そして、こんな文字達を書きたくなった。
「コゴエロ」
私は
雲一つない青に
涙せざるを得なかった
この寒い寒い寒い冬からの
人類へのを最高なプレゼントを
そして
音楽も流れてないリビングで
気がつく
私が生きてく上でだった二つ必要なもの
太陽
君がいる部屋
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1月10日 水曜日 -7℃
目が覚めると、キッチンからは、ガチャガチャとだし巻きの優しいいい匂いが。そっとノックして開けると、おはようを交わし、何時に起きたか聴くと、夜中の3時にお腹が空いてめざ覚めたらしい。歯磨きをしたら、アニキが作ってくれただし巻きを食べる。やっぱり誰かいると安心する、アニキが日本に本帰国しちゃったらどうしよう。
今日からはドイツ鉄道全土のストライキが金曜日まで続く、ちょうど仕事する三日間に重なり、喜んで良いのか否か、わからない。いきなりの休日ができて、それを堪能するつもりだけど、後々振替授業をしないといけない。とりあえずは、二つの要件を済ませてから、昨日に続いて良い天気なので、散歩をしてからカフェへ。
今日のミッションは二つ、在留届けの更新とプリンターのインク調達だ。更新の手続きは思ったのよりだいぶ簡単にできて、びっくりした。本当はもっと時間が掛かるかと思っていたのを、10分もかからずにできた。そして、次は電気屋さんを目指した。最上階にプリンター用コーナーがあり、インクセットを見つけた、でもその値段に驚かせれて、一応、とりあえず、アニキに電話で相談をした。”いや、とりあえず学校の図書館でコピーや印刷をしよう”、そして手に取っていた50ユーロ近くする、4色入りのインクセットを棚に戻して、カフェに行った。
抹茶ラテを堪能しながら、ポストカードを書き、その後にパソコンを閉店時間までカチカチした。可愛い店員をナンパし、仕事終わりに用事がないかを聴き、カフェに行った。本当はたこ焼きに行きたかったけど、お腹が空いていないようで、カフェでさっきまでお仕事していたのに、またカフェで大丈夫?を何度も確認し、いちごショートとドリンクを頼んだ。
その後はスーパーで食材を買い行き、ついでにゴムも。箱を開けて、2つは持ち歩き、他はおもちゃたちと一緒にしまった。そういえば、こんなセリフを耳に甘噛みされながら言われたのを思い出した。てかキスうますぎ。
うん、確かに甘かった。
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1月11日 木曜日 晴れ
今日もまたストライキで、本来のレッスンは月末か来月に振り返りをすることにした。それで電車をどれだけ待っても、大丈夫なように学校へ練習しに行く。こういう時は、死ぬほど時間通りに来るか、全く来ないかのどっちかだ。
少し早く中央駅に着いたので、本屋さんを徘徊していた、面白そうな本を見つけたけど、家にまだ読まれてない子たちを思い出して、冷静に本棚へ戻した。練習はこの前のお叱りもあり、いつも以上にやる気が出ていた。はー、ここでもM体質が発揮している自分に、ため息をした。ホームタウンに戻り、家でご飯を作った、やっぱり誰かと食べるのが美味しい。そして、その後はアニキが遥々日本から持って来てくれた、フィナンシェを食べた。ドリップコーヒーの豆がもうすぐ切れそうなので、また買わないと。
友達にビールのお誘いを受けたのは、もう十時半だった。本当はめっちゃ行きたかったけど、疲れたので、まだ今度にお願いした、のと同時に年上くんに誘われ、Ado がホームタウンにコンサートを開くらしい、そして予定とかを調べていると、チケットはもう売り切れて、転売されているのがもう400ユーロ以上のものだった(笑)
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1月12日 金曜日 曇り
久々にアニキと一緒に外出!
これはストライキのせいと言うべきか、そのおかげと言うべきなのか、わからない。とりあえずこの急にできた休日の楽しもう、代償はまだ未知数だ。まず郵便局へ行き、日本へパッケージを送った。中にはママの誕生日プレゼントとパパへのチョコレート、それとこの前カフェで書いた、ポストカードを送った。
天気がとても良かったので、とりあえず散歩!そういえば友達のストーリーで、川沿いに天然スケート場ができているのを見て、それを確認すべく、徒歩して見に行く。空気は冷たい、冷たすぎる、でも気持ちいい。アニキは、はしゃいでいる私に何度も何度も忠告をしてくれた。転けても知らないぞ、と滑らないって思っている瞬間に擦れるんだぞを。少し分厚い、氷の膜ができた草原は、踏むと氷が割れて、なんだかゲーム世界の効果音ぽくって楽しかった。そろそろ、お腹も空いたので、目的地のたこ焼き屋さんを目指す。 そして道中で美味しそうな、直火チキン焼き定食を見つけて。お店に吸いこまれて行った。ご飯をゆっくり食べて、いつもみたいなユニコーン会話をして、練習に向かった。そう、この頃になると、自分でもびっくりするぐらい勤勉になる。とりあえずツベコベ考えず、波に乗る、いつまで続くかわからないけど、とりあえず。
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1月13日 土曜日
またいつものリセット大掃除を終えて、この波乱な一週間がやっと小さな終わりを迎えようとしていた。
そういえば、先週火曜日教授に大事なお話をしたのを思い出して、アニキとお話しをした。本来は今年の夏、二つの違う楽器(全然違うプログラムを同じ日に)試験を受ける予定だったけど、一つを切り捨てた、切り捨てざるを得なかった。それをずっとモヤモヤと考えていたけど、はっきり先生に向かって口にしてからは、何かスッキリした気分で、やっと一つの楽器に集中できた。これで本当に正しいのかわからない、何か大きな選択ミスをしてしまって、未来の自分が急いでタイムマシンを操縦して向かって来ているのかもしれない。
後はこれからの人生の軌道について。
今までは転々としていた分、アニキとはずっと同じ学校だった。どのぐらい頻繁に、転校したのかは忘れたけど、どこへ行っても一緒だった、まるで双子のように。実際は二つ年下だけど、学年が違った以外、ずっとずっと一緒だった。仲良くなれたのは、でもやっと最近な気がする。小さい頃は良く喧嘩していて、何度も怪我をさせ、針を縫わせた、極悪のお姉さんだった。そしてよく先生たちを、困りに困らせた、国際問題児兄弟セットだった。
でも一緒なのも、今年で最後な気がすると、お互い強く感じていた。アニキは今年のテストを機に、これからの進路が大きく変わる、日本に本帰国するか、ドイルのオーケストラでとりあえず経験を積むか。私は一応まだ二年間、ドイツにいる計画で、今年のテストがいい結果にならなかった場合、仕事に重きを置いて、このダラダラダラダラしすぎた、大学生生活に丸を付けたい。新たなステップを、踏み出す準備がお互いもうできている。に違いない!そうであると信じたい。そして、ドイツ恒例日曜日にはお店が閉まっているので、スーパーで買い物。
1月14日 日曜日
きっと、そういのは向いていない。
安定したお付き合いとかは向いていないタイプだ。親は結婚結婚ってこの頃になり始めてからうるさくなって来たけど、結婚とかはきっと向いていない、それを今頃よくわかって来た、束縛されてしまうと一瞬で飽きてしまう。ルールがあると無視したくなっちゃう。
それは恋人関係とかだけではなく、普通に友達とか、家族でも、すごく嫌になってしまう時がある。例えばママとのビデオ電話は本当に好きではない。毎日元気すぎるボイスメッセージから始まり、強制的にコミニュケーションされる。そして、普段は忙しいと一応言ってあるので、平日はボイスメッセージで済み、土曜日は必ずビデオコールが行われる。
あんなにも長い時間一緒に住んでいたのだから、とりあえず何年かはほっといてほしい。そしてちょっとでもテンションが低いと、ありもしない“嬉しくなかった”ことを根掘り葉掘り聴き出される。たった指一つの動作で、今すぐに電話を切ってしまいたい、でもそんなことをしたら後からもっと面倒くさいことになってしまう。なのでここはうれしいたのしい、いい子を演じて通す。これが何よりも疲れることなので、その後は眠気メーターが一気に満タンになり爆睡をする。それを癒すためにアニキと日本から持って来た、お菓子と一緒にお茶会をした。
生きててよかった。まるでこの世界が諦めないでとメッセージをくれているように、友達だちに次々を誘われる。自分のために生きる理由はまだ当分見つからなさそうだけど、彼ら彼女らの笑顔を思い出すたびに、心が少しポカっとなり、軽くにやけてしまう。それをとりあえずここから離れない理由にしよう。