入学式
一目惚れだった。透き通るような金の髪と雪のように白い肌、ルビーのような赤い目は何処までも吸い込まれそうな程だった。
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ウル・ドラグハート王立魔法学園。
ここは魔法使いの中でもトップクラスの力を持つ若物のみが立ち入りを許される魔法学校。
今日はそんな学校の入学式。
長ったらしい偉い人の話に聞き飽きウトウトしていると、会場の雰囲気がざわつく。
新入生挨拶のようだ
「あれが例の…」
「王族の面汚しって噂の…」
由緒ある学校の新入生挨拶だと言うのになかなかどうして物騒な声が所々聞こえてくる。
むしろ由緒ある格式高い学校だからこそなのか…?
壇上に上がった少女に向かって放ったであろう言葉はどれもトゲのある物ばかりだった。
そんな事を気にもとめず、壇上で国旗に一礼、来賓に一礼してから話し始める。
「以上、新入生代表 アリア・ドラグハート」
彼女はこの国の第三王女である、立ち振る舞いもそれに見合ったものがあり、演説もとても素晴らしいものだった。
が、しかし拍手は少ない。
理由は簡単、彼女が魔法使いとして劣っているからだ。
魔法は代々親から子へ遺伝する。
人が使える魔法は一人につき一つ。
金持ち貴族連中は強い魔法を求め続け、より強力な魔法を持つ子孫を残してきた。
魔法が出現し始めた太古の時代には単純な魔法、科学で代替、もしくは科学の方が上位互換である様なものも多かった。
その後数千年、世代を重ね、現代では科学で再現のしようの無い、物理法則に干渉するような物が現れ始めていた。
規模は当人の資質によるものの、ウル・ドラグハート王立魔法学園に入学できるような物は、皆千年以上続くような家系の人間達。
空間転移、未来視、その程度ならゴロゴロいるのがこの学園だ。
そんな中で、彼女の持つ魔法は温度変化。
物体の温度を上げ下げするだけ。
見下されるのも当然だ。
彼女を嫌うものは皆口を揃えて彼女をこう呼ぶ
「落ちこぼれ王女」と。