-第一章九十七節閑話 突然の伝令と瘴気の詰め所と二体のミイラ-
__…フォン!!カァァン!!…カァァン!!…
「ハアアアアアァァァ!!!」
__フォン!!カァァン!!…
「ッ!…ほほぅ?…更に腕を上げたか!?…」
「私も!…マサツグ達に負けてはいられないので!!!」
さて…この話もまたもや本編とは少し違う話になるのだが…この話はマサツグ達がスプリングフィールド大陸を後にした直後のお話である。王都で行われていた春王祭も当に終わって、祭りの場所がブルーベルズへと移動して居る頃…王城ではリーナとラインハルトがいつもの様に訓練をしていた。他の兵士や騎士達が二人の訓練を見守る中…リーナとラインハルトは互いに本気で実践をしている様な戦いぶりを見せて居ると、突如として有る異変を兵士から聞く事になるのであった。
__ザッザッザッザッザッザ!!…
「で!…伝令!!…」
「ん?…どしたぁ!!」
「ハァ!…ハァ!……ッ!!……
リ、リーナ様が春王祭の日捕まえた
マサツグ殿達の偽物の事についてですが!…」
伝令の兵士が慌ててリーナとラインハルトの鍔迫り合い!…に入らないまでも二人の邪魔にならないよう丁度良い位置で二人に話し掛けると、ラインハルトがリーナと鍔迫り合いをしたまま用件を聞き始める!その際リーナも用件が気になるのか徐々に鍔迫り合いを解除し出すと伝令兵の方に視線を向け、伝令兵は息を切らしながら祭りの日に捕まえた自称英雄ブラザーズの話を口にし出すと、リーナはその話を聞くまで忘れていたのか今思い出した様子で一言ポツリと呟く…
「ッ!…そう言えばそんなの捕まえていたなぁ?…
色々有ったからすっかり忘れていた…」
「ッ!?…リーナ……まぁ良い!…で用件は?」
「ハ…ハハァ!…そ、それが…
…捕まえた時は大男二人組だったのですが…
現時点でその二人を入れた牢を確認しますと…
そこに居たのはモヤシの様な
ヒョロヒョロの男二人で!…」
「ッ!?…何だと?…」
リーナの恍けた様子にラインハルトが若干戸惑った表情でリーナを見るのだが…それよりもと言った様子で伝令兵の方を向き、改めて用件を聞き出すと伝令兵の口からトンデモナイ?…言葉が飛び出して来る。それはあの自称英雄ブラザーズが牢屋の中で痩せ細ったと言う…大男からモヤシにジョブチェンジしたと言う何とも奇妙な話で、ラインハルトもさすがに本人達を見て居ないので如何言う事なのかは分かってはいないのだが、話から察するに余程の事だろうと理解すると兵士の言葉に戸惑いを覚える。そしてその話を聞いたリーナも若干驚いた表情を見せるとスッとその伝令兵の元まで歩き、詳しい話を聞くよう顔を近づけるとその伝令兵を尋問するよう言葉を掛け出す。
__ッ!?…ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…
「おい如何言う事だ?…大男がモヤシに?…
あのガタイだけは良さそうな連中がか?…
ちゃんと食事を!…」
「ッ!…も!…勿論!…与えておりました!…
幾ら罪人とは言え臣民!…扱いは重々!!…」
「……ふむ…師匠!…少しご足労願えますか?…
あのマサツグ達を名乗っていた偽物なのですが?…」
リーナがその伝令兵に声を掛け始めると伝令兵は当然と言った様子で委縮し、リーナの問い掛けに対して緊張を滲ませる様な声色で話し出すと、周りの兵士や騎士達がその伝令兵に同情する。そりゃあの姫様に迫られたらあぁ~なる…その事を本人に悟られないよう互いに顔を見合わせては静かに溜息を吐いて居ると、リーナは考えた様子で徐にラインハルトの方へ振り返り…そして一緒にその自称英雄ブラザーズの様子を見るようお願いし出すと、そのリーナの言葉にラインハルトが若干困惑した様子で返事をする。
「…うぅ~ん…状況が状況だろう…分かった!…
他の者達はしっかり訓練を!!…
メニューをちゃんとこなして居なかった者には
更なる訓練をプレゼントしてやるから
覚悟しておく様に!!…」
__ッ!?…ハッ…ハハァ!!…
「…よし!…では伝令!…
その牢へと案内してくれ!
ワシらで確認をする!…」
「ハッ…ハハァ!!…こちらです!!」
リーナの言葉に対して若干悩んだ様子を見せるも一応の一大事!…リーナの提案に同意するとラインハルトは兵士達の方に振り返って訓練を続ける様に号令を出し、サボっていた場合の事もしっかり脅しを掛けるよう念押しの言葉を口にする!その言葉を聞いた兵士達は途端に緊張した表情を見せると威勢良くラインハルトに敬礼し、慌てた様子で互いを相手に打ち合いを始めるとその様子にラインハルトが頷く。そして準備が出来たとばかりにその伝令兵に案内を任せると伝令兵は慌てた様子で敬礼をしてはリーナとラインハルトの二人をその自称英雄ブラザーズの投獄された場所へと案内し始める。自称英雄ブラザーズが投獄されたのは王城から近い詰め所の牢屋…恐らくはリーナが捕まえた際に根性を叩き直す!と言った事を真に受けて、近くの牢屋に入れたのだろう…王城との距離にして約2km…徒歩にして約30分と言った詰め所にリーナとラインハルトが馬で駆けて行くのだが…辿り着くや否や何やら異様な気配を感じ始める!…
「…こ、ここにその偽物達を捕えているのですが!…」
「ッ!?…何だこれは!?…これはまるで!!…」
「瘴気に包まれている!?…
この詰め所に詰めている者達は!?…」
__ズモモモモ!…
伝令兵の案内で辿り着いた詰め所!…リーナとラインハルトの目から見たその詰め所はまるで瘴気に包まれている様に見えては嫌でも警戒心を誘い!…この詰め所に勤めている衛兵達の心配をリーナがし始めると、その詰め所の窓や扉からはあのディへインが根城としていた廃墟と同様の瘴気が立ち昇っていた。明らかに普通じゃない!…そもそも伝令兵がここに来た事自体が可笑しい!…と考え出すと、ラインハルトは伝令兵に詳しい事情を尋ね始める!
「…これは一体何時からだ!?…
何故この様な事に!?…」
__バサァ!!…ギュッ!!…
「そ、それが!…この様になったのは
ほんのつい先程の出来事で!…
巡回中の衛兵隊が見つけた時にはこの様に!…
中には一応誰も居ないと報告を受けていますが…」
「……実際の確認は出来ていないと!…
そう言う事だな?」
ラインハルトは目の前の光景に慌てた様子を見せて懐からバンダナの様な布切れを取り出し、マスクにするよう顔に括りつけると伝令兵から詳しい話を聞き始める。そのラインハルトの質問に対し伝令兵も慌てた様子を見せると、今現在の段階で分かって居る事を報告するのだが如何せん突然すぎるのか…曖昧な答えでしか返せない事に戸惑ってはその答えにリーナが若干の苛立ちを覚え…その様子に伝令兵が委縮すると、とにかくこの詰め所に居る衛兵は全員避難して居る事改めて報告し始める!
「は、はい!…
ですがこの詰め所に詰めて居た者が
点呼を取った所全員の避難は出来て居ると…」
「…よし!…とにかく衛兵が無事ならそれで良い!…
とにかくこの原因を解明!…
後罪人と言えど救助をせねば!!」
「ッ!?…ま、待ってください師匠!!…
浄化の手段も無く入れば如何なる事か!?…
危険過ぎます!!!」
「ッ!?………フッ!…安心しろ!…
これでも元は冒険者!…
瘴気の対処法位は心得ているつもりだ!!…
それよりも、もしもの時に備えて部隊を配備しろ!!…
…最悪この詰め所を始末せねば!…頼んだぞ!」
伝令兵の報告を受けてかラインハルトが改めて頷いて見せると徐に体を動かし、まるでその詰め所の中に入る様な姿勢を見せ出すと、リーナが慌てて止めに入る。リーナは自身の身を持って体験した為良く分かって居た!…どれだけ瘴気が自分達にとって有害なのかを!…それを訴えるよう表情からして困惑の様子を見せると、その表情にラインハルトが戸惑った表情を見せるのだが!…ラインハルトはリーナに笑って見せるとただ後の事を考えた様子で手筈をリーナに伝え、自分は先に詰め所に突入する!と言った様子でリーナに指示を丸投げすると、一人瘴気で充満している詰め所へと向かって行く!…
__バッ!!…ダッダッダッダッダ!!…
ドガアァン!!…
「ッ!?…師匠!!…あぁ~、もう!!!…
これだから脳筋はぁ~!!!…
…伝令!!…修練場に向かい兵を集めよ!!…
恐らくは無いと思いたいが念には念を!!…
武装してこの地に!!…
ラインハルト将軍が帰って来て次第
この詰め所を廃棄する!!!…
解体用のハンマーを持ってこい!!!」
「ハッ!…ハハァ!!…」
この場にマサツグが居れば間違い無くリーナの言葉に「お前が言うか!…」とツッコむのであろうが、一人詰め所に向かっていたラインハルトの背中を見詰めてはその傍若無人ぶりにリーナが文句を言い、若干の間を置いたかと思えばすぐに騎士団長の顔になっては伝令兵に指示を出す!その指示もラインハルトが言っていた様に!…最初から詰め所を破棄する気で居るのか撤去するよう武装の指示を出し、その指示を聞いた伝令兵がリーナに敬礼すると慌てて馬に飛び乗っては、来た道を引き返す様に修練場の方へと駆け出して行く!…そうして一人瘴気を放つ詰め所の前でリーナがラインハルトの事を心配しながら待っている一方で、そのラインハルトはと言うと…
__ショワアアアァァァ!!!…
「ゴホッ!…ガホッ!…」
{…クッ!…
やはり加護の無い布切れではちっとばかし厳しいか!…
しかし!……見た所原因は地下!…
それにこのタイプの詰め所で地下と言う事は…
牢屋か!?…何故この様な!?…
この辺りに瘴気の間欠泉など有る訳が無い!…
だとすれば人為的に?…一体何故?…
…考えている暇など無いか!…とにかく様子を!!…}
一人瘴気が立ち昇る詰め所に入ったラインハルトはまず中の様子を見て状況に戸惑う!…まだそこまで色の濃い瘴気では無い為、周りが見えないと言った心配は無いのだがそれでも充満している事には変わらず、息苦しさを覚えるとその場で咳き込み眉間にしわを寄せる!…そしてマスクをした事も大して効果が無い事を悟るのだが、無いよりはマシと言った様子で着用し続け…辺りを見渡し何処から瘴気が噴き出ているのかを確認すると、如何やら地下から噴き出して居る…風の流れを目にする!…それを見てラインハルトは原因について自身でも思い付く原因を考えては消去法で一つずつ潰して行くのだが、思い当たる物は分からず…ただ困惑して考える事が面倒になったのか辺りを警戒しつつ地下の方へと近付いて行くと、その下から噴き出してくる瘴気は如何やら最初の推察通り…牢屋の中から噴き出して居る事を確認する。
{……思った通り!…
その瘴気はやはり地下からで間違い無さそうだ!…
それにこれは火災の煙と良く似ている?…
従来の瘴気と違って地を這わない…
立ち昇るタイプの瘴気…
今までにこの様な瘴気は見た事が?…}
__コッ…コッ…コッ…コッ…
{…正直この格好出来たのは間違いか?…
瘴気と言うのは魔物を呼ぶ!…
もしこの場所でモンスターに襲われでもしたら!…
早々に確認して……ッ!?…}
地下に続く扉から瘴気が漏れ出しており、ラインハルトが警戒しながらその扉を開けると、中から更に濃い瘴気が噴き出して来る!…それを見たラインハルトは咄嗟に顔を背けるとダイレクトに吸引するのを避けるのだがやはり瘴気は辛いのか咳き込み、ある程度濃い瘴気が抜けた所で地下へと進み…瘴気の流れ方にある特徴を見出すと、その瘴気の流れに疑問を持ち出す。今まで物とは違う!…何かが変だ!…そんな嫌な予感を覚えつつその瘴気の発生源であろう牢屋の前に立つと、ラインハルトはトンデモナイ光景を目にする!…それは!!…
__シュオオオオォォォォ!!!…
{なッ!?…何だこれはぁぁ!?…ミイラ!?…
いや!…元は人である事に違いはない!!…
しかし何だと言うのだ!?…
何故この者達の目や口から瘴気が!?…
一体誰がこんな事を!?…}
__ジャッ!!…
そこには明らか人為的にこの事件を作り出されたであろう被害者?…の二人が目や口…耳や鼻と言った穴が開いている個所から瘴気を吹き出しては、まるでゾンビの様に牢屋の中を彷徨っている光景が目に飛び込んで来る!…更にその姿もまるでミイラの様に痩せ細っては嘆く様に呻き声を挙げ、当然普通では無い光景にラインハルトが驚くと思わず後退りをしてしまい!…モンスターが湧いたのか!?…と戸惑った様子を見せて居ると、その牢屋の中の瘴気の元凶はラインハルトの後退りに反応した様子で、鉄格子の方へと迫って来る!…
__ッ!?…ウオオオォォォォォ!!!…
ガシャァン!!…ガシャガシャ!!…
{…音に反応を!?…いやしかし!…
一体何だと言うのだ!?…これは!?…}
もはや辛うじて機能しているのは耳だけなのか?…そのラインハルトの後退りに反応しては、目の前に鉄格子が有ると言うのにぶつかって行き!…鉄格子の間から腕を伸ばしまるでラインハルトに助けを求める様に呻き続けると、その様子にラインハルトは更に驚きを露にする!…御年55歳!…初めて見る化け物の姿に何が如何なって!?…と困惑して居ると、詰め所の外の方では武装した兵士達が馬に乗って現場に急行して来ては詰め所の解体作業が行われ始めていた!
__フォン!!ボガァン!!…ドゴオォォ!!!…
「…風穴は大きく開けろ!!…
そこから瘴気を逃がして日の光で浄化する!!
日が昇っている間にケリを付けるぞ!!」
__ハッ!!!…
{……師匠はまだ戻って来ていないみたいだ!…
恐らくはまだ中に!…
こちらも倒壊しないよう作業を勧めなくては!!…
…とは言え!……この瘴気は何だ!?…
何故この王都に!?……まさか人キメラ!?…
いやそんな筈は!?…}
武装及び加護を受けたフルフェイスヘルムを着用しての解体作業はまず天井から…スレッジハンマーで屋根を破壊してはそこから瘴気を逃がし、日の光で浄化をすると徐々に穴を大きくしては倒壊しないよう詰め所を破壊して行く!…その際瘴気が原因で呼ばれたのか低級のモンスターが姿を現したりするのだが日の光に焼かれては消滅し…その様子に兵士達が戸惑いながらも作業を続けていると、リーナも着替えた様子で現場の指揮を執って見せる。詰め所の設計図を片手に倒壊しないよう…まだラインハルトが中に居る事を考え指示をしては同時に原因について考え出し、前の残党が居たのか!?…と自身でも有り得ないと思いつつ作業を進めて居ると、詰め所の中のラインハルトも外の様子に気が付いた様子で外に目を向ける…
__ボガァン!!…ドゴオォォ!!!…ッ!…
{…リーナの奴…解体作業を始めたのか!?…
…まぁ被害拡大を考えれば妥当な判断ではあるが……
このままだとワシも色々とヤバいかもしれん!…
一度外に戻る…」
外から聞こえる衝撃音を耳に…リーナが解体の指示を出した事に気付くと、その判断にラインハルトが戸惑う…自分がまだ詰め所の中に居ると言うのに解体作業!…リーナの事だからちゃんと倒壊しないよう解体して居ると信じては色々と困惑するのだが、そろそろ自身の呼吸が持たない事を先に考えると一旦地下牢屋を後にしようとするのだが…ここで掠れる様に何処からともなく声が漏れ出す様に聞こえると、ラインハルトは思わず足を止めてしまう!…
「タ…スケ!…」
「ッ!?……」
「タ…ス…ケテ!………タス…ケ…テ!!…
コ…ンナ!…コンナ……コト!…望…ンデ…無イ!!…
クル…シ…イ!…タス…ケテ!!…
イッソ!!…楽ニ!!!……」
その何処からとも無く聞こえて来る掠れ声の正体は瘴気を放つミイラから発せられたものであった…瘴気を放つ目からは涙なのか濃い紫色の液体が溢れ出してはミイラの頬を伝い…必死にラインハルトに向かい手を伸ばしては助けを求め!…或いはいっそ始末してくれと言った様子で救済を訴え!…そんなミイラ達の様子にラインハルトが軽いトラウマを覚えそうになって居ると、ミイラの言葉に疑問を持っては改めて考え始める。
{…ば、馬鹿な!?…
やはりこれは人だと言うのか!?…
それに「こんな事望んで居ない」?…
と言った様に聞こえたが…
一体何の事だ?…
まるで何かを得る為にこうなったと言うのか!?…
…だとしたら何を!?……ッ!?…
イカンイカン!!…それよりも呼吸を!…
…しばし待って居れ!…必ず助けてやる!!」
__ア゛ア゛ァァ…ア゛ア゛ァァ…
ミイラから飛び出した言葉にラインハルトが驚き戸惑うと、その言葉をきっかけにこの瘴気が人為的に作り出されたものだと理解する!…だとすれば目的は何なのか?…この者達は何故?…何を望んでこの様な?…その場でミイラ達を見詰めては考えを纏めようとするのだがやはり呼吸が持たず!…一度戻ろうと考えるとミイラ達を助けると決意し、慌てた様子で地下を後にすると外に向かって走り出していた。そして…
「……絶対に倒壊させるなよ!?…
骨組みを残して壁を全撤去!!…
慎重さを!!……ッ!?…師匠!?…」
「ブハァ!!…ぜぇ!…ぜぇ!……
もう少し若ければ原因を何とか
出来たかもしれんが…」
「ッ!?…げ、元凶!!…そ、その正体は!?…」
「ぜぇ!…ぜぇ!…あくまでまだ憶測だが…
何らかの力を得ようとした者!…
その代償に自らの体が瘴気を発し蝕まれる!…
…ワシもあの様な物!…見た事が無い!!…」
外でリーナが今だ慎重な様子で指揮を執っていると、詰め所玄関からラインハルトが飛び出して来る様に帰還する!帰還したラインハルトの様子にリーナ及び兵士達が慌てて駆け寄ると、ラインハルトはその場に崩れるようへたり込み…息を切らしながら元凶を見つけたとリーナに話し、ラインハルトの元凶と言う言葉に慌てた様子でリーナ達が反応を露にすると、その元凶の正体について質問をする!この時リーナもこれは明らかな人為的事件だ!と受け取っているのか、緊張を持った表情をしており…その質問を受けてラインハルトが息を整えつつ正体について話し出すと、その答えを聞いたリーナは更に戸惑いの表情を見せる。
「し!…師匠も見た事が無い!?…一体!?…」
__どよどよ!!…どよどよ!!…
「リーナ様ぁ~!!…
一階まで壁の全撤去が!!…
原因は地下からかと!!…」
ラインハルトから話された答えにリーナが信じられないと言った様子で戸惑い、周りの兵士達も詰め所の地下に化け物が居ると言う事を聞かされどよめいて居ると、解体の方はかなり進んだのか兵士の一人が現場からリーナに向けて報告をし始める。そしてその報告を受けて全員が解体現場の方に視線を向けると、ラインハルトや現場の兵士が言う様に地下からは瘴気が噴き出し…改めてラインハルトが話した内容が真実である事が確認され、兵士達が一斉に戸惑いのどよめきを上げ始める。
__ッ!?…どよどよ!!…どよどよ!!…
「……ッ!…リーナ…その手に持っているのは?…」
「え?…あぁ…この詰め所の見取り図ですが?…」
地下牢屋の為、日が差さない!…と言う事は瘴気の浄化は困難!…更にフルフェイスヘルムは視界の確保が難しく、瘴気の濃さも相まってかほぼ視界不良で作業はこれまた困難!…難解過ぎる状態に現場も指揮も混乱の様相を見せて居るのだが、ふとここでラインハルトがリーナの持っている見取り図に気が付くと確認の言葉を掛け出し、その突然のラインハルトから質問に戸惑いながらもリーナが素直に答えると、ラインハルトは思い付いた様子で更にある事を尋ね出す!
「ッ!…でかした!!…
地下の事も記載されて有るか!?…」
「え?…あっ!…そうか!!…
えぇ~っと…ッ!…有った!!…
えぇ!!ここに!…」
「……その二人が囚われて居たのはこの場所!!…
そして恐らくワシの考えが正しければ!!…」
「それで行きましょう!!…早速用意を!!!…
兵士達は至急スレッジハンマーを持て!!…」
リーナを褒めては見取り図に地下の事が書かれて有るかを尋ね、その問い掛けにリーナが悩んだ表情を見せるが…直ぐにある事を理解した様子でラインハルトに返事をしてすぐさま地下のページを開いて見せる!…差し出された見取り図にラインハルトが目を通すとその瘴気を放つ化け物の位置を確認し、現場の場所と照らし合わせて二人揃ってやる気に満ちた表情を見せる!そしてリーナが手配すると言っては近くの兵士達にハンマーを持つ様に号令を掛け、その号令に兵士達が戸惑いつつも号令に従いハンマーを手に持つと、その確認した場所!…照らし合わせた場所へと向かわせてはハンマーを構えさせる!…
__スッ…ガゴンッ!…
「…まさかこんな所でもマサツグ殿に
助けられるとはな?……思いもしなかった!…」
「フッ!…ははは!…そうですね!……
今頃マサツグは何処に居るのだろうか?…」
「……フッ!…何だ?…やはりそう言う事なのか?…
…いやぁ~…青春とは良い!…」
兵士達が配置に付き始める中…ラインハルトも不測の事態に備えて武装してリーナと一緒に現場を見守り、その際この案を思い付いたのはマサツグのお陰と言った様子で話し出すと、その会話にリーナも笑い出す!…何故ならこの作戦は旧・スプリング大聖堂で行われる筈だったマサツグとモツの奇襲方法であり、結果天窓を開けての奇襲となったのだが…まさかここで生きて来るとは思っても居なかった様子で互いに笑い合い!…そしてリーナがマサツグの事を思い出すと、若干シンミリとした表情を見せる。そんな様子を見たラインハルトはリーナの恋心を弄る様に茶々を入れようとするのだが、リーナが慌てた表情で反応するとお返しとばかりにクラウディアの話を持ち出す!…
「なっ!?…そうじゃ!!…無くは無いですが…
…じゃなくて!!!…そう言う師匠こそ伯母…ッ!…
ゴホン!…
クラウディアさんの元に帰って上げたら
如何なのですか!?…クラウディアさん!!…
元気にしてましたけど…寂しいと言って…ッ!?…」
「ク!…クラウディアが寂しいと言っていた!?……
っ~~~~!……」
「し…師匠!?…一体如何し…」
「……お前にも言っておく!!…
決して我を忘れるでないぞ?…
受け止める方は大変なのだからな?…」
「……は?…」
リーナがクラウディアの話を持ち出しラインハルトに反撃すると、ラインハルトの表情が一気に青ざめ始める!…それまで勇猛果敢!…恐れ知らずの古今無双!…と言った強気を見せて居たにも関わらず、何故かクラウディアの情報を口にすると一気に弱気になり出し…リーナに事実確認をするよう問い掛けると、その様子にリーナが驚きラインハルトの心配をする!その際先程詰め所に入った時の瘴気にやられたのでは!?と心配をするのだが如何にも違うらしく…ただリーナの肩を叩いては返事を待たずに意味有り気な言葉を口にし、その言葉にリーナが戸惑い曖昧な返事をして居ると、兵士達が全員配置に就いたと声を掛ける。
「…将軍!!…リーナ様ぁ!!…
配置に就きました!!!」
「ッ!…よし!!…
では思いっきり叩いて打ち破れ!!!
幸い地下に居るのはその二人だけ!!…
遠慮なくやれぃ!!!」
__ハッ!!…
「師匠!!…先程の言葉の意味は!?…
何を如何言う意味で!?…」
兵士達の呼ぶ声にラインハルトが反応するとハンマーを持った兵士達に地下室の天井を崩すよう指示し!…その号令を聞いた兵士達が返事をしハンマーを思いっきり掲げて見せると、地下を掘削するよう振り下ろしては天井を突き崩そうとする!…その際詰め所一階と地下との間は薄いのか兵士全体でハンマーを振り下ろすといとも簡単にヒビが入り、その様子に警戒しながらハンマーを振り下ろして居ると、リーナは先程の言葉の意味について縋る様に質問し続ける!…しかし幾ら聞いた所でラインハルトからの返事は無く…ただ淡々と掘削作業が続いて居ると、遂に天井を崩したのか一人の兵士のハンマーが床に減り込む!
__ブォン!!…ゴスゥッ!!…
「ッ!?…減り込んだ!!」
「ッ!?…気を付けろ!?…
おい、ここを中心に穴を広げるぞ!!」
__ズボッ!!…ボシュウウゥゥ!!……ッ!?…
兵士達が何度かハンマーを振り下ろした末、遂に天井を突き破ったのかハンマーが減り込むと、そのハンマーを振るっていた兵士が周りに穴が開いた事を報告し始める!…もしこれで不用意に抜けば瘴気が噴き出す!…そう警戒して報告すると周りの兵士達が警戒し出し、次の作戦に移行するよう確認し合うと、その兵士が周りの同意を得た所でハンマーを穴から抜いて見せる!すると案の定穴から瘴気が噴き出しては日の光に当たって浄化がされ始め、噴出した事に兵士達も驚いた反応を見せるが、落ち着いた所で作業を再開する。そして……
__ガッ!…ガッ!!…ボゴォン!!…
ジュワアァァァ!!!
「ッ!?…
ギィヤアアアアアアアアアァァァァァァァ!!!!…」
__どよっ!?…
「ッ!?……この方法しかなかったが!…
…これで救われただろう!…」
兵士達が天井を突き破ると連鎖的に穴が広げ、地下の一室…その二人が居るとされていた牢屋に日の光が差し込むと、その牢屋から突然として断末魔が聞こえ始める!それと同時に浄化されているのか何かが蒸発する!…激しい音が聞こえてはその断末魔と相まって更に不気味さを感じさせ、兵士達が戸惑いその穴の様子を覗き込めないで居ると、ラインハルトは分かって居るのか悲しい表情を浮かべる。そうしてその蒸発する音も徐々に収まり…漸く中が覗ける様になると、そこにはミイラが二人…絶命した様子で倒れて真っ黒な灰になっていた。
「な、何だこれは!?……人?…」
「……ッ!?…しょ、将軍!!…リーナ様!!…
こいつ等です!!…こいつ等があの英雄達の名を
使って悪さをしていた!!…」
「ッ!?…何だって!?…」
「………。」
初めて見るその異様な光景に兵士達が戸惑いを隠せない中…リーナ達をここへ案内した伝令兵が同じ様に牢屋の様子を確かめると、途端に驚いた表情を見せる!何故なら最初ここに呼んだ理由…その二人が無残な姿に変わり果てそこに倒れて居たからであり、伝令兵が慌てて二人に報告するよう声を掛けるとリーナが驚き、その穴の中に倒れるミイラを見るなり戸惑いを隠せない様子で見詰めては…ラインハルトは分かって居たと言った様子で無言を貫く。何故なら…地下の牢屋に居たのは彼ら二人だけでその他の牢屋は空だったからである。一体誰がこんな事を!?…そんな疑問が残る中ミイラと化した二人は弔われ…事件は闇の中に葬られる事になるのだが…その元凶らしき人物はと言うと…
「……ッ!…そう言えば忘れて居ったな?…
わっちが離れれば忽ち呪いが…
って、まぁ良いじゃろう…なんせ…
わっちは奴らの願いを叶えただけで…
…後の事など奴ら次第…
更にわっちのお気に入りを
愚弄する様な事をしたのじゃから…
…当然の報いよな?…くふふふ♪…」
__ッ!?…バッ!…バッ!……ッ?…
「…おかしいのです!…
…誰かに見られている様な?…」
マサツグ達が乗る船に一緒に揺られながらそう言って笑い…ただ船旅を楽しむ様に…マサツグの事を陰から見詰めてはシロの要らぬ警戒心を煽るのであった。
…因みに余談なのだがリーナが言っていた「クラウディアが寂しがっていた」と言うのはムフフな意味で有り…その事を知らないリーナは気持ち的な意味と受け取って、そのままラインハルトに伝えた訳なのだが…何かを警戒して後日…久々に家へ帰ったラインハルトがやつれた様子で王城へやって来て…クラウディアはまるでサキュバスの様だったと後にスティングへ相談するよう語ったらしい…




