-第一章九十三節 王都一の服屋とオーナーと早業Tシャツ-
スティングの紹介でマサツグ達がスプリングフィールド王国王都・ストロベルズ随一の服屋前に降りると、突然の出来事に民衆達がどよめき出す!…何故なら自分達の目の前に自国の姫様が突如として、一介の冒険者と共に山車から飛び降りて来たからである!しかしそんな民衆の目の事など全く気にしていない様子でリーナが華麗に着地し、マサツグの方に振り返りちゃんと付いて来ている事を確認すると、何事も無かった様に声を掛け始める。
__スタッ!…
「……よし!…ちゃんと付いて来ているな?…
さぁ、行こうか!!…目的の場所は目と鼻の先だ!!」
「…っと!……え~っと?……
…それは良いんだけどさぁ…
…何故一緒に着いて来た?…
それにお前さんが隣に居るとやたら
注目を集めているようだが?……」
「……え?」
リーナがマサツグに話し掛け目の前に見えている服屋を指差しては意気揚々と居ると、マサツグはシロを抱えたまま苦笑いしては困惑の表情を見せる。何故一緒に付いて来たのか?…王族?…騎士団等の職務は?…色々疑問を覚えつつその事を丸々含めて一言の言葉にして口にし、更に辺りを見渡し注目を集めている事を告げると、その言葉を聞いたリーナが若干戸惑った様子で辺りを見渡す。すると周りに居る民衆はマサツグの言う通りリーナを見詰めては憧れの人物が居る!…と言った様子で困惑しその場で固まってしまい、まるで石像の様に動かなくなる!…オマケにマサツグの格好は一見すると何処からか脱走して来た囚人の様に見え、更にシロを抱えている事からもはや誘拐犯!…再犯を犯した危ない人を連れて居る様に見えて更に注目を集め、徐々にザワザワし始めるとリーナが慌てた様子でマサツグを呼び寄せる!…
__ざわざわ!…ざわざわ!…
「ッ!…ほ、ほら!…早くしないか!!…
色々注目を集めてしまっている!!…
このままだと奇妙に思われるぞ!!」
{いえ…基本貴方のせいです…
それともう十分奇妙と言った視線で見られてます…
詰みです…}
__カラン♪カラン♪…
リーナが慌てた様子で服屋の玄関に移動するとマサツグを呼び寄せ、そのリーナの言葉にマサツグが苦笑いをし続けて居ると心の中でリーナに対してツッコミを入れて、もう手遅れ…と呟く。今にも衛兵に連絡されそうな勢いで見詰められてマサツグがその視線に居た堪れない気持ちになり、せめてシロを降ろして一緒に歩こうかと考えるも、シロはマサツグの腕の中で気持ち良さそうな表情を見せるとマサツグに降ろさせる決断を鈍らせる!…そうしてそんな事をしている間にリーナに急かされるまま服屋に入店すると、まずその店内の様子を見て王都一と呼ばれる所以を目にする!
__ズラアァ~~!!!…キラキラキラキラ!!…
「ッ!?…な!…何じゃこりゃぁ~!?…」
まず店内に入って驚くのはその店の広さ!…まるでホームセンターか!?とツッコみたくなる位に無駄にだだっ広いフロアが有ると思えば所狭しと種類豊富な服が陳列されており、中でもこの祭りの為に拵えたと言った煌びやかなドレスやスーツが目に入るとその出来の良さにマサツグは驚く!…メルヘン・ファンタジー…中には恐らく他の冒険者が注文したであろうコスプレ衣装等も展示されており、そんなコスプレ衣装に交じってまさかの某赤と白の歌〇戦に出て来そうなデカい衣装まで飾られてあるのを見つける!…そんな明らかに違う意味でも王都一と呼ばれてそうな所以に、マサツグが驚き…来る店を間違えた!と後悔して居ると、この服屋のオーナーらしき…エプロンドレスを身に纏ったグラマーで綺麗なお姉さんがマサツグ達の存在に気付くなり声を掛けて来る。
「ッ!…あら、リーナちゃん♪…
遂に花嫁衣裳の採寸にぃ~?」
「なっ!…違います!!」
「あらぁ~?…じゃあ……ッ!…あら貴方は?…」
「…ン゛ン゛ッ!…
…ここに来たのはマサツグ…ッ!…
彼らの服を調達しに来たのです!!…」
服屋のオーナーとリーナは知り合いなのか…オーナーが気さくに話し掛け始めたかと思えばいきなり花嫁衣裳の話を持ち出し、その話の切り出しにリーナが顔を赤くすると慌てた様子で違う!と文句を言う!…その話の振り方を見る限り毎回言っているのか親密さが見て取れ…その様子にマサツグが戸惑った表情でシロを抱えたまま固まって居ると、服屋のオーナーはマサツグに気付いたのかチラッと見るなり何かに気が付いた様子で若干驚き出す。そしてその様子はリーナも見たのか咳払いをして話を戻すようそのオーナーに再度話し掛け出すと、改めてマサツグとシロの衣装について相談し…その話を聞いてオーナーは何を思ったのか徐にマサツグの方に近付いて居ると、ポケットが有るにも拘らず胸元からメジャーを取り出しマサツグを瞬く間に採寸し始める。
「……ふぅ~ん?」
__シャッ!!…シャッ!!…シャッ!!……
「……え?…えぇ?…」
「身長180…肩幅50…袖丈50……
…ッ!…いけないいけない!…」
そのオーナーの採寸速度にマサツグが動揺して居ると、あっと言う間に採寸を終えたのかメジャーを巻き取りマサツグの採寸表を書き出し始める。まるでもう仕事のスイッチが入ったかの様なその手際の良さにマサツグが何が何だかと言った様子で戸惑い…オーナーの事を見詰めてると、オーナーもハッ!とある程度書き終えたところで軽くある事に気が付いたのか、マサツグの方に振り向き直すと背筋をスッと直して挨拶をし始める。
「…コホンッ!……初めまして英雄さん♪…
私がこの店のオーナーをやっております…
クラウディアと申します♪…
以後…お見知り置きを…」
__ペコッ……ボイィン!!…ッ!?…
服屋のオーナー…クラウディアが突如としてマサツグに挨拶をし出すとお辞儀をして見せるのだが、その際…クラウディアのエプロンドレスは胸元が大胆に開いているのか、マサツグの視界がトンデモナイ暴力に襲われる!…リーナもかなり大きい方なのだが更にワンランク上!…マサツグが咄嗟に視線を逸らしその暴力に抗おうとするのだが!…やはりマサツグも男!…何度か怖い物見たさの気持ちに襲われては自分が英雄と呼ばれた事に何の疑問も持たず、ただ徐々に視線がその暴力の方に向けられようとして居ると、隣に居たリーナがマサツグを注意をするよう咳払いをする!
「ン゛ン゛ッ!………」
__ッ!?…チラッ…ジィ~~…プルプルプルプル!!…
「…ッ!…あら?…如何為さいました?…
何か気になるものでも?」
「い、いえ…べ、別に!…
ただ何処からとも無く殺気を感じたもので…」
リーナの咳払いにマサツグが気付き恐る恐る視線をリーナの方に向けると、そこには痛い程突き刺さる視線を向けるリーナのジト目が!…それを見たマサツグが慌てて首を左右に振ると自身の気を取り直し、その様子に気が付いたクラウディアが顔を上げると何事かとマサツグに尋ね出す。その問い掛けに対してマサツグは苦し紛れに言い訳をし出すのだが、シロがマサツグの腕の中から顔をヒョコッと出すと、目の前のホルスタインに目を奪われる!…
「ッ!!…ご主人様!!!…
このお姉さんリーナさんよりおっぱい大きいです!!!」
「ッ!…あら♪…」
「シ!…シロちゃんお口チャック!!!」
「んむ!?…」
恐らく…と言うよりは絶対に他意は無いだろうがシロはクラウディアの胸を見るなり目を輝かせては無邪気に指を差し出し、クラウディアの胸の事をマサツグに報告し出すとそのシロの様子に慌ててマサツグが口を抑える!…そしてその胸を指していた指も握っては隠すよう器用に仕舞い込んで見せ、そんなシロとマサツグのやり取りを見ていたクラウディアがキョトンとした様子で二人の事を見詰めて居ると、段々その様子が可笑しかったのか噴出しては大笑いし始める!
「……ぷッ!…ククククッ!…
あっはははははははは!!!…」
「ッ!?…あぁ!!…すいま!…」
「いえいえ!…んふ!…お気遣いなく!……
こんな事慣れっこだから♪…それに…」
__スッ…ッ!……スッ…ギュッ!…
突如目の前で大笑いし始めたクラウディアにマサツグだけでなくリーナまでもが戸惑ったが、マサツグがハッ!とした様子で謝り出す!…しかしその様子にクラウディアが違う!と先に手を振って否定して、笑いに耐えながら大丈夫と口にし、まだ噴出しそうになりつつもマサツグに慣れて居ると笑顔で答えると、クラウディアは徐にマサツグの方へ近づき両手を広げて見せる。マサツグが抱えているシロを抱っこさせて欲しい!…そんな風に見て取れる行動にマサツグが戸惑いながらもシロを差し出すと、クラウディアはまるで聖母の様な優しい笑みを浮かべては慣れた様子でシロを抱え、シロもクラウディアの腕の中に納まり眼を瞑ると耳をピコピコと動かしては大人しくなる。
「私…子供が大好きなの!!…
こういう子を見つけると私の服で
更に可愛くしたくなるの!!…
さぁ…貴方にはどんな服が似合うかしらぁ?…」
「んふぅ~…ご主人様~♪
このお姉さん…いい匂いがするです……♪
優しい匂いがするです♪」
__ッ!……
クラウディアはシロを気に入ったのか大事に抱えてはあやす様に揺り動かし、シロはシロで完全にクラウディアに安心し切った様子で抱っこされて居ると、その様子に見覚えが有ると言った様子でマサツグが思わず感心してしまう。何処かの教会で見た事の有る様な光景に…別に宗教等は全く持って興味は無いのだが、完全再現と言った構図にただただ「おぉ!…」と言った様子で感心して居ると、リーナが何故か苛立ちを覚えた様子でマサツグに肘鉄砲を放つ。
__……トントンッ!…ッ!…
「…マサツグ!…いつまで見とれている!!…
早く父上からの手紙を手紙を渡さないか!!」
「え?…あっ…あぁ…そうだな…えぇ~っと…
……所で何でそんなに苛立っておいでで?…
別に何も苛立つ様な?…」
「ッ!?…良いから出せ!!…
私はこの場所があまり得意で無いのだ!!…」
軽くマサツグの右腕に二回…トントンと小突いて見せるとそのリーナの肘鉄砲にマサツグが気付き、マサツグがリーナの方を振り向くとそこにはシロとまでは行かなくとも膨れた表情を見せるリーナの姿があった。そんなリーナの表情にマサツグが戸惑い…表情を困らせて居ると、リーナはスティングからの手紙をクラウディアへ渡すよう急かす!…その苛立ちを露にするリーナにマサツグが戸惑いつつ命令に従い手紙を取り出すと、徐にリーナの機嫌が悪い事について尋ね、その問い掛けに対しリーナが更に機嫌を悪くするも素直なのか、この場所が得意で無いとマサツグに答える。そしてそんなマサツグとリーナの会話をシロを抱っこしながら聞いていたのか…クラウディアが突如として若干驚いた表情で反応するとリーナに質問をする。
__ッ!…
「あらぁ~…リーナちゃん!…
その反応は…もしかして!!…」
「ッ!?……ッ~~~!!!」
良く見ると何処かアムネスの様にも見える…そんなクラウディアの表情にマサツグが驚いて居ると、クラウディアはリーナのある事に気が付いた様子で質問し、その事を突かれたリーナが表情に諸出るほど分かり易く視線を逸らし…無言で頬を染めて嫌そうな表情を見せると、その表情を肯定と受け取ったクラウディアは…まるで何処かの王妃様宜しくニヤァ~と怪しい笑みを浮かべると突如として上機嫌になり出す!…
__……ニヤァ~!…
「あらぁ~♥…隅に置けないのねぇ~♥…
…良いわ!!…
私がとびっきりの衣装を用意してあげる!!
盛大に二人の門出を祝って!!!…」
「ッ!?…止めて下さい伯母様!!!」
__ッ!?…ピタッ!!…
「……えッ?…伯母様?…」
まるで自分の事の様にクラウディアがシロを抱えたまま喜び出すと気合を入れて服を作る!と言い出し、一通り喜んだ所でシロを降ろし更に勘違いした様子でスーツ用とドレス用の型紙を取り出すと、リーナがクラウディアに止めるよう…やはり思春期の様な反応で顔を赤くしては文句の言葉を口にする!その際リーナはクラウディアの事を思いっきり伯母さんと呼んで見せると、その言葉を聞いたクラウディアはまるで時間が止まった様にピタッと止まり…マサツグはその言葉を聞いて戸惑うと思わず復唱してクラウディアの方を見詰め、一体如何言う事なのか?と疑問を覚えては帰って来たシロの手を握っていると、クラウディアはリーナの方に振り向くなりまるでゾンビの様に近寄り出す!…
「……あらあら?……リーナちゃん?…
私の事はクラウディアさんって
呼んでって言ったじゃない♪」
「……は?…何を言っているのですか?…伯母様!!…
貴方は私の母上の姉!…そして師匠の妻!!…
クラウディア・アイアンズ!!…私の伯母!!…」
__ガッ!!…
「それ以上私の事[伯母さん]って言ったら…
その悪い口を縫い付けちゃうからぁ~♪…
二度と解けないよう♪……固く…固ぁ~く♪…」
フラフラとした足取りでリーナに近付き呼び方を訂正するようリーナに言うが…リーナはまだクラウディアの悪乗り?…が許せないのか改めて自覚させるようクラウディアが如何言った人物かを堂々話し出すと、トンデモナイ事を口にする!まずアムネスに似て居ると思って居れば実は伯母さんで似てるどころか親戚である事!…更にクラウディアがあの将軍の奥さんで人妻である事!…それらの事を話してクラウディアのフルネームである…[クラウディア・アイアンズ]の名前を口にし…反撃と言った様子でリーナが必死の抵抗を見せていると、次の瞬間リーナの顎に向かってクラウディアの左手が伸びる!…そして右手に縫い針を持ったかと思えばまるで脅す様に!…何処かのホラー映画さながらの狂気度を姪っ子に見せては笑顔で迫り!…その様子にさすがのリーナも降参と言った様子で表情が引き攣り出すと、すかさずクラウディアの呼び方を訂正をする!…
「ッ!?……は、はい!…クラウディアさん!…」
__スゥ……
「うん、よろしい♪」
リーナがクラウディアの呼び方を訂正し…引き攣った表情を見せて居ると、クラウディアは訂正された事に納得したのかリーナから離れて元の明るい様子を見せる…それまでの間…明らかにトラウマものの狂気を見せられ、マサツグがクラウディアの事をヤベェ人と認定し、クラウディアが迫る前に咄嗟にシロの目と耳を塞いで外からの情報を遮断すると、シロが若干困惑気味にマサツグへ質問する。
「……ご主人様ぁ~?…何も見えませぇん?…」
「シッ!…見ちゃいけません!!」
「…ッ?……」
シロは何故目と耳を塞がれたのか分かって居ない様子でマサツグに尋ね出すと、マサツグはただ保護者として見せてはいけないと感じた様子でシロに我慢するよう言い、その返答にシロが戸惑うと目を塞がれながらも首を傾げては素直に解放されるのを待つ。そうしてクラウディアから解放されたリーナはと言うと本気で怖かったのかその場に崩れては自身の胸を押さえて激しい動悸を鎮め…クラウディアはマサツグ達の方へと歩いて来ては仕事の話とばかりに話し掛ける。
「さて…本来の話に戻りましょうか?…
英雄さんの紹介は…王様からよね?」
「ッ!…え?…」
「だって今貴方が着ているその服を手掛けたのは
私なんですもの!…見間違える筈も無いし…
リーナちゃんがわざわざ付いて来るとも思えないし?…
…その分だと王様から手紙も預かってるんじゃ
ないかしら?…」
クラウディアが若干真剣な表情をしてはマサツグに話し掛け、本来の目的である服の調達の話をする際…ここに来た紹介を王様からと話すと、マサツグがその返答に軽く驚く。確かに良く考えればリーナが付いて来ている…一介の冒険者が肌着だけ上等な物を着ている…更にここまでの話になる前に手紙の話をして居たりと特段驚く様な事では無いのだが、改めてその事をクラウディアに言われると先程の事も重なってか嫌でも警戒してしまい…手紙を預かって来て居るのでは?とクラウディアに尋ねられると、マサツグは慌てた様子で取り出していたその手紙をクラウディアに手渡す。
「ッ!…え?…あっ…あぁ!…そうです…これを…」
__…カサッ…カサッ…
…スッ…バッ!…バッ!…ッ!……ッ?…
「……なるほどね…
これなら直ぐに用意出来るわ♪
ちょっと待っててね?」
マサツグはクラウディアにスティングからの手紙を手渡すとシロを解放し、シロは解放された事を良い事に辺りを見渡し何が起きたのか確認し出すのだが、そこに有るのは先程と何も変わらない…強いて言うならリーナが崩れて居る位で、それを見てシロがまた首を傾げて困惑して居るとクラウディアが話を進める。手紙の内容を察した様子でマサツグに笑顔で待つ様に言い、ミシン台や型紙が置いて有る作業スペースの方に移動しては早速作業に取り掛かり始める。
「…この指示…と言うよりは再現かしら?…
まぁこれ位なら…この布ね!…
後、裏地にこれとこれ…
さっきの採寸表を…よし!…」
__スッ……スパアァァン!!…
チクチクチクチクッ!!…ダダダダダダ!!…
「ふんふふ~ん♪…ふふふふ~ん♪…」
「ッ!?…はっや!!…」
マサツグは更に驚いた!…そのクラウディアの作業の速さに!…移動した作業スペースで整頓された布棚から指定の布…その他の布を選んでは先程取った採寸表に合わせて迷う事無く裁ちバサミで裁断し、仮縫いの針も難なく熟してしまうと鼻歌交じりにさっさとミシンで縫い上げてしまう!…その際マサツグはこのゲームに対してミシンは有るのか…と違う方に関心を向けたりするのだが、クラウディアが作業に取り掛かって体感速度…約30秒と言った所か…あっと言う間に一枚のTシャツを縫い上げてしまう!…
__バサァ!!…
「…ふぅ!…我ながら会心の出来ね!…
さぁ!…出来たわよ!」
「ッ!…これって!…」
「…ッ?…あら?…何か変な所あった?…
一応スティングちゃんからの指示通りに
仕上げたのだけど?…」
ここでもまたまたマサツグが驚く!…クラウディアが出来たと言ってTシャツをバサッとはたいて見せると、その手にはマサツグが最初に来ていたTシャツと瓜二つの物が出来上がっていた!…最初に着ていた物と違う点が有るとするなら裏地が別にある事位で、バルデウスによってロストしたTシャツが進化して帰って来た!…そんな異様な驚きを覚えて居ると、そのマサツグの様子にクラウディアが若干戸惑う。何か不満が有るのか?…そうマサツグに不安そうな表情を見せて話し掛け、その問い掛けに対してマサツグがハッとした様子で意識を取り戻し、慌てて大丈夫と返事をするとクラウディアからTシャツを受け取る。
「ッ!…え?…あぁ!…いや…全く問題無いです!…
ありがとうございます!」
{……ッ!…防御ボーナス!?…
まぁ…そんな言う程では無いけど…
これ結構レアなんじゃ?……とにかく着替えるか…}
__スッ……バサァッ!!……ッ!?…
マサツグが慌てた様子でTシャツを受け取り、少しの間Tシャツを見詰めてはその出来に改めて驚かされる!…あれだけの急ピッチでやったにも関わらず縫い目は完璧に縫合!…ちょっとやそっと引っ張った程度ではビクともしない見事な頑丈さを有しており、更に裏地も一緒に縫い上げたおかげか若干ながら防御力のUPした様子を見せる!本来アバター装備に能力は付かない筈なのだがこれは違うと言うのか若干の防御ボーナスが付いており、それを確認してマサツグが早速着替えようと今着ている孤児院服を脱ぎ出すと、何処からとも無く黄色い声が聞こえて来る。
「ッ!…あらぁ~♥…大胆♥」
__ガサガサッ!…スッ…バサァ!!…ッ!…
「おぉ!!…これはいい感じ!!
程よく余裕が有るし!…ブカブカ過ぎない!!…
これはいい物だ!!!」
その黄色い声の正体は言わずもがなクラウディアであった…更衣室が有るにも関わらず突如その場で着替え出したマサツグにも問題があるのだが、マサツグが脱いだ事にクラウディアは偉く興味津々で目を丸くしてはマジマジ見詰め!…その様子を見ていたリーナもやはり思春期なのか顔を赤くすると目線を逸らし、クラディアの様子にハッ!と気付くや否や不機嫌な表情を見せる!…そうしてマサツグがクラウディア謹製のTシャツに着替え終えるとこれがまた凄いと言った所か、まるでマサツグの好みを知って居たかの様な着心地で凄い!と言った様子でマサツグが気に入り、クラウディアにお礼を言おうと振り返るのだがそこには何故か逆に頬を赤く染めお礼を言うクラウディアの姿を見つける…
「いえいえ…こちらこそご馳走様♥……」
「へ?…」
「ッ~~~!!!…おい、マサツグ!!!…
着替えるのなら更衣室に行かないか!!…
何故その場で着替える!!!…
それにクラウディアさん!!!…
貴女には師匠!!…ッ!…
ラインハルト将軍と言う良き旦那様が
居るでしょう!?…
マサツグをまるで飢えた獣の様な目で
見ないで頂きたい!!!」
「ッ!?…う、飢えた目って!…」
クラウディアは両手を頬に当ててはモジモジとしながらマサツグにお礼を言い出し!…その様子にマサツグが戸惑った表情を見せて一体如何言う事かと悩み出すと、リーナが顔を赤くしてはマサツグに説教を始める。この時漸く立てる様になったのかスッと立ち上がってはマサツグの方へ詰め寄り、クラウディアの事も[伯母さん]と呼ばずにちゃんと[クラウディアさん]と呼ぶ!…同じ轍を二度踏まない徹底ぶりを見せ、その際リーナの目にはクラウディアが如何映っていたのか?…やきもちを焼いた様子で注意をすると、その注意の仕方にマサツグがツッコミを入れる。そしてそんなリーナにツッコミを受けたクラウディアはと言うと、今だモジモジとした様子を見せては頬を赤らめ…赤裸々な本心を隠す事無く暴露し始める。
「だってぇ~!♥…
あの人滅多に帰って来ないのですもの!!♥…
私はいつでも帰って来て欲しいと
思って居るのにぃ~!♥…
何ならあの人との子供も作りたいと
思っているのよ?♥…」
「ッ!?…おうふ!!…隠す気無いぞこの人!!…
…ってか今更だけど…この人が本当にあの将軍の?…」
「あぁ!…私の母上の姉で師匠の妻!!…
れっきとした既婚者だ!!…
マサツグ!!…喰われるんじゃないぞ!?」
「喰われるって!?…穏やかじゃねぇな!?…」
自身の本心を隠す事無く暴露し始めたクラウディアにマサツグがやっぱり危ない人!と認定すると、戸惑った様子でリーナにクラウディアとの関係について尋ね出し、その言葉に対してリーナが改めて分かり易くゆっくり説明し出すと、何故か最後の言葉で注意勧告をする!…本当に飢えているから気を付けろ!…そう注意を促すリーナの表情からは微塵も冗談が感じられず、その表情を目にしたマサツグが更に戸惑いリーナにツッコミを入れて居ると、リーナが徐にマサツグの前に立っては守るよう!…クラウディアに説教を始める!
__コッ…コッ……スッ……
「大体!!…クラウディアさんはまず男性が来たらその…
…胸を使って!……誘惑するのを止めて下さい!!…
貴女は由緒有る!!……」
「…はあぁ~…
…そのお説教は何百何千と聞いたわよ?…
別に私だってそう言う下心は…」
「普段の貴方の態度に問題が有ると
言っているのです!!!
いい加減その誤解を招く様な素振りを
何とかしてください!!!…
過去に何度も私達が!!…」
リーナがマサツグの前に仁王立ちしてはクラウディアを前に説教を始め、その説教に対してクラウディアはまた始まった…と言った様子で呆れ出すと、腕を組み胸を強調しては自分は悪くないと主張する!しかしそれでリーナが納得する筈も無く!…寧ろ火に油を注いだ様子で怒り出してクラウディアの思わせ振りな態度が悪い!と言い出し、それを改めるよう指を差して詰め寄っては今までに何度か警察?…衛兵?沙汰になった様子で文句を言い、その文句にクラウディアが徐々に押され何とも言えない苦虫を噛んだ様な表情を見せると、無理矢理話を逸らし始める!
「あぁ~もう!!…分かったわよ!!…
ちょ~っと男の子を構って遊んで
いただけなのに!…」
「ッ!!…ク~ラ~ウ~ディ~ア~さ~ん!!!!」
「ッ!…分かったからそんなに怒らないで頂戴!…
…それよりも!…お次はその白い子ちゃんね?」
「シロです!!」
ちゃんと納得したのかしてないのか?…とにかく分かったと言ってはリーナの説教を無理矢理ぶち切ると何やらブツブツと呟き出し、その呟いて居る言葉がしっかり聞こえたのかリーナが更に怒りを露わにすると、その様子にクラウディアが慌てて宥め始める!…リーナは怒らせると面倒臭い!…その事を理解しているのかまたもやお得意にお説教キャンセルを行使してはシロの方に視線を向け、シロの服を作り出すと意気込み腕を捲って見せると、その言葉にシロは手を上げ返事をする!その際シロは改めて自己紹介をするよう名乗っては笑顔で尻尾を振って見せ、そのシロの様子にクラウディアが心臓を撃ち抜かれた様な反応を見せると仰け反ったまま硬直する。
__ズキュウゥゥゥンン!!!………
「……ッ?…如何したのですか?…」
「嗚呼!…この子本当に可愛いわ!!…
いっその事家の子にしちゃいたい位!!…」
__ッ!?…バッ!!…
「……冗談よ!…
何でそんな二人揃ってその子を護りに掛かるのよ!…」
……何でそのまま後ろに倒れない?…それ位に後ろに仰け反っては背筋の強さを見せつけられ、マサツグとリーナが戸惑う一方でシロはそんなクラウディアの様子を目にすると、状況を理解していない様子で不思議がる。一方その反っくり返ってるクラウディアはと言うとシロの可愛さに母性が目覚めたのか、元の体勢に戻っては引き取りたい!と言い出し、その言葉を聞いてマサツグとリーナが慌ててシロの前に立つと防御の体勢を整える!…もはや息がピッタリの様子で動いて見せ、その様子に守られているシロが戸惑い!…防御に入った二人の様子を見てクラウディアが驚き若干ムスッとした表情を見せると、冗談と言って慌てる二人に文句を言うのであった。




