-第一章八十七節 凱旋とスティングの説明と子狼命名-
子狼の実力を知った所で一同が王都の中へと戻って行くと当然ながら王都内はゴーストタウンの様に静まり返っていた…ちゃんと避難勧告を受けて町の人達は避難したのか、本当ならこの時間は仕事終わりの労働者…冒険者達が繁華街の方に行っては飲み食いしてのドンチャン騒ぎの様子が聞こえて来る筈なのだがやはり聞こえる筈も無く!…そんな事を考えつつマサツグ達が王都の中を進んで居るとその様子にスティングやアムネス、ラインハルトにリーナと悲しそうな表情を浮かべては町の様子を見詰めて居た。そうして玄関口から王城に向かい黙々と進行しているとそれは突如聞こえて来る!…
__……ぼそぼそ!…ぼそぼそ!……ピクッ!…
「ッ!…ん?…」
何処からともなく…いや、建物の中から何か視線を感じてはボソボソと声を潜める様な声が聞こえたのか?…マサツグの頭の上の子狼が突如反応するようその声の聞こえた方を振り向くとジッと凝視し始める。別に敵意を感じて警戒をして居ると言ったモノでは無いのだが、如何にも気になる様子で建物を見詰め、マサツグもそんな子狼の反応に気が付いたのか同じ様に建物の方を振り向くと、モツがマサツグの様子に気が付く。
「…ん?…如何したんだ?…置いて行くぞ?…」
「いや…何かコイツが?…」
__……キャンッ!…
「ッ!…如何した?…何か変なモンでも…」
子狼に釣られて足を止めるマサツグに不思議そうな様子で声を掛け出し、マサツグがモツに呼ばれて反応すると子狼の様子が可笑しいと話し出す。その際また子狼が飛んで行かないよう子狼の頭を軽く手で押さえながら話して居ると、子狼は撫でて貰って居ると勘違いしているのか嬉しそうに頭の上で悶えるてはキャン!と一鳴きして見せる。だがそれでも建物に対しての注目は絶対に解かず!…ただ建物を注視する子狼その様子にマサツグが霊的な物でも見えているのか?と若干困惑した様子で言葉を漏らし…頭の上の子狼に目を向けて居ると、その子狼が凝視して居た理由が今明らかになると言った様子で突如異変が起き始める!…
__…バァン!!…バァン!!!…
バァン!!…バァン!!!…
「ッ!?…な!?…」
「て、敵襲!?…侵入を許し!?…」
「ッ!?…近衛!!…王の守りを!!!…」
完全に戦闘は終わったものだと思い無警戒で歩いているスティング達に奇襲を掛けるよう!…次々に建物の窓が突如として勢い良く開けられると、その様子にスティング達が慌て始める。マサツグとモツも子狼に気を取られた様子で今起きた事に驚いて居ると、自分達の知らない所で侵入を許したのか!?とリーナが考えてはラインハルトが戸惑った様子で兵士達に号令を出し、完全に敵襲と考えた様子で兵士達が隊列を組み直し始めて居ると、その様子も可笑しい事に気付き始める!…何故なら!…
__ワアアアアアァァァァァァァ!!!!!……
「……え?…」
__我らが王は勇敢な賢王なりぃぃ!!!!……
「さすが将軍!!!…古今無双の強者!!!…」
「王妃様素敵ぃぃ!!」
警戒を強めて居たのが馬鹿らしく思える位にその突如開いた窓から投擲されるは、花の形をした紙吹雪!…更に非難した筈の町の人達が次々に姿を現してはスティングやアムネス、ラインハルトを褒め称え!…窓から窓に向けて横断幕が投擲されると、英雄達の帰還と言った様子で凱旋の道を瞬時に作り上げる!…そして建物の影から町の人達が次々と出て来ては王都を護ってくれた事を感謝する様に言葉を投げ掛け、ゴーストタウンから一気に歓迎ムードバリバリの活気ある街に変貌すると、その変わり様にスティング達は戸惑う!…そうして避難させた筈の町の人が居る事に兵士達も戸惑いの色を隠せないで居ると、恐らく重役クラスの役人数名がスティングの前に出て来ては、申し訳なさそうな表情を見せてモジモジとし始める。
__タッ…タッ…タッ…タッ…
「ッ!…君達は!…」
「申し訳ありません!!…国王陛下!!!…
陛下が戦場に出る前に避難勧告を
出したのですが!!…」
「ッ!!……」
役人達数名が出て来るとその役人の顔に見覚えが有るのかスティングが戸惑い、役人達が表情そのままにスティングに頭を下げて謝り始めると、こうなった経緯について話し出そうとする!…しかしそれよりも早くに町の人達が騒めき出し、その様子に気が付いたスティングやリーナ達が慌てた様子で辺りを見渡すと、町の人達は思い思いに思って居る事を叫び出しては更にスティング達を戸惑わせる!
「王様達が俺達の為に戦ってくれてるってのに!!…
オチオチ逃げられるか!!!…」
__ッ!?…バッ!!!…
「そうだそうだ!!!…
例え負けたとしても俺達はここに残る!!!…
必ず復活して帰って来るその時まで
待ってやるさ!!!…」
「ッ!?…おいテメェ!!!…
負ける事なんか有り得ねぇだろうが!!!…
勝手な事抜かしてんじゃねぇ!!!」
__ワアアアアアァァァァァァァ!!!!!……
町の人達はスティング達…王国軍が勝つ!と信じては逃げる気はサラサラ無いと言い出し、役人の避難勧告を聞かなかった!と堂々宣言して見せると、改めてスティング達の勝利を祝う様に紙吹雪を兵士達に向けて散らし始める!それを見て兵士達は今だ唖然とした表情で固まっては町の人達の様子に困惑し、ただ戸惑った様子のまま歓声を浴びて居ると、何故か妙に泣けて来出す!…別に悲しい事など無い筈なのに!…妙に心が震えては涙が込み上がって来る!…そんな奇妙な感情に兵士達が固まったまま困惑し戸惑って居ると、スティングもその感情に涙を流し出しては徐に俯き始める!…
__……スッ……ッ!……
「お、王よ!?…いかが為さい!!…」
「有り難う!!…」
「ッ!……」
「本当に!…有難う!!!……」
スティングが突如俯き出した事にラインハルトやアムネスが戸惑い!…慌ててスティングに駆け寄ると、何が有った!?と状態を確かめる様に問い掛け始める!…しかしスティングの口から帰って来た言葉は状態を説明する物では無く、ただ感謝を伝える言葉であり…その言葉に二人が戸惑って居ると、スティングは町の人達の信頼に答えられた事に感動したのか?…それとも信頼して貰っていた事に感動したのか?…どちらとでも取れる様子で涙を流しており、それを見たラインハルトが気付いた様子で一瞬目を見開くと、スティングの肩に手を置いては数回軽く叩いて見せる!…
「ッ!……よくぞ!…よくぞこの難問を解かれた!!…
将軍としてこのラインハルト!!…
鼻が高こう御座いますぞ!!…」
__ポンッ!…ポンッ!…
「……クッ!……あははは!…すまない将軍!…
私が歩かなければ前に進めないね!……行こう!!…」
ラインハルトがスティングを褒める様に!…まるで父親の様に接するとスティングは涙ながらに笑い出し、顔を上げて前を向くと改めて王城に向かい歩き出す!…パッと見ればそれは余り王様らしい姿では無いのだが何処か感動を覚える姿でも有り…その様子にリーナが感涙しボロボロ涙を零して居ると、マサツグとモツがリーナの姿にではなくスティングの姿に感動する。一国の王として!…そんな良き王様の姿にマサツグ達が感動して居ると、ふと徐に町の人達の方から疑問の声が聞こえ始める。
「……なぁ?…あの美人な騎士様は誰だ?…」
「え?……アレ本当だ…
あんな美人な騎士様居たかしら?…
それも……女性の騎士様なんて?…
騎士団って言えば…」
「あのハイドリヒ率いる騎士団位だよな?…
じゃああの綺麗な姉ちゃんは?…」
感涙しながら歩く王様の後ろ…アムネスにラインハルトと錚々たるメンバーの中に混じって…見知らぬ綺麗な女性騎士が一人…着ているアーマードレスはボロボロに擦り切れ装甲面は剥ぎ取られもはやただのドレス!…そして切られたドレスの合間から白い艶やかな肌が露出しては男性達の視線を釘付けにし、その隣を歩いている冒険者達…マサツグとモツにも視線が向けられると、町の人達が困惑し始める!…
「それに…あの冒険者達は?…
兵士じゃないわよね?…
…一人半裸だし?…
頭にワンちゃん乗せてるし?…」
__ッ!?…
今までの王城勤務のメンバーで見た事が無い!…そんな声が聞こえて来てはマサツグとモツが感動から覚めた様子でハッ!とし、中でもマサツグの格好!…バルデウスのゲイルジャッジメントで吹き飛んだ上半身と頭の上に居る子狼に視線を向けられては明らかに悪目立ちしていた!…そんな奇妙な物を見る視線や言葉を感じ取ると、そろそろこの隊列から逃げようとマサツグとモツが動き出すのだが…
「……じゃあ!…そろそろここ等辺で!…」
「ドロンと!…」
__ッ!…ガシッ!…ガシッ!……ッ!?…
「待て!…何処に行こうとして居る?…」
マサツグとモツが自分達の後ろに居る兵士達を壁に…消えるタイミングを伺って存在を消そうと考えると、まずは兵士達に紛れる様に動き出すのだが…それを良しとしない!とばかりに獣並みの直感と鋭さでリーナが察知すると、マサツグとモツの腕を掴んでは逃がさないと言った様子で引き留める!…その際リーナは本当に疑問の表情を浮かべてはマサツグ達に何処へ行く?と尋ね始めるのだが、引き留められたマサツグとモツからすれば絶望に対しての問い掛けにしか聞こえず…二人が青ざめた様子でリーナに捕まって居ると、リーナに疑問の表情をされてはそのまま連行され始める!…
「……?…何を考えていたのか知らないが…
早く来い!…父上の後を共に追うぞ!」
__ズルズルズルズル…
「あぁ~!!…勘弁してくれぇ~!!…」
「悪目立ちは!!…悪目立ちはぁ~!!!…」
必死に抵抗しようとするがリーナは完全復活した様子でマサツグとモツを連行し、そのまま隊列に入れられてはズルズル引き摺られると広場まで連行される!…すると広場には何故か演説台が設置されてはその周りに人が沢山集まっており、まるで何か喋ります!!…と明らかなまでに注目を集める雰囲気を漂わせていると、その様子にマサツグとモツが嫌な予感を感じ始める!…何故なら!…
__タンッ!…タンッ!…タンッ!…タンッ!…
「……この様に説明の機会まで与えてくれる
国民諸君にまずは感謝を!…
…そして皆を不安にさせた事をここに謝罪する!…
カルト教団の件はちゃんと対処法を考えず
先延ばしにした結果!…この様な大事件に繋がった!…
…本当に申し訳ない!!!……」
__……スッ…
壇上が有る!…と言う事は自ずと功労者の紹介がある!!…マサツグとモツがそれを予見し嫌な予感を感じて居ると、スティングが予め用意されてあった演説台の方へと進み…皆の前で喋り出すとまずは機会を与えてくれた事に感謝をしては次に頭を下げて謝り始める!…そしてこうなった理由…原因について簡単に説明し出すと全面的に政が悪かったと…判断が遅れたと口にし出し、その説明を聞いた国民達がどよめき出すと思い思いにスティングの言葉に対して、自身の考えを口にし始める。
「ッ!?…そんな!?…
王様!!!…頭を上げてください!!…」
「彼方は悪くないじゃないですか!!…
悪いのは全部あの訳の分からない連中で!!…」
「そうだ!!悪いのはカルト教団だ!!!」
「……有難う!!…
そう言って貰えると確かに私達は助かるのだがのだ!…
事実こう言った事が起きてしまった!!!…
こればかりはどうしようもない!…
…ただ謝る事しか出来なくて!…
本当に申し訳ない!!!…」
国民の過半数が王様が悪いんじゃない!…悪いのはあのカルト教団の連中!…と言った様子でスティングに頭を上げるよう説得するのだが、スティングはそれに甘える事無く自分の判断が悪かったと言い直すと、国民に対して深く反省した様子で頭を上げようとはしない!…恐らくリーナの頑固な部分はここから来たのでは?と感じる瞬間に、マサツグとモツが揃って壇上のスティングを見詰めていると、同時にある事を思い浮かべては落胆し始める。
「……モツ?…スゲーよな?…
ゲームの中とは言えさぁ?…
ここまで支持率があるって……」
「……そうだな…
それに比べて俺達現実の総理大臣って……
…はああぁ~~~…
…いっそ取り換えてくんねぇかな?…」
「……取り替えたらヤバい事になるぞ?…」
「ッ!…そうだった!…」
王様のカリスマ!…支持率の高さにマサツグとモツが驚き感心して居ると、シミジミ現実がクソゲーだと思えて来る!…明らかな失敗政策を成功と言い張り…国民の首を絞めては自分は椅子に座ってふんぞり返る!…そんなニュースの映像を思い出しては二人揃って深い溜息を吐き出し、スティングとその総理大臣が入れ替わらないか?とモツが考え始めるのだが、マサツグがこっちの国の事を考えてモツにツッコミを入れると、それはいけない!と言った様子でモツが慌てて考え直す!…そんな架空世界の王様…或いは大臣すら任せて貰えない人間に価値はあるのか?と考えつつ…王様の説明の様子に二人が目を向け続けて居ると、スティングが満足した様子で頭を上げては徐にリーナの方を振り向く。そして手招きするようリーナを呼び寄せ出すとその様子にリーナが困惑し…戸惑いつつも呼ばれるままにリーナが壇上の方に上がり始めると、スティングは突如リーナの紹介をし始める。
「…さて、君達に紹介したい人物が数名居る!!…
今ここに居る彼女!…
この者は今回の元凶を見事打ち払った功労者で
我が騎士団団長であり我が最愛の娘!…
リーナ・ハイデルグ・スプリングフィールドである!…」
__どよッ!?…
「嘘だろ!!あのイケメンが!?」
「とんでもねぇ美人さんじゃあねぇか!?…
てかあの騎士団長様が!?…俺達の…姫様!?…」
スティングがリーナの事を功労者として紹介をする際、騎士団長・ハイドリヒとしてではなく…自分の娘・リーナとして紹介し始めると、その場に集まった国民達が初めて聞いたと言った様子で驚き動揺の声を挙げ出す!…それまで町の人達はやはりリーナの事をイケメンの騎士様と勘違いして居た様子で、思い思いにリーナが女性である事…美人な女性である事を知ると大盛り上がりし、今まで何故秘密にされていたのか?と疑問の声が沸々と上がり出すと、同時に悲鳴に似た歓喜?…落胆?…の声も上がり始める。
__きゃあああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!…
「嘘よ!?…嘘だと行って下さい!!…王様!!!…」
「きゃあああぁぁ!!!お姉さまぁぁぁぁ!!!
素敵ぃぃぃ!!!私をぜひ妹にぃぃぃ!!!!」
「……何か勘違いと言うか何と言うか…
とにかく可笑しな言葉が聞こえるんだが?…」
恐らくはハイドリヒのファンクラブの女性達であろう…その場に集まった国民女性の過半数がハイドリヒファンクラブと言っても過言ではない位に、あちらこちらから色々な声が聞こえて来ると異様な盛り上がり様を見せ始める!…ある者はただ王様から話される真実を信じたくないと言った様子で頭を抱え、またある者は直ぐに順応した様子でリーナに黄色い声援を送り出すと頬を染めて手を振る。その際奇妙なセリフが聞こえて来るとそのセリフにモツが静かにツッコミを入れ始め、徐々に収拾が付かなく…何なら壇上に上がっているリーナまでもが戸惑い出すと、ラインハルトが空気を読んだ様子でワザとらしくクシャミをし始める!
「……フ…フェ!?…
ぶわああぁぁぁっくしょぉぉいい!!!!…」
__ッ!?!?………
その場に響き渡る勢いでラインハルトがクシャミをし、そのクシャミのデカさに国民達が驚くと一瞬にして辺りが静寂に包まれる!…それはまるで爆弾が爆発した様な!…そしてその爆発音に驚き気絶したタヌキやヒツジの様に…とにかく突然の出来事に全員がラインハルトの居る方を振り向き見詰めていると、ラインハルトは鼻を啜りながら壇上に立つスティングに謝り始める。
「ズズッ!…あいや失礼!…
急に鼻が!…王よ続きを…」
「……あ、あぁ…すまない……では続きを…
そんな君達が愛する彼女を支えた勇敢なる
冒険者二人を紹介したい!!…」
「ん?…やっぱりこの流れって?…
ヤな感じが?…」
ラインハルトが謝ってスティングに話を続けるよう声を掛けると、そのラインハルトの力技にスティングが思わず謝ってしまう!…如何やらスティング自身も先程のクシャミの意味は分かっている様子であり、ラインハルトの言葉に甘えて功労者達の説明に戻り出すと、その紹介したい二人が居る事を確認するよう後ろを振り向き笑顔を見せる!…そしてその笑顔を向けられた先に居る者達はと言うと…当然マサツグとモツの二人であり!…その様子に嫌な予感を感じ取りハッとした様子で辺りを見渡すと、ラインハルトとアムネスがまるで二人の逃走経路を塞ぐ様に立っては、笑顔を向けて二人に拍手をしていた!…
「…さぁ!…壇上へ!!…」
「…きょ、拒否権は?…」
「…ッ?……何を言って居るのだ?…
こんな栄誉を?…」
「…ですよねぇ~…」
まるで二人の考えはお見通しと言った様子で背後にラインハルトとアムネスが立って見せ、壇上に上がるようアムネスが声を掛けるとその言葉にマサツグが恐る恐る拒否権の有無について尋ね始める…まぁ聞いた所で分かって居た事なのだが…ラインハルトは理解出来なかった様子でマサツグの質問に答えては質問の意味について尋ね出し、その質問を聞いたマサツグが諦めた様子を見せて壇上に向かい歩き出すと、モツも諦めた表情で壇上に上がり始める。その際モツは普通の格好でボロボロの姿!…まさに激闘を繰り広げたと言わんばかりの格好をしている訳なのだが、その相方はと言うと上半身裸の頭に子狼と…まるで何処かの先住民!…原始人の様な恰好をしており、壇上に上がったマサツグの格好を見るなり国民達が驚き戸惑いの表情を見せ始めると、マサツグは居た堪れない気持ちになる!…
__ざわ!…ざわざわ!!…
{…こうなると思った!…}
「この者達は自身の命を掛けてこの国の為に!…
リーナと共にこの国の脅威と戦い!!…
無事!!…勝利を収めた我が国の英雄達である!!!…
この者達の功績はかつてこの国を同じ様に護った
英雄二人に匹敵する物と私は思う!!!…皆!!…
この者達を一緒に称えて欲しい!!!……本当に!!…
…本当にありがとう!!!……」
マサツグが壇上に上がると予想していた通りの反応…まるで某賭博漫画の様に辺りがザワ付くとモツに視線は行かず、マサツグの姿に国民や色々な人物達が困惑の表情を見せる。マサツグの格好に不思議がる者…激闘が有ったからあの格好と納得する者…中には同業者でマサツグの頭を見るなり面白い!と言った様子でスクショを撮り出す者まで現れる始末!…マサツグ自身もこの状態を容易に予想出来たと言った表情をするともはや悟りを開きそうな気分になるのだが、そこは王様!…見事マサツグとモツの事を褒め称えるとそれに賛同するよう国民達が同意し出し、称賛の声がチラホラ上がり出すとそのザワ付きも消えて歓声ムードになり始める!…
__…ッ!…ッ!!…
わああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!…
「……なぁ?…あんな特殊頭部装備あったっけ?…」
「いや?…見た事ねぇな?…
今回のイベントのレアアイテムとか?…」
マサツグとモツが歓声を受けているその間スクショを撮られているマサツグの頭の上の子狼はと言うと、呑気に欠伸をしては頭にじゃれ付いており…マサツグとモツがスティングからお礼の言葉を貰い握手を求められ!…一通り感謝の意を伝えられてマサツグとモツがスティングに答えると、更に割れんばかりの拍手喝采が辺りを包み込む!…そんな普段感じない光景にマサツグとモツが戸惑って居るとスティングが説明の最後と言った様子である事を国民に向けて話し始める。
「……さて…
最後に明日予定されていた事についてであるが…
皆に告げる!!…」
__ッ!!………
「もう脅威は無くなり妨げる者は何も無い!!…
また平穏を取り戻した!!!…故に!!…
明日から行われる春王祭を!!…
予定通りに行う!!!…」
__どよっ!?…
「皆!!…存分に楽しもうぞ!!!」
スティングが明日の予定について話し出すと一気に祝杯ムードが冷めてしまい、国民全体が悲しい表情を見せ始める…それもその筈…本来この教祖の奇襲が無ければ予定通り明日は春王祭と言う名のお祭りが執り行われ、スプリングフィールド王国全体を活気付ける!…国民が待ち望んで居た一大イベントがあった筈だったのだが…奇襲を受けた事により計画がパァになったと考えると国民達のテンションの下がり様は尋常では無かった…誰もが中止を宣言する…そう考えては暗い表情を見せるのだが、何とスティングは断行する旨を堂々と宣言しては国民を活気付け、共に楽しもう!と声高らかに宣言して見せると国民達のハートを鷲掴みにする!
__わあああぁぁぁぁぁぁ!!!!…
スティング!!…スティング!!…
「……はぇ~…見事に民衆の心を掴んで居るなぁ~…」
「ほんと…こう言う所を見習って欲しいよな?…」
国民達の歓声が更に上がる中…遂にはスティングコールまで巻き上がり出すと、その様子にマサツグとモツが戸惑った反応を見せる!…もしこれが現実なら自粛と称して更に暗い状況を作り出すのだろうが、こっちはその暗い雰囲気を吹き飛ばす様に活気付けては皆で乗り切ろうとする!…そんな有り方に共感したモツがますます現実の総理大臣に悲観した様子を見せて居ると、突如演説台の下からマサツグ達の呼ぶ声が聞こえて来る。
「お~い!…冒険者殿達!!…」
「ッ!…将軍?…」
「もう降りて来て大丈夫だ!…そのままゆっくりと!…」
「ッ!…りょうか~い!…」
下からマサツグ達を呼んで居たのはラインハルトであり、もう降りて来て良いとまるで二人の心情を知った様子で声を掛けると、マサツグとモツは直ぐに了解した様子で壇上を後にし始める!…その際国民達の視線は全てスティングに向けられてはマサツグとモツの事など気にしていない様子を見せており、それを好機と言った様子で二人が壇上を後にするとラインハルトが二人にある事を話し出す。
「…いやいや!…大役ご苦労!…
いつの時代も必ず英雄と言う者が必要になる!…
今回はそれが冒険者達と言う事で…
…っと言いたい事はこれでは無い!…
……王より伝言を預かっている!…
このまま宿屋に泊まると大変だろう…
二人とも城の客室に泊まれと王の言伝だ!…
今日は王城にてゆっくり休まれよ!…」
「え?…でも…良いんですか?…」
「ッ!…はっはっはっは!…
何を今更遠慮なされるか!…
冒険者殿達は我が国の英雄!!…
我々が持て成さなくて如何する!!…それに…
もう既に泊まった事もあるでござらんか?…
何も問題は無い!!……」
ラインハルト先導の下…壇上を後にしたマサツグ達がラインハルトから有り難いご高説を聞かされるのだがそれも直ぐに中断され…王様からの伝言をラインハルトから聞かされるとその内容にマサツグとモツが驚き戸惑う。内容は至ってシンプルで王城に泊って行けと言う物であり、その話を聞いたマサツグがラインハルトに戸惑いながらも確認を取り出すと、その言葉を聞いたラインハルトは笑い出す!そして遠慮は要らないとばかりに話し出しては将軍自らその王城へと案内するようマサツグ達を先導し始め、その先導に戸惑いながらもマサツグとモツが付いて行こうとすると、その道中…マサツグは徐に悩んだ表情を見せて唸り出す…
「……うぅぅぅぅぅぅぅぅぅ~~~~~~~~~……」
「……いや長い長い長い長い!!…
ってか何そんなに?…」
「ッ!…よし!!…決めた!!…」
「いや何を!?…」
マサツグが唸る様に悩み出し、その唸る声がずっと続くとモツがウザいと言った様子でツッコミを入れ始める!…その間マサツグは一呼吸で一定の間隔…ずっと唸り続けており、モツがその事に驚きつつもマサツグが唸っている理由について尋ねると、何の脈絡も無くマサツグの悩みが解決される!…その際モツの言葉は全然届いていない様子で放置され、モツがその事についてもツッコミを入れて戸惑いの表情を見せて居ると、今度はそのツッコミを聞いたのかマサツグがモツの問い掛けに対して返事をする様に答え出す!
「……シロ!…今日からコイツの名前はシロだ!!…」
__ッ!…キャンッ!…
へっへっへっへっへっへっ!!…
モツの問い掛けに対して一方的に答えるよう!…マサツグが突如自身の頭から子狼を引き剥がすと、まるで某ネズミー作品・獅子王の名場面の様に!…子狼を抱き掲げて見せては名前を決めた様子で口にする!…すると子狼はその名前を気に入ったのか暴れる事無くマサツグの手の中に納まって居ると、キャンッ!と一鳴きしては全力で尻尾を振り出し…この時モツはマサツグの格好を見て頭の中でゴマダレ~♪の効果音が流れ、名前よりマサツグのポーズの方が気になると言った視線をモツが向けて居ると、少ししてからハッとした様子でマサツグに質問をし出す。
「……ッ!…えっと…良いのか?…その名前で?…」
「え?…何で?…」
「確か名前って……うん…
一度決めると特定アイテムが無い限りは
変更出来ないからだが?…」
「…良いじゃないか!…
変にカッコつけた名前にするとコイツにも良く無いし…
なぁ、シロ?…」
モツがマサツグに質問した理由は名前の決定・変更についての事であった。このゲームは基本名前を決めるとモツの言う名前変更のアイテムが無い限りは変える事が出来ない!…理由としてはサーバーの負荷軽減・ブラックリスト…その他にもNPCとの友好関係に基づく数値の平常移行等…色々理由が有るらしい。ペットの場合も同じで一度決めると同じ様に変更が利かなくなり、お遊びで付けた名前等の場合は取り返しが付かなくなるからである。そう言った点を踏まえてマサツグに本当にそれで良いのか?とモツが子狼の名前について質問をすると、マサツグは後悔は無いと言った様子でモツに返事をし、改めて掲げる子狼にシロと名前を付けて呼び掛けると、子狼は自身の事をシロと自覚したのかキャン!と鳴いて返事をする。
__キャンッ!…へっへっへっへっへっへっ!!…
「……まぁヤブがそれで良いのなら良いけど…
何かシロって聞くと一発芸で綿あめとか覚えそうで…」
「……モツ?…それ違うシロや…」
マサツグとシロが互いに納得した様子で返事をし合い、その様子にモツが若干の引っ掛かりを覚えつつ何も言うまいと言った様子で納得すると、思わず考えた事を口にし始める。この時…モツの口から出て来たシロは某有名幼稚園児アニメに出て来る飼い犬の方で、マサツグもそれを瞬時に理解しモツにツッコミを入れて居ると、徐々に目的地の王城が近付いて来る。その際リーナもあの広場から抜けて来たのかいつの間にかマサツグ達の後ろを追い駆けて来ており、一緒に王城へと辿り着くとそこには既に連絡を受けて待機していたと言わんばかりにメイドさん達が玄関に整列していた。
「ッ!…お待ちしておりました!…
冒険者様…姫様…」
「ッ!……」
整列するメイドさん達がマサツグ達に対しお辞儀をして出迎え、その姿にマサツグが思わず警戒してマジマジ確認し始める!…何故ならこの中にまたアムネスが隠れて居るのでは?…と考えてしまうと何か仕掛けられていそうな気がして仕方が無いからであり、そんな事など知らないモツとリーナはマサツグの様子に戸惑い、如何かしたのか?と困惑気味に尋ねると、まるでマサツグの事をメイドフェチと誤解した様子で見詰め始める!…
「…マサツグさん?…何を?…」
「え?…あぁ…いや…別に…」
{…見た限り王妃様は紛れて居ない!……はあぁ~…
メイドさんを見ると反射的に
警戒してしまう様になったな?…}
「……いや、まさかな?…」
「……マサツグはあぁ言った者が良いのか?…」
そしてそんな視線に対してマサツグは気付いていないのかただ誤魔化す様に返事をし…メイドさん達の中にアムネスが居ない事を確認すると、ただ一人安堵した様子でホッと胸を撫で下ろす。そうしてマサツグはモツとリーナの二人に誤解をされたまま…それぞれ用意された部屋へ案内されると部屋の中へと入って行き、以前泊まった部屋と全く同じ部屋に案内されると、何故か嫌な予感を感じ始める。
__…バタンッ!…
「……偶然かな?…
あの時泊まった部屋と間取りが全く同じなんだが?…」
__……ポスッ!…
「……まぁ…そんな事も如何でも良い位に…
はあぁ~…疲れた…」
嫌な予感を感じつつもマサツグがフラフラとしながらベッドの方へ歩いて行くと、ベッドの上にシロを降ろして自分もそのベッドに倒れ込むよう横になる…すると今までの疲れが今更になって出て来た様子で体が重くなり、そのまま眠気に誘われるようウトウトとし始めると、今まで起きた事がゲームの中とは言え激しい一日であった事にただただ溜め息が出る…そうしてベッドに倒れたままゲームをログアウトをすると、後は現実の方でご飯を食べて風呂に入り…マサツグ自身も疲れたと言った様子で眠りに就くのであった。




