-第一章七十八節 騙しの策略と降臨の儀式と黒い渦-
「バ…馬鹿ナ!…コンナ!…コンナ筈デハ!?…」
廃墟奥…祭壇の前でデュへインが鳩尾に風穴を開けては固まって動かなくなり…リーナは技を放ち終えた状態で硬直…マサツグとモツがガッツポーズから戻るとリーナも技を放った硬直から徐々に解放されるよう体勢を整え直し、三人が一段落した様子でその場に立ち尽くして居るとデュへインがボソボソと喋り出す。まるでこうなる事を予想して居なかった…とそんな嘆きの言葉を口にしては絶望の表情を見せており、その場から動く事無くやられた時のポーズで固まって居ると、リーナがマサツグとモツの方を振り返り慌てた様子で駆け寄る。
__……ッ!…バッ!…
「マサツグ!!…モツ!!…」
「ん?…おぉ!…お疲れさん!!…
いやぁ~!…これで終わったな!…
大平原の方でも今頃…」
__ガッ!!…へ?…ッ?…
駆け寄る際リーナがマサツグとモツの怪我を心配するよう名前を呼ぶのだが、慌てるリーナを余所にマサツグとモツはと言うと終わった!とばかりにやり切った表情を見せては大きく伸びをしていた。そしてリーナに呼ばれた事に対してのん気に返事をすると労わり言葉を掛け始めるのだが、リーナはマサツグに近付くなり突如勢い良く服の裾をガッ!と掴んで見せてはその行為にマサツグが戸惑い!…モツも何をするのか?と疑問の表情でその様子を見て居ると、リーナは何を思ったのかマサツグの服を捲り上げ、背中に受けた筈の傷を確かめ始める!
__ガバァ!!…
ッ!?…い、いぃやあああああぁぁぁぁぁ!?…
「ちょ!?…な!?…リ、リーナさん!?…」
「うるさい!!黙って居ろ!!傷は!?…
傷は如何なんだ!?」
「いぃやあぁぁぁぁぁ!!!!
何とも無いから!!…
大丈夫だから服を降ろさせてくれぇ~~!!!」
突如リーナがマサツグの服を捲り上げた事にモツが戸惑い、マサツグは服を捲り上げられている事に悲鳴を上げる!…そんなリーナの様子にモツが慌てた表情で質問をするのだが、リーナは何かに焦っているせいかモツの話に耳を傾けようとはせず、ただマサツグの服を脱がそうと必死になる!マサツグはマサツグでリーナに服を脱がされまいと抵抗しては悲鳴を上げ続け、先程までの雰囲気ぶち壊し…その場が一気にカオスな状態になり出すとモツが戸惑った様子でリーナを羽交い絞めにして止めに入る!
__ガバッ!!…
「ちょ!…ちょっと落ち着け!?…
一体何が有ったって言うんだ!?…」
「ッ!?…は、離せモツ!!…
私には部下の傷を確かめると言う義務が!!…」
「ぜぇ!…ぜぇ!…
…け、軽装とは言え上から鎧を着て居るのに
脱がそうとして来る!?…
怖ぇよ!?…一体如何した!?…」
モツが羽交い絞めにしてもリーナは尚激しく抵抗し、その抵抗にモツが戸惑いながらも質問するがリーナは聞く耳を持たないのか、謎の使命感を口にしてはマサツグに向かって手を伸ばす!…モツの助力によって解放されたマサツグも息を切らしては一度リーナから距離を取り、改めてリーナの腕力と突然の行動に困惑した様子を見せて居ると、暴れるリーナの方を振り向いては戸惑いながらも質問をする。その際マサツグの言葉は通じるのか質問を聞いたリーナはハッ!とした反応を見せては徐々に落ち着きを取り戻し、それに伴いモツも徐々にリーナの拘束を解き始めると、リーナは俯きその理由を話し出す。
__ッ!?……ッ!…スッ……
「……あの教祖に止めを指す前に…
二人がやられた傷が気になって…つい…」
「え?…あぁ!…あれ?…
いや別に大した事は…」
リーナは反省した様子で俯いては迫った理由をデュへインの魔法弾と話し出し、改めて二人の怪我を心配した様子でチラッと視線を向けて確認すると、申し訳なさそうに両手の人差し指同士をくっ付けてモジモジとし始める。リーナは自分達の心配をしていた…そんな返事が返って来た事にマサツグが戸惑った反応を見せるも、リーナの様子に心配掛けまいと感じたのかと大した事は無い!と言い出すのだが、リーナは二人がやられるところを見てトラウマになったのか、そんな筈は無い!と強くマサツグに反論すると心配及び怒りを覚えた表情で詰め寄り始める!
__ズイッ!!…ッ!?…ガッ!!…
「嘘を言うな!!アレだけ吹き飛ばされたのだぞ!?…
大した事が無い訳無いだろが!?…
…それどころか何故無事なのだ!?…
あの時確かに二人はやられて!?…」
「だああぁぁぁ!!分かった!…分かったから!!…
一から説明するから!!詰め寄って来るな!!…」
「……ッ?…え?…それって如何言う…」
リーナがマサツグに詰め寄りモツが慌ててリーナの腕を掴む!…そしてまるで我先に行こうとする飼い犬のリードを引っ張る飼い主の様にモツが抵抗して見せるのだが、リーナは全く止まる気配を見せず…寧ろモツを引きずる勢いでマサツグに詰め寄って見せるとまた服に手を掛けようとする!…そんなリーナの様子にマサツグが文句を言う様に叫んで埒が明かないと感じたのか、とにかくリーナを安心させようと自分達が無事である理由を話すと言い出し、その話を聞いたリーナはまるであの時何か仕掛けたのか?と困惑の表情を見せると、マサツグは落ち着いた様子で咳払いを一つしてから今こうして無事で居る理由について話し始める。
「ゴホンッ!!…えぇ~っと…
まずはモツが撃たれた時の話だな?…
アレに関しては演戯とかじゃなくて
マジで喰らったんだと思う!…
何せ体力見たら一撃で三割減って居たから…」
「ッ!?…さ、三割!?…
って体力?…何を言って?…
まるで他人の生命力が見えて居る様な言い回しを?…」
「あぁ~…そこの所は気にしないでくれ…
…まぁ…冒険者の特技だとでも…
…じゃなくて!…モツがあの魔法弾で倒れされた時!…
俺達は振り返ったろ?…
モツがやられた!と思って慌てて居たんだが…
あの時に実はモツに意識が有って…
魔法弾を食らった後モツは俺に合図を送っていたんだ…
死んだふりをするって…」
マサツグが最初の機転であるモツがやられた所から説明し始めるとリーナは戸惑った様子でマサツグを見詰め、有る言葉に引っ掛かりを覚えるとリーナは疑問の浮かんだ表情でマサツグに質問をする。それはマサツグがモツのHPを確認していたと言う話であり、NPCは当然他人の体力など見れる筈も無く…マサツグからHPを確認していたと言う話を聞いては理解出来ない…と言った疑問の表情をリーナは見せていた。そして疑問を呟くリーナにマサツグはしまった!…と言った表情を見せるも、今は関係無いと言っては説明の続きを話し出し…モツが合図を送って来た事をリーナに話すと、リーナは戸惑いの言葉を漏らしながらモツに視線を向ける。
「え?…」
「いやぁ…ちょっとした賭けだったんだがな?…
あ~言った奴が敵を倒し終えた後って必ずって
言って良い程…油断するんだよなぁ~?…
あの時とにかくあの魔法の猛襲がウザかったし…
何とか止められないかって考えていたんだけど…
そん時にアレ喰らってさ?…ヤバッ!…
って思ったんだけど喰らったと同時に思い付いて…
…っで、その事をマサツグに合図したら…」
「俺も乗るって言うね?…あははは…
ちゃんと喰らう直前で回復のスプラッシュポーションを
投げておくって言う…完璧なフォローも入れたし…」
「………。」
リーナが戸惑いつつモツに視線を送ると今度はその補足説明をする様にモツが説明の続きを話し始め、思い付いたきっかけにその時のモツの思考…土壇場で思い付いた事に自分でも戸惑ったがデュへインの性格を読んで演戯したと話し出し、その話に乗っかるようマサツグもモツから合図を貰った時…自分もモツの案に乗ってアフターケアまでこなしたと苦笑いしながら話し出す始末…完全に運任せの二人の作戦にリーナがぽか~んと呆れた様な表情を見せると無言で二人の話に耳を傾け、何か思う所が有ったのか徐々に俯き出しては一人プルプルと肩を震わせ始める!…しかしそんなリーナの様子など目に入って居ないのか、モツとマサツグは互いを褒め合う様に笑い出し始めながらまだ土壇場の話を続けていた。
「…ってかアレ良くあの土壇場でやって見せたよな!?…
直撃喰らって手元絶対狂ってた筈なのに!?…」
「いやぁ~…アレは完全にまぐれだぜ?…
だって当たれば良いな?…
って、思いながら投げたもん…
耐える自信はあったから…」
__あははははははは!!×2
「……なるほどな?…そう言う事だったのか…」
__ッ!?…そろ~…ッ!?…
モツはマサツグが土壇場にやって見せた演技を見ていたのか、スプラッシュポーションの話を掘り返してはモツが大笑いし、マサツグも無事にポーションが自分達に当たった事をまぐれと言っては大笑いする!…その際攻撃を耐えれる自信が有ったと話しては二人揃って後日談と言った様子で大笑いし続け、その二人の様子を見てリーナが怒りに声を震わせて居ると、マサツグとモツが漸くリーナの様子に気付いた様子でハッ!とする!…そして互いにリーナの方を振り向くとそこには怒りに肩を震わせ目に若干の涙を溜めるリーナの姿が有り、その表情を見たマサツグとモツが血の気が退いた様子で青褪め始めると二人揃ってリーナに正座しては謝り始める!…
__ザザザッ!!…
「わ!…悪かったって!?…
これもアイツを騙す為の策略で有って!!…」
「そ!…そうだぜ!?…
敵を騙すのもまずは味方からって言うだろ!?…
そ、それにもう終わった事なんだから
そんなに怒らなくても!!…」
「……終ワリ?…フフ!…フフフフ!……
タシカニ終ワッテマスネェ?…」
「……え?…」
マサツグとモツが心配かつ怒りの表情を露わにするリーナに対して言い訳&謝罪の言葉を言い出し、頭を下げて謝って居るとリーナは両手を
腰に当てて二人を見下ろす!…その際リーナからはまるでクラリスお怒り時同様のあのゴゴゴゴゴ!!…と言う効果音が聞こえて来そうな雰囲気を感じ取るのだが、たまたまマサツグが言った終わったと言葉に反応するよう…死んだと思われたデュへインから突如言葉が聞こえて来ると、マサツグ達は戸惑った様子でデュへインの方に視線を向ける。するとそこには今だリーナにやられた状態で固まっては小刻みに震えるデュへインの姿が有り、何やら笑っている様にも見えるその様子にリーナが更に怒りを燃やすと、その怒りをぶつけるようデュへインに質問をする。
「ッ!!…貴様ぁ!!何が可笑しい!?…」
「……フフ!…フハハハハハハハハハ!!!…
アァ~ッハッハッハッハッッハッハ!!!…
アアァ~~~ッハッハッハッハッハッハッハ!!!!」
「ッ!?…」
「可笑シイ?…
ソレハモウ可笑シクテ可笑シクテ
堪リマセンネェ!?…
今ノデ私ヲ倒シタト勘違イナサッテ
居ルノデスカラ!!!…」
リーナの怒りの矛先がデュへインに向いた事でマサツグとモツが若干ホッとして居ると、リーナの質問に対してデュへインが徐々に笑い声を大きくし始める!…それはまるで悲願が成就した様な歓喜の笑い声に聞こえ、マサツグとモツもそんなデュへインの様子に嫌な予感を感じ取るといつでも動けるよう身構え始めるのだが、デュへインは態度を改める事無くマサツグ達を馬鹿にするよう…自身に止めを刺さなかった事を後悔するよう言い出すと、その言葉に反応するようまるで大気が震えるかの様に突如廃墟全体が震え始める!…
__ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!…
「ッ!?…な!?…何だ!?…何が起きようと!?…」
「アア!…漸ク!!…
漸クアノ方ガコノ地ニ降臨ナサレル!!!…
長カッタ!…長カッタ儀式ガ漸ク終ワリ!!…
魔王様復活ノ儀式ハ!!!…今ココニ!!!…
漸ク完遂シタノダァァァァァ!!!!!
アァ~ッハッハッハッハッッハッハ!!!…
アアァ~~~ッハッハッハッハッハッハッハ!!!!」
廃墟全体が揺れ出しマサツグ達が戸惑いながらも辺りを見渡すが怪しい物は何処にも無い!…有るとするなら最初から最後までそこから動こうとしなかったデュへインの後ろに有る祭壇位で、祭壇からは相変わらず黒い瘴気が噴き出し、天井を包み込み見通しを悪くして居る位であった…そんな揺れる廃墟内でデュへインはただ一人歓喜した様子で吠えて!…今までの苦労が報われた!とボロボロの動かない体に鞭を撃って祭壇の方を振り向き、片膝を立ててしゃがんで祭壇に祈るよう両手を合わせて大笑いし続ける!そんなデュへインの様子にマサツグ達は戸惑いっぱなしなのだが、突如ここである事を思い出したのかモツが戸惑いの言葉を漏らす!…
「ちょ!?…魔王!?…そんなの聞いてな……あっ!…」
「ッ!?…如何したモツ!?…」
「……そう言えばこの討伐イベント…
何か隠しギミックが有る様な事言ってなかったっけ?…」
「え!?……あっ……」
__ヴウン!…
モツがある事を思い出すと途端に困惑の表情を見せ始め、マサツグがモツの様子に気が付き質問すると、モツはこの討伐バトルの詳細について語る…詳細に書いてある隠しギミックの文字…これを思い出した様子でマサツグに話し、マサツグが戸惑いながらもその画面を開いて確認した。更に自分達でも一度話題に出した事を思い出すと、途端に二人揃って嫌な予感を感じ始める!…今だ揺れが収まらない教会の廃墟!…祭壇で祈りを捧げ高笑いする教祖の周囲が一気に禍々しい空間に変わり出し、それと同時に目の前に黒い渦が突如現れ、その渦内では雷が迸る!…それは本当に魔界の扉が開いたかの様な光景…オンラインゲームでここまで魅せるのかと三人はその光景を見詰め続けて、思わずマサツグが感動する!…
__ゴゴゴゴゴゴゴ!!!…
ピシャアァン!!…ピシャアアァァン!!!…
「ッ!?…おぉ!…すげぇ!!…」
「感動している場合か!?…如何するんだよ!?…」
「ッ!?…いかんいかん!!…
如何ったってやるしかないだろ!?…ほれ!!…」
「ッ!…これは?…」
感動するマサツグにモツが慌てた様子でツッコミを入れるとその黒い渦を如何するかと尋ね!…マサツグはモツのツッコミを受けてハッ!と我に返った様子を見せると、自身のアイテムポーチを弄りながらモツに返事をする!…その際アイテムポーチから若干明るい色をした炭酸の入った小瓶を二本取り出し、その内の一本をモツに渡すよう投げるとモツは戸惑いながらもキャッチする。そして突如渡された小瓶を指差してはマサツグに質問し始めるのだが、マサツグはその手渡したアイテムの名前だけを答えると後の判断をモツに任せる。
「ブルーベルズの道具屋で売ってたエリクサー。
後は…わかるな?」
「あっ…はい…」
__…パキュッ!…ガッ!…
…コキュッ!…コキュッ!…コキュッ!…コキュッ!…
マサツグは疑う事無くモツに用途は分かるよな?と尋ねると、その問い掛けに対してモツはお約束と言った様子で反応してはマサツグに返事をする。やっぱり魔王と戦う事になるのか…そんな諦めの表情を見せながらもエリクサーの封を切ってはまるで風呂屋で風呂から出た後…腰に手を当て牛乳を飲む様にグイッと中身を一気飲みすると、口の中で炭酸が弾けてはシュワシュワと刺激を与え始める。そうして小瓶の中のエリクサーを全部飲み切って少しすると体の中で何かがドクンと脈打ち体が少し跳ねたと思えばモツのHP・TPが全快する!
__…ドクンッ!…ぱあああぁぁぁ!…
「…げっふぅ!!……ごちそうさん!!」
「……げっふぅ!!!…
これ…結構炭酸効くな!…
…癖になりそう…」
__……ッ!……チャキッ!!…
モツがHP・TPを全快させるとマサツグもエリクサーを飲んだのかげっぷをしてHP・TPを全快させ、エリクサーに対してマサツグが癖を感じて居ると、隣でモツが危ない人を見る様な流し目でマサツグを見始める。そんな冷たい視線にマサツグが気付き戸惑いを覚えるのだが、互いに準備が出来たと言った様子で武器を手に構えると、目の前に見えている黒い渦を見据える!…そうして勝てるかどうかも分からない相手に対してマサツグとモツがやる気を漲らせて今か今かと身構えて居ると、全く逃げる気無しの二人の前に突如リーナが立っては二人に指示を出し始める。
__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ……チャキッ!…
「ッ!…リーナ?…何を?…」
「…マサツグ達は逃げろ!…」
「……は?…」
突如自分達の前にリーナが立っては武器を構え出した事にマサツグとモツが戸惑いを覚え、マサツグがリーナに対して何をしているのかと困惑気味に尋ね出すと、リーナは真剣な様子で二人に逃げるよう指示を出し始める!…当然やる気になっていた二人は突然の撤退命令に納得が行かないとばかりに戸惑ってはもう一度訪ねる様に言葉を漏らし、そのマサツグ達の言葉が耳に入ったのかリーナが急かす様に再度マサツグ達に指示を出すと、その理由を話し出す!…
「マサツグ達は逃げろと言ったのだ!!…
このまま本当にアイツが言った様に魔王が
出て来るのなら間違い無くこちらに
勝ち目はない!…ならば私に出来る事はただ一つ!…
せめてマサツグ達だけでも逃げれる時間を稼ぐ事だ!!…
マサツグ達が無事森を向けてくれればまだ師匠や
お父様に報告が出来る!…
…ここまで付き合ってくれた事を感謝するぞ!!…
ここは私が!!…例え刺し違えてでも!!!…」
「………。」×2
リーナは魔王との戦闘になった場合既に勝てないと思い込んで居るのか、二人だけでも逃がそうと考えて生き残れば御の字とばかりに自分なりの最善策を口にする。最悪魔王と刺し違えると言い出し完全に捨て駒になる気でいるとばかりに、焦りながらも冷静に淡々とマサツグ達に説明をするのだが、そんなリーナの話を聞かされたマサツグとモツはと言うと徐に構えを解いては数秒間黙る。そしてマサツグが徐にリーナの背後に回ると腰に差していた刀を鞘ごと抜き取り出し、リーナの後頭部目掛けて掲げると軽く小突く様に振り下ろす…
__……スッ……コンッ!…
「ダッ!!…ッ~~!!…ッ!?…な、何を!?…」
「だ~れが逃げるか!ぶわあぁ~か!!」
「なッ!?…」
マサツグが振り下ろした刀が丁度リーナの旋毛に当たると、リーナが痛みで前屈みになっては慌ててマサツグの方に振り返る!…するとそこには心底呆れた表情で刀を振り下ろしたであろうマサツグの表情を有ってはリーナの事を見下ろしており、その表情にリーナが戸惑いマサツグに対して何をすると文句を言おうとするのだが、マサツグはリーナの話に割って入るよう表情そのままに逆に文句を言うと、更にリーナを戸惑わせる。全く反省の色無し!…それどころか逃げる気もサラサラ無い!…マサツグの隣でモツも呆れた表情を見せてリーナを見下ろしており、そんな二人の様子にリーナが混乱しているとマサツグ達は文句が有るとばかりにリーナにこう話し始める!…
「いいかよく聞け!?…
こっちはあの教祖を倒す為に来たんじゃあねぇんだ!!…
お前の護衛でこうして来てるんだ!!…
護衛対象ほったらかしで逃げたら
俺達が怒られるだろうが!?…」
「ッ!?…だっただその護衛を!…」
「ばっか!!…ホント馬鹿!!…いいか!?…
ここまで来たらもう一蓮托生なんだよ!?…
それにここまで来て逃げるとか俺達の
プライドが許さない!!…
お前は友達を置いて逃げる事が出来るかっての!?」
「ッ!?……」
マサツグが呆れた様子で文句を言い出してはまず依頼の件で離れられないと言い出し、その文句に対してリーナが慌てた様子で解除する様に言うが、マサツグはそれだけでは無いと言った様子で更に文句を言い続ける!…その際照れ隠しも入った様子で罵倒の言葉を口にし、今更逃げられない!…リーナの事を友達と言っては絶対に見捨てない!と、覚悟を露わにした様子で話してはその言葉にリーナが衝撃を受ける!…マサツグを見詰めては目を見開き、ジッと驚き戸惑った表情を見せては目に涙を溜め始める!…まるでここまで言ってくれる者はマサツグ達が初めて!…そんな感情を見せるようリーナが静かに涙を流すと、マサツグが黒い渦の方を向き直しては武器を構え直し!…リーナに身構えるよう言葉を掛ける!
__スゥ…ブォン!!…
「安心しろ!!…
こうなりゃとことん付き合ってやる!!!…
地獄の底だろうが何だろうが!!!…
お前の気が済むまで付き合ってやるさ!!…
それに付き合うのが友達ってモンだろ!?…」
__ッ!?……
「………おいおい!…
…俺も居る事を忘れるなよ?…
バックアップは任せろ!!…
出来る限りの事は尽くしてやる!!…
思いっきりやってやるぞ!?」
「……スン!……マサツグ!…モツ!……ッ!!…」
マサツグとモツが改めてやる気になり黒い渦に対して武器を構え始めると、リーナに付き合うと公言する!…最後の最後まで諦めない!…本人はそういう意味で言ったつもりなのだが、聞きようによってはまるで告白の様にも聞こえ…リーナがその言葉に顔を赤くし、モツがオォ!?と何か言いたげな表情を見せると、思わず茶々を入れたくなる!…しかし今はそんな場面では無いと空気を読んだ様子を見せては二人の援護に回ると言い、マサツグとモツ…それぞれが武器を構え出し二人がリーナの様子に目を向けて居ると、リーナは涙を拭い剣を構え始める!…リーナの両脇にマサツグとモツ!…目の前には今まさに何か凶悪な物が召喚されそうな黒い渦と、ゲーマーならテンションが上がりそうな光景なのだが、ここでリーナは何を思ったのかマサツグの名前を呼ぶと何やら不穏な言葉を並べ始める!…
「……マサツグ!…」
「ッ!…如何した!?…怖いのか!?…」
「もし…もしこの戦いが終わったら…」
__ッ!?…
マサツグがリーナに呼ばれて返事をするとリーナの戦意を煽るよう追加で言葉を口にするのだが、そのリーナからは煽られる様子も無く何やら予想外の言葉が返って来る!…それはとってもとっても危険な香りのする台詞で有り!…リーナの口から出て来た事にマサツグとモツが最後まで言わせまいと瞬時に反応すると、二人揃って構えを解いては慌ててリーナの口を押さえに掛かる!
__バッ!!…ムグッ!?…
「ストーーップ!!!ちょっと待った!!…
何で急にお前!!…
死亡フラグを立てようとするんだ!!」
「ん…んんん?…
んんんんんん?…
んんんんんんん……」
「だあああぁぁぁぁ!!!分かったから!!…
んな事は本当に何もかも終わった後で良いから!!…
後にしてくれ!!!…
…ってか、その言葉だけは絶対に言うな!!!」
突如マサツグとモツに口を押えられてリーナが困惑すると二人の様子を確認するのだが、マサツグとモツはリーナが言おうとした言葉に恐怖を覚えた表情をして必死にリーナの口を押さえ続けていた!…これ以上喋ってはいけない!…そんなツッコミを入れるよう口を押えては使命感すら感じられる必死の形相にリーナが更に困惑の様子を見せ、マサツグ達に口を抑え付けられながらも戸惑いの様子で問い掛けると、マサツグが絶対に喋らせないと言った鉄の意志で吠えては後で聞くと興奮した様子で答える!その際隣ではモツが全力で首を縦に振ってはマサツグの言葉に同意する意思をリーナにアピールし、そのモツの様子にリーナがもはや何が何だかと言った様子で渋々同意すると静かに頷く…
__……?…コクリッ…
…スッ…ふぅ~~~!!!…
「………。」
リーナは納得行かないと言った困惑の表情を見せるも渋々頷き…その頷くリーナの反応にマサツグとモツも安堵した様子で手を放すと、危なかったぁ~…と言った具合に溜息を吐く!…その際二人はまるで世界は救われた!…と言わんばかりの笑顔を見せると、その様子にリーナはやはり解せない!と言った表情を見せ!…自分にとっても思う所がある言葉であったのだが、言うな!と言われた事に如何にも納得が行かず二人を睨み!…そのリーナに睨まれている二人も何とかフラグを回避したと自身の心の中でも安堵すると、正しい事をしたと自身に言い聞かせる!…
{あ…あぶなかったぁ~~!!…
アレ絶対言わせちゃダメな奴だったよな!?…
モツ(ヤブ)も慌てて抑えてたし!… ×2
俺達間違ってないよな!?…}
__ゴゴゴゴゴゴ!!!…ピシッ!!…ピシシシ!!…
「ッ!…
如何やら無駄話タイムもここまでの様だぞ!?…」
「ッ!…あぁ!…そうだな!…」
そうしてフラグ建築が行われそうになったのをマサツグとモツが阻止して居ると、黒い渦の方では中心部に突如謎のヒビが音を立てて入り出し、その様子に気が付いたマサツグが改めて構えるよう二人に声を掛けると、三人揃って身構え始める!…その一方で黒い渦に突如出来たヒビの方も徐々に大きくなってはまるで次元の裂け目の様に亀裂が出来始め、その亀裂から瘴気とは違う黒い空気が流れ込んで来ると、より一層三人が警戒を強める!…
「さぁて!…こっからが本番だ!!…
モツ!!リーナ!!…気ぃ引き締めてけよ!?」
「言われなくても!!!」
「そのつもりだ!!!」
徐々に開き広がる亀裂の向こうからは何やら鋭い眼光が見え、それと同時に出て来る黒い空気も床に溜まるよう流れ出て来ると、妙に嫌な感じを覚える!…これと言って負荷が掛かって居ると言う訳では無いのだが、背筋に冷たいモノを感じる様な…そんな嫌な気配を感じると、思わず三人は武者震いをしてしまう!…そうして亀裂の向こうから品定めをして来る様な視線を感じつつ…マサツグ達が身構え魔王の登場を待って居ると、その亀裂の向こうから何者かが近づいて来る気配を!…マサツグとモツとリーナは静かに感じ取るのであった!…




