-第一章七十四節 アデリアの反撃と後味が悪い結末と僅かな休息-
__サクンッ!!…
「よっと!…さぁ~て?…
後ろも取った事だし、降参してくれないかね?」
「身動きも取れないようだし?…
これでチェックメイトって奴だな?…
出来れば無駄な消費はしたくないし…
今ならまだ見逃してやるぞ?…
勿論…今後悪い事をしなければ!…だが?…」
アデリアの攻撃を回避し、リーナは一人何が起きたのか分からない状況下…マサツグとモツの二人から離れた所からアデリアの背中を取って、まるで処刑人の様に背後から剣を突き付けアデリアに交渉し始める二人の姿を見る。その際二度と飛ばれないよう羽根を貫き無理に動かせば傷が広がる様にするとアデリアとリーナが一瞬の出来事過ぎて分からないとばかりに戸惑った表情を見せる。
「ッ!?…あの時と一緒だ!…
御前試合で見たあの一瞬の動き!!…
それもモツまでやって見せた!?…
今まであんな機敏に動いて居る所なんて
見た事が無いのに!…一体如何やって!?…」
「ッ!?…また消えて!?…ッ!!…羽根が!…
動かすのは不味いですね!…」
「あんまり女性に剣は向けたくは無いけど…
仕方ないよな?……で、如何するの?…」
リーナが地面から立ち上がり二人の様子を見ては剣を手にいつでも動ける様に構えていると、背後を取られているアデリアは今の状況を冷静に慌てる事無く判断すると、マサツグ達に返事をする事無く次の策を考え始める。現状…羽根は無理に動かせば間違い無く切り裂かれ二度と飛べなくなり、このまま動かずに居ればいずれはやられる!…首元にはモツの剣とマサツグの大剣が挟む様に当てられており、これも迂闊に動けば致命傷となっていずれは「死」!…そうして後出来そうな事はとアデリアが悩み状況打開の策を必死に考えて居ると、マサツグが急かす様に答えを求め出し…その言葉を聞いてアデリアが更に困惑した様子を見せるもある策を思い付いたのか、徐にマサツグへ話し掛ける。
「わ…分かりました!…私の負けです…」
「ん?…あっさり?…」
「私とて死ぬのは怖いです!…
もし死ぬ覚悟が有るのならあの尖塔で
日に焼かれながらでもあなた方二人を
始末しようと考えた筈!…」
「まあ…確かにそうだが…」
アデリアが突如として降伏をし始めるとその様子にモツが戸惑う…相手は間違いなく司祭級…先程の様子を見る限り教祖には絶対の忠誠を誓っている様に見え、アイツの命令次第では自爆特攻までしそうな感じに見える。しかしそのアデリアはと言うとあっさり背後を取られて降伏…何か変だ…そんな予感を感じモツが呟くとアデリアは自分の命が大事と言った様子で命乞いをしてはもしもの話をし始め、その話を聞いてマサツグが戸惑った様子で返事をして居ると、次の瞬間アデリアが動き出す!
{…今です!!……}
__キシャアアアァァァ!!!…
「ッ!?…何ィ!?…」
__スッ…ガキィン!!…
アデリアの命乞いにマサツグとモツが油断し、今までの司祭の特技を忘れた様子で剣を突き付けて居ると、アデリアは辺りに潜ませていたアラクネ型人キメラを呼び寄せ始める!何の動作も音も無いままに人キメラを集めるとアデリアの背中に乗るマサツグとモツに向かって襲わせ、マサツグとモツがその様子に戸惑い思わずアデリアの首元から剣を引いてしまうと、してやったり!…とアデリアがほくそ笑む!…
「フフフ!…掛かりましたね!?…」
__ブォン!!…ブォン!!…
「ッ!?…しま!!ああぁぁぁ!!…」
__ドサ!ドサ!!…キシャアアァァ!!…
ズバン!…ズバァン!!…
マサツグとモツを人キメラで襲わせ続けると助けてくれた人キメラごと振り払う様に…自身の蜘蛛の腹部を揺さぶってマサツグとモツを振り下ろすと、アデリアが窮地を脱する!…一定の距離を取っては蜘蛛のお尻を二人に向け、振り落とされたマサツグとモツはそのまま地面に倒れるよう落下すると、アデリアより襲い掛かって来た人キメラの方が邪魔と言った様子で抵抗する。
「クッソ!!…邪魔くせぇ!!…」
「マサツグ!!…モツ!!…クソ!!…
先程まで優位に立っていたでは!!…」
「まずは二人…ですわね!!」
__バシュン!!バシュン!!…ビタアァ!!…
落下した瞬間を見たリーナが慌てて二人の心配をすると助ける様に駆け出して行くのだが、それよりも先にアデリアが動き出すと得意技と言った様子でお尻から蜘蛛の糸を抵抗する二人に目掛けて発射する!その際自身の窮地を救ってくれた筈のアラクネを巻き込む様に…幾ら刹那を使っていても体勢を崩され更に人キメラの猛攻に遭って防げる状態では無く、マサツグとモツはその蜘蛛の糸から逃げる事の出来ないままアラクネと共に拘束されると、マサツグとモツが慌て始める!
「ぬあぁ!!…しまった!完全に油断してた!!…」
「チィッ!!抜かった!!…
おかしいとは思って居たけど…
まさかこんな隠し玉とは!?…」
「ふふふ!クククク!!……ッ!!…
アァ~ハッハッハッハッハ!!…
如何したのですか!?…先程の威勢は!?…
何故その様に地面に転がり蜘蛛の糸に
掛かって居るのですか!?…無様ですね!?…」
「ッ!?…だからって…
仲間ごとやるかね!?普通!!…」
勢い良く出た蜘蛛の糸はその開けた場所の至る所に飛び、周りの木々にくっ付くと巨大な蜘蛛の巣を形成する。マサツグとモツは地面に磔にされるよう拘束されると、何とか動ける範囲で藻掻いて脱出を試みるが糸が丈夫で逃げる事が出来ず…ただ無駄にTPを消費しては油断したと嘆く。その間にもジリジリとアデリアが拘束された二人の方へと歩いて来ては喜びの笑い声を上げては二人を馬鹿にするよう無様と言い、尖塔での出来事をまだ根に持っているのか喜びの笑みから一転…屈辱の怒りの表情を見せると二人に襲い掛かろうとする!
「アァ~ッハッハッハッハ!!…
…ハアァ~…にしても…私の体…
如何思います?…あの時私を騙し…
この身を焼いた奇策…
確かに見事な物でしたが…
その代償がこれ?……ッ~~~!!!…
私の美しい体が黒く焼け焦げ!…
あぁ!!憎らしい!!!…
この代償をキッチリ払って貰わないと!!!…」
__ギラァ!!……ッ!!!…
「貴方達にはここで死んで貰います!!!!」
__ヴォン!!!…
動けないマサツグのモツを見下ろしては尖塔での出来事を思い出す様に言葉を口にし、それと同時にあの鋭い腕の鎌を振り上げるとマサツグとモツに向けて振り下ろそうとする!…当然その様子を目にしたマサツグがヤバい!と言った表情で青ざめ、最後の最後で何か策は!?と考えるのだがアデリアが最後の言葉を口にすると勢いを付け出し、そのまま真っ直ぐに腕の鎌を振り下ろし…マサツグの心臓を一突きに殺そうとするのだが次の瞬間!…アデリアの中である事が気になるとその鎌はマサツグの胸元辺りでビタっと止まっては動かなくなり、徐にアデリアが不安に駆られる表情を見せると突如辺りを見渡し始める!
__ッ!…ビタァ!!……ッ!?…
「…そ、そう言えばあと一人!…
あと一人は何処に!?…
さっきから姿が見えない!…
物陰に隠れているのかしら!?…」
「ッ~~~~!!!……?…
ッ!?…うおおおぉぉぉ!!!…
あっぶねぇ!!!…てか、何で寸止め!?…」
アデリアが気になった事…それはリーナの存在であった…恐らくは教団の教祖があの様子だと当然リーナが風除けの巫女の血筋である事を話しており、その能力についても…教団の活動にとっても厄介であると教えられたであろうアデリアは不安を感じずには居られなかった!…その事が気になりマサツグの胸元で鎌をビタ止めしてはリーナを探し出すが何処にもリーナの姿は無く…更に不安を感じて居ると徐々にマサツグとモツの事など如何でも良くなってくる!…そしてマサツグも振り下ろされる鎌を見て一度は目を閉じ死を覚悟するも、何も無い事に疑問を感じては恐る恐る目を開ける。するとそこには自身の胸元残り数センチの所でビタ止めされた鎌が有る状態が目に入り、その光景にマサツグの表情が更に青ざめ思わず叫んでいると、モツが徐にアデリアへ話し掛ける。
「……なぁ?…アンタ…
アデリア…って言ったっけ?…」
「ッ!?…だから何!?…今私は!!…」
「幼い頃にこう言われた事が有るんじゃないの?…
集中力が足りない…って?」
「ッ!?…何ぃ!?…」
モツは何を思ったのかアデリアの名前を突如確認し始めると、その問い掛けにアデリアが若干苛立ちながら返事をする。その際アデリアの視線は辺りを見渡しては必死にリーナの姿を探しており、未だ見つからないリーナの姿に完全に心を奪われたのか、動けないで居るマサツグとモツの事等見ていない様子で居ると、モツが突如意味深な台詞を口にする!…そんな突然の台詞にアデリアが戸惑いを覚えてモツの方に視線を向けると、そこには不敵な笑みを浮かべるモツの姿が有り、その表情を見たアデリアが更に戸惑った様子を見せて居ると、次の瞬間何処からとも無く見覚えの有る斬撃が飛んで来る!
「エルレイドフルーレ!!!!」
__ボウッ!!!…ズガガガガガガ!!!!…
ズバアァァン!!…
「なっ!?…」
「…さすがだモツ!…
…ギルドで聞いた噂は伊達では無いな!!…」
見覚えの有る斬撃!…それは言うまでも無くリーナの得意とするあの突き技で、地面を抉るよう進んでマサツグとモツが磔にされている蜘蛛の糸を薙ぎ払う様に切ってしまうと、それに反応するようモツが瞬時に磔状態から脱出する!…慌てて飛び起きる様に体を起こしては一度アデリアから距離を取って見せ、その突然の出来事にアデリアが反応出来ず戸惑って居ると、リーナがモツの動きに感心する。モツは過去にもちょっとした反応を見逃す事無く相手の合図を汲み取ると瞬時に行動へ移し、陽動・連携と言ったチームプレイを発揮する!…クランベルズの解放戦然り!…尖塔でアデリアを騙した時然り!…僅かな相手からの反応でも直ぐに感じ取るとモツは直ぐに状況を踏まえて最善の策を練り、実行に移す…そんな頼れる味方なのだがマサツグだけは蜘蛛の巣に取り残されていた…何故なら…
「……お~い!!…暴力騎士団長様~!!…
早く助けて下さいよ~!!」
「ッ!?…ッ~~!!…ッ!?…
なっ!?…何でマサツグ!!…
逃げてないんだ!!!」
「さすがにちょっと無茶が有るかな?リーナ嬢…
マサツグの胸元胸元!…」
「え?…あっ…」
マサツグはのん気にリーナを暴力騎士団長と言っては磔にされたまま硬直し、その台詞を聞いてリーナが苛立ちの表情を見せマサツグの方を確認すると、逃げて居ない事に戸惑った反応を見せる。そしてマサツグに対して文句の言葉を口にすると、モツが苦笑いした様子でマサツグが逃げなかった理由を教え、リーナがそれを聞いて再確認するとそれは計算して無かったと言った様子で言葉を漏らす…そうしてマサツグだけが逃げられず、モツとリーナがアデリアに対して武器を構える2対1の状態が完成するのだが、マサツグを人質に取られている分リーナ達の方が不利と言った状態で構えて居ると、アデリアが不敵な笑みを浮かべ交渉を持ち掛ける。
「フフフ!…仕切り直し…
と言いたいところでしょうが…
如何でしょう?…
このままお帰り願えませんでしょうか?…」
「ッ!?…何!?…」
「私達の目的は救世主様をこの地に降臨!…
…いえ、復活させる事に御座います!…
もし…このまま何もしないで帰ると言うのなら…
ここで寝ている男も含めて無事…
貴方達を森の外に出して差し上げましょう?…
……ですが…」
アデリアはマサツグに向けた鎌をそのままにすると、モツとリーナにこのまま帰るよう提案し始める…当然その提案に機敏に反応するのはリーナなのだが、人質にされているマサツグと話を聞いているモツだけは戸惑うと言った様子を見せる事無く、逆に何を言ってるんだ?と言った表情を見せると何か策が有るのかアデリアに視線を向ける。その間にもアデリアは反応を示したリーナと交渉しては交渉決裂時の話も同時に行い、マサツグに突き付けた鎌を更に近づけて見せてはリーナに圧を掛けて行く。
__ギラン!!…ッ!?…
「もし邪魔をすると言うのなら
ここでこの男の心臓を潰し!…
貴方達にもここで死んで貰う事になりますが…
…如何為さいますか?…」
「ぎゃああぁ。早く助けて下さいよ~。
暴力騎士団長様ぁ~。」
「クッ!!…下種め!!…
…後マサツグは覚えてろ!?…
如何する!?…モツ!!…」
「………。」
鎌を突き付けられていると言うのに余裕が有るのかマサツグは棒読みでリーナを煽り出し、そんな様子を見たリーナはアデリアに対し殺意を抱いた視線で睨むのだが、後でマサツグに折檻する事を覚えると文句を言う。しかしそれでもマサツグの事が気掛かりなのか戸惑った様子を言見せてはモツに判断を仰いでおり、その判断を任されたモツはと言うとマサツグとアデリアの事を数回…妙に位置を気にした様子で確認してはリーナの問い掛けに対してまだ何も答えず、ただ確認し終えると笑みを浮かべてはリーナに奇妙な事を言い出す。
「リーナ!!…
今の状態であの分厚い雲を貫く自信はあるか!?…」
「え?…何を急に!?…」
「良いから出来るか!?…」
「ッ!?…出来なくは無いけど…」
モツは何を思ったのかリーナに上空の雲を晴らす事が出来るか?と尋ね出すと、その問い掛けにリーナが戸惑った反応を見せては真意を尋ねる。急に何を言い出したのか分からない!…そんな困惑の表情を見せてはモツが言った雲を晴らす場所を見詰めるのだが、モツは再度出来るかどうかについて急いだ様子で尋ねると、そのモツの様子に戸惑いながらもリーナは出来ると返事をする。その際モツは空を指差しそこに穴を開けるよう指示を出すのだが、その方角はマサツグもアデリアも関係無い位置を指しており…アデリアもモツの言葉に戸惑った様子を見せて居ると、モツはリーナに雲を晴らすよう指示を出す!
「じゃあ頼む!!…それで何もかも解決する筈だ!!」
「ッ?……わ、わかった!!!」
__チャキッ!…
モツは何か確信を持った様子で笑みをリーナに向け、リーナはモツの指示に戸惑いながらも剣を上空…モツの指した方向に向かって剣を掛けえると、お得意の突き技を繰り出す体勢に入る!…完全に何が何だか分からないと言った様子を見せるリーナとアデリア…しかしモツはまるで勝ったと言わんばかりの余裕の笑みを浮かべると徐にアデリアに声を掛け始める!…
「……そう言えば気付いてるか?…」
「ッ!!…何をです?…」
「今って何時位なんだろうなぁ?…
確か会議が始まったのが10時半頃で…
この異変が発生したのが約1時間後…
そこから王城を彷徨って1時間…
ギルドで作戦会議の30分…
この長い長い戦闘が始まって
今2時間位経ったとしたら…今は昼の3時の筈だ!…」
「……?…だから如何し……ッ!!…」
まるで何かを説明するようモツが話し掛けてはアデリアが警戒した様子で返事をし、いつでも動けるよう身構え始めるとモツは徐に悩んだ表情で時間の話をし始める。その際自分の体感で時間の計算をし始め、何か意味が有る様な風に言ってはその事をアデリアに尋ね、そのモツの言葉にアデリアが分からないと言った反応を見せてはモツの言いたい事に疑問を持ち始める。そしてその事を警戒した様子でモツに問い掛けようと言葉を口に出す瞬間!…モツがリーナに言った指示を思い出し、更にモツの後ろでリーナが突きの構えを見せている様子に、ハッ!と突如気付いた反応を見せては途端に慌てた様子でモツに止めるよう突如叫び始める!
「や!…やめ!…
止めてええええぇぇぇぇぇぇ!!!!」
「やれ!!リーナ!!!」
「エルレイドフルーレ!!!!」
__ボウッ!!!……ゴアアアァァァァ!!!…
アデリアはマサツグに突き付けていた鎌を今度はモツへ向けて差し伸ばし!…止める様にモツへ叫ぶも、モツは無情にもリーナに最後の指示を出す!…そしてその指示を聞いたリーナもモツの言う通りに指定された上空へ向かい突き技を放つと、リーナの突き技は竜巻の影響を受ける事無く伸びて行き!…恐らく瘴気で出来た分厚い雲を突き破り!…約5m位の大穴を開けて見せると、その穴からまるで天界から階段が下りて来たかの様な日の光を差し込ませる!…すると偶然にもその日の光は丁度、アデリア達が居る辺りを明るく照らし!…その幻想的な風景をモツ達に見せるのだが!…その光景とは裏腹に現場には断末魔の悲鳴が聞こえると、辺りに響き渡らせる!…
「…ッ!!…
ぎいぃやあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!……」
__ジュウウゥゥゥゥ!!!!…
「な!?…何だこれは!?…一体如何なって!?…」
「…人キメラは日の光に弱い!…昼間でも活動させる…
攻める事が出来る様にあの分厚い雲を作ったんだろうが…
穴が開いちまえば意味が無い!…
オマケにあんな大穴を開けてんだ!…
この辺りをサンサンと照らしているから逃げ場は無い!…
今のアイツにとって今ここは…
もっとも最悪な場所でしかない!…」
森中に響き渡る勢いでアデリアが苦痛の叫びを挙げ出すと、ウネウネと体をくねらせては悶える様に藻掻き始める!まだ半分白かった体も今は完全に焼け焦げた様子で黒ずんで外皮が焼け爛れてひび割れ…見るも無残な姿に変わるとその変わり様にリーナが驚き、見てられないとばかりにアデリアから視線を逸らす!…そしてアデリアが日の光を浴びただけで何故あの様な事になったのかと困惑した様子で言葉を漏らし、その問い掛けに答えるようモツが説明し始めると、その一方で同じ様に日の光を浴びているマサツグにも異変が起き始める。
__ジュウウゥゥゥゥ!!!!…
「ッ!…糸が溶けてる?…てかチャンス!!…」
__バッ!!…ブォン!!…ブォン!!…
「ヒィ~!あっぶねぇ!!……ふぅ!
…一時はどうなるかと思ったぜ!!!…
…あの糸……本人同様日の光に弱いみたいだな?……
…そう考えるとあの時本当に作戦を
考え直して正解だったな?…」
「ッ!……マサツ…」
藻掻くアデリアの足元…蜘蛛の糸に拘束されて居たマサツグの糸が日の光で溶けては軟化し、自由に動ける様になると慌てて脱出を敢行する。藻掻き苦しむアデリアは形振り構わず鎌を振り回してはマサツグを戸惑わせ、何度も回避行動をさせられるのだがそれでも何とか逃げる事に成功すると、モツ達と合流するなりその場に崩れる。そして蜘蛛の糸の特性を見ては旧大聖堂での作戦を考え直した事について良かったと安堵し、その言葉にモツも思わず無言で頷き同意して居ると、ハッ!と思い出した様子でリーナがマサツグに視線を向ける…如何やら今だあの旧大聖堂での作戦変更を気になっているのかジッとマサツグを見詰めては尋ねようとするのだが、それより先にアデリアのHPが尽きたのかドサッと倒れる様な音を聞くと3人が音の正体を確認する。
__ズズゥゥン!!!……
「ッ!……」
「あぁ……教…祖…さ…ま……
申…し…訳…ぁ…りま…せ…ん……」
__……サアアアァァァ…
音の正体を確認するとやはりそこにはグッタリと倒れるアデリアの姿…もはや原型が何だったのか分からない位に焼け爛れてはただの黒い塊になり、教祖に向けて残したであろう最後の台詞がマサツグ達の耳には居ると、何とも言えない後味の悪さを覚える!…そうして沈黙したアデリアの姿を一応警戒した様子で見詰めて居ると、今度は塵になったのかアデリアの遺体は風に吹かれて砂になる。そうしてアデリアとの戦闘を無事終えた訳なのだが…
「……何かすっごい…
後味悪い気がする…
敵だった筈なのに…」
「……そうだな…何でだろ?……」
__……ッ!!……ッ!…
然程関わりがあった訳でも無いのに何故か虚しさと後味の悪さを覚えると、マサツグとモツは風に吹かれて消えて行くアデリアの様子を見詰める。最期は本人にとってもまさに地獄の苦痛だったであろう悲鳴は今だ耳に残っている様な気がし、リーナは耳を塞ぐのだがここである事を思い出すとその悲鳴も何処かへ消えて行く…さて、では何を思い出したのかと言う話になるのだが、それは勿論…
「………なぁ、マサツグ…あの時私に何と言った?…」
「……へ?…」
「貴様があの蜘蛛の糸に捕まって居た時……
何と言ったかと聞いているのだが?…」
「ッ!?…」
リーナがジワジワと怒りのオーラを背負い始めてはマサツグに笑顔で質問し出し、その突然の質問を聞いてマサツグが振り返るとリーナの異変に戸惑いの表情を見せる。一難去ってまた一難…しかも今度は身内からと言った様子でモツが呆れた表情を見せて居ると、リーナは徐にマサツグに対して剣を構え出し、マサツグがそれを見て後退りし始める!…
__ジリ!…ジリ!……バッ!!…
ダダダダダダダダ!!…
「待てぇーー!!!マサツグゥーーー!!!!」
「ちょ!!…何で追い掛けて来る!?…
ただのお遊びじゃあねぇか!?…
それに元々こうなったのはリーナのせい!…」
「私が貴様の望み通り叩き斬ってやる!!!…
ジッとしてろぉーーー!!!」
そうして次にはリーナがマサツグを追い駆け…マサツグはリーナから逃げる…この急いでいると言う時に何をしてるんだと?…モツが無言で考えては二人の様子に呆れ、追いかけっこの展開になり始めるとモツは最初から諦めた様子でスッと思い付いた様に一度休み始める。
「……はあぁ~…どっこいしょ!…
刹那のクールタイムが回復するまでの間休むとするか…
あの様子だと何して来るか分からないし…
何より気を張り詰めっ放しだと疲れるしな?…」
__待ぁてぇ~~~!!!!…ヤな感じぃ~~~!!!
「……何か懐かしいフレーズが?…」
近くに生えている樹にもたれ掛かっては座り込み、まだリーナが開けた大穴は閉じていないのか日は差し込んで居る…人キメラに襲われる可能性が低いと考えると、ただ二人の追いかけっこの様子を見ており…その際マサツグの口から何処かで聞いた事の有る言葉が出て来るとモツが思わず反応してしまう。そうして大穴が閉じるまでの10分間…モツ一人が休みその間マサツグとリーナが追いかけっこをし続け、マサツグとモツ…互いの刹那のクールタイムと自然治癒が完了すると、さすがにモツが二人の仲裁に入っては先を急ぐ様に声を掛け始める。
「……そろそろ行くか…」
__ザッ……
「おぉ~い!!そろそろいい加減にしろよぉ~!?
もう10分間の追いかけっこして…
本来の目的を忘れるなぁ~!?」
「ッ!…しかしコイツが!!…」
「そんなの教祖を倒し終えた後で
幾らでも出来るだろ!?…
今は教祖が最優先!!…
この間にも平原では王様や将軍達が戦っているんだ!…
時間が迫っているんだぞ?」
重い腰を上げてリーナに呼び掛け、そろそろ先を急ぐ様に声を掛けるとリーナが不服そうにモツに文句を言い出す。その際リーナはアレだけ走ったにも関わらず軽く息を切らす程度に済ませ、マサツグはと言うと地面に倒れるよう息を切らしては痙攣していた…今から教祖を倒しに行くと言うのに既にグロッキー状態…そんなマサツグの様子に呆れつつもモツが改めてリーナへ急いでいる事を伝え、将軍達の負担を減らす様に声を掛けると、渋々リーナが納得した様子で剣を鞘に仕舞い始める。
「……仕方が無い…おいマサツグ!…
この件が終わったら覚悟して置けよ!?…」
「ぜぇ!…ぜぇ!…あぁ!…しんど!!…」
__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…
「…なぁんで要らない種を蒔くんだ?…ヤブは?…」
リーナが若干頬を膨らませマサツグに捨て台詞を言うと、もう目の前に見えている教会廃墟へと歩き出す!…そしてマサツグは地面に転がっては息を切らし、何とか息を整えようするがハードワークだったのか中々整わず…その様子にモツが呆れた表情で歩いて来てはマサツグに質問をする。こうなるのは分かって居た筈…そんな事を言う様に疑問を問い掛けるとマサツグは地面に転がったまま自身の顔を隠す様に腕を乗せ、大きく息を切らしてはモツにこう答える…
「ぜぇ!…ぜぇ!…い、いや…何かさ?…
リーナを見てるとこう…」
「……こう?…」
「意地悪して見たくなると言うか何と言うか…」
「……君?…今幾つ?…」
マサツグが言い訳をする様にモツに話し始めるとその言葉をモツが復唱し、マサツグがその理由を話し出すと、モツがマサツグにツッコみを入れる。その言い訳はまるで小学生の好きな子に対するちょっかいの掛け方の様に聞こえ、モツが若干の困惑気味にマサツグの年齢を尋ね出すと、その問い掛けにマサツグは気不味そうな表情を見せてはモツから視線を逸らし年齢を答え始める。
「に…25になります…」
「……はあぁぁ~~~…
もう良い大人なんだからさぁ…ね?…
言わなくても分かるでしょ?…」
「……はい…すいませんでした…」
__…スッ……ガッ!……パンパンッ!…
マサツグが戸惑った様子で年齢を答えるとモツは思いっきり溜息を吐いては諭す様に説教をし始め、その説教に反論出来ないマサツグはモツの説教を聞いて反省した様子で返事をし謝る…何とも情けない様子にモツは呆れるもマサツグに手を差し出しては起きるのを手伝い、マサツグもモツの手を借りて立ち上ると土埃を払っては先に行ったリーナの後を追い掛ける。リーナは既に教会の廃墟の前にスタンバってはマサツグとモツが来るのを待って居り、二人がやっと追い付いて来た事に溜息を吐いては二人に突入のタイミングを任せる。
__タッタッタッタッタッタ!!…
「ッ!…遅いぞ!全く!…
…突入のタイミングは任せる!…
ここで教祖を仕留めるぞ!!…」
「「おう!!…」」×2
____……スッ……コクリッ!…コクリッ!…
リーナの文句にマサツグとモツが苦笑いしてはいつでも戦闘に入れるよう身構え出し、リーナの言葉に二人が真剣な表情を見せると返事をする!…これで最後!…そんな事を考えつつマサツグが教会の廃墟の扉に手を添えると最後の確認をする様にモツとリーナに視線を向け、二人から大丈夫と言った返事代わりの頷きを確認すると、マサツグが一度深呼吸をしては手に力を籠め、思いっきり扉を押し開ける!
__……ッ!!…バアァァン!!…
「ようこそ!我が教会へ!……
まさかアデリアを破ってここまで来るとは…
想定外でした…本来なら…
そこの風除けの巫女だけを生かして残りの二人には
消えて貰う予定でしたが?……まぁ…良いでしょう…
これの何かの縁です!!…
我らが救世主様の復活を見届けて貰いましょう!…」
マサツグが教会の廃墟の扉を開けるとそこには至って普通の教会と同じ様に…長ベンチが均等に並べられ…奥には祭壇…そしてその祭壇奥の壁にはステンドグラスがあると…まさに普通の教会の内装が目に映る。ただ違う事が有るとするなら教会内はやはり瘴気で充満していたのか天井部がやけに暗い紫色に曇って天井が見えず、奥に有る祭壇も何やら怪しげな儀式がされており、その祭壇に置かれてある金属製の壺から瘴気が出て居た!…そうしてその怪しげな祭壇の手前に玉座が設けられ、その玉座に先程の教祖が座って居り、マサツグ達を出迎える様に立ち上って見せると見下した様子で喋り出し、その様子を見た3人が警戒すると武器を手に構え始める!…
「…さぁて!…迂闊に攻め込むなよ!…
何が居るか分かったもんじゃない!…」
「分かって居る!…
さっきの教祖の罠で嫌と言う程!…
十分理解した!!」
「二人とも今は集中!!…
何かこの廃墟…様子が変だ!…」
教祖はその場から一歩も動かずマサツグ達を見下し、マサツグとモツとリーナは先程の出来事から警戒し合った様子で武器を構えては辺りを見渡す!…辺りには人一人が隠れられそうな柱にベンチ…二階手摺りに瘴気と完全に教会内は相手のフィールド!…そんな状況下で戦闘が始まろうとして居ると互いに出方を伺っているのか何方も一歩も動かず…睨み合ったまま緊張感が漂い始めると、ジワリジワリと教祖との戦闘が始まろうとしていた!…




