-第一章七十一節 大突貫!!と殿のラインハルトと大森林-
さて…時間も無いまま馬に乗り大平原を横断する事になったマサツグ達は、ラインハルト将軍の率いる第三班の護衛の下…今現在進行形で戦場を…何事も無く駆け抜けていた。モツがあれ程心配していた馬もまるで勝手に走ってくれている様な安定感を見せてただ手綱を握るだけで済み、疾走する馬に合わせて体を前傾姿勢に取り、揺れに対して構えるだけで自動的に目的地まで走ってくれる。恐らくは運営側も馬に乗れる仕様にする際、一般ご家庭で馬に乗る機会など無いだろう事から作ったアシスト機能なのだろうが…モツは先程までの慌て様に妙な不服感を覚えて黙って馬に跨っていた。
__ドドドドドド!!!…
「………。」
「ん?…如何したんだ?…モツ?…
なんでそんな顔をしてるんだ?…」
「……いや、別に…」
「え?……」
不服そうな表情で馬に跨っているモツの様子にマサツグが気が付くと不機嫌な理由について尋ねるが、モツは何でもないと言ってやはり不機嫌そうな表情を見せ、その様子にマサツグが若干困惑した表情を見せて居ると、ラインハルトが大興奮で大剣を振り回す!まるで久々に暴れられると言わんばかりに大剣を振り回す様はもはやバーサーカー!…子供の様にキラキラと目を輝かせては隊列の先陣を切る様に馬を走らせていた。
「さぁ!…久しぶりの戦だ!!…
人キメラ共よ!!…勇ある者よ!!!…
我に挑めぇぇぇい!!」
__ヴォン!!…ヴォン!!…
「……持っている武器が違ったら
ほぼ無双の忠勝じゃねぇか!…」
「……もっと言えばクラスが違う様な?…」
大草原を駆け抜けて行く中…将軍の前に立つ・遮る物はその大剣によって一太刀に薙ぎ払われては無残に宙を舞う!…言っている台詞は忠勝!…しかしやって居る事は某ソシャゲの征服王!…そんなラインハルトの様子にマサツグとモツが思い思いに言葉を口にして居ると、更に人キメラの波が押し寄せて来たのか宙に舞う人キメラの数が増え始める!…この時ラインハルトは全く問題無い!とばかりに大剣を振るっては高笑いに似た雄叫びを上げ、思いっきり戦場を満喫している様子を見せては次々に人キメラを弾き飛ばす!…
「ウオオオオオオオアアアァァァァァァァ!!!!」
__ズバアァン!!…ズバアァン!!……フォン!!…
「ッ!!……にしてもさっきから恐ろしい光景だな!!…
狩人狩りの森に居た時…
俺達はあの牛モドキに苦戦したってのに!!…
将軍だと一太刀なんだもんなぁ!…」
「……ッ!…見ろ!…
人がゴミの様だ!!…」
「おい馬鹿やめろ消されるぞ。」
ラインハルトが大剣を振り回す度にマサツグの頭上を人キメラが宙を舞う…それは種類を問わず!…狼型にアラクネ型…挙句の果てにはマサツグ達にトラウマを植えたあの肉団子の牛まで宙を舞う始末!…そんな様子にモツが戸惑った表情をすると、先程から自身の頭上を飛ぶ人キメラの様子を見てはラインハルトの破壊力に驚愕し、マサツグはマサツグでその様子を見てはハッ!と突如何かを思い付いたのか、某アニメのラ○ュタ王の末裔の様な口調になり始める。すかさずモツがマサツグにツッコミを入れて居るとそのコントの様なやり取りにリーナが困惑し、二人に苦言の言葉を口にし始めると同時に注意するよう呼び掛ける。
「……はあぁ~…お前達もう少し緊張感を持て!…
今は戦時中なのだぞ!?…いついかなる時!…
何処から敵が攻めて来るか分かったもんじゃ!!…」
「まぁまぁ!…大丈夫だよ!…
あんまり気張り過ぎるのも如何かと思うぞ?…
だって…」
__ドドドドドドドドドドド!!!…
「…多分この状態を突破して来る奴はいないと思うし…」
リーナが緊張感を持つよう二人に注意をするのだがマサツグとモツは意に介さず…逆に余裕を持つ様にリーナへ呼び掛けると二人は改めて自身の周りを見渡す。この時…マサツグとモツとリーナはと言うとその第三班の隊列でも中心の方に配置されると、その周りを兵士達が盾になるよう追走しており、ちょっとやそっとの攻撃では自分達に危害が飛んで来ない事を二人が確認し、その過保護ぶりに戸惑いを覚えていると思わず呟いてしまう。隊列の先頭にはラインハルトが居る事から鉄壁に近い防御力を誇っており、何も出来ないマサツグとモツがその隊列の在り様に如何したもんかと考えて居ると、人キメラの波を突っ切ったのか、眼前に森が迫って来る!…
__ドドドドドドドドドドド!!!…
「ムッ!…もう着いてしまったか!…何と他愛ない!…
鎧袖一触とはこの事だな!…」
「……核でも撃ったのかな?…」
「…冗談に聞こえないから止めようぜ?…」
後ほんの数分で人キメラの波を横断し切った事にラインハルトが気付くとガッカリする…もう少し楽しめると思っていたのに!…何と無くそう取れる言葉を口にしては隊列に指示を出すよう自身の頭上に大剣を掲げ、そのラインハルトの言葉にモツが思わず気になるあの人の言葉を口にすると、今度は逆にマサツグがツッコミを入れる!…その際隊列が通り過ぎた後方には無残な肉塊と化した人キメラが無数に転がっており、それらを見て冗談に聞こえないとマサツグが若干引きながら話して居ると、将軍は掲げた大剣を横に振って見せる。
__……ブォン!!…ッ!…
ドドドドドドドドドドド!!!…
「ッ!!…左右に!…」
「分かれた!?…」
__オオオオオオオオォォォォォォ!!!…
ドドドドドド!!!…ッ!?…
「……ここから先が本番だ!!…気を抜くなよ!!…」
散開の合図なのか人キメラの波の背後を取った所で隊が左右に分かれてはそのまま横に伸びて行き、その様子にマサツグとモツが驚いた表情で隊が分断されて行く様子を見て居ると、その左右に分断された隊は背後から槍を手に人キメラ達を包囲するよう蹂躙し始める!…その様子はまさに圧倒的で騎馬兵達の蹂躙により冒険者及び兵士達の戦況がまたグッと変わり、その様子にマサツグとモツが思わず感動を覚えていると、目の前に大森林が迫って来る!…この時!ラインハルトは今だマサツグ達の前に着いては露払いをしており、徐々にその大森林入り口が目の前に迫って来てはその光景にリーナが改めてマサツグとモツに注意を促す。そしてもう直ぐで大森林に辿り着こうと言う所で、ラインハルトが徐に振り返るとリーナに声を掛ける。
「リーナ!!…ちゃんと付いて来ておるな!?」
「はい!!師匠!!!…マサツグもモツも居ます!!!」
「うむ!!…
これよりお前と冒険者殿達三人で森に向かって
教祖を討ち取る事となっておる!…
決して油断はするな!!…
ちゃんと生きて帰って来るのだぞ!!!」
「ッ!!…分かりました!!!」
ラインハルトはリーナに二人が付いて来ている事を確認させては自分でも目視で確認し、リーナもその問い掛けに対して若干緊張した様子で返事をすると、その返事にラインハルトが頷き返事をする。そして森に向かう手筈を改めて確認するようリーナに説明しては信頼する様子で笑みを浮かべ、成功と生きて帰って来る事の両方を意味した無事を祈る言葉を口にすると、その言葉を聞いたリーナがやる気に満ちた笑みを見せて威勢良く返事をする!…そうして遂に森へ突入しようとしている一行なのだが、突如前方が暗くなったかと思えば次の瞬間上空から大きな物体が降って来る!…
__ヒュウウゥゥゥ…ズドオォォン!!…
ヒヒイィィン!!!…
「ココハ通サン!!!」
「な!…何だ!?…」
マサツグ達の進路を遮る様に降って来たのは恐らくは人キメラの化け物!…その人キメラが降って来た事にマサツグ達の乗る馬が思わずブレーキを掛けると、二人は振り落とされそうになるのを耐えては何が起きたのかを確認し、目の前にモクモクと巨大な物体が降って来た際の土埃が舞って居る事を確認すると困惑する。オマケに今平原で戦っている様な並みに人キメラでは無いのか、片言では無くハッキリと言葉を口にしているのをマサツグ達が耳にしており、嫌な予感を感じつつその土埃が晴れ始めるとそこには化け物の名に相応しい姿をした人キメラが一体…
「……ッ!…こ、こいつは!?…」
「ミ!…ミノタウロス!!……」
__フシュ~~!!…ジャラ…
その手にチェーンハンマーを握ってはマサツグ達の前で仁王立ちしており、その容姿は立派な二本の角が生えた二足歩行の茶色い牛…何処を如何見ても誰が如何見てもミノタウロスで、今までの人キメラとは違い完成度が高く見るからに凶悪そう!…突如目の前に現れた恐らくは司祭クラスの人キメラにマサツグ達が戸惑いを隠せないで居ると、そのミノタウロス司祭は鼻息荒くマサツグ達の道を阻み始める!
「我ハ救世主様ヲ呼ビ起コス為ノ門番!!…
カツテハ帝国軍ノ将軍ヲ勤メテイタガ…
魔王ニヨリ討チ滅ボサレ…今ヤ死骸!…ダガ!…
教祖様ノ力ニヨリ我ハ復活シタ!!!…
カノ帝国ヲ復活サセルト我ニ誓ッテクレタ
教祖様ノ邪魔ハサセン!!!
ココカラ先ハ!!…一歩タリトモ通サナイ!!!」
__ジャラ!…ジャラ!…ブォン!!…ブォン!!…
「クッ!!…急いでいると言うのに!!…」
「ハアアアアァァァァァァ!!!」
__ブォン!!!…ガイィン!!!…
突如現れ邪魔をし始めたミノタウロス司祭にリーナが苛立ちと焦りを覚える中…マサツグ達が身構えるより先にミノタウロス司祭が動き出すとチェーンハンマーを振り回し始め、勢い良くマサツグ達の頭上から真っ直ぐにチェーンハンマーを振り下ろそうとすると、ラインハルトが大剣で弾いて見せる!…いつの間に馬から降りたのかは分からないもののチェーンハンマーを大剣で弾いて見せたその時のラインハルトは、やっと歯応えの有りそうな奴が出て来た!とばかりにやる気に満ちた戦士の目をしては大剣を構え直し、その様子にリーナが戸惑って居るとミノタウロス司祭を前に先を急ぐようラインハルトが指示を出す!
「ッ!?…師匠!!…」
「ここはワシに任せて先を急げ!!!…
これは!!…私の獲物だ!!!」
__ッ!…ジャラ!!…
「ッ!!…しかし!!…」
ラインハルトは完全にやる気になっているのかミノタウロス司祭を前に獲物と言い出し、その言葉に反応するようミノタウロス司祭もラインハルトに視線を向けると、チェーンハンマーを強く握る!…互いに殺り合う気満々の眼光で睨み合っては動かず、その場の空気が殺気に満ちた雰囲気になるとリーナが戸惑い、ラインハルトを心配する様な言葉を口にするのだがラインハルトは余計なお世話とばかりに再度先を急ぐ様に言い出す!
「良いから行けぇ!!!…
久々の好敵手!!!…
邪魔をするでない!!!」
「ッ!?……ッ!…分かりました!!…ご武運を!!…
マサツグ!…モツ!…先を急ぐぞ!!…」
「ッ!?…ちょ!?…一人にして大丈夫なのか!?…」
「そうだぞ!?…明らかに俺達が倒して来た
司祭達よりレベルが高そうだぞ!?…
時間を掛けてでも援護した方が!?…」
ラインハルトの言葉にリーナが戸惑った反応を見せては心配とばかりに視線をラインハルトの背中に向けるのだが、少しの間背中を凝視したと思えば次の瞬間ハッ!と何かに気が付いた様子で目を見開く!…何かを確信した様子でスッと真剣な表情に戻るとラインハルトの言葉に従うよう返事をし、健闘を祈る言葉を口にするとマサツグとモツに先を急ぐ様に声を掛ける!…その言葉にマサツグとモツが戸惑いを覚えては多少時間を掛けてでも協力して倒した方が良い!と提案するのだが、リーナは首を左右に振るとその駄目な理由を二人に話す。
「駄目だ!…先を急ぐ!!……
今の師匠は完全にやる気になっている!!…」
__……ッ!…ブワアアァァァァ!!…
「今下手に援護しようものなら
逆に私達が邪魔になる!!…
だから!!…ここは師匠に任せて先を急ぐぞ!!」
「ッ!?……そ、そうか…分かった!…」
「……ッ!!…ハイヤァ!!」
リーナが首を左右に振っては何故援護しないのかその理由をマサツグとモツに話し出し、その話を聞いて二人がラインハルトの方に視線を向けると、ラインハルトの背中から湯気の様な闘気が出て居る事に気が付く。それを見てマサツグとモツが驚きリーナの方に視線を戻すと、本当はラインハルトと共闘したいのかリーナは若干俯いては悔しそうな表情を二人に見せる。そんなリーナの表情を見てマサツグとモツがハッ!…と察すると、戸惑いながらもリーナの指示に従い、三人が再度馬を走らせミノタウロス司祭の横を通り抜け様とするのだが、ミノタウロス司祭が許さないとばかりにチェーンハンマーを振り回し始める!
__ジャラ!…ジャラ!…ブォン!!…ブォン!!…
「通シハシナイトイッタダ…」
「貴様の相手は!…このワシだああぁぁぁぁ!!!」
__ッ!?…ギイィィィン!!!…
チェーンハンマーを振り回し始めたミノタウロス司祭の視線は当然奥に進もうとするマサツグ達三人に向けられ、今まさにハンマーを投擲しようと構え始めるのだがラインハルトがそれを阻止する様に声を張り上げ、ミノタウロス司祭に単騎で向かって行くと大剣を大きく振り被って斬り掛かる!斬り掛かる際ミノタウロス司祭はチェーンハンマーのチェーンを瞬時にピンと張る様に引っ張り、大剣をチェーンで受け止めて見せるのだが余程ラインハルトの一撃が重かったのか、若干よろめいて見せてはラインハルトを睨み付ける!…
「グッ!!…貴様ァ!!!…」
「帝国の古き亡霊よ!!…
貴様の様な者と一度戦ってみたかったのだ!!…
我が武をとくとその身に刻むが良い!!!…
かの帝国の実力とやらを見せてみよ!!!」
「ッ!!…オノレェ!!…
調子ニ乗ルナアアアア!!!」
__ギギギギ!!…ガキャアァァン!!…
チェーンハンマーと大剣の鍔迫り合いをしながらラインハルトは興奮した様子で圧し、それに対抗するようミノタウロス司祭も負けじと押し返す!…この時のラインハルトはまさに!…戦いに飢えたバーサーカーの様に笑みを浮かべてはミノタウロス司祭を挑発し、そのラインハルトの言葉に乗るようミノタウロス司祭が激怒し始めると本格的な戦闘が始まる!…その様子は横を通り過ぎて行ったマサツグ達の後方からも激しく伝わり、無事抜けれた事に安堵しつつ残して来たラインハルトの心配をすると各々が言葉を口にする!…
__パカラッ!…パカラッ!…パカラッ!…パカラッ!…
「……本当に残して来て大丈夫だったのか?…
幾らあの将軍とは言え…」
「……今は前に進む事だけを考えよう!…
折角殿を務めて下さったのだ!!…
ここで私達が敗北したら!…
それこそ意味が無くなっってしまう!!…」
「ッ!……そうだな…
じゃあ、さっさと教祖倒して将軍の負担を削るか!…」
大森林に向かい馬を走らせ…背後から聞こえて来る激しいぶつかり合いにマサツグが戸惑うと思わず引き返した方が!…と言葉を漏らすのだが、それを否定するようリーナがラインハルトの考えを汲んだ様子で言葉を口にすると、ただ前だけを見ては一切振り返る事無く馬を大森林の入口に向けて走らせる!…その際リーナの握る手綱は力が込められているのか必要以上にクシャクシャになっており、それに気が付いたマサツグとモツがハッ!とした表情を見せては一番助けに向かいたいのはリーナである事を再度理解する。そしてただこの異変を終わらせる事だけに二人が集中し始め軽口を叩いて見せると、その言葉にリーナが若干フフっと笑うのだがやはり何処か不安なのか振り返ろうとはしない…そうしてマサツグ達はその後人キメラ達に襲われる事無く無事にスプリング大森林の入口に到達するのだが!…
__パカラッ!…パカラッ!…
…ザザァ!!…ヒヒイィィン!!!…
「ッ!?…やはり瘴気が!!…
…仕方が無い!!…
ここからは徒歩で!!……?…」
入口手前でマサツグ達の乗る三頭の馬が足を止めては怯え出し、馬の怯える姿にリーナが戸惑いつつも何とか宥め落ち着かせると入り口を確認する。するとそこには見るからに有害色をした瘴気が入り口から駄々洩れており、馬もそれを見ては一刻も離れたいとばかりに後退りしてはまた怯えた様子を見せる。そしてその様子にリーナが馬によるこれ以上の侵入は無理かと考えると、マサツグとモツの方を振り返っては徒歩を提案するのだが…その時マサツグとモツはと言うと、何故か馬から降りては地面に寝転がっており、初めて馬に乗った感想を二人して口にしていた。
「…案外、馬って乗るのにスタミナ使うな…
ここまで来るのに4割持っていかれた…」
「俺達…騎乗スキルは持っていないもんな…」
「と言うより…一体何をしているのだ?…
何故そんな所に?…」
「……転がりたくて転がった訳じゃあ無いんだがな?…」
二人が感想を口にする際…マサツグとモツの乗っていた馬は既に遥か彼方へと逃げ出しては捕まえる事が困難な状態に有り、マサツグとモツも諦めた表情をして地面から立ち上がると転がった際に付いた土を払い始める。そんな地面に転がって居た二人の様子にリーナが戸惑いの表情を見せると、何をしていたのかについて尋ね始めるのだが、その問い掛けにマサツグとモツは答えたくないとばかりにリーナからそっぽ向き、一応言い訳の様に言葉を口にしてはその意味が理解出来なかったのかリーナは更に戸惑いを覚える。
「……え?…」
「ッ!…とにかく先を急ぐぞ?…
時間が無いし!…」
「ッ!…そ、そうだ!!…よし!…」
__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…ッ!?…
戸惑いの表情を見せるリーナにマサツグとモツがばつの悪そうな表情を見せると、これ以上の詮索をされないよう話を大森林に移す。先を急ぐよう声を掛けてはリーナがその言葉にハッ!とした表情をし、慌てて様子で振り返って大森林の入口を見てはその入口へと歩き出すのだが、リーナが入り口に一歩足を踏み入れた瞬間!…直ぐに引き返しては凄い勢いで咳き込んで崩れ、目に涙を溜め始める!…
「がはッ!!…げへッ!!…ごほッ!!…」
「ッ!?…リーナ!!…ッ!!…」
「…な!…何だこれは!?…
…息が!…はぁ!…はぁ!…
これでは先に進めない!……」
「……と言う事は…
狩人狩りの森や迷いの森より
こっちの方が格段にヤベェって事か!…」
その場に崩れたリーナにマサツグとモツが慌てて心配し駆け寄ると、咽るリーナの背中を摩っては安否の確認の声を掛ける!…それと同時にリーナの状態を確認するとそこには普通…ただ負荷が掛かる程度症状が表記される筈なのだがこの時だけは違うとばかりにHPが減っており、リーナは初めて瘴気を吸ったのか苦しいと言った表情を見せては困惑する。その様子に大森林の瘴気が今まで浴びて来た瘴気とは別物だと言う事を自覚させられると、マサツグとモツは互いの顔を見合わせては戸惑いの表情を見せ、ここまで来て引き返す訳にも行かないと如何にかして先に進む方法を……と考え出すと話し合い始める。
「…如何する!?……
このままだと恐らく俺達も
このまま進む事は出来ないぞ!?…」
「如何するったって!?…
何か方法が!!……あれ?…」
「……そう言えば都合良く何か
俺達持って居なかったっけ?…」
「確か瘴気を浄化させる奴……ッ!!…」
リーナの事を心配しながらも先に進む方法を考えるようマサツグが話し、その言葉にモツが戸惑った様子で反応してはマサツグに返す!…瘴気を除去するまで行かなくとも大森林の奥へと進む方法!…そんな都合良く思いつく訳が無い!とマサツグに返そうとした瞬間、モツがある物を思い出す。それはマサツグの方でも思い出されたのかモツと一緒にアレ?…と言った表情を見せてはモツにその物の事について尋ね出し、その問い掛けにモツも覚えが有ると言った様子で返事をしては少し悩む…つい最近それで助けられた様な…そんな事を考えつつマサツグとモツが同じ事で悩み解決策を探して居ると、互いに答えが出たのか声を揃えてこう叫ぶ!
「「ッ!?…そうだ!リンデの実!!!」」×2
「あれならこの瘴気を如何にか出来るんじゃ!?…」
「狩人狩りの森よりヤバいのは
確かだが試してみる価値は有る!!…」
__ゴソゴソ!…
マサツグとモツが互いにリンデの実の存在を思い出すと指を差し合い、靄が解けた様な表情を見せるとアイテムポーチからリンデの実を取り出そうとする!…アイテムポーチ内を物色しながらその可能性について話し合い、その話し合いで狩人狩りの森での話が出て来るも互いに試してみる価値が有ると話しては、急ぎアイテムポーチからリンデの実を取り出す。
「えぇ~っと……あッ!…あった!…」
__ゴソゴソ!…ガサッ!………
「…確かこれって瘴気や呪いを浄化するって
書いてあったよな?………んじゃ、試しに…」
「気を付けろよ?…」
マサツグがリンデの実を取り出すとまるで瘴気に反応しているのか辺りに若干眩い位の光を放ち、その眩しさに驚きつつもマサツグがリンデの実を手にその効果を思い出すと徐に立ち上る。そしてその効力を試す様に入口の方へ歩き出すと、その様子にモツが気を付けろと警戒した様子で声を掛け、マサツグが振り向き頷くと大森林の入口に足を踏み入れる!
__…ザッ!…ザッ!……シュワアアアァァァァ!…
「ッ!…効果あり!!…」
マサツグが大森林の入口に足を踏み入れるとやはり瘴気に反応しているのか、リンデの実の輝きが増すと辺りの瘴気が浄化され始める。その際先程リーナは入口に足を一歩踏み入れただけでその場に崩れる程のショックを受けたにも関わらず、リンデの実を持っているマサツグは瘴気の影響を受ける所かその場で効果が有ったかどうかをモツに伝える程の平静さを見せる!…そして恐らくはリンデの実の有効範囲かマサツグを中心に2、3m位の淡い色の円が現れては音を立てて辺りの瘴気を浄化し、その様子を目にしたマサツグが思わずとあるゲームを思い出しては懐かしさを覚えるも、まずはと言った様子で軽い笑みを浮かべては二人を迎えに戻り出す。
__ザッ!…ザッ!…ザッ!…ザッ!…
「…よし!…これで先に進める!!…
……しかし片手が塞がるのは痛いな…
何か方法は?…」
「……今咄嗟に思い付いたのなら一つ…」
「ッ!…じゃあそれで!…
…ってかリーナは大丈夫か!?…」
「あっ…あぁ…すまない!…
もう大丈夫だ!…先を急ぐぞ!!…」
マサツグが戻って来るなりこれで進めると喜ぶのだが、リンデの実を片手に持ったまま戦闘が始まった事を考えると直ぐに難色を示す表情を見せる。この先はどう考えても戦闘は必須!…片手が塞がったままでは満足に行動する事が出来ないと浄化範囲の事を含めて思わず困惑して呟き、その呟きにモツが若干戸惑った様子でハッ!と思い付いた反応をしては策が有ると答える。マサツグはその策の内容を聞かないまま採用しては先を急ごうとするのだが、ここでリーナの容態を思い出して心配の声を掛けると、リーナは辛そうな表情を見せながらも返事をする。こうして大森林に挑む手筈を整えては教祖が居るであろう奥地を目指そうとするのだが、ここでモツの考えた策…と言うよりは小細工がされるとマサツグのテンションは下がる…何故なら…
__ザッ!…ザッ!…ザッ!…ザッ!…
プラ~ン…プラ~ン…
「ッ~~~~~!!!……」
「……んぐふ!!…ククク!…」
「…如何してこうなった!…」
そこに居たのは提灯アンコウの触角の様に頭に釣竿を括り付け…その糸の先にリンデの実を括り付けて三人の真ん中を歩くマサツグの姿であった。確かに両手が空いて戦い易くはなったもののこの姿は何とかならなかったのかとマサツグは一人考え、先頭にリーナが立っては辺りを警戒しながら先を歩くのだが、チラチラとマサツグが視界に入るのか時たま肩を震わせ静かに笑い、後ろのモツは隠す気無しで噴出しては必死に自身の腹部を押さえていた。当然その様子を好ましく思わないマサツグは不機嫌そうな表情を見せては設計者のモツを呼んで居ると、マサツグとモツの前に大森林の紹介が入り始める。
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「スプリング大森林」
スプリングフィールド大陸の中央部に存在する世界で
有数の規模を誇る大森林。かつてこの森には風の魔王と
呼ばれる悪魔が居たとされており、その大森林の各所には
今だその痕跡を思われる跡地が多数残されている。
また数多くの有名冒険者が修行の地として選び、見事に
育った森と言う事から勇者の修行場と呼ばれており、
今だ数多くの冒険者達が訪れては切磋琢磨する様子が
見れると言う…因みに対森林中央にある大樹・アダムは
サマーオーシャン大陸に有る世界樹の分木であり、
その大樹が植わっている園は名所百選にも選ばれている。
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「……なぁ…モツさん?…」
「んぐふ!!……何でしょうか?…」
「もう少し良い策は無かったのですか?…」
「だから言っただろ?…咄嗟だって?…ブフッ!!…」
こんな不気味な瘴気が充満する中…まるで提灯アンコウの様に頭上をライトさながらに照らし、辺りの瘴気を浄化する姿はもはやシュールを超えた何かに思える!…そんな笑いを堪える二人にマサツグが何か言いたげな目をしてはモツに文句を言い出すのだが、モツはマサツグに非が有るとばかりに反論しては噴出し、必死に腹痛と戦ってマサツグの後を歩いていた。大の男が提灯アンコウ…かなり目立ちそうな姿なのだが意外と敵とは遭遇せず、ただ目印も無く風に乗って瘴気が流れて来る方へと歩いて居ると、ある物を見つける!…
__ザッ!…ザッ!…ザッ!…ザッ!…
「…ッ!…誰か倒れている!?…」
「ッ!!…行ってみるか?…」
「…警戒はしとけ!!……」
__プラ~ン!……ブフゥ!!!…
ッ~~~~~!!!…
マサツグの剽軽な格好にリーナとモツが苦戦しつつ森の奥へと進んで居ると、その道中で人が倒れているのを見つける!…その倒れている人は明らかにモンスターにやられたのか凄惨な状態で地面に転がっては異様な雰囲気を放っており、その様子に三人が警戒するよう言葉を掛け合うのだがマサツグがいざ話すと二人は噴出し自身の腹を抱える!…やはり慣れないのか遺体らしき物には警戒しつつマサツグの容姿を笑っては声にならない声を挙げ、その二人の反応にマサツグが心の中で…
{……何故今から大ボスと戦いに行くと言うのに
こんなひょうきんな格好を?…
まぁ…確かに森の中を進む為とはいえ…
良く聞かなかったから仕方が無いとはいえ……
…なんだかなぁ~……}
と考えると、マサツグは一人この格好についての悟りを開きそうになっているのであった。




