-第一章六十六節 異端審問会?…と異変と悪態-
完全にスベッた状態の中マサツグとモツが呆然と立ち尽くし、この空気を如何にかしてくれと願って居るとまさかの王様が空気を読んだ様子で助け船を出し、マサツグとモツに話し掛け始める。その際王様は今さっき思い出した様にマサツグは御前試合…モツはまた別の機会で思い出した様に話し始めると徐々に雰囲気が緩和され始める。その際王妃様はと言うと笑うのを堪えるので必死なのかもはや顔を伏せて全身をピクピクと痙攣させていた。
「……ッ!…君は!…確かあの御前試合の時に!…」
「え?…あ…あぁ!…あの時は如何も…」
「それに君は確か…羅刹の…」
「ッ!?…あぁッ!…
すいませんがその話は勘弁してください!…
後生ですので…」
王様に話し掛けられた事に戸惑いつつもマサツグが王様に会釈すると王様はマサツグに笑顔を見せ、次にモツに話し掛ける際二つ名の方でモツの事を思い出したと話し出すと、その話にモツが待ったを掛ける。如何やらモツは余程自身に付けられた二つ名をコンプレックスに持っているのか、王様に頼み込むよう頭を下げ始めては切迫した様子で勘弁してくれと話し、その様子に王様が戸惑うと二つ名の話を中断し会議に来てくれた事を感謝した様子で声を掛け直す。
「ま、まぁ…とにかく…
君達みたいな優秀な冒険者が
この場に来てくれた事を嬉しく思うよ!…
よろしく頼むよ!…」
「ッ!!……ッ!!…」
__ガタッ!!…ッ!?…
「王よ!!…
この様な者達など何の役にも立ちません!!!…」
王様から感謝の言葉を貰い二人が戸惑いながらも一礼すると、マルコを挟んで隣に座っていたロムスタ卿が王様の言葉に何か引っ掛かりを覚えたのか、ショックを受けた様な苛立ちを覚えた様な何方とも取れる表情を見せる。そして席に座ろうとして居るマサツグとモツの事を睨んでは突如立ち上り、マサツグとモツの事を要らないと言い出すと周りの目など気にしない様子で続けて文句を口にし始める!
「今日までこの王都を支えて来たのは
我々上流階級の者達です!!!…
我々が王の指示の元政を行い!…
選ばれし役人達が下々にお触れを出す!…
こうして秩序が作られこうして平穏が
保たれて来た!!!…なのに何故です!?…
突如ギルドと呼ばれる物を頼り始めたと思えば
この様な席に下賤の輩を!!…
今はそんな金が無ければ動かない
愚鈍で下賤の輩より!!…」
__カチンッ!!!…
「今後の政を我々の手で築くのが!!!…」
__スッ…ガタッ!…
ロムスタ卿はマサツグやモツ…フリードとギルドの者達に対して嫉妬心を燃やした様子で声を荒げ始めると、自分達が政治の主役と話し出しては今の王様のやり方を非難する様にギルドの者達は要らないと言い出し始める!その際マサツグとモツの事を下賤な者と完全に馬鹿にした様子で話しては上から目線で指を差し、その様子にマサツグとモツも完全にキレた様子で一度座ったにも関わらず静かに立ち上がると、マルコが慌て始める。
「ッ!?…あぁ!?…
マサツグ殿!…モツ殿!!…抑えて!!…
この場で騒ぎを起こせば放り出されるだけでは!?…」
「……マルコさん!…ゴメン!!…
ちょっとこの場から離れててくれないか?…
さすがにキレちまったよ!!…
この場に屋上が無いのが残念だが!!…」
「ちょ!?…ちょっとぉ!?…」
「ッ!?…これだから下賤な者は!!…
衛兵!!…この愚か者達を!!…」
マルコが慌ただしく席を立っては低い身長ながらもマサツグとモツを止めようとするのだが、マサツグが笑顔で退くようマルコに声を掛けると、ロムスタ卿に怒りの眼光を向けながら歩み寄る。そしてマルコの制止を振り切りマサツグがロムスタ卿へと近づき歩いて行くと、ロムスタ卿もマサツグ達の様子に気が付くが一切態度を改める事無く、衛兵を呼んで二人を摘まみ出そうと試みる!…そうしてロムスタ卿が衛兵を呼びその場が一触即発の状態になると一気に会議室内は別の緊張の渦に飲まれ始めるのだが、ロムスタ卿の衛兵を呼ぶ声に割って入るよう王様が声を荒げると、その場の空気が固まる。
「ッ!!…止めなさい!!!…」
__ッ!?………
「……マサツグ殿!…モツ殿!…席に座って!…
そしてロムスタ卿!!…
貴殿は何かを勘違いしているようですね?…」
「ッ!?…か、勘違い!?…
何を馬鹿な事をおっしゃいますか!?…
私は何も!!…」
王様が声を荒げると先程まで怒り心頭だったマサツグとモツの動きがピタリと止まり、ロムスタ卿も驚き戸惑った表情を見せては王様の方へと振り向き始める。当然マサツグとモツも王様の方を振り向いてはその様子を確認するのだが、王様は疲れたと言った様子を見せながらも若干怒った表情をし、二人の事を見詰めてはそれぞれに指示を出す。マサツグとモツには席に戻るよう指示を出し、ロムスタ卿には苦言を…その指示にマサツグとモツは戸惑いながらも自分達の席へと戻り始めるのだが、ロムスタ卿だけは不服と言った表情で王様に反論し出してはそのロムスタ卿の言葉に王様は更に苦言を呈する!…
「この国をここまで大きくして来たのは
貴族や役人の力だけでは無い!!!…」
「ッ!?!?…」
「勿論私一人の力…
先代や先々代の王達だけの力とも言わない!!…
…真にこの国を大きくして来たのは!!……
この国に住まう者全ての意思が
大きくして来たのだ!!!…
決して誰一人だけでは無い!!…
皆の力が有ったからこそ!!…
幾多の困難を乗り越え!…発展!…
築き上げて来たのだ!!!…
それを自分達の力だけで支えて来た等と
言う者こそ!!…
この会議の場に相応しくない!!!…
今までの発言を撤回せよ!!!…
ロムスタ・アトリミエール財務大臣よ!!!…」
「な!?…」
王様が再度静かに怒った様子で苦言を呈するとその苦言にロムスタ卿はショックを受けた表情を見せる。ロムスタ卿はまさか自分が怒られると思っていなかった様子で立ち尽くし、何故自分が怒られているのか分かって居ない戸惑いの表情で王様を見詰めて居ると、王様はある言葉がいけなかったと言った具合にロムスタ卿へ説教をし始める。…この時王様が怒った原因はロムスタ卿の下々と言う…自国の民を見下した言い方に対して酷く怒った様子を見せ、ここまでの発展を遂げた経緯を交えながらロムスタ卿に説教をするとその説教にロムスタ卿は更に戸惑いを覚える。その際…周りの恐らく重鎮らしき貴族に役人…王様寄りの考えを持つ者全てが王様の説教を聞いては同意するよう頷き、ロムスタ卿を逆に憐れむ様な視線で見詰めると、更にアムネスが王様の援護をする様に苦言を口にする。
「今の発言は貴方個人としてはともかく…
この国の管理する者としては明らかに不適切です…
撤回なさいませ?…」
「ッ!?…王妃様!?…」
「…それに…貴方の言い分だと…
…ここに居るラインハルト将軍に私と…
元冒険者である私達は貴方で言う
下賎の者と言う事になりますわね?…」
「ッ!?…そ、そう言うつもりは!?…」
「あら?…おかしいですわね?…
つい先程自分の口でそう言ったではありませんか?…
全員が今先程の事と証言が出来る程の声で?…」
アムネスが個人で問うのでは無く…国の政治を仕切る者として不適切と、先程の大爆笑も何処かへ消えた様子で苦言を呈するとアムネスまで参戦して来た事にロムスタ卿は戸惑い始める。そしてアムネスは続け様に過去の自分と将軍の話を引っ張り出すとロムスタ卿の話す…冒険者は下賤な者と言う言葉を自分達に置き換えては攻める様な笑みを浮かべて言い出し、その言葉を聞いてロムスタ卿が慌てて否定するもアムネスはまだ攻めの手を緩める気は無いと、更に苦言を口にする。この時…モツがチラッとだけアムネスの目を見るとその目は当然笑っては居らず、寧ろ殺意ある目でロムスタ卿の事を見詰めては同時に元冒険者である自分達を馬鹿にされた事により、まるで友人を馬鹿にされて怒っている様な怒り方に見えるのだが、ロムスタ卿はその目を浴びても尚まだ芯は折れていないのか必死に言い訳をし始める!…
「い、今のは王妃や将軍に向けて言ったのでは無く!…
そこに座っている!……」
「…はあぁ~…
…まだ自分の立場が分かって居ないのですね?…」
「……へ?…」
王妃様の鋭い眼光を浴びつつもまだ言い訳をしようとするロムスタ卿に、周りの貴族や役人達はもはや呆れた表情を見せる。財務を任されると言う事はそれなりに身分が高い貴族なのだろうがもはや品性の欠片も無い…ただ自分の非を誤魔化そうとするだけの男に王妃様が呆れた様子で大きく溜息を吐くと、その様子にロムスタ卿は戸惑いの色の声を漏らし、言い訳が通じていない事をとにかく理解した様子で見詰めて居ると、今度は王妃様がロムスタ卿を説教し始める。
「今回のカルト教団を追放するに当たって!…
一番の功績を挙げた者がそこに座っているのです!!…
我々の兵や騎士では無く!!…
その冒険者達がこの国の危機を排除したと
言っているのですよ!?…
その恩人に対して!…下賤だの身分だの!!…
自分の身を顧みず危険と対峙するこの勇気有る者達を!…
馬鹿にする事は私が許しません!!
貴方はまず礼儀を身に着けるべきでしたね!?…
ロムスタ卿?…」
「グッ!?…」
さすが元冒険者!…幾ら落ち着いた様子で説教をしているとは言え迫力は十分に有ると言った威圧感をロムスタ卿に向かって放ち、元冒険者としての貫禄を見せて付けて居ると、将軍が大人げないと言った様子で苦笑いをする。普段、飄々としている王妃様が自分達の事で怒ってくれているのか?…それとも上に立つ者としての驕りを諫めているのか?…とにかくマサツグとモツが怒られるロムスタ卿の様子を見てはざまぁ!…と言った感情を抱いて見て居ると、言いたい事を先に言われたと言った様子で王様がふぅ…と一息吐き始める。
「……ふぅ…と言う事だ、ロムスタ卿…
今後その様な驕った考えを捨て誠実に向き合う様に!…
…もし今後もその様子が見られる場合はこちらとしても
処罰を考えるので覚悟して置く様に!…」
「ッ!…しかし!…」
「……いいね?…」
「ッ!?…は、はい!…」
王様が一息吐くと若干の間を開けてロムスタ卿を諫め、考えを改める様に忠告をするのだがロムスタ卿はまだ納得が行かないのか食い下がろうとする。しかし今度は許さないとばかりに王様が低い声でもう一度同意を求め、その様子にさすがのロムスタ卿も折れた様子で返事をすると、その場に落ち込んだ様子で座って項垂れ何も言わなくなる。だが本人はまだ納得が行っていないのか俯いた状態でも不服そうな表情を見せ、その様子にハイドリヒが気付くと先程の王様同様ふぅ…と一息吐いてはさすが親子と言った様子で呆れた表情を見せる。そうして会議から一転…異端尋問会みたいな展開になってしまうのだが再度会議に入り直そうとして居ると突如外が騒がしくなる!…
「……では話が脱線してしまったが…改めて会議を…」
__ドタドタドタドタ!!…
「ッ!……何やら外が騒がしいね?…将軍!…」
「ッ!…了解しました!……」
会議室の外からドタドタと慌ただしい足音が聞こえて来ると、王様が気にした様子でまた中断しては外の様子を見て来るよう将軍に声を掛ける。この時王様も将軍も恐らくは兵士が走り回っているのだろうと思ったのか、深くは考えず将軍が王様の命令に従い外の様子を確かめようと扉の方へ移動し、その扉を開けようと手を伸ばした瞬間!…その扉が勢い良く開いたかと思えば兵士が会議室に飛び込んで来る!
__バアァン!!…
「ぶがっは!!…」
「しょ!?…将軍!?!?…」
「ハァ!…ハァ!…」
扉が勢い良く開いた拍子に将軍の顔や体が扉にぶつかるとそのまま後ろへ大きく仰け反らされ、そのまま徐々に後退するとその場に倒れそうになる。その様子を見たマサツグとモツ・ハイドリヒが慌てた様子で立ち上って心配するよう呼び、飛び込んで来た兵士もただ両膝に手を着き全力で走って来たと言った様子を見せて居ると、その場で項垂れ息を切らして居た。突然の出来事に会議室内は唖然…当然会議を続けられそうに無い雰囲気にその場の全員が戸惑った表情を見せて居ると、将軍が耐えた様子で立て直してはその走って来た兵士の顔を捕まえる!
「ぬぬぬぬ!!…だぁ!!…フン!…」
__ガシィ!?…ッ!?…
「おい貴様ぁ!!…いきなり何をする!?…
危ないでは無いか!?…
まだワシだったから良かったものの…
これが他の者だったら如何するつもりだ!!!」
「ッ!?…いやいや!!…
普通に交通事故でしょ将軍!?…」
兵士の顔をフェイスクラッシャーする様に掴み、ぶつかって来た事に対して若干怒った様子で文句を言い出すと、その文句の言い方にマサツグとモツが戸惑いを覚える。普通の人間なら先程の勢いでまず簡単に吹き飛ばされているのだろうが自分は吹き飛んでいないからセーフみたいな言い方で説教をし始め、その将軍の言葉にマサツグがすかさず将軍の事をダンプカーの様に言ってはツッコミを入れ、兵士の事など気にしていない様子で話を進めて居ると、顔を掴まれている兵士が藻掻きながらもその走って来た理由について話し始める!
「も!…申し上げます!!…ただいま!…
ス…スプリング大森林より!!…
巨大な瘴気の竜巻が発生しました!!」
__どよ!?…
「ッ!?…それは如何言う意味なのだ!?」
「そ…それが!…突然の事でまだ何も!…
…ただ伝令によるとスプリング大森林が
突如濃い瘴気に包まれたかと思えば
先程報告した通り竜巻が現れたと!…」
将軍に顔を掴まれながらも異変を報告しに来た兵士の姿がシュールで何とも言えないのだが…その兵士が外で何が起きたのかを説明すると、その説明に会議室内居る者全てがどよめき戸惑いの表情を見せ始める!…将軍がその報告をして来た兵士に対して詳細を求めるも兵士も分かって居ないとばかりにただ伝令から聞いた内容を話し、兵士の話を聞いて困惑する者…何の報告か理解出来ずにただ苦しむ者…そんな十人十色の困惑の表情で会議室内が混乱の渦に巻かれている中、王様だけがスッと立ち上がると会議室の王様が座る席の直ぐ後ろにあるガラスの大窓を開け、バルコニーへと向かい始める。
__スッ…ッ!?…コッコッコッコッ!…
ガチャッ!…バアァン!!…
「ッ!?……如何やら…
会議をしている場合じゃなさそうだね!!……」
ガラスの大窓を開ける際、その大窓越しからでも分かる竜巻の大きさに戸惑いつつも窓を開けると、アムネスやハイドリヒ…将軍が続く様にバルコニーへ出て来る。するとそこには兵士の伝令通り…スプリング大森林の中心とは言わなくとも中程位に黒い大竜巻が鎮座しては森の木々の木の葉を巻き上げ、更に暗雲を空に立ち込めさせて不気味な雰囲気を辺り一帯に漂わせていた。それを見た王様は若干の慌てた様子を見せながらも冷静に事の重大さを受け止め、その様子に他の貴族や役人達もゾロゾロとバルコニーに出て来ては先程より慌てた様子で戸惑い出す!…
__ゴゴゴゴゴゴゴ!!…
「なっ!?…何だアレは!?…」
「く!…黒い!?…
アレは完全に塵等で黒く見えている
レベルでは無いぞ!?…」
「ッ!?…おいおいマジかよ!?…」
まさかのゲーム内で天災に遭遇!…その様子は本当に体験している様な勢いで風を感じ、その暴風と混乱具合のせいか城下町の方から王都民の悲鳴が聞こえ、マサツグとモツもバルコニーに出てはその竜巻の荒れ様に戸惑いを隠せない!…そうして何が起きたのか分からずただその様子を見て一同が困惑して居ると、悪い事は続くとばかりにまた兵士が慌てた様子で会議室に駆け込んで来る!…
__ダッダッダッダッダッダ!…
「も!!…申し上げます!!…」
「ッ!?…」
「現在、人でも獣でも無い化物はここ王都に
向けて侵攻!!…恐らくは!!…
あのカルト教団の仕業による犯行で裏から
指揮している者が化物を操り!…
こちらへ向かわせ襲わせている模様!!…
王都の民も森から出ている竜巻!…
化物を見た者達が大混乱に陥っています!!…
…現在我々は緊急の避難勧告を出し!…
王都民を避難場所へと案内していますが!!…
完全完了までに約一日は掛かるかと!!…
防衛に関しては王都の玄関口にて衛兵隊長が
陣を張り化物と対峙していますが!…
い、いかが致しましょうか!?…」
「ッ!?…人キメラ!?…」
兵士が慌てた様子で声を挙げて会議室に入ると、それに気が付いた全員がその兵士の方を振り向き視線を向ける。振り向くとそこには既に兵士がその場で傅き、何が有ったかを酷く慌てた様子で話し始めるのだがその内容は既に末期と言った様子で…人キメラの侵攻に避難もまだ…更には防衛も不十分と今すぐに判断を求められるものばかりの状態にあった。人キメラが出て来た事にマサツグが戸惑った様子で声を挙げては困惑の表情を見せて居るのだが、そんなマサツグを余所に王様はその伝令を聞いて少し悩んだ様子で俯くも、直ぐに判断が出来たのか顔を上げると目付きが変わった様子ですぐさま指示を出す!…
「…やれやれ…
…今日はとことん会議が出来そうにないね?…
カルト教団の教祖がまだ捕まっていない時点で
何と無く予想は出来て居たけど…
まさか町や村の民への労いを考えようと言う時に
来るとは………本当に!…礼儀知らずも良い所だ!…
将軍!!…」
「ッ!!…ハッ!!」
「大平原に居る化け物を王都に侵入させてはならない!
全力で対処に当たると同時に森に居る術者を
撃破せよ!!」
「仰せのままに!!!…
そこの兵よ!!!全軍に通達!!…
これより防衛及び掃討戦を始める!!!…
急ぎ武装せよ!!!」
「ッ!?…ハ…ハッ!!!…」
会議が出来ない事に王様が苛立ちを覚え…空気も読めずに仕掛けて来た事に対して苦言を呈して居ると、将軍に声を掛ける!…その王様の呼ぶ声に将軍は敬礼をして返事をするのだが、その際フェイスクラッシャーを受けていた兵士が漸く解放されその場に崩れると、自身の顔が潰されていないかを確かめる。それ位強い力で掴まれていたのか?…とモツが戸惑った様子で見詰める中、将軍が王様からの指示を聞いて返事をすると直ぐに伝令に来た兵士に指示を出し、それを聞いた兵士が慌てて駆け出して行くと将軍も王様に一礼して会議室を後にする。そうして王国軍総出で王都の防衛に入り始めるのだが、まだそれでも兵力が足りないと感じたのか王様がフリードに話し掛ける。
「……そしてフリード!…すまないが…」
「王よ!…皆まで言わなくとも大丈夫です!!…
我々ギルドも全力で手伝わせて頂きます!!!…」
「ッ!!…すまない!…感謝する!!…」
「……聞いての通りだマサツグ君!…モツ君!!…
君達もいつでも動けるよう準備をしておいてくれ!!…
…これは…大乱戦になる事間違い無いと思う!!!…」
「ッ!?…」
王様はフリードに助けを求めるようギルドの協力を仰ごうとするのだが、フリードは既に承知して居るとばかりに頷いて見せると、自分から協力を買って出る!…その時のフリードの表情はまるで戦が始まると言った緊張感ある表情が見て取れ、その様子にマサツグとモツが困惑して居ると、フリードは二人に準備をするよう呼び掛ける。そしてその言葉を言い残して行くよう急いだ様子で転移魔法を唱え、フリードがその場から姿を消すと今度はハイドリヒが慌てた様子でマサツグとモツを呼び始める!…
「…ッ!?…マサツグ!!…モツ!!!…
見てくれ!!!…アレ!!!…」
「え?……ッ!?…」
__ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!…
慌てた様子である方を指差すハイドリヒに呼ばれてマサツグとモツが振り返り、ハイドリヒが指差す方を戸惑いながらも確認すると、そこには先程より大きくなった様に見える黒い大竜巻を目にする!…王城から大森林まではかなり距離が有ると言うにも関わらず、まるで近くにまで迫っている様な光景に圧倒され二人が戸惑って居ると、同じ様に大きくなった大竜巻を見て更に周りの貴族や役人が困惑し始める。
「なっ!?…そ、そんな!?…」
「これではあのお伽話の!?…
まさかこの目で見る事になろうとは!?…」
「……終わりだ…
もう終わりだ……どうしてこうなった?……
私は選ばれた人間の筈…このような事が…
………もうこの国も!…
私達も終わりだぁぁぁぁああああ!!!
何も出来ずにただ殺されるのを待つ!!…
こんな終わり方!!…私は嫌だぁぁぁああああ!!!」
ある者はただ竜巻を見てはその場に崩れ、またある者はまるで語り継がれて来た話が現実になったと驚き…更にロムスタと名乗る者は突如発狂し始める!…まるでこの世の終わりの様な言い方をする面々に兵士達もたじろいではその場から急いで逃げようとし始める始末…逃げるにしても何処に逃げる気なんだと思いつつただその場の光景にマサツグとモツが徐々に冷静さを取り戻して居ると、今度は騎士達まで逃げ出そうとしていた。
「…ッ!?…い、嫌だ!!…
死にたくない!!…まだ死にたくない!!…」
「あぁ!?…あぁ!?!?…あああぁぁぁぁぁ!!!…」
「ま!…待て!!…貴様らそれでも騎士なのか!?…
貴様らは何の為に騎士になったと言うのだ!!!…
二度と騎士を名乗る事は!!…」
「それでも構いません!!…
ここで得体の知れない化物に何時殺されるか
分からない恐怖に震える位なら!!
ここから逃げ出して意地でも
生き延びてやります!!!…」
「なっ!?…」
貴族の中には騎士の家系もある…そんな彼らが逃げ出そうとしては慌てた様子でハイドリヒが止めに入り、二度と騎士の誇りを取り戻す事は出来ないぞ!と忠告するも、自分の命が最優先なのかハイドリヒの制止を振り切ろうとする!…当然生きとし生きる者なら生存は本能!…この状況に対して生き残る事を最優先に考える事は不自然では無いのだが、そのハッキリとした答えを聞いたハイドリヒは戸惑い、声を漏らしてショックを受けて居るとその騎士の貴族達を通してしまう…説得も無駄に終わり各々が現状の様子にだけ戸惑ってはただただ混乱するばかりで収拾が付かなくなってくると、それに比例するようマサツグとモツが冷静さを取り戻しては同時に苛立ちも覚え、そして何を思ったのかしばらく沈黙していたと思えば二人は徐に大きく息を吸い始めると、とてつもなく大きい溜息を吐き出す!…
「……すううぅぅぅぅ~~~~~~~~………
……はああああぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~!!!……」
「ッ!?…え?…」
「な、何で?…
何でこんな状況なのにそんな溜息を!?…」
突如マサツグとモツが周りに聞こえるよう暴風の音にも負けない勢いで溜息を吐くと、その溜息を聞いたその場の全員が驚き戸惑った表情を見せては二人の方に視線を向ける。各々が何故そんな溜息を吐くだけの余裕がある!?…死が目の前に迫って居ると言うのに!…と困惑の眼差しを向ける中…二人はと言うと竜巻を前に腕を組んで見詰めては仁王立ちで微動だにせず、ただ若干苛立ちを感じる呆れた表情を見せては言葉を口にし始める。
「……モツさん?…
案外この国って思ってたより
大した事無かったんだなぁ?…」
__ッ!?…
「…そうだな?……本当に大した事ねぇな?…
さっきまで偉そうにしていた連中は突然目の前に
難題が出て来たらテンプレと言わんばかりに
ポンコツになるし…兵士も騎士も格下…
下賤の者達よりヘタレと来たもんだ…
これじゃあ…あの将軍さんもただの無駄死に
になってしまいそうだな?…」
「ッ!?…な、何を?…」
マサツグの口を開いたと思えば突如出て来たのはまさかの相手を貶す言葉!…国全体を指すよう大した事が無いと隠す気無しでモツに同意を求めるよう尋ね始め、その言葉に王様やアムネスを含む全員が戸惑いの表情を見せていると、モツもその言葉に同意するよう貶し出す。先程までの威勢の良さは何処へやら…ポンコツとヘタレしかいないと罵り放題の馬鹿にし放題とモツは言いたい放題に言葉を口にして居ると、ハイドリヒがその言葉に戸惑いを覚え始める。二人が何故そんな事を口にし始めたのか…理解出来ないと言った様子で二人を見詰めるのだが、二人はそんなハイドリヒの視線を知ってか知らずか関係無いとばかりにまだまだ罵倒する!…
「偉そうに傲慢張った奴は今後ろでただ嘆くだけだし!…
王様や王妃様が頑張っても臣下はポンコツ揃いで
仕事はままならない!…」
「更に可哀想と言うなら村や町の人達だろ?…
何せ上がポンコツだから被害は下の面々が
被る破目になる!…
極め付けがこの状況に誰も率先して動こうとしない
その様子!!…見た感じあの竜巻自体は移動して
居る様に見えないからアレはただのエフェクトで
別に気にしなくても良いとして…
問題は人キメラの波だけ!…ちょっと見ればそれ位!…
俺達でも分かるのにただ逃げる事だけ考えて状況を
見ようともしない!…
ただその場から逃げ出して生き延びようとする!…
確かに死ぬのは怖い!…
怖いけど自分だけ助かろうとするこの浅ましさよ!…
そこに痺れもしないし憧れもしない!…
こんな今の姿を子供達にはとてもとても…
…見せれないよなぁ?…」
「ッ!?!?!?…」
__……ッ…
マサツグが少し前の異端審問会での話を引っ張り出してはお返しとばかりにロムスタ卿を馬鹿にし、更に王様やアムネスを馬鹿にはしなくてもその周りに居る者全てを馬鹿にする様な言葉を口にすると、何故馬鹿にするのかを説明するようモツが罵る!…言いたい事を思う存分言う二人に俯く者や項垂れる者…更には怒りを抱く者まで現れ始めるのだが誰もその二人の暴言に対して反論をしようともしない!…自覚があるのかそれとも腕っぷしで勝てないと思っているのか?…とにかく言われ放題の面々にさすがの王妃様も二人を止めに入ろうとするのだが、何故か王様がアムネスを止めるとその行動にアムネスが戸惑う。
__ガシッ!…ッ!…
「あ、貴方?…」
__プルプル…
「……おい!…訂正しろ!…」
「……は?…」
止められた事にアムネスが戸惑うと王様の方を振り向くのだが、王様は決して何も言わずアムネスに首を左右に振ってみせると、ただ行ってはいけないとだけアムネスに理解させるよう視線で訴える。その様子にアムネスは若干戸惑った様子を見せて居ると、何処からともなく怒気の混じった声が聞こえ始め、その声に反応するようマサツグが振り返りその声の主を確認すると、そこには殺気を放ちマサツグを眼光だけで殺そうとするハイドリヒの姿が目に映るのであった。




