-第一章六十五節 お出迎えとエリート意識と地獄の自己紹介-
……さて、話は漸く元の時間帯に戻って今現在…フリードに連れられマサツグ達は馬車で王城前に到着すると、王城前では既に出迎えの準備を整えていたと言った様子で将軍とハイドリヒが玄関口でフリードの乗った馬車の到着を待って居た。二人共いつもの様に鎧を身に着けて直立不動で門の前に立ち、その両脇をメイドさんが両手を前に重ねて澄まし顔で横に列を成して並んでいおり、その光景を馬車の窓から見たマサツグが思わずあの人が居ないかを確認してしまうと、モツがマサツグの様子に気が付いて不思議そうに質問をする。
__ガラガラガラガラガラ……ッ!……
「ッ!…マサツグさん?…
急に如何したんだ?…知り合いでも?」
「え?…あぁ…いや…
例によって紛れ込んで居ないかと…」
「え?…」
モツの質問にマサツグが若干の戸惑いを見せるも、直ぐにいつもの事とばかりに質問を答え出すと、そのマサツグの答えにモツが戸惑う。何故ならマサツグは紛れ込んで居るなどとまるで何か居てはいけない者が居る様な言い方をしたからであり、当然その返答にモツが悩んだ様子を見せ、一体何の事かと悩み出し…マサツグはマサツグでメイドの隊列の中にあの人…王妃のアムネスがいない事を確認するとホッと一息吐いて安心する。
「…ふぅ……何回も見たけど居ないな……
悪い人じゃないんだけど如何にも苦手なんだよな…
あの人…」
「え?…悪い人?…え?…誰の事なんだ?…」
「……ふふふ!…」
マサツグがメイド達の確認を終え思わず思っていた事を口にすると、その言葉にモツが更に悩み出しては馬車の窓からメイド達の様子を確認し始める。しかし当然マサツグが警戒すべき相手はその場に居ないので何が駄目なのか全く分からず…その間マサツグが心の中であの人が居るとまたややこしい事に…と言った事を考えて居ると、マサツグの表情にはその考えが思いっきり出て居た様子で戸惑いと安堵の入り混じったの表情が見て取れた。そしてモツもマサツグの言葉の意味について困惑した表情を見せて悩んでおり、そんな二人の表情を見たフリードが一人笑い始めていると馬車は王城前で止まる。
__ガラガラガラガラ……ガチャッ!…
「おぉ!…ギルドマスター・フリード殿!!…
お待ちしておりましたぞ!!…
王は既に会議室にてお待ちです!
どうぞこちらに!……っと、ん?…
冒険者殿達?…何故貴君達がここに?…」
「……本当に何故なんでしょうね?…」
「……え?…」
王城の前で馬車が止まると将軍が徐に馬車の方へと歩き出し、馬車の扉を開けると出迎える様にフリードへ挨拶をし始めるのだが、馬車の中からマサツグとモツが一緒に降りて来ると将軍は困惑し始める。会議に呼んだのはギルドマスターのフリードだけの筈…そんな戸惑いが伺える表情をしては表情そのままにマサツグとモツへ質問をするのだが、その質問にマサツグとモツも困惑と戸惑いの入り混じった表情を見せて将軍から目を背け、自分達も困惑して居ると言った様子で将軍の質問に答えるとその答えに将軍が戸惑う。そうして将軍が困惑しマサツグとモツは直ぐにでも帰りたいと言った態度を見せて居ると、フリードが将軍に何故二人を連れて来たのかの説明をし始める。
「あぁ!…彼らは私が呼びました!…
今回の会議で彼らの意見が参考になると思いまして…
それに…司祭達と渡り合ったのも実際彼らだけなので
その他に司祭が居た場合の対処法をその際教えて
貰おうかと…」
「…ッ!……なるほど…
…と言う事は今回の会議についても既に?…」
「…えぇ…説明済みです…」
「……分かりました!…ではこちらに…」
フリードが将軍に説明をする際…マサツグとモツを手で指示しては連れて来た理由を第三者と口にし、一緒に会議に出席させる旨を将軍に伝えると将軍は何の疑問を持つ事無くただ理解出来たのかハッとした表情を見せ、次にフリードへ会議の内容を二人に伝えたかどうかについて神妙な表情で質問をすると、その質問にフリードは頷き返事をする。その際二人は会議の内容は外にバレてはいけないとでも言った緊張感を放っており、その様子にマサツグとモツが戸惑って居ると将軍がその会議をする場所へと案内し始める。そして案内する将軍を先頭にフリード…マサツグとモツと言った具合に後を付いて行くよう王城の中へと通され、暫く長い通路を歩いて居ると何故かマサツグの後ろにハイドリヒが着いて徐にある事を尋ね始める。
「……おい!…マサツグ!…
お前に聞きたい事が有る!…」
「ッ!?……えッ?…」
__ずもおぉぉん!……
「……用件は?…」
ハイドリヒが周りを気にした様子で警戒し、他の者達に聞こえないようヒソヒソと声を潜ませマサツグの耳元に話し掛けると、その突然の問い掛けにマサツグが若干吃驚する。そして後ろを振り向きハイドリヒを確認すると、そこには如何にも気になって仕方が無いと言った様子を見せるハイドリヒの表情が有り、その表情に嫌な予感を感じつつもマサツグがハイドリヒに質問の内容を聞き返すと、ハイドリヒはカルト教団殲滅戦の舞台となった旧大聖堂の話をし始める。
「…旧大聖堂の制圧戦の時!……
お前は天井をぶち抜くと言っていたが
何故それをしなかった?…
確かにあの時私は反対したが…」
「え!?…今更それ蒸し返す!?…」
突如質問をし始めたかと思えばまさかの質問にマサツグが戸惑い、何故今更になって再度尋ねて来る!とツッコミを入れては答えたくないと言った表情を見せる。あの時天井ぶち破らなかったのはお前のせいだ!…と言える筈の無いマサツグは何とか誤魔化し逃げようと、無言を貫いて完全黙秘を実行するのだがハイドリヒがそれで納得する訳が無く…マサツグの表情を見ても尚食い下がる。
「良いから答えろ!…
あの事が気になって私は夜も眠れないのだ!!…
あの時お前とモツは天井をぶち抜く事に
躊躇いは無かった筈!!…なのに如何して!?…」
「……はあぁ~…別に良いだろ?…もう!…
無事に殲滅が終わってお前の大事な旧大聖堂も
何事も無く取り返したんだか!…これでハッピー…」
「私がハッピーでは無いのだ!!…
良いから答えろ!!…一体何が!?…」
「…着きましたぞお三方!…」
「ッ!?…チッ!!…」
幾らマサツグが答えなくともハイドリヒは一向に諦めず、何故かあの時の話を蒸し返し、仕切りに作戦を変えた事について尋ね続け、マサツグも若干呆れた様子で溜息を吐いてはうんざりと言った返事を返す。だが幾らマサツグが言った所でハイドリヒは一歩も退く気配を見せず、ただマサツグの事を一心に見詰めて自分の求める答えを待ち続け、マサツグがハイドリヒの異様な食い付きぶりに戸惑いを見せて如何したものか?…と悩み始めるのだが、ここで将軍が会議室に着いたと足を止めて説明すると、ハイドリヒが舌打ちする様な表情を見せる。
「この部屋に我が王…
その他出席者がお待ちです!…では!…」
__ガゴン!…ギイィィィィ……
「ギルドマスターフリードと他二名!!…
ただいま到着しました!!!…」
それを見てマサツグが安心する一方で、ハイドリヒの様子など当然知らない将軍が会議室の扉を開けてフリード達を中へと案内する。一同が会議室の中に入るとそこにはよく各国首脳会談に使われている様な円卓が設置されており、既にフリード達の到着を待って居たと言わんばかりに王様や王妃様が着席し、将軍が会議室内に居る全員に聞こえるようフリードと他二名が来た事を声を張って口にすると、会議室内の居る者全ての視線を集めて王様がフリードに挨拶をし始める。
「…よく来てくれたフリード!…
君にまた助力を願いたい!…」
__スッ……コッ…コッ…コッ…コッ…
「勿論です!…我々ギルドは謹んでご協力を!!…」
「……チッ!…」
一番中央奥から王様・右に王妃様…左は何故か空席でそこから少し離すよう席が設けられては貴族や役人が座っており、全員がフリードやマサツグ、モツに何とも言えない様子で視線を向け、マサツグとモツは困惑する。そんな明らかな場違い感に二人が混乱してその場に立ち尽くして居ると、フリードは王様に声を掛けられた事に傅き挨拶をし始め、それと同時にハイドリヒが王様の左隣の空いている席に移動すると、マサツグの事を若干睨みながらも席に座る。そんな視線を浴びる事にマサツグは何故!?…と言った様子でハイドリヒの視線から目を背け、モツ共々直ぐに帰りたいと心の中で呟いて居ると、貴族の男の一人が舌打ちをしては早速文句とばかりにフリードへ難癖を付け始める。
「…全く!…王や我々は国の一大事と言う事で
直ぐに集まったと言うのに!…
ギルドは随分と偉くなったものですな?…」
「……申し訳ありません…少々道が混んで居たもので…」
フリードが遅刻した事を言い出して、まるで嫌味を言う上司の様な上から目線で苦言を言い出し、それに同調するよう数名の役人と貴族が上品ぶった様子で静かに笑い出す。如何やらスプリングフィールド王国の貴族の中にはギルドを快く思っていないのか?…と言うよりも同列の席につけるフリードを良く思っていないのか?…まるで人の上げ足を取る事しか出来ない議員の様な事を始めてはフリードを罵り、その難癖に対してフリードは涼しい顔をして言い訳を口にすると、スッと立ち上がって見せる。その様子はまるで貴族達に対しては敬意を持っていないと言った様子で明らかな反発を見せており、それを見て難癖を付けた貴族に他の貴族はどよめいた反応を見せてフリードを見詰め、如何にもいけ好かない顔をした貴族が苦虫を噛んだ様な表情を見せると更にフリードへ苦言を口にする。
「……フン!…それも如何だか……まぁそれよりも…
今回この会議に呼ばれたに当たって…我々の国で暴挙を
働いたカルト教団の処遇についてですが…
ギルドはどの様に対処を?…」
「…今現在尋問を行いまして司祭の人数…教祖の居場所…
…それぜれ必要と思われる情報の収集に当たっている…」
「おやおや?…随分と手緩い事をしておいでで?…
まるであの信者共を庇っている様に聞こえるだが?…」
__ピクッ!……ジロッ!…
「ッ!!…おぉこわ!…
もしかすると図星だったりするのでしょうか?…
…何はともあれ!…
アレだけの事態を起こした連中だと言うのに!…
何をそんな…」
フリードの取った態度が気に食わないとばかりに不服そうな表情を見せてはカルト教団の信者達の処遇を交えて荒探しの質問を始め、その質問に対してフリードは若干鬱陶しそうな表情を見せるも、素直にギルドでのカルト教団信者達の処遇を口にする。情報収集に費やして罰は与えていない…とにかく情報を集めるのに時間が掛かって居ると言った様子で話すとその言葉を聞いた貴族の男は、隙を見つけたと言わんばかりに不敵に笑みを浮かべてはギルド全体をまるでカルト教団の根城の様に言い出し、それを聞いたフリードがピクっと反応するとその貴族の男を睨み始める!それでもその貴族の男はフリードを煽る事は止めず、調子に乗り始めようとした瞬間!…全員に聞こえる勢いで咳払いが聞こえる。
「ン゛ン゛!!…これは審問会では無いのだが?…」
「ッ!?…王よ?…」
「ただの推測で語るようなら即刻この場から
出て行きなさい!…今は犯人探しでは無く!…
大元を断つ事が先決だ!!…
余計な不安を煽るようなら!…
私がお前に罰を与える!!…」
「ッ!!…さ、差し出がましい事をしました…
申し訳ありません!…」
王様が咳払いをすると醜いとばかりに貴族の男へ苦言を呈すると、会議室内がシーンと静まり返る!…フリードに食って掛かった貴族の男がその様子にビクッと反応し、恐る恐る王様の方に振り返ると声を掛けるのだが、この時の王様からはいつもの優しい笑みは消えて無くなり…怒りに満ちた鋭い眼光を貴族の男に向けていた。それはまるで長年の付き合いの有る友を馬鹿にされた様な怒り様で、その様子を見た貴族の男は慌てて王に謝るとその場で小さくなっては何も言わなくなる。そんな初めて見た王様の怒り様にマサツグとモツが戸惑った表情を見せて王様の事を見詰め、一体如何したら…とただ現状の様子に困惑し戸惑って居ると、何処からかとも無く聞き覚えの有る声が聞こえて来る。
「…ッ!…マサツグ殿!…
後何処の何方か存じ上げませんが隣の冒険者殿!…
こちらへ!…」
「え?……ッ!?…あれ?…マルコさん!?」
「いやぁ~!…はっはっは!…その節は如何も!…
マサツグ殿の活躍は聞いておりますぞ?…
クランベルズの解放に…何でも化け物に変身した
カルト教団の司祭を倒してしまわれたとか?…」
__どよ!?…
マサツグが聞き覚えの有る声が聞こえた方を振り向くとそこにはこの会議に出席しているのかマルコが席に座っており、マサツグとモツに対して手招きをしては自身の隣に座るよう呼び掛けていた。当然まさか王城で再会すると思っていなかったマサツグはマルコを見るなり戸惑いの声を挙げ、その声に反応するようマルコが笑い出すと改めてあの依頼時のお礼を口にし、マサツグとモツの活躍を聞いて居ると言い出すと、カルト教団追放殲滅戦時の活躍を口にする。その際フリードが紹介するよりも早くにマサツグが司祭を倒した人間であると暴露し、その言葉に周りの役人や貴族がどよめいてマサツグの方に視線を送り始めると、その話を肯定するようハイドリヒが話しに口を出す。
「…その話は本当だぞ?」
「ッ!…ほう?…」
「証人は私とししょ…ンン!!…
将軍の二人で、その化け物を討伐する所も
目の前で見ております!…
…間違いはありません!」
__チラッ……コクリ…
ハイドリヒが嘘を吐く様子を見せる事無く本当と話し出し、周りの者達にマサツグの実力は確かと認めて見せると、その話に興味を持った王様がハイドリヒの方を振り向き声を漏らす。その王様の声に反応するようハイドリヒも王様の方を振り向き、真剣な眼差しで自分と将軍が証人と若干将軍の事を言い間違えた様子で話し、王様がその話を確認するよう将軍の方をチラッ見ると、将軍は無言で頷いて見せる。そうして確認が取れた所で王様がマサツグの方を振り向き、マサツグに覚えが有ると言った様子で視線を送り始めて居るとマサツグが混乱してはある事を口にする。
「…え!?…えぇ~っと……
言い加えると司祭を倒したのは俺一人だけじゃなくて…
モツも一緒なんですけどね?…」
「ッ!?…ちょっ!!…」
マサツグが正直に自分だけが司祭を倒した訳では無いと話し出し、モツの事を紹介し始めるのだがモツは何故か余計な事を!!…と言った様子で戸惑い慌ててはマサツグの口に手を伸ばす!…しかし完全にその話は他の者達の耳に入った様子でマサツグ同様モツも注目を浴び出す。そうしてモツがあぁ~…と言った様子で頭に手をやってその場で項垂れると、マルコが席を立ってはモツに握手を求め始める。
__ガタッ!…トッ…トッ…トッ…トッ…
「どうも初めまして!…
私はマルコ・ボウロと申します!…
今は…この大陸の連合商会の代表取締役(代理)を
務めています。今回、大掛かりな政を行うと
言う事で王国から物資の供給の相談を受けまして、
この場に参上した次第でございます。」
「え!?…そうなの!?…」
「……マサツグさん?…
アンタ別の方向にLUKをガン振りしてるんじゃないか?…
一体何をやったらこんな重役キャラと
遭遇エンカウントするんだ?…」
「い、いや知らんけど!…
…ってか言葉が二重になってるぞ?…」
マルコがモツに握手を求める際…まるで商談をするかの様な丁寧な口調で自己紹介をし、モツに握手を求めては自分の今の役職を話し出す。そしてこの会議に如何して参加する事になったのか?の理由を続けて話し出すと、その話を聞いたマサツグとモツが驚き戸惑った反応を見せ、モツが改めてマサツグの幸運の振り方が可笑しいと言い出すと、その言葉にマサツグがツッコミを入れる。その際モツは二重言葉を口にして、それをマサツグに指摘されるも戸惑う以外の反応をする事が出来ず、ただマルコの事を見詰めてその場に固まり動かないで居ると貴族の一人が咳払いをする。
「ン゛ッン゛!!…」
「ッ!…おっと!…自己紹介は後にして…
…気を付けて下さいね?…
さっき咳払いした人は無駄に身分が高い貴族で
所謂ボンボンと言うものです…
何せ林檎一個買うのに50000Gと答えた人ですから…
色々と…目を付けられると面倒ですよ…」
「ご!…50000!?…」
貴族の男が苛立ちを覚えた様子で咳払いをするとその咳払いにマルコが反応しては、慌てて自分の席へと戻り始める。その際咳払いをして来た貴族の男の事を本人に聞かれないよう下に見た様子で話し、商人らしい例えを一つ話してはそのボンボン具合を口にすると、マサツグがその話にショックを受ける!…何故ならマサツグは普段の買い物から色々と気を使う質で、50000Gと聞くや否や頭の中で何が買えるかの計算を瞬時にし始めてはその貴族の男の世間知らずさ具合に戸惑い呆れてしまう。そうしてマサツグが一人ショックを受けモツがその様子に苦笑いをして居ると、更に貴族の男は不機嫌そうにマサツグ達に文句を口にする。
「…君達も早く席に着かないか?
何時までもそこに突っ立って居られると邪魔なのだが?…
…全く!…幾らカルト教団を追い詰めた冒険者とは言え…
これだから下級の輩は…」
__…カチンッ!!…
「あ゛ぁ!?…」×2
「ッ!?…気持ちは分かりますが待ったですぞ!?…
マサツグ殿!!…モツ殿!?…」
貴族の男は完全にマサツグとモツの事を下に見ているのか呆れた様子で文句を口にしては同時に二人を馬鹿にし始める。その際その貴族の男の容姿を確認するとマサツグ達と同じ位の年齢なのか少し長めの黒髪ぱっつんのおかっぱで、一応ながらに整った顔立ちをしては如何にも貴族らしい礼服を身に着け、態度を隠す気など毛頭ないとばかりに溜息を吐いては二人の顔からそっぽを向く。その態度と台詞にマサツグとモツが怒りを覚えると、まるでグレたヤンキーの様にメンチを切っては詰め寄ろうとし、先程のマルコの言葉を忘れた様子で詰め寄る二人にマルコが慌てて止めに入り、その様子を見たアムネスが扇で口元を隠しては静かに笑い出していると、マルコの制止が功を奏したのか二人が思い止まる。しかしその二人の表情はやはり不服そうで貴族の男を睨んでは威嚇をバリバリに飛ばすのだが、会議が始まるからと我慢するとマルコの隣に二人が腰掛け、フリードも空いている席に座ると漸く会議が始まるのであった。
「…では、会議を始めよう!……
これより今回カルト教団の教祖らしき人物!…
及び残りの司祭の対処についての会議と、
もう一つ各町・村を回る際警備についての会議を行う!」
__ガサガサッ…ガサッ…
「……ふむ…ッ!…」
__スゥ……ッ!?…
王様が会議を始めると呟き真剣な表情を見せては今回の議題を口にすると、直ぐ傍で控えていた大量の資料を抱えたメイド達が会議室内全員の目の前へ資料を置き始める。慌てる事無く淡々と配るメイド達からは妙に気品が感じられ、マサツグがその様子に関心を抱いて居ると何故かハイドリヒから冷めた目で見られる。そのハイドリヒの視線にマサツグが戸惑いを覚えて居るとマサツグ達の前にも資料が置かれ、その資料を手に軽く目を通して居ると将軍が早速進言し始める。
「……まず、今回大きな騒動を起こした
カルト教団の教祖の件からなのですが…
実はそれらしき人物が目撃され…
今現在警戒中との事です!…
監視からはスプリング大森林で何やら妙な
動きをしていると報告を受けていますが…
私としては確認を取り次第対処した方が
良いと考えますが…
王はどの様にお考えですか?」
__どよ!?…ざわざわ!…ざわざわ!…
「…静かに!!……ふむ…
…確かに前から一応は聞いていたね?…
確証が得られなかったから一時保留して居たけど…
確かに気になるね……とにかくまずは確認を…
確認が取れ次第身柄を拘束…
その手順でお願いしたい…」
「…では、この話はこのままこちらで進めても?……」
将軍が真っ先に話し始めたのはまさかのカルト教団・教祖の存在で、その居場所と現在まだ確認を取っている最中と言う経過報告で有った。その話が出て来た途端会議室内が一気にどよめき出し、まだ暗躍しているのか!と言う戸惑いの声があちらこちらで出て来始めては、まだ襲われる可能性がある地方の代表らしき貴族の者が頭を抱え始める。そんな声に王様は負けないよう周りの者達に落ち着くよう声を掛け、自身の考えを纏めると将軍にその考えを話し始めるのだが、同時に現場の指揮を将軍に任せるようお願いするとその言葉に将軍が確認を取る。その将軍の確認に王様は問題ないと言った様子で返事をしようとすると、周りの貴族や役人達も問題無いと言った様子で頷き返事をしようとするのだが…
「あぁ…かまわな…」
「異議あり!…私は反対です!…」
__ざわッ!?…
「……ほう、何故反対なのかね?…ロムスタ卿?…」
王様の返事に割って入るようマサツグとモツに食って掛かった貴族の男…ロムスタ卿が一人反対すると、そのまさかの反対意見に周りの者達が戸惑いの声を漏らし始め、一心にそのロムスタ卿を見詰めるのだがロムスタ卿は周りの目など眼中にない様子で王様の方を振り向く。そしてその視線に反応するよう王様は反対意見を出したロムスタ卿に対してその理由を尋ね始めるのだが、ロムスタ卿はやはり一切慌てる様子を見せる事無く自分の考えを口にする。
「…ラインハルト将軍の腕を疑っている訳では
無いのですが、もしそれが間違いだった場合…
兵を差し向ければその隙を狙って王都が狙われる
可能性が出て来ます!…先程のカルト教団に盗賊!…
国家転覆を企む反逆者と多数!…その様な不確かな者に
手を出してもし!…この王都が襲われたら民がそれこそ
危のう御座います!!…ここは手を出さずに放って
置いて魔物共の餌になる事を願いましょう!…
そうすれば!…兵を出さずとも解決…」
ロムスタ卿は余程自信が有るのか王様の問い掛けに答えるよう立ち上がると、教祖らしき人物が違った時の最悪のパターンを話し始める。その際将軍のメンツを守るよう予め馬鹿にしている訳では無いと口にし、その最悪のパターンを話しては迂闊に撃って出ない様に守りを固めるよう王様に進言し、時間が解決してくれるとその教祖がモンスターに襲われる事を願い始めるのだが、フリードがロムスタ卿の方を振り向くとその考えは無いと一刀両断する。
「それは無いと思われます。」
「ッ!…ほ…ほう?…
それは何故なのだ?ギルドマスター殿?…」
「カルト教団は人キメラなるモンスターを
使役する力を持って居ます!…
もしモンスターに襲われる様な事が有ったとしても
その人キメラを使って対処すれば良いだけの筈!…
それにカルト教団の司祭は化け物に変身する術も
持って居ると聞いています!…
…実際にこの目で見た訳ではありませんが…
少なくともハイドリヒ氏、将軍殿が
目撃されているかと!…」
「ッ!?…そ、そんな物!…出鱈目に決まっている!…
人間がモンスターを使役する?…そんな馬鹿な話が!…
冒険者達が自分の武勇もしくは報酬を架空に騙し取る為の
嘘の報告を!!…」
フリードに否定されロムスタ卿が驚いた表情を見せると、引き攣った様子でフリードに理由を尋ねる。自信満々で答えたにも拘らず…いともあっさり否定されてはプライドが傷付いたと言った感情を感じさせるのだが、フリードは関係無いとばかりに今現段階で分かって居るカルト教団が有している能力について話し出して、有り得ないと更に強く否定する!…その際裏付けは出来て居るとばかりにハイドリヒと将軍の名前を出しては無視出来ないと話すのだが、ロムスタ卿は信じない!…と言うよりは自分が正しいと言った様子で反論し始め、その言葉にフリードが呆れた様子で溜息を吐くと突如立ち上ってはマサツグ達の紹介をし始める!
「…はあぁ~~…これだから常識の無いボンボンは……
…では、先程会議が始まる前に既に名前が出て来たと
思いますが…改めて紹介しましょう!…
…今回我々の会議に第三者の目として来て貰った
マサツグ君とモツ君です!…」
__ガタッ!?…
「彼らはブルーベルズでの強襲時!…
更に旧大聖堂にて司祭の討伐に成功し、
更にアラクネ型の女性司祭の撃退に成功した…
言わばプロフェッショナル!…
今現在着々と実力を付けている
ギルド期待の新人二人です!!…」
フリードが立ち上りマサツグとモツの紹介をし始めるとその紹介はまるでバラエティ番組の様な紹介で、紹介を受けたマサツグとモツが慌てて立ち上るとその会議室に居る全員の目がマサツグ達に集まる。その様子に二人は完全に緊張した面持ちで直立不動状態になり、ただフリードの誇張された紹介に対し戸惑いも感じ始めると、その紹介がマサツグ達の方へと回って来る!…
「……え?…えぇ~っと……み、皆さんでどうも!…
今先程ご紹介に預かりました!…マサツグと!…」
「モ、モツです!…」
__………。ブフッ!!…
「……はあぁ~~…」
何の準備をしていないままにフリードから自己紹介のバトンを手渡され、マサツグとモツが戸惑いながらも自己紹介を始めると、その自己紹介はまるで最初の挨拶で躓く漫才コンビの様な自己紹介になる。当然その様子にその場の空気はシラ~っと見事にスベッた様な空気になり、マサツグとモツが居た堪れない様子でその場に立ち尽くして居ると、王妃様が我慢の限界と言った様子で噴出し始める!その際王様の隣ではハイドリヒが呆れた様子で頭を抱えては溜息を吐き、その様子を見たマサツグが動けずにいると心の中で文句を言う!
{…仕方が無いだろ!!…
寧ろ溜息を吐きたいのはこっちの方だっての!?…
ただでさえ嫌々面倒臭いでこの会議に連れて
来られたと思えば何か妙にハードルの高い
自己紹介を要求されて!?…
自己紹介したと思えば見事にスベる!!…
地獄だっての!?…
俺達にそんな高度な自己紹介を求めんじゃねぇ!!!…}
__ククククッ!…
{…後アンタは笑い過ぎだ!!!…}
本当なら思って居る事を思いっきりぶちまけたいのだがグッと堪えて見せ、必死に羞恥心に耐えながら周りの様子を確認すると、ロムスタ卿が何故かマサツグを見ては敵視し始める!何でこんな事になる!?…と一刻もその場から立ち去りたい気持ちで一杯になりつつも、もはや笑いを隠し切れない様子で王妃様が笑っているのを見つけると、マサツグは王妃様に対してツッコミを入れるのであった!…ただし心の中で…




