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どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-  作者: すずめさん
-第一章-スプリングフィールド王国編-
64/603

-第一章六十三節 祭りの準備とお伽話と勇者(仮)-



……リンが隠し持っていた?…資料書により情報がもたらされ、冒険者達が一気に動き出しては春王祭に必要な食材が徐々にギルドに集められ始めた今日この頃…町の中でも春王祭の準備が進んでおり、町は色とりどりの花や装飾品等で飾られてはその陽気な雰囲気に活気付いていた。町の人達は祭りを心待ちにしている様子で笑みを零し、子供達は駆け回る…町行く人も何処か浮き足立って居り、そんな様子を目にしながらマサツグ達は何故か…


「…今回君達に来て貰って本当に心強いよ…

同行してくれる事を承諾してくれて…ありがとう!…」


「い、いえ…気にしないで下さい…」


__ガラガラガラガラ…


ギルドマスターのフリードと共に王城に向かって馬車に乗せられていた…フリードは付いて来てくれたマサツグとモツに対して笑顔でお礼を言い、マサツグとモツは、何で…如何してこうなったと戸惑ってはフリードに目を合わせる事が出来ないまま返事をし、馬車の中で揺られていた。…さて、何故こんな状況になったかと言うと時間は少し遡って三日前…食材納品後の話に戻る…クラリスがリンにプロレス技オンパレード(20連発)の20発目を決めている時…二階から徐にギルドマスターが姿を現した所から始まる…


「アルゼンチン゛ン゛!!…

…ヴゥアックブリィィカアアァァァァァ!!!!」


「ぎゃああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」


__うおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!…


クラリスが勢いに乗った様子でリンの背骨を折り曲げる様に自身の肩まで担ぎ上げ、そのまま自身の体を軸にしリンの背骨に圧を掛けると、それが痛い!とばかりにリンが悲鳴を上げ泣き喚く。そしてその様子を見ている冒険者達がまるで観戦でもしているかの様に興奮した様子で歓声を上げ、その歓声も有ってかクラリスが乗りに乗った様子で更にリンを落としに掛かろうとするのだが、ここで止めが入る様にフリードが二階から顔を出す。


「…何やら楽しそうな事をしているね?……」


「ッ!……ッ!?…ギ、ギルドマスター!?…

こ、これはそのぅ!……」


「…少し良いかな?…頼みたい事が有るんだが?…」


「は、はい!!…直ぐに!…」


フリードが苦笑いしながらアルゼンチンバックブリーカーを決めるクラリスに話し掛け、声を掛けられた事にクラリスが反応し振り返ると苦笑いするギルドマスターの表情を見た途端に慌てた表情を見せる。そして周りの興奮も一気に冷めた様子で冒険者達が二階のフリードに視線を向けて居ると、フリードはクラリスに用事が有ると言って苦笑いしたまま二階の奥へと姿を隠し、その呼び掛けにクラリスが慌てた様子で同意すると、リンの事など御構い無しと言った様子で投げ捨てる。


__ボタッ!……タッタッタッタッタッタ!…


「…あぁ~あ…こら完全に伸びてますなぁ…

当分は起きないんじゃ?…」


「…と言うよりもあの細い体の何処にそんな力が

有るのかが気になるんだが?…」


「はいはぁ~い!…お医者さんが通りまぁ~す!

道を開けて下さぁ~い!」


クラリスが慌てた様子で呼ばれたフリードの元へと走り出し、解放されたリンはと言うと投げ捨てられたままの状態で地面に突っ伏しては白目を剥いてピクリとも動かなくなり、周りの冒険者共々マサツグがリンの様子を見て呟いて居ると、モツがそれ以上にと言った様子でマサツグにツッコむよう疑問を問い掛ける。その問い掛けにマサツグは無言で苦笑いをするしかなく、冒険者一同が倒れるリンを見て如何したものかと困惑して居ると、空気を読んだ様子でマサツグ達と一緒に着いて来たハリットが人波を掻き分けリンの容態を確認し始める。


「……気絶して居るだけみたいですね…

…ふぅ…今日は良く気絶している人を

見かける日ですね?…何処か安静に

出来る場所に寝かせて置けばじきに目を覚ますと…」


倒れているリンを仰向けに転がし自身の顔をリンの顔に近付け、息をしているかの確認をすると直ぐにリンは気絶して居るだけと判断する。その際周りの人の目を考慮した様子でマサツグの時とは違い服を脱がさず、クラリスが見せた技の数々も命を奪う様な物では無いと判断して大丈夫と話すと、今日は患者が多いとばかりに一息吐く。そしてハリットの言葉にマサツグが何も言えねぇ…と言った様子でそっぽを向いて、聞かなかった振りをして見せて居ると二階の踊り場からクラリスが顔を覗かせては突如マサツグとモツの名前を呼ぶ。


__コッコッコッコッコ!…


「マサツグさぁ~ん!…モツさぁ~ん!…

ちょっと良いですかぁ~!」


「ッ!?…え?…今度は何!?…」


「ギルドマスターがお二人にお話が有ると!…」


「……え?…」×2


突如クラリスに名前を呼ばれマサツグとモツが驚き戸惑った表情を見せて呟くと、周りの冒険者達の目は二人に移り…何をやった!?と言った様子で困惑の眼差しを送る。そんな困惑の様子を見せる二人に対してクラリスも困惑した様子を見せつつフリードが呼んで居るとだけ伝え、その言葉に二人は戸惑いながらも呼ばれるままに二階へ移動し始めると、踊り場で待っていたクラリスにフリードの居る執務室へと案内し始める。二階は余り立ち寄った事が無いので何処に何が有るのか分からないと言った興味本位の様子で二人が辺りを見渡し、その様子にクラリスがフフフッ♪と可笑しそうな笑みを零して居ると、直ぐに三人はギルドマスターの待つ執務室前へと辿り着く。


「…ここがギルドマスターの執務室です。

では…」


__…コンコンッ!…


「…入って来てくれ!…」


「失礼します!…」


クラリスが執務室の前で立ち止まりマサツグとモツも釣られて足を止めると、クラリスは軽く紹介した後扉をノックする。すると中に居るフリードがクラリスに入って来て良いと返事をし、クラリスが改めて声を掛け執務室の扉を開けると、部屋の中は如何にもと言った室内で色々と飾られてあった。まるで学校の校長室の様な謎の高級感にソファやテーブル…壁には自身が使っていた剣だろうか鞘に仕舞われた状態で掛けられており、その他にもシカの頭の剥製や王様から貰ったであろう表彰状等が飾られてある。そんな室内にマサツグとモツが戸惑いつつもクラリスに連れられ中に入ると、一番奥の書斎スペースにフリードが座って待って居れば、席を立ち手前の対面する様に置かれたソファへと二人を案内する。


「…やぁ、来て貰って申し訳ない…

どうぞ、そこに座って…」


「あ…ど、どうも…」


「………。」


「………。」


マサツグとモツの二人をソファへと案内し、自身も対面するようソファに腰掛けるとそこはもう校長室の様な緊張感に包まれる。フリードは笑顔でマサツグとモツを迎え入れる状態で座っているのだが、部屋の雰囲気とフリードの風格がそうはさせず、妙に緊張した様子でマサツグとモツが返事をして案内されたソファに腰掛けると、気分は完全に説教を受けそうな状態になり嫌でも身が縮まる!…今まで校長室に呼ばれる様な悪い事をしていない二人にとっては慣れない感覚で、フリードが何を言い出すのかと完全に委縮した様子で固まって居ると、四人の間は沈黙に包まれる…そんな様子にフリードは戸惑った様子を見せては咳払いを一つし、徐にある事を話し始める。


「……えぇ~っと…ン゛ン゛ッ!…」


__ッ!?…ッ!…プルプルプルプル!…


「…そんなに緊張しなくても

別に何か叱ろうとしている訳では無いんだよ?…

ただちょっと…昔話をね?…」


「え?…」


フリードが咳払いをするとマサツグとモツが驚いた反応を見せ、フリードもそれを見て戸惑った様子を見せると慌てて二人に声を掛ける。二人の警戒を解くよう慌てるフリードにクラリスが思わず吹き出しそうになるも、自身のお尻を抓って我慢し何とか笑いを堪えて居ると、フリードが戸惑いながらも二人へ話の用件を話し出す。しかしその用件と言うのは如何にも不可思議な物でマサツグとモツに昔話と話しては笑って見せ、その言葉を聞いた二人は戸惑い言葉を漏らし困惑して居ると、フリードはその昔話を突如話し始める。


「……この地には昔、魔王が君臨していた…

その魔王は好戦的で名の有る冒険者や実力有る

剣闘士と戦う事を何よりの娯楽としていて、

事ある毎に挑んではその者達を震撼させていた…

ただ冒険者や武術家しか狙わなかった為、

こちらから仕掛けない限りは脅威にならなかった

のだが…この時…今は無き「ワールウィンド帝国」と

呼ばれるもう一つの国がこの魔王を利用し、

スプリングフィールド王国へ侵攻しようとして居た

過去があったしたらしい…だが、その思惑は外れて

逆に自国を滅ぼすきっかけになった…

彼らは何を思ったのかだろうか?…

魔王を意のままに操れると思ったのか迂闊にも

手を出し、それがきっかけで魔王は帝国を逆に侵攻!…

魔王は一人で帝国を相手に戦争をし、結果は帝国の

完全敗北で今は廃墟となっている。」


「……?…」


何の脈絡も無く話し始められた昔話をマサツグとモツは黙って聞き続けるのだが如何にもフリードの意図が読めない…フリードが話しているのはこのゲームのこの大陸(スプリングフィールド)で有った昔話だと言う事は分かるのだが、何故今それを話そうと思ったのかその意図が読めずにマサツグとモツは困惑して居た。フリードは何を話そうとして居るのか?…それとも本当に昔話をする為に自分達を読んだのか?…そんな疑問を覚えつつ二人が話を聞いて居ると、フリードの昔話はまだ続く。


「…さて、ここから話がややこしくなる!…

この時、魔王は帝国を落とし終えた後何かに

目覚めたらしく、自分の力を試す様に

今度はスプリングフィールド王国へと

侵攻し始めたのだ!…余程彼は帝国を

落としたのが楽しかったのだろうか、

迷う事無く一直線に王都へと攻め入り

王都に向かい宣戦布告しては蹂躙!…

魔王にとっては暇潰しだったのだろうが、

国にとっては災害で急ぎ王国は魔王討伐の

算段を立てるのだがそれは火に油を注ぐ

結果になってしまう!…王国はまず、

兵を編成して魔王に戦いを挑むが敵う筈も

無く全滅!…次に王国は実力のある冒険者、

武術家を呼び寄せ再度魔王に挑むがこれも

失敗に終わる…その後王国も考えられる

ありとあらゆる方法を試すが全部失敗に

終わって結果的に魔王を喜ばせるだけに

終わってしまった……まぁ、魔王にとっては

戦いが娯楽であるが故に丁度良いおもちゃを

見つけた程度にしか思っていなかったんだろう…

町の人達への被害は無いものの兵士や冒険者達への

損害が激しく、違う意味で王国の滅亡が

危惧されていた!…抵抗すれば全滅!…かと言って

このまま侵攻させるのもいつかは民に影響が出る!…

悩みに悩んだ末王国は考えた!…いっその事

何もしなければ帰ってくれるのでは?と…しかし

この考えは間違いだったのか魔王は次の行動を

取り始める!…


{…何故だ?…何故何もしてこない?…

もしやもう終わりとでも言うのか?…

…つまらん!…つまらん!!つまらん!!!

つまらん!!!!…

今まで抵抗して来る事に楽しみが有ったと

言うのに何もして来ないとは…

この王国は腑抜けたか!?…ならば仕方ない!!…

今まで楽しませて貰ったが兵力の無い国家など

我にとっては壊れたも同然!!…何も無いだけの

偶像に存在の価値等無し!!!…

無塵と帰してくれる!!!…

……だがただ壊すだけでは面白くない…

そうだな…ッ!よし!…

…これより半年後!!…これより半年の間に

貴様達が我を止められなければ我はこの国を…

塵と返す!!…我も気が長い方では無いからな!!!…

それまでに我を倒せるだけの力を

付けておく事だな!!…}


勿論この宣戦布告に王国は大混乱…会議や作戦を

立てるが解決の兆しは一向に見えないまま、

ただ悪戯に時を浪費して行く…そうして半年と言う

年月はみるみる無くなり刻一刻と時間が過ぎて行く中…

突如としてある者達が現れ始める!…それは王国の

安寧より王国に住む民の事を一番に心配していた

王家の血を継ぐ…後の春王と呼ばれる王子と、

その時まだ勇者と呼ばれる前の冒険者と騎士の

二人であった。三人は国王に自らが魔王と

対峙すると告げると王国を後にし、魔王の居城に

攻め入った!…勿論その前に国王に反対されるも

王子は自分の考えを曲げる気は無かったのか…

ほぼ家を飛び出したのと変わらない様子で他の

二人と旅立ったらしい……だがその道は険しく

長いもの…簡単には行かない…苦戦を強いられながらも

遂に魔王の居城に辿り着き、魔王と決戦を迎え!…

遂に王家の血を継ぐ王子と勇者は死闘の末、

封印する事に成功した!…と言うのが

この国の昔話なのだよ……面白かったかな?…」


「え?…えぇ……」


{最後の話の部分の投げやり感が

半端なかった様な気がするが?…}


フリードが話す昔話はまるでこの国に有る伝承の様で、マサツグとモツが困惑しながらその話を黙って聞いて居ると、漸く終わりを迎える。そして昔話を話し終えたフリードは二人に対して感想を求め始めるのだが、二人はただフリードの意図を考えて居た様子で戸惑い出しては返事がたどたどしくなり、その様子にフリードが苦笑いをする。その際口には出さなかったものの話の最後の終わり方が急な事について疑問を持つが、それ以上に何故呼ばれたのかをひたすらに考えて居ると、フリードは今までの昔話が前座だったと言った様子で二人に本題を話し出す。


「…さて、ここまで話を聞いて貰ったのは

他でもない……本題はここからなんだ…」


「え?…」


「実はその魔王には側近が居たらしくて…

その側近が人と獣が入り混じった化け物を

従える能力があったらしい!…」


「ッ!…それって!…」


フリードは今までの話を踏まえて本題に入ると真剣な表情を見せ、その様子にマサツグとモツが戸惑った様子で反応を見せて居ると、フリードは気になる一言を言い始める。それは魔王に側近が居る事で側近には化け物を従わせる能力がある事…その化け物も人と獣が入り混じった物…まるでそれは今まで相手にして来た人キメラの事を言っている様に聞こえ、二人が驚いた様子で反応を見せて居るとフリードは若干困惑した様子で淡々と説明を続ける。


「…まぁ、君達の反応の通り…

その人と獣が入り混じった化け物と言うのは

あの「人キメラ」と言うモンスター達の事だ!…

今回のカルト教団襲撃…強襲…

殲滅と戦って来た中で何度も相手にして来ていると

思うが、問題なのは何故そのモンスターを

カルト教団の連中が従えているのか?…

これに限る!……と言うよりも答えが出て居ると

言った方が良いかな?…」


「ッ!…まさか!…」


フリードが両手を顔の前で組んでは若干困惑した様子で人キメラの話をし始め、カルト教団がその人キメラを従えていた事を口にし出してはカルト教団の目的とその教祖の正体について話し始める。その話を聞いたマサツグとモツは戸惑った様子を見せては思わずソファから立ち上がり、フリードはそんな二人の様子を見て驚いた反応を見せる事無く、寧ろ真剣な表情で眉間にしわを寄せると自身の考えた結論を二人へ口にする。


「……そう我々はカルト教団の教祖が

その魔王の側近では無いか?と考えている!…

…これは歴代ギルドマスターに受け継がれる

記録帳で今までにあった大きな事件の事が

事細かに書かれてある!…その中の一つには

こう書かれてあった!…


{勇者一行は魔王の封印に成功し、その側近達を

退治し始める!…しかしその内の一人を取り逃がして

しまい、完全な勝利とは行かなかったらしく…


「これで勝ったと思うな!!

必ずや魔王様の封印を解き、

貴様らに復讐してやる!」


…と捨て台詞を吐かれた……}


とここに書いてある。その際…この時代に居る

人キメラはその後全滅させたとなっているが…」


フリードは自身の考えを二人に話すと同時に自身の懐から年季の入った手帳を取り出すと、その手帳の紹介を軽く済ませては記述がされてあるページを開き、何故その結論に至ったのかによる証拠を提示し話を続ける。その話を聞いてマサツグとモツはただ戸惑う事しか出来ないと言った様子で立ち尽くしてはその手記を見詰め、徐々に自身の記憶に沿って理解を示すと頭の中で今までの出来事に対して順を追って整理し始める。


「…じゃあ…クラスアップ試験の時に

行った狩人狩りの森に居たあいつ等は…」


「アレは新たにその側近の手によって召喚…

又は作られた人キメラか…

もしくは過去の取り逃がしと色々考えられるが…

さすがに分からない…マサツグ君の記憶を

見せて貰った時に気になって自分で調べて見たんだが…

やはりあの森にその様な化け物が出て来る情報は

一つも無かった…更にその狩人狩りの森だが

今は立ち入り禁止にして腕に覚えの有る冒険者に

対してクエスト…人キメラの掃討をして

貰っているのだが…報告では普通の森にしては

動物が凶暴になり辺りには瘴気…身元不明の死体が

転がっていると聞いている!…

もはやあの森は普通では無い上に化物が闊歩する

魔界と化している…

…ただある一部の場所を除きではあるがね?…」


「ッ!…その一部と言いますと…」


「浄化の樹・リンデが生えている場所…

…とは言っても確認が出来ていないのだけどね?…

何故か辿り着けないと聞いている…」


マサツグ達がフリードの話を聞いて自身が見た人キメラ達について考え始めると、フリードが推測を口にする。そしてフリードはマサツグの記憶を除き見た際、自分が疑問に感じた事を独自に調査したりと色々していた事を話し、今の狩人狩りの森の状態について話すと同時にその処置についても話し、若干の悩んだ表情を見せる。あくまでも応急処置としての対処なのか現場の冒険者の事を考えた様子でとにかく解決法を探さなくては!と悩み、その際フリードがある事を言うとその話にモツが食い付き、フリードが気が付いた反応を見せると、モツの問い掛けに苦笑いしながら答える。そうして徐々にフリードが何を言いたいのかを理解し始めたマサツグ達ではあるのだが、ここで別の疑問が浮上してくる。


「……まぁ、何と無く言いたい事は分かりました…

分かったんですが?…」


「ん?…」


「何でこの話を俺達に?…

別に俺達じゃなくても…

何なら俺達以上に腕の立つ冒険者は

幾らでも居ると思うんですが?…」


「ッ!………ふふふ!…」


マサツグ達が感じた新たな疑問とは何故自分達が名指しで呼ばれたのかと言う事であった。ギルドの一階には中堅~廃人クラスの冒険者達が集まっていて、普通に人キメラの殲滅やそれこそカルト教団の排除…それぞれの分野で一役買って出た者達が居た訳であるのだが、それなのに自分達が呼ばれたと言う疑問をマサツグとモツは聞かずには居られなかった。そしてその質問を聞いたフリードはキョトンとした表情を見せると、余程その質問が可笑しかったのか徐々に笑みを零し出し、その様子に二人が揃って困惑して居ると、フリードは笑い始めた事を謝罪しては二人に話し掛け始める。


「フフフ!…ッ!…あぁ~!…失敬!…

そうだね…君達は知らなかったね?…」


「……え?…」


「…マサツグ君が持っているのは…

ライモンド卿の大剣だね?…」


「ッ!…」


「そしてモツ君が腰に差しているのが…

エイブレント卿の剣…」


「ッ!?…え?…何で?…」


フリードは如何やらマサツグとモツは既に話を理解して居ると言う態で話をしていたのか、理解していない二人を見て謝罪するとその謝罪にマサツグとモツが戸惑った反応を見せてはフリードの様子に困惑し始める。そして目の前で困惑する二人にフリードが徐々に落ち着きを取り戻して見せると、その視線は何故か二人の持つ武器の方へと向けられ、マサツグはライモンド…モツはエイブレントと言い当てるとその教えた覚えの無い答えが返って来た事にマサツグとモツは驚いた反応を見せる。そうして二人がフリードの掴めない様子と雰囲気に完全に飲まれた様子で立ち尽くし何が何だかと言った様子でただ困惑して居ると、フリードは二人の持つ武器にも関係が有ると言った様子でこう切り出す!…


「……実はその二本の剣は当時の勇者一行が

使っていた武器とされているんだ…」


「え?…えぇ!?…」


「ちょ!…ちょっと待ってください!?…

だってこれは!!…」


__…フルフル……


突如フリードに自分達の持っている武器が勇者の持っていた武器と紹介され、マサツグは驚き戸惑いモツは有り得ないとフリードに否定しようとするが、フリードは逆にモツを否定するよう静かに首を左右に振る。その様子にモツが戸惑ってはあの時見たエイブレントの記憶は嘘だったのか?…それともフリードに間違ってその情報が伝わってしまったのか?…と思わず色々疑い始めてしまうのだが、フリードはその補足説明をする様にある事を二人に話し出す。


「その驚き様だと知ってると思うけど…

ライモンド卿とエイブレント卿は

お伽話よりもっと先の人物で勇者では無い!…

勇者では無いけど…受け継がれているんだ…

武器はとある王国で大切に保管されていて

その二人が譲り受ける事になるんだけど…

…まぁ…二人共見た感じ自分様に

作り変えちゃったみたいだね…でも正真正銘…

その傷の有る大剣と白銀剣は元々勇者一行が

握っていたとされる武器なんだ…」


「つ…作り変えちゃったって!……えぇ!?…」


「あははは…まぁ驚く所ではあるけど…

これで君達をここに呼んでこの話をした理由は

理解して貰えたと思う!…君達がその武器を

持って居ると言う事は元の持ち主に

認められたと言う事…それに伴ってその武器を

手に入れたタイミングでカルト教団の活動が活発化…

偶然にしては出来すぎている…

まるで運命がそう仕向けている様に…」


「えぇ~……」


フリードは二人の持っている武器は勇者から受け継がれて来た物と話し、更に自分様に作り変えられている事を見抜くと若干驚いた様子で話し始める。そしてマサツグ達がその武器を手に入れたと言う事は勇者としての素質が有ると期待した様子で言い、同時にカルト教団が活性化し始めた事を例に挙げて運命と若干興奮した珍しい様子で言い出すフリードにマサツグとモツは迷惑そうな表情で戸惑い声を漏らす。その際心の中で{はた迷惑な…}と思ってしまうのだが、これもこの武器を手に入れた時点でフラグが立ったのかと考えると、何故か簡単に諦めがついてしまう。そしてこの瞬間…マサツグ達の持っている武器は魔王イベントに関連する激レアアイテムと化した為、一部の冒険者(プレイヤー)から狙われる可能性も出て来ると更に二人は面倒とばかりに溜息を吐き始める。


「……はあぁぁ~~…」×2


「……さて、回りくどい話に付き合わせてしまって

申し訳ないね?…

…でもこれから起きる事柄には注意をした方が良い!…

君達は武器を手に入れる前から王族との関係性を

持っていて、その人間達に興味を持たれている!…

それだけでも数奇な事なのに君達は唯一の武器を

手に入れたんだ!…

何が起きても不思議じゃない!…」


マサツグとモツがこれまで以上に面倒な事に巻き込まれるのでは?と考え始めると一際大きな溜息を吐き出し、それを見たフリードが苦笑いすると二人に忠告の言葉を口にする。王族と係わりを持っていて、勇者?…の武器を所持している!…これで他の冒険者及びカルト教団に目を付けられるとフリードが二人の安否を気遣う様に声を掛けると、マサツグが落胆すると同時にフリードの言葉に疑問を持ったのか質問し始める。


「えぇ!?…そんなぁ~!?…

…ってか本当にそう見えますか?…

どちらかと嫌われている様な?…」


「傍から見ていても仲が良く見えるのは

間違い無いだろう…特にリー…ッ!…

ゴホン!!…ハイドリヒ君や王妃様…

あの方々は間違いなく君に興味を

持っている様だったよ?…」


「うげえぇぇ~~…」


マサツグは好かれていると言った好感を感じていないのか、逆に疎まれているのでは?と疑問を感じた様子でフリードに聞き出すと、フリードは目を閉じ首を左右に振って見せてそれは無いと答える。その際何故か誰かの名前を言い間違える様な素振りを見せては慌てる事無く咳払い一つして言い直し、マサツグが好かれている事を改めて告げるとマサツグはゲンナリする。その様子を見たモツがマサツグの隣で悪い笑みを浮かべては{ご愁傷様!…}と心の中で呟き、それと同時にフリードが誰かの名前を言い間違えた事が気になって居ると、フリードはマサツグの様子を見ては笑い出し話し掛ける。


「あっはっはっはっは!…

まぁ気持ちは分からなくも無いけど…

彼女達だって一応は冒険者を

やっていた訳だから実力の無い者に

態々興味を持つ事も無いだろ?…

これも…期待されていると考えれば…

案外良いものかもしれないよ?…」


__…ッ!……


「将軍もマサツグ君やモツ君の活躍を

見てまだまだやれる!と躍起になって

居たみたいだし…少なからず王妃様に将軍と…

二人が気に入られている事は間違いないよ?…」


「ッ!?…って、俺もですか!?…」


フリードが苦笑いしながらマサツグを宥めると、その気に入られるだけの実力は有ると褒め始めるのだが、そのフリードがマサツグを宥める際…気になる言葉を口にすると更にモツが引っ掛かりを覚える。そうしてモツは一人フリードが何かを隠している様な違和感を覚え始め、フリードの話す言葉を集中して聞き始めるのだが次に話し始めたのは自分の話題と、飛び火した事に驚いてその違和感も何処へやら…そうしてギルドマスター・フリードに気付きたくもない真実を突き付けられ、勇者・マサツグ(仮)と勇者モツ(仮)が誕生させられると、二人揃って脱力しては今後如何しようかと悩み始めるのであった。



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