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どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-  作者: すずめさん
-第一章-スプリングフィールド王国編-
63/602

-第一章六十二節 小さな料理人と観察眼のプライドと本気のクラリス-



「…すいませ~ん!

新たに食材が来たのでその確認をお願いしま~す!!…」


__…ガタッ!……コッ…コッ…コッ…コッ…ピタッ…


「……ッ!…え?…いや…」


クラリスが受付カウンターより左…ギルドの奥の方に有るカウンター席の方を振り向いてはその王国から派遣されて来た料理人を呼び出し、マサツグの持って来た食材を確認するようお願いし始める。するとそこに座っていたであろう痩せ形の成人男性とまだ年端も行かない女の子が席を立ち、ただ無表情に近い様子でこちらに向かい歩いて来てはカウンターの前で止まって見せる。そしてマサツグ達に対して全く挨拶をする事無くカウンターの上に置かれた食材の確認をし始め、その様子にマサツグが戸惑って居ると女の子はジッ…と何も言わないまま食材を見詰め続ける。


「………。」


「……え?…本当に喋らない?…」


「…はい……ずっとこの調子で…

恐らくは食材の確認が難しいのかと

思うのですが…」


ただの一言も喋らない女の子は茶色の髪にショートヘアーで見るからに眠そうな表情をしている。身長も約130~140cm位と行った所か低く、カウンターの上の食材を確認するのがやっとと言った様子…そして見るからに料理人と言ったコック帽に白いキッチン服を着た格好をしており、西洋風の幼い顔立ちに青い瞳とそばかす…の女の子の特徴をマジマジ見詰めてはこの子が王国から派遣されて来た料理人なのか?とマサツグが戸惑いつつ様子を見て居ると、クラリスが料理人の二人に聞こえないよう耳打ちで今までの様子を説明する様に話し出す。その際痩せ型の男性の方はまるで某・奇妙な冒険の第四部に出て来るシェフに似ており、一切女の子の様子に手出しする事無く後ろに立っては後方で腕を組み、まるで女の子の指示を待っている様に立ち尽くして居た。


「………。」


「……む、無言!……因みに後どれ位掛かる?…」


「…そ、そうですね……

人によってはもう終わって居たり…

査定が長い人でも三分と持たなかったりと…

時間はバラバラですね…」


「……何か無言の重圧を感じるのだが?…」


料理人の男も女の子も無言を貫いて居る為、カウンター周りが謎の緊張感に包まれ、マサツグがそのプレッシャーに早くも折れそうになってクラリスに時間を聞き始めるが、クラリスも悩んだ様子でどれ位掛かるか分からないと答えては首を左右に振る。そんな様子にマサツグが戸惑った様子でクラリスにツッコミを入れるのだが状況は変わらず…その間にも女の子がカウンター上の食材を熱心に見詰めてはただ無言を貫くのだが、ふとその女の子の表情が緩んだかと思えば次の瞬間後ろに立っていた男性が慌ただしくなる!


__……ニコッ…ッ!?…


「ちょっとすいません!!…」


__どよ!?!?!?…


「え?…今…しゃべった?…」


女の子が食材を前にして笑みを零すとそれに反応するよう男性が動き出し、マサツグに声を掛けて優しく押し退けると、押し退けられたマサツグは戸惑いながらも後ろに下がる。そしてマサツグがその男性の突然の慌て様を見てその場で固まり困惑するのだが、辺りからはそれ以上に驚いたと言った様子で声が上がって、その驚く者達の視線は受付カウンターの上に置かれた食材へと向けられる!そして初めて声を聞いたとばかりにクラリスが男性の方を見詰めては驚いた表情を見せ、その様子をギルド内に居る者全てが固唾を飲んで見守って居ると、女の子は男性に無言で指示し始める!


__ッ!!…ッ!!…


「ッ!…台ですね?…

分かりました!…すいません!…」


「ッ!?…は、はい!?…」


「この椅子を踏み台替わりに…

後このカウンターを暫く占有しても?…」


「え?…あっ!…は、はい!…

分かりました!!…」


徐々に女の子の表情が興味を持った様子を見せて、お付き?…の男性に椅子とカウンターを指差しては指示を出し、その女の子の指示を汲み取った男性がクラリスに話し掛けると、クラリスはまさか話し掛けられるとは思って居なかった様子で男性に返事をする。そしてその返事を聞いた男性は若干戸惑った反応を見せるもクラリスに改めて女の子の指示に従うよう椅子を踏み台に…受付カウンターを料理台として使用して良いかどうかについて質問をし、その質問にクラリスがまだ戸惑った様子で悩みながらも許可を出すと、男性が女の子を抱えては椅子に乗せるのだが、その際気になる一言を口にする。


「…失礼します!…()()()!…」


__ギッ……


「……え?…料理長?…」


「……?…はい…

この方はスプリングフィールド王国・王家お抱え

シェフ長、[リリム・ノア・モーリス]料理長で

在らせられます!!!」


「「「……え?…

ええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?!?!?」」」


男性が女の子を抱えて椅子に乗せる際…男性は女の子の事を調理長と呼び、その言葉を聞いたマサツグが戸惑い思わず疑問形で復唱すると、男性はマサツグの方に振り返ってその復唱に疑問を持った表情を見せる。そして先程の呼び方を肯定するよう改めて女の子がスプリングフィールド王国・王家お抱えのシェフ長である事を自慢する様に紹介し、その紹介を聞いたギルド内に居る人物全員が戸惑いの声を漏らすと、まるで打ち合わせでもしたのか?と言う位に息ピッタリの戸惑いの絶叫をし始める!その間リリムは我関せずと言った様子でただカウンターの上に置いて有る食材…一点一点を手に取り、真剣そのものの眼差しでただジッと見詰めては確認出来たのか小さく息を吹き始める。


__スッ…スッ…スッ…

…ふぅ……ッ!…あぁ~~……


「え?…今度は何?…」


リリムが食材を一通り確認し終えて小さく息を吹き出しその場に落ち着くと、そのリリムの様子に先程の興奮は何処へやらと言った様子で、クラリス及び冒険者達は憑き物が消えた様に一気に落胆し始める…その様子にマサツグやモツが戸惑った様子で辺りを見回し、何事と言った様子で言葉を漏らしては状況判断に苦しんで居ると、その問い掛けに答える様にクラリスが落ち着いた様子で理由を話し出す。


「い、いえ…えっと…リリムさんでしたか?…

食材を見終えるとこの様に違う食材の場合

こんな風に溜め息を吐くらしくて…」


「え?…じゃあ…」


__ドタッ!…ッ!…


「リ…リン!?…」


クラリスがマサツグに話し始めたのはリリムが小さく溜息を吐いた意味で、その息を吹いたと言う事は求めていた食材とは違うと言う事であり、それを聞いたマサツグが戸惑った様子でクラリスに改めて確認をしようとした瞬間、モツの隣でリンがその場に崩れ落ちる。リンが崩れ落ちるとモツがいち早く気付いては声を掛け始めるのだが、リンは立てない程にショックを受けたのかその場で項垂れては一気に落ち込み始める。


「そ…そんな!…私の目が間違っていた?…」


「い、いや!…そんなに落ち込まなくても!…

えぇ~っと…ほら!…弘法も筆の誤りって言うだろ?…

…ッ!それにまだ完全に違うって訳じゃ!!…」


「でも!!…私!…

物を見る事に関しては人一倍自信が有ったんですよ?…

プロの目から見て違うと言う事は違うんです!…

…ごめんなさい!…私の鑑定が間違っていたせいで

マサツグさん達をぬか喜び!…」


「い…いやいや!…リンは悪くないって!!…

大体早々簡単に…」


リンが人知れずショックを受け始めるとモツが慌ててフォローに入る!…誰でも間違いは有ると諺を用いてリンを励まそうとするがリンは俯いたままで、更にモツが励まそうと結果が出て居ない事を挙げて話をするのだが、リンはプロの目は確かとモツの言葉を否定する。そして自分のせいでマサツグ達をぬか喜びさせたと謝っては自身の目がまだまだだった事を悔い出し、その様子にマサツグもフォローに入ろうとすると、突如後ろから服の裾を引っ張られる。


__…クイクイッ!…


「ッ!……え?…」


__パタパタッ!…パタパタッ!…


「……?…屈めば良いのか?…」


__トトト…スッ…どよどよ!?!?…


マサツグが裾を引っ張られた事に反応して振り返ると、そこには椅子から降りたのか一仕事終えて元に戻ったと言った様子で眠そうな表情をする…寧ろ眠そうな表情がデフォルトなのかリリムがマサツグを見上げる姿があった。リリムはマサツグが気付き振り返ってくれた事にホッとすると裾から手を放し、今度は手を上下にパタパタと振って見せてはマサツグに一生懸命に意思表示をして見せ、その様子にマサツグが心の中で可愛い…と思いつつも戸惑いながら指示に従うと、リリムはマサツグの耳元に移動してはボソボソと話し掛け始める。その際その様子を見た冒険者達はまるでリリムの事を古代兵器か何かと言った様子で見詰めては、マサツグに話し掛けている様子に驚いた反応を見せて居た。


「……良い食材を持って来てくれて有難う御座います!…

お姉さんの目は間違っていません…」


「……え?…」


「…私…如何にも自分の思っている事や考えている事を

伝えるのが人一倍苦手で…声もこんな風にしないと

伝える事が出来ないのです…

…もっと頑張って声を出せたら良いのですが…

ごめんなさい!…」


「ほ…ほう…」


リリムがマサツグの耳元で話し始めたのはリンの鑑定は間違っていない…指定の食材をパーフェクトに持って来ていると言う弁明で有り、食材を持って来た事に対しての感謝の言葉であった。その突然の感謝の言葉にマサツグが戸惑い屈んだままリリムに耳を貸し続けて居ると、リリムは何故この様な事になってしまっているのかと言う自身の苦手な部分についてマサツグに説明し始め、その事について謝罪するとマサツグは理解した様子で戸惑いながらも返事をする。そしてリリムが一通り説明し終えたと言った様子でマサツグから離れると一礼し、男性が立っている方に振り返っては指を差してマサツグの持って来た食材を回収する様に指示を出し、男性もいつもの事と言った様子で察すると何処からとも無くクーラーボックスの様な箱を持って来ては食材を仕舞い始める。


__…ペコッ!…クルッ!…

ピッ!…ピッ!…ッ!…


「…了解しました!」


__ゴソゴソッ!…ドサァ!!…ザッ!…ザッ!…


「えぇ!?…ちょ!…ちょっと!?…」


男性がリリムの指示に従いカウンターの上に置かれている食材を回収し始めると、突然の話の展開にクラリスが完全に付いて行けない様子で困惑し始めると、ワタワタとした様子で食材を回収している男性に説明を求めようとする。しかし男性は鮮度が命!と言った様子でクラリスに目もくれず急いだ様子で食材を仕舞ってしまい、一通り回収し終えてからクラリスの様子に気が付くと、不思議そうな表情でクラリスに話を聞き出す。


「……ッ!…何でしょうか?…」


「え!?…えっと…

食材はそれで合って居ると言う事で

宜しいのでしょうか?…」


「……?…えぇ…そうですけど?…」


「ッ!…と言う事は依頼達成と言う事で?…」


まるで仕舞う事に一生懸命だったと言った様子で男性が反応し、クラリスがその男性の反応に困惑するも仕事と言った様子で再度食材について確認をすると、男性は戸惑った表情で返事をする。その返事を聞いてクラリスがパッと明るい表情を見せると再度依頼達成か如何かについてに質問をし、その質問に男性がハッ!と気が付いた様子でクラリスに謝り始めると笑顔で答え始める。


「ッ!…あぁ!申し訳ない!!…えぇ!…

まだまだ材料は足りませんが…

この方々のクエストは完了と言う事になります!…

料理長が直に話し掛けに行くと言う事は

どれもかなり良い食材と…」


男性はクーラーボックスを抱えたままクラリスの質問に対してまだ食材が足りていない事を挙げるが、マサツグ達のマスターオーダーの依頼は達成した事を認め、更にリリムが話し掛けたのは食材が良いから発見した者を労っていると続けて説明をしようとするのだが、クラリスはそんな事如何でも良いとばかりに男性の話を無視すると、慌てた様子でマサツグの方を振り向き呼んでは記憶水晶を作る様にお願いし始める!


「ッ!?…マサツグさん!!

今すぐ記憶水晶の前に移動して下さい!!!…

情報提供お願いします!!!」


「え?…きゅ…急に?…何でまた?…」


「急ぎ情報が欲しいからです!!!

ここから忙しくなるからです!!!」


「わ…わかったよ~…」


クラリスのお願いに対してマサツグが戸惑った様子で立ち上り、その訳を聞き始めるのだがその時間も惜しいとばかりに珍しくクラリスがカウンターを飛び越えると、マサツグに詰め寄る!そしてここから冒険者達を総動員させて食材を集めると躍起になり始めたクラリスの様子にマサツグが戸惑うと、そのままクラリス監視の元…記憶水晶の前へと移動させられてはマサツグの記憶水晶を作成し始める。そうしてマサツグが自身の記憶水晶を作り始める一方で、モツの方ではある事件が起きようとして居た。


「……これで一段落?…とにかく…

これで依頼は達成…」


__ガバァ!!…


「ううぇ!?…」


「お嬢ちゃん!!答えて下さい!!…

私の!…私の鑑定は間違っていましたか!?」


モツがクラリスに監視されているマサツグの様子を見ては戸惑うも、何とか無事食材を納品出来たと今まさに一息吐こうとした瞬間!…リンが突如立ち上ってはリリムが居る方へと駆け出し、リリムの両肩を掴みと自分の鑑定眼が間違っていたかを尋ね始める!…突如起き上がった事にモツが驚き、リンは答えを聞くのに必死の形相をして、リリムがリンの様子に怖がっては委縮してしまうと答えられずにいるのだが、リンはそれでもお構いなしにリリムに尋ねる!


「お願いです!!…教えてください!!…

間違っていましたか!!」


「ッ!!…ッ!?…」


「ちょっ!…落ち着けリン!!…良く見ろ!!!…

今まさにマサツグが集めて来た食材が

回収されてただろ!?…回収されて居るって事は

合ってたって事だろうが!!!」


リンが無我夢中と言った様子でリリムの肩を強く掴んだまま軽く揺らし、怯えているリリムの様子など目に無いっていない様子で質問をするのだが、モツが慌ててリンを羽交い絞めにしてリリムから引き剥がすと注意する様にリンへ話し掛ける!その際もう一人の料理人の男性がマサツグの集めた食材を回収した後の様子を指差し、リンの目に狂いが無かった事を証明して見せると、リンがモツの言葉でハッ!と我に返った表情をしてはリリムに視線を向け謝り始める。


「ッ!!……す、すいません!!…

で、でも…本人の口から直接聞きたいのです!!…」


「ッ!…まだそんな事を!…

回収されてるんだから問題は!…」


「そういう問題では無いんです!!…これは!!…

私のプライドに関わる問題なのです!!!…」


「ッ!………」


リンはモツに羽交い絞めをされたままリリムに謝り出すがまだ納得していないのか食い下がった様子で再度質問をし、その質問にモツが困惑してはまだ納得していないと理解したのか今だリンが暴走しない様に羽交い絞めにする。そして分からせる様に再度食材が料理人達の手で保管された事をモツは呆れた様子で言い出すのだが、リンはモツの言葉に違うと強く否定しては首を左右に振り、自身が気に入らない部分を挙げては真っ直ぐにリリムの事を見詰め出す!…そのリンのマテリアルフェチとしてのプライドの高さに周りの冒険者達が戸惑った様子でリンを見詰める中、そのリンの眼差しを見たリリムはハッ!とした様子で軽く目を見開くと羽交い絞めにするモツの方へと徐に歩き出す。


__トトト……クイクイッ!…


「ッ!…な、何?…」


__パタパタッ…パタパタッ…


「え?…何?……しゃがめば良いのか?…」


リリムはマサツグの時同様モツの服の裾を掴んでは引っ張り出し、モツがそれに気付き戸惑いながらも振り返ると、そこにはこれまたマサツグの時同様…しゃがんでくれと言った様子で手を上下にパタパタと振って見せるリリムの姿が有った。その様子にモツは困惑しながらも何とか意思を汲み取ったのかリリムに確認の言葉を掛け、そのモツの言葉にリリムが頷くとモツはリンを羽交い絞めにしたまましゃがみ始める。


「…どっこい…」


「え?…え!?…

な、何でしゃがみ始めるんですか!?…

一体何が!?……ッ?…」


__トトト……スッ…


モツがしゃがみ出すと羽交い絞めにされているリンも釣られてしゃがみ出し、リンが突然しゃがみ出したモツに困惑の言葉を漏らして居ると、リリムがモジモジとした表情でリンの方に移動して来る。その様子にリンは更に困惑した表情を浮かべつつもリリムの事をジッと見詰め、リリムもリンに対してモジモジとした様子を見せながらリンの耳元に手を添える。そうして奇妙な体勢でリリムがリンに耳打ちをする光景が周りの冒険者達の目に映り、一体何をしてるんだ?…と言う疑問の視線を集めつつもリリムはリンが欲しがっていた言葉を伝え始める。


「……貴方は間違っていません…」


「え?…」


「ごめんなさい!…

私…大きな声が出せなくて…

こうして貰わないと思う様に

自分の意思を伝える事が出来ないんです…

まだ私が小さい頃に…

声の病気に掛かったみたいで…

それに引っ込み思案で…」


「ッ!?…そ、そんな!?…

悪いのは私です!!…

知らないとは言えそんな!!…

…ごめんなさい!!!…」


リリムがリンの耳に話し掛けるとまず伝えたのはリンの目利きが間違っていないと言う事…それをボソボソとやはり小声で聞こえ辛い様子で聞いたリンは戸惑いの表情を見せてリリムの方を振り向こうとするのだが、リリムが続けて自身が喋れない理由について語り出すと、リンは慌ててリリムの話に耳を澄ませる。そしてリリムが思う様に話せない理由を聞いたリンは困惑した様子で反省し出し、リリムに頭を下げて謝り始めるのだがリリムは気にしていない様子で寧ろリンの様子に戸惑って頭を上げるよう身振り手振りを見せながら話し掛け始める。


「いえいえ!…こちらこそ!……ふふふ!…

貴方が目利きしてくれた食材は間違い無く!…

私達が依頼した食材に間違いはありません!…

時季知らず…土もどきトリュフ…妖精のバジル…

そしてバニーガールキャロット…

どれも全てが一級品で驚きました!…

王室料理人になってからあれ程の物を

見た事が無い程に…こちらも有りがたい限りです!!…」


「ッ!!…はい!!!…有難う御座います!!!!…」


リリムがリンの様子に戸惑いながらもお礼を言い…ぎこちない様子で笑いを起こすと改めて目利きに対して励ましの言葉を掛け始める。指定された食材でどれも一級品!…リリムも大満足と言った様子で話してはその言葉にリンは感激した様子で笑みを見せると、リリムにお礼の言葉を口にする!そうしてリンとリリムの方で若干怪しい空気は有ったものの、無事に解決するとモツがホッと一息吐いては漸く羽交い絞めを解除し、記憶水晶の前ではマサツグの記憶が無事抽出されたのかクラリスがマサツグの記憶を確認するが、如何にも反応が芳しくない…


__ポウゥゥ!!…


「うぅ~ん……」


「……やっぱ駄目そう?…」


マサツグの記憶水晶を額に当てては中身を確認し、思う様な情報が入っていない事にクラリスが唸って居ると、マサツグが苦笑いして分かって居た様子で話し掛ける。何故なら指定食材の四つの内三つは貰い物で、マサツグ自身が見つけた物では無く何処で取れたか分からない物であるからである。それを知っているマサツグはクラリスに申し訳なさそうな表情を見せてはクラリスの様子を見守り、クラリスもこれ以上は無駄と判断したのか額から記憶水晶を取って見せると、大きく溜息を吐き始る。


「……はああぁぁ~~…駄目ですねぇ~…

辛うじて分かったのはバニーガールキャロットが

農村で栽培されている事位で…

後はぬいぐるみのお化けに妖精…

何処の誰とも知らない行商人からの譲渡品と…

出所は不明ですねぇ~…」


「…ですよねぇ~……

鮭は熊五郎に貰ったモンだし…

バジルも元々は木の実の包み…

トリュフに至っては全裸にされた商人が

持ってたもんだからなぁ…」


「……止めて下さい…思い出したくないです!…」


「ッ!…こりゃまた失礼!…」


溜息を吐いてはやはり情報はなかったと言った様子で落胆し、カウンターにもたれ掛かると唯一分かったバニーガールキャロットの事を口にし始める。そして他の食材に関しての記憶を見た際…印象に残った物を次々に口にしては違うと言った様子で項垂れ出し、全てが出所不明である事にただ困惑し疲れた声を漏らして居ると、マサツグが諦めた様子でその食材を手に入れた者達の事を口にする。その際マサツグがトリュフを譲ってくれた商人の話をし出してはその場面の記憶を思い出したのか、クラリスがピクっと反応すると見たくも無い物を見たと言った様子でマサツグにツッコミを入れ出す。そのツッコミを受けたマサツグはクラリスに軽く謝って見せると、カウンターにもたれ掛かって腕を後頭部に回して手を組み、クラリスと共に溜息を吐き始める。


「「……はあぁぁ~~…」」×2


「…で、如何しましょ?…

…このままだと食材を思う様に集めるのは困難…」


「……ッ!…そう言えば!…

…先輩!ちょっと待っててくださいね?」


「え?…ちょっ!…ちょっと!?…」


マサツグが一日に色々有った事からの疲労で溜息を吐き、クラリスは仕事が思う様に進まない事から溜息を吐く。そうして完全に手詰まりになった状況にクラリスのテンションはダダ下がってその場の空気が重くなり始めるのだが、突如リンが思い出した様に立ち上るとクラリスに声を掛けては慌てた様子で駆け出して行き、受付カウンターを飛び越えてギルドの奥へと姿を消す。そんなリンの様子にクラリスは戸惑った反応を見せてはリンを呼び止めようとするが、時既にお寿司と言った様子でギルドの奥から慌ただしい物音が聞こえ始める!


__ドタドタドタドタ!…ガシャアァァン!!…

ガラガラガラガラ!!…


「ッ~~~!!!…

…あぁ~……もう!…あの子ったらぁ~!!!…」


「あはははは…」


__ギッギッギッギッ…


リンが慌ただしく走って行く足音に明らかに何かを崩した音…そんな音にクラリスがビクッと反応してはギルドの奥を見詰めリンに対して文句を口にする。そしてそんなクラリスの様子を見てはマサツグが思わず苦笑いをしてしまい、リンが何をしに行ったのかと疑問を感じて居ると、何やら階段を上り下りする音が聞こえて来る。階段が軋む音に今度は何をするんだと言った様子でクラリスやマサツグが警戒をするのだが、今度は何事も無くリンが二人の前に姿を現すとその手には一冊の本が握られており、その本を笑顔で持って来たリンは徐にその本をクラリスへ手渡し始める。


「先輩!…これを!!…」


「…はあぁ~……これは?…」


「これは私が今回の指定食材を見分ける事が

出来る様になった本です!!ここの…

…あった!…このページに見分け方と

採取方法が書いてあります!」


「…ふぅ~ん……ッ!…え?…えぇ!?…」


クラリスがリンから本を受け取ってマジマジ見詰め、如何にも古そうな本に困惑の表情を浮かべてはリンに何の本かと尋ねると、リンはその本に指定食材についての情報が書かれていると笑顔で答え始める。そしてそのリンの言葉を聞いたクラリスは一旦は話を聞き流した様な態度を取って見せるのだが、改めて聞き捨てならない言葉が有ると認識し、戸惑い出しては本を開いて内容を確認し始めるとそこにはリンの言う通り…マスターオーダー指定の食材についての情報が事細かに書かれている文面を見つける。その文面を見たクラリスは途端に驚き戸惑った表情を見せ、リンの方に振り向いては有る質問をし始める。


「…リ、リン?…この本は何処にあったの?…」


「え?…それですか?…

その本はギルドの地下書庫に…」


「ッ!?…嘘でしょ!?…

私が帰って来た時真っ先に確認したのに!?…

一体何処に隠れて!?…」


クラリスがショックを受けた様子で本が有った場所について質問し始め、その問い掛けにリンが若干戸惑いながらもあった場所について答えると、クラリスは更にショックを受ける。時間帯的にはリンを置いて先にギルドに戻って来た時だろうか…クラリスはその場所は探したと言っては酷く動揺した様子で話すのだが、リンはケロッとした表情でクラリスに人差し指を立ててはトンデモナイ事を言い出す。


「あぁ!…それは私の部屋に置いて有ったからです!」


「……は?…」


「いやぁ~!…実はこの本私がギルドの地下から

持って来てたんですけどぉ~!…

自分の部屋に置いたまま忘れちゃって…

返そう返そうとはしてたんですけど…つい~♪…」


「………。」


リンが自分の部屋に置いていたとクラリスに答え、その答えを聞いたクラリスが呆気に取られた様子で口を開けては戸惑いの表情を見せて居ると、リンは自身の頭を掻きながら苦笑いする。そして本を戻そうとして居たと反省しているのか?…していないのか?…恐らくは後者だろうが表情そのままに固まるクラリスへ言い訳し始め、その言い訳を聞いてクラリスが徐々に俯き出すと小刻みに震え始める。そんな様子にマサツグがあっ!…と言った様子で慌て出し、モツが何が起きるのかととにかくクラリスの異変に気が付き様子を見て居ると、二人の目に…マサツグは見覚えの有る!…何時ぞやの鬼の形相をした仁王像が現れ始める!


__ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!…


「あははははは……って、あれ?…」


「リィンンンンン~!!!!

あなたって子はぁぁぁ!!!…」


「ヒッ!?…」


クラリスが完全に切れちまったぜ…と言った様子でリンに眼光を向けると、後ろの仁王像はリンを見下ろしお仕置きをするとばかりに指の関節を鳴らしている様子を投影し始める。その様子はマサツグやモツだけでなく他の冒険者達にも見えているのか突如現れた仁王像に戸惑い出し、リンも仁王像が現れた事に戸惑い出しては恐怖で青ざめる!…そしてリンに対して怒りを燃やして居るとばかりにクラリスが喋り出し、徐々にリンへ歩み寄り出すと首を軽く回し出す。その様子から見て分かる様にクラリスは本気で怒っている様子を見せ、リンも逃げようと後退りするもまずカウンターの中に居るので逃げ場が少なくほぼ逃走不可能!…そうして徐々に近寄る恐怖にリンが青ざめ必死に逃げ場所を探して居ると、クラリスはトーンそのままにリンへ話し掛ける!…


「貴方って子はぁぁ!!…

…いつもいつも問題を起こしてぇぇ!!!…

失敗から学ぶって事をほんっっっっっっとうに!!!…

しないわねぇ!!!…」


「ご…ごめんなさい!!…ワザとじゃないんです!!…

決して悪気があった訳では!?…」


__……ッ!?…


「な…何で?…何で首が動かないの!?…

まるで何かに固定されている!?……ッ!?…」


今日と言う今日は許さないとクラリスが意気込み、リンがそんなクラリスに対して必死に謝罪するも聞き入れて貰えない!…そして再度逃げ道は無いかとリンが悪あがきをしようとするのだが、何故か急に首が回らなくなっては徐々に近づいて来る激おこのクラリスが目に入る!…その際外からその様子を見ていたマサツグ達の目にはクラリスの背後から出て居る仁王がリンの頭に向かって腕を伸ばし、掴んで逃げられない様に固定しているよう見えてはまるでクラリスが歴戦の覇王の様なオーラを纏い始める!…


__……コッ…コッ…コッ…コッ…


「ヒ!…ヒイィ!?…」


「さぁ!…覚悟なさい?…今日は特別に…

スペシャルでデラックスなお仕置きをしてあげるわ!…」


普段のクラリスを知っている面々はただひたすらに彼女の変わり様に驚き、信じられない様子で目を擦っては幻覚を見ている様な錯覚を覚え始める。そんな様子にマサツグ達一同は青褪めた様子でリンの事を諦め、リンはただひたすらに自身に向かい歩いて来るクラリスの様子を見ては目に涙を溜め恐怖し、モツも有り得ないと言った様子で戸惑っては隣に移動して来たマサツグに慌てた様子で質問し始める!…


「な…なぁ、マサツグさん?

俺は頭がおかしくなったのか?…

目の前でクラリスの後ろに仁王像が居る様に見えて!…

その仁王像がリンの頭を掴んで居る普通じゃ

有り得ない光景が見えるのだが?…」


「ははは…モツさん?…そんな事言ったら

俺なんて当の昔に手遅れになるじゃないか…」


モツがただひたすらに戸惑った様子を見せては何度も仁王像の姿を確認して瞬きし、マサツグに自分はおかしくなったのか?と仁王像を指差し尋ねると、その問い掛けにマサツグは苦笑いをしては自身の事を手遅れと言い出す。そうして遂にリンの肩にクラリスの手がポンと止まり、その事にリンが更に恐怖し絶望した表情を見せて居ると、クラリスは遺言を聞き始める。


「……最後に言い残した事は?…」


「ッ!?…ど…どうか…お許しを!……」


「……却下!!」


__……アーメン(南無三)!…


クラリスが遺言を尋ねるとリンが必死に許しを請い、その許しを請う姿にクラリスは優しく笑みを浮かべると、リンはパァッ!と一筋の希望を見出した表情を見せる!そして暫くリンとクラリスの間に沈黙が訪れるのだが、それはやはり聞き入れて貰えないのかクラリスは直ぐにスッと激おこの顔を見せると、最後の言葉を掛ける!そしてモツはクラリスの様子を察してか今後の活動に支障を来さないよう気を利かせてはその光景を見せないようリリムの目を隠し、全員がリンに対して十字を切ったり…念仏を唱えたりしていると、マサツグ達の目の前でリンの公開処刑と言う名のプロレス技オンパレード(20連発)が始まるのであった。



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