-第一章五十節 オルトロス司祭と断罪と答えられない理由-
__……カァン!…メキメキメキメキ!!!……
「我々はぁ!!…
救世主様より加護を得た者ぉぉ!!!…
私はぁ!!…
かの日が来るまでに備えを蓄えるのが使命!!!…
我々の信仰をぉぉ!!…
ジャマスルトイウノナラァァァァ!!!!…」
__バキッ!!…メキ!!…グシャッ!!…
「完膚無キマデニ
叩キ潰シテクレルワアアァァァァァ!!!!…」
唸り出しては杖を掲げ、そして勢い良く杖を床に突いて甲高い音を立てると三度目の変態が始まる!…その際先導者の司祭はまるで自分のやっている事は正義と言わんばかりに自身の役目を口にし、マサツグとモツ…将軍にハイドリヒと更に冒険者・ギルド職員の前で膨張変形し、姿を変える際の生々しい音を聖堂内に響かせると、抵抗する意思をマサツグ達に向けてハッキリと叫び始める!そしてその容姿も徐々に化け物へと変貌していく中、司祭はその力に溺れるよう歓喜に震えては更に叫び出す!
「オオオオオオォォォォォ!!!!…コレコソガ!!…
コレコソガ救世主様ノ力ァァァ!!!!」
「……ったく!…
お前らの信仰している救世主は何者なんだっての!?…」
「少なくともまともじゃ無いのは確かだろ!?…
…何せ自分の信者を化け物に変えちまうんだからよ!?…
…っと、その前に…鑑定!!!」
__ピピピ!…ヴウン!…
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「人キメラ O-091062型 改」
Lv.19
HP 6900 ATK 230 DEF 90
MATK 150 MDEF 30
SKILL
HP吸収 Lv.4 統率 Lv.6 ダブルアタック Lv.5
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その司祭の体はやはり2~3m位にまで膨れ上がり大きくなっていくと、その巨体が毛深くなり始める。そして信者が前屈みに倒れ四つん這いになったと思えば首の間から突起物が生えて来て、その突起物が徐々に人の顔を作り出すとその手の描写に慣れない冒険者やギルド職員から悲鳴が上がり始める!そしてその四肢はやがて狼の様な体に変貌し、尻尾はまるでアナコンダがくっ付いている様な蛇がウネウネと動き、頭二つがおっさんの醜い顔になると恐らくはオルトロスであろう残念な人キメラが出来上がる!
「グオオオオオオオォォォォォ!!!!!…」
「な!…何だこの化け物!?…
こんなのが出て来るのか!?…
聞いてないぞ!?…」
「ッ!!……冒険者達諸君!!…
まずは人命を最優先に!!!…
ギルド職員は一時任務を中断し外に避難せよ!!…
ここは我々が!!!…」
無事変態を終えたのか狼の真似をするよう体を動かし吠えて見せ、その気色の悪い化け物を始めて見たと言った冒険者達が足踏みをする。もはや怖さより不気味さが勝っていてある意味グロ映像なのだが、何故か一部の冒険者達からは謎のガッカリ感が漂い、その様子にオルトロス司祭が気付き凄み始めるも、そこに恐怖は無くただただガッカリ感だけが満ち溢れ出す。そんな冒険者達を尻目に将軍が不味いと判断すると真っ先に冒険者達に号令を出し、ギルド職員にも退避命令を出すのだが、その命令を妨害するよう突如オルトロス司祭は吠え始める!
「オオオオオオオォォォォ!!!!!」
「ッ!?…うるっさ!!!…な、何だ!?…」
__ドドドドドドド…
「え?…足音?…」
オルトロス司祭が大声で吠え出し聖堂内に響かせると、その大音量+反響で耳を塞がないととてもじゃないが立っては居られなくなる。マサツグや他の者達が一斉に耳を塞いで何事かと言った様子で戸惑い、オルトロス司祭が吠え終え徐々に静かになると、今度は足音が聞こえ始める!…それは二階の方から聞こえて来て徐々に聖堂の扉へ…まるで何かが群れを成して走って来る足音に聖堂内に居る冒険者及びギルド職員が戸惑って居ると、その足音の正体が聖堂の中へと扉を突き破って入って来る!
__ドドドドド!!!…バアァァン!!!…
ア゛ア゛ア゛ア゛ァァァァ!!!…
「なっ!?…」
そこに現れたのは幾度と見て来た狼型の人キメラ、退路を断つ様に聖堂の扉を封鎖しギルド職員や冒険者達を取り囲むと、徐々に間合いを詰めて不気味な笑みを浮かべる!勿論先程話した通り司祭の変態ですら始めて見たと言った冒険者達は初見の敵に戸惑いを隠せず、非戦闘員であるギルド職員達は不味いと感じてか必死に何か支給されたアイテムで使えそうな物が無いかを探し始める。そうこうしている間にも徐々に人キメラ達は冒険者達へ詰め寄り、突然の急展開に戸惑いを隠せない冒険者達が徐々に統率を失いつつ居ると、将軍が吠える!
「えぇ~い!!…面妖な!!…落ち着けぇ~い!!!…
ギルドの者達は中央に!!…
戦える者はギルドの者を守るよう陣を組み直せ!!…
たかが犬っころ如き!!…
ワシとハイドリヒで片付けてくれる!!!…」
「フッ!…出来ルモノナラヤッテミル良イ!!…
行ケェ!!!忠実ナル救世主ノ僕達ヨ!!…
愚カ者達を排除セヨ!!!!」
__ア゛ア゛ア゛ア゛ァァァァ!!!…
さすがの将軍もこれには驚いたと言った反応を見せるのだが、直ぐに立ち直すと指揮を執り始める!まずは非戦闘員を守るよう冒険者達に防御の陣を組む様に指示を出し、人キメラがどれ程の物か…自身の身で確かめると言った様子で大剣を構えるとハイドリヒにも戦うよう指示を出す!指示に従いハイドリヒも戦うよう剣を構え出すのだがその際…人キメラの容姿に抵抗があるのかの顔を見ないよう若干視線を逸らして構える。突如立場が逆転しオルトロス司祭が将軍の言葉に乗るよう人キメラ達を嗾け始めると、遂に人キメラ本邦初公開と言った戦闘が始まる!
「クソ!!…こんな所でやられてたまるか!!!…
タンカーは前に!!…
後方支援は絶対に前に出るな!!!…」
「ハイドリヒ!!!…
まずは退路を切り開く!!!…
遅れるな!!!」
「ハッ!!!…しかしあの人面化け物は!?…」
「…唯一あの化け物と戦えそうな者は
他に居るまいて!!……
既に奴の前に居るであろう!!!」
人キメラが冒険者達に次々襲い掛かり、慌てた様子を見せるも冒険者が徐々に冷静さを取り戻し始めると、持ち前の戦略を駆使して人キメラ達を寄せ付けず弾き返す!…その際将軍だけに任せては居られないとばかりに熟練冒険者達も指揮を取り出し、何とか持ちこたえる事の出来る陣を作って見せるのだが、それを良しとしないのが一人…いや…一頭?…それとも二頭?……とにかく居た!
「《…雷雲ヨ!!…
我ノ目ノ前ニイル愚カ者達ニ鉄槌ヲ!!!…
サンダーボルト!!!》」
__ゴロゴロゴロゴロ!!…ズシャァァァン!!!…
「きゃああああぁぁぁぁぁ!!!…」
オルトロス司祭は陣を固める冒険者達に対して雷の魔法を唱え、冒険者達の頭上に雷雲を作り出すと容赦なく稲妻を落とす!その際魔術師数名が雷雲に気が付くと防御壁を作り出して何とか事無きを得るのだが、ギルド職員達はもはやそれ所では無いと言った様子で悲鳴を上げ始める!そうして将軍とハイドリヒが後方に居る冒険者達の陣に注意を払いつつ人キメラ達を駆除していると、オルトロス司祭は再度呪文を唱えようと動き出す!
「フン!…小癪ナ!!…
デハ何処マデ持ツカ試シテクレルワ!!!…
《…雷雲ヨ!!……我ノ目ノ前ニ…》」
「…なぁモツさん?…」
「ッ!?…何!?…」
「これ…完全に置いて行かれてるんじゃね?…」
再度サンダーボルトを唱え始めるオルトロス司祭の足元…突如誰かを呼ぶ声が聞こえオルトロス司祭が自身の足元に視線を移すと、そこにはその場に座り込み談笑するマサツグとモツの姿が有り、その事にオルトロス司祭が驚いて居ると二人は立ち上がり徐に武器を構える。何でそんなとこに座り込んで居るんだ!?とツッコミを受けそうな物なのだが、オルトロス司祭は慌てて二人に攻撃を仕掛けようとしたが、先に仕掛けて来たのはマサツグ達の方であった!
「コノ!!…イツノ間ニィィィ!!!…」
__バッ!!!…ッ!?…
「させるかよ!!…この人面駄犬が!!!…」
__ヴォン!!…ガイィィィン!!!…ドゴォ!!!…
オルトロス司祭が左前足を上げて襲い掛かろうとした瞬間!…大剣を手にしたマサツグが突如視界から消えて居なくなると、次にはオルトロス司祭の目の前に現れ大剣を構えていた。恐らくはアラクネ司祭を騙くらかした時の刹那がまだ有効で、利用すると瞬時に行動…大剣の峰を上にして振り上げ、オルトロス司祭が突然の出来事に反応出来ないまま驚き固まって居ると、マサツグは容赦無く大剣を力一杯振り下ろし左側の司祭の頭を聖堂の床に叩き付け、それに続くようモツは既に剣を構えて右側の司祭の頭に向けて雷撃刃を放つ!
「雷撃!!…」
__ッ!?…バッ!!!…
「刃!!!…」
__コオォォォ!!…バリィ!!!…ッ!!…
モツが既に雷撃刃を放てる状態で居るのだが、オルトロス司祭は右の頭だけでもそれを見て判断出来るとばかりに慌ててバックステップをする!如何やら右の頭左の頭…何方か片方でも無事であれば行動は出来るのか…オルトロス司祭がバックステップでモツの雷撃刃を回避すると、回避された雷撃刃はそのまま聖堂の壁に当たり音を立てて消滅する。その予想外の動きにマサツグが若干驚いた反応を見せ、モツは外した事に舌打ちをしてイラっとした表情を見せる!
「…チッ!!…外した!!…
片方が無事だったら動けるのか!…」
「…へぇ~!…意外と動けんだ!…
恐れ入ったぜ!…」
「ッ!?…オノレェェェェェ!!!
貴様ラァァァ!!!…邪魔ヲ!!…
スルナアアアァァァァァァァァ!!!!」
「ッ!…刹那!!…」
__ヴウン!!…バッ!!…
空中で余裕の態度を見せるマサツグと攻撃を外した事に苛立ちを覚えるモツに対し、オルトロス司祭が激昂すると今度は右前足の爪で切り裂こうと右前足を振り上げモツに飛び掛かる!しかし今度はモツが刹那を発動したのか、またもやオルトロス司祭の目の前で敵の姿が消えると言った出来事が起き、その事に驚き戸惑って居ると右前足の攻撃は外れてただ床を叩いただけに終わり、終わった瞬間を狙うよう次にはモツのカウンターが飛んで来る!
__ダァン!!!…
「ハアアアァァァ!!!」
__ズバァァァン!!!…ボタッ!!!…
「ッ!?!?…グアアアァァァァァァァ!!!!…
バ!?…馬鹿ナ!?…私ノ腕ガ!?…」
モツはマサツグ同様…オルトロス司祭の右頭の目の前に突如姿を現し、兜割りの体勢でそのまま落下し始めると一刀両断にその襲い掛かって来た右前足を斬り飛ばしてしまう!当然その斬り飛ばされた右前足はオルトロス司祭の目の前を舞い、斬られたショックと苦痛に耐える様子で悶え苦しみ、斬られた腕を見詰め戸惑い始める!余程自身の体に自信が有った様子でショックを受け、モツが剣を一振りして血糊を払うと余裕の一言を口にする。
「俺達ってさ…
既にお前の様な化物と何回も戦っているんだ…」
「ッ!?…ナ!?…ソレハ如何言ウ!?…」
「更に言うとこっちはお前より格段に強い奴と
戦って来たんだ…
お前の行動はあのオオカミもどきの行動と
よく似ているし…簡単に対処出来て…
…ふああぁ~…………欠伸が出ちまった…」
「ッ!?!?…
キ!!…貴様アアアァァァァァァ!!!!」
モツは既にオルトロス司祭の動きを見切ったと言った様子で話し出すとダルそうな態度を取り、そのモツの一言に引っ掛かりを覚えたのかオルトロス司祭が訳を聞き出す。この時のオルトロス司祭はまるである事を確認するよう戸惑いながらモツに尋ね、モツが今までの人キメラや司祭を例に挙げる様にして余裕と口にすると敵を前にして大欠伸をしてしまう。退屈な戦いと言った様子で話すモツにオルトロス司祭は更に激昂した様子で吠え始め、立ち上がってモツに噛み付こうとするのだが右腕の半分を失った事を忘れていたのか、真面に立ち上がる事が出来ずにその場で転んでしまう。
__グラァ!…ッ!!…ズズゥン!!…
「……もうほぼ詰みだけど…悪いな?…」
__ズダアァン!!!…
「ッ!!!…
グアアアアアアアァァァァァァァ!!!!…」
立ち上がる事の出来ないオルトロス司祭がその場で転ぶと藻掻き出し、マサツグがその様子を見て若干の罪悪感に襲われるも、ゆっくり近づいてはこれ以上抵抗は許さない!と大剣を上段に構える。そして残っている左前足に向かって大剣を振り下ろし切断してしまうと、またもや目の前で自身の左前足が宙を舞う光景を目にし、オルトロス司祭が悲鳴を上げる。そしてもはや動けないに等しくなったオルトロス司祭に対し、マサツグとモツが双方の司祭の顔の前に立っては剣と大剣を手に構え、その光景を目にしたオルトロス司祭が涙を流し、命乞いか何なのか…マサツグ達に説法を始める。
「何故ダ!!…何故、邪魔ヲスル!!!…
救世主様ガ復活シタ暁ニハ皆ヲ平等ノ楽園ニ!!…
苦痛ノ無いイ世界ヲ!!!…
何者ニモ縛ラレナイ自由ガソコニアルト言ウノニ!!!…
何故貴様達ハ邪魔ヲスル!!!…」
「…テメェらの勝手な妄想に!!…
人様の幸せを巻き込んでんじゃねぇ!!!…」
「ッ!?…」
「平等な世界!?…苦痛が無いだと!?…
んなモン在る訳ないだろうが!!!…
ただ自分達の理想を押し付けるだけじゃ
飽き足らず他者を不幸にする!!…
…テメェらの言う自由の為に!!!…
今やっている事は必要な事だと!?…
寝言を言うな!!!!」
オルトロス司祭が動けないままマサツグ達に訴え掛けるよう声を挙げるのだが、そのオルトロス司祭の言葉を聞いたマサツグが逆に激昂し始める!まるで傷め付けられた人達や家族を誘拐された人達の声を代弁するよう…マサツグが大剣を司祭の顔に突き付け怒声を上げると、オルトロス司祭はマサツグの反応に驚き戸惑った様子を見せ始める。そしてマサツグが一通り文句を言い終え、モツも司祭の顔に剣を突き付け溜息を吐き始めると、司祭を憐れみ始める。
「……はあぁ~~…
本当に可哀そうな奴だな?…」
「ッ!?…何ィ!?…」
「まず冒険者である俺達に自由が
如何こう言われても関係無いし…
てか、俺達には何の意味を持たない
ただの言葉にしか聞こえねぇ…
何せ始めた時から結構自由だったし!…」
__…スッ……タッ…タッ…タッ…タッ…
モツがオルトロス司祭の心酔ぶりに呆れ果てては言葉を呟き、そのモツの言葉に反応してオルトロス司祭がモツを睨み付けるも、モツは一切表情を変える事無くただ見下した目線で更に言葉を続ける。その際メタい話を口にし出し、マサツグがその話を聞いて「え?…」と一瞬戸惑った様子でモツの事を見るのだが、モツが徐に司祭に剣を突き付けたまま首元へと移動し始めると、マサツグもそれを察した様子で移動し始める。そうして二人が右の頭…左の頭と別れて首元に剣を突き付け、動けない様に牽制し拘束しているとモツは更に話を続ける。
__スゥ……チャキッ!!…
「いいか?…人ってのは有る程度…
苦痛が有るから強くなれるんだ!…
理不尽ってのは神様からの試練でそ
れを乗り越えてこそ初めて意味を成す!…
…そんな話は聞いた事は無いのか?…」
「ッ!?…ダガ現ニ!!…」
「ここに集まっているのは
所詮その試練に耐えれなかった連中!…
言わば落第生だ!!…
それを救う為にアンタらがちゃんとした
活動の機会を与えて居るってのなら大したモンだが?…
実際にやっている事と言えばオカルトめいた迷信に
踊るよう!…ただ上手く行かないから駄々を
捏ねて言う事を聞いて貰おうとしている子供と
一緒なんだよ!…そんな奴らの活動の何処を
見習えって言うんだ!?…」
モツは徐に人生論と何処かの宗教の話を持ち出すと説法の様に話をし出し、滾々と話し出すとそれに反論するようオルトロス司祭が動き出そうとする!しかしマサツグとモツがすぐさま動かないよう剣を突き付け牽制すると、オルトロス司祭の信仰するカルト宗教を駄目だしし始め、怒りを露わにする!その際モツの口から宗教の話が出て来てマサツグが困惑するも、モツの様子を見る限り宗教に嵌っていると言った様子は無く、ただ話を利用してオルトロス司祭を貶して居ると言う事を確認していると、モツは更に話を続ける!
「…楽園ってのは誰かに
作って貰うもんじゃねぇんだよ!!…
自分で作るもんなんだ!!…
そんな事にも気付けないお前達に!!…
救いの手とやらが来る訳が無いだろ!!!…」
「ッ!?!?!?…グッ!!!…」
「……とまぁここまで滾々と説教を
してみた訳なんだが…
実際の所俺は一切宗教に興味はない!!…
寧ろクソ喰らえだ!!!…
……だから結論だけ言わせて貰う!!…」
__スゥゥ……チャキッ!!…
最期にとばかりにモツがまたもや何処かの宗教の話を持ち出し、オルトロス司祭を罵るとオルトロス司祭は言われっぱなしに文句を言いたそうな様子を見せては、グッと苦虫を噛んだ様な表情をする。そして散々宗教の話をした所でモツがふぅ…と一息吐くよう一度落ち着き、今までの話を全否定するよう自身が宗教に全く興味を持っていない事を明かすと剣を振り上げ、マサツグもそれを見て剣を振り上げるとまるで断頭台に立たされている化け物の図の様な光景が、拘束されている信者達の目に映る。拘束されているのは自分達の信仰する宗教の司祭であり、今まさに命の危険に立たされている!…しかしその司祭は化け物で自分達はその化け物の言う事を聞いていたのか?と考え始めると、信者達は戸惑い藻掻き始める。まるでこの光景を見せるのが最初の目的だったと言った様子でモツが信者達を見詰め、ギルド職員を守る冒険者達も人キメラ達を相手にしながらその光景を見て戸惑いを覚えていると、もう良いだろう…とばかりに刑が執行される!…
「……さて、さんざん言った所で…
もう良いだろ?…
俺も言いたい事言わせて貰ったし!…
スッキリしたわ!…」
「え?…もう良いのか?…
一応聞いておくけどモツ?…宗教は?…」
「え?…嫌だから興味ないって!…
寧ろ滅ぼしたい側なんだが?…
馬鹿みたいに勧誘ばっか来るから
イライラしてさ!?…
思わずその鬱憤をぶつけたんだが…」
「な…なるほど……苦労してんだな?…」
剣を掲げたままモツがスッキリした!と言っては文字通りストレス解消と言った表情を見せ、マサツグが戸惑いながらもモツに先程の話を踏まえて確認をすると、モツは苛立ちを覚えた様子でマサツグに答える。その際何故あんな話が出来たのか理由を語る様に文句を言い、マサツグがその返答に戸惑いながらも苦笑いをして構え直すとオルトロス司祭が慌て出す。
「マ!…待ッテクレ!?…マダ話ハ!…」
「話は当に終わってんだ!!…
これ以上何も無い!!…
さて…最後にこれだけ言わせて貰う!…」
命乞いを考えたのか最後の最後でオルトロス司祭がマサツグとモツに話し掛けるも、二人は聞く耳を持たないまま剣を握る!…宛らその様子は刑を執行する執行官の様に見え、辺りが妙な緊張感に包まれるとモツがハッキリ最後と言葉にしてマサツグの方を向き、アイコンタクトを取り始める。それに気が付いたマサツグがハッと察した様子で頷き答えると剣を握る手に力を籠め、オルトロス司祭の首に狙いを定める!
__……ッ!!…コクリ!…チャキッ!!……
「……ッ!!!…
うちは宗教関係はお断りしています!!!!」×2
__ブォン!!!…ザシュン!!!!…
互いのタイミングが合うよう剣を振り下ろし、更に決まり文句の様な宗教お断りと言う言葉を口にすると、オルトロス司祭の首を断ち切る!二人が斬ったオルトロス司祭の頭は祭壇から跳ねる様にして宙を舞い、床にドスンと重い音を立てて転がると、見たくも無い頭が光を纏い始める。そうしてオルトロス司祭の遺体がアイテムをドロップし、人キメラの親玉でもあった司祭が倒された事によって冒険者達に襲い掛かっていた人キメラ達も統率を失って、途端に行動がおかしくなる。まるで混線した様にある者は彷徨い出し…またある者は逃げ出し…更にある者は何も考えず冒険者に襲い掛かっては返り討ちに遭う…拘束され動けない信者達も司祭が倒された事によって抵抗は無駄だと感じたのか身動き一つ取らなくなり、その様子を見てモツが終わった…と一人感じていると、マサツグのある行動がふと目に入る。
「……これで制圧完了!!…っと!…
はあぁ~~……ん?…
マサツグさん?…何をやっておいでで?…」
「え?…いや…
…綺麗に頭が飛んで行ったモンだからつい…
断面図がモン○ンみたいな断面図かと?…」
「…それは無いと思うし…
何よりワザワザ覗こうと思わないと思うが?…」
マサツグは何を思ったのかオルトロス司祭の首の断面図を凝視しており、その様子にモツが若干引いた様子で驚き尋ねると、マサツグは戸惑った表情で素直に答え始める。しかしここでも全年齢対象の影が仕事しており、首の断面丸ごとが影に隠れて見えなくなっているのをマサツグが指差し、困惑した様子を見せるマサツグにモツがやはり引いた様子で無いと答えると、マサツグはしょぼ~んとした表情を見せる。
__…しょぼ~ん…
…ガッシャ!ガッシャ!ガッシャ!ガッシャ!…
「マサツグ~!!…モツ~!!!」
「ッ!…ハイドリヒ?…あれ他の皆は?…」
モツの真顔の一言にマサツグがショックを受けていると鎧の音が聞こえて来る…それと同時にマサツグとモツを呼ぶ声が聞こえ、二人がその声の聞こえた方を振り向くとそこには剣を手にマサツグ達の方へ走って来るハイドリヒの姿が有った。そんなハイドリヒにマサツグもショックから立ち直った様子で他の冒険者達について質問をし、その問い掛けにハイドリヒはまず二人に合流するとやって来た事を話し始める。
「統率を失った化け物など所詮敵では無い!…
ギルド職員達を外に避難させた後…
慌てて戻って来たのだ!……如何やら…
玄関通路にはあの化け物達は居ないようで
あったからな!…念の為冒険者数十名が
護衛に着き、残りの者達でここに居る
化け物共を掃討となっている!…」
「ッ!…そうか!…じゃあもう一踏ん張りだな!…
…って、モツさん?…」
「チッ!!…
散々苦労させておいてこの程度のアイテム!……
シケてやがる!!…」
「モ…モツさん?………?…」
__ヴウン!……ッ!……
ハイドリヒから話を聞き全員が無事である事を確認すると、マサツグがホッと胸を撫で下ろす傍ら…モツがドロップアイテム品を確認しては渋い顔を見せる。マサツグがモツの様子に戸惑いつつも声を掛けると、モツはドロップ品に対して報酬が見合わないとばかりに不満の言葉を口にし、そのモツの態度を見て更に戸惑いを覚えていると、再度冒険者達が聖堂の中に集まり出し掃討戦が始まる。その際ドロップ品を確認すると狼の爪や牙…毛皮に亡者の歯等…確かに文句を言いたくなるラインナップで、どれも夜のスプリング大平原に行けば手に入る品ばかりであった。そんなアイテム欄にマサツグも戸惑いを隠せないで居ると、ハイドリヒが戸惑った様子の疑問の表情で話し掛ける。
「…所でマサツグ……ちょっと良いか?…」
「え?…何?どした?…」
「何でステンドグラスを破って来なかったんだ?…
ステンドグラスを壊して入った方が
牽制にも奇襲にも打って付けの筈?…
何故急に計画が?…」
「ッ!…あっ…あぁ~っと……」
ハイドリヒがマサツグに質問をしたのは当初予定されていた奇襲方法の話で、最後のガラスをぶち破る筈が上から来るぞ!…気を付けろ!…に変わった事が疑問だったらしく、心配した様子でハイドリヒが尋ねて来るとマサツグはその問い掛けの返答に困る。何故なら変更した理由はお前だ!と気を使った事が気恥ずかしく面と向かって言えないからである!…当然マサツグは目線を逸らし何とかはぐらかせないかと考え始めるのだが、モツもその問い掛けを聞いていたのかスッと態度を改めてはマサツグの代わりに質問に答え出す。
「ッ!…あぁ~その話なら簡単だ!…理由は…」
「ッ!?…だあああぁぁぁぁぁぁ!!!!!
言わなくて良い!!…言わなくて良い!!!!…」
モツがパっとハイドリヒの方に振り返り何食わぬ顔で作戦が変わった理由を話そうとするのだが、突如マサツグが慌てた様子でモツの口を押えると何も言えずに黙らされてしまう。そして理由を話そうとしていたモツに対してマサツグが焦った表情のまま全力で首を横に振り、モツがそこまで気にするものか?…と疑問に駆られていると、ハイドリヒが困惑し再度尋ねて来る。
「ッ!?…なっ!…何だと言うのだ!?…
気になるでは無いか!?…
ハッキリと言ってくれ!!!…」
「な!…何でも無いんだ!!…
本当に!!!…気にすんな!!…な!?…」
「……?……ッ~~~!!…あぁ~もう!!…
とっとと話せ!!!一体何が有ったんだ?…」
ハイドリヒの質問にマサツグは頑なに答えようとはせず、モツは口を押さえられたまま如何したものか…と考え始めると静かに腕を組む。そして答えないマサツグに更に困惑するハイドリヒは徐々にマサツグに対して苛立ちを覚え、マサツグに詰め寄り聞き出そうとするが、何度尋ねようとも答えず…そうして祭壇上でオルトロス司祭の遺体が光に包まれ消えて行く中、マサツグとモツ…ハイドリヒが揉めている。このやり取りの間にも冒険者達の手によって、着々と聖堂内の人キメラが駆除されて行く…しかしこの時冒険者達からは…
{…早く手伝えよ!!!……}
と、全冒険者達から心の中でツッコまれて居る事に壇上の三人は気付かないのであった。




