-第一章四十六節 特殊職業とアムネスの千里眼?と瞬間移動-
マサツグがクラスアップ出来た事を喜んで声を響かせ、その様子をモツが呆れた様子で見ているとに額に手を置き溜息を吐き始める。その際マサツグの歓喜の声はギルド内に響き渡っていたのかギルド職員達が何事かと一時騒然となるも事件では無いと声の様子から判断されたのか、大事には至らない…そんなマサツグの様子にフリードもただ苦笑いをするしか無く、ハイドリヒも三人のやり取りを見て何をやっているのか理解出来ないで居ると、モツが思い出した様子で言葉を口にし始める。
「…はあぁ~……そうだよなぁ…
ヤブはそういう奴だったよなぁ…
自分の事なんてお構いなしに突っ込んで…
内容達成出来たらそれでOKな奴なんだもんなぁ…
さっきの事だって本当なら事件物なのに…」
「はははは……とにかく…無事そうで何よりだよ…」
__…チラッ……ッ!………
モツがマサツグの性格を改めて理解し呆れていると、フリードもマサツグの様子から問題無いと判断し、ホッと一安心する。しかし先程の現象はやはり何処かおかしいと感じたのか、フリードは何かを確認するようジッとクラスアップの機械を見詰めて難しい顔をし、モツもそれに気付くと同じ様にクラスアップの機械を見詰め始める。そんな二人を尻目にマサツグはただクラスアップ出来た事に喜び、近くにあった姿見の前に移動しては自身の姿が変わったかを確認し始めるのだが、そこにあったのは大剣を背負い腰に刀を差すマサツグしか映らず、これと言って何も変わっていない姿であったのだが…
「ッ!…うおおおおお!!見てくれよ!!本つぁん!!!
武器ちゃんと刀と大剣を装備してるぞ!!!俺!!!」
「ッ!?…わ、分かったから落ち着いてくれ!…
それにその恰好は今変わった訳じゃ無いだろ?…
狩人狩りの森に出た時には既に…」
何も変わっていないのにこの浮かれよう…余程クラスアップ出来た事が嬉しいのか何も変わっていないのにさも変わったかの様に喜び出し、モツにアピールをし始めるとモツは戸惑いながらも相手をする。その際マサツグの格好は森を出る時には変わっていたとマサツグのテンションを宥めるよう声を掛けるのだが、途中でその二人のやり取りを見ていたフリードが何かを思い出した様子で目を見開くと、突如噴出し笑い始める。
「……プッ!…フフフ!…
アハハハハハハハ!!!…」
「ッ!?…え?…」
「フフフ!!……あっ!…いや失敬!…
フフ!…マサツグ君が…ッ!…
かつての仲間と同じ喜び様を見せて居たものだから…
つい!…」
「は…はぁ……」
突然のフリードの爆笑にマサツグとモツが驚き振り返るとフリードは二人に謝り、笑い出した理由を答え始める。まるで思い出す様に…マサツグとモツの姿にかつての仲間の影を重ねるよう見ては懐かしそうに若干涙を零して笑い、マサツグとモツが戸惑った表情でそのフリードの様子を見ていると、マサツグのテンションも落ち着いたのか平常運転に戻る。そして笑うフリードの様子にマサツグが戸惑い…ハイドリヒも初めて見た!…と言った様子で若干戸惑った反応を見せて居ると、モツがハッ!と気が付いた様子で若干目を見開き、徐に自身のステータス画面を確認し始める。
「……ッ!…そうだ…」
__ピッ!…ピッ!…ヴウン!!…
「……ほぅ…やっぱりそうなのか…」
「ッ!…何?…如何したんだ?………?…」
モツが思い付いた様子で自身のステータス画面を開き、何かを確認し思っていた通りと納得した表情をして言葉を漏らすと、そのモツの様子にマサツグが気付いたのか問い掛け始める。モツのステータスには如何変化が出るのかと言った様子で興味を持ち、モツのステータスを見るよう画面を覗き込むとそこには今現在のモツのステータスが表示されるのだが、如何にも可笑しい…
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「モツ」
「忠義の騎士を継ぎし者」
Lv.25 「万能冒険者」
HP 2750 TP 630
ATK 245+75 DEF 240+150
INT 140+10 RES 150+30
AGI 195 LUK 85
装備
武器 エイブレント卿の白銀剣
頭装 守りのバンダナ
体装 ラメラレザーアーマー
足装 ラメラレザーレギンス
装飾 無し
MS [剣術Lv.7]
SS [鑑定Lv.6] [適正能力抜群]
[特務兵] [採取術Lv.4]
[中級剣術皆伝] [刹那Lv.4]
[感知Lv.2]
[術技]
兜割り TP 10 ダッシュ斬り TP 15
火炎斬り TP 20 氷結斬り TP 20
雷撃刃 TP 25 天昇剣 TP 30
疾風穿 TP 40
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「え?…何で?……何で何も変化が無いんだ?…」
そこに表示されたのは文字通り…何も変化が見られないモツのステータス画面、本当ならクラスアップした事によりJOB名が上位の物になり、ステータスも一部上昇して居る筈なのだが、JOB名は変わらず万能冒険者のまま…ステータスは一部上昇している様なのだがこれと言った変化が無く…そのモツのステータス画面を見てマサツグが戸惑った様子で呟いて居ると、モツはその原因を知っていると言った様子でマサツグに自分のJOBの説明をし始める。
「…簡単な理由だ…それは俺が特殊職業だからだよ。」
「…特殊職業?……」
「ッ!…モツ君の職業は?…」
「万能冒険者です。」
モツが自分のJOBを特殊とマサツグに話し始めるとマサツグは初めて聞いた様子で戸惑い、フリードはモツとマサツグの会話を聞いてか興味を持った様子でモツにJOBを聞き、その問い掛けにモツはフリードの方を振り向き質問に答えるのだが、それを聞いたフリードは驚いた反応を見せ始める。
「ッ!!…何と!…」
「え?…え?…何?…如何言う?…」
「簡単に言うと器用貧乏…それが俺のJOBなんだよ。
特殊職業って言うのは案外なろうと思えばなれる
もんなんだよ。俺みたいに万能冒険者になったり…
詳しくは知らないけど…確か血の契約…だっけか?…
吸血鬼になれたり…
更には竜戦士って言うドラゴニュートにもなれるとか…
まぁ…いろいろ…でもそう言った特殊職業にはマスター
クラスが設定されてなくてJOBの階級がないらしいんだ…
その代わりに…」
フリードがモツを見て驚きマサツグが置いてけぼり状態で戸惑って居ると、モツはマサツグの方に振り向き直して説明の再開をする。その際特殊職業は条件さえ満たせば転職が可能と言う事を説明し、更にモツの万能冒険者の他にも特殊職業がある事を踏まえてマサツグに説明すると詳しい説明に入ろうとするのだが、横からフリードが介入して来るとそのモツの説明を引き継ぐ様に話しを始める。
「その代わりに普通のJOBランクアップにおける
ステータスの上昇値が他より特殊な上がり方を
するのが魅力なんだよ…マサツグ君は…
確か剣士だったね?…
だとすれば上がるのはATK・DEF・AGIの三種だ…
しかし特殊職業の場合はほぼ全種!…
満遍なく上がる!…ただ、そんなに上げ幅が
大きい訳では無いからあまり変化は感じられないと
言うのがネックな点ではあるがね?…」
「は…はぁ…」
フリードはJOBによるステータス上昇値の説明をし始める際、マサツグのJOB[剣士]を間に挟んで説明し始めると、特殊JOBの上がり方の説明を簡単にする。一般JOBだと三種…特殊だとほぼ全種と説明し、その難点等も説明するとまるで運営の人間による解説の様な喋り口調でマサツグとモツを圧倒する。そしてその説明を聞いているマサツグも戸惑った様子で返事をし、フリードの説明を聞いていると今度はモツが説明し始める。
「…まぁ…悪い事ばかりじゃないんだけどな?…
「万能冒険者」はその他にも
魔法も制限無しに習得可能、今回の様にクラスアップ
試験の様な特殊クエストクリアで習得出来る
術技制限開放!…ってな感じに冒険者として可能性が
非常に高い職業なんだが…」
「……おい!…」
「うん?…」
「いつまでこうして喋って居るんだ!?…
早くカルト教団を倒しに行かないと
駄目なのではないか!?…」
モツが万能冒険者の可能性の説明をし始め、それが楽しいと言った様子でマサツグに説明を続けていると、後ろからご立腹の様子を見せるハイドリヒの声が聞こえて来る。その声に反応しマサツグとモツとフリードが振り返ると、そこには腕を組みイライラした様子で脚をパタパタと…地団太を踏んでいるハイドリヒの姿が目に映り、早くスプリング大聖堂に行かなくて良いのか!?と文句を言う様に三人に問い質し始めると、三人がハッとした様子で反応する!
「あっ!…
…ってか何でお前までここに付いて来てるんだ?…
別に俺達の事なんて放っておいて先に行けば…」
「馬鹿者!!…それが出来れば苦労はしないのだ!!!」
「えぇ!?…それって如何言う事なんだよ?…」
「……これは!…お母様…
ッ!!…ゴホン!!……
王妃様からの命令なのだ!!!…
命令には逆らえない!!!…」
しまった!と言った様子で三人が反応して移動する準備をし始めるのだが、ここでマサツグが律義に…と言うより何故か付いて来たハイドリヒに戸惑い疑問の表情で理由を尋ねると、ハイドリヒは怒った様子でその理由を答えると同時に困惑した様子で項垂れ言葉を口にする。その言葉に更に疑問を持ったマサツグが続け様にハイドリヒに質問をすると、ハイドリヒはアムネスからの命令で有ると…一度母親と呼んではハッ!とした表情で気付くと咳払いをして訂正し、改めて理由を話すとますますマサツグを困惑させる。
「…えっ?…何言ってんの?…
ここに王妃様が居る訳でも無いんだから
そんなの無視して先に行けば…」
__ッ!…ツカツカツカツカ!…ガッ!!…
「それが出来ないからこうして待っているのだ!!!…
あ、あの方はなぁ!?…
あの人は確かにこの場にいないが見ているのだ!!…」
マサツグが全く意味が分からないと言った様子で王妃様との関係性についてハイドリヒに理由を尋ねると、ハイドリヒは突如マサツグの方に歩いて来てはマサツグの両肩を掴み顔を近づけ、鬼気迫る顔をしては冷や汗を掻いた様子で王妃様に見られていると訴え始める。勿論そんな筈は無いとマサツグが辺りを見渡し自分・モツ・フリードにハイドリヒと、その他に誰も居ない事を確認してさすがにそこまでは…ハイドリヒの被害妄想なのでは?と考え始めるのだが、その時のハイドリヒは尋常じゃない慌てっぷりを見せるとマサツグを掴む手を強め、それに反応してマサツグが困惑すると慌てて落ち着かせようと詳しい理由をハイドリヒに尋ねる。
「おっ!…落ち着けよ!!…
それは如何言う意味なんだ?…」
「…ッ!…す…スマン!…
…だが本当なのだ!…
あの方は、何処に居ても見えているのだ…
…覚えているか?…私とお前が一騎打ちを
する切っ掛けを作ったトカゲの事を!…」
「え?…あ…あぁ…覚えているが?」
マサツグがハイドリヒの両腋から抱える様にして手を差し込み、軽く揺さぶって声を掛けるとハイドリヒはハッ!と正気を取り戻し、マサツグに謝り始める。それまでのハイドリヒは本当にアムネスに恐怖している様子でマサツグが何者なんだ?…と改めて考えさせられていると、ハイドリヒは知り合う切っ掛けになったオオトカゲ事件の事を若干慌てた様子で話し出し、覚えて居るかどうかを尋ね出す。勿論忘れられる筈の無い事件にマサツグは忘れたい!…と思いつつもハイドリヒに覚えていると返事をすると、ハイドリヒはグッと何かを覚悟した表情を見せてはマサツグにある事を話し始める。
「……ッ!…あの人はあの時…
私がお前に言った言葉を知っていたんだ!!…」
「……え?…」
「あの人はあの時私がお前に言った言葉を
知っていたんだ!!…一言一句間違わずに!!…
それもその時の私の真似をしながら復唱したのだ!!!…
それに今回だけじゃない!!…
今までにも何か有った時!…
事ある毎にそれを確認するよう私の前に現れては
笑顔で私の真似をし始め!…
最期に…(何か間違って居た所はあったかしら?…)と
笑顔で尋ねて来るのだぞ!?…
もはや見られているとしか!!!…」
「ッ!?!?…」
ハイドリヒが意を決した様子で話し始めたのはそのトカゲ事件の時の会話であり、アムネスがその内容を知っていたと口にするとその言葉にマサツグが戸惑う。何故なら別に知っていても可笑しくないからである…ハイドリヒの部下がアムネスに話した…だから知っていたとマサツグは考えるのだが、ハイドリヒは更にその時のアムネスの様子を語るよう驚き戸惑った反応を見せてはその会話した時の内容を全部暗記していたとマサツグに話し、更に今までにあった事も隠せなかったと話すとその話を聞いたマサツグが釣られて驚き戸惑い、ある事を思い出す!それは…
{……あれ?…これっともしかすると…
本当に見られてたんじゃね?…
だって確か王妃様って元冒険者だし…
確かコイツに任された任務は初めての
大きな任務って言ってなかったっけ?…
だとすれば母親として不安を覚える訳で…
それにバレない様に付いて行こうと
考えるのなら変装するよな?…
それにあの人はそう言った事が得意だったよな?…
だって……メイドの格好をして城の中を
歩き回る王妃様だし!?…}
それはアムネスの特技なのか趣味なのか…とにかく今まで教えて貰った全ての事を思い出し、あの人ならワンチャン…いやそれどころじゃない位にチャンスがあったのでは?と考えると、ハイドリヒに釣られるようマサツグも恐ろしく思えて来る!そして一体何者なんだ!?…と改めて考えると思わず何処からかアムネスの笑い声が聞こえて来そうな事に…マサツグとハイドリヒが戸惑いを隠せないで居ると、フリードがマサツグとハイドリヒの事を呼び始める。
「……よし!…これで良いだろう!…皆!…
準備は出来たかな?…マサツグ君にハイドリヒ君も!…」
__ビクゥッ!!…
「ッ!?…ど…如何したんだい?…何か問題でも?…」
「え?…あぁ!…だ、大丈夫です!!…問題無いです!…」
フリードが準備を整えるとその場に居る全員に声を掛け、その呼ぶ声にハイドリヒがビクッとした反応見せて慌てて警戒し始める。先程の会話を聞かれたのではないかと焦る表情を見せ、その表情を見たフリードが戸惑った様子でハイドリヒに心配の声を掛けると、ハイドリヒがビク付いている理由を知っているマサツグが代わりに返事をする。そのマサツグが代わりに返事をし、ハイドリヒが辺りを見渡し警戒をして居る事にフリードは戸惑いを覚えるのだが、とにかくもう時間が無いと言う事を確認すると、その奇妙な二人に指示を出す。
「……本当に大丈夫かい?…まぁ…見た所…
大丈夫そうではあるが…
…とにかく私の近くに!…」
「は、はぁい!!…ほら、行くぞ?…
今の内にそれ何とかしておかないと
やられるかもしれんぞ?…
アイツらは本当にヤベェから!…」
フリードが若干急いだ様子でマサツグとハイドリヒに近くへ来るよう声を掛け、マサツグが返事をするとハイドリヒに行くぞと声を掛けては注意をし始める。ハイドリヒの今の状態ではまずまともに戦えないと言った具合に辺りに対して妙な怯えを見せ、何が敵で味方なのか…とにかく間違いが有ってはいけないとハイドリヒに気を持たせる為、信者達が一筋縄では行かない事を口にするとハイドリヒはハッとした様子でマサツグの方に振り向く!
「ば!…馬鹿を言うな!!…一般兵如きに私が!!…」
「……将軍の言葉を忘れたのか?…」
「ッ!?…ス、スマン…」
マサツグの言葉に反論するよう振り返り慌てながらも慢心した様子で信者達に後れは取らないと言い出すと、その言葉にマサツグが若干呆れた表情を見せる。そして慢心している事を分からせる為…闘技場で将軍に説教された事を思い出させるようハイドリヒに忠告をすると、その言葉にハイドリヒは目を見開き気付いた表情を見せてマサツグに謝罪をする。そうして不安が残る中…マサツグとハイドリヒがフリードの指示通り近くへと移動し、何が起きるのか?とモツ共々不思議そうな表情で待っていると、フリードが最終確認を終えた後…魔法を唱え始める。
「…よし!……みんな大丈夫そうだな?…では…
《…開け!…次元の扉!…
我らを望む地まで運べ!!…
ワープルズ!!!》」
__ぱああぁぁぁぁ!!!…
「ッ!?…うわわわわぁ!!…」
__パシュン!!……バシュゥゥン!!!…
フリードが魔法を唱え出すとフリードを中心にするよう足元に魔法陣が描かれ出し、魔法陣が光を放ち始めると同時に若干の浮遊感を覚える。その浮遊感にマサツグとモツが慌て出し、ハイドリヒは相変わらず辺りを気にした様子で見回しているとフリードが呪文を唱え終え、唱え終えたと同時に右腕を振り上げると魔法陣から一本の巨大な光の柱が突如立ち昇る!その光の柱の中に入るようマサツグ達は居るのだが、光の柱の中に居る時間は短く…約五秒位眩しいと感じては目を瞑り、次にマサツグ達が風を感じて恐る恐る目を開け辺りを確認すると、目の前に映った物は目的地である旧・スプリング大聖堂であった。大聖堂はまるでノート〇ダム大聖堂の様な外装をしており、旧と呼ばれるだけあってか建物自体がボロボロで相当な年月が経っているのが伺える…
「ッ!?……え!?…ここは?…」
「ここが旧・スプリング大聖堂…
かつてスプリングフィールド王家が
代々使って来たとされる祭場で…
今はカルト教団達の根城と行った所かな?…」
__ワアアァァァ!!!!…
ガキン!!…ガキン!!!…ドオォォン!!!…
「…如何やら思っていた通り…
…膠着状態になったみたいだね……
長期戦は覚悟した方が良さそうだ!…」
突如目の前に出て来た様に見える大聖堂にマサツグとモツが初めて見ると言った様子で戸惑い、大聖堂に困惑した様子で呟いて居ると、フリードが旧・スプリング大聖堂と答える。その際何が行われて居た等軽い説明を挟み、辺りを見渡し状況を確認すると渋い顔をする。建物からは信者達の抵抗を受けているのか合戦の声が飛び交い!…剣戟音に爆発音と物騒この上ない大乱戦の様子が聞き取れ、その様子にフリードが渋い顔のまま状況を理解し呟いて居ると、マサツグとモツは武器に手を掛け大聖堂へと歩き出し始める!
__チャキッ!!…ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…
「……すぅ~~…はあぁ~~!!……ッ!…
さぁて!…行きますか!!…
お仕事の時間ですよぉ~!?」
「よし!…まずは内部の状況を確認する事からだぞ!?…
また勝手に動いて怒られるのは勘弁だからな?…」
「えぇ~!?…
何だかんだであの時はモツも乗り気だったじゃん!!…」
フリードが長期戦覚悟と渋い顔をしている中…マサツグとモツが意気揚々と歩き出して行くその様子にフリードは困惑する。長期戦と言う事は戦力差が拮抗していると言う事で、場面が思う様に動かない…きっかけが作れないと言う意味で、当然今から立った二人が戦場に参加した所で場面が変わる筈も無く寧ろゲンナリするものである。なのにマサツグ達は意気揚々と大聖堂の玄関に向かい歩いて行き、武器を手に仕事と言い出し軽い会話までする始末…まるで策がある様な言い方をするマサツグ達にフリードが呆気に取られていると、ハイドリヒも漸く落ち着いたのか一呼吸を入れる。
「…ふぅ~……大丈夫!…
今は任務に集中!!…よし!!…
待たないかマサツグ!!…モツとやら!!…」
__ガッチャ!!…ガッチャ!!…
ガッチャ!!…ガッチャ!!…
「……フフフ!…
もしかすると彼らは本当に…
大物になるかもしれないな?…」
自分を落ち着かせる言葉を口にし、決意を固めるとマサツグ達を追い駆け出す!鎧を着ているにも関わらずあっと言う間にマサツグ達に追い付くと三人揃って大聖堂の玄関に立ち、中に入って行く姿にフリードが笑みを零してはマサツグとモツの将来に期待を持ち始める。何故ならハイドリヒがマサツグ達の後を追って行った時…彼女は自然と仲間を追い駆ける様な笑みを浮かべていた事にフリードが気付き、その表情を作り出したのは紛れも無くマサツグ達であると理解したからである。そして大聖堂の大門玄関から堂々入って行ったマサツグ達はと言うと、ハイドリヒがマサツグ達に対してツンデレを発動していた。
「か!…勘違いするんじゃないぞ!?…
私はただ母う…ッ!…んん!!…
王妃様の命でお前達に追従して居るだけで…
一人では何も出来ないと言う訳では!?…」
「こんなとこまで来てツンデレされても困るんだが?…
…てか…
何で俺は王妃様にそんな気に入られてるんだ?…」
「あっ!…それは俺も気になる!……多分だけど…
気に入られるきっかけを作ったのは言うまでも無く…
御前試合だったよな?…だとすれば………ッ!…
一番に考えられるのは娘より強い殿方を見つけて
婿に貰おうとか?…」
__ブホォ!!!…×2
大聖堂に入って玄関通路…辺りには折れた剣やら槍やら斧と言った武器が散乱し、埃が立っては近くの燭台に引火し黒い煤を作り出していた。壁には松明が付けられているとは言え薄暗く…さらに隠れられそうな場所も多数ある為辺りを警戒…感知を駆使しながら歩いていたのだが、突然のハイドリヒのツンデレに緊張感が崩れ、マサツグが戸惑った様子でツッコミを入れてはハイドリヒの任務?…命令?…に疑問を持った表情をし、その命令主である王妃様に対してその疑問が伸び始めると、モツも話に乗っかり出す。そして最初の切っ掛けから考えた様子で思考し、自身が考えられる一番有力な仮説を作り上げマサツグとハイドリヒに話し出し始めるのだが、その話を聞いたマサツグとハイドリヒは二人揃って顔を赤くし噴き出すとモツに詰め寄り文句を言い出す!
「ば!!…馬鹿野郎!!!お前!!…
言うに事欠いて!!…」
「と…トンデモナイ事を口走るな!!!…
確かに私も二十歳で…色々考えたりはするが!!…
まだそんな仲では無いだろうが!!!!…」
マサツグが言葉にならない様子であわてては顔を赤くし、モツに文句を言おうとするのだがやはり中々言葉が出て来ない。それに対してハイドリヒはまだマサツグと違って頭は回るのかハッキリと文句を口にするのだが、思わず自身でも考えていると口を滑らせてしまう…しかしマサツグとの仲は否定するよう声を荒げ、もはや警戒もへったくれも無い様子で騒いでいるとモツが腕を組み、悩み出す。
「えぇ~?…
一番考えられるのはそれだと俺は思うんだがなぁ~?…
でなきゃ幾らきっかけが御前試合で、
更に遡って原因が騎士団長だとしても…
姫様の隣の部屋にその客人を寝かせる様な事は
普通しないと思うが?…」
「ッ!?…きッ!!…貴様ぁぁ!!…
あの事を話したのか!?…
話したのか!?!?…」
「悪かったって!!…
でも詳しい所までは話してない!!…
話してない!!!…」
__ブンブンブンブン!!!…ガクガクガクガク!!!…
モツが更に思考するよう悩み出し、マサツグの話を思い出すよう御前試合からトカゲ事件の所まで遡り、やっぱり最初の仮設しか考えられない…とマサツグから聞いたであろう御前試合後の話をポロっと口にすると、それを聞いたハイドリヒは慌ててマサツグの胸倉を掴んで詰め寄っては顔を赤くし尋問を始める。その尋問にマサツグは慌てて謝り始め、詳しい話はしていないと釈明をするのだがハイドリヒはそうじゃないと言った様子でマサツグをガクガクと揺すり出す!異常事態とは思えない光景に他の者達ならまず間違いなく唖然とする光景なのだろうが生憎ギャラリーは居らず、とにかく通路上でそんな風に揉めていると聖堂へと続く道から突如怒号が聞こえ始める!
__ウオオオオォォォォォォォォォォ!!!!…
…ッ!?…
「い、今のは!?…」
「…師匠の声の様に聞こえたが!?…」
「…もう無駄話をしている暇はなさそうだな?…
…急ごう!!」
まるで突貫を掛ける様な鬼気迫る叫び声に、マサツグ達が先程のわちゃわちゃを忘れる程驚いた反応を見せると、声の聞こえた方向を見詰める。玄関口まで轟く叫び声にマサツグがビクッとした様子で戸惑い、ハイドリヒもマサツグの胸倉から手を放すとその声を聞こえた方を見詰めては将軍の声と判別する。明らかに普通じゃない声にモツも困惑した様子で二人に急ぐよう声を掛けると走り出し、それに付いて行くようマサツグとハイドリヒも走り出し始めるのだが、最期とばかりにハイドリヒがマサツグに突っ掛かる。
__ダッダッダッダッダッダッ!!!…
「…先程の話は後で話して貰うからな!?…
逃げるんじゃないぞ!?…」
「ッ!?…はあぁ~…
もう好きにしてくれ……」
顔を赤くしマサツグを睨み付け、まだ話は終わって居ないからな!?と威圧を掛けるハイドリヒにマサツグが呆れ疲れた様子で返事をすると、モツが苦笑いをする。いつまでこの話を引っ張っているのかと思いつつも玄関通路を抜けて、両端の尖塔へ続く階段と中央にある聖堂への扉と前…エントランスに来ると、そこには恐ろしい光景が広がっているのであった。




