-第一章三十九節 騎士のイベント?と光り輝く樹と採取方法-
モツはエイブレントに…マサツグはライモンドにと辛くも勝利を収める事に成功し、モツは光り輝く樹の近く…マサツグは段差を自力で登り始めては合流を目指していた。互いにそれぞれ騎士の武器を受け取り、それを装備してのんびり待っていたり…汗だくになりながらも必死にクライムしていたりと時間が掛かる中、何とかマサツグが転げ落ちた段差を登り切るとモツとの合流を果たすのだが、マサツグは登り切ったと同時に息を切らして転がり込む様に地面へ倒れ込むのであった…
「フッ!!…グッ!!…ホッ!!……ッ!!!…
…ダアァ!!!…はぁ!…はぁ!…し…しんど!?……」
「ッ!…おう、マサツグさん戻って来たか。」
マサツグが地面に倒れ込み激しく息を切らしては、自分が斬った樹の切り株に腰掛けマサツグの帰りを待つモツの姿を見つける。光り輝く樹の広場はエイブレントとの激しい戦闘が有った事を物語る様に、木の葉が辺り一帯に散ったり…小枝が散乱していたりと荒れた様子を見せて居た。そしてマサツグが戻って来た事に気が付いたのか、モツが何食わぬ顔でマサツグにお帰りと言葉を掛けては切り株から腰を上げ、地面に倒れるマサツグの方へ歩き出すとマサツグの様子を見ては不思議そうな顔して問い掛け始める。
「……まぁ…
落ちた所が落ちた所だから仕方が無いんだが……
そんなにきついのか?…あの崖?…」
「ぜぇ!…ぜぇ!……不思議に!…
思う!…だったら!…助けて!…くれても!…
よかった!…んじゃ!…ないか!?…
んはぁ!!…はぁ!…はぁ!…
…こんな大剣背負って居るんだぞ!?…
重いし!…急勾配だし!!…
幾ら油もオーバーハングもしてないとは言え!…
気分はヘルクラ○ムピラーをやっている
気分だったぞ!…」
「おぉ!…じゃあ、仕舞に針の上を歩いたり…
水の上に立ったりするんだな?…
今度からリ〇リサ先生ならぬ…
マサマサ先生とでも呼ぼうか?…」
モツはマサツグに話し掛けながら昇って来た崖の方をチラッと確認し、マサツグの様子を見て登った感想について質問をすると、マサツグは激しく息を切らした様子でモツの問い掛けにツッコミを入れ始める。徐々に呼吸を落ち着かせて普通に喋れる位にまで落ち着きを取り戻すと、ライモンドの大剣を話に挙げて某奇妙な冒険に出て来る修行シーンを例に挙げてモツに文句を言うのだが、モツはその話を聞いてネタだと感じたのかマサツグにボケを入れ始めると、そのボケにマサツグはぐぬぬ!…と言った様子で表情を顰める。
「ッ!?…こ!…この野郎!!……」
「ははは!…悪い!…
…で、その大剣を持って帰って来たって事は
そっちでもやっぱり回想シーンが?…」
「ッ!…その問い掛けをするって事はそっちも…」
「あぁ…しっかり見て来たよ…ついでにこれも…」
倒れるマサツグの表情にモツは苦笑いをして謝ると、大剣をチラッと確認してはマサツグに回想シーンを見て来たかどうかの質問をし始める。その際アレは自分だけが見た物なのか?と疑問の表情を浮かべ、マサツグがその問い掛けと表情にピクっと反応すると、モツの問い掛けに答えるよう驚いた様子で言葉を呟く。この時…質問を質問で返すような形になるのだが、マサツグの反応にモツがやっぱり…と何か確信した表情を見せ、マサツグにエイブレントの剣を見せるとそのエイブレントの剣を見たマサツグの目が輝き出す!
__チャキッ!!…
「ッ!!…おぉ!!…見事に装飾された白銀の鞘!!…
それにその剣は間違いなくあの騎士の剣!!…
いいねぇ!!光ってんねぇ!!…輝いてんねぇ!!…」
「……その言い方は何?…
…って、まぁそんな事は良いんだ!…
それよりもあの記憶は一応イベントだったのかが
気になってさ?…
これが何かのクエストの伏線だったりするとって
考えてな?…」
マサツグは興味津々でエイブレントの剣を見詰め、興奮した様子で思った感想を口にすると、そのマサツグの反応に戸惑った様子でモツがツッコミを入れ始める。しかしそんなマサツグの事よりもっと気になる事があると言った様子で話を切り替え、真剣な表情でマサツグに騎士達の記憶について話し出すと、あの騎士達の記憶は今後何かのクエストに反映されるのでは?と警戒した様子で話し続け、マサツグがそれに納得した様子を見せると体を起こす。
「ッ!…なるほど!…
…でも、間違い無いのは!!…っと!…
アレはバグでも何でも無いってのは確かだと思うぞ?…
バグにしては出来過ぎて居るし…
もしあれがバグだったら…
もしかするとこの剣だってバグ扱いされると思うし…」
「…その事についてなんだが……
マサツグが戻って来る前に一応この騎士達のイベントに
ついて何か情報は無いのかって思って…
アーカイブを調べて見たんだが…
何処にもこの騎士達のイベントについての記述は
なかったんだ…騎士達を捕まえた術士…
騎士二人が所属していた国…
存在そのものが乗っていない!…
一応俺達が始めるもっと前…
それどころかこの森に居る人キメラの情報についてすら
何も書かれていない!…」
「ッ!?…って事は新種?…」
マサツグが体を起こしては少し考えた様子で騎士達の記憶イベントは正規の物と話し出し、バグの可能性が低い事を話し始める。バグだとして話が上手く出来ている事と、グラフィックも用意されている事…更には証拠として持っている武器等…それらを挙げて話すのだが、モツはそれでも違和感を覚えているのかマサツグが戻って来るまでの間の話をしては、エイブレントとライモンド…二人を捕まえた術士に、廃りが居たとされて居る筈の王国等…更にはここまで辿り着くのに邪魔をして来た人キメラの情報もアーカイブに記述されていない事をマサツグに話すと、マサツグは驚いた反応を見せる。このゲームで言うアーカイブと言うのは運営が作った物ではなく、有志が募って出来た物なのだがその情報量は運営が作った物より細かく、馬鹿に出来ない代物なのである。これはたった一つの大型クランが毎日細かく詳細から何まで更新しているとあって、冒険者にとっては貴重な情報源だったりする。そしてマサツグが驚いたまま人キメラがアップデートで追加されたモンスターなのでは?と考えるとモツにその事を話すのだが、モツは違うと話し始める。
「いや、多分それは無い!…
もし新種が発見されたら誰かがエンカウントした時点で
全プレイヤーに運営からの発見の通知が行く筈だし…
それが無いって事は大分前から既に居るモンスターで
発見されていない事になる!…最初からゲームに出て居る
モンスターは当然通知は出ないし…
新種が発見されたって言う通知は大体新たにアプデで
追加されてからで…最後にされたアプデは確か二週間前…
…当然検証組が動かない筈が無い!…
だからもしこれがちゃんとした正規のイベントだったら
完全に俺達が初見って事になるんだろうけど…」
「……確かに面倒臭くなりそうだな…」
「…そうなんだよなぁ……」
圧倒的に騎士二人のイベントについて情報が無く、本当に正規のイベントなのかどうかが疑わしいマサツグとモツはその場で俯くと腕を組んで悩み始める。何故二人が悩み始めるのかと言うと、それはもしこのイベントが限定の物だった場合、間違いなくマサツグとモツが持っている武器はそのイベントのカギになる事が前提で話が進むからであって…イベントの攻略自体は然程問題では無いのだが、その場合二人の持っている武器は確実にこのゲームに二本と無い超レア武器になり、そのイベントに参加したい!…単純に武器が欲しい!!と言った者達から恰好の的となるからである。その武器が欲しいが為に不意打ちでのPKをしたり、PvPの奪い合いに発展したりと暴力沙汰に巻き込まれたりするのだが、やはり戦いたくない者も居る訳で…運営もそう言う点を踏まえてかイベントの武器やアイテムにロック機能を付けて、本人の承認無しでは譲渡・売却等を出来ない様にしたのだが、それでも手に入れたい者は所持者に対して嫌がらせ行為をしてくる等、粘着質な面倒事に巻き込まれる。最終的な対策としてクエスト達成で貰えるギルド信頼ポイントで、複製品と交換等…ただ欲しい者達の為に新システムを導入したりと色々しているのだが、何故かオリジナルと複製品とでは少し能力が違うのか、やはり狙われる…そう言った武器を手に入れても運営からは何も通知されないので黙ってさえ居れば狙われる事は無いのだが、互いにイベントだとすれば面倒臭い事になると言った様子で考えては今後の事を思い浮かべ、本来ここに来た目的を忘れそうになる。
「……そう言えばここに来た理由って何だっけ?…」
「え?……あっ…」
マサツグは今後の事を考えながらふと思い出したのだろう…あれ?っと言った困惑の表情を浮かべると徐にモツへ質問し始め、モツも忘れて居た様子でマサツグの言葉に困惑した様子で返事をすると固まる。そして数分間固まったまま動かないでいるとハッ!と本来の目的を思い出した様子で声を漏らし、徐に光り輝く樹の方に振り返るとマサツグも思い出した様子で同じ様に振り向き始める。そして何も変わらないまま眩いばかりに光り輝く樹の方に近付いて行き、本来の目的である木の実を見つけると今度は如何やって取るかで悩み始める。何故なら…
「……この樹…意外と高いな…
見ただけでも手が届きそうに無いのが良く分かる…」
「とは言え…いるのは多分この木の実だし…
取れなかったじゃクエスト失敗だしなぁ…」
マサツグとモツがその光り輝く樹の根元まで移動し木の実の方を見上げると、誰にも取らせまいとばかりに高い位置に木の実がなっている。モツが光り輝く樹の大きさに予想外と言った様子で手を伸ばしてみるも届かず、マサツグも困惑した様子で呟いては木の実を見詰める。マサツグの身長が180cm…モツも同じ位で二人か肩車しても届かない…木の実は5m位の位置になっている。そう…光り輝く樹は意外と大きく全長10m位はあろうかと言う巨木であった。それが何故外から分からない様に生えているかと言うと、周りの木々がその光り輝く樹以上に大きく生えており、覆い隠す様にドーム状に樹が生えているからであった。外から見た限りでは光る樹は見えず、マサツグ達も森から出る瘴気の方が気になった様子で歩いていた為、この事には気が付かなかったのであった。更に森の中は瘴気で見通せず、やっとの思いでここまで辿り着いて漸くこの森が高木で出来た森だと気づくと、頭を悩ませる。そしてその高い位置になる木の実に対し、モツは少しの間悩むも策が思い付かないのかマサツグの方に振り向くと、一言こう言い出す。
「……じゃあ登ってみるか?…」
「え?…」
「さぁ!…頑張って行こうか!!!」
「おい!!…何で俺が登る事になってる!!!
モツが行けよ!!!」
思考放棄した様子でモツがマサツグに登って取るかと言い出すと、その言葉にマサツグが戸惑い始める。さっき崖から登って来た者に対して何の躊躇いも無く登ろうかと提案し、まるでマサツグに登るよう指示するが如く光る樹を指差し、マサツグが戸惑った様子で若干項垂れモツを見詰めていると、モツはマサツグを囃し立てるよう再度樹に向かわせようとする。それを聞いてマサツグがすかさずモツにツッコミを入れるのだが、モツは戸惑った様子でマサツグの言葉に反応すると言い訳をし始める。
「え?…いや、俺…樹に登るだけの体力無いし…
何ならマサツグみたいに大剣背負って崖を登るだけの
技量無いし…」
「ッ!?…こ、この野郎!!…」
「…まぁ俺にもマサツグの様に体力が有れば
やるんだけどなぁ~……出来ないもんなぁ~…
仕方ないよなぁ~…」
「ッ!…ッ!!…後で覚えてろよ!?…」
マサツグのツッコミに対してモツがワザとらしく言い訳をし、その言い訳にマサツグが戸惑い交じりのムッとした感情を覚えていると、更にモツはワザとらしく言い訳を続ける。明らかに登るのが面倒臭い…これはマサツグに任せよう!…と言ったモツの背後から出て来る本音にマサツグがツッコミを入れようかと悩むも、言った所でなぁなぁで押し負かされると悟ると、文句を一つ言ってはその光り輝く樹に手を添える。その際木の根元に大剣と刀を外して置き、溜息を吐いて樹に登り掛かろうとするのだが…
__ガチャガチャ!……はあぁ~……スッ…ズルゥ!!…
「うわああぁ!?…」
「ッ!?…え?…急に如何した!?…」
「な…何だこれ!?…めっちゃ滑る!!…」
マサツグが光り輝く樹に手を掛け、その手を支えに樹に足を掛けようとした瞬間!…マサツグの手が思いっきり樹から離れるよう滑っては危うく頭から地面に向かって突っ込みそうになる。マサツグがその事に驚いては慌てた様子で声を挙げ、モツがその様子に戸惑った反応を見せてはマサツグを心配すると、マサツグは再度樹に手を添え質感を確認する。その光り輝く樹の表面はまるで百日紅の樹の様に…いやそれ以上にスベスベしており、とてもじゃないが登れそうに無い事を確認する。そしてそのマサツグの言葉を確かめる様にモツもその光り輝く樹に近付いては手で触れると、そのスベスベ具合に戸惑いを覚える。
「……ッ!…ホントだ!…
凄いスベスベしてる!…何だこれ!?…」
「とてもじゃないが登れないぞこれ!?…
えぇ…どうやってあの実を取るんだ?…」
その樹は決して潤滑油の様な樹液が出て居る…と言う訳では無く、完全に材質がスベスベしてはしっかり握り込んだり・掴んだりする事が困難な状態で、高い位置になっている実を取るには如何したものか?とまた樹の根元でマサツグとモツが悩み始めるとマジマジその光る樹を観察し始める。登れそうな所…他の樹を伝っての獲得…その他にも木の実に向かって技を使用しての採取等、色々考えるがどれも成功しそうにない…そんな樹に生る実を見詰めては如何したものかと上ばかりを見ているのだが、モツがスッと視線を下の方に移すと光っているとは言え樹の陰に隠れるよう…ある痕跡を発見する。
「……ッ!…あれ?…これは……ッ!!…
おい、マサツグ!!!…ッ!?…」
__ジャキン!!…
「ん!?…何どした!?…
モツも俺と一緒で同じ事を考えていたのか!?…」
モツが見つけたのはまるで今までに何度も鈍器状の物で打ち据えた様な跡がある傷跡であった。それは幾年月を重ねても癒える事の無い様子を物語っており、その傷跡を見つけてモツが少し悩むもハッ!と気が付いた様子で目を見開いては、マサツグの方を振り向き思い付いた様子で呼び掛け始めるのだが、そこに居たマサツグはと言うと完全に思いつかないとばかりに光り輝く樹に対して大剣を構え始めている姿であった。そして呼ばれたマサツグはモツも同じ考えに至ったのか!?と若干苛立ち交じりの様子で返事をしては大剣を振り被り始め、モツがそれを見てビクッとすると慌ててマサツグを止めに入る。
「ちょ!!…待て待て!!!…
今木の実の取り方が分かったから一旦剣を下ろせ!!!…
次同じ様に来た奴が居たら如何するつもりだ!?…」
__ガッ!!!…ブォン!!…ブォン!!…
「HA・NA・SE!!…
話が前に進まないなら切り開いてやらぁ!!!…
もういっそこの樹をぶった切った方が
他のプレイヤーの為なんだ!!!…」
もはや瘴気の吸い過ぎで正常な判断が出来なくなったのでは!?と疑う位にマサツグが苛立ち、モツが慌てて羽交い絞めにしてはマサツグの蛮行を止めさせようと、必死になる。その際マサツグが何処かのエキセントリックな髪型の決闘者の台詞を口にしては訳の分からない事を言いながら抵抗し、大剣を振り回し始めると収拾がつかなくなる。それでもモツはマサツグが落ち着くまで羽交い絞めにしては徐々にTPを消耗し続け、マサツグがTP切れで完全に落ち着きを取り戻した頃には、モツは息切れしながらマサツグに木の実の取り方を説明し始める。
「ぜぇ!…ぜぇ!…い…いいか!?…
ここを良く見ろ!!…
この傷は恐らく俺達と一緒で木の実を取りに来た者達の
必死の努力の証だと思う!!…
かなり年月が経っていて新しくも無いが傷は浅いし!…
何度も打ち付けた後がある!!…これを見て思うに!…
この樹は並大抵の攻撃じゃ切れないって事だ!!…
となると!!…」
「…デモ…オレタチ…打撃武器…持ッテイナイ。」
「…ぜぇ!…ぜぇ!…
今度はTP切れで頭が退化してやがる!!!…
…とは言え…確かに如何したものか……
俺もさすがにクラフト系のスキルは持って居ないし…
多分こう言う時に鍛冶師が重要になって
来るんだろうな…」
マサツグがTP切れで動けなくなった後、また暴れ出さないよう縄で縛っては正座させ、無理やりモツがマサツグに話を聞かせるのだが、マサツグは先程の興奮で人間を止めてしまったのか完全に何かを失った様子でポケ~っとし、まるで原始人が言葉を初めて覚えたかの様に片言で喋り始めると、モツが頭を抱え始める。しかしその片言で喋るマサツグは一応モツの話を理解している様子で、マサツグに打撃系の武器を持っていない事を言われると、モツもそこは考えていなかったと言った様子でまた悩み始める。そしてモツが光り輝く樹を見詰めては腕を組み悩み続けていると、徐々にたがいのTPが回復し始めて来たのかマサツグが進化を遂げ始める。
「……なぁ…モツ?…」
「……ん?」
「今考えたんだけど…」
「ッ!?…急に普通に喋り始めた!?…
進化してる!?…」
マサツグが正気を取り戻しモツに話し掛け始めるとモツは悩んだ様子でマサツグの方を振り向き、マサツグが何か思いついた様子で話し始めると、モツはマサツグが元の人間に戻って居る事に驚き始める!まるでマサツグはあの状態になると元に戻るのは時間が掛かる…と言った様子で居たのか、仰け反り戸惑って見せてはマサツグの事を進化していると言い出すと、マサツグはそのモツの言い様にショックを受け始める。
「…進化してるってそんな言い様あるのか?…
泣けて来るぜ…」
「あぁ!…す、すまん!…で、話ってのは?…」
「その前にこの縄を解いてくれませんかね?…
でないと思い付いた事が出来ないので…」
「……樹は斬るなよ?…」
__ピタッ!!……チラッ…
マサツグがショックを受け始めた事にモツが慌てて謝罪するとその要件について尋ね始め、マサツグがその要件を話す前に縄を解くよう苦笑いし正座したまま跳ねてモツにお願いをすると、モツはマサツグの事をジッと見詰めては若干の間を開けてまさかと言った様子で忠告をする。それを聞いてマサツグがピタッと止まるとチラッとだけ視線を外し、それを見たモツが溜息を吐くとマサツグから背を向け始める。
「……はあぁ~…」
「わあああぁぁぁ!!!冗談です!!すんません!!
縄を解いてください!!!お願いします!!!…」
「…やったらどうなるか覚えて置けよ?…」
「はい!!!…すんませんでしたあぁぁぁぁ!!!」
__…ザシュ!…パラッ…グリグリグリグリ…
スラァ…
背を向けるモツにマサツグが慌てて冗談と言っては平謝りし、モツがマサツグに呆れた様子で最後忠告をすると、マサツグは地面に頭を付けてモツに再度謝る。それを見てモツが呆れながらもマサツグの縄を斬るとマサツグはやっと解放されたと言った様子で立ち上がり、手首や足首など正座が辛かったと言った感じで関節を動かしては徐に大剣を抜き出すと、ライモンドの真似をするよう肩に刃を置いて光る樹に向かい歩き始める。
__……チャキッ!…ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…
「ッ!…やっぱりやる…つもりか?…」
__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ……スッ…
「……え?…」
マサツグの様子にモツはやっぱりか!と言った様子でマサツグを止めに入ろうとするのだが、マサツグは光り輝く樹をぶった斬る様に大剣を構えるのではなく、妙な事に大剣の平らになっている峰を光る樹の傷口部分に平らになるよう押し当て、中腰になるよう構え始める。そのマサツグの行動にモツが戸惑い如何言う事かと疑問の表情で悩み始めるのだが、マサツグは徐にモツへ話し掛け始める。
「ほれ?…これなら打撃になるんじゃね?…」
「ッ!…そうか、そう言う事か!……
でもそれならマサツグが大剣で叩いた方が?…」
「正直安定して振る事が出来ないと思うからモツ頼むわ。
俺はここで動かないよう構えているからさ?…」
「……ふむ…じゃあやるだけやってみますか…」
マサツグは構えた大剣に向かって攻撃をするようモツに顎を使って説明すると、モツもその指示を聞いて納得したのか頷いて見せる。マサツグとモツが持っている武器は互いに斬属性で樹に向かって技を出せば当然斬属性になるが、間にワンクッション入れる事によって無理やり打属性に変えると言う考えを見せるのだが、モツはそれなら峰の部分で叩くよう大剣を振れば?とマサツグに不思議そうな表情を浮かべて質問をする。しかしその質問にマサツグは難しそうな表情を浮かべては、峰の部分を真っ直ぐにして振る事が出来ないと大剣を動かして説明し、その説明を受けてモツが納得した様子を見せるとエイブレントの白銀の剣を鞘から抜き始める。
__スッ…チャキッ!……
「じゃあ!…行くぞぉ!!!」
「オッシ来い!!!」
「ダッシュ斬り!!!」
光り輝く樹とマサツグから助走距離を取り、マサツグの構える大剣に向かい剣を構えると合図の言葉を掛け始め、その合図の言葉にマサツグが笑顔でサムズアップして返事をすると、モツは大剣に向かって遠慮無しの技を繰り出し始める!一気に飛び出してはマサツグの構える大剣で隠されている光り輝く樹の傷口を狙うよう走りながら剣を構え、マサツグがそれに合わせて大剣がズレない様にしっかり握って構えていると、モツのダッシュ斬りがマサツグの大剣目掛けて放たれる!
__ズガシャアァァァン!!…グラグラグラグラ…
「ッ!!!………もういっちょ!!!」
「オシ!分かった!!!」
__タッタッタッタッタッ……バッ!!!…
モツが放った遠慮の無いダッシュ斬りはマサツグの大剣に響くよう炸裂し、マサツグがその痺れに耐えるよう大剣を構えていると、その衝撃は若干大剣に吸収されるも樹を揺らす事には成功する!グラグラと樹の上では実が揺れて落ちそうな気配を見せて居るのだが落ちて来ず、まるでクレーンゲームのGETポケットの手前で引っ掛かる景品にやきもきする気分になるのだが、マサツグが気分を変えてモツにもう一撃と指示を出すと、モツも先程の光景を見てやる気を出したのか返事をすると、また距離を取り始める。そして再度構えるとマサツグの大剣目掛けて二度目のダッシュ斬りを敢行する!
「オッコイショオォォォォ!!!」
__ズガシャアァァァン!!…グラグラグラグラ…
「ッ!?…ッ~~~!!…まだ駄目か!?…
こうなりゃ畳み掛けるんだ!!!」
「ッ!…言われなくても!!!!」
二回目のダッシュ斬りも見事に決まり激しく木の実を揺らすのだが、やはり落ちて来る気配は見えてこない。モツの攻撃で手に痺れを感じながらもマサツグが耐えては落ちて来ない木の実に戸惑い、モツに更に畳み掛けるよう興奮した様子で指示を出すと、モツはその場でバックステップをしては距離を軽く取り、揺れが収まる前にと言った様子で三度目のダッシュ斬りを敢行すると、またまた激しく樹を揺らす!
「ヨッコラアアァァァァァ!!!!」
__ズガシャアァン!!…グラグラグラグラ…
「ッ!?…ッ~~!…さっきよりはマシだが!…
…ッ!!…止めだ!!!」
「ッ!!…ウーー!ワッショイ!!」
助走距離が短い分先程より若干威力は低めなのだがそれでも樹を揺らすには十分の威力であり、マサツグの手の痺れが収まる前に攻撃した為更にジ~ン!…とした痛みがマサツグを襲い始める!別にこれと言ってダメージ等は無いのだが、中々に堪える状態でマサツグがそれに耐えつつ木の実に目を向けると、木の実は激しく揺れては零れ落ちそうな様子を見せて居た。それを見たマサツグがすかさずモツに最後の一撃とばかりに指示を出すと、モツもテンションが上がって来たのか最終的にはメンポには忍殺と書かれて居そうな忍者の台詞を口にし始め、バックステップからまたもや四度目のダッシュ斬りを敢行すると遂にその時が来る!
「イヤーーーーーーッ!!!!!」
__ズガシャアァン!!…グラグラグラグラ…
…ブツッ!…ブツッ!…
「ッ~~~~!!!!……ッ!?…
落ちて来たぁ~~~!!!!」
__ゴスッ!!…
「あだぁ!?…」
モツが四度目の正直とばかりに放ったダッシュ斬りは遂にはマサツグの手を限界に至らしめ、マサツグが痺れた様子で大剣を構え続けられず…ガタンと落としてしまうも、直ぐに視線を木の実の方へ向け始める。樹の上では激しく揺れていた木の実が遂に限界とばかりに宙を舞い始め、ブツンと蔕が切れる音を立ててはマサツグの居る方へと落下して来るのが伺えた。それを見てマサツグがやった!と言った様子で大喜びし始めるのだが、木の実は真っ直ぐマサツグの額を貫くよう落ちて来ては鈍い音を立て、高い位置から落ちて来たにも関わらず傷一つ付かない頑丈具合を見せると、地面に転がり落ちる。その光景を目の前で目撃したモツは喜んで良いのか?と若干ブリッジ状態で天を見詰めたまま動かないマサツグと、地面に転がっている光り輝く木の実を交互に見詰め、冷静になった所でこの状況を如何しようか?とその場で立ち尽くし、悩み始めるのであった。




