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どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-  作者: すずめさん
-第一章-スプリングフィールド王国編-
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-第一章三十七節 忠義の騎士と加速する攻撃とエイブレント-



瘴気の影響を感じない光り輝く樹が生えている広場の方ではモツとエイブレントが互いの動きを確かめながら円を描く様に動き、睨み合いながらゆっくりと歩を進めていた。どちらも似た者同士なのか自分からは仕掛けようとはせず静かな立ち回りで牽制し合い、それとは真反対に広場より段差下ではマサツグとライモンドが激しい戦闘を繰り広げているのか、激しい剣戟音が聞こえて来る。


__ガキィン!!…ガキィン!!…ガキイィィン!!!…


{…下ではもうマサツグとあの傭兵みたいな奴が

戦闘を始めてるみたいだな……

一対一にしたとは言え相手はBOSS!…

マサツグもそう簡単にはやられないと思うが…

どうにも心配だ…}


__……オオオォォォ!!…


「ッ!?…来る!?…」


下から聞こえて来る剣戟音にマサツグとライモンドが戦闘を始めた事に改めて気付かされると、モツはマサツグの心配をし始める。幾ら意外性の有るマサツグでもBOSSを相手に一対一は荷が重いのでは?…と考え始め、若干構えを緩めてしまうとそれに反応してかエイブレントが左手の盾を前に突き出し、右手の剣を後方に流すよう構える!その構えはまさに騎士そのもので、そのしっかりした姿からマサツグに対して放った最初の攻撃が嘘の様に思える。そしてモツもエイブレントが向かって来た事に驚いて剣を構え直し、迎え撃つ体勢で走り出してはエイブレントとの真っ向勝負に挑む!


__バッ!!!…


「ハアアァァァァ!!!」


__オオオォォォ!!!…ガキイィィン!!!…


「ッ!?…クッ!!…

やっぱ最初のあの攻撃は演技だったって事か!?…」


エイブレントが剣を振り上げモツに斬り掛かり、モツはそれに対抗すべく両手で剣を握り若干横薙ぎに掬い上げる様に斬り上げると、激しい剣戟音と共に鍔迫り合いに縺れ込む!その際モツはエイブレントの一撃に若干フラ付いてしまい、マサツグに対して斬り掛かって来たのがやはり演技だったかと理解すると、鍔迫り合いに力を入れ始める!


__ギギギ!…ギギ!!…


「ッ!!…やっぱさすがBOSSだな!?…

気を抜くとこっちが簡単に押されてしまいそうだ!!…」


__オオオォォォ!!…

…ガキイィィン!!!……ザザァ!!…


「……ッ!……けど何なんだ?…

さっきの奇妙な押し比べは?…

押されたと思えば浮いて来るし…

押したと思えば押される…これって?…」


互いが剣で押し合って睨み合いの状態になると剣と剣が擦れ合う音が辺りに響き、モツがさすがのBOSSと言った様子で苦戦の表情を浮かべるとその場が硬直する。その時互いに分が悪いと感じたのか押す様に腕を動かし、互いが押し返され離れて見せると仕切り直しとなるのだが、その時…モツはエイブレントに対して違和感を覚える。その違和感と言うのは鍔迫り合いをしている時、エイブレントはまるでモツの力を調べる様に押したり引いたりしている様に感じる力加減であった。まるで何かを狙って居る様な感触にモツが違和感を覚えると、ある事に気が付く。


__オオオォォォ!!!…


「…盾……ッ!!…なるほどそう言う事か!!…

アイツは真っ向勝負があまり得意じゃないのか!…

だとしたらカウンター型のモンスター…

そして盾を持って居るって事はパリィ狙い!!…

だとすれば!!…」


エイブレントはモツから距離を取るとまた盾を前に構えてはジッと動きを見る様に睨み始め、モツが先ほどの鍔迫り合いとエイブレントの持っている幾つもの傷が付いたカイトシールドに気が付くと、エイブレントの戦闘スタイルを看破する。迂闊に攻撃をすれば盾でいなされ致命の一撃!…やって居る事は完全にダークでソウルなゲームの戦闘方法なのだが、厄介だとモツも理解すると考えが無いと言う訳では無い様子で剣を構え、エイブレントに仕掛け始める!


__チャキッ!!……ッ!!…


「これならどうだ!!氷結斬り!!!」


モツはエイブレントから距離を取った状態で剣を下から斬り上げると冷気を纏った斬撃を放つ!モツの放った氷結斬りは地面から突き出すよう氷柱を作り出してはエイブレントに向かい真っ直ぐ伸びて行き、エイブレントもその攻撃はさすがに弾く事は出来ないのか氷柱に対してバックステップをするも、避け切る事が出来ずに地面から伸びて来た氷柱の棘を盾でガードする!


__シャバババババ!!…ッ!!…バッ!!…

ガスッ!!……スタッ…


「そぉれ、もういっちょ!!」


__ッ!?…バッ!!…ガスッ!!…

ガス!!…バッ!!!…


エイブレントが何度か盾で防ぎつつもモツの氷結斬りをやり過ごしてはまた盾を前に突き出し、更に距離を取った状態でまるで誘うかの様にモツを睨み付けるのだが、モツは再度エイブレントに向かって氷結斬りを放つ!それに対してエイブレントは先ほど同様バックステップをしては盾で氷柱の棘を防ぎつつ後方へと逃げて行くのだが、今度は違うとばかりにモツがダッシュ斬りでエイブレントの回避先に先回りすると、一気に間合いを詰めて斬り掛かる!


「貰った!!!」


__フォン!!…ッ!!…


この時モツは倒せはしなくても確実なダメージを与えられると確信していた。相手はバックステップの体勢で満足にガードが出来ない…氷結斬りはまだエイブレントに向かって伸び続けては軽視出来ない!…二方向からの攻撃…どちらか一方を受ける覚悟に無いと不味い事になる!…確実に攻撃は入る!!…モツはエイブレントの隙を突く様にダッシュ斬りで斬り掛かるのだが…エイブレントは驚くべき方法でダメージを最小限に抑える!


__バキィッ!!…グルンッ!!…ブォン!!…


「ッ!?…あぶな!?…

…ッ!!…それでもぉぉぉ!!…」


__バシュッ!!!…ッ!?…グラァ…


「ッ!!…浅い!!…けど!!!…」


エイブレントは氷結斬りに対して大きく振り被って左腕の盾でパリィを決めると、その流れでダッシュ斬りを敢行するモツに対して盾での裏拳を入れよう振り回す!これにより氷結斬りは勢いを失ってエイブレントの目の前で止まり、安全にモツに対してカウンターを入れる事が出来る体勢を整えるのだが、モツはそれを瞬時に回避するよう振り回して来たエイブレントの左腕の下に潜り込むと、鎧と鎧の隙間を縫うよう剣を差し込み腹部を斬って見せる!超反応が出来た事にモツは安堵し、負傷したエイブレントの傷口をチラッと確認するのだが、斬った腹部の傷は浅く…然程ダメージになっている様子は無い。しかしまだ腕を振り回し腹部を斬られた事でエイブレントはバランスを崩すと、モツがチャンスとばかりに追撃を放つ!


__チャキ!!…


「もういっちょおぉぉぉぉ!!!」


__ッ!!!…ブンッ!!…ガキィン!!…


「な!?…」


モツがバランスを崩すエイブレントに斬り掛かろうと剣を握り直し、頭を狙う様に剣を振り下ろそうとした瞬間、エイブレントはまだ戦えるとばかりに倒れそうになりながらもモツの攻撃を弾き飛ばすと、その場に尻餅を着く。攻撃を弾かれたモツはその状態でもパリィして来るのかと!?…戸惑いの表情を見せて若干後ろに仰け反り、エイブレントが倒れ際に構わずモツに対して突きを放つが、モツは辛うじて後ろに仰け反り互いに倒れる。モツは倒れる際後ろに転がるよう受け身を取っては一度エイブレントから距離を反り、一瞬の出来事に冷や汗を掻き始める。


「はぁ!…はぁ!…あんなのありかよ!?…

何であの状態でもパリィが出来るんだ!?…

あぁ~あぶなかった!!……ッ!?…」


__オオオオォォォ!!!…


本来パリィは相手の攻撃を受け流すもの…ダウン状態で使えば逆に身を護る術が無くなり、更に失敗すれば本当の意味で終わってしまうトンデモナイ賭け…しかしエイブレントは構わずモツの攻撃をパリィすると反撃と言わんばかりにモツに突きを放って来た!…ただその事に驚き戸惑い呼吸を乱して居るもののエイブレントの姿を確認しようと目線を向けると、そこには尻餅を着いた状態でも剣と盾を構えてはまだ戦う姿勢を見せるエイブレントの姿が有った。そんなエイブレントの姿を見たモツが更に驚くと同時に、一時期流行った某腹筋を鍛えるトレーニングマシーンのCMを思い出し始める。


「何て奴だ!?…今までのBOSSモンスターとは比べ物に

ならねえ位に厄介だ!?…

……にしても何か可愛らしい格好で構えるな…

何となくアレにも似てるような?……何だっけ?…」


__オオオオォォォォ!!!…

ガッチャ!…ガッチャ!!……バッ!!!…


変な事を思い出しながらもモツは警戒した様子でエイブレントを睨み付けては剣を構え直し、エイブレントはモツがただ警戒している隙に腰を上げ始めると、剣を一振りして構え直す。先程同様…盾を前に剣を後ろに流し、足を肩幅に開いてはモツを一心に見詰め、自身の体勢が整った所でエイブレントは先程のカウンタースタイルから一転、接近攻撃特化になった様子でモツに向かって駆け出し、勢い良く左下から斜めに向かって斬り上げる!


__オオオオオオォォォォ!!!!…フォン!!!…


「ッ!?…ダッシュ斬り!?…

うわっぶな!!…ッ!…この!!…」


エイブレントのダッシュ斬りにモツが辛うじて右足を後ろに移動させ身を逸らすと、回避に成功するがそのエイブレントの動きは先程とは違ってかなり速い!…まるで相手の動きを確かめる様にゆっくりだったものが図り終えたと言った様子で更に加速し始め、その事にモツが戸惑いながらもエイブレントのダッシュ斬りを回避した事により、若干の隙が生まれるとモツは反撃とばかりにインファイトを試みるのだが、次の瞬間更にモツは驚かされる!


__フォ!!…ガァン!!…


「グッ!?…ウソォ!?…」


__オオオオオォォォォ!!!…


エイブレントの剣が戻って来る前に支えにしていた右の脚で地面を蹴って上体を戻し、その戻って来る流れで縦に剣を斬り下ろそうとした瞬間!…エイブレントはまるで待っていた!と言わんばかりに一瞬で左足をモツの足元に潜り込ませると、左足を軸に踏ん張って思いっきりモツの剣を払い除けるようパリィを決める!その一瞬のカウンターにモツが驚き、パリィの影響で大きく怯み仰け反らされていると、エイブレントは既に剣を振り直せる位置に戻していたのか、モツに突きを繰り出す!!


__バビュ!!!…


「ッ!?…刹那!!!…」


__ヴウゥン!!…


「この!!…回れぇぇぇぇ!!!」


__バッ…ヴォン!!!…


眼前に向かって来る突きに対してモツは当然回避出来る状態では無い!…とは言え喰らえば間違いなく一撃即死の大ダメージ!…となるとモツの取れる行動は一つしかなく、大きく仰け反った状態で刹那を発動するのであった。大きく仰け反った状態なので無理やり顔を突きから逸らせて反応出来る限界速度ギリギリで体を後ろにそのまま捻り、その場でバク転するよう回避しながらエイブレントの動きが刹那により遅く見える事を確認すると、やられっ放しはムカつくとばかりに反撃を開始する!


「ッんのやろ!!…火炎斬り!!!」


__バシュウゥゥ!!!…ッ!?…グオォォォオォォ!?…


「ッ!!…つつつ!!…

完全に回避し切れないのかよ!!…

でもまぁ…良い感じのは叩き込めたから

とにかくオッケーって所か?…」


片手でほぼブリッジの状態からエイブレントに向かって火炎斬りを放ち、直撃しなくても炎がエイブレントにノーガードで襲い掛かると亡者に火は効果的なのか大きく仰け反り火を嫌がる。そしてモツが地面を蹴って座り込む様に着地をするとエイブレントがモツから距離を取り始め、モツはしゃがんだ状態でエイブレントの攻撃を回避し切れなかった事に戸惑うも、火炎斬りに効果が有った事に安堵する。さすがのエイブレントもいきなりの超スピード反応には戸惑ったのか、モツの事を戸惑った動作で見詰める。モツが立ち上り、改めて仕切り直しと言った様子で何度目かの握り直しをするとゆっくり息を吐き始める。


「…はあぁ~~……落ち着け…戦えるのは戦えてる!…

確かに刹那を使わずにあんな反応されたら

誰でもビビるが…落ち着いて対処すれば何とかなる!!…

相手の動きをよく見ろ!!…攻撃は効いてる!!…

大丈夫!!…まだやれる!!!……ッ!?…」


__……グオオオオォォォォォ!!!…


刹那状態でモツは自分を落ち着かせる様に独り言を口にし、エイブレントの動きに警戒をして居るとある事に気が付く。それはエイブレントの鎧を一部焼き切る事に成功したのか、エイブレントの乾涸びたボロボロの体が露出していた事で、エイブレントもその事に気が付いてか雄叫びを上げ始める!モツは気休め程度に防御力は下がったか?と考えるのだが、鎧が壊された事に怒っているのか…それとも被弾した自身に気合を入れる為に吠えているのか…何方とも言えない、とにかく興奮した様子で叫ぶと、エイブレントはモツに対して更に牙を剥き始める!


__グオオオオォォォォォ!!!…バッ!!!…


「ッ!?…はっや!!…まだ加速するのかよ!?…」


__オオオオオオォォォォォォ!!!!…


「ッ!?…雷撃刃!!!」


エイブレントが天を見上げて吠えてはモツに向かい走り出し、先ほど同様の突撃ぶりで襲い掛かって来るのだがその移動速度と反応速度は、更に加速した様子を見せている。モツがその様子に戸惑って居るとあっと言う間にエイブレントのダッシュ斬りでその距離を詰められ、斬り掛かろうとして来るのに反応してモツが焦りを覚えながらも雷撃刃で牽制するが、エイブレントは全く臆する事無く盾で弾いて突っ込んで来る!


__コオオォォ!!…スッ!…ガキィィン!!!…


「ゲッ!!…やっぱ弾くのか…よ?…」


__プラプラプラプラ!!…


牽制とは言え自身の雷撃刃が弾かれた事にモツが驚いた反応を見せては戸惑うも、エイブレントは雷撃刃を弾いたせいか左腕を感電させた様子を見せて、その後盾の構えを戻す事無くダランとさせたままモツに向かい走り続ける!このゲームにおいて感電と言うのはガードが出来ない!…パリィが出来ない!と言う意味を示し、エイブレントの左腕が感電した事に気が付いたモツはチャンスと考えると、自身の今の状態を瞬時に判断して仕掛け始める!


{…ッ!!…感電した!?…このタイミングで!?…

…何はともあれチャンス!!…

まだ刹那の効果は生きて居る!!…

とにかくあの厄介な腕を!!!…}


__バッ!!!…オオオオオォォォォォォ!!!…


「ハアアアアァァァァァ!!!」


__ズバシュゥゥ!!!…ボトッ!…


モツが向かって来るエイブレントに対して迎え撃つようダッシュ斬りをしては真っ直ぐエイブレントに向かい走り、エイブレントもそんなモツに対して逃げる事無く向かって行くと、遂に二人がぶつかり合う!互いに声を挙げて剣を振り被り、交差する様に互いが通り抜けた瞬間何かを斬った鋭い音が軽く森に響く!…そしてその斬った物は宙を舞っていたのか次にはボトッ…と音を立ててはその正体を現す!…そこに落ちていたのは乾涸びた腕にアームメイルが付いた左腕で、その手には盾が握られてあった。すれ違いでの剣戟勝負に軍配が上がったのはモツの方であった。


__ッ!?!?グオオオオォォォォォォ!!!…


「はぁ!…はぁ!…危なかった!!…

でも…これで!!!…」


__ヴウゥン!……


「ッ!?…まさかこのタイミングで!?…」


左腕を失いお得意のパリィが出来ない事にエイブレントが悲痛の雄叫びを上げ、左腕を斬る事に成功したモツが焦った様子で息を切らしながらもこれで有利に戦えると喜ぶのもつかの間、刹那の稼働限界時間が来てしまう。これからと言うタイミングで刹那が切れてしまい、モツがマジか!?と慌て始めて居ると、エイブレントが直ぐに復帰した様子でモツに襲い掛かり始める!


__オオオオォォォォォ!!!…

バヒュ!!…バヒュヒュヒュヒュヒュ!!…


「ッ!?…うわあぁ!?…ちょっ!!…まっ!!…」


__ドシュッ!!!…


「グッ!!…いったぁ!!…」


例え片腕を失おうとも戦い続けるエイブレントの闘志は凄まじく、モツに突きの猛攻を放ち始めるとモツは防戦一方になる。ただでさえ相手の動きに付いて行こうと考えるなら…刹那が有って漸くまともに戦えると言った感じだと言うのに、その刹那はクールタイム(リチャージ時間)に入って使えず更に加速し対応出来ないエイブレントから鋭い突きが飛んで来ると、モツの脇腹に突き刺さる!至近距離・刹那は使用不能・オマケにまだイケると言った様子で威力が上がっていると状況は悪化する中、辛うじて対応出来る所は剣で弾いたり回避したりするものの全部を回避する事は出来ず、徐々に被弾してモツの腹部が突かれたり、顔や腕など被弾箇所が増えるとHPが削られ始める。


__オオオオォォォォォ!!!…バヒュヒュヒュヒュヒュ!!…


「グッ!!…ツッ~~~~!!!…

一旦離れやがれ!!!」


__バシュウウゥゥ!!!…ッ!?…バッ!!!…


「…はぁ!…はぁ!…

…思いっきり刺して来やがって!!!…

…一番!…ヤバいのは!…脇腹か!…

…後は大した事は無い!…

…でもこのまま受け続けるのは不味い!…そろそろ…

決着を付けないと不味いって事か!!……」


エイブレントの猛攻にモツもこのままでは不味いと考えたのか一番効果があった火炎斬りをバックステップしながらエイブレントに対して放ち、エイブレントが嫌がる様に距離を取るとモツは息を整え始める。今自分の受けた攻撃の中で一番の深手は脇腹の刺し傷…その他は掠り傷程度と自己分析し、このまま続くと確実に自分が負けると自身の中で考えをまとめ、エイブレントの方に視線を向けるとモツが斬った左腕からは血液なのか何なのか…良く分からない黒色の液体が流れ出してはエイブレント自身も息を切らして居る様が見える。


__…ッ!!…ッ!!…


「……動き過ぎで出血多量ってか?…

…とにかくもう時間が無いのは確かなようだな!…」


__グウウゥゥゥ!!…チャキッ!!…


「……スゥ~…ハァ~…

こっちも出たとこ勝負って感じか?…

刹那も間に合わないし…体力もそろそろヤバイ…

回復なんてさせてくれ無さそうだし…

向こうはやる気満々だし?…

何ならもう騎士じゃなくて獣に近くなって

来ている様な?…」


エイブレントからはいつしか騎士らしい立ち振る舞いが消え…まるでバーサーカーの様に息を切らし出し、モツに対して剣を構え始めると肩で息をするよう呼吸を整え始める。一応まだ剣術の方は生きて居るのか?それとも一番の自信が有るのか?…突きの構えでモツを身構え、モツはそれを見て自分も最後とばかりに一度深呼吸をすると、状況を口にしながら剣を構え始める!何だかんだ言いつつもモツも覚悟を決めた様子でエイブレントを見詰め、自分の出来る技の中で最高威力の技が出せる下段の構えで剣を構えて居ると、エイブレントが大きく踏み込んではモツに向かいダッシュ突きを繰り出す!


__スゥ……ダン!!!…

グオオオオオォォォォォ!!!!!…


「オオオオオォォォォォォ!!!!」


__バヒュン!!!……スカッ!!!…ッ!?…


エイブレントが動き出したと同時にモツもエイブレントに向かい走り出し、互いに声を挙げて剣を構えながら走って行くと直ぐにその瞬間はやって来る!…エイブレントは右腕を折り畳む様にして縮めるとモツの顔目掛けて力の籠った渾身の突きを放ち出す!…しかしモツはそれを読んでいたとばかりに身を屈めるとエイブレントの懐に入り込み、剣を握る手に力を籠めると高く飛ぶ様に大きく踏み込み!…エイブレントを下から…ジャンプする勢いそのまま斬り上げる!


「天…昇…剣!!!!」


__ズバン!!…ズバン!!…

ズババアアァァン!!!…ッ!?!?!?!?…


モツは踏み込みと同時にまず天の言葉に合わせて右斜め下からエイブレントに一太刀入れると、その力の入った初太刀はエイブレントの鎧ごと斬ると同時に体を持ち上げる様に斬り上げ、一緒にモツも飛び上がると昇の言葉ですかさず剣を左側に構え直しては左斜め下から更に斬り上げる!この時点でエイブレントの体にはバツ印の様に斬られた跡が出来上がっており、エイブレントが斬られた反動で動けないで居ると、モツは最後に剣の言葉でサマーソルトをするよう二回転しエイブレントの足元から縦に二回斬り上げる!一回の技で一応空中四回斬って見せた技なのだが、この技は隙が大きく出せるタイミングが少ない技であるのだが、その威力は抜群に強くこの技を食らったエイブレントは斬り上げられた衝撃で投げ出されると宙を舞い、落下する。


__ヒュウゥゥ……ガシャアァァ!!……スタッ!…


「…はぁ!…はぁ!…ッ!!~~~……

これでどうよ!!…」


……サアアァァァ…


「ッ!!…」


エイブレントは受け身を取る事無く真っ逆さまに落ちては地面に激突し、その後モツがしゃがみ込む様に着地を決めると脇腹を手で押さえて痛みに耐える。モツが抑える脇腹からは出血が見られ血が服や鎧に滲んではその重症具合が伺えるのだが、その出血の痛みよりエイブレントを倒したかどうかが気になった様子で、視線を地面に倒れるエイブレントに向けて居るとエイブレントの姿は光に包まれ始める。それと同時にモツが斬ったであろう傷口からは黒い体液と共に黒い靄も出始め、その黒い靄が突如噴出し始めた風によって霧散し始めると、エイブレントは突如何かを呟き始める。


「ア…リ…ガト…ウ…」


「え?…」


__バシュウゥゥ!!…サアアァァ……


「……お礼を…言われた?…」


地面に倒れたエイブレントが突如お礼の言葉を口にすると、その言葉に動揺し一言呟いてはモツが倒れるエイブレントを見詰めたまま動かなくなる。本来なら恨み言の一つでも言われる筈なのだが、エイブレントが逆にお礼を言って来るとその不可解な言動にモツは戸惑いを隠し切れなかった。それはモツに対して言った物なのか?…はたまたここには居ない誰かに対して残した言葉なのか?…とにかくエイブレントはお礼を言えた事に満足げな表情を浮かべては次の瞬間、体から音を立てて更に黒い靄を吹き出すとその黒い靄は風に流され霧散し、エイブレントの遺体もそれに伴って完全に消えて無くなると、そこにはエイブレントが握って居た筈の剣が地面に刺さっていた。先ほどまでは明らかに刺さっていなかった筈なのに突如として目の前にドロップされたのか、光り輝く樹の光を反射してはまるでモツの戦いぶりを称える様に光り輝いており、その様子に目を奪われながらもモツはハッとした様子を見せてはエイブレントに対して敬意を示し始める。


「…ッ!……誰に対して言った言葉かは知らないけど…

一応返事を言っておくよ……如何致しまして?…」


__…………ドサァ!…


モツはその場で剣を置いて片膝を着いては首を垂れる…まるで先程まで戦っていたエイブレントに対して黙祷するよう数分間その恰好のまま固まり、そして自身の気が済んだのか若干後ろに倒れ込むよう崩れてその場にへたり込むと、アイテムポーチから回復薬を取り出し始める。そして取り出した回復薬の封を切って一気飲みをすると、エイブレントに斬られた傷もその飲んだ回復薬のお陰か止血され、モツがその事を確認して悩んだ表情をすると微妙な気分になる。


__キュキュキュ…ポン!…

ゴクッ!ゴクッ!ゴクッ!ゴクッ!…


「ぱあぁ~~!!…ふぃ~!……傷は…塞がってるな…

……ゲームの中だからとは言え…何かなぁ~?…」


__キラァン!!…


「ッ!!……エイブレントの剣!…

自動で回収は…されないし…消える気配も無い…

一応ドロップ品の様だな……」


モツがゲームの中の出来事と現実(リアル)での出来事と比べて違和感を覚えて居ると、まだ地面に刺さって光を反射し続けるエイブレントの剣が目に付く。まだ残って居る事にモツが不思議に感じつつエイブレントの剣に対して手を伸ばすが、ゲームのシステムが剣に反応せず地面に刺さったまま…かと言ってイベント演出的な物にしてはまだ残って居る事に違和感を覚え、一応ドロップ品なのでは?と確かめる様に立ち上がるとエイブレントの剣へと近づき始める。


__ザザ……ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…


「…ふむ………

結構、格好良いよな…」


モツがエイブレントの剣に近付きマジマジ観察するがこれと言って異常は無い、バグで残っているとかでは無く完全にドロップ品として地面に刺さっている様子で、モツが不思議に感じながらもエイブレントの剣に興味を持ってその剣に手を伸ばし、地面から引き抜こうと柄を握った瞬間モツの視界が白い光に包まれ、ホワイトアウトし始める!


__…ガッ!…ぱあぁぁぁ!…


「え!?…ちょ!!…ええぇぇぇぇ!!!…

ヤバ!!…これバグ!?……とにかく運営に!!…」


__ぱああぁぁぁ!!……


自身の視界がホワイトアウトし気が付くとただ何も無い白い空間にモツ一人だけが立っては驚き戸惑いの声を挙げ、本当にバグったのかと思い運営に連絡を試みようとするのだが、次に目の前に突如現れ始めたのは金髪で色白の綺麗な少年の姿であった。何処か貴族の子だろうか身なりは整っており剣の稽古に励んでいるのだが、その姿は何処か透けており、モツの事には全く気が付いていない様子で励んでいた。


「…ッ!……え!?…ちょ!?…急に何か始まった!?…

…ッ!…子供?…

剣の稽古してるけど全然こっちに気が付いてないな…

それに透けてる様な?…」


__ぱああぁぁぁ!!……


「…ッ!…今度は何!?って、これ?……

…エイブレント?…それにこれは……ライモンド?…

しかも亡者化していない?……

…明らかに今より若そうに見えるし……って事は……

……これって俗に言う武器に宿っている記憶って奴?…」


モツが目の前の光景に戸惑いを隠せないでただ見詰めて居ると、今度は先程の金髪の少年と黒髪の少年と剣を合わせては戦っている様子が映り始める。この時二人の姿はそれぞれ…エイブレントとライモンドの姿に似ており、それらを見てモツがハッ!と今起きている現象に気が付くと、更にその記憶物語はモツにエイブレントの記憶を見せ続ける。それはエイブレントとライモンドが何処かの国の騎士になったのか、エイブレントが王様に対して敬意を示すよう敬礼をしている中、隣ではライモンドが大欠伸をして自分の腹を掻いている様子が映ったり…ライモンドと共に戦場を駆け抜けた日々が映ったり…大した事無い事で喧嘩ばかりをしていた日々が映ったり…自分達が仕えていた王から始めて勲章を授与された時等の…エイブレントがライモンドと共に過ごし成長して来た記憶がモツの目の前で再生され続ける。


「……エイブレント…真面な人だったんだなぁ…

…だとしてら何でここで亡者化してたんだ?…

見た感じここに用は無さそうだけど…」



モツが記憶を確認しながらエイブレントに対して理解を深め始めて居ると、疑問を覚え始める。何故二人は狩人狩りの森に居たのか?…明らかに二人がここに来ないといけない理由は無いとモツが考え、何故ここで亡者化したのかも考えるとその答えは直ぐに分かった。何故ならその疑問を答える様にエイブレントのある記憶が再生され始めたからであった。


「エイブレント!!…ライモンド!!…

お前達にこの国の将来を託す!!…

必ずや伝承にある光り輝く樹を見つけ出し!!…

この国の瘴気を払う手段を見つけて来るのだ!!!…」


「…ハハァ!!…」


「何だこの化け物は!?…クッ!!…

王も民も待っているのだ!!!…

邪魔をするなぁぁ!!!…」


「はぁ!…はぁ!…何とか勝てたな…

ライモンド無事!…何だ?…

だ、誰だ貴様!!…ッ!?…グッ!!…この放せ!!…

う、うわああぁぁぁぁぁぁ!!!…」


その記憶ではエイブレント達が仕える王国では突如瘴気に侵され始め、民が苦しみ死に至ると言う事件が起きていたらしい…その解決策に光り輝く樹を見つけて来るよう任命されたのがエイブレントとライモンドの二人で、この森に来た後この森で見た事の無い化け物と戦い、ボロボロになりながらも勝利を収める事に成功するのだが、その後にやって来た術士に捕まり…実験台にされる後味の悪い最後になっていた。その一連の様子にモツが不快感を覚えて居ると最後に…先程消滅した筈のエイブレントが元の姿に戻った様子でモツの前に現れると、話し掛け始める。


「……私の魂をあの醜い化け物から

解放してくれた事を感謝する…旅の者よ…」


「…ッ!………

…アンタはエイブレントで良いんだよな?……」


エイブレントはあのボロボロの姿ではなく生前最後の姿でモツの目の前に現れて、お礼の言葉を口にし始めると静かに頭を下げる。脇に兜を抱えて腰には先程モツが手にした白銀の剣が鞘に仕舞われた状態で携えられ、モツがそれを見て自身の手元を確認するとモツの手にもその白銀の剣が握られていた。二本有る白銀の剣に戸惑いつつもモツはエイブレント本人であるかどうかを確認し、エイブレントがその問い掛けに対して目を瞑り軽く頷いて返事をすると、モツに話しを続ける。


「…既に貴方は私の記憶を見て理解しているだろう……

私はライモンドと一緒にこの森に訪れ、国を救う為…

あの光り輝く樹に生っている「リンデの実」を手に入れる

のが目的だった…しかしその道中私とライモンドは

今までに見た事の無い化け物に襲われ…

辛くも勝利を収めたが二人共満身創痍でもう戦える

状態ではなかった…しかしそこへ突如奇妙な術士が

現れては訳の分からない事を言い出し!!…

我々を拘束し抵抗する事が出来ないまま禁術とやらで

あの様な化け物にされてしまった!!…」


「………。」


エイブレントは先程の回想を振り返る様にモツへ自分の身に起きた…最後の出来事を話し始めては拳を握って怒りを燃やし、術士に対しての無念も込めてモツに説明をする。その様子からは王国を守れなかった怒りと罪も無い人を襲う化け物に変えられた事に対する怒りが込められており、モツがエイブレントの様子からその怒りを察すると何も言わずに話を聞き続ける。そしてエイブレントが一通り説明し終えた所で今度はスッと拳を開くと、落ち込んだ様子で話し始めてはモツにお願いを言い出す。


「そしてその化け物になった私を…

貴方が打ち破ってくれたからこうして話せるが…

アイツはまだあの化け物の中で苦しんで居る筈だ!…

すまない!!…旅の者よ!!…

私に変わってあの馬鹿を開放してやってくれないか!?…

先程の記憶が正しければ貴方の仲間が一緒

に落ちて行った筈!…早く助けに行かないと!!…」


「あっ!…スマンがそれは無理だ。」


エイブレントが悲しい表情を浮かべてはライモンドの事を気にした様子で話し出し、マサツグの手助けに向かってはライモンドを倒す様にお願いをし始める。何だかんだあった仲でもやはり大事な仲間だったのかモツに頭を下げてお願いし、マサツグの事も心配した様子で話してモツに急ぐよう声を掛け同意を求めようとするのだが、モツはエイブレントの頼みを聞き終えた途端にスッと真顔に戻ると無理と答える。そのモツの返答にエイブレントが慌てた様子で頭を上げ、戸惑った表情でモツの顔を見てはその理由を尋ね始める。


「ッ!?…それは何故なのだ!?……ッ!?…

もしや私が貴方の脇腹を突いたから!?…」


「あぁ!!…そうじゃなくて!!…

単純にマサツグに近付けないんだ…」


「え?…」


エイブレントはモツに戸惑った様子で質問をしては先程の戦闘でモツを負傷させた事を思い出し、それが原因で助けに行けないのかと慌てた表情を見せて尋ねるが、モツはそのエイブレントの問い掛けに対して違うと若干戸惑った様子で返事をしては理由を話し始める。それはマサツグの戦闘スタイルをよく理解しているモツだからこその返答であり、それを聞いたエイブレントはモツの言葉に戸惑いを覚える。


「……マサツグは基本…一人で戦う事に慣れて居るんだ…

最初から共闘して戦っているのなら問題は無いんだけど…

途中から参戦したら途端にその相手を気にして

戦い始めて…本当の実力を出せないまま戦い続けるんだ…

だから迂闊に手を出さないで待っている方が良い…」


「で…ですが…あの馬鹿は私より強いですよ!?…

…私が言うのも癪ですが…あの馬鹿は頭は回らなくても

戦いにおいては他の追随を許さない!!…

そんな馬鹿なのです!!…」


「…さっきからバカバカって…何気に酷いなアンタ…」


モツはマサツグが生粋のソロプレイヤーである事を自覚し、迂闊に手を出さない方がマサツグは戦えると信頼し笑顔で話しては、そのモツの説明にエイブレントが戸惑いつつもライモンドの事を話し始める。その際ライモンドの事を本当に心配しているのかと言った具合にライモンドの事を「馬鹿」と呼び、その言葉を聞いてモツがエイブレントにツッコミを入れると、更にモツはマサツグを信頼した様子で話を続ける。


「……とにかく大丈夫ですよ!!…

PvPだったら話は別ですが…

アイツが負ける所を見た事が無いんです!!…

誰であろうと向かって来たらぶっ倒す!!…

そんな奴ですから!!…」


「…それも今回は無いかもしれないのですよ?……

それでもですか?…」


「……そうですね…確かに違うかもしれません…

ですがあいつはやってくれます!!…

アイツは俺でも分からない普通じゃない

戦い方をするから!!…かな?」


モツが逆にエイブレントを説得するようマサツグの話を続け、エイブレントがモツの気持ちを確認するよう眉間にしわを寄せて尋ね掛けても、モツは大丈夫と笑顔で返事をするが、最後は疑問形。そしてその時のモツの笑顔は何処か遠い目をしてはマサツグは普通じゃないと言った様子で呆れた感じも醸し出し、その様子に気が付いたエイブレントが困惑しつつもモツの考えを理解すると、静かに笑みを浮かべ始める。


「……フフフッ…本当に信頼されているようですね?…

羨ましい限りだ!…」


「…そうですか?……

エイブレントさんもあのライモンドさんの事を

信頼している様に見えますが?…

でなきゃあんな動き早々出来ませんよ?…」


「……さぁ…如何でしょうね?……ッ!!…

如何やら時間のようです…」


マサツグとモツの仲を羨ましそうにエイブレントが笑って居ると、モツもエイブレントとライモンドの仲に同じ物を感じると話す。それは二人があの見た事の無い構えからマサツグを窮地に追い込んだ様子から感じられ、あの連係プレイはちょっとやそっとじゃ出来ないと理解しているからこそ、その事を指摘するよう話すとエイブレントはモツに恍けて見せる。そうしてエイブレントが恍けて居るとのお迎えの時間が来たのかエイブレントの霊体が徐々に薄れ始め、モツも気付いた様子で驚いて居るとエイブレントはモツに最期の話をし始める。


「……最後に…罪滅ぼしになれば良いのですが…

私の遺した剣を受け取ってください!…

その剣は私の半身と言っても過言ではない!…

特別な剣です!…その剣を貴方に託します!!…

それが私が彼方にで出来る唯一の謝罪であり…

感謝の品です!…」


__ぱああぁぁぁぁ!!…チャキッ!!…ッ!?…


「ッ!?…え!?…一体化した!?…

ッ!!…エイブレントさん!?…」


「さらば!…勇敢なる冒険者よ!!…

貴方の進む道に幸が有らん事を!!!…」


エイブレントは自身の体が薄くなり始めた事に戸惑う事無く、寧ろ嬉しく感じた様子でモツに自身の剣を送ると告げると、エイブレントの腰に刺さっていた剣が突如光となって消え、モツの手に握られている白銀の剣に光が宿り始める。その事にモツが驚いて居るとエイブレントの姿は完全に消えて声だけが残り、モツの事を祝福するよう言い残すと次にはまた視界がホワイトアウトし始める。


__ぱああぁぁぁぁ!!…


「ッ!!…眩し!!…………

……?…ッ!?…あれ!?…

戻って来た?……あれ!?…」


モツの視界が戻った頃にはあの光り輝く樹の生える広場に立っており、地面から白銀の剣を抜いた状態で固まって居るのだがその際視線を剣に向けると、白銀の剣は鞘に仕舞われた状態で握られていた。モツが最初剣を抜く際は確かに鞘は無かった筈なのにいつの間にか仕舞われており、その事にモツが若干驚くもスッと剣を手に鞘から抜いて見せると、そこにはやはりあの光り輝く樹の光を反射する位にピカピカの白銀の剣が姿を現す。その剣を見てモツは何かを感じたのかポツリと呟くと、今装備している剣を仕舞って白銀の剣を装備するのであった。


「……では、ありがたく受け取らせて貰います!…」


__チャキッ!!…ギュギュッ!!…


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        エイブレント卿の白銀剣


           レア度 C


       ATK+75 MATK+10 MDEF+30


   エイブレント卿が愛用していた白銀の剣。


   製造された日からかなりの年月が経っているが


   切れ味・耐久性は今だ衰えてはおらず、僅かな


   光をも反射するその見事な刀身はいとも簡単に


   敵を一刀両断する。更に若干ながら属性攻撃にも


   強く、並の攻撃なら剣で簡単に振り払う事も


   出来る万能ぶりを見せるブロードソードに


   なっている。


           [阿吽の呼吸]


   このスキルが付いている武器を持つ者との連携技


   発生率が格段に上昇し、連携技の威力も上昇する。


----------------------------------------------------------------------


[モツは「エイブレント卿の白銀剣」を装備した]


ATK 245+55  →  ATK 245+75


MATK 140   →  MATK 140+10


MDEF 150   →  MDEF 150+30


「……フン!!…」


__ズバアァン!!!…ゴゴゴゴゴ!!…

ドサアァァン!!!!…


「…ッ!?…すげ!説明書通りの切れ味!!……

……さて、エイブレント卿にもあぁ言った事だし?…

マサツグが勝つ事を祈って…ゆっくり待ちますか…」


モツが軽く試し斬りをするよう近くに生えていた樹に向かって剣を振るうと、見事に樹を斬ってしまっては騒々しい音を立てて丸太と切り株を作って見せる。その切れ味にモツが戸惑いつつもその斬った樹の切り株に腰を掛けると、エイブレントに言った通りマサツグの帰りをのんびり待ち始めるのであった。



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