表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-  作者: すずめさん
-第一章-スプリングフィールド王国編-
33/605

-第一章三十二節 のどかな農村とダイレクト接客と悪いマサツグ-



クランベルズを出て二日目…マサツグ達はコボルトやジャイアントアントを相手にしながら今日も街道を進み、徐々に農村らしき影が見えて来るとやっと目的地が見えて来た事に安堵する。ゲーム時間にして昼頃…あと少し!…と思いつつ道に沿って歩いて行き、やっとの思いで農村に辿り着くとまるでマサツグ達を出迎える様にその農村の名称がマサツグ達の前に表記されて農村の全体像が目に映る。


  ------------------------------------------------------------------------


     「西の農村・ブルーベルズ」


クランベルズより西に進んだ所にあるかなり大きめの


農村。農村と言うだけあって農業が盛んであり、その


規模は王国全土の町や村に野菜や畜産を供給出来る


だけの生産力を持っている。スプリングフィールド


王国の王様曰く…「ブルーベルズは我が大陸の食料庫」


と言わせたほどで、その言葉を聞いたブルーベルズの


村長は感動のあまり号泣して三日三晩、目を腫らした


等の面白い逸話が残っているらしい…そしてこの農村の


両隣にある森は冒険者の間では自信を鍛える修行場と


して人気があり、王都・クランベルズと並び地味に


冒険者の来頻度が高い村でも有る。

  ------------------------------------------------------------------------


「はぁ~!…漸く辿り着いたな!!…」


「あぁ!…本当にな!…

若干アイテムに不安を感じたけど

ギリギリ持って良かった!!…

本当に疲れたぞ!?…」


ここまで辿り着くのにモンスター達とほぼ連戦でアイテムが枯渇しており、色々危ないと感じつつも目的の農村に辿り着くと目の前にはのどかな農村の風景が広がる。村全体を木の柵で囲ってあるだけでさすがに王都やクランベルズみたいな城壁が無い事に気が付くと、マサツグとモツには何故か新鮮に見えていよいよ村へと足を進め、村の中に入るとまた風景は変わり大きめの畑に村人が数人…畑に種を蒔き水をやると言った作業風景や、ウシ型のモンスターに農機具を取り付けては曳かせて畑を耕すと言った普通の農村の風景が目に映る。その他にも子供が作ったであろうお手製の案山子など色々な物が見て取れ、更に農村らしく畑の一角では小麦が育っており、黄金の海を体現するが如く風に穂を揺らしていた。その他にも野菜が育っている様子が見え、マサツグとモツがその光景に癒されながら歩いて居ると地味に長い道のりを歩いて来た二人は謎の満足感に満たされる。


__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…


「…何と言うか……のどかだなぁ…」


「本当にな…今までの疲れが抜けて行く様な…」


__タッタッタッタッタッ……


村に入ってまだ数分…そののどかな畑の作業風景に癒されながら歩いて居ると村の中心から誰かが走って来る足音が聞こえて来る。しかしマサツグとモツは気にせず村の作業風景のみに気を足られた様子で歩いて居ると、その足音の主はマサツグ達に気が付いているのか居ないのか…真っ直ぐマサツグの方に走って来てマサツグの右足に勢い良くぶつかり、マサツグを驚かせる。


__タッタッタッタッタッ…ガスッ!!…


「うおわぁぁ!?…」


「ううぇ!?…何!?…如何した!?…」


「あ!…足に何かくっ付いた!?…」


「……え?……ッ!?…」


突然の右足への衝撃にマサツグが驚きフラ付くと、その様子に気が付いたモツが慌てて何が起きたのかとマサツグに心配の声を掛け始める。その問い掛けにマサツグが足に感じた違和感について話し、モツが戸惑いながらもその話を聞いてマサツグの足にぶつかって来た物の確認をすると、そこにはヒューマンのちっちゃい女の子がマサツグの右足に張り付いて居た。歳は小学校一年生位だろうか…幼い顔立ちで普通の洋風田舎服を着ており、ツインおさげの髪をした女の子がガッチリとマサツグの右足をホールドして離そうとしない。


__ガッチリ!!…ギュウウゥゥ~~~~!!!…


「え?…えぇ……」


「な…何なんだ?…結局……ッ!?…え!?…」


そのホールド少女の様子を目にしたモツが戸惑った表情で見下ろして居ると、マサツグも冷静さを取り戻したのか違和感を感じる自身の脚を確認し始め、見知らぬ少女が張り付いて居る事に気が付くと驚き戸惑った反応を見せる。何故見知らぬ少女が自分の脚に!?…そんな戸惑いを隠し切れない表情でマサツグが困惑して居ると、落ち着きを取り戻したモツがそのマサツグの脚に張り付いて居る少女と、同じ目線になるようしゃがんで恐る恐る話し掛け始める。


「えぇ~っと……お嬢ちゃん?…

何処から来たんだい?…」


「ッ!…あっち!!」


「あっち?……ッ!…」


モツの困惑気味の問い掛けに少女がモツと目を合わせると、元気良く反応しては村の中心…恐らくは広場の方を指差し、モツが少女の指差す方に視線を向けるとそこにはまた見知らぬ誰かがこちらに向かって手を振り、何かを訴えているのが見て取れた。その人影は恐らく女性で少女の母親だろう…三角巾にエプロンと一般ご家庭装備に身を包んだ女性が立っており、モツが戸惑いながらもその手を振るお母さんとコンタクトを取ろうとして居ると、少女はマサツグの右手に手を伸ばし、しっかと握ると一言話して走り出す!


__ガッシ!!…え?…


「付いて来て!!」


「え?…ちょ!…ま!!…」


「えぇッ!?…ヤ…ヤブ!?…」


マサツグが少女の行動一つ一つに戸惑って居ると突然付いて来る様に言われ、強制的に少女の身長に合わせて中腰状態になり戸惑いながらもドナドナされると、モツが慌てて二人の後を追い掛ける様に早歩きし始める。その様子はまるで娘に引きずられる父親と叔父さんの様に見え、大の大人二人が自分より年下の女の子に連れて行かれる姿は他の者達に如何見えたのだろうか?とモツが軽く考えさせられていると、少なくとも少女の母親は自分の娘の行動に戸惑いを隠し切れないのか口に手を当て慌てて居る。マサツグ達は少女の手によりその少女の母親の前まで連行され、村の広場まで連れて来られると少女は自慢げに母親に話し掛け始める。


「お母さん!!お客さん連れて来たよ!!」


「あっ!…ちょ!…まッ!!…って、え!?…」


「あらあら!…この子ったらもう!!…

如何も申し訳ありません!!!」


少女に連行されマサツグとモツが戸惑いっぱなしで漸く広場で解放されると、ここで漸くマサツグが顔を上げる事が出来るようになって顔を上げると母親らしき人物が立っており、少女はマサツグとモツの事をお客さんと言い出し始める。その一言にマサツグとモツが戸惑いを隠せない様子で母親らしき人物の方に視線を向けると、その少女に良く似た女性は頬に手を当て困った表情を見せては少女を見下ろして居た。そして自身の娘の行動に対しマサツグ達に頭を下げて謝り始めるのだが、それよりお客さんと呼ばれた事の方が気になったマサツグは、その女性に如何言う意味なのかの説明を求め始める。


「え?…それよりお客さんって言うのは?…」


「あぁ!…申し遅れました!…

うちは宿屋を経営している者でして…

この子が窓の外を見詰めて居たら、

「お客さんが来た!」って、飛び出して

いっちゃいまして……

ほら、リコもちゃんと謝りなさい!」


マサツグの質問に母親は宿屋を切り盛りして居ると簡単に説明し、その説明を受けてマサツグとモツが納得して居ると、女将さんは先程のやり取りになった原因について話し出し始める。恐らくは少女自身は良かれと思ってやった行動なのだろうが、やり方が間違って居ると女将さんが怒って少女に謝るよう言うのだが、少女は納得が行かないのか膨れっ面を見せて女将さんに文句を言い始める。


「えぇ~!?…何で!?…

宿屋はうちだけって言ってたじゃない!!

だから、お客さんを案内したのに!!」


「だからって無理やりは駄目でしょう!!

そんな悪い子にはおやつはあげませんよ!」


「うえぇ!?…お母さんのケチ!!」


少女が女将さんに文句を言い、その文句を聞いた女将さんは何が駄目だったのかを少女に言い聞かせ、罰を与えると軽い脅しを掛けると少女はショックを受けた様子で文句を言い項垂れる。その目の前で繰り広げられる軽い親子喧嘩を見てマサツグとモツが軽く噴出し、笑うのを我慢してホッコリさせられていると女の子はおやつの誘惑に負けたのか、渋々マサツグ達に頭を下げて謝り始める。


「うぅ~…さっきはゴメンなさい…」


__ッ!……コクリッ……スッ…ポン!…


「ッ!…え?…」


少女がちゃんと謝った事に女将さんもふぅ…と一息吐いてはマサツグ達に再度頭を下げ、その様子に二人か戸惑いながらも顔を見合わせると同じ事を言おうとしたのか目が合った瞬間互いに理解する。そして何も言わぬまま無言で頷き合い、マサツグが腰を落として少女の頭に手を置き撫で始めると、少女は少し戸惑った様子で顔を上げてはマサツグの顔を伺い、マサツグは少女に対しちゃんと謝った事に感心すると笑顔で褒め始める。


「ちゃんと謝れて偉いぞ!!

それに今日の宿屋にも案内をしてくれて

ありがとうな!」


「ッ!……ッ…えへへへ!…うん!!!」


「女将さん…今日一泊だけ出来ますか?」


「え?…あっ…はい…

出来ますが宜しいのですか?」


そのマサツグの態度と笑顔に少女は戸惑うも徐々に緊張が解れて恥ずかしそうに笑い出しては返事をし、モツもその様子を見て一安心すると女将さんに声を掛け、宿屋に泊まる意思を伝える。女将さんはそのモツの言葉に戸惑った反応を見せるが先に泊まる事が出来ると返事をし、改めてモツに泊まるかどうかの確認を取るとモツは何の迷いも見せない様子で女将さんにお願いをする。


「はい、お願いします!…今日はもうクタクタですし…

それに丁度良いタイミングでかわいい看板娘さんが

案内してくれましたし…これも何かの縁です。

ぜひお願いします!…」


「あっ!…はい!分かりました!…

…本当に申し訳ございません!…

ではこちらに…」


モツのお願いに女将さんが軽く笑顔を見せると了承し、改めて申し訳ないとだけ自分の娘の行動に対して一礼し謝罪すると、マサツグ達を自身の経営する宿屋へと案内し始める。その際村の中心から村全体を見回す様に視界を動かすと、村は如何やらこの広場を中心にして十字に道が伸びて分かれており、その道が区割りの役割を果たす様に畑や民家が分かれているのが見て取れた。


__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…


「……偉く分かり易い道筋になっているな…

まるで西部劇の町の様な…」


「じゃあ何か?…この広場で決闘とかするのか?……

周りはかなりのどかなもんだが?…」


「いやそうじゃなくて!…

何と言うか…道に迷わなさそうなと…」


「…あぁ~……」


村の入り口から入って真っ直ぐの道に宿屋や道具屋と言ったお店が立ち並び、その分かり易い道なりにマサツグが思わず呟いて居ると、モツがマサツグの言葉からガンマンの決闘を思い浮かべたのかちょっかいを入れ始める。そのちょっかいにマサツグがツッコミを入れては自身の方向音痴を口にし、モツがその言葉を聞いて察した様子で言葉を漏らすと何も言わなくなる。そのモツの反応にマサツグが引っ掛かりを覚えるも宿屋はすぐ傍なのか、広場の中心から近い位置にロッジ風の宿屋が建っており、中へ案内される。


__ガチャッ!!…


「では、こちらへ…ようこそおいで下さいました!…

「黄金の穂亭」へ!…」


「ようこそ~~!!」


「おおぉぉ!…」×2


女将さんに扉を開けて貰って宿屋の中に入るとそこは温かいログハウス調の室内と受付口が出迎え、すぐ横には開放的な談話室と奥には食事を取る為のダイニングが有り、宿屋に入ってすぐ目の前には階段が設置されており、二階が如何やら宿泊する部屋になっているらしい。一階の更に奥には恐らく女将さん達家族の居住スペースがあり、女将さんと娘ちゃんがマサツグ達を出迎える様に宿屋の名前を口にすると、まるでお宅訪問の様に辺りを見渡し色々見て回りマサツグ達は感動を覚える。そうして気が付くと現実(リアル)・ゲーム内共に時間が夕刻を指しており、その日は森への挑戦を諦めて後日挑む事にし、各自用意された部屋に入って休みログアウトする。幸い次の日は互いに土・日と連休で、英気を養うと言う意味を込めて早めにゲームを終えると、食事を取って眠りに就く。



そして次の日…連休の到来!!マサツグが意気揚々とゲームを起動してログインすると、再回地点である昨日泊まった宿屋のベッドの上で目を覚まし、目を擦り徐々に慣らして行くと宿屋の天井が目に映る。一応、自身の画面を開いてHP・TPを確認し、異常が無い事を確認して身支度を整え一階へと降りて行く。一階に降りて来てダイニングの方に目を向けると先にログインを済ませて居たのかモツが席に座って居り、朝食を食べ終えては食後のコーヒーを飲んで居た。


「…ん?…お!マサツグ!…おはよう。」


「…うん…おはよう……突然なんだけどさ?…」


「ん?…」


「このゲームで食事って意味あるのかね?…」


モツがコーヒーを片手に後ろからマサツグが来て居る事に気が付いたのか、振り返り確認するとマサツグに挨拶をしマサツグもモツに挨拶を返す。そして隣の席に座って徐に疑問を感じ始めるとモツに話し掛け、モツがコーヒーを啜りながら返事をすると、マサツグはこのゲームにおける食についての疑問をモツに問い掛け始め、その突然の問い掛けにモツが若干困惑した表情を見せて居ると、女将さんが待ってましたとばかりに出来立ての朝食をマサツグの前に置き始める。


__コトッ…コトッ…コポポポポ……サクサクッ…


「…はい!お兄さん!!…」


「お?…ありがとな~…」


マサツグの目の前には半熟に焼かれた目玉焼きにカリカリのベーコン、恐らく酒場で食べた物と同じであろうレタスのサラダにオレンジジュースと、まるでホテルの朝食の様なメニューが直ぐに出て来る。娘さんが机中央に置かれたパン籠から良く見る短めのバタールを取り出し、ナイフを手に慣れた手つきでパンを切り分けマサツグに笑顔で差し出すと、マサツグがお礼を言いながら受け取り、寝ぼけつつも合掌してその朝食を食べ始める。


「…いただきます!」


__…サクゥ!……美味い!…


「…あぁ~っと…一応あるぞ?…

このゲームにおける食って言うのは言わば

バフみたいなもんで…食べ物次第では

勝てなかった相手でも勝てる様になる位

一気に強力になる物も有るらしい。

更に食べ物によっては一時的…

永続的な効果のある物なんかもあるし…

話しでしか聞いた事無いけど有名店の料理が

再現されている物も有るらしいぞ?…

まぁ…効率厨は同じ物ばっか食ってるみたいだけど…

ゲームを始めた理由としてはそのシステムが楽しみで

始めたなんてもの好きも居るらしいし…

とにかく食っておいて損は無いと思うぞ?…」


マサツグが手渡されたパンを一口齧ると口に中に香ばしいパンの香りが広がり、それで火が点いた様に出された朝食を食べ始めると、モツがマサツグの質問に若干苦しむもそれに対しての答えが出て来たのか、一旦コーヒーをソーサーの上に置くと説明し始める。このゲームにおいて食と言うのは言わば付加(バフ)アイテムを使う事と同意義で、その効果は普通に売っている付加(バフ)アイテムを使うよりも絶大!…効果時間から始まり能力値のアップ具合、更に良い食べ物になると属性・種族特攻が付いたりとそれは色々と恩恵を受ける事が出来る。しかしその効果を得るにはちゃんと食べないといけないと言うのが難点であり、戦闘しながらの即時付加(バフ)効果が期待出来ないのがこの仕様のネックな点である。そしてその仕様を誤魔化す為か名店の料理を提供する等色々な工夫がされているらしく、その事をモツが説明して居る傍らでは口一杯に食べ物を放り込んで食べながら返事をするマサツグの姿が有った。


__モゴモゴ…モゴモゴ…


ほうなのは(そうなのか)~…」


「……返事は口の中に入ってる物を

飲み込んでからで良いから落ち着け。

普通に行儀が悪い!…」


__コクリッ!…


マサツグの返事にモツが振り向き、物を食べる姿を見て若干呆れた表情を見せると、行儀が悪いと娘さんの目を気にした様子でマサツグに注意をする。そのモツの指摘を受けてマサツグが口をモゴモゴさせながら頷き、返事をして見せる。と、その様子がおかしかったのかキッチンの方から女将さんと娘さんが笑う声が聞こえ、その声にマサツグが反応しつつもリスかハムスターの様な頬袋を徐々に萎めて行くと、モツがまたコーヒーを手にマサツグへ質問をする。


「……そう言えば、何で今更そんな事を

聞いて来たんだ?…

別に有っても困る事は無いと思うが?…」


「え?…あぁ…いや…

ただこのゲームで物を食べたりして

ログアウトするじゃん?…」


「うん…」


現実(リアル)の方に戻って来ると物凄い勢いで

腹が減るんだよな……ほら?…このゲームに出て来る

食べ物って全部美味しそうに見えて食ったら美味くて…

でも実際に食べてる訳じゃ無いから腹に溜まんない

訳だし…ある意味飯テロなんだよなぁ~…って?」



モツの質問にマサツグが若干戸惑いながらも答え始めるとゲームでの食事と現実(リアル)での食事の違いについて話始め、その違和感にマサツグがある種の飯テロでは?…とモツに疑問を投げ掛けると、それを聞いたモツは何となく納得したのか「あぁ~!」と言った表情で頷いて見せては、ある話をし始める。


「あぁ、なるほど……まぁ、実際マサツグみたいな

違和感を覚える人は結構居るみたいだしな?…

現にゲーム内で食べた料理が忘れられなくて現実(リアル)

再現しようと奮闘する人とかも居るみたいだし…

マサツグみたいにお腹が空いて思いっきり食べたり

したら体重がダンベル一個分増えたとか…

嘆き悲しんでそのまま食べ続けてスパイラルとかも

有るらしいしなぁ………まぁそこはあれだ!…

各々の自己管理で!…って運営は一応注意勧告してる

みたいだぞ?…」


「運営まで動き出す始末なのか?…」


マサツグの他にも空腹感で色々有るのか他の冒険者(プレイヤー)達の話をモツが話し始め、その内容と運営が動き出して居る事を聞かされたマサツグが少し驚いて居たが、食事を終えて食器を重ねてまとめる。そしてマサツグがモツ同様食後のコーヒーを飲んだ所で森に挑む為の準備をしようと道具屋へ行く事を考え、宿屋を後にすると後ろから女将さんと娘さんに声を掛けられる。


__ガランガラァ~ン!…


「あっ!…行ってらっしゃいませ~!」


「いってらっしゃ~い!!!」


{…将来娘を持つならあんな可愛らしい子が良いな!……

…思った所で相手は居ねぇけど……}


女将さんと娘さんに手を振られながら宿屋を後にし道具屋へ向かう際、マサツグが心の中で宿屋の娘さんを見て子供を持った時の妄想をし、自虐に走って居たが直ぐに道具屋に辿り着く。距離にして宿屋から数十mでいかにも農村らしい木製の建物、他のお店に比べて儲かっているのか若干建物が大きく、店の玄関口の上にはこれ見よがしに大きな看板が立て掛けられてある。そんな道具屋にモツが中に入ろうと扉に手を掛けるのだが…


「直ぐそこだな…んじゃま…チャッチャと必要な物を…」


「…ッ!?…モツ!!!」


__ガッ!!!…


「ッ!?…ううぇえ!?…な、何!?如何した!?…」


「………。」


モツが直ぐ見つかった事に喜んで中に入ろうとした瞬間!…マサツグが突如ハッ!と思い付いた表情を見せてはモツの肩を掴むなり慌てた様子で入店に待った!!を掛ける。勿論突如待ったを掛けられた事にモツが驚き、マサツグの方に振り返り何が有ったのかを尋ねるのだが、マサツグはただ店の看板を見上げては何かを確認するよう凝視し、ふぅ…と一息吐いて見せると何事も無かったかの様にモツに大丈夫と答える。


「ふぅ…悪い!…何でもないわ!!」


「えぇ!?…」


「じゃ、さっさと必要な物を買い揃経ようぜ」


「あ、おい!…待てよ!!」


突然慌てた様子から一転…マサツグが何事も無かった様に笑顔で答えてはモツが困惑し、マサツグがそんなモツを放置して道具屋の中へと入って行くと、モツが慌ててマサツグの後を追い掛ける様に道具屋の中へ入って行く。扉を開けて中に入る際、ドアベルが鳴り響いてはその音に反応し厳つい感じの店主がマサツグ達の方を見るのだが、機嫌が悪いのか何なのか…面倒臭そうな表情を見せてはマサツグ達に挨拶をする。


「……チッ!!…いらっしゃい…」


「ッ!?…何だコイツ!?…態度悪いな!!…

ヤブ!…今からでもここを出て!…」


__スッ……コッ…コッ…コッ…コッ…


「え?…ヤブ?…」


舌打ちをしてマサツグ達をジロリと睨み、明らかに歓迎していない声のトーンで挨拶をする店主にモツがカチンと苛立ちを覚えると、マサツグに別の店に行こうと持ち掛けようとするのだが…マサツグは寧ろその反応を見てニヤッと笑って見せると逆にその態度の悪い店主の方へと近づき始め、そのマサツグの行動にモツが戸惑った反応で声を掛け始めるのだがマサツグは止める所か寧ろグイグイ前に出て行く。


__コッ…コッ…コッ…コッ…


「ッ!…あぁん?…」


__コッ…コッ……クルッ!…


「…モツ~!今から面白いモン見せてやるよ!…」


その様子は勿論その態度の悪い店主の目にも止まり、明らかに敵対視した目でマサツグを見詰めるのだが、マサツグは一度だけモツの方に振り返りニッコリ笑って見せると一言呟く。その一言にモツが戸惑い、店主もヘッ!…と鼻で笑い馬鹿にした態度を見せてそっぽを向き始めるのだが、マサツグがポケットからある()()()()()()を取り出すと店主に見えるよう突き出しこう告げる。


「おっさん!!…このカードって…使える?…」


「ッ!!…テメェ!!今何と!?…ッ!?!?!?…」


「……え?…」


マサツグが道具屋の店主を挑発するよう声を掛け、その言い方に怒った様子で反応し店主がマサツグの方を振り向いた瞬間一気に青ざめ急変する!店主はマサツグが突き出している金色のカードを見詰めてプルプルと震え出し、その先程まで態度が嘘の様に縮こまり始めては無言で揉み手をし始め、無理やり笑顔を作って見せる。その態度が急変した道具屋の店主にモツもただ困惑した様子で見詰め、マサツグの方へと歩き出し始めると店主は確認するようマサツグに声を掛ける。


「え…えぇ~っと……そのカードを何方で?…」


「え?…」


「勿論…()()()()()と仲良くさせて頂いて!!…

マルコさん自身から!!!…頂いたものですが?…」


「た!…大変申し訳ございませんでした!!!!」


恐る恐る確認するよう店主がマサツグに声を掛ける際、何処でそのカードを手に入れたかについて尋ねると、モツが困惑し、マサツグの方を見た。マサツグは物凄く悪い表情を見せてはマルコから貰ったと異様なまでに強調し答える。そしてそれが決め手となったのか更に店主が青ざめると、マサツグとモツに対して先ほどの態度を謝る様に頭を下げ始め、その光景にマサツグは先程のお返しとばかりに見下した目をすると、言葉を掛け始める。


「いやぁ…

先程の態度は如何なもんでしょうかねぇ~?…」


__チラッ…


マサツグも先程の店主の態度に苛立ちを覚えているのか…まるで嫌味な上司を演じる様にネチネチとした口調で店主に話し掛けると徐に商品棚の方をチラッとだけ確認し、商品が無い事を確認すると店主の方に振り向き直る。そしてその事を告げる様に店主に話し掛けると同時に更に圧を掛け始める。店主の身なりにも気が付いたのかマサツグが悪い笑みを浮かべると、モツが無言でマサツグの様子を見続ける。


「商品棚にも穴が開いている様ですし?…

…商品が補充されている形跡がない…

それなのにこの店の規模とアンタの身なりは

しっかりして居ると来たもんだぁ~…」


__ビクッ!!!……ポン……ッ!……


「……とにかく…今すぐ補充して貰えますよね?…」


「ッ!?!?!?!?…は、はいぃ~~~!!

ただいま!!!…

…今すぐ補充と()()()()()()()()

少々お待ちを~~~!!!!…」


マサツグは店主の何かに気が付いた様子で話し掛け、その問い掛け一つ一つに圧を掛けると店主がビク付き恐れ始める。まるで本店から視察が来た事に怯える店主の様に見え、モツが先ほどの店主の態度を忘れる位に同情すると無言でマサツグの肩に手を置き、その事に気が付いたマサツグがこれ以上の追及は良いか…とスッと憑き物が取れた様子で店主に補充をお願いすると、店主は慌てた様子で飛び出し慌しく商品を補充し始める。その際商品棚の下の方を弄るよう何かに手を掛け、ガチャっと何かの仕掛けが動いた音が聞こえて来ると、道具屋の壁が突如回転しては更に商品棚が追加される。


__……ガチャン!!…ゴゴゴゴゴ……ガタァン!!…


「ッ!?…えぇ!?…」


「ぜぇ!…ぜぇ!…お、お待たせ致しました!!!…

どうぞごゆっくり!!…ぜぇ!…ぜぇ!…」


「……マ…マサツグさん?…

貴方一体何をしたのですか?…

あのカードは一体?…」


忍者屋敷の様な仕掛けにモツが驚き商品棚を見詰めて居ると、その棚にも商品が補充されて行き…遂に先ほどまで空き撒くっていた穴が全て塞がると、店主が息を切らしながらマサツグ達に買い物を勧め始める。たった一枚のカードでここまでの変わり様にモツが驚き、マサツグにカードの説明を求めるとマサツグは悪い顔をしてただこう答えるだけであった。


「いえいえ…

…私はただこのお店の手伝いをしただけですよ?…

お世話になった人が迷惑を被らない様に…ね?…」


「…すっごい極悪人面で言われてもなぁ~……」


モツにゴールドカードを見せてマルコの為とマサツグは言い、そのカードと言葉を見て聞いてモツが説得力無いとマサツグにツッコミを入れると、マサツグが悪い笑みを浮かべる。あくまでも間違った使い方はしていないと言った様子でマサツグがゴールドカードを仕舞うと、改めてそのラインナップが変わった商品棚の方へと歩き出し、商品を物色し始めるのであった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ