-第一章二十九節 親友と真っ赤なクエストボードと冒険者ランク-
何処の誰かも知らない一家を襲っていた信者達はギルド職員と冒険者達の手により連行されて行き、捕まっていた家族達もマサツグに一礼しては保護され治療を受ける為に恐らくはハリットの診療所へと歩いて行き始める。その様子にマサツグ達も武器を鞘に仕舞ってホッと一息吐き、漸く落ち着いた所で積もった話が有ると言った様子で、久しぶりの親友との再会に花を咲かせて話し合い始める。
「……ふぃ~…
まぁ、いつかは再会するだろうとは思って居たけど…
まさかこんな形で再開するとはな?…なぁモツ?…」
「本当にな!…で、ヤブや何時から?…
見た感じ…そこそこやっている様に見えるが?…」
「え?…えぇ~っとだな……多分…
まだ初めて一週間経つか経たないか程度だけど……」
「ッ!?…一週間でその状態かよ!…
…まぁ、言われて見ればレベルの割に
装備はまだトライアルだし……」
二人がまさかの再会を喜び、いつからゲームを始めたのかをモツがマサツグのレベルを見て興味本位で質問すると、マサツグが若干戸惑った様子で記憶を辿ってはうろ覚えの様子でモツの質問に答える。そしてその質問を聞いたモツが驚いた反応を見せてはマサツグの装備を改めて見直し、一体如何やってそのレベルまで持って行ったんだ?と困惑の表情を見せてはマサツグをマジマジと見詰める。その視線にマサツグがえ?…と困惑するもモツがここに居ると言う事はと一人考えると、モツにある事を質問し始める。
「………そう言えば本ちゃんがここに居るって事は
他の奴らは!?
俺らと一緒でこのゲームやってんだろ!?…」
「え?…あ…あぁ…やってるけど…
ただ今は会えないかな?…別の大陸に居るらしい。
何か手が放せないイベントが起きてそっちに
付きっ切りだってよ?…
まぁ…メールの内容を見る限りは元気してると思う。
後、本ちゃんは止めろて!…」
「そうなのかぁ~…」
マサツグが一人モツがここに居ると言う事は他の奴らも居るのでは!?…と親友の話しをモツに嬉々として詰め寄り尋ねるのだが、モツはその突然の詰め寄りに戸惑って見せては質問に対して冷静な態度で居ないと首を左右に振り答える。しかしその他の親友達もこのゲームをやっているのかモツとはそこそこ連絡しているのか、メッセージボックスを開いてはその内容をマサツグに見せ、元気にして居るとモツがメッセージから読み解き感じたその事をマサツグに伝えると、マサツグは残念そうにしながらも納得する。そうしてマサツグ達が話して居ると信者達の騒動も落ち着きを取り戻し始めたのか、現場の指揮をしていたギルド職員がこちらに向かって歩いて来てはマサツグ達に話し掛け始める。
__コッ…コッ…コッ…コッ…
「先程はどうもです!マサツグさん!…
戻って来たんですね!
モツさんも気が付いてくれて良かったです!…
……妖精の国の方ははもう大丈夫なのですか?…」
「クラリス!……二日ぶり?…三日ぶり?…
とにかく何とか解決はしたと思うよ!…
森ン中が瘴気だらけで色々キツかったけど…
それよりこの惨状は?…俺がいない間に何が?…」
現場の指揮をしていたのは如何やらクラリスで、最初のマサツグとモツの突貫を使ってタイミングを見計らい、先ほどの様に奇襲を掛けては一斉制圧をして見せる指揮を執ったり、リーダー格に斬り掛かろうとしていたモツに鏡で光を反射させ気付かせる等…色々やっていたらしい。そんな彼女はマサツグが戻って来た事に笑みを浮かべて挨拶をし、モツにも感謝した様子で話し掛けては早速とばかりに妖精の国についての話をマサツグに尋ねる。そしてその問い掛けにマサツグが振り返りクラリスの存在に気が付くと、簡単に大丈夫と笑顔で答えて瘴気の話を持ち出し、普通じゃなかった事を伝えると続いて今の町の惨状についてクラリスに質問をする。その質問を受けたクラリスは悩んだ表情を見せてはマサツグに話し始めるのだが、その内容は突然の事であった。
「…この町を中心に活動していた宗教団体が
突如勢力を付けてこの町や村…贄を集めるって
理由で王国を相手に宣戦布告をして次々に人々を
襲い始めたのです!…それも……
マサツグさん達が迷いの森に向かってすぐの時に!…」
「え!?…」
クラリスから聞かされた突然のカルト教団の武力蜂起に声明…そして王国を相手に喧嘩を売った事にマサツグが驚いて居ると、モツは知って居るとばかりに腕を組んでは呆れた様子で溜息を吐き、更にクラリスがその暴動があったのはマサツグがカチュアと一緒に迷いの森に出掛けてからだと話すと、マサツグは困惑する。まるで自分がいない時を狙ってこの騒動は起きたのではと考えさせられる内容にマサツグが戸惑い言葉を漏らして居ると、更にクラリスは話しを続ける。
「この町に入って来た時警備の兵士達が居ない事には
気付きましたか?…」
「え?…あ、あぁ…静かだし…この騒ぎだし…
何してんだとは思ったけど…」
「…その警備兵全員が現在…
行方不明となっています…」
「えぇ!?…」
クラリスがクランベルズの警備兵の話をし始めてはマサツグが戸惑いを覚えながらも返事をし、その返事を聞きクラリスが暗い表情で俯き出すと警備兵全員が行方不明と原因不明と言った様子で戸惑いを口にし、マサツグはその答えを聞いて更に戸惑いを覚える。その警備兵が居なければ町を守る者は他に居ないので実質やりたい放題…その結果がさっきの光景かとマサツグが一人戸惑った様子で反応してはクラリスに視線を向けて居ると納得して居ると、更にクラリスは説明を続ける。
「…さすがに私も実際の現場を見たのは
今のが初めてですけど……酷過ぎる!!…
これが他の町や村で行われていると思うと
許せない!!……既に幾つかの農村は
あのカルト教団に占拠されていると聞いていますし…
王様もその報告を受けて討伐隊を編成!…
そしてギルドにもその協力の申し出があって
ギルドマスターが動き始めて!…
そして今日占拠寸前のクランベルズから解放を!…
って、カルト教団の追放作戦を決行したのです!!」
クラリスも先ほどのカルト教団の蛮行を初めて見たと言っては酷いと悲しい顔で俯き、右手で握り拳を作って自身の胸にギュッと押し当てると悲観する。そしてカルト教団の手よって既に幾つかの村が落ちた等の情報も口にし、悲しい表情のままマサツグ達に説明をするのだが、やられっぱなしではないとあの温和な王様が動き出した事を口にする。そして悲しい事ばかりじゃないとクラリスが顔を上げてギルドも動き出した事をマサツグに伝えると、やる気が満ちた表情をマサツグ達に見せて今回の反抗作戦を敢行したと話し出し、その話を聞いてマサツグが納得した様子で頷いてはマサツグが自分を指差しこう話す。
「…なるほど…
…で、俺がその作戦中に運悪く帰って来てしまったと…」
「はい…ですので現在ギルドではこのカルト教団の
撃退任務がほとんどとなっています!……ッ!…
そうだとにかく今はギルドに戻りませんか?…
妖精の国のお話も気になりますし…
それにこの他の事も色々お話した方が良い事も
有りますし…」
「…それもそうだな…
…マサツグ、ギルドに戻ろうぜ?…」
マサツグは自分に運が無いと言った様子で苦笑いしてはクラリスに確認を取ると、クラリスは戸惑いながらも返事をし、今ギルドに上がっているクエストについて軽く説明をし始める。相手はカルト教団で人を襲う!…それでも相手は人間!…と辛い表情を浮かべるのだが、クラリスがハッ!と思い付いた表情を見せてはマサツグ達にギルドへ戻るよう声を掛け、そのクラリスの提案にモツが賛同するとマサツグに勧めるよう声を掛ける。マサツグもその案に賛同して頷き、三人揃ってギルドに戻り始めようとした時、突如後ろから何者かに声を掛けられる。
「あ…あの!!…」
「え?…」
「あの!…
…先程は助けて頂き、ありがとう御座いました!!」
「ううぇッ!?…」
声を掛けられたマサツグ達が振り返ると、そこには先程保護された筈の娘さんが泣いた後のボロボロの顔で若干警戒した様子を見せながらもマサツグ達に頭を下げてお礼を言い始め、その姿にマサツグが戸惑って居ると頭を下げる娘さんの遥か後方では同じ様に奥さんがマサツグ達に頭を下げていた。傍らには武装したギルド職員が立っており、辺りを一応警戒した様子で見回しては二人の気が済むのを待っていた。そんな二人の様子にマサツグが戸惑って見せるも、直ぐに立ち直ってはアイテムポーチから回復薬を幾つか取り出すと、娘さんに手渡す。
__……ッ!……ジィィ~~…ガチャガチャ…
「……よし!…娘さん?…これを君のお父さんに…」
「え?……ッ!?…え!?でも!!…」
「良いから!!…
あんまり使う事無いからカバンの肥やしになるし…
何より使わないでないないして置くよりは
必要としている人にあげた方が有意義だから!!…
遠慮なく持って行きな!!」
マサツグが娘さんに回復薬をまとめて手渡すよう声を掛けると娘さんは戸惑いながらも頭を上げ、差し出された回復薬に驚いた反応を見せては受け取れないと首と手を左右に振って見せる。しかしマサツグが笑顔で持って行きなさいと若干無理やり気味に娘さんに回復薬を手渡すと、娘さんは目を見開き戸惑った反応を見せながらも回復薬を受け取り、最期笑顔でマサツグにお礼を言って母親の元へと回復薬を落とさないよう走って戻って行く。
「ッ!!!…あ!…ありがとう御座います!!!!…」
__タッタッタッタッタッ…
「…これであのお父さんもちったぁ
マシになるかな?……」
__……ッ!?…ペコッ!…ペコッ!…
「…まぁ、この町には腕の良い医者が
居るみたいだけど?…」
走って行く娘さんを見てマサツグが心配の言葉を口にして見送り、そして母親も自分の娘が助けて貰った冒険者から更に回復薬を貰って帰って来た事に驚いては、マサツグの方を振り向き見詰めて何度もお辞儀をする。その様子にマサツグが手を振って大丈夫と言った様子で返事を送り、その様子に娘さんと母親がマサツグに感謝した様子で何度も頭を下げ、徐々に後ろへ振り向き直し父親が連れて行かれた診療所へと歩き出して行くと、ギルドの護衛が辺りを警戒した様子で一緒に付いて行く。そして光景をマサツグが見届けた後、マサツグがハリットの事を口にし、改めてギルドに向かい歩き出そうとするとモツが何故かフフっと笑い出す。
「……ふふふ!…」
「……ん?…何だよ?どったってんだ?…」
「いや…別に?…」
「フフフ!…」
「ッ!…えぇ?…」
モツが笑った事にマサツグが振り返り如何したと尋ねるのだが、モツは笑いながら何でもないと答え、その二人のやり取りにクラリスも釣られて笑い出すとマサツグが困惑する。特段変わった事はして居ないのに…なんて事をマサツグが考えつつ三人はギルドに向かい歩き出し、何事も無くギルドに辿り着き扉を開けて中に入るとまず目に付いた光景は、緊急クエストで大忙しなのかいつもなら賑わっている筈のギルド内が人の居ない様子で静まり返った光景であり、更に緊急クエストの赤紙が使われ大々的に張り出された見出しのクエストボードであった。
__ガチャ!!ギイィィィ~…
「…はあぁ~!!…やっと帰って来れたっと!!…で?…
あの真っ赤っかなクエストボードは何?…」
「アレがそのカルト教団物のクエストで埋め尽くされた
クエストボード!…数は確か……大体九つ位か?…
それでもクリアしてもまた張られてあるから
ほぼ周回だな?…」
「へぇ~…どれどれ…」
マサツグが溜息を吐いてはクエストボードに気が付き、そのクエストボードの在り様についてモツかクラリスに尋ねるよう声を掛けるとモツが答え始める。しかしその説明も余程辛いのかクエストの数にクリアしてもまた出て来る緊急カルトで周回プレイととにかく疲れた様子で話しては椅子に座り、それを聞いたマサツグが少し興味を持った様子でその緊急カルトクエストの内容を確認すると、そしてそこに書いて有った内容はクラリスやモツが言っていた通りカルト教団に関するクエストばかりでどれも追放・殲滅・捕縛…そして防衛と採取系の穏やかなクエスト類は見当たらない。そんなクエストに違いが有るとするならせいぜいクエスト目的地が各町や村である事で、そのクエストの最大の特徴は参加人数が30~50ともはや大型集団クエストレベルである事であった。
「…ッ!?…何だこれ!?…
最低必要人数、30人って!……
大規模にも程があるぞ!…
これじゃあまるでギルド対抗戦みたいな
もんじゃねぇか!?…」
「…で、俺も興味本位でこの町の開放クエスト
受けたけどそのカルト教団…
如何やら一枚岩じゃないのは確かだな…
信仰している奴とそうでない奴があるみたいだった…
ただ誘われたからって軽い感じの奴も居れば…
脅迫されてって言った感じの奴もいた…
中でも印象的だったのが狂信者って奴かな?…
完全に常軌を逸してひたすらに念仏みたいなのを
唱える奴もいれば武器を持って襲い掛かる奴も居た…
本当にイベントとは思えない位にやけにリアルだし
気が滅入りそうになったぞ?…」
マサツグがそのクエスト内容に驚き、張ってあるクエスト一つ一つを確認し直すもやはり参加人数は最低30人から…その一つの村を開放するのに30人の冒険者が要ると言う事は、相手の信者は一体どの位の大規模何だと考えさせられていると、実際にクランベルズの解放作戦に参加していたモツがその信者達の様子について語り出し始める。モツ自身実際に目にした様子でカルト教団は纏まりが無いと話し、マサツグが路地裏で盗み聞きした信者達の話と大体似ている事を話しては異常なまでの信仰心を示す信者もいた事を口にし、それらを相手するのが辛いと言った様子でモツが話すとだらける様に椅子へもたれ掛かる。そうしてマサツグがそのモツの様子からも分かる位に面倒臭さを感じて居ると、クラリスがマサツグとモツにコーヒーの入ったカップを持って来ては差し出す。
__スッ……カチャッ…
「コーヒーですけどどうぞ?…モツさんも…
…ふぅ……とにかくお疲れさまでした…
マサツグさんは迷いの森から帰って来てからの
この騒ぎで…モツさんは信者達の捕縛に貢献…
おかげで色々助かりました!…
後の残党狩りは他のギルド職員と冒険者さん達に
任せて大丈夫だと思いますし…モツさんも必要討伐数…
じゃなくて捕縛数は達成していますし…
後はクエスト完了の報告を…
って、目の前で見ていましたので
私が処理して置きますね?」
「ははは…助かります!…」
マサツグがクラリスからコーヒーを受け取り、モツの前にコーヒーが置かれるとクラリスが労いの言葉を掛ける。マサツグが約3日間の妖精達のヘルプに入って帰還し巻き込まれ、モツは信者達の捕縛で疲労状態となっているもののギルドは助かったとクラリスがお礼を言うと後の事は自分達でやると胸に手を当て軽く頭を下げる。そしてモツは先程の捕縛劇で目標数を達成したのかその処理をするとクラリスが言い間違えながらもモツに確認を取ると、モツは苦笑いをしながらクラリスに一礼をしてお礼を言い、マサツグがコーヒーを啜り報告の言葉で思い出したのかハッ!とした表情を見せては、クラリスに妖精の国での事を報告しようとする。
「…報告……ッ!…そうだ!!報告!!…
クラリス!!…」
「ッ!…あっ!…そう言えば私も!!…
マサツグさん!!ちょっと良いですか!?…」
「はいよ!?…じゃなくて報告!!…」
「その報告の件なんですけどこちらに!…
この水晶の前に立って貰っても良いですか?」
マサツグがクラリスを呼んで報告をしようとするのだが、クラリスも思い出した様子で突如受付カウンターの方に移動してはマサツグを呼び寄せ、そのクラリスの呼び掛けにマサツグが反射的に返事をしては受付カウンターの方へと移動し、付いて来た事に違うとツッコミを入れては妖精の国での報告しようとする。しかしクラリスはその報告を聞く為、更にマサツグをカウンターの前に設置されてある水晶玉の方へと案内すると、マサツグにある質問をし始める。
「…確かマサツグさんはクエストの報告方法についての
説明はまだでしたよね?」
「へ?…え?…報告って…
依頼人にOKを貰って終わりじゃないの?」
「あぁ…確かにそれでもOK何ですけど…
出来ればそれとは違ってギルドの方でも
報告をして貰いたいのです…
本当は依頼者がギルドへ依頼完了の通知を
出して貰うのが決まりなんですが、
それが出来ない状態や忘れてしまう人が居ますので…
その為にギルドでも依頼完了の通知を出せる様にと!…
この水晶玉が設置されたのです!…」
「…ほう……」
クラリスがマサツグへクエスト完了の報告について説明がまだだったかの確認をすると、マサツグが戸惑った様子で今までやって来た方法での報告方法を口にし、その方法を聞いたクラリスが苦笑いすると詳しい報告方法の説明をし始める。それは依頼主がギルドに対してクエスト完了の通知を出して居なければ、ギルドの方が把握出来ず困惑する為と言う話で今から使う水晶玉の前座の説明でもあり、マサツグが戸惑った様子で水晶玉を見詰め返事をして居ると、クラリスは続けて水晶玉の詳しい説明をし始める。
「この水晶は使用者の記憶を覗いてその記憶を
録画する事が出来るのです!これがギルド側での
クエストを達成したと言う確実な報告書になり、
もし依頼主が異論を言って来たとしても!…
こちらの記憶が証拠となって今後の対処が
スムーズに出来る様になっているのです!
更に報告して貰わないと冒険者ランクの変動にも
関わります!」
「へ?…冒険者ランク?…」
__……ズズゥ~~ン……ッ!?…ぶふぉ!!…
「はい…冒険者ランクです…」
クラリスから水晶玉の説明を受けた所でマサツグが納得した様子で頷いて居ると、ゲームをやっている人間なら一度は聞いた事の有る気になる言葉が出て来る。「冒険者ランク」…言わずもがな恐らくはこのゲームにおける唯一のランク表記で、このゲームでは勝手に上がる物ではなく自己申告制のものらしくその言葉を改めて聞いたマサツグが思わず戸惑った様子で聞き返すと、クラリスは突如落ち込んだ表情を見せては暗い苦笑いして項垂れ、その様子にマサツグが驚き戸惑って居るとモツが噴出し腹を抱えて笑いを堪えてる。そのマサツグの驚きようはまるで漫画に出て来そうな仰け反り様で、その様子を見てモツが笑って居るとクラリスがマサツグへ冒険者ランクについての説明をし始める。
「冒険者ランクはギルドでの信用値のようなものです…
別に上げなくても有る程度問題は無いですが…
やはり高ランクの依頼となるとその冒険者ランクが
高いかどうかで受ける…受けれないの判断が決まります…
その判断材料は依頼者達からの口コミだったり
武勇伝だったり…その他にもモンスターの討伐…
マスターミッション…そしてこの記憶水晶などからも
考慮されるのです…ですからギルドの方でも
クエスト達成の記憶水晶を作って頂きたいのですが…
最近しない人が多いんですよねぇ…そのせいで
いざこざが起きた時とっても面倒なんですよねぇ…
何方からも連絡が無ければ私達が現地に行って
実際にちゃんと達成されたか如何かを確かめないと
いけないですし…達成されて居なかったらいなかったで
冒険者の安否を確かめないといけませんし…
…そのせいでこの前も!!…」
__どよどよ…どよどよ…
「わああぁぁぁ!!…分かった!分かったから!!…
とりあえず使い方を教えてくれ!!…」
「ッ!!!…あっ!…す…すいません!!…つい!!…」
マサツグに冒険者ランクについての説明をするのだが…そのクラリスの口調は重く暗く、何か嫌な事でも有ったのかと言わんばかりの暗い表情を浮かべてはその水晶玉を活用していない事に愚痴を零し、自分達ギルド職員の苦労話を話し始める。鬱々とした雰囲気でクラリスがマサツグに愚痴り始め、その様子にマサツグが戸惑いを隠せない様子で驚いては慌ててクラリスに水晶玉の使い方を聞き始める。そのマサツグの問い掛けにクラリスもハッ!とした様子で気を取り直してはマサツグに謝罪し、咳払いを一つ吐くと使い方を説明する。
「んん!!…では気を取り直して…
…水晶玉の使い方はとっても簡単です!
その水晶玉に手を乗せるだけ!…以上です!!」
「……え?…」
__ファンッ!……
「以上です!…後はその水晶玉の台に妙な六角形の穴が
開いて居ると思いますが、そこから使用者の記憶が
封入された記憶水晶が出てきます!」
マサツグがクラリスの説明を聞きながら水晶玉に右手を置くとクラリスはそれだけと言って笑顔で説明を終え、マサツグが時間差で戸惑いの声を漏らして居ると水晶玉が光り出し始める。まるでマサツグが見て来た物を読み取る様に水晶玉の色がコロコロと変わって輝き、クラリスが補足説明に記憶水晶が出て来る穴を指差しながら説明して居ると、その六角形の穴からマサツグの記憶が封入されたであろう六角柱の先の尖った水晶が出て来ては下の受け皿に軽い音を立てて排出される。
__カランッ……
「はい!…これで完了です!
お疲れ様でした!!」
「……え?…」
何の痛みも違和感も感じる事無く独りでに水晶が光り始めたと思えばマサツグの記憶が封入された水晶柱が排出口から放出されて出来上がり、クラリスがその出来立ての水晶柱を受け皿から手に取って笑顔で終わったと告げると、マサツグはほんの数分の出来事に目をパチパチと何回か瞬きして驚き戸惑ってはクラリスにもう一度質問をする。その際放出されたマサツグの記憶の水晶柱はコロコロと先程の水晶玉同様に色を変え、まるでマサツグが見て来た映像にモザイクが掛かった様に水晶の表面に映る。
「……へ?…本当にこれだけ?…」
「はい!!…本当にこれで完了です!…
その今出て来た水晶柱にマサツグさんの
記憶が封入されているのですが…」
__ズズウウゥゥン……
「…如何言う訳かやってくれないんですよねぇ……
…これまでにもお願いして居るのに……」
「だあああぁぁぁぁ!!!…
わかった!!分かったから暗くならないでくれ!?…」
余りにも簡単で何が起きたのか分かっていないマサツグの問い掛けにクラリスは本当に終わりと言ってはマサツグの記憶が封入された水晶柱を見詰め、また先程みたくズドオォン…と暗い表情を見せるとまた闇落ちした様子で愚痴を零し始める。その様子にマサツグが慌ててクラリスを落ち着かせようと、一人奮闘し始めるとその様子を後ろでモツがひたすらに自身のお腹を押さえては、噴出しながら笑いを堪えていた。
「ッ!!…ッ!!…ッ!!…」
「……さっきから笑ってるの分かってるからな?…
モツ…」
その後クラリスはマサツグの記憶水晶を自身の額に当て、記憶を確かめる様に目を閉じ集中し始めるのだが、余程興味があったのかマサツグの記憶を覗いては突如噴出したり驚いたり…笑みを浮かべてウットリしたりと表情の豊かさを見せ、それを見てマサツグが何となく水晶玉が使われない理由を感じては何となく落ち着かない。そうしてクラリスがマサツグの記憶を確かめている間マサツグが改めて緊急カルトクエストの一つを手に取り内容を確認するとある事が書かれてあった。
__カサッ………ッ!?…
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緊急:カルト教団殲滅作戦
依頼レベル ??
各町で誘拐をし始めたカルト教団の掃討作戦に参加の者は
準備を怠る無かれ!!各町にて暴挙を繰り返す者の中には
魔法を使う者・魔物を使う者も居ると確認されており、
心して掛からぬと痛い目に会うと思われよ!!尚、この
クエストは殲滅完了後自動的に防衛クエストに変わり、
その防衛の方に関しては追ってクエストの内容が伝えら
れるようになっている!
腕に自信のある者・やる気のある者は大歓迎!!
報酬:150000G ~ 450000G
(出来高次第で報酬アップ)
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「……出来高で報酬アップって…
まず殲滅作戦に出来高ってあるのか?…
それにこの文章の書き方…
まるでアルバイトの募集の様に見えるんだが?…
これだともはやタウン〇ークみたいに思えて来るぞ……」
「アットホームな職場で皆楽しくやってます!!…
とか?…」
「おい馬鹿やめろ!…
殲滅を楽しくとか狂気の沙汰だろ!?…
それにその文句は大抵ブラック企業の
公募文句だろうが!…」
クエストボードに張られてあるクエストを手にマジマジ見詰めてはマサツグが疑問を持った事にツッコミを入れ、そのマサツグの言葉にモツが冗談交じりで恍けた一言を付け添えるとマサツグがすかさずツッコミを入れる。本当ならモツがツッコミ役でマサツグがボケ役みたいなものなのだが、それでもそんな風に会話をして居るとカウンターの奥ではクラリスが右手に水晶、左手にペンとマサツグの記憶からクエストの詳細…報告書を作成してはふぅ…と一息吐き、水晶を置いてマサツグ達の方に歩いて来ると、ハッと気が付いた様子である事を話し始めるのであった。




