-第一章二節 オオトカゲと致命の一撃とトカゲの素材-
先ほどまでのウサギとの戦闘が生きているのかマサツグが簡単にオオトカゲの突進を回避し、オオトカゲの足目掛けて思いっきり剣を振り抜く!回避の行動を最小限に抑え、突進して来るオオトカゲの足が下りて来て丁度狙えるタイミングも完璧に合わせ、マサツグが倒せはしなくてもダメージを与える事は出来た!と一矢報いた様子で笑みを浮かべ、そのまま剣を振り向こうとするのだが剣がオオトカゲの足に当たった瞬間マサツグの剣は弾かれ、その衝撃でバランスを崩すとそのまま後ろへとノックバックさせられる!
__フォン!!…ガキィィン!!…
「なっ!?…」
__ドッド!!…ドッド!!…ドッド!!…
「とっとっと!…ッ!!…ダァ!!…
硬ったぁ~!!……
今さっき鉄パイプを思いっきり岩に叩き付けた様な
痺れが来たけど……あの様子だとまともにダメージは
入って無さそうだよな?…」
攻撃が弾かれマサツグがバランスを崩すも必死に耐え、何とか倒れずに耐え切ってはトカゲの鱗の固さに驚いた様子で自分の手を見詰める。その際マサツグの手には攻撃した際の感覚がまだ残って居るのか小刻みに震え、微かに残る痺れに戸惑いながらも一応切った筈のオオトカゲへ視線をやると、オオトカゲはダメージを受けた様子を見せないまま戦闘エリア内を走り回っていた。そんな様子にマサツグが大したダメージは入って居ないと確認し、如何攻撃したものかと改めて考えさせられて居るとオオトカゲはまたマサツグに向かい突進して来る!
__ドッド!!…ドッド!!…ドッド!!…
「ッ!!…また走って来た!!…
とは言え何処を攻撃すれば!!…」
__ドッド!!…ドッド!!…ガパァ!!…
「ッ!…へ?…」
またもや突進して来たオオトカゲにマサツグが気付き、悩みながらも剣を構えてオオトカゲの様子を目にして居ると、オオトカゲは突如走りながら口を大きく開いてはやはり一直線にマサツグの方へと走って来る。その異様な光景にマサツグが戸惑った様子で構えながら見詰めて居ると、オオトカゲはマサツグ目掛けて大きく震脚しては飛び掛かり、まるで丸呑みにせんとばかりに口を開いたまま襲い掛かる!
__ドシン!!…ガパアアァァァ!!!…
「ッ!?…うわああぁぁぁぁぁ!!!!…」
__ンバッ!!…ズシャアアアアァァァァンン!!!…
「ちょ!!…飛ぶのかよ!?…」
口を開いたまま飛び掛かって来たオオトカゲにマサツグが驚き、慌てて横っ飛び回避でオオトカゲの攻撃範囲内から回避すると、オオトカゲはマサツグの居た場所を中心にまるで地震を起こしたかの様に着地する。オオトカゲが着地した後の様子をマサツグが慌てた様子で回避後のまま見詰めるのだが、まだ攻撃は終わってないとばかりにオオトカゲが次の行動を起こし始める!
__ブォン!!!…
「ッ!!…やっば!!…」
__ブォン!!!…ダシイィィン!!!…
「ッうわっぶな!?…」
オオトカゲは自分の右後方側面にマサツグが倒れて居る事に気が付いて尻尾を振り上げ、その様子からマサツグがオオトカゲの行動を読み取ると慌てて体を起こし、再度転がる様にして前に回避するとその直後にオオトカゲが振り上げた尻尾がマサツグの居た場所を激しく叩き付けた!今までに聞いた事の無い効果音が響くと同時にその尻尾を叩きつけた場所には極太の線の様な跡がクッキリと残る。そんな様子を見たマサツグが青ざめた様子で一言呟いて居ると、オオトカゲはマサツグの居る方向にゆっくり旋回しては前足を上げ始める!
__ズシン!…ズシン!…ズシン!…ズシン!…
…ゴゴゴゴゴ…
「ッ!!…まだ来るのかよ!!!…」
__ブォン!!!…ダアァァンン!!!…
「ッ!!!………だぁ!!…はぁ!…はぁ!…
さっきから好き勝手暴れやがって!!!…」
目の前にマサツグが居る事を見越してオオトカゲが前足を上げるとその様子にまたマサツグが察し、慌てて後ろにバックステップをすると次の瞬間その振り上げられた前足はマサツグの目の前で振り下ろされ、また奇妙なクレーターを作り上げる。その際軽く砂埃が舞い視界を一時的に奪うのだが、砂埃が徐々に晴れると先ほどから回避一択しかないマサツグが苛立ちを覚えた様子でぼやき始める。そしてここまで暴れに暴れ倒したオオトカゲの動きが漸く落ち着き、マサツグに再度チャンスが巡って来るが直ぐには攻撃せず、一度深呼吸をして冷静にオオトカゲの弱点を探し始める。
__グググッ!……ズシン!……ズシン!……
「ッ!…スゥ~…ハァ~……
チャンスなんだが落ち着け!…
さっきみたいに無暗に攻撃すれば弾かれるし!…
ただ我武者羅に戦っても疲れるだけで意味が無い!!…
他にまともにダメージが通りそうな所と言えば…
…やっぱ頭しか無いか…」
オオトカゲにダメージを与えるどころか怯ませる事すら出来て居ない事にマサツグが焦りつつも自身の心を落ち着かせ、オオトカゲの装甲が弱そうな場所を探すが目に付いたのはオオトカゲの頭部…それも頭全体では無く、頭頂部のトカゲ特有の軽い窪みが有る部分だけであった。そこだけはまるで刺して下さいと言わんばかりに凹んでおり、それを見たマサツグが弱点と認識するのだが長々と考えている時間は与えないとばかりにオオトカゲがマサツグに対して吠え始める。
__ズシン!……ズシン!……
ゴアアアァァァァァ!!!!…
「ッ!!……チッ!!…
頭を攻撃しようにも地味に高さが有るし、
近づくのも困難!!……さぁ~て?…
せめて怯ませでも出来たらまだワンチャン有る筈…
って、ん?…」
オオトカゲが吠えている様子にマサツグが更に焦りを感じる中、やっと見つけた弱点に如何やって辿り着くか?…如何すれば攻撃出来るのか?…とまた色々と問題が出て来ては苦虫を噛んだ様な表情で考え始める。せめて少しの間だけでも良いから足を止めさせる事が出来ればと他に弱点が無いか再度オオトカゲの姿に目をやり、ふとマサツグがオオトカゲの足回りに目を移すとそこで有るものを見つける。それは誰かにやられたであろう右後ろ足の傷跡で傷を負って居る部分だけには固い鱗は無く、先ほどまで暴れた居たせいか鮮血がダラダラと流れ出しては足元に軽い血溜りを作っていた。
__ダラダラダラダラ…
{ッ!?…あれってもしかして!?…
でも俺が攻撃したのって確か左前脚だから…
あの傷は俺が作った奴じゃない!!…
多分別の冒険者が抵抗した時に出来た物じゃ!!…
だとしてもこれはチャンスだ!!…
何とか反撃の糸口を見つけた!!!……よし!!…
一か八か!!…}
__…チャキッ!!……ダッ!!…
最初のマサツグの攻撃で出来たと言う訳では無さそうな傷跡にマサツグは戸惑うも、漸く見つけたチャンスを感じると次には体が動き出し、自然と剣を構えてはその負傷して居る右後脚に向かい走り出していた!危機的状況の中漸く見つけた逆転の可能性にマサツグは賭ける様に意気込み、その足を攻撃しようとするのだが勿論オオトカゲが素直に攻撃を受ける筈も無くまた動き出してはマサツグに向かい突進を始める!
__ゴアアアァァァァァ!!!!…
ドッド!!…ドッド!!…
「ッ!!…まだ走るのかよ!?…
よくその足で駆け回れるもんだな!!…」
__ゴアアアァァァァァ!!!!…
ドッド!!…ドッド!!…
「チッ!!…
こうも動き回られたんじゃ攻撃出来ないし!…
何よりコイツ自身も分かって居る様な感じで
右側を俺に見せない!!…かなり面倒だな!!…
無理に右側に入れば最悪跳ね飛ばされて
そのままお陀仏ってか!?…」
マサツグに向かい吠えてはオオトカゲがまた走り出し、それに気が付いたマサツグがもう慣れた様子で転がり回避してはオオトカゲの行動に目をやり、警戒を強める。負傷しているにも関わらずオオトカゲは今だ速度を落とす事無く走り続け、その様子にマサツグが驚いて居るとオオトカゲは更に吠えて見せてはマサツグの周りを駆け回る!まるでマサツグの狙いが分かったかの様に右後脚を見せないよう走り、マサツグに攻撃をさせない様子で居るとオオトカゲの様子にマサツグが苛立ちを覚えては少し無茶を考える。しかし最悪の事態を考えるとやはり無茶は出来ず、ただ目まぐるしく走り回るオオトカゲの行動を目にしては時間だけが過ぎて行く。
__ドッド!!…ドッド!!…ドッド!!…
「よっ!!…ほっ!!…はっ!!…」
__ドッド!!…ドッド!!…ドッド!!…
「まっ!!…だっ!!…
はっ!!…しっ!!…るっ!!…
のっ!!…かっ!!!…」
オオトカゲもただ走り回るだけでは無く他にも踏みつけ、噛み付きとやりたい放題とマサツグに攻撃を仕掛けるのだが、マサツグも慣れた様子でドッジロールをしては剣を構え直すを繰り返す。互いがそうして時間を稼ぎ合っていると徐々にTPが無くなって行き、幾ら最小限の動きで回避して居ても元が無くなれば困難になり、マサツグの息も上がり始める。ただオオトカゲが落ち着くのを待つ根気の勝負に回避しながら文句を言うのだが、その時は近づいて来ているのかトカゲの動きが鈍り始める。
__ドッド!!……ドッド!!……ドッド!!……
「ッ!!…ようやく…はぁ!…
疲労…はぁ!…これなら!!…」
__グググッ!…
「ッ!?…必死なのは!!…こっちも何だよ!!!」
トカゲの動きが鈍り始め、漸く近付いて攻撃が出来る様になるとマサツグは息を切らしながらも残り僅かのTPを消耗して負傷して居る足に向かい走り始め、それを見越してオオトカゲも前足を上げては向かって来るマサツグを踏みつけ様と待ち構える!しかしそれを見てもマサツグは退けないと感じてか決死の表情を見せて真っ直ぐに負傷した足に向かい、剣を手に突貫して行くとオオトカゲの踏みつけの間合いにマサツグが入る!オオトカゲもそれを確認した様子で足を振り下ろし、マサツグを仕留めようとする!
「何とぉ~~~~!!!…」
__…ッ!!…ブォン!!!…ダアァァンン!!!……
オオトカゲが前足を踏み下ろしマサツグを潰そうとすると、また強烈な衝撃音と振動が辺りを襲う。気が付けばマサツグとオオトカゲの戦闘エリアの周りにはマサツグと同じ様な駆け出しの冒険者が集まり、その先頭の凄まじさから興味本位で覗きに来た言った様子で戦闘の様子を見詰めていた。そしてマサツグがトカゲに踏みつぶされたと観戦客達が感じ、やはり無理だったんだと諦めて帰ろうとした瞬間、崩れた様子を見せたのはまさかのオオトカゲの方であった。
__……グラァ!……ズシィィン!!…
「ッ!?…」
「回避しないと思ったのかぁ~?…
するに決まってんだろ!!…」
__……シュタッ!…ダダダダダ!!!…
ダン!!!…
まさかオオトカゲの方が崩れると思って居なかった観客達が驚いた様子で見詰めて居ると、踏みつけを回避したであろうマサツグが突如オオトカゲの陰から飛んで現れ、オオトカゲの背に乗ると無防備となった頭の方へと走り出す!時間経過でまた復帰されては堪らないと言った少し慌てつつもやった!と言った様子で駆けては、オオトカゲの肩甲骨辺りで大きく踏み込み、再度飛んで見せると頭の窪み目掛けて剣を突き立てる構えで落下する!その一連の流れを見ていた観客達が何が有ったのかと考えさせられていると、遂に今まで初心者達を再起不能にしていたオオトカゲにちゃんとしたダメージが入る!
「オオオオオオオォォォォォォォ!!!!」
__ヒュウウゥゥ!…ザクゥゥンン!!…
…ッ!!!!…
「………。」
残りTPを全部使う気で飛んで見せ、まるで某三角形の伝説の魔王討伐シーンのようトカゲの頭に剣を突き立てて見せると、辺りが一瞬時が止まった様に感じては誰も何も言葉も物音も立てない様子でその光景を見詰め、聞こえるのは平原に吹く風の音だけであった。そして少ししてからマサツグがまだ駄目なのかと更に剣を突き立てようとした次の瞬間であった!
「……ッ!?…まだ駄目なのか!?…
だったらもういっちょ!…」
__…ゴアアアアアアアアアアアア!!!!!!…
「うっ!?……るさ!?
…って、あぁ!…あぁ!!…」
__ゴアアアアアアアアアアアア!!!!!!…
マサツグが一度剣を引き抜こうとした瞬間止まっていた時間が動き出したかの様に突如オオトカゲが動き出しては苦痛の悲鳴を上げる様に大声で泣き叫び始める!そのオオトカゲの叫びは大平原に轟く様に響き、ほぼゼロ距離にいたマサツグは咄嗟に両耳に手を当てるとオオトカゲは仰け反ってマサツグを振り落とす!勿論両手を剣から離して居る為マサツグは簡単に振り落とされると地面に落ち、その後オオトカゲはその場をのた打ち回る様に転がり、叫び倒す!その間辺りには轟音と言っても過言ではないオオトカゲの叫びが響き渡り、更にマサツグの剣はそのオオトカゲの頭に刺さったままと言う面倒な状態になる。もしこれで相手が反撃して来るとなると勿論マサツグに戦う手段は無く実質的な詰みとなる為、慌ててマサツグが起き上がるとのた打ち回るオオトカゲを戸惑った様子で見詰めて
祈り始める!
「おいおい!!…立つんじゃねぇぞ!?…
ここで立たれたら如何しようもねぇんだ!!…
頼むからそのまま!!…
そのままくたばってくれ!?…」
__ゴアアアアアアアアアアアア!!!!!!…
「良いからそのまま倒れろよ!?…これ以上まだ戦おうと…」
__ゴアアアアアア!!!…ググググ!!…
天に祈る様にマサツグがオオトカゲの苦しむ様を見詰めて倒れる様に祈り、その周りの観客達も緊張した様子でその様子を見詰めては息を呑み、その間オオトカゲは苦しみもがき、目から血の涙を流し始める。その様子は普通の者から見ては異常でしか無く、いっそ楽にさせてやりたくなるのだが起き上がった時の事を考えると中々乱入する気にはなれず、更に凄まじい勢いで暴れて居る為ただ近付くだけでも困難と言った様子をずっと見せ続ける。そして周りが固唾を飲んで見守りマサツグが必死に倒れる様に祈って居ると、オオトカゲは頭の苦痛に耐えながらも徐々に体を起こしてまだ戦おうと言う気を見せ始める!
「ッ!?……嘘…だろ!?…」
__どよどよ!…どよどよ!!…
__ググググ!!!…
ゴアアアアアアアアアアアア!!!!!!…
マサツグが驚き戸惑った様子でオオトカゲの様子を見詰めて居ると、オオトカゲは体を震わせながらも立ち上がろうとし、予想以上のオオトカゲのしぶとさにその場の全員が驚いた表情を見せて居るとオオトカゲは時間を掛けながらも立ち上がって見せる!目から血の涙を流し、その巨体を立たせては体はしっかりとマサツグを見下ろし、その様子にマサツグも酷く驚いた様子でただ立ち尽くしてはオオトカゲを見詰めて呆然とする。そして誰もがもう駄目だ…とマサツグの死を覚悟するのだが、オオトカゲはその場から動かずただマサツグを見下ろしては固まり、マサツグ自身も次の手を慌てた様子で考え始める。
{ま、不味い!!…不味い不味い不味い!!…
やっぱぺーぺーじゃ倒せないってか!?…
だとしてもこのままやられる気はサラサラ無い!!…
落ち着け!!…冷静になれ!!!…まだ…
まだ何か手が有る筈だ!!!…}
オオトカゲが立ち上がった事にマサツグは慌てながらも辺りを見渡し、状況確認をしては何か使えるのもは無いかと考え始める。マサツグが使っていた武器はトカゲの頭の上…周りの冒険者達はオオトカゲのしぶとさに驚いてばかりで一向に助ける気など無い…辺りには草木が程よく生えて居る位で何かに使えそうと言った様子も無い。それでもまだオオトカゲと戦う事を諦めていないマサツグがジッと緊迫した様子でいつでも動ける体勢を取り、オオトカゲを見詰めて居ると次の瞬間マサツグの目の前でオオトカゲがグラっと崩れ始める。
__……グラッ!!…
「ッ!……へ?…」
__ズズウゥゥゥンン!!!……
「え?……あれ?…」
立ち上がった筈のオオトカゲがグラっと前足を折って倒れ始めると、その様子にマサツグと観客達が驚きそのまま立ち尽くし、遂にはオオトカゲは絶命した様子で地面を滑り、その巨体は完全に崩れさる。マサツグの戦闘エリア一帯に重いモノが倒れる様なズシンと言った音が聞こえ、それと同時に地面が揺れて観客達が驚いて居るとマサツグがただ何が起きたのか分からないままオオトカゲの横たわる姿に目をやり続ける。先ほどまで立ち上がったオオトカゲを如何倒すかで悩んで居たにも関わらず、また倒れてはそのまま絶命…そんなオオトカゲにマサツグの中ではまだ整理し切れず、倒したと言う実感が出て来たのは目の前でオオトカゲが光となって消滅し始める直前に表示されたリザルト画面を目にしてからであった。
__ヴウン!!……(レベルアップの効果音)♪~
「………。」
「………。
……ッ!!…ッシャーーーーーーーーーーー!!
やってやったぜーーーーーー!!」
リザルト画面が開かれると同時にマサツグのレベルが上がる効果音が鳴り響き、そのリザルト画面に表示された#EXP__経験値__#を確認すると始めて間もない者が獲得出来る筈の無いEXPが獲得されていた。具体的に言うと某竜退治の大作RPGに出て来るドロドロの銀色スライム一匹分、ウサギの大連戦とオオトカゲを倒した事により素材も潤沢。オオトカゲが倒れた事に周りの冒険者が放心に近い状態でマサツグを見詰めては戦闘エリアは解除され、マサツグも呆然とした様子で立ち尽くし、光りとなって消えて行くオオトカゲの様子をただ見詰める。そして遂に倒したと言った感情がマサツグの中から溢れ出しては顕著に表情と態度に現れ、マサツグがやり遂げたと言った様子で両手を振り上げ喜び始めると、周りの観客達も歓声を上げてはマサツグに拍手を送り始める。
__ワアアアァァァァァァァ!!!…
「ッ!!シャアアアァァァ!!!…
ウッシャアアァァァ!!!
見たか見たかこの野郎!!!…
手間取らせやがって!!!…
もう二度と俺の前に出てくんじゃねぇぞ
この野郎!!!…」
__ピロリン♪…
「へぇ!…ん?…今のってショートメール?…
…誰からだ?…まだ始めたばっかで誰とも
アドレスを交換して居ない筈なんだが?…」
周りで歓声が上がる中一人大興奮でオオトカゲを討伐出来た事に喜び、オオトカゲの頭へ近づいては自分の剣を引き抜き、そのオオトカゲの死骸に文句を言い始める。…正確には文句を言うと言うよりはただ歓喜に満ち溢れ思いの丈を叫んでいる様でしかないのだが、それでもマサツグが一人感情を爆発させていると突如マサツグ宛にショートメールが届いてはマサツグを困惑させる。始めたばかりのマサツグはまだ誰ともアドレスを交換して居らず誰からもメールは来ない筈なのだが…とにかく届いた事に戸惑いながらもマサツグが操作画面を開いてショートメールを確認するとそのメールは運営からの物でマサツグがあのオオトカゲを倒した事についての称賛の文章が綴られていた。
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Congratulations!!
あなたは「スプリング大平原の主」…
「スプリングキングリザード」
討伐に成功されました。
その戦果を称えて春王蜥蜴の腕輪を送ります。
今後もアルバスクロニクルをよろしくお願いします。
PS.
もし受け取らずにこの手紙を削除してしまった場合
同時にプレゼントも消えてしまうのでご注意を!!
#受け取り#
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「……へぇ~…
そんなプレゼントとかも送られて来るんだ…」
__ピッ!!…ヴウン……PON!!
「おっ!…出て来た!」
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春王蜥蜴の腕輪
レア度C
DEF+50
[春王蜥蜴の持久力]
スキル・術技のTPを25%削減
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「おぉ!!
防御が上がる上にスキルカットまで付いている!!
…でもまだ何も覚えてないんだけどな…」
マサツグが運営からの称賛メールを確認し送られて来たプレゼントを受け取る為にメール一番下に有る「受け取る」と表示された文字に手を触れると、手紙から3Dホログラムで腕輪が表示されては実体化し始める。そしてコミカルな効果音と共に腕輪がマサツグの目の前に出現し、マサツグがその腕輪に手を伸ばすと腕輪はゆっくりマサツグの手の中に納まり、それを手にしたマサツグが早速能力を確認しては喜んだり落ち込んだりしながら装備する。腕輪は思いの他、細身の鱗模様のシンプルなデザインで動きの邪魔にならない様になっており、能力もそこそこ優秀と言う事からマサツグは直ぐに気に入り、そんな予想外の戦利品にホクホクしながらトカゲからドロップした素材を回収して居ると、突如何者かに後ろから高圧的な様子で声を掛けられる。
「おい、そこの貴様!」
「ッ!……きさまぁ~?…
もしかしてそれって俺の事か?…」
「他に誰が居る?…ここにはお前と…
そこで消えかかっているトカゲ位しかいないが?…」
「ッ!!……ご用件は?…」
女性?男性?どっちとも言えない高圧的な態度でマサツグがきさまと声を掛けられ、その言葉に若干の怒りを覚えながらも返事をして振り返るとそこには見事な鎧甲冑に身を包んだ金髪ロングヘアーで男にしては若干小顔のイケメン?を筆頭に、恐らくそのイケメン騎士の部下と思われる他数十名の騎士が従う様に後ろに立って居た。そしてマサツグの返事に対しそのイケメン騎士は一切態度を改める様子は無く、高圧的な態度のまま話し始めてはマサツグを呼んだと肯定し、その言葉にマサツグが苛立ちを覚えつつも用件を聞くとそのイケメン騎士はマサツグに質問をする。
「このオオトカゲを倒したのは貴様か。」
「……だとしたら何だ?…
まさかこれが天然記念物とでも言うのか?…」
「いや…そうは言わないが…
…ふむ…少しは腕は立つようだな?…」
「はぁ?…」
イケメン騎士がマサツグにオオトカゲを倒したかどうかについて尋ねると、マサツグはあからさまに機嫌の悪い表情を見せては返事をし、倒してはいけなかったのかと遠回しに尋ねる。そのマサツグの質問に対しイケメン騎士は首を左右に振って否定をするのだが、その際マサツグの事をマジマジとまるで品定めをするよう観察しては不敵な笑みを浮かべ、一言小馬鹿にした態度で言葉を言う。その言葉と態度にマサツグが何いってんだこのタコは?と更に不快感を覚えるとそのイケメン騎士を睨み付けるのだが、イケメン騎士はそんなマサツグの様子など全く気にして居ない様子で突如自分達の目的を話し始める。
「我々がここに来たのはここ近辺で大暴れしている…
そこのオオトカゲを討伐する事だった。
商人や旅人と多大な被害が出ている為、
我が王がこれ以上看過出来ないと我々を
派遣されたのだ。」
「ほう…」
「だが来てみれば如何だろう?…
我々が到着した頃にはそのオオトカゲは
名も知らぬ冒険者によって…
仕留められているでは無いか?…
これでは我々が来た意味も…
王が我々を遣した意味も
無くなってしまうでは無いか!…」
「……結局の処何が言いたいんだ?…」
イケメン騎士はさも自分達は崇高な目的が有って来たかの様に話し始めては自分達が任務でここに来た事を話し、その話を聞いたマサツグがだから如何したと言いたげな表情を見せては適当に相槌を打って見せる。だがそんなマサツグの態度を気にしない様子でイケメン騎士は話し続け、まるでマサツグが余計な事をしたと言わんばかりの話を言い始めるとその言葉にマサツグが更にカチンと来る!もはや喧嘩を売られている様な気がして仕方の無いマサツグがそのイケメン騎士に食って掛かろうと文句を言うと、その言葉を待って居たと言わんばかりに軽く笑みを浮かべ、そのイケメン騎士はマサツグにある事を提案し始める。
「…貴様が今回収して居た素材を…全部頂こうか?…」
「ッ!?…」
「当然だろ?…
元々は我々が仕留める筈だった獲物なのだ…
本当ならそのオオトカゲの頭を持って帰るのが
我々として最大の証拠となるのだが…
何故か冒険者が魔物を駆逐すると光となって
消えてしまうからな?…
現にそのオオトカゲも光となって消えて行ってる…
これでは頭を斬り落として持ち帰ろうにも
消えてしまう…だから!…
さっき言った通り貴様の手に入れた素材を…」
……要するにこういう事だ…どうやらこの大馬鹿トカゲはこの近辺を縄張りにしている様で、自分の縄張りに入って来た商人や旅人を襲っていたらしい…そんで、この大馬鹿トカゲの征伐にこのパツキン騎士様達が王様の命令で来たらしいが既に俺が倒してしまっていて…更に素材まで取られてしまって自分達が来た意味が無くなってしまったと…折角王様の命令で出て来たのに何にも無しだと騎士として手ぶらでは帰れないから今取っていた素材を全部遣せと…マサツグが騎士に対して怒りを燃やしながらも一つ一つ頷きながら頭の中で理解して居ると、ふとマサツグの目にイケメン騎士の表情が目に映る。その表情は明らかにこちらを見下した様子で笑みを浮かべ、それを見たマサツグが更に怒りを覚える。
{……明らかにこちらを見下している
金髪騎士様……よし!……}
騎士の態度が気に食わないながらも今のマサツグの状態にこの騎士の数…更にレベルと色々具合が悪く、悩まされるもある決断をすると心の中で頷き、金髪騎士に返事を出す前にマサツグが有る事を尋ね始めるのであった。