-第一章二十七節 コボルトとホームランと町への帰路-
マサツグがティターニアの魔法で迷いの森の入口に飛ばされてから二日後の事…マサツグはと言うとその帰り道…かなり色々な事が有ったもののクランベルズの町に辿り着いていた。そしてこれはその帰り道…何が有ったかを軽く説明する為のちょっとしたお話である…マサツグはカチュアの最後のキスから復帰し、戸惑いながらもクランベルズに向かい歩き出しては森から離れて、取り敢えず街道を見つける事から始めていた頃…マサツグは見晴らしの良い平原を歩いて居ると何処からともなく遠吠えが聞こえては臨戦態勢に入っていた。
__アオオォォォ~~~ン!!!…
「ッ!?…狼!?……いやでも…
…狼にしては子犬っぽい様な?…」
__ドドドドドドドドド!!!…
「でもやっぱり何かが近づいて来てる!?…」
突然聞こえて来た遠吠えにマサツグが反応し剣に手を伸ばし辺りを警戒するのだが、その遠吠えの主…敵が何処にも見当たらない。特段藪が有ったり木が生えている訳でも無く、更に狼にしては何やら幼いと覚えにマサツグが戸惑いを覚えて居ると何処にも敵影の姿が無いまま足音だけが聞こえて来ては何事か!?と焦らせる。そんなマサツグが手当たり次第に視点を動かし敵を探し回って居ると、ふとある物が遠目ではあるが目に付く…それは緑色の草の集合体がマサツグに向かい走って来る様子で、その草陰は何処と無く人の形をしており、木の棒らしき物を手にしている奇妙な物であった。
「ッ!?…まさかと思うけどあれか?…
…鑑定!…」
__ピピピ!…ヴウン!…
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「平原コボルド」
Lv.15
HP 3000 ATK 140 DEF 120
MATK 0 MDEF 0
SKILL
擬態 Lv.4
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「……コボルド?…」
マサツグがその動く草むらを怪しく思い、鑑定を発動すると案の定モンスターの判定が下りマサツグは剣を抜くのだが、その鑑定結果にマサツグは戸惑う。何故なら相手はコボルドと出たからである。コボルトと言われたらまず思い浮かぶのは二足歩行の犬…本来はドイツの民間伝承に由来する醜い妖精・精霊を意味するらしいのだが、そのどちらにも当て嵌まらない草の塊…そんな様子にマサツグが戸惑って居るとその機敏な草むらはまるで自身の身を剥ぐ様に草むらを脱ぎ捨てると、その本当の姿を現す!
__ドドドドド!!…ンバ!!…
アオオォォォ~~~ン!!!…
「んな!?…ギリースーツ!?…ってか…」
__キャンキャン!!…キャンキャン!!…
「……え?…レッサーパンダ?…」
そこに現れたのはまさかの二足歩行のレッサーパンダ。レッサーパンダがギリースーツを身に着けて居る事のマサツグが驚き戸惑うのだが、勢い良く走って来るせいか直ぐ見つかり、奇襲にならないと言った様子でマサツグに剣を構えられては、そのコボルト達が空気を読め!!と文句を言う様に棍棒を振り上げ吠え始める。そして目の前に現れた二足歩行のレッサーパンダにマサツグは戸惑いを隠せず、剣を手に固まって居るとコボルト達はマサツグに襲い掛かり始める!
__キャンキャン!!…バッ!!…ブン!!…
「うおあっぶな!?…って、うわあぁ!?…」
__ブンッ!!…ブンッ!!…ブンッ!!…ブンッ!!…
コボルトの一匹がマサツグへ棍棒を振り被り襲い掛かるのだが、マサツグはその攻撃を回避する。その際若干攻撃スピードが速く戸惑った反応を見せるも回避して一息吐こうとした瞬間、次のコボルトの攻撃が飛んで来てマサツグは驚いた様子で回避する!…のだが、そしてそこからがコボルト達の恐ろしい所であった…何故ならマサツグの反撃を許さないとばかりにコボルト達は群れで順番にマサツグに襲い掛かり始め、マサツグに息吐く暇を与えようとしないのである!そして気が付けばマサツグがコボルトの群れに囲まれ逃げる事が出来ず、恐らく一撃でも貰って昏倒したら集団でタコ殴りと言う凶悪な末路が待って居ると考えさせられると、マサツグは気を緩める事が出来ずコボルト一匹一匹に注意を向ける!
__アオオォォン!!…キャンキャン!!…
「ヨッ!!…ハッ!!…ホッ!!……チィ!!…
プリチーな外見してとんでもねぇ連係プレーを
見せやがって!!…
オマケに刹那を使うかどうかで悩むスピードで
攻撃して来やがる!!…
さすが犬って言った所か!?…」
__ブンッ!!…ブンッ!!…ブンッ!!…ブンッ!!…
マサツグが襲われたコボルトの群れは小規模の物なのだが連係プレーが恐ろしく、マサツグのTPを確実に消耗させてはじわじわと追い詰めて行く。そしてまるで刹那の事を知っているかの様な中途半端なスピード…遅くもなく早くも無く…そんなスピードで襲い掛かるとマサツグに刹那の使用を躊躇わせる。そしてマサツグ自身何故刹那の使用を躊躇っているのかと言うと、またコボルトの群れ…又は最初の頃のオオトカゲみたいな化け物に襲われた時、刹那のクールタイムが終わって居ない状態で戦闘になれば生存は難しいと言う考えが有ったからであった。その為マサツグは極力有効打を温存と考えコボルトの猛攻を掻い潜るのだが、徐々にそうも言っては居られない状況になって来る!…
__ブンッ!…カスッ!!…
{ッ!?…掠ったか!?…
しかも急所を的確に狙って来てやがる!?…
そういや馬車のおっちゃんもコボルトの群れを
見つけた時面倒臭そうにしていたっけ!?…
これがその理由!?…}
__キャンキャン!!…アオオォォン!!
「ッ!?…もう悠長な事は言ってらんねえな!?…
さっきから人の後頭部を棍棒でド突こうとしやがって!…
…刹那!!}
マサツグが一匹のコボルトの攻撃を回避し損ねると若干のダメージを受け、後ろに仰け反りそうになるも踏ん張って耐えるとダメージを貰った所を確認しては、その性格無慈悲な狙いに戸惑いを覚える。そして馬車の御者の様子を思い出しては一人これがその理由かと納得した様子で体勢を立て直し、更にコボルト達が波に乗って攻撃を図ろうとすると、マサツグはもう我慢の限界とばかりに刹那を発動する!その瞬間マサツグの目にはコボルド達の動きはスローモーションに見え、攻撃を回避するどころかカウンターの一撃をまず最初に飛んで来たコボルドに対して繰り出し始める!
__ヴウン!!……
「ッ!…やっぱこれ便利だな!?…」
マサツグが刹那の便利さに味を占めてはコボルドの攻撃をスッと人を避ける様に回避し、飛んで来たコボルドが丁度自身の体の横を通り過ぎようとした所で、マサツグが飛んで来たコボルドの側面に立つよう振り返る。そして両手で剣を握って縦に真っ直ぐ両断するよう上段に構えては一切の躊躇い無しに剣を振り下ろすのだが、ここである問題な発生する!
__フォン!!…バシュッ!!…
…キャン!!…バッ!!…
「ッ!…あれ?…」
__ヴヴヴヴヴヴ!!!…キャンキャン!!…
「た…倒れない!?…」
飛んで来たコボルドに向かいマサツグは間違いなく全力を叩き込んだのだが、コボルドは両断される事無く地面に叩き付けられると素早く自身の身を立て直し、マサツグから距離を取り始める。それはマサツグの目にはスローモーション状態で見えており、追い掛けて追撃を放とうと思えば放てる筈なのだがマサツグはそうしなかった何故なら…マサツグはアレでまず一匹は仕留められたと確信を持っていたからであった。それなのにそのマサツグの一撃を貰ったコボルトはと言うと体勢を立て直しマサツグに威嚇をしている。倒れない事にマサツグが戸惑いを覚えて居ると更に他のコボルトがマサツグに襲い掛かる!
__ヴヴヴヴヴヴ!!!…
キャンキャン!!…バッ!!!…
「ッ!…今度こそ!!…」
__フォン!!…バシュッ!!…
…キャン!!…バッ!!…
「ッ!?…また!?…」
__ガッ!……コロン…
二回目襲い掛かって来たコボルドに対しても同じ様に避けて斬って見るのだが、同じ様に受け身を取ってマサツグから距離を取っては威嚇をする。また同じ光景を見る事になったマサツグが一人戸惑って居ると、足元には襲い掛かってくる際マサツグの反撃を受けて落としたのか棍棒が落ちていた。それを軽く蹴飛ばして自身の足元に棍棒が落ちて居る事に気が付くとマサツグはふとある事に気が付く。
「ッ!…棍棒……ッ!?…
まさかとは思うけど…いやまさか!!…」
__ヴヴヴヴヴヴ!!!…
キャンキャン!!…バッ!!!…
「ッ!!…迷っては居られない!!!…」
マサツグが足元に転がる棍棒と自身の持つ剣を交互に見てはある事に気が付き、まさかと考えて居るとコボルト達はマサツグの様子など御構い無しにまた襲い掛かって来る!その様子に気が付いたマサツグは悩んでいる暇はない!…試してみる価値は有ると考えたのか、突如足元に転がって居る棍棒を素早く回収しては襲い掛かって来たコボルトに向かいフルスイングする!
「オオオォォォコイショオオオオオオ!!!!」
__カッキィィィン!!!………ドサアァ!!…
棍棒をまるで野球バットの様に構えては飛んで来るコボルトを球に見立てて、マサツグが思いっきり棍棒を振って飛んで来たコボルトをジャストミートすると、コボルトは弧を描いて遠くに飛んで行く!その様子を他のコボルト達も驚いた様子で見詰め、まるで場外ホームランを打たれて成す術の無い外野手の様に立ち尽くして居ると、その打たれたコボルトはピクピクと数回痙攣した後…息絶えたのか光となってアイテムをドロップする。そしてその光景を見てマサツグも確信したのか棍棒を見詰めては剣を鞘に仕舞い始める!
__ッ!!……スゥ…チャキンッ!!…
「…これで確信が持てた!…
…やっぱトライアルソードはあくまでも
初期武器であって攻撃力は然程ない!…
ましてや棍棒より弱いと来たモンだから
更にどうしようもない!!…
唯一のメリットは壊れないって所だったんだが
仕方がねぇ!!…」
__ブォン!!…ッ!?…
「テメェら全員まとめてかっ飛ばしてやるから
さっさと来い!!!…
こちとら早く街に帰りてぇんだ!!!」
マサツグが理解した事…それは言うまでも無く武器の火力不足。恐らくあのままトライアルソードで戦って居ればクリティカルヒット2~3発で漸くコボルト一匹討伐が出来るのだが、棍棒だとクリティカル一発で倒す事が出来る。それを身を持って確信したマサツグは棍棒をまるでスラッガーの様に構えて見せるとコボルト達を挑発し始め、そのマサツグの突然の強気にコボルト達が戸惑い始めると更にマサツグはコボルト達を追い込み始める。ジリジリと詰め寄る様にして棍棒を構え、その様子にコボルト達もマサツグから距離を取り始める。確かにトライアルソードより攻撃力は上がるがその格好はもはや剣士から掛け離れており、ただの害獣駆除の軽装お兄さんにしか見えない。某有名龍退治RPGで言う所の最初の町で地道にレベル上げをする主人公とも言えなくは無いのだが、強気になって出て行っている相手がレッサーパンダとあっては格好が付かない。
__ジリジリ…ジリジリ……ッ!!…
キャンキャン!!…バババッ!!!…
「ッ!!…来たか!!!…
オオオオオオオオ!!!!…」
__カッッッッキイイイイィィィィィン!!!!………
追い詰められるコボルド達も一矢報いようと考えたのか遂にはまとめてマサツグに襲い掛かるが結果はツーストライク・ワンボールの二打席九ホームラン…ツーストライクは襲い掛かるもマサツグに回避され、仲間が綺麗に宙を舞う所を見てはもう駄目だと逃げだした数で、ワンボールは襲い掛かるまでも無く逃げ出したコボルドの数…更にホームランは言わずもがなマサツグがかっ飛ばしたコボルトの数で、みんな仲良く地面と抱きしめ合うと最初のコボルト同様痙攣した後、光となって消えて行く。そんな無情のスラッガーを演じたマサツグはと言うとその場を後にし、他のコボルト達に見つからないよう辺りを警戒して平原を歩いては街道を見つけ、無事町までの道しるべを確保するのであった。
__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ……コッ…コッ…
「…石畳の道……てことはつまり!!……
町への道しるべを見つけたぁぁぁ!!!…」
この時…マサツグ本気の雄叫びを上げる…何故なら方向音痴で有るにも関わらず、見事自力で街道を見つけたからであった。その事を幸運に思いマサツグが一人喜んでいるのだが、更にマサツグの身に面倒事が襲い掛かる。それはマサツグが平原から街道を見つけて一人喜びの声を挙げている時…その進もうとしていた街道の先に馬車が止まって居る事に気が付いた時であった。
「良いから有るモン全部出すんだよ!!!」
「ひいぃぃ~~!!…お許しを~~!!!…」
「…あん?」
馬車が止まっている方から何やら罵声が聞こえると同時に何者かの悲鳴も聞こえて来ると、マサツグがその馬車の方を振り向き何事かと確認をする。するとそこには明らかに絶賛襲われていますとばかりに商人が数名と、盗賊か山賊の10人組のグループが馬車の前方と側面を取り囲んでいた。その際商人達は服も追い剥がれたのか下着だけのパンイチ状態で捕まっており、馬車の中にある積荷を全部渡せと武器を突き付けられ両手を上げては盗賊達に必死に許しを請うていた。
「これは大切な積荷なのです!!!…
これが無いと商いが出来ないので!!…」
__バキィ!!………ッ!…
「うるせぇ!!!…
良いからさっさと馬車事明け渡せってんだよ!!!
それとも何かぁ?…ぶっ殺されてのかぁ?…あぁん!?」
余程積荷が大事なのか丸裸にされても商人は盗賊達相手に縋り付き商売が出来ないと泣付くのだが、盗賊達は関係ないとばかりに縋り付く商人を殴り飛ばすと、さっさとその商品を寄こせ!と脅しては武器を商人に突き付ける。それを見てマサツグがムッ!盗賊達に対して若干の苛立ちを覚えていると、商人は盗賊に殴り飛ばされても尚諦めずに盗賊へ縋り付いては許しを請い始め、また盗賊に殴られては地面を舐めるを繰り返す。その様子を周りの盗賊達は楽しそうに汚い笑みを浮かべては逃がさないよう取り囲み、他に捕まっている商人の仲間達は殴られる商人を見ない様に怯えて居るだけ。そしてそれを目撃したマサツグが総じて何でこんなのを見つけたんだ…と、道を見つけた喜びから一転…面倒臭そうな表情を見せて居ると盗賊達はマサツグの存在に気が付いたのか、盗賊のボスにその事を報告し始める。
「……ッ!…ボス!!…あんなところに冒険者が!?…」
「あん?……へ!…
何だテメェ!!俺達に何かようか!?」
「…はあぁ~~…面倒なのに見つかった…」
盗賊のボスがその部下の盗賊の報告を聞いてマサツグの方を振り返るとマジマジ見詰め、マサツグの装備を見て勝てると踏んだのか鼻で笑って見せては喧嘩腰でマサツグに近付き始める。そのボスの様子に他の盗賊達もマサツグの方へと移動して来ては汚い笑みを浮かべてマサツグを取り囲む様に動き、マサツグがその様子に面倒臭いと感じては呆れた様子で溜息を吐く。そして近付いて来る盗賊達に対してマサツグも盗賊達の装備を見ては大した事は無いと感じると、マサツグはしみじみ感じている事が有るとばかりに改めて心の中で呟き始める。
__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…
{……別に鑑定を使わなくてもよさそうだ…
よく居る小者連中と言った所か…
…それにしても迷わずに道を見つけたと
思えばこれだよ!!……
時々本当に「超幸運」が発動しているのか
疑いたくなるなぁ~…オマケに…}
__ウルウル!…ウルウル!…
{パンイチのおっさん共に上目使いで
助けを求められてもただ困るだけだっての!?…
全くもって誰得ものだよ!?…}
マサツグが心の中で文句を言いつつコボルト達から手に入れた棍棒を手に構えると盗賊達はニヤッと笑い、その馬車の陰…商人達はと言うとまるでマサツグに助けを求めるようその場で両手を組んで目をウルウルとさせ、マサツグに縋る様な視線で助けを求めてはマサツグを更に困惑させる。マサツグのゲーム人生の中で…今までパンイチの商人に目をウルウルさせながら助けを求められた事は無いと感じつつも、マサツグが戦闘態勢に入るとバトルフィールドが形成され、盗賊達との戦闘が始まる。
「コイツ!…棍棒構えやしたけど如何しやす!?…」
「構うこたねぇ!!
ついでにコイツの身包みも剥いでしまうぞ!!」
「おおぉぉぉ!!!」
盗賊達も棍棒を構えるマサツグを見て懐からダガーやナイフを取り出し、腰にぶら下げている剣や斧を手にし始める。そして子分の盗賊がマサツグの構えている武器が棍棒と馬鹿にするよう笑っては盗賊のボスに如何するかを尋ね、盗賊のボスもマサツグから金品を巻き上げようと子分の盗賊達に指示をしては、マサツグを標的に武器を突き付ける。そして子分の盗賊達は声を挙げて返事をし、武器を手にマサツグへと襲い掛かり始めるのだが……
結論から言うと論外なのである。
「ハッハーア!!何だコイツ!?…
棍棒なんかで俺達を倒せるとでも!!…」
__SMAAAASH!!!…
…カッッッキイィィィン!!!!…ッ!?!?!?…
「……はぁ~…
まだついさっき戦っていたコボルド達の方が
良い動きをするぞ…」
意気揚々と盗賊の一人が武器を振り上げマサツグに襲い掛かるのだがその攻撃は先程相手にしていたコボルド達より遅く、マサツグが刹那を使わずしてカウンターの構えを取るとタイミングを合わせて棍棒をフルスイング!マサツグの振った棍棒は見事盗賊の顔面にクリティカルヒットするとコボルトみたくホームランとは行かなくても鋭い当たりで吹き飛んで行き、地面に激突するとコボルトみたくピクピクと痙攣しその場に倒れ、失神する。その様子を見た他の盗賊達が余裕の表情から一転、驚き戸惑った表情で吹き飛んだ仲間の様子を見て居るとマサツグが呆れた様子で呟いては盗賊達をぶっ飛ばし始める!
__カッキイィィン!!…カッキイィィン!!…
カッキイィィン!!…
「な!?…何なんだよコイツ!?…
人間じゃねぇ!?…」
「来るな!?…
こっちに来るなああぁぁぁぁぁぁぁ~~~!?…」
__カッキイィィン!!…カッキイィィン!!…
カッキイィィン!!…
次々に打ち上げられる盗賊達に他の盗賊達は完全に戦意喪失…もはや怯えてマサツグにホームランされるのを待つだけのサンドバッグ状態となる。そんなサンドバッグ状態の盗賊達を次々にホームランして行き、残るは盗賊のボスだけとなるのだがマサツグが棍棒を手にそのボスの目の前に立つと、盗賊のボスは慌てて武器を投げ捨て降伏し始める。
「ッ!?…お、おい!!…話せば分かる!!…
な!?…話せば!?…」
「…さっきの商人達の言葉…
見事にブーメランしたな?…」
「へ?…」
__SMAAAASH!!!…
…カッッッキイィィィン!!!!…
盗賊のボスは全く予期していなかったであろう…棍棒を持った一人の冒険者に自分達が全滅する事など…しかし起きてしまった。盗賊のボスは必死に助かろうとマサツグに待つよう声を掛けるのだが、マサツグはスッと棍棒を構えては先程の商人の話を踏まえて盗賊のボスを嘲笑い、その言葉にボスが涙目で戸惑って居るとマサツグは遠慮無しにフルスイングする!盗賊のボスはマサツグのフルスイングで宙を舞い、口から涎・目から涙を流しては地面に叩き付けられ他の盗賊達と同様ピクピクと痙攣した後、失神する。そうして盗賊達全員を吹っ飛ばしマサツグが終わったと一人その場で伸びをして居ると、先程襲われていた商人が服を取り戻した様子で駆け寄って来る。
__ダッダッダッダッダッ…
「いやぁ~~!!有り難う御座います!!…
有り難う御座います!!…」
「うわあぁ!?…
まだ居たのかあんた達!?…」
突然後ろからその商人がお礼を言いながら声を掛けて来てはマサツグが驚き振り返り、とっくに逃げたものとマサツグがその商人に戸惑いながらも話し掛けると、そこには盗賊達にボコボコにされた酷い顔の商人が立っていた。先程マサツグに助けを求めて来た時同様、両手を組んで目をウルウルさせてはマサツグに感謝の言葉を口にし始め、ある物を手渡して来る。
「はい!!…
命の恩人を置いて逃げる事など出来ませんので!!…
…お礼にこれを!…」
「い…命の恩人…
…って、俺は襲われたからぶっ飛ばしただけで…
……?…これは?…」
商人がマサツグに感謝しつつもある物を手渡し、マサツグが別に大した事は無いと答えて居ると商人はマサツグの有無を聞かず、そのある物を黙って握らせて来る。マサツグは一応と言った様子で謙遜しながら話を続け、渡された物は何かと確認するとその商人に手渡された物は見た所奇妙な泥団子が3つある様にしか見えず、マサツグがその奇妙な泥団子を見詰めては不思議そうな表情でその泥団子の正体について尋ねると、商人は先程の盗賊達を気にした様子で見回してはマサツグに簡単に答え始める。
「これは言わばキノコの王様です!……
…ッ!…ふぅ…出所に関しては深くは尋ねないで下さい…
色々と面倒事に……あっ!…
決して密漁とかをしている訳ではありませんので
ご安心を!!…ちゃんと正規のルートで扱っている物で
御座いますが……またこうして襲われると本当に
面倒なので……」
「い、いや…それ以前にこれを如何しろと?…」
マサツグの問い掛けに対して商人はキノコの王様とだけ答えると何やら辺りを警戒した様子で馬車の方を確認し、馬車に居る商人の仲間が積荷が無事である事を示すよう身振り手振りで合図すると、一息吐く。そして突如その泥団子に対して出所など聞かないでくれと怪しい言葉を並べ始めてはマサツグが無言で怪しみ始め、その表情を見て商人が慌て始めると墓穴を掘る様に次々怪しい言葉が出て来る。もっともな事を言って最後は無理やり会話を終えると商人は馬車へと駆けて行き、マサツグがその泥団子を手に如何すれば良いのかと尋ねるも、答える事無く馬車に乗り込んでは商売豪具など手早く確認して、足早に商人はその場を後にして走り去って行く。
「それでは私達はこれで!!…
先を急ぎますゆえこれにてぇぇ~~!!!」
__パシィィン!!…ヒヒィィィン!!…
ガラガラガラガラ…
「えぇ!?……行っちゃったよ…
……キノコの王様?…
…俺キノコ嫌いだから良く分かんねぇな?…」
結局何が何だか分からないままマサツグは泥団子を3つを手に置いて行かれ、キノコの王様と聞いた所でピンと来ないマサツグは困惑しながらもただその泥団子をとにかくカバンに仕舞うと、街道に沿って町を目指し始める。そんなこんなが有りながらも2日間…街道をひた歩きコボルド、盗賊につのウサギや平原オオカミの群れ等のモンスターに襲われつつもホームランしながら街に向かって歩いて行き、一泊2日の野宿の末やっとの思いで町に辿り着くと、話は現在に戻る…迷わずに漸く辿り着いたクランベルズにマサツグが一人感動し、軽い涙を覚えて居ると2日間の旅のお供をしていた棍棒はマサツグを町まで送り届けた事を、まるで見届けた様に持ち手から折れてそのまま破損武器としてドロップされる。
__……バキィッ!!…
「ッ!……棍棒が折れた…
…まぁ…アレだけ戦わされたらそら折れるわな?…
良く持った方か…」
__スゥ…ブン!!!…
このゲームで破損武器と言うのは文字通り壊れた武器の事を指し、修復すればもう一度その武器を使う事が出来るのだがその費用と材料費が若干高めに掛かる為、余程の武器でない限り大抵は武具屋で二束三文で売られるか、記念として倉庫の肥やしとなるかの二択である。そうしてマサツグが持っていたその棍棒なのだが、マサツグは直す気無しとばかりに平原に向かって投げ捨ててはロストさせ、改めてトライアルソードに持ち帰ると町に入ろうとする。しかし…
「…ッ!……あれ?…そういや…
何でこんなに静かなんだ?…
この町に来た当初って確か……
馬車の中に居ても分かる位に賑やかな声が
聞こえていたのに…全然聞こえない?……」
__シィ~~~~ン……
マサツグ自身まだクランベルズに辿り着いて間も無いのだが、マサツグが町への一歩を踏み出そうとした瞬間町全体が静かな事に気が付いてはその静かである事に違和感を覚える。マルコの護衛任務を受けてこの町に来た時…町の外から離れていても分かる位に賑やかな声が聞こえていたと言うのに、今はゼロ距離で町の外に立っているにも関わらず話し声どころか雑踏の音すら聞こえて来ない。町の人もまるで賑やかな事が普通みたいに話していた事を思い出してはこの静けさに逆に不気味さを覚えさせられ、更にカチュアの依頼で町を出る時のカルト教団を思い出しては一人嫌な予感を感じ始める。
「……ッ!…またカルト教団が居るのか?…
…面倒だけど気を付けて行くか…」
__コッ…コッ…コッ…コッ…
そんな色々な事を思い出しつつマサツグはいつでも武器を抜けるよう剣に手を添えて警戒しながら町の中へと入って行くと、そこにはやはりマサツグの知っている町の姿は無く、異様な光景のみが広がりマサツグの嫌な予感が的中するのであった。




