-第一章二十四節 カチュア達の努力とマシンガンとトンデモ発想-
少し場面は変わって妖精達の国・リトルガーデン…マサツグと熊五郎が突如現れた巨大フジツボに苦戦を強いられて居る頃、リトルガーデンに残ったカチュアはマサツグが出発する前に言っていた言葉に従って自分でも出来る事が有ると信じ、妖精達の図書館に移動してティターニアの衰弱を何とか止められないかと本を引っ張り出して来て手掛かりを探していた。リトルガーデンに伝わる伝承…薬学…魔法等…色々な物で何とか魔力を回復させる方法を探るのだが今の所手掛かりとなる本を見つけられず、カチュアは一人図書館で頭を抱えては苦悩しているのであった。
__パラッ……パラッ……パタンッ…
「………だはぁ!…これも違うのね!!…
……ッ!…嘆いている暇は無いのね!!…
次の本なのね!!」
__ガッ!!…パラッ……パラッ……
図書館にある関係有りそうな本を片っ端から引き出しては図書館に用意された一般妖精用の机の上にドサッと置き、自身がその山積みの本の右隣に腰掛けて一冊一冊黙読し始める。その際急いでいるのと関係無い物は一応ながら流し読みをし、その本を読み切り自分が必要とする本とは違う事に文句を言っては違った本を自身の左隣にこれまた山積みで投げ積んで行く。そうして出来たちょっとの衝撃でいつ雪崩が起きてもおかしくない本の山を作りながらも、カチュアはマサツグ達が頑張って居ると考えては周りの事など眼中にない様子でただ本を読み続け、目的の本では無い事に度々嘆くが自身を奮い立たせるとただひたすらに持って来た本を読み続ける。そうして刻一刻と時間が過ぎて行く中…マサツグ達が一坪の日だまり花畑へ向かってから図書館に突如籠り始めたカチュアを心配してか、お付きの妖精が図書館の扉をノックするとカチュアに声を掛け始める。
__コンコン!…
「…カチュア?…大丈夫ですか?…
もう彼是五時間は篭っていますけど……
それに私達の方でも図書館の本は調べましたが
何も得られませんでしたよ?…」
「………。」
「…カチュア?……はぁ~…
仕方ないですね…」
__ガチャッ!!…
図書館の扉越しにお付きの妖精がカチュアへ心配の声を掛けるのだが中から返事は帰って来ず、お付きの妖精がもう一度居るか如何かを尋ねる様にカチュアの名前を呼ぶがやはり返事は帰って来ない。現実では二時間と三十分位の時間が経っており、ゲーム時間内で言うと五時間位…その間カチュアは図書館に引き籠っている訳なのだがその事にお付きの妖精は呆れた様子で溜息を吐き、まるでこうなる事を理解していた様子でドアノブに手を掛けると扉を開けて中に入ろうとする。
__ガチャッ!!…
「カチュア?…
先ほども言いましたが既に図書館では…」
__ビュオオォォ!!…グラグラ…
「キャッ!!…もう…急に何ですか!?…」
お付きの妖精が返事の無いカチュアへ三度声を掛ける様に図書館の中へ入って行くとタイミングが良いのか悪いのか、一陣の風が図書館の中に吹き込んで若干の埃を巻き上げ、本棚を揺らすとそのまま何事も無く治まって行く。しかしその風は乱雑に詰まれた本の山を揺らすには十分な風量で、本の山がグラグラと揺れ始めると突然の風に驚いたお付きの妖精がドアにしがみ付きながら慌てた様子で扉を閉める。
__……バタンッ!…グラグラ…グラァ!…
「……ッ!?…カチュア!!…危ない!!」
「……ッ!…え?…」
お付きの妖精が勢い良く扉を閉めた事でただでさえ本の山が揺れていたと言うのに、その振動がきっかけなのか本の山はカチュアの座る方に向かって倒壊し始める。扉を閉めた後お付きの妖精がカチュアの方に振り返り、一番上の本から倒壊する本の山を見てはカチュアに危ないと忠告をするのだが、カチュアはお付きの妖精が入って来た事すらその忠告の言葉で漸く気付いた反応を見せ、え?…戸惑った表情を見せるも本はカチュアの頭の上へと雪崩て落下し、カチュアを生き埋めにする。
__ドザザザザァァァ!!……バサァ!…
「ッ!?………カチュア~?…大丈夫ですかぁ~?…」
カチュアが目の前で本の生き埋めにされ、お付きの妖精が目を閉じ吃驚した様子でその場に固まると図書館内が埃立ち沈黙が訪れる。しばらく沈黙した後恐る恐るお付きの妖精が目を開けてその生き埋めになったカチュアの方を見ると、そこには完全に本に埋まってしまったのだろうかカチュアの姿は無く、その様子にお付きの妖精が戸惑いながらもカチュアの無事を確認するよう声を掛ける。するとその声に反応するよう倒壊した本の山がモゾモゾと動き出し、暫く苦戦した様子で本の山の頂上から手が一本伸びるとそこからカチュアが怒った様子で姿を現す。
__……ガサゴソ!…ガサゴソ!…バサァ!!…
「あぁ~~んもう!!痛いのね!?…
誰ね!?…私に本の雨を浴びさせたのは!!!…
それに何なのね!?…
ここにある本はいつから本屋さんになったのね!?…
本の大半がポエムと恋愛小説って!…
ジャンルが偏り過ぎなのね!?…
もっと他にも取り入れるのね!?…
…お陰でちょっと読み耽ってしまったのね!…
じゃなくて!…普通の歴史書や魔導書はないのね!?
ポリン!!」
「残念ですが普通の図書館に魔導書を置いて置く
訳が無いのですよ?…歴史書はともかく、魔導書は
危なすぎます…子供が不用意に呼んだら大変ですし…
それに当時子供の貴方がそれをやって騒ぎになった
じゃないですか?…あの後大人の人にこっ酷く怒られて…
ひどい目に遭いましたよ…」
カチュアは下半身が本の山に埋まった格好で本の雪崩に文句を言い始め、更にその本のジャンルが悪いと言う事と魔導書が無い事に飛び火した様子で文句を言い始めると、本の山から抜け出そうともがき始める。その様子にお付きの妖精…ポリンが自身の眼鏡を掛け直す様にクイっと弄って見せるとカチュアに魔導書が置かれていない理由について話し始め、その話を聞いたカチュアがピクっと反応して見せるとばつの悪そうな表情をしてポリンから顔を背ける。しかしポリンはその事をまだ根に持っているのかカチュアに詰め寄る様にして酷い目に遭ったと口にし、その言葉にカチュアが表情そのままポリンの方に振り向くと言い訳を話し始める。
「うぅ!…し、仕方が無かったのね!…
好奇心には勝てなかったのね!…」
「図書館の屋根を吹っ飛ばすだけに飽き足らず
館内の本一部をパアにしてですか?」
「あぐ!?…」
カチュアが追い詰められた表情で腕を組んではポリンに言い訳をするのだが、ポリンはその言い訳を逆手に取ると当時の被害を思い出させる様に文句を言いながらカチュアへ詰め寄り、光の加減で自身の目が見えない様に問い詰めて行く。相手の目が見えない…それすなわち相手の感情が読めないと言う事を利用しカチュアにツッコミを入れ、そのツッコミにカチュアがまたばつの悪そうな表情で後退りをしようとするのだが、下半身が埋まって居る為逃げれない。そうしてジッと目が見えないポリンに追い詰められ、遂に反抗する事を諦めたのかカチュアは完全にポリンに屈服する。
「……ご…ごめんなさいなの…」
「……ふぅ~…
まぁ、あの事を今更行っても仕方ないですし…
私がここに来たのは諦めの悪い貴方の手伝いを
する為ですし?…」
「……え?…」
「微力ながら私の手伝います!…
もしかするともしかするかもですし!…
何より私もジッとはして居られないので!…」
カチュアは下半身が埋まった状態であの時の出来事を謝るよう反省した様子でポリンに頭を下げると、ポリンはスッとカチュアに詰め寄るのを止めて少し後ろに下がる。若干の溜息交じりでポリンがカチュアの謝罪を今更仕方ないと苦笑いをし、カチュアの手伝いに来た事を改めて伝えるとその言葉にカチュアが困惑する。先ほどの話ではここを調べたところで意味が無いと言っていたにも係わらず、ポリンの手伝うと言う言葉にカチュアが戸惑って居ると、ポリンはカチュアに触発された様子で語ってはカチュアを掘り出し始め、その様子にカチュアが少し戸惑った表情を見せるも理解したのかパァッ!と笑みを浮かべて頷き返事をする。
「……ッ!!…うん!!!…」
「えへへ♪…では早く、出て来て下さい!…
早く目的の本を見つけないと!!…」
「…でも何処にその本が有るのね?…
さっき話を聞いてた限りじゃ…」
__ピタッ!………
カチュアの返事を聞いてポリンが笑みを浮かべるとカチュアの下半身を掘り出し、カチュアがやっと本の山から解放されると本の山の上に立ってはその本来の目的が書かれているであろう本の場所について尋ねる。しかしそれはポリンが扉越しで話した内容であり、その時カチュアは返事をしなかった…つまりは話を聞いて居たけど返事をする気が無かったと話したのと一緒で、それを聞いたポリンが本の捜索に入ろうとする足を止めると、またカチュアの方に振り返り怒る様に文句を言う。
__ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!…
「……聞こえていたのなら返事をしてください!…」
「ご…ゴメンなのね…」
まるで奇妙な冒険の効果音の様な気配を背景にポリンがカチュアに怒り、カチュアが両手で自身を守る様に添えてはポリンに謝り始める。そんな最初から大丈夫か?と言った雰囲気を漂わせながらも二人が改めて図書館の捜索に入り始め、更に時間が経つ事一時間…二人揃って成果を得られずにただ図書館の中を彷徨い歩いていた。それらしき本を手にしては中身を確認し、違えば違ったで本棚に直す……次第にどれを確認したか?…してないかと悩み始め、ポリンとカチュアが図書館内でひたすらに困惑した様子で本を読み続けて居ると、ある事が起きる。
「はあぁ~…これは?……
これはに十分前に読んだ事あるのね……
ポリ~ン!…そっちは如何なのねぇ~?…」
__グラグラ…グラグラ…
…ボスッ…ヒュウウゥゥ…ズガン!!…
「ッ~~~~~!!!!…
…いっっっったあああぁぁぁぁい!!!!
角が!!!…角があああぁぁぁぁ!!!……」
__あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!…
「ッ!?…一体何ですか!?…」
完全に迷走状態のカチュアが進展が無い事に戸惑い、図書館での情報収集を諦め掛けて居た時…ポリンに進捗について質問をしようと声を掛けた瞬間、突如本棚から一冊の本がグラ付いて居ると思えば独りでに落下し、カチュアの頭を狙い撃つ!本を綴じている方の角で強打し、カチュアがその痛みで床に倒れ悶絶して居ると余りの痛さに叫び始める。そのカチュアの苦痛の叫びは図書館内に響き渡り、ポリンもその叫び声を聞いて慌ててカチュアの所へ戻り始めるのだが、カチュアがその狙撃して来た本に気が付くとあるタイトルが書かれて居る事が分かる。
「な!?…何なのね!?…一体何が!?……あれ?…」
「カチュア!?…何事ですか!?………はあぁ~…
出来れば良い所なので邪魔をしないで欲しいのですが…」
「いたたたた……ッ!…
ポリンまで恋愛小説にハマらないで欲しいのね!!
それよりこれを見て欲しいのね!!」
「え?…どれどれ……ッ!?…
こ、これは!?…」
カチュアが驚いた様子で自身の頭の上に落下して来た本を手に取り、ポリンが一応心配した様子でカチュアの元に駆け寄ってはカチュアの容態を目視する。するとカチュアの頭には漫画でよく見るタンコブが出来ており、それを見てポリンは何かやらかしたとカチュアのタンコブを見詰めて溜息を吐き、その時一緒に持って来た本に再度目を通し始める。そのポリンの言葉にカチュアが振り返って恋愛小説を読んでいる事に気が付くとポリンにツッコミを入れ、自分が見つけた本に対してポリンに差し出し確認するよう声を掛けると、ポリンがその本を確認し、驚いた表情を見せる。二人が図書館である本を見つけ、これは!?…と驚いて居るその頃…
話はマサツグ達の方に戻り巨大フジツボを相手に苦戦を強いられ、徐々にフジツボに対して怒りを覚え始め、闇雲に攻撃を繰り出していた。マサツグがフジツボへ果敢に攻めては剣を振り、熊五郎はご自慢の体術で応戦するも全く手応えが無く…徐々に擦り切れ熊五郎の手や足から血が滲み出して息も上がり始めていた。
「ハアアァァァァァ!!!!」
__ガキイィィン!!!…ビュビュビュッ!!!…
「ッ!?…ガッデム!!!…
何処を攻撃しても弾かれるし!!…
迂闊に近づくと触手伸ばして来るし!!…
面倒な事この上ないな!?…
とは言え弱点はあの場所!!!…
どうやって攻撃しろってんだよ!?…」
マサツグは文句を言いながらも触手の攻撃を掻い潜っては殻に向かい攻撃し、殻が壊れないかを確認するのだがやはりビクともしない…そして剣が弾かれマサツグがよろけて居るとまた巨大フジツボはマサツグに向かって触手を伸ばし攻撃を加えようとするのだが、マサツグが慌てて回避をすると巨大フジツボから距離を取る。ずっとこの繰り返しで時間だけが過ぎて行き、マサツグがフジツボに対して更に怒りを燃やして居ると熊五郎もフジツボに殴り掛かる!
「オオオオオォォォォォ!!!!…」
__ドゴオォォ!!!…ビュビュビュッ!!!…
「ッ!?…チィ!!!…キリが無い!!!…」
__ザザアアァァァ!!…はぁ!…はぁ!…
熊五郎が巨大フジツボに殴り掛かり体勢を大きく崩させるもダメージが通っている様には見えず、フジツボがノックバックしながら触手を飛ばすと熊五郎に襲い掛かる!それ見て熊五郎がバックステップにバク転と多種多様なアクロバットで回避して見せるもこの瘴気の中では逆に辛い行動であり、回避し切った所で逆にTPとHPの両方を失う事になる。その様子は目に見えてマサツグや熊五郎自身が体感しており、徐々にジリ貧になって行く状況に危機感を覚え始める。
「はぁ!…はぁ!……チッ!!
今までこんな敵と戦った事がないから
戦い難いでやすね!…
ここまであの殻が厄介だとは!?…」
「はぁ!…はぁ!…」
{不味い!!…かなり不味い!!…
熊五郎が何発か叩き込んでいるけど
効いている様子はない!!…
かと言って熊五郎の体力自体も限界に近い!!…
アイツにまともにダメージを入れれそうな場所は
あの足の代わりみたいな触手と…殻の下の中身!!…
けど迂闊に近づくと触手を伸ばしてくる!!…
さて如何したものか!!……}
__ビュビュビュッ!!!……ッ!?…バッ!!…
マサツグと熊五郎が息を切らしながらも体勢を整えようとするのだが、瘴気が呼吸の邪魔をして思う様に態勢を整える事が出来ず、ただただジリ貧にマサツグ達が押され始めると更にオーバーアクションを迫られる。恐らくは本人もこの行動は不味いと分かっているのだろうが、一度身についた癖と言うのは中々消えないものでマサツグと波状攻撃を敢行しては度々オーバーアクションで回避してしまい、そして遂にそのオーバーアクションの代償を払う様に熊五郎の身にある事が起きる!
__はぁ!…はぁ!…ッ!!…ガクッ!!…
「ッ!?…」
「ッ!?…熊五郎!!!…」
度重なるオーバーアクション…過度な攻撃により負傷した手足のスリップダメージ…積もりに積もったその疲労が熊五郎に襲い掛かると体勢を大きく崩させ、前のめりに手を着き膝を折らせる。突然の脱力に熊五郎も動揺を隠せない様子で戸惑い、その様子を見ていたマサツグも慌てて熊五郎の方に走り出し心配の声を掛けるのだが、フジツボはまるで熊五郎が疲弊しているのを分かったかの様に触手を伸ばして熊五郎に襲い掛かろうとする!
__ビュビュビュッ!!!…
「しま!!…」
「させるかあああ!!!」
触手が熊五郎に向かい一直線に伸びて襲い掛かり、熊五郎は体勢を崩した状態から直ぐに復帰をする事が出来ず地面に這い蹲る。熊五郎自身も駄目だと言った様子で被弾を覚悟するのだが、マサツグが土壇場で駆け付け熊五郎を庇う様に触手の前へ割り込んでは狼から助けて貰った時の借りを返す様に剣を構える!そして襲い掛かる触手に向かい自身の攻撃が諸にヒットするタイミングに合わせて苦し紛れの火炎斬りを放つ!
「ッ!!…火炎斬り!!…」
__ゴウッ!!!…ジュッ!…ッ!!!!…
ババババッ!!!…
「……え?…」
__ガゴンッ!!!…ズリズリ…ズリズリ…
マサツグが放った火炎斬りは襲い掛かろうとしていた触手をいとも容易く焼き切り、それだけでは止まらないと言った様子で巨大フジツボの脚代わりになっている触手にまで範囲が及ぼうとしていた!しかし火炎斬り自体がその脚代わりの触手へ届くより先に火炎斬りの火花が触手に当たると脚代わりの触手は物凄い勢いで殻の中にシュっと引っ込んでしまい、母体である殻がガコンと重そうな音を立てて地面に落下し、その後残った脚だけでマサツグ達から距離を取り始める。その一連の様子を見てマサツグが触手が弱点である事を確信するのだが、それ以上に火に対して異常な嫌がり様を見せたフジツボへマサツグは疑問を持つ。
「……火炎斬りは足には当たっていないのに
あの嫌がり様?…て事は火に弱い?……ッ!…
そうか!!…熊五郎!!動けるか!?…」
「あぁ!…マサツグ殿!…助かりやした!!…
今回は駄目かと!…」
マサツグがフジツボの様子を見て火が弱点である事に確信を持ち、同時にある事を考え着くと慌てた様子で熊五郎に動けるかどうかを尋ねる。そのマサツグの呼び掛けに熊五郎は戸惑いつつも体をゆっくり起こし始め、被弾を覚悟していた事を話しては同時に戦闘態勢を取り始める。依然フジツボはマサツグの火炎斬りを嫌った様子で殻を引き摺り後退し、熊五郎が好機と言った様子でフジツボを見詰めるのだが、マサツグはそんな熊五郎に対して戦闘より大事と言った様子である質問をすると熊五郎を戸惑わせる。
「それは良いんだが今すぐアイツが
嵌まる位の穴を掘る事は出来るか!?…」
「へ?…へ…へぇ…
出来ますが…って、何をするつもりで?…
それに少々時間が掛かりやすよ?…
この腕だとまともに掘れないので…」
「それで良いから今すぐ掘ってくれ!!
アイツをさっさと片付けるには!…
この方法しかないんだ!!!」
「へ?…へ…へぇ…分かりやした!…」
マサツグが熊五郎に尋ねた事…それは巨大フジツボを埋める事が出来る位の穴を掘る事が出来るかと言う問い掛けで、突然の訳が分からない質問に熊五郎が戸惑いながらも出来ると答えると、何故その様な事を尋ねて来たのかと困惑気味の表情で理由をマサツグに求める。しかしマサツグはその質問に答える事無くただ倒す方法を思い付いたと熊五郎に話しては穴を掘る様に指示をし、その指示を聞いて熊五郎が困惑しながらも同意するとその場で穴を掘り始める。
__ザッ!ザッ!ザッ!ザッ!…
{…よし!後は掘り終わるまでの防衛!!…}
マサツグは穴を掘る熊五郎を守る様に前に立ってフジツボを見据えては剣を構え、フジツボはマサツグ達とある程度距離を取った位置でジッと動かなくなると不気味な雰囲気を醸し出し始める。まるでちゃんと相手と自分の距離を理解し、状況を分析して居る様なそんな様子にマサツグもフジツボの動向一つ一つに注意を向けて出方を伺って居ると、巨大フジツボは考えが纏まったと言った様子でマサツグに仕掛け始める!
__…ニュッ!…ググググッ!!…
「ッ!!…来るか!?…」
__グググググ!!!…バババババババ!!!!…
「なっ!?…飛ばせるのかよ!?…
えぇ~い!!刹那!!」
巨大フジツボは一度引っ込ませた足触手を再度出し始めるとまた自立して母体のバランスを取り直し、今度はまるで勢いを付ける様に足触手を曲げて踏ん張り始めるとその体勢のまま硬直する。その様子にマサツグも剣を手に何時でも対処出来るよう身構えフジツボの行動に細心の注意を払って居ると、巨大フジツボはマサツグの予想の斜め上を行く様に自身の周りにくっ付いている小型のフジツボをマシンガンの様に飛ばし始める!冒険RPGから一転…弾幕ゲームに変わった事にマサツグが驚くのだが、驚いてばかりは居られないと剣を握り直すと刹那を発動し、迎え撃つ!
__ヴウン!!…ガガガガガガガガガガ!!!…
「ッ!?…うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!」
巨大フジツボの周りにくっ付いている小型のフジツボは量産出来るのか撃って直ぐに再生してはまた撃つの繰り返しで止め所がない。それでもマサツグは刹那を発動して飛んで来るフジツボを片っ端から真っ二つに斬っては無力化させ、後ろに居る熊五郎に被害が行かない様に踏ん張り始める。だがそれが出来るのも刹那が有っての事なので時間が限られており、刹那の使用時間…つまり三分の使用時間でまた悩まされる。
{クッ!!…
まさかこんな攻撃が残って居るなんて聞いてないぞ!?…
刹那が有るから今は対処が出来るけど…
刹那が切れたらまず間違いなく対処し切れない!!…
熊五郎が穴を掘り始めたのだってまだついさっきの
出来事だし!!…何か方法は!?…}
__ヴウン!!…コッ…コッ…コッ…コッ…
{だああぁぁ!!!…
刹那の使用時間の効果音が死へのカウントダウンに
聞こえる!!…とにかく何か方法は!?…
多分だがあの弾幕も長くは続かないと思うが…
何処まで続くかは分からない!!!
そうなるとずっとこのままで……
解決策が思い付かん!!!…}
マサツグが巨大フジツボのマシンガンの戸惑いながらも迎え撃っては嘆き、刹那が切れた時の事を考えては若干の絶望を覚え始める。それでも何か方法は無いのかと諦めないで思考を働かせようとするが、刹那の使用時間経過の効果音が聞こえて来るとマサツグを更に焦らせ、その集中力を掻き乱す!そうしてマサツグがフジツボのマシンガンから熊五郎を守る様にして剣を振るう事二分間…そろそろ刹那の効果が切れようとしている時、熊五郎が頑張ってくれたお陰か驚異的な速さで穴を掘り終えマサツグに声を掛け始めていた。
「……よし!!…マサツグ殿!!…
穴はこの位で大丈夫でやすか!?」
__ガガガガガガガガガガ!!!…
「マサツグ殿!?…マサツグ殿!?…」
「…ッ!!……え!?…」
熊五郎が穴を掘り終えたとマサツグに声を掛けるのだが、マサツグはフジツボのマシンガンを防ぐ事で精一杯なのか熊五郎の声はマサツグには届かず、熊五郎もそんなマサツグの様子に気が付いてか必死にマサツグの名前を呼んでは気付いて貰おうと何度も呼び続ける。そして何度読んだかは分からないものの刹那の使用時間残り三十秒となった時にマサツグが熊五郎の声を聞く事に成功するとチラッと振り返っては熊五郎の用件を聞こうとする。しかし…
「マ~~サ~~ツ~~グ~~ど~~の~~!!」
「え!?…何だって!!…
よく聞き取れないんだが!?……ッ!!…
もう掘ったの!?…ありがてぇ!!…」
この時マサツグは知らなかった…刹那を使用すると確かに周りの風景や行動はスローモーションの様にゆっくりになって見えるのだが、まさかの相手からの意思疎通もゆっくりになって見えてしまう…聞こえてしまうと言うデメリットが有ると言う事…そんな事など知らないマサツグは熊五郎が必死に身振り手振りで何かを訴え掛けて居る事に気が付くも何を訴え掛けているのか分からず、ただスローモーションで聞こえる声に戸惑って居た。しかしそんな状況下でもマサツグは熊五郎が掘った穴に気が付いては漸く熊五郎の言いたい事を理解し、マサツグが熊五郎に指示を出す!
「熊五郎!!!」
「ッ!!…漸く気が付いて貰え…」
「全力で横に避けろ!!!」
「…何ですと?……ッ!!…」
マサツグが熊五郎の名前を呼ぶと漸く気が付いて貰えたと熊五郎が安堵するのだが、マサツグは慌てた様子で今度は避けろと熊五郎に指示をすると、その指示に熊五郎は困惑を隠し切れない様子でマサツグに尋ね返す。穴を掘り終えたと思えば今度は避けろの指示…一体何を考えているのだとマサツグの考えに疑問を持ち始めるのだが、さすがにマシンガンを撃ち切ったのか小型を生成するだけの力も無い様子で巨大フジツボはマサツグに向かい突如突進し始める!それを見て熊五郎が納得するとマサツグと一緒に回避行動の体勢に移る!
__パスンッ!…パスンッ!…
…ダッダッダッダッダッ!!…
「よしよしよしよし!!…
そのままこっちに来い!!…」
「マサツグ殿!!どのタイミングで回避を!?…
その次は!?…」
「この回避だけで後は何とでもなる!!!」
「へ?…」
フジツボはもはや触手を出すと言った事もせず、ただ一直線にマサツグ達の方に向かって狼の様に突進しては触手を器用に動かし、マサツグはその様子にシメた!と言った様子で笑みを浮かべてはフジツボの突進を引き付け始める。そしてそのマサツグの後ろでは熊五郎が同じ様に回避の体勢に入ってはタイミングをマサツグに伺い、その回避後の行動について質問をするのだがマサツグはもう大丈夫と笑みを浮かべて熊五郎に答える。その答えを聞いて熊五郎はマサツグの考えには付いて行けないと言った様子で困惑するのだが、そうやって困惑している間にも巨大フジツボは勢いを付けてマサツグ達に突進して来ていた。
__ダッダッダッダッダッ!!…
「ッ!?…マサツグ殿!!…このままでは危ない!!
もう避けてくだせぇ!!」
「まだだ!!…まだ逃げちゃ駄目だ!!」
「何を言ってやすか!!早く!!…」
「ッ!?…今だ!!!」
「えぇ~~!?」
徐々に迫って来るフジツボを前に熊五郎が避けるよう指示を出すのだがマサツグはまだ引き付けると口にし、その言葉を聞いて熊五郎がもう限界だと慌てた様子でマサツグに話し掛ける!この時既にマサツグとフジツボとの距離は2mを切っており、熊五郎の言う通りここで回避しないと直撃待った無しの状態であるのだがマサツグは避けようとはしない。その間にもフジツボとの距離は更に近付き、そして遂にぶつかる寸前…約数十センチの所でマサツグが急に回避して見せると熊五郎もその突然の判断に戸惑いながらもマサツグと一緒にフジツボの突進を回避する。
__バッ!!…
「コイツで止めだ!!!火炎斬り!!!」
__ゴウッ!!!…バシュウゥ!!…ッ!!!…
ゴロン!!…ガコオォォン!!……
「……ッ!?…こ、これは!?…」
マサツグは突進を回避すると同時にフジツボの前脚代わりの触手だけを狙って火炎斬りを放ち、その触手を炙って見せるとフジツボは反射的にその前脚代わりの触手を殻の中に仕舞い込む。すると当然バランスを崩しそのまま前のめりに倒れ始めては後ろ脚代わりの触手が地面を蹴り、そのまま殻の前方を地面に引っ掛けたまま縦に回転するよう転がると、熊五郎の掘った穴の中へとピッタリ逆様にホールインワンする。回避受け身を取った後、熊五郎が振り返るとそこには自分の掘った穴に逆様に嵌って動けなくなっている巨大フジツボの姿が有り、その光景に何が有った!?と熊五郎が状況を理解出来ずに一人驚いて居ると、マサツグが徐にそのフジツボの方に歩いて行っては剣を構える。
__チャキッ!…ウジュウジュ…ウジュウジュ…
「……散々苦労掛けやがって!!…
テメェなんざ壺焼きにしてやらあぁぁぁ!!!…」
マサツグが剣を手に巨大フジツボに近付くとその殻の下には無数の細かい触手がウジャウジャと蠢いており、脚代わりの触手も何とか穴から抜け出そうと藻掻くがマサツグに焼き切られた前足が無いせいか穴から出る事が出来ない。TRPGであれば間違いなくSAN値チェックが入る光景なのだがマサツグはそれ以上に苦戦させられた事に怒りを燃やしているのか全く怯まず、文句を言っては剣を構えて怒涛の火炎斬りを弱点である腹部に向かい乱射する!
__バシュウウゥゥゥ!!…バシュウウゥゥゥ!!…
バシュウウゥゥゥ!!!…
「あ~はっはっはっはっはっは!!!
悔しいのう?…悔しいのう!?…
た~っぷりフランベしてやるから喜びやがれ!!!」
{ッ!?…ほ…本当にあれが…
妖精達に危害を加えない人間の顔でやすか!?…
あっしがまだ現役だった時に出会った事の有る
山賊の親分の様な笑みを浮かべてやすよ!?…}
__スッ…チャキッ!!…ドスゥ!!…
ピギイィィ!!…
マサツグがニヤッと悪者も裸足で逃げだしそうな邪悪な笑みを浮かべて火炎斬りを乱射し、それを見た熊五郎は本当にマサツグが森の救世主なのかと引いた様子で驚き戸惑う。そして執拗なまでに火炎斬りで巨大フジツボの腹を焼いた後、マサツグは剣を逆手持ちに構えては巨大フジツボの腹部目掛けて剣を突き立て、フジツボから悲鳴らしき声が聞こえると徐に熊五郎の方に振り返っては熊五郎を呼び始める。
「……熊五郎?」
「ッ!?…へ、へぇ!…」
「止めを頼むわ…
焦げ付くまで腹を焼いたから新たに触手が
出て来る事は無いだろうし…
何より調子に乗って火炎斬りを放ち過ぎちまった…
回復薬飲むから頼む。」
「へ、へぇ!…」
マサツグに呼ばれて熊五郎がビクッとしながら戸惑い返事をすると、マサツグは何食わぬ顔で振り返り熊五郎に巨大フジツボの止めを任せるとアイテムポーチからTP回復のポーションを数本取り出す。やり過ぎたと言いつつポーションの封を切り、回復したいからと一段落した様な脱力顔で言い訳をすると、熊五郎は戸惑いつつも了承しピクピクと痙攣し焼け焦げたフジツボへと近づいて行く。
__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…
「ッ!……ッ!!…」
__ドゴスッ!!…ドゴスッ!!…ドゴスッ!!…
ドゴスッ!!………ボフンッ!…
マサツグの突き立てた剣を更に深く打ち込むよう腕を何度も振り下ろし、約5~6回位打ち込んだ所でフジツボは完全停止した後、ボンと音を立てて消えてはアイテムをドロップし始める。その様子を見て熊五郎が若干驚いた様子を見せるも終わったと言った様子でその場にへたり込み、マサツグもある程度TPが回復したのか飲んだポーションの空き瓶をアイテムポーチの中に仕舞うと、熊五郎に労いの言葉を掛ける。
「お…おわったでやす…」
「んぐ……ご苦労さん!…はあぁ~疲れた…」
「何なんだったんでやすか?…あの生き物は?…
それにマサツグ殿のあの策は?」
フジツボを倒し終えた所でマサツグ達が一段落して居ると、やはりあのフジツボが元凶だったのか元が断たれた事により瘴気が徐々に晴れ出し、一坪の日だまり花畑に月の光が差し込むと幻想的な風景をマサツグ達の前に見せ始める。そして熊五郎が落ち着いた所でフジツボについて疑問を持ち始めると、一緒にマサツグが今までに指示して来た作戦についても疑問を持った様子で質問をし始め、その質問にマサツグは不思議そうな表情を浮かべるもキョトンとした表情で答える。
「え?…あの策って…あぁ!…あれはただの運任せ。
あいつの触手が火を嫌っていた事を確認して動きが
何処と無く狼に似て居たから突進して来るかもって
考えただけ…後は本当にその攻撃が来るまで粘るつもり
だったけど…まさかあんなあっさり来るとは…
マシンガンみたいに小型のフジツボ飛ばして来た時は
本当に慌てたし……って、如何した?…」
「……貴方は馬鹿でやすか?…」
「ッ!?…ひっでぇ!?…」
マサツグがこれと言った何の捻りも無くただそうなるよう自分が願って動いたと正直に無計画と熊五郎に話すと、そのマサツグの言葉に熊五郎は呆気に取られた表情を見せてはマサツグを凝視する。そんな熊五郎を尻目にマサツグは予想外とフジツボのマシンガンには驚いたと笑いながら話し、その何も考えていないと言うマサツグの言葉に熊五郎も呆れた様子で一言マサツグに言ってはマサツグは熊五郎の言葉にショックを受けるのであった。




