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どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-  作者: すずめさん
-第一章-スプリングフィールド王国編-
24/618

-第一章二十三節 夜の森と異様な狼とフジツボ-



日は落ちて夜の帳がマサツグ達の居る迷いの森に降り掛かり始めると、思う様に森の中を走り抜けて行く事が出来ず、まさつぐのTPが普通より早いペースで消費されて行く。何故なら幾らぬいぐるみとは言えやはり熊なのか熊五郎はマサツグより早く森の中を駆け抜けては置いて行かれそうになり、それに追い付こうとペースを上げるのだが木々の根っこが隆起する様に張ってある為、街道みたく舗装された道の様に思う様に走れない。


「はぁ!…はぁ!…きっつ!!…」


__ガッ!!……ッ!!……


「お!?…」


__クルリ…シュタッ!!…


そのせいで何度も足を取られ転けそうになると受け身を取って走り続けようとし、その分ロスが出る為更に熊五郎に引き離されそうになる。唯でさえ森の中は視界が悪いと言うのに夜が来た事で更に視界は悪く、月の光がほぼ入ってこない森の中を全力で走ると言うのは、暗闇の中を走っているのとほぼ変わらないのであった。そのせいで熊五郎の姿も捉え難く、苦戦を強いられるもマサツグは必死に熊五郎の目立つファンシーな毛皮を目印に足を動かし続ける。


__ダッダッダッダッダッ!!…


「はぁ!…はぁ!…熊五郎が速い!!…

やっぱ人間と熊とじゃ全然違うんだろうな!!!…」


__ドッドド!…ドッドド!…

ドッドド!…ドッドド!…


「マサツグ殿!

こっから先は更に険しくややこしくなりやす!!…

しっかり付いて来てくだせぇ!!…」



視界は悪い・離される・安定しない…熊五郎を見失いそうになる事数回、マサツグが手遅れ(クエスト失敗)よりも自身の身の危険を覚え始めるのだが、何とか無理やりにでも目を凝らし森の中を駆け回って居ると徐々に熊五郎へ追い付き始める。マサツグがやっと追い付いたと息を切らすのだが当然マサツグの足が速くなった訳ではなく、熊五郎が何故か徐々に速度を落とし始めると遂にはその場で足を止めてしまう。その際マサツグがハッ!とした様子で気付けば周りの瘴気は色濃く、視界がまるで暗い紫色に染まった様な奇妙な感覚を覚える。更に身体的デバフがマサツグに付与され、熊五郎も息を切らして止まった事にマサツグが可笑しいと感じては戸惑いつつも熊五郎に声を掛け始める。


「…ぜぇ!…ぜぇ!…熊五郎さん?…

いかが致しましたか?…」


「……マサツグ殿!…

こっから先はお気を付けなすってぇ!!…

着いたのは着いたでやすが…

何かヤバイのが居りやす!!…」


「…ぜぇ!…ぜぇ!…

…はあぁ~…やっぱりそう言う事ね?…」


マサツグの問い掛けに対して熊五郎が辺りを警戒した様子で殺気を飛ばし、マサツグに注意を促すとその言葉の意味をマサツグはちゃんと理解したのか、息を整えながらも剣を抜いて構え始める。妖精達の国から約二時間…北に向かって疾走をし、一応目的地である一坪の日だまり花畑には着いたみたいなのだが、辺りは瘴気に包まれており状況は定かではない。そしてその気を付けないといけないモンスターの気配は全く感じられず、ただ瘴気が身に纏わり付く様な感覚だけを感じて居ると、突如マサツグ達の不意を衝く様に瘴気の中から狼が姿を現しては襲い掛かり始める!


__バァウ!!…


「ッ!?…うおあぁ!?…」


「マサツグ殿!!…」


__バッ!!…ブォン!!…バキィ!!…


突如現れた狼にマサツグが驚き戸惑って居ると熊五郎がマサツグのフォローに入るよう狼との間に割って入り、大きく右腕を振り回すと勢いを付けて狼の腹部目掛けてラリアットを放つ!その一撃は幾らぬいぐるみの様な腕だとしても強烈な一撃で、見事狼の腹部に入ると勢いそのまま腕を振り回し、投げ飛ばす様に森の樹に叩き付ける!


__ダシィィン!!……ギャイン!!!…


「マサツグ殿!!…大丈夫でやすか!?…」


狼が森の樹に叩き付けられるとその叩き付けられた樹は勢いが凄かったのか揺れて見せ、ダシィィン!!…と叩き付けられた衝撃音と共に生々しい音も聞こえて来ては狼の悲鳴も一緒に聞こえて来る。叩き付けられた狼がそのまま樹の根元に落下すると痙攣した様子で動かなくなり、その騒ぎを聞きつけてかその狼を皮切りに次々と瘴気の中から狼達が現れると、マサツグ達を取り囲む様にして唸り始める。その際マサツグの目には瘴気の中から出て来た狼達の体から若干ながら瘴気が吹き出ている様に見え、熊五郎が心配した様子で声を掛けるとマサツグは熊五郎にお礼を言う。


「あ、あぁ…スマン!!…助かった!!……にしても…

あの三つ編みちゃんが言っていた通りっぽいな…

普通じゃないぞ!?…この狼!!…」


「…嫌な気配を感じる!!…

マサツグ殿申し訳ないがここから先は貴方を

護りながら戦う事が出来そうに無いでやす!」


「あぁ…だろうな?…

こっちとしては守って貰う方が楽なんだが…

そうも言ってられそうにない…」


マサツグが熊五郎にお礼を言ってはその瘴気を吹き出す狼をジッと見詰め、お付きの妖精が言っていた通りと驚いた様子で言葉を漏らしては若干戸惑って見せる。今までに狼を相手にした事なら確かに何度かあるものの瘴気を身に纏ったモノとの戦闘は初めてで…その狼達の目もよく見るとハイライトが消え、まるで催眠に掛かって居る様な虚ろな目でマサツグ達を見詰めて居る事に気が付く。そして熊五郎もその様子に可笑しいと感じてはマサツグに守れないと断りを入れ、その言葉にマサツグが苦笑いをしては冗談を口にしすると改めて剣を構え直し、それが合図とばかりに狼達がマサツグ達に襲い掛かり始める!


__バァウ!!…バッ!!…


「ッ!!…ンンン!!…」


__バッ!!…ブォン!!…


「フン!!!」


瘴気を纏った狼達が熊五郎に襲い掛かり始めるとそれに反応して熊五郎が一度腰を軽く落とし、足腰に力を入れて狼達の方へ向かって飛び掛かり、その力の籠った足を狼達に向けて蹴り放つ!そして襲い掛かって来た狼達を打ち落とす様に回し蹴りで一蹴し、蹴り落とされた狼はそのまま地面に落下すると叩きつけられてギャン!と吠える。その威力はやはり凄まじいものなのか樹に叩き付けられる…地面に叩き付けられ数回バウンドする…そんな狼が出て来るのだが、狼達の方もガッツが有るのかフラフラとしながらも立ち上がって見せると体勢を立て直す。そんな熊五郎の戦い方に衝撃を受けた様子でマサツグが狼の相手をしつつツッコミを入れて居ると、ある物に気が付く。


「うわぁ…ッ!!…アレ本当に熊かよ!?…

…って、うん?…」


__ヴヴヴヴヴヴ!!……


「…フジツボ?…

いやフジツボにしてはデカい様な?…」


マサツグが見つけた物とは狼の体に少し大きめの瘴気を放つフジツボで、正確な大きさで言うと約10cm位…明らかに狼の体に付いて居る筈の無いものであった。ある狼は背中…またある狼は腹部、と一頭に付き一個付いており、その異様なフジツボにマサツグが気を取られ警戒を怠って居ると、その隙を突く様に一頭の狼がマサツグに襲い掛かる!


__バァウ!!…バッ!!…


「マサツグ殿!!」


「ッ!?…刹那!!」


__ヴゥン!…


マサツグに飛び掛かろうとしている狼に気が付いた熊五郎が慌ててマサツグに声を掛け、マサツグのその声を聞いてハッ!と我に返るとその飛び掛かって来る狼を目にする。目の前では口を大きく開けたオオカミが直ぐ傍まで迫っており、一撃でも攻撃を貰えば何が起きるか分からないマサツグは咄嗟に刹那を発動して、その狼の攻撃をまるで某アクション映画の銃弾を避ける様にブリッジしては回避して見せる!


「何とおぉぉぉぉぉ!!!」


__ググググ!………ッ!!…


{今ならフジツボを斬り離せる!?…

見た感じ明らかに異常は有るのはコイツだけ!!…

だったら!!…}


「クククッ!!…ふんぬらば!!!…」


マサツグが狼の飛び付きを回避する際、偶然にも丁度その狼の腹部には異様なフジツボが付いているのを見つけ、斬れるのでは?…と考えるとブリッジ状態で剣を振って見せる。狼の腹部と自身の腹部の間を縫う様に…更にフジツボがくっ付いている境目を狙う様に…刹那のスローモーション状態を利用した剣の扱いをし、マサツグがキツイ体勢と辛そうな表情をしながらも狼ではなく、フジツボだけを切り取って見せる!


__ズパアァァン!!……ハラハラッ!!…スタッ…


「…ッ!!ぶえっくしょい!!!…あらぁ~!?…」


__バタァン!!…


「ッ!?…な!?…急にマサツグ殿の動きが!?…」


マサツグが狼のお腹の毛を若干斬る様にフジツボを斬り離して見せると狼は地面に着地後、森の中へと走って何処かへ逃げて行く。そしてマサツグの顔にフジツボを斬り落とした際の狼の毛が顔に掛かり、マサツグが盛大にクシャミをして先程の器用な斬撃の出来を台無しにすると、腹筋が限界なのかそのままバランスを崩しその場に倒れ込む。そしてその一連の流れを見ていた熊五郎はマサツグの突然の超反応に驚いた表情を見せるのだが、そんな暇はないとまた可笑しな事が起き始める!


「あたたたた…あれ?…さっきの狼は?……居ないな…

と言う事はやっぱり……あのフジツボが原因って事か!…

狼達は操られているだけだからあのフジツボだけ

何とかすれば!…って、うん?…」


__ウニュウニュ!…ウニュウニュ!!…バッ!!…


「うわぁ!?…コイツ単体でも動くのかよ!?…

気色悪!?!?こっちくんな!!…」


__ズバンッ!!…


マサツグが咄嗟の考えで狼達が操られて居る事に気が付くとフジツボだけを狙う様にシフトするのだが、その切り離したフジツボが独りでに動いているのを見つけると、フジツボの基底部から触手が生え、マサツグに向かい襲い掛かり始める!フジツボがマサツグの顔に向かって飛び掛かり、その際触手が蠢く基底部を見たマサツグが顔を青くして気色悪がると剣で一太刀に斬ってしまう。案外フジツボ自体は脆いのか打撃寄りのトライアルソードでも簡単に裂け、真っ二つになったフジツボから瘴気が噴出しては最終的に中の触手も死んだ様に乾涸び、完全に動かなくなる。


__コッ!…コッ…カランカラン…ショアアアァァァ…


「ッ!?…瘴気を吹き出した?…それに中身が…

乾涸びてる?……ッ!…瘴気も薄くなったような?…

…でも後この数を相手にしないといけないのか?…

…キチィぜおい…」


__バァウ!!…ババババッ!!…


「ッ!!…あぁ~もう!!…

幾ら刹那を使用してるからってこうも

バラバラに飛んで来られたんじゃ!!…

そうか!…まとめて斬っちまえば!!…」


フジツボを一個排除した事で心成しか若干瘴気が晴れた様な気も感じるのだが、ここまでしないといけないのかと考えてしまう。見た所残りの狼の数は約十数頭…数こそ護衛任務の時より少ないのだが手間が違うと考えると一気に疲労を感じ始め、マサツグが脱力しそうになる。しかしそんな考えも無くなる程に狼達がマサツグや熊五郎へ更に襲い掛かり始めると、マサツグは更に突発的に何かを思い付いたのか熊五郎に指示を出す!


「熊五郎!!こっちにオオカミを殴り飛ばしてくれ!!」


__バキィ!!…


「ッ!?…でもそんな事をすれば!?…」


「我に策在り!!!…遠慮なく頼む!!!…ッ!!」


「……ッ!!…マサツグ殿のあの自信!…

恐らくは先ほどのあの超反応を?…

だとしたら!!…」



飛び掛かって狼達を出来るだけ傷付けないよう剣で往なしては熊五郎に指示を出し、熊五郎も狼達を相手にしながらその指示を聞くと戸惑った様子でマサツグの身を心配する。しかしマサツグは構わないと言った様子で熊五郎に再度指示に従う様に声を掛けては狼達を相手にし、その様子を見て熊五郎が悩むもマサツグの先程の超反応を思い出してか、信じる様に自分に向かって襲い掛かる狼達を受け止めてはマサツグに向かい投げつける!


__バァウ!!…バッ!!…ガッシ!!…


「…信じましたよ!!…マサツグ殿!!!」


__ブォン!!!…キャインッ!?…

…ガシッ!!ブォン!!ガシッ!!ブォン!!


「ッ!!…よし!!………」


熊五郎が投げた狼は真っ直ぐマサツグの方に向かい飛んで行き、投げ飛ばされた狼も戸惑った様子で悲鳴を上げてはジタバタと宙で体をくねらせる。そしてその第一投を皮切りに熊五郎は次々に狼を捕まえてはマサツグ目掛けて投げ始め、マサツグがその次々に飛んで来る狼に対して若干の恐怖を覚えながらも目を閉じ、集中力を高めると正眼の構えで剣を構える!自分の間合いにその飛んで来た狼がジッと入るのを待ち…気を辺りに向けて張り巡らせ…間合いに入った物を等しく斬る!…そんなまるで達人の剣の様な構えに熊五郎が狼を投げ続けながら驚いて居ると、マサツグは第一投目の狼の気配を感じ取ったのか目を見開いては剣を振るい始める!


「ッ!!…来た!!…」


__ヒュウウゥゥ!!…


「オオオオォォォ!!!…」


__ズバン!!…


マサツグは飛んで来た狼を刹那発動状態で瞬時に確認してはフジツボの位置を確かめ、フジツボを見つけては最初にやって見せた様にフジツボと狼を切り離して、フジツボのみを確実に始末し始める!その際スローモーションで触手が動き出す瞬間等を目撃するのだが、気色悪いなどと言う暇も無い位に狼が次々飛んで来るとただひたすらに精密ロボットの様にフジツボ一つ一つを切除して行く!熊五郎が狼を捕まえマサツグに投げつける際その様子を視認するのだが、マサツグのその動きに驚愕した様子を見せてはただただ戸惑!…


__ズバン!!…ズバン!!…ズバン!!…

ズバン!!…ズバン!!!!…


「あ…あの人は何の者なんでやすか!?…ッ!!…

さっきから狼の体に付いているこの奇妙なイボだけを

斬っている様でやすが?…それよりも…

あっしが結構な勢いで投げているにも関わらず!…

狼には一切危害を加えていない!?…

マサツグ殿の目にはこれがどの様に映っている

のでやすか!?…」


{見える!!…私にもフジツボが見える!!!…

これなら!!…}


熊五郎から見るマサツグはまるで踊る様にして狼を回避し、フジツボだけを斬って狼はリリースしている様に見える。その際ほぼ剛速球に近い狼を回避し真剣な表情でフジツボだけを斬るマサツグの動体視力に驚いた様子で関心を示し、それと同時にマサツグがフジツボだけを切除して居る事に気が付く。やはり刹那発動時…赤の他人からその刹那を発動して居る者を見ると超反応で動いている様に見えるらしく、その事でも熊五郎がマサツグの動きに戸惑いを隠せない様子で見て居ると、マサツグに異変が起きる!…


__ヴゥン!!…


「……あれ?」


__…フォン!!…


「うわあ!?…」


突然何かが終わった様な音がマサツグの中で聞こえ始め、その音にマサツグも気づいてか戸惑いの言葉を漏らして居ると、マサツグの顔の横を何かが凄い勢いで駆け抜けて行く。それに気が付いてマサツグが今度は驚いた声を挙げると熊五郎が投げた狼達がマサツグに向かって飛んで来ては病院送り確定のデッドボールとなって襲い掛かる!


__ブォン!!…ブォンブォン!!!…


「うわああぁぁああぁぁぁああぁぁ!?!?!?…

はぁ!…はぁ!…し、死ぬかと思った!!…」


「ッ!?…マ、マサツグ殿!?…」


熊五郎が投げた狼達がマサツグに襲い掛かり、マサツグがかなり慌てた様子で先程の勢い何処へやら回避しては自身の胸を押さえ、息を整える。そしてさっきまで物凄い勢いでフジツボの切除をしていたマサツグの突然の変わり様に熊五郎も戸惑った様子で名前を呼び、如何したと尋ねようとするのだが熊五郎に投げられた狼達は直ぐに復帰して来たのか、木々の間から飛び出して来るとまたマサツグ達に襲い掛かり始める!


__ガサガサガサガサ!…バァウ!!…


「げっ!?…」


__ダッダダ!!…ダッダダ!!…

ダッダダ!!…ダッダダ!!…


「あああああぁぁぁぁぁぁ!!!

助けてぇ~~~!!!!」


「マ、マサツグ殿ぉぉ~~~!?!?!?」


マサツグの後ろから狼達が現れ…マサツグが不味いと言った表情を浮かべて逃げ出すと、その後を追う様に狼達がマサツグを追い掛け回す!マサツグがその場を回る様に走りながら逃げ回って助けを呼び始めると、先程の威勢は完全に消えて無くなりその余りの変わり様に熊五郎もかなり戸惑った様子でマサツグの名前を叫ぶ!その叫ぶ声からも動揺が全くと言って良いほど隠し切れず、とにかくフォローをしようと駆け寄り注意(ヘイト)を集めようとする。のだが、狼達は何故か執拗にマサツグを追い掛け回す。


__ザザァ!!…


「こっちを見ろおおぉぉぉ!!!」


__スカァ!!…ダッダダ!!…ダッダダ!!…

ダッダダ!!…ダッダダ!!…


「な、何故!?…」


熊五郎がマサツグの行き先に先回りをし、マサツグが通り過ぎた後…狼達の前に飛び出し大の字で壁になって見せるのだが、狼達は腋の間・股下など間を潜り抜けては熊五郎を完全にスルーしマサツグを追い掛け続ける。その狼達の様子に熊五郎も困惑した様子で振り返り、狼達の後を慌てて追い始めるのだが如何したら注意が引けるのかと考え始めるより、マサツグに刹那は使えないのかと戸惑いながら聞き始める。


「マサツグ殿!!…さっきのは!?

もう出来ないのかぁ~!?」


「あああああぁぁぁ!!!…あぁ!?…

ちょ~ッと厳しいかなぁ~~!!!」


熊五郎の質問にマサツグは狼に追い掛けられながら自身のスキル欄を開き、残りの再使用可能時間(クールタイム)を調べると約二分間は使用出来ない。使用時間は約三分…再使用可能時間(クールタイム)にも約三分と改めて刹那の使用時間計算に悩まされている間も狼はマサツグを追い続け、徐々にマサツグのTPを奪い始める。そんな逃げ回っている時間すら惜しい状況なのに打つ手が無いマサツグがただ狼達から逃げ回って居ると、更に状況は悪化する様に瘴気の壁から突如新たに狼が一頭姿を現す!


__ノッシ…ノッシ…ノッシ…ノッシ…


「あああああぁぁぁぁ!!!…って、えぇ!?…

な…何だあれ!?…」


「ッ!?……如何やら…

あっしが探していた元凶だと思いやす!!…」


新たに現れた狼にマサツグが気付き、後方の狼達に注意しつつその姿を確認しようとその狼に視線を向けると、そこには目を疑う光景が待っていた。恐らくはこの狼達のボスであろうその狼は他の狼達より体が大きく、毛並みも灰色と中々の威圧感を放っていた。姿を現したのはマサツグ達がここで子分の狼達と戦闘を始めたからであろうが、その様子は目に見えて可笑しかった…何故なら…そのボス狼の背には今まで子分に付いて居た物同様のフジツボと共に1~2m位はある巨大なフジツボがガッチリとくっ付いており、明らかにその狼も洗脳されていますとばかりに口から涎がだらだら…目も何処を見ているのか白く濁っている様に見え、勿論の事ながらその背中のフジツボからはまるで護摩焚きをしているかの如く、黙々と瘴気を放ち続けていた。その容姿はもはや狼と言うよりは四足歩行のヤドカリで、余りの重さ(フジツボ)に走る事は出来ず歩くのがやっとと言った様子でゆっくりと歩いて来る。そしてそれを目にした熊五郎がやっと見つけたと言わんばかりのそのヤドカリモドキを睨み付け、一度マサツグを追い掛ける狼の追跡を止めるとその元凶の方に足を向ける!


__ダン!!!…ヴヴヴヴヴヴ!!!!……


「ッ!?…熊五郎もマジかよ!?…」


熊五郎がその巨大フジツボに殺気を飛ばし間合いを取り始めると敵意を剥き出しに威嚇し始め、丁度口の縫い目だろうか…そこから口がガパッと開き、中からは鋭い牙が並んで見えてはそのファンシーとは掛け離れた姿にマサツグが驚き戸惑う。フェルト地ながらも本物の熊以上の迫力に匹敵し、威圧感を放っては森の主と呼ばれる所以をマサツグや狼達に見せつけていると、マサツグの方も三分間逃げ回る事に成功したのか漸く刹那が再度使用出来る様になる。


__ピピピッ!!…


「ッ!?…刹那が使える!!…刹那!!…」


__ヴウン!!…


「よし!!…ハアアアァァァァ!!!!」


__バァウ!!…バッ!!……ッ!!…

ズバン!!…ズバン!!…ズバン!!…


マサツグが刹那の再使用可能に気が付き、速攻で刹那を発動すると追って来る狼達の方に振り返る。そして追って来た狼達に向かい剣を握って走り出し、狼達もマサツグに向かい飛び掛かり出すと、マサツグはまるで狼達の飛び掛かりを回避しては辻斬りの様に通り過ぎながら残り五頭の狼のフジツボを切除してしまう!フジツボを切除された狼達はやはり洗脳が解けた様子でその場から逃げる様に森の奥へと走って行き、残るは親玉だけとなった所でマサツグが熊五郎と合流する。


__ザザザアァ!!!…チャキッ!!…


「熊五郎おまた!!!…」


「ッ!!…マサツグ殿!!ご無事で!!…」


「喜ぶのはまだ早いだろ?……ッ!!…」


二人が合流するとマサツグが待たせたと声を掛けて巨大フジツボに剣を構え、熊五郎が後ろから来たマサツグの無事を喜んだ様子で声を掛けるのだが、まだ親玉が残って居るとマサツグが答えては巨大フジツボを見詰めたまま構え続ける。しかしその肝心の巨大フジツボの親玉はと言うとマサツグ達の前に姿を現しただけで全く襲い掛かってくる様子は無く、ただマサツグ達の前に鎮座してはプルプルと小刻みに震えるだけで動かない。


__プルプル!…プルプル!…


「……動かない?…」


「油断はなされぬよう!!…先程から嫌な気が!…」


__プルプル!!…ニュルッ!…ガパァ!!!…


「…え?…」


一切攻撃をしてこない巨大フジツボにマサツグが戸惑って構えを甘くするのだが、熊五郎がマサツグに気を抜くなと注意をしては嫌な予感がすると伝えようとする。しかし熊五郎がその言葉を言い切るより先に巨大フジツボが突如基底部と親玉狼の背中の間から触手を伸ばし出し…その触手を脚代わりに地面に立って見せると親玉狼ごと若干宙に浮いて見せ、次の瞬間巨大フジツボは親玉狼からキャストオフし自立する。その光景を目にしたマサツグが戸惑いフジツボを見詰め、切り離され地面に落ちた親玉狼はまるで養分を吸い切ったと言わんばかりに放置されてはピクリとも動かない。そして宙に浮く様にして触手でバランスを取る巨大フジツボの基底部はと言うと、脚にしている触手とは違った他の触手がウネウネトと蠢いているのが見て取れた。そんなショッキング映像を目の前にマサツグ達が動揺を隠せないで居ると、巨大触手はまるで次の養分を見つけたと言わんばかりにマサツグ達へ触手を伸ばし襲い掛かり始める!


__グジュグジュ…ビュッ!!…


「ッ!!…おわあぁ!!…」


__ダアァン!!…


「クッ!!…何てモン創ってんだよ!!…

運営はよ!!!…

これで薄い本でも作れってのか!!!…

誰得だっての!!…クソッ!!…

鑑定(アプレェィザァル)!!」


巨大フジツボが勢い良く伸ばして来た触手は一直線にマサツグ達の方へ襲い掛かり、それに不味いと感じたマサツグと熊五郎が回避して見せると触手は地面に突き刺さる!触手は意外と固いのか地面を抉り、直径10cm位のクレーターを作ると元の長さに戻るよう縮み始め、その意外な攻撃力の高さにマサツグが驚いた様子で運営に文句を言い出し、触手=決まり文句と言った様子でマサツグが誰得と更に文句を言っては巨大フジツボの鑑定をする。


__ピピピ!…ヴウン!…


 -----------------------------------------------------------------------


瘴気壺魔虫(しょうきつぼまちゅう)(成虫)」  


 Lv.25


HP 16500  ATK 150  DEF 250


       MATK 0  MDEF 250



 SKILL


 寄生 Lv.5  毒触手 Lv.5


 -----------------------------------------------------------------------


「ッ!?…防御が地味に高い!!…

そりゃあの殻だと外からのダメージは

大した事は無いだろうけど!?…

…となると……考えたくないなぁ…」


__ヒュンッ!!…ヒュヒュン!!…ヒュン!!…


「クッ!!…こりゃ!…厳しいですが!!…

フン!!!…」


__ガキイィン!!!…


マサツグは鑑定の結果…巨大フジツボの防御力に驚きあの殻に攻撃しても無駄だと他の壺魔虫と比べて自覚しては、唯一攻撃が通りそうな場所を見て嫌そうな表情をする。熊五郎は一人触手の猛攻を掻い潜りとにかく落ち着かせようと腕を振り上げ、硬い殻など関係ないとばかりに拳を繰り出して見せるのだが、やはり並みの一撃ではダメージどころか殻に傷を付ける事すら敵わない。寧ろその頑丈さ故に熊五郎が反動ダメージを負った様子でよろめき、動きを止めてしまいそうになる。


「グッ!!…何て頑丈さ!!…

これは…鉄鋼樹に匹敵する硬さ!!!…」


「ッ!?…熊五郎!!!…」


「心配なされるな!!…

とにかくコイツを!!…早く!!…」


「分かって居るけど!…

…どうやったらアレを倒せる!?…」


熊五郎がその巨大フジツボの頑丈さを学んだ様子でよろめきながらも触手の攻撃を回避し、マサツグが熊五郎の様子に心配の声を掛けるのだが熊五郎は大丈夫と答え、時間が無いとばかりに巨大フジツボへの攻撃をマサツグに指示をする。しかし熊五郎の拳でさえ弾かれ、自身の持つ武器は最弱と手が無い状態…そんな状態化でも自分が出来る攻撃を考えるのはマサツグとしても辛い所であった。



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