-第三章二十九節 マサツグ一行珍道中とガクブル状態と箝口令-
アルスが独りでに怒ったり幼児退行したり…ただ宮殿を出るだけでドッと疲労感を感じつつも…何とか宮殿を出て玄関口辺りまでやって来ると、マサツグ達は一息吐く。そして改めて一同はダークエルフ達の住む地上へと降りるよう歩き出すのだが…その際マサツグはいつもの様に外の光景を目にすると青褪め出し、徐にシロへ助けを求めるよう呼び掛けると、シロもマサツグに呼ばれて反応する。
「……シロ?…」
「ッ!…はいです!」
__テテテテ!…バッ!!…スッ…ガシィィン!!…
「よしよぉ~し!…」
マサツグに呼ばれて元気に手を上げて返事をすると、察した様子でマサツグの元まで走って行き!…そしてマサツグの目の前で足を止め、まるで抱っこして欲しい!と言った様子で笑顔で両手を広げて見せると、マサツグは無言でシロを抱っこする。その際効果音で何処と無くロボットの合体音みたいなのが聞こえて来そうなのだが、その後マサツグはシロに甘えるよう抱え込み!…シロもシロで満更でもない様子でマサツグをあやし始めると、それを見たアルスは絶句する!…
「ッ!?……ッ!?!?……」
「……いや、言いたい事は分かるんだぜ?…
ただあぁしないとマサツグは本当に駄目で…
それも地上に降りるまでの間なんだ…
そっとしてやってくれ…」
「あんだで?…やっぱ駄目だでか?…
まぁ…確かにここは高いだでど?…」
「……俺がこの高さに慣れる事は無い…」
シロを抱っこすると言っても自らフェ〇スハガーをされている様な物で…アルスは近くに居たレイヴンの方に振り向くと、酷く戸惑った様子でマサツグ達を指差すのだが…レイヴンはレイヴンで説明に戸惑った様子で、アルスの気持ちも分かるとばかりに悩むと、とにかく気にしない様に声を掛ける。こればかりは如何しようも無いと言ってはそっとするよう言葉を掛け、オーディックもマサツグのその姿を見て若干呆れながらに声を掛けると、仕方ないと漏らす…そしてそんな三人に対してマサツグもシロを顔に張り付けながら、絶対に慣れないと言い出し!…前が見えて居ない筈なのに慣れた様子で歩き出すと、更にアルスを戸惑わさせる!…
__コッ…コッ…コッ…コッ…
「ッ!?!?…ッ!?!?!?……」
「あぁ!…分かった分かった!…
でも気にしちゃ駄目だ!…
あれはある種愛が成せる業だからな?…俺達には…
…って、そう言う事を言いたいんじゃないんだろ?…
とにかく気にすんな!…
…あの二人と関わって色々気にしてたら
キリがないぞ?…」
「おぉ~い!!…置いて行くだよぉ~?…」
「…ほら…オーディックですらあの順応ぶりだ…
とにかく行くぞ?…」
シロにフェイ〇ハガーをされていて前が見えて居ない筈なのに!…何の問題も無くマサツグがシロを抱えて歩き始めると、更に困惑した様子でアルスはマサツグ達を指差す。その際何故かレイヴンのローブを引っ張ると言った困惑振りを見せると、レイヴンもあやす様に声を掛け!…とにかく気にするな!と念押しをし!…アレは常人には出来ないと言った様子で説明をして居ると、オーディックはついて来て居ない二人に声を掛ける!…オーディックはマサツグ達と一緒に歩いていたのか、急ぐ様に手を振って見せ…その様子を見たレイヴンもアレが正しいとアルスに教え…先を急ぐ様に歩き出すと、アルスは自分が可笑しいのか!?…とばかりに困惑し続けるのであった。さて話はユグドラドの市街地に…マサツグを先頭にオーディック・レイヴン…そしてアルスと某・ド〇クエみたく歩いて居るのだが、当然そんな奇妙な団体を見たエルフ達は揃って「え?…」と言った反応を見せると、マジマジ見詰めて居た。
__ゾロゾロ…ゾロゾロ……ッ!?……
「……なぁ?…
何故この様に視線を浴びて居るのだ?…
やはりアレを止めさせた方が?…」
「無心だ!…無心!!…
これも心の修行と思ってただ歩け!…
この視線もあくまでも地上に降りるまでの間!…
気にしちゃ駄目だ!!…」
「……お前達は何か苦行を続けている僧侶か何かか?…
まるでオータムクラウドの僧兵…だったか?…
そんな一団の様に感じられるのだが?……」
まずはいつも通りケモミミ幼女を抱えているマサツグに視線が行くと、後続に巨大な二足歩行の猪が付いて行く。更にその後ろを全身ローブで身を包んだ怪しい奴が付いて行き!…最後に我らがエルヴンナイツの副隊長が付いて行くと、もはや状況が飲み込めない様子で周りはざわつく!…ただでさえ最初は怪しいだけの冒険者達だった筈なのだが、いつの間にかエルヴンナイツを巻き込んで居ると!…ざわつきにざわつく周りの様子に!…アルスも慌てた反応で再度レイヴンに声を掛けると、レイヴンは修行と言っては無心と語り!…そんなレイヴンからの返答に!…アルスもただただ困惑した反応を見せると、苦行をしているのか?と悩みながら尋ね出すのであった…
さてまた場面は変わって、あのシャボン玉エレベーター…マサツグ達が乗り込むと操作をアルスがするのだが…その際行き先を地上では無くいつもの感じで上層部に間違えて設定をすると、ある異変が起きる!…
__スッ…スッ…スィ~~!…
「……あっ…いかん…
いつもの調子で上に行くよう設定してしまった。」
「ッ!?…ちょっ!!…何をし!!…ッ!?…」
__ガタガタガタガタガタガタガタガタガタ!!!…
アルスが設定を終えるとシャボン玉エレベーターは上へと浮上し…アルスもそれを見てウッカリしたと話して居ると、レイヴンが軽く慌てた様子で早く戻すよう声を掛ける!…当然そんなレイヴンの慌て様にアルスも一度は戸惑った反応を見せ、何事か?と言った表情をするのだが…時既にお寿司と言った様子でレイヴンはマサツグを見つけ、そこでシロを抱えながら蹲り某・クローゼットのた〇し張りに震えている様子を目にすると、遅かった…と言った様子で自身の顔に手を当てる。そしてその震えているマサツグの方はと言うと、シロが必死にマサツグを宥めようと頑張っており!…何度も何度も声を掛け!…マサツグの代わりに怒るようアルスに声を掛けると、地上へ向かうよう指示を出す!…
「ッ!?…ご、ご主人様!?…
だいじょぉぶ!!…だいじょぉぶですよぉ!!…
…早く地面に降ろしてください!…
ご主人様が可哀そうです!…
…シロとしてはこのままでも……ッ!…
いやいや!…早くしてください!」
「このままが良いのか降ろせば良いのかどっちなのだ?…
とにかく少し待ってくれ…今設定をし直す…」
__スッ…スッ…スィ~~!…
宥めるシロをマサツグは必死に抱え込み!…シロもそれに合わせて慌ててマサツグを宥めると、やはり満更でもない様子で尻尾をブンブンと振る!…寧ろ甘えてくれている事に無上の喜びを感じている様子で、慌てつつもそんなマサツグを堪能する様に!…それでもアルスに文句を言い!…その際若干の本音をポロリと漏らして居ると、アルスからツッコミを受ける。そしてアルスも待つようマサツグ達に声を掛けると、改めて設定をし直し…今度こそ地上へとシャボン玉が降り始め、それに合わせてマサツグの震えも落ち着き出すと、シロが安堵する。
__ガタガタ!!ガタガタ!ガタガタ……シィ~ン…
「……ふぅ!…よしよぉ~し!…」
「……なぁ?…アレで本当に大丈夫なのか?…
情けないを通り越して今まで良く生きて来れたなと
感心しそうなのだが?…」
「……あれでもれっきとした冒険者で
ギルマスのお気に入りなんだ…
言わないでやってくれ……後、腕は確かだから!…
ただ本当に高い所が駄目なだけで…」
マサツグが落ち着いた所で一息吐くと、シロは再びいつもの様子であやし出し…そんな様子を見て居たアルスにレイヴンはと言うと、呆れた様子で会話する…もはやこんなので大丈夫なのか?とアルスが疑問を持つ一方で、レイヴンも一応マサツグのフォローを入れる様に言い訳をし…オーディックはオーディックで不思議そうにそのマサツグの様子を見ており…何をそんなに震えていたのか?と言った様子で首を傾げて見せると、同時に人差し指で自身の頬を掻いていた。そうしてそんな騒動が有ったながらもマサツグ達は無事地上に辿り着くと、マサツグは生気を取り戻した様子で立ち上がり!…抱えて居たシロを反転させるよう180°グルン!と回し!…シロを肩車するよう背負い直すと、今までの事をなかった様にするよう振舞い出す!…
__……スック…スッ…ッ!…グルン!…
「……さぁ!…地上に降りた事だし?…
いっちょ頑張りますかぁ!!!」
「ッ!?…急に元気に!?…」
「言っただろ?…本当に高い所が駄目なだけで…
他は至って普通の奴なんだ…
…まぁたまにトンデモナイ事までするが…
それ以外は本当に…」
「…さっきからチョイチョイ酷ぇ事言ってっからな?…
レイヴン?…
てかいつの間にそんな仲良くなったんだ?…」
気持ちを切り替える様にマサツグが振り返ると、レイヴン達に声を掛け!…この時マサツグからはあの弱々しさは感じられず!…活き活きとし出した事にアルスが驚いた様子を見せて居ると、レイヴンが先程の話を肯定するよう話し掛ける。その際再度説明するようマサツグの弱点を口にすると、チョイチョイ話しの合間に毒を混ぜ!…そのレイヴンの会話はマサツグにも聞こえており!…マサツグがレイヴンにツッコミを入れるよう言葉を口にすると、レイヴンは恍けて見せる…
「ッ!…おっと、何の事やら?…」
「今更恍けても遅ぇんだよ!!…
…ったく!…で、シロちゃん?…
その花の匂いは追えるかな?…」
「…スンスン…ッ!…はいです!…
あっちの方から匂いがします!」
「よし!…じゃあ今度こそ!…行くぞ!!」
遅れながら恍けて見せるレイヴンに、マサツグも更に文句を言うようツッコミを入れると、レイヴンに呆れつつもシロに声を掛け始める。この時話し掛けた内容としては、あの花の匂いについてで…追えるかどうかについてシロに質問をすると、シロは集中するよう目を閉じて匂いを嗅ぎ出し…そしてその匂いを嗅ぎ分けたのか、目をパッと開いて元気に特定した!と返事をすると、その匂いのする方向を指差す。こうしてマサツグもそれを聞いてシロを褒める様に言葉を漏らすと、号令を掛けるよう徐に腕と声を振り上げる!…
「オォ~~!!!」×2
「おぉ~…」
「お、おぉ~?…」
__どよどよ!…どよどよ!…
「……ん?…一体何の騒ぎ?…
…ッ!?…ア、アルス殿!?」
その突然の掛け声に反応するようシロとオーディックはノリノリで掛け声に乗っかり!…そんな二人に対してレイヴンは若干疲れた様子で…アルスはアルスで戸惑いながらもマサツグの号令に乗っかり、一行はユグドラドを後にするよう外へと旅立つと、周りからは奇異な目で見られるのであった!…この時周りに居た他のエルフ達に奇異な目で見られると同時に、その光景に驚き戸惑い!…アルスが居る事に「えぇ!?…」と目を見開くよう困惑の様子を見せており、門番達もその様子を見て居たのかアルスの姿を見つけると、慌ててマサツグ達の所へ駆け寄って来る!…
「ッ!…ん?…今誰かに呼ばれた様な?…」
__ダッダッダッダッダッダッ!…
「ア、アルス殿!!…この様な場所に!…
一体何故!?…」
門番達が駆け寄って来る際!…アルスもその門番達の戸惑いの声が聞こえたのか、耳をピクっと反応させると辺りを見渡し…そして慌てた様子でこちらに向かって来る門番達を見つけ、その慌て様に一体何事か?と言った表情をマサツグ達が見せて居ると、門番達はアルスの前に立つなり質問をし始める!…この時その門番達は何処かアルスに怯えた様子で、息を切らしながらも若干腰が引き気味で声も震えており…余程絞られた過去が有るのか、門番の一人が青ざめた表情を見せて居ると、アルスもその門番達の問い掛けに対して何事も無く答え始める。
「ッ!…あぁ、この者達と共に任務へ…
何、滞りなく済ませて帰って来るつもりだ!…」
「ッ!…そ、そうなのですか!……ッ~~~…」
「……ッ?…何、如何した?…
言いたい事が有るなら行ってみろ。」
この時その青褪めて居る門番の存在には気が付いて居ないのか、アルスは自分を慕ってくれていると誤解した様子で答えており!…門番達の問い掛けに対して任務と答え!…問題無く済ませて来ると笑顔で続けて居ると、その答えを聞いた門番達は何故か暗い表情を見せる。その際暗い表情と言っても、ガッカリしたとかではなく…単に何かに不安を抱えており、アルスもそれに気が付いた様子で門番達に声を掛けると、門番の一人が恐縮した具合に答え出す!…
「ッ!…は、ハァ……で、ではご報告を…
現在このユグドラドの出入口全体に
箝口令を布いておりまして…」
「ッ!…何?…」
「何でもここに向かって来る道中の商人より聞いた話
なので確証はまだないのですが…
如何にもある場所にモンスター共が集まっているらしく、
何やら不穏な空気を見せて居ると…
…現在その確認を急がせる様にはして居るのですが…」
「…まさか連絡が!?………ッ~~~!!…」
門番が話し出したのは非常事態と言う事で、周りのエルフ達を混乱させないよう控えめに話し…当然その箝口令の話にアルスも戸惑い!…詳しい理由を尋ねる様に言葉を漏らすと、門番は続けて箝口令の理由を説明する。その際やはり緊張した様子で説明し始めると、箝口令の理由にモンスターを上げ!…そのモンスター達が如何にも不穏と!…何か企んでいる様子から斥候を向かわせたらしいのだが、連絡が無く!…更に嫌な予感を感じさせていると、アルスも心配した様子で更に言葉を漏らす!…その際自分が助けに向かおう!とも考えた表情を見せるのだが、女王様からの任務が有る為か躊躇い!…葛藤した様子で何やらウロウロとし出し!…マサツグ達もそれを見て呆れた表情を滲ませると、アルスに提案をする!…
「……なぁ、副隊長さん?…
そんなに心配なら助けに向かうか?…」
「ッ!!…しかし!…」
「いや、確かに女王様からの依頼も有るけど…
それはそれだし!…何なら期限は無い訳だし?…
少し位の寄り道も仕方が無いと思う!…
それにシロなら大丈夫だと思うし…
…如何だ、シロ?…」
「ッ!…はいです!!…大丈夫なのです!!!」
行動態度から明らかに助けに行きたい!と言った様子を見せており…葛藤するアルスに助け船を出すようマサツグが声を掛けると、助けに行く事を提案する。するとその言葉にアルスもマサツグの方に振り返っては、一瞬は明るい表情を見せるのだが…やはり任務が最優先なのか直ぐに表情は曇り、更にそれを否定する様な言葉が出そうになると、マサツグは更に畳み掛ける!…この時人命最優先だから仕方がないと説得するよう言葉を口にすると、シロにも確認を取り!…そのマサツグの言葉に対してシロは元気に手を上げては大丈夫!と返事をし!…匂いは消える事無く依然追えると言った様子で余裕の笑顔を見せると、マサツグもそれを見るなり再度アルスへ話し掛ける。
「……な!」
「ッ!…な?…っと言うが!…」
「……はあぁ~!…
確かにそう言われて放っておくのも後味悪いし…」
「困った事が有ったらお互い様だで!…
いっちょ先にそのエルフ達を助けに向かうだ!」
ただ笑顔で一言…な!…と言われ、アルスもその表情に面食らった表情で戸惑うと、もはや元のキャラもブレブレの様子で困惑する!…その際やはり任務を引き摺った様子でワタワタとした反応を見せるのだが、レイヴンが徐に溜息を吐くと面倒臭そうながらもやる気を見せ!…それに同乗するようオーディックも助けると答え出し!…アルスに笑顔で安心させるよう言葉を掛けると、その三人の様子にアルスは驚いた様子で目をパァっと見開く!…この時彼女はどう考えて居たのか?…ただ目を見開いては唖然とした様子で立ち尽くしており!…マサツグ達もそんなアルスを置いてけぼりに門番へ声を掛けると、まずはその斥候達の向かった行き先について尋ね出す!…
「……で、その斥候達が向かったのは?」
「ッ!…え?…あっ…は、はい!…
ここより街道沿いに数キロ!…
何でも近くに野営跡が有るらしく!…
そこにモンスター共が屯して居ると!…
商人の話では数にして約十数体居るらしく、
奴らもまた斥候なのでは?と…
…因みに種類に関してはリザードマンとゴブリンの
混成部隊で、即席なのか武装も然程と聞いて居ます!…」
やる気を見せて居るマサツグ達にアルスだけでなく門番達も呆気に取られ…当然そんな状態なのでマサツグに声を掛けられると驚き戸惑い!…思わず反応が遅れてしまうと、偶発的に緊張した様子で敬礼をする!…これは余程仕込まれたのかそれとも勤務する上で付いた癖か…とにかく戸惑った様子で返事をすると、そのモンスター達の居る場所について話し始め!…更にモンスターの数に種類と!…予めその商人から聞いたのか現時点で分かって居る事を門番が話して居ると、その話の中でマサツグがある事に反応する…
「ッ!…リザードマン?…
…やっぱシロの言う通りトカゲ?………」
「……ッ!…ご主人様?…」
マサツグが反応したのはリザードマンと言う言葉で、引っ掛かった原因としてはシロに有り!…シロは謁見の間に居る時からトカゲの臭いを感じると言い…その原因が奴らなのか?と考えると、マサツグは如何にも嫌な予感を感じてしまう!…先程門番達もそのモンスター達は斥候かも知れない!と話して居た事から、更に疑問を持ち!…その場で悩むよう顔を顰めると、腕を組んでは悩み出し!…その様子に気が付いた反応でシロがマサツグに声を掛けると、マサツグも声を掛けられた事でハッとしては直ぐに笑顔を見せる。
「……ッ!…え?…あぁ!…何でも無い!…大丈夫だ!…
…じゃあまずは斥候のエルフ達の救援に向かいますか!」
__オォ!!!…タッタッタッタッタッタッ!…
「………ッ!…ちょ!!…勝手に決めるな!!…
と言うより!!…私を置いて行くなぁぁ~~~!!!!」
__ダッダッダッダッダッダッ!………えッ?…
そして安心させるようシロに何でも無いと返事をすると、先程の様子を誤魔化すかのようレイヴン達へ号令を掛け!…そのマサツグの呼び掛けに対してオーディックとレイヴンも乗っかる様に答え!…それぞれの反応を見た所でマサツグも納得した様子で歩き出すと、呆けて居るアルスを置いて行く様に先を急ぐ!…当然これにはアルスもハッと気が付いた反応を見せると、慌ててマサツグ達に声を掛けては付いて行こうとするのだが!…何よりも戸惑って居るのは門番達の方で!…初めて見る…と言った様子で振り回されて居るアルスの後ろ姿を見詰めると、イマイチ状況を飲み込めずに居るのであった…
ではそんな門番達を置いといて場面は変わり街道沿い…あの後何とかアルスはマサツグ達へ付いて行く事に成功し、門番達の言う通りに歩を進めて居ると!…ふとそれらしき影を見つける。門番達から話を聞いた通り!…約数キロの所に岩場が有って、その岩場に隠れるよう革製のテントが設営されて有り!…何なら火を起こして居るのか煙が細く昇っており、まるで目印とばかりにあからさまな様子を見せて居ると、マサツグ達も警戒した様子でその野営地へと足を進めて居た!…
__ザッ…ザッ…ザッ…ザッ……そぉ~~……
「……これ見よがしに煙が昇ってたから来て見たけど…
ビンゴっぽいな?…」
「……で?…肝心の斥候さん達は?…
見た所それらしき人影は見当たらないが?…」
「スンスンッ!…ッ!…
こりゃテントの中に隠れてるだな!…
…それに汗の臭い!…
恐らく何か汗を掻く様な事をしてるだでか?…
…んだども見張りもいねぇし…不気味だで…」
野営地に近付くと近くの岩場に身を隠し!…音を立てない様に岩陰からその様子を覗き込むと、まずはその目印の焚火を見つける。そこから焚火を中心にテントが四つ設営されて有るのを見つけると、続けてモンスターの影を探すのだが…何処を見渡してもそのリザードマンにゴブリンの姿が見つからず、何なら斥候の姿も見当たらずマサツグ達が困惑して居ると、オーディックは徐に臭いを嗅ぎ出す!…まるで周囲の状況を確認するよう天を仰ぐ様に匂いを嗅いで見せると、何かを感じた様子でパッと目を見開き!…そしてテントを指差しては汗の匂いがすると言い…とにかくテントの中に何かが居る事を特定すると、周りの状況も相まってか不気味がる!…しかし幾ら様子を見て居た所でそれ以上に何も分かる事は無く、ただ時間だけが過ぎて行き!…
__………ッ~~~~!!!!…スック!…ッ!?…
「…えぇ~い!!…本当に何か居るのか!?…
何も出て来ないでは無いか!!!…」
「ちょ!?…落ち着けぇ~!!
罠かもしれない!…」
「構うものか!!…真っ向から叩き伏せてや!…」
何も変わらない状況に業を煮やした様子で!…アルスが我慢ならない!と言った感情丸出しで岩場から出ると、一人そのテントに向かい歩き出す!…当然これにはマサツグ達も慌てて小声でバレないよう止めに入るのだが、アルスは全く聞き入れず!…寧ろその言葉が彼女の闘志に火を付けたのか、一人ズカズカとそのオーディックが指差したテントに向かって行くと、そのテントの垂れ幕に手を掛け!…そして勢い良くその場で捲って見せると、次の瞬間アルスは何かに酷く驚いた様子を見せる!…
__バサアァ!!!…ッ!?!?…
「なっ!?……あっ!……」
「……ッ?…何如何し……ッ!?…」
テントを骨組みだけにするようアルスが革を捲って見せると、そこには様子を見に来たであろう斥候の女性エルフの姿が!…辛うじて局部は隠されているがほぼほぼ全裸で!…酷く甚振られたのかそれとも嬲られたのか!…とにかくボロボロの状態でその場に横になっては生気を失った目をしており、アルスの存在に気が付いた様子で視線を動かすと、静かに涙を流し始める!…これにはさすがのアルスも酷く驚いた様子で絶句すると、その場から動けなくなり!…後ろから様子を見て居たマサツグ達もその光景を目にすると絶句し!…オーディックは気を利かした様子で見てはいけないとシロに言うと、すかさず目を隠す!…
「ッ!?…あれま!!…アレは見ちゃいけんよ!!!…」
「ッ!…え?…何?…何ですか?…」
「……シロは見ちゃ駄目!…
そのままオーディックと一緒にジッとしてなさい!…」
「ッ!…はいです…」
シロに見てはいけない!と声を掛けると同時に、オーディックも見たくないと!…自身も視線を逸らすとただひたすらに戸惑った反応を見せており!…シロはシロで突如目隠しをされた事で戸惑い出すと、ただ何が有ったのかを尋ねる!…だが幾ら誰に何が有ったのかを尋ねた所で、誰からもその事に対して返事は無く!…寧ろマサツグから真剣なトーンで見ない様に言われ!…そのマサツグの指示にシロもビクッとした反応で素直に返事をすると、若干怯えた様子を見せる!…まるでマサツグに怒られるのでは!?…と言った反応を見せるのだが、当然それ所では無く!…シロに悪いと思いつつ辺りを見渡し!…他に敵が居ない事を確認すると、マサツグはレイヴンに指示を出す!…
__……チラッ?…チラッ?……
「…かっつぁん?…俺も今からここを出る!…
その際敵が湧いたら不味いから!…
いつでも援護出来るよう準備を頼む!…
…オーディックはそのままシロと待機!…
シロは良いって言うまで見ない様に!……いいな?…」
__ッ!…コクリ!…×3……ッ…
「…気を付けろよ?…
さすがに大群で来られるとカバーし切れないからな?…」
呆けて居るアルスは使い物にならず!…マサツグが助けに行く動きを見せると、レイヴンも察した様子でマサツグの指示に従う!…この時マサツグは同時にオーディックやシロにも指示を出し!…全員に確認を取るよう声を掛けると、指示をされた三人は静かに頷く!…その際シロだけはやはり怯えた様子を見せており、マサツグもそれを見るなり若干心苦しくなり…後で謝る事を考えながら、腰を上げて岩場から乗り出すよう動き始めると、そのマサツグに対してレイヴンが注意するよう声を掛け!…その声を聞いてマサツグも振り返らずそのまま突き進むと、後ろに向かいサムズアップをして見せる。さてそうしてマサツグも現場にやって来ると、今だアルスは目の前の現実が受け入れられない様子で!…ただその倒れているエルフに視線を向けては動揺を隠し切れず!…視線と自身の身をプルプルと震えて何かに耐える様な様子を見せて居ると、マサツグはアルスに声を掛ける!…
「……ッ!……」
「……おい、アルス!…しっかりしろ!!」
「ッ!?…なっ!?…
わ、わわわ!…私の事は苗字で!…」
マサツグが背後から声を掛けると、アルスはハッとした様子で意識を取り戻し!…そしてマサツグに名前で呼ばれた事で動揺すると、更に戸惑い様を露わにしては文句を言うのだが!…マサツグはそれ所では無いと声を掛けては真剣な眼差しで辺りを見渡し!…とにかく周りに対して警戒した様子を見せると、キビキビとアルスに指示を出す!…
「動揺してるとこ悪いがそれ所じゃねぇ!…
今は救助最優先だ!!…
…さすがにこの状態だと自力で服を着る事すら
難しいだろうからアンタが面倒を見てやってくれ!…
俺は他のテントを確認する!…」
「ッ!?…そ、それは構わないが!…
その前に回復だけでも!…」
__ヒュンッ!…ッ!…パシッ!…
マサツグが全員助けるつもりで動くよう声を掛けると、とにかく目の前のエルフを助ける様に指示を出し!…その指示を聞いてアルスも戸惑いながら同意をすると、慌てた様子でそのエルフを抱き起こす!…この時回復が必要である事を慌てた様子でマサツグに告げると、次の瞬間マサツグはアルスに向かって回復ポーションを投げ!…突然の投擲にアルスも驚いた様子で!…それをキャッチし何か?と言った様子で確認すると、それが回復ポーションである事を理解する。
「ッ!……ッ!……」
「…とりまそれを飲ませてやってくれ!…
本格的な治療は後で!…
レイヴン達には辺りの警戒をして貰っている!…
俺達は早く斥候達を連れてここから去る!…
…いいな?…」
「ッ!?…あ、あぁ…分かった……」
ポーションを投げ付けられた事に驚いた様子のまま無言でマサツグの方へ振り返って居ると、マサツグも理解している言った様子で返事をし!…続けてアルスに次の指示を出し始め!…自身も気合を入れるよう自分の出来る事に取り掛かると、そのマサツグの動きぶりにアルスはもはや何が何だか分からなくなる!…それこそユグドラドを出るまでのマサツグからは想像出来ない動きっぷりで、アルスはこれがマサツグ?…と言った様子で視線を向けており!…マサツグはマサツグでやはり辺りに警戒をしており、マサツグの予感は的中とばかりに!…その岩場の陰ではまた別の…何やら不穏な影が蠢いている様子が有るのであった!…




