-第三章二十六節 緊急招集と正式な依頼と花の匂い-
朝からいつも通り色々有ったものの女王様の待つ謁見の間にやって来ると、そこには既に重役達が勢揃いしており…中でも気になるのは秘書官と副隊長で、マサツグ達の遅れた登場に対して不服そうな表情を見せる反面…それぞれ思う所があるのか何やら別の感情が見え隠れして居る様に見える…しかし今はそんな事を問うだけの時間など無く、マサツグ達は急いで女王様の座る玉座の前に傅くと、挨拶と謝罪をする!…
__……ズザァ!!…スチャッ!!…
「……遅れてしまい
大変申し訳ありませんでしたぁ!!!」
「ッ!…い、いえいえ…
こちらこそ急な呼び立てをしてしまって
申し訳ありません…」
マサツグやレイヴン!…オーディックはまるで滑り込むよう女王様に傅き出すと、女王様はそんなマサツグ達の様子に若干驚き!…とにかく来てくれた事に感謝するよう…謝罪をしつつマサツグ達に声を掛けて居ると、後からロディとミスティーも落ち着いた様子で傅く。その際不機嫌なシロはと言うと、今だマサツグの後頭部にしがみ付いては頬を膨らませており!…全員が傅いた所で秘書官のルティナが文句を言い!…不敬であると仏頂面を見せると、まるで小姑の様な嫌味まで言い出す!…
「んん!!…女王陛下を待たせるとは何事ですか!!…
よくそれで冒険者などやってられますね?…
…まぁ如何いう生活をして居るのか伺えませんが?
いや伺いたくもありませんが?…
人に呼ばれて居るのです!…もっと迅速に行動を!…」
「…ルティナ?…それ位に…
それにこれは急な呼び出し、
彼らとて準備をする時間は必要です…
故に彼らを責める事は許しません!…」
「ッ!?…で、ですが!…」
ワザワザ咳払いから始まり文句を言い出すルティナ!…その文句にマサツグ達も面倒な…と言った様子を見せるのだが…女王様が話に割って入りルティナに制止を呼び掛けると、マサツグ達にも時間があると言い聞かせる。この時同時に視線を向ける事無く若干呆れた様子でルティナに言い聞かせると、ルティナはそんな女王様の反応に戸惑い!…女王様を思っての発言!…と言った様子で言葉を続けようとすると、副隊長が声を上げる!…
「…大体ルティナ!…
貴様の話はいつも長いんだ!…無駄に!…」
「ッ!?…それは如何言う意味ですか!?…」
「…はあぁ~…
言った通りの意味だと言ってるんだ!!…
それよりも女王様!…私の方から報告を!…
朝になり衛兵達を全員叩き起こしての
宮殿内探索をした結果!…
ダークの者達による魔法の痕跡が
多数見つかりました!…」
__どよ!?…ざわっ!……ざわざわッ!…
まるで話が長いと文句を言う様に…副隊長がルティナに対して文句を言うと、ここは犬猿の仲なのかルティナが噛み付き!…だが副隊長は構わずルティナの事を再度五月蠅い!…と文句を言い、睨んで来るルティナを放置して一人報告を始めると、ある気になる事を話す。それはダークエルフ達の仕業か、宮殿内の至る所で魔法の痕跡を見つけたと言う報告で有り!…当然それを聞いたエルフ達は動揺の声を上げ!…マサツグもやっぱり…と言った様子で話を聞いて居り、ルティナも先程までの様子から一転!…動揺の表情を見せて居ると、女王様は静かに目を閉じ本題に入り始める!…
「……皆様をお呼び立てしたのは他でもありません!…
その件についてです!…」
「ッ!……」
「昨日の夜…何者達かによる侵入を受けました!…
幸い被害は然程酷くは無く…軽微な物ばかり!…
ですが安全と言う面を脅かされた事に変わりは
有りません!…
……いつまでもこうしていがみ合うのも疲れました…
それで私は改めて貴方方にお願いをしたく
ここにお呼びしました!…」
「……ッ!?…ま、まさか!!…女王様!?…」
女王様が本題に入る際…辺りが急にシンと静まり返ると、視線も女王様の方へ集まり…マサツグとロディもやっぱり!…と言った様子で!…若干の不安を覚えつつその話の続きに耳を澄まして居ると、女王様が話し出したのはやはり昨日の夜の出来事であった!…女王様が言うにはその侵入によって被害は受けたものの、最少で済んだらしく…だが被害を受けて侵入もされたと!…これも一重にいがみ合って居るから起きた事とうんざりした様子で話すと、ここでマサツグ達を呼んだ理由について話し出し!…その話の運びからルティナや副隊長が察した様子で驚きようを見せ始めると、女王様は続けてマサツグ達にあるお願いをする!…
「……ギルドマスター・ロディ殿?…
貴方に正式な依頼をしたく!…
更にその冒険者達の指定を、
ここに居るマサツグ殿!…
レイヴン殿を指名させて頂きたいのですが…
如何でしょうか?…」
__ッ!?!?!?!?…どよどよっ!?…
ざわざわ!…ざわざわ!…
女王様がお願いをし始めたのは正式なギルドへの依頼で、そのクエストを任せる人物に当たっても指定を!…その指定をされたのがマサツグとレイヴンで!…ロディもキョトンとした様子で若干困惑気味の表情を見せて居ると、謁見の間内は激震が走ったかの様にどよめき出す!…当然これにはルティナも慌てた表情を見せては慌てて女王様に駆け寄り!…副隊長も反対とばかりに女王様の目の前に移動すると、進言する!…
「…ちょ!…ちょっと待ってください女王陛下!?…
本気ですか!?…こんな者達に任せなくとも我々が!!…
それこそあの様な穢れた血に対して
和平を結ぶなど!!…」
__ザッ!…ザッ!…スッ!…
「…こればかりはそこの秘書官殿と同意見です!!…
女王陛下!…
もし煩わしいだけなのであれば我々にご指示を!…
必ずやダークの連中を根絶やしに!!…」
__キッ!!…ッ!……
目を皿の様に丸くしてはメガネを掛け直す仕草で動揺を見せ!…ダークエルフ達の事を穢れた血と呼んではルティナが和平に猛反対する!…そしてそれに同意するよう副隊長も女王様の玉座前に移動すると、徐に目の前で傅き!…煩わしいのであれば自分達で根絶やしにすると豪語して見せると、チラッとだけマサツグの事を睨む!…その視線からはまるで敵視!…と言うよりもライバル視している様にも見え、マサツグもそれに反応するよう視線を副隊長に向けると、ある事に気が付く…
{……あれ?…縄の痕…
…あれ俺そんなキツく結んだのか?…
うわぁ……俺ってばサディスティック!…}
副隊長に視線を向けるとチラチラとその際どい鎧の合間から腕や足…もっと厳密に言えば二の腕や太腿が見えて居るのだが、その見える腕や足には縛った縄の痕がクッキリと残っており…何なら副隊長は美肌なのか雪の様に白く!…故に余計目立つよう跡が残っており、マサツグがそれを目にしてキツく縛ったっけ?…と疑問を持っていると、思わず自分の中にあるSっ気に何かを感じる!…そして縛られた方の副隊長はと言うと、今だマサツグの事を睨んでおり!…女王様からその指示を受けようとただ待つ様に傅いて居ると、女王様は副隊長に声を掛ける。
「……エルヴンナイツ副隊長…
アルス・レオ・ダンディエル…」
「ッ!…ハッ!!…」
「…貴方にはこの者達と行動し、
共に和平を結ぶ手伝いをして貰います!…」
「「「ッ!?…え!?…」」」×3
女王様はその副隊長アルスの言葉に対して若干考えた様な反応を見せるのだが、スッと思い付いた様子で目を閉じ…そして徐に役職と名前を口にし、呼ばれた事でアルスも漸くと言った様子で威勢良く返事をすると、女王様から盛大な肩透かしを食らう!…女王様はアルスの言葉を聞き入れたのではなく、マサツグ達と一緒に行動をするよう命令を出し!…その命令を聞いてアルスだけでなく!…マサツグとレイヴンも驚いた様子で声を漏らすと、女王様は続ける!…
「貴方には少し失望しました!…」
「ッ!?…ッ~~~!!!…」
__……コッ…コッ…コッ…コッ……どよッ!?…
「何故その様に無暗に血を流そうとするのです!…
過去それで我々がどれだけの被害を!…
悲しみを産んで来たのか分かって居ないのですか!?…」
女王様は悲しそうな表情を浮かべながらアルスに失望したと言い…アルスもその言葉を聞いて目を見開きショックを受けると、傅いたまま項垂れる!…そして徐に女王様が玉座から立ち上がると、傅くアルスへ近付き始め!…その様子に周りの者達も驚いた様子で一瞬だけどよめくと、何故か怯えた反応でその様子を見守る!…当然マサツグ達もその様子に何事!?…と言った反応で見守って居ると、懇々と女王様の説教は続き!…そしてその説教に対してアルスも黙って話を聞き続けて居るのだが、その表情はやはり何処か反抗的で!…それでも口に出して真正面から反抗する事は無く!…ただ何かを我慢する様に歯を食い縛りながら黙って話を聞き続けて居ると、女王様はそっと傅くアルスに手を差し伸ばしては頬を撫でる。
__……スッ…ッ!……
「…戦いは戦いを産み!…
悲しみしか残しません!…痛みしか残しません!…
その痛みも悲しみも!…一生癒える事の無い!…
それはとても大きな重しとなるのです!…
貴方もその重さを知って居る筈です!…
…心中を全て察する事は私には出来ませんが…
少なくとも貴方はそれを乗り越えられるだけの力を!…
持っていると私は信じて居ます!…」
「ッ!!…ッ~~~~!!!…
…ユ…ユア・マジェスティ!…」
まるで興奮して居るアルスを宥めるよう慈愛に満ちた表情で頬を撫でると、アルスも驚いた様子で顔を上げ!…そこで女王様の笑みを目にし!…先程までの食い縛り様が嘘の様に溶けて行くと、徐々に女王様の表情を見たまま目を潤ませる!…その間戦争の悲しさを教える様に女王様は戦ってはいけないと語り続けると、最後にはアルスには苦難を越えるだけの力があると言い!…アルスの事を信じて居ると!…失望しながらも大切な部下と言った様子で話を終えると、アルスは納得したのか女王様に頭を下げて返事をする!…この時アルスからは涙ぐむ様な声が聞こえると同時に、その玉座の隣では騎士団長がホッとした様子で警戒を解く様な姿を見せており!…それを見てマサツグは何か有ると感じ!…迂闊に触れないよう考えて居ると、今度は秘書官が女王様に物申す!…
「…た、確かに戦う事は反対です!…
今この国が危機に晒されて居る以上!…
兵を割くだけの時間も余力もありません!…
ですがあの野蛮な者達と和平を結ぶなど!!…
…最悪乗っ取られる可能性も!!!…」
「…こんな事を言うのも何でしょうが…
貴方もそのダークエルフでは?…
全員が全員そうではない!…
それは貴方を見て私が感じた事なのですが?…」
「ッ!?…そ、それは!…
…私には武力が無く落ちこぼれで!…
そんな私を女王様が拾って下さったから!…
こうして貴方様の為に!…」
ルティナは先程の女王様の説教を聞いていたとばかりに戦争には反対するのだが、ダークエルフ達との和平交渉に関してはもっと反対で!…先程から穢れた血に野蛮と!…ダークエルフ達を馬鹿にする様な言葉のオンパレードで女王様に猛反対をしていると、女王様も呆れた様子でルティナの居る方に振り返る。そしてまるで先程の話を聞いていたのか?とばかりに…改めてルティナに自身がダークエルフである事を突き付けると、全員がそんな連中で無いと話し!…何ならその根拠はルティナに有ると言い聞かせ、その女王様の言葉に対して更に反論するよう恩返しの為とルティナが話すと、女王様はそこに付け込むよう協力を言い聞かせる!…
「ではその和平の件もお願いします!…
これは私からのお願い!…勿論聞いてくれますよね?…」
「ッ!?……うぅ!…女王陛下はズルいです!…」
その言い聞かせるまでの様子がまるで本当の親子の様に見え!…言い丸められたルティナは目を丸くさせると、暫くして唸る様な表情をして見せる!…そして女王様に対して文句を言うようズルいとだけ口にすると、女王様はルティナに微笑んで見せ!…ルティナも諦めたのか渋々納得した様子で溜息を吐き…スッと後ろに下がり出すと、女王様も玉座に戻る!…こうしてエルフ達の方では和平と言う形で進むのか、暫く黙って居ると…
「……ではこの通り重臣達には同意を得たので…
ダークエルフ達との和平交渉をする為!…
今一度お力をお貸し願います!…
…ギルドマスター・ロディ殿?…」
「ッ!………ふふ!…やっぱりこの人面白いわ!…
だから好きなのよねぇ?…」
「ッ!?…え!?…今何と!?…」
女王様は全員に同意を得るよう声を掛け…先程話して居た依頼についての手続きを踏み出すと、堂々とダークエルフ達との和平に臨むと声を上げる!…まるで周りの者達にも言い聞かせるよう謁見の間内に若干の音を響かせると、エルフ達は何も言わないままシ~ンとし…その様子にマサツグ達も呆気に取られた様子でポカ~ンとし…女王陛下がロディに再度力を求めるよう声を掛けると、ロディはそのやり取りを見てか突如噴出す!…そして面白いと感想を口にすると、同時に好きと言葉にし!…それを聞いて女王様はハッとした様子で言葉を確かめ!…思わず前のめりになって居ると、ロディは確認とばかりに女王様へ質問をする!…
「…ではその女王陛下たってのお願い!!…
このギルドマスター・ロディが承りました!…
先程指名して頂いた通り!…
このクエストを担当するのはここに居る
マサツグとレイヴン!…そのように手筈を整えますが…
本当に宜しいでしょうか?…」
「ッ!………はい!…」
「ッ!…畏まりました!…ではこの場で正式に!…
ダークエルフ達との和平交渉!!…
ギルドが責任を持って承らせて貰います!!!…
…いいわね?…マサツグちゃん!…レイヴンちゃん!…」
「ッ!……はい…」
先程の内容を確認する様に!…まるで某・ファストフード店の様に軽快な勢いでロディが質問をすると、その質問に女王様は静かに頷く!…その頷く際も上品で有りながらも力強くロディに頷いて見せると、ロディもそれを見た事で快く承った様子で!…その場で正式な依頼として受け取り、内容もそのまま反映するよう宣言すると、マサツグとレイヴンに声を掛ける!…さてこうして正式な依頼として受けた事によりマサツグ達は逃げ場を失い!…ただ返事をするしか出来なくなった所で傅いたまま返事をするのだが…
{……正直言ってメンドクセェ!!!…}×2
{いや確かに最初から引き受ける気で居たけども!!…
改めてこう言われると如何にも!…}
{何と言うか改めて面倒臭いって
気持ちになるって言うか何と言うか!…
とにかくメンドクセェ!!!…
…それにアレだろ?…
あの聞かん坊の副隊長も付いてくんだろ?…
尚の事メンドクセェ~~!!!!…}
{……はあぁ~……如何してこうなった!…
…って言ってても仕方ないし…
一応戦力が増えたって言う事で頑張るか…
…はあぁ~……じゃあ?…
まずはそのダークエルフ達の拠点についてだが…
…ッ!…}
マサツグとレイヴンが揃って返事をするのだが覇気は感じられず…寧ろ面倒臭いと言った様子が前面に出ていると、その二人の様子に疑問が向く!…それと同時にマサツグ達はマサツグ達でそれぞれ改めてクエストとして突き付けられた事に面倒臭さを感じると、思い思いに感想を心の中で呟き!…それと同時にあのアルスも付いて来るのかと!…今回のクエストが一筋縄で行かない気がしていると、如何にも気持ちが前向きにならないで居た…しかし返事をした以上は受けるしか無く、何とか気持ちを切り替えようとし!…戦力が増えたと前向きに考え!…いざそのダークエルフ達の居場所について考え出して居ると、ここでマサツグがハッとある事を思い付く!…
「……そうだ!…シロ?…」
__プ~~ン!!…ピコピコッ!……ッ?…
マサツグはある事を思い付いたと同時に言葉を口にし、シロに声を掛け始めるのだが…シロは今だマサツグの頭にしがみ付いてはやはり不機嫌で…膨れた状態のまま耳を動かし返事をしないで居ると、マサツグを戸惑わせる!…やはりまだ先程の事を引き摺って居るのか、女王様の目から…と言うよりも誰の目から見てもシロの顔は仏頂面で!…一体何が有ったのか?と言った視線が向けられていると、マサツグも困惑気味に声を掛け続ける…
「……あぁ~っと?…まだお怒りで?……」
__プ~~ン!!…ピコピコッ!…ピコピコッ!…
「………はあぁ~…
またフライドチキンをやるから…な?…
機嫌を直してくれよ…」
__ピコッ!!……ぷるぷるぷるぷる!…
「……はいです!…」
再度確認するようマサツグが声を掛けるも、シロの態度は変わらず!…今だシロは仏頂面のままツ~ンとしており!…態度も何も変わる様子が見られないまま硬直して居ると、マサツグは更に悩む!…その際今から話そうとして居た内容は、如何してもシロの協力が無ければ出来ない事で…このままでは会話も出来ないと言った様子をシロがジッと見せて居ると、マサツグも溜息を吐いては最終手段に出る!…そしてその対シロ用最終手段と言うのは、いつもの奴で…機嫌を直して貰うようフライドチキンを会話に出すと、今度おやつにあげるとばかりに約束をし!…シロもその言葉を聞くなり耳をピクっと反応させ!…少し葛藤したのちマサツグへ返事をすると、漸く話を聞く気を見せる!…さてこうして膨れながらもシロが話を聞く気になった所で、マサツグもホッと安堵するとある事を尋ね出す。
「……よし!…じゃあシロ?…
一つ質問だ…今あの花の匂いはするか?…」
「ッ!……え?…はいです…」
「じゃああの花の匂いは…あの副隊長からするか?…」
「……ッ?…急に何の話をし始めてんだ?…」
マサツグがシロに質問をした内容と言うのは、「今、花の匂いはするか?」と言うモノで…当然それを聞いてシロは困惑すると、花の匂いはすると答え…だが物は分かって居ない様子で困惑気味に返事をすると、マサツグは続けてアルスを指差す。この時やはり詳しい説明に関しては何も話さず、ただ匂いはするか?と問い掛けており…隣に居たレイヴンもマサツグ達の会話に参加をし、その際マサツグがまた訳の分からない事をし始めた…と言った様子で声を掛けて居ると、シロは悩み…一体何の事について尋ねて居るのかをマサツグに聞き始めると、首を傾げる…
「……ッ?…ご主人様ぁ?…何の匂いですか?…」
「ッ!…あぁ、スマン!……えぇ~っとだな?…
昨日突如シロが感じたあの花の匂いについてだ!…」
「ッ!…あぁ!…あのご主人様と一緒に夜お散歩!…」
マサツグの頭の上から覆い被さるよう顔を覗き込むと、幾つも花の匂いが有るのかシロはどれか?と尋ね…マサツグも分かって居るとばかりに話を進めて居たせいか…ここで漸く自分の説明不足であった事に気が付くと、昨日の晩の奇襲時の花の匂いと話し出す!…何故ならあの場に居たのはあのアルスと自分達…更にあの黒ずくめの連中だけで、自分達は当然ながらそんな香水の様な匂いは着けておらず!…残るはアルスとその黒ずくめの連中だけなのだが、もしその匂いがアルスの物で無かったとするのなら!…残るはあの黒ずくめの連中だけと言う事となり!…追えるかもしれないと考えたからであった!…そしてシロも理解した様子でマサツグに返事をすると、思い出した様に昨日の事を話そうとし!…そんなシロの反応にマサツグも慌てて口を押さえに掛かると、必死に秘密と言い聞かせる!…
「ッ!?…だわああぁぁ!!…
シロちゃんストップ!!…
それは内緒!…内緒ぉ~~!!!…」
「ッ!…ふぁっ!…ほふへひは!…」
「……はふぅ~…た、頼むぜシロちゃん?…
…で、如何なんだ?…」
口に出さなくて良い!とばかりにマサツグは必死の形相を見せ!…シロもハッと気が付いた様子で反応すると、自身の後頭部を掻いてはウッカリ!…と笑う。その様子から見ても昨日の事は綺麗さっぱり寝て忘れた様子で返事をしており、マサツグもその様子に大丈夫か?と思いつつ…改めて落ち着くよう一息吐き、シロにお願いをしながら思い出すよう問い掛けると、シロはマサツグに待つよう返事をする。
「…えぇ~っと、ちょっと待っててくださいね?…」
__ピョイン!…スタッ!…テテテテテテテ!…
「ッ!…へ?…」
__ピタッ!…スンスン!…スンスン!……ッ!?…
マサツグに待つよう声を掛けると、シロはマサツグの頭から飛び降りるなりそのアルスに向かって歩いて行き!…その様子にマサツグも何事?…と言った様子で見守って居ると、シロは大胆にもその本人が居る目の前で匂いを嗅ぎ出す!…そんなシロの様子にマサツグも呆気に取られた様子で思わず言葉を失い固まってしまうと、もはや何も言う事が出来ず!…更にシロは判断に悩んで居るのか、あるアグレッシブルな行動に出始めると、更にマサツグを戸惑わせる!…
「ッ!?…な、何なのだ!?…急に何を!?…」
「スンスン…スンスン……うぅ~ん…
違う様な似てる様な?…
…ちょっとごめんなさいなのです!…」
当然自身の目の前にやって来ていきなり匂いを嗅ぎ出したシロにアルスは戸惑い!…他のエルフ達もその突然のシロの行動に面食らった様子で困惑して居ると、シロは分からないとばかりにマイペースな様子で悩み出す…何か決め手に欠けるモノがあるのか、ただマサツグの真似をするよう腕を組んで見せ…そして徐にアルスへ謝り始め、そのままアルスの体に向かい飛び掛かって行くと、胸元へしがみ付いては首元の匂いを嗅ぎ出す!…
__ピョイン!…ガッシ!…スゥ~~~!…
「ッ!?…シ、シロさん!?…」
「なっ!?…急に何なの!?…ッ!…あん♥…」
これにはマサツグもハッとした様子でシロに慌てて声を掛けると、直ぐに立ち上っては回収に向かい!…アルスはアルスで驚いた様子で悶えており!…恥ずかしいやら擽ったいやらで顔を赤くすると、ただひたすらにモジモジとしてはセンシティブな声を漏らして居た!…
「や!…やめ!…ひゃん!♥…
み、耳は!…弱ひ!♥…あぁん!!♥」
「シロちゃんストップ!!…
スト~~~ップ!!!…
もう良い!…もう良いから!!…」
「ッ!…はいです…」
__……ッ!?……ッ!?!?…
如何やらアルスの弱点は耳らしく、シロの息が掛かる度に色っぽい声を漏らし!…マサツグはマサツグで慌ててシロを回収し!…何とか止めるよう声を掛けると、シロもマサツグの言葉を聞き入れた様子でスッとアルスを放す…その間謁見の間内にはアルスの妙に色っぽい声が響き渡ると、衛兵達は皆揃って頬を染めては棒立ちして居り!…女王様に騎士団長と!…更にルティナも初めて聞いたそんな声!…とばかりに驚いた表情を見せて居ると、アルスは膝から折れるようその場に崩れる…
__ズル……ズルズル……ペタンッ!…
「ッ!…あ、あのぅ?…大丈夫でしょうか?…」
「はぁ!……はぁ!……ッ~~~!!!…
き、貴様は!!…
これを見て大丈夫の様に見えるのか!?…
…クッ!…この様な辱めをぉ!!…
いっそ私を殺せぇ!!!…」
「ッ!…
ちょっと匂いを嗅いだだけじゃないですかぁ~?…
それにシロは最初に謝りましたよ?…
ごめんなさい!って…大袈裟ですよ?…
ねぇ、ご主人様?…」
顔を真っ赤にしては目に若干の涙を溜め!…まるで辱めを受けたとばかりに視線を強張らせると、静かに俯く…その際余程シロの吐息が効いたのか、アルスは肩で呼吸をしており!…そんなアルスにマサツグは恐る恐るシロを抱えながら声を掛け…マサツグに声を掛けられた事でアルスも何とかメンタルを持ち直すと、文句を言う!…だがその表情はやはりそのままで、腰が抜けたのか自力で立ち上がる事が出来ない様子を見せており!…仕舞いには殺せと言い出す始末で、その言葉にシロが怪しく笑みを浮かべると、大袈裟と言っては笑って見せる!…まるでワザとやった!…と言って居る様にも聞こえるトーンで話し掛けると、シロは冷たい視線をアルスに送っており!…マサツグはマサツグでそんなシロに戸惑い!…一体何が有った!?…と言った様子で見詰めて居ると、シロはマサツグの方に振り向くなり結果を伝える。
「……ッ!…あっ!…ご主人様ぁ!…
この人は違うです!…何て言うか…
汗の臭いがするのです!…」
「グッ!?…」
「……シロさん?…もしかして?……
さっきの一連の行動って……演技?…」
「……ん?…何の事か分からないです!…」
シロはパッと思い出した様子でマサツグに声を掛けると、笑顔で匂いが違うと言い!…その際アルスからは花の匂いでは無く汗の臭いがするとハッキリと告げ!…そのシロの一言を聞いてアルスが地味にショックを受けた様な表情を見せると、シロはマサツグの顔を見詰めたままニコニコと笑う!…この時同時にシロからはスッキリした!…と言わんばかりの感情が見て取れると、昨日の件も含めて仕返しした?…と言った様子が感じられ!…マサツグはそんなシロの影に気付いた様子で!…その事が気になり恐る恐るシロに質問をすると、シロはマサツグの質問に対してはぐらかすよう返事をする!…その際シロはやはりマサツグに向かい満面の笑みを見せると、裏表のない様子で元気に返事をし!…マサツグはそれを見て更に不安になり!…一体何処でこんな事になったのか!?と心配をしている一方で!…これはマサツグの悪い所を引き継いで居るのか?…或いは本来のアレなのか?…傍から見て居る者からすれば実は平常運転で…間違い無くマサツグの影響!…と言った様子でただその光景を見守って居ると、静かにレイヴン達は頷くのであった…




