-第三章二十二節 夜遊び?と上達する隠密術と黒ずくめの刺客-
奇妙な時間に目を覚ましたマサツグとシロは宮殿内を探索する…ランプの灯を消し部屋を後にする際、誰も廊下に居ない事を扉越しに顔を覗かせながら確認すると、静かに扉を閉めて行動を開始するのだが…当然そこには見張り見回りの衛兵達が巡回しており、それらの存在を確認した所でマサツグが警戒するよう動き出すと、隠密行動を取り始める…その際出て来た通路は月明かりに照らされてはランプ要らずで、薄っすらと幻想的な雰囲気を見せ…まるで自身の居場所をアピールする様に…遠くで衛兵達が見回りの明かりを照らして居ると、マサツグはまずシロに指示を出す…
「……シロ?…
ここからは極力音を出さない様に進むぞ?……
幸い向こうはこっちの存在に気付いてないし…
何なら自分達の居場所をアピールして居る!…
見つからない様に探索開始だ!…」
「ッ!…はいです!…」
マサツグは辺りを警戒するよう一度は見回し!…自分達の周りに衛兵らしき影が無い事を確認すると、シロに視線を向ける。そして極力音を出さないよう小声で指示を出すと、同時に相手を見るよう声を掛け!…分からない時は明かりを見るよう更に注意を促し!…色々と確認をしたところで行動に出るとシロに確認を取ると、シロは手を上げて元気に小声で返事をする…そうして行動を開始する際マサツグ達は自ずと身を屈める様にして動き出すと、マサツグはアイテムポーチからあの幻影コートを取り出し!…自身で羽織っては先行して動き!…シロに付いて来るよう手招きしながら影に紛れるよう動いて居ると、ここである問題が出て来る…
__スゥ~~……スチャッ!!…チラッ?…クイクイ……
「……ッ?…ん?…シロ?…」
「……ご主人様ぁ~?…何処ぉ~?…」
「ッ!…しまった!…これシロにも効果があるのか!…」
マサツグが斥候として動くとシロに付いて来るよう手招きをするのだが…その肝心のシロはと言うと、ついて来ている様子を見せないで居た…これには当然マサツグも疑問を持った様子で振り返ると、シロの様子を確認するのだが…そこに有ったのは道半ばの所で不安そうな表情を浮かべて居るシロの姿で、辺りを必死に見回しマサツグを呼ぶよう声を漏らすと、まるで怯えるよう小刻みに震えて居た。如何やらさすがのシロもまだ幻影コートを着たマサツグには…と言うよりも幻影コートに惑わされる様で、マサツグもそれに気付くなり慌ててシロを迎えに向かい!…考えとしてマサツグはフードだけを脱いで見せ、シロにも分かるようもう一度先行して動き出すと、今度は分かるのかシロはちゃんと付いて来る。
__スゥ~~……スチャッ!!…チラッ?…クイクイ…
…ッ!…テテテテ!…
「……今度は大丈夫そうだな?…」
「…はいです!…」
「…よし!…じゃあシロ?…
ここからは少ぉ~しお勉強だ!…」
先程同様マサツグが先行して動くと安全を確認し…シロに付いて来るよう手招きをすると、シロはマサツグの頭を目印にちゃんと付いて来る。マサツグもそれをチラッと確認してちゃんと付いて来て居る事に安堵すると、シロも今度は大丈夫とばかりに返事をし!…そんなシロの反応を見てマサツグも笑顔で頷き!…シロに近くへ寄るよう手招きをすると、お勉強の時間と言って先の様子を見せる!…そのマサツグ達が進もうとして居る先には衛兵が一人明かりを持って立っており、反対側には渡れず!…明かりを持って居る事で影に紛れる事も出来ず!…実質進行不可能な状態なのだが、マサツグはそんな状態でも大丈夫と言った様子でシロに話し掛けると、まずはシロに如何するかを尋ね出す。
「……さてシロちゃん?…
見ての通りあそこに衛兵さんが一人!…
明かりを見張りをして居る!…
勿論見つかっちゃいけない!…
でも反対側には渡れそうも無い!…
シロちゃんなら如何する?…」
「ッ!…うぅ~ん……あっ!…
ここからカマイタチで!!…」
「ッ!?…いやいやいやいや!…
怪我させちゃ駄目駄目駄目駄目!!…
そのあんよは抑えて!!…
…ふぅ!…いいかい?…
こう言った場所で隠れて進む際は
色々な道が有るんだ!…」
マサツグはまるでシロに問題を出すよう問い掛けると、その踏破方法について考えさせるのだが…シロは少し考えた後ハッとした様子で顔を明るくさせ!…徐にお得意の攻撃態勢に入り出すと、その衛兵に向かいカマイタチを飛ばそうとする!…だが当然それを良しとしないのがマサツグで、慌ててそのモーションに入ったシロを見るなり抱える様にして止めに入り!…シロに止めるよう声を掛け、シロもその呼び掛けで構えを解き不思議そうな表情でマサツグの顔を覗き込むと、マサツグは安堵した様子で一息吐いては模範例を見せる。
「……ッ!…今からその一例を見せるからな?…
今後…有るかどうかは分からんが…
まぁ覚えておきなさい!…」
「……ッ?…はいです?…」
__スッ…バッ!!…ッ!…
「ご、ご主人様!?…」
シロに言い聞かせるよう言葉を掛けた後…マサツグは徐に辺りを見回すと、外へ通じる窓に目を向ける。その際窓は都合よく全開で開いており…それを見てマサツグは使えると感じると、シロに例を見せると言い…そのマサツグの言葉にシロは以前不思議そうにしつつも返事をし、一体何をするのか?とマサツグを凝視して居ると、マサツグは徐にその窓から外へ飛び出す!…これには当然シロも驚いた様子で声を上げるのだが、そこは頑張って声を抑え!…それでもマサツグが外に飛び出した事には驚いたままで!…慌てて窓に駆け寄りマサツグが何処に行ったのかと覗き込もうとすると、直ぐにマサツグを見つける事になる…
__バッ!!…ガッ!!…ッ!?…
「…へへへ!…吃驚したか?…でもほれ見てみ?…」
「え?……ッ!…」
シロが慌てて窓の外を覗こうとすると、その飛び出して行った窓の縁にはマサツグが掴まっており!…突然の再会にシロも驚いた様子で思わず跳び退きそうになり絶句をし!…マサツグの状態についてただ驚いた様子で見詰めて居ると、そのシロの反応にマサツグは静かに笑う!…そしてそんなシロの反応を見た所で、マサツグはシロに見せたい物があると言った様子で顎を使い示すと、シロは戸惑いつつもそのマサツグの指す物に視線を向け…そこでシロは凹凸の激しい壁の道を目撃し、マサツグが言っていた意味について理解をすると、マサツグは先程のお勉強の続きとばかりに道はこうして見つけると教える!…
「…建物には絶対に凹凸がある!…
それもこんな風に豪華な物となると
余計に凹凸が出て来る!…
そんな凹凸…縁も時には立派な道にもなる!…
…よぉ~く覚えておくんだぞ?…」
「…は、はいです!……」
マサツグはシロにこう言う進み方もあると言った様子で説明をすると、そのまま縁伝いに通路の反対へと移動し!…シロに付いて来るよう道を開けると、覚えておく様に声を掛ける。当然これにはシロも未だ驚いた様子で返事をすると、マサツグの真似をする様に縁へ掴まり!…そしてマサツグと一緒に通路の反対側へと移動し、これまた都合の良い事に窓が全開である所から中に入ると、無事その衛兵の監視を乗り切って見せる!…因みにこの時マサツグはシロにこの事を教えるので頭が一杯だったのか、外の事には全く気づいて居らず!…下はマサツグが嫌いな高所と!…落ちたら一巻の終わりだと言う事には全く気付いて居ないのであった。
さて、シロ共々無事渡り切った所でまだまだ探索は続く!…人が居ない事確認してはまるで夜盗にでもなったかのよう部屋を一つ一つ見て回り…色々と見つけては笑い発見を繰り返して居ると、やはり少なからず見つかる危険性を伴ってしまう!…その度シロに勉強と言っては隠密の技術をやって見せると、その場を乗り切り!…シロもシロでそれを見て学び!…徐々にその技術を上げて行くと、次第に幻影コートを着ているマサツグの姿を追える様になって行く!…
__……ガタンッ!…ッ!?…
「ッ!…今ここで何か物音が?…」
「ッ!…シロ!…」
「はいです!…」
うっかり何かにぶつかって音を立ててしまうと、その物音に巡回の衛兵が反応し!…その扉越しに聞こえた衛兵の声にマサツグも反応し!…シロに慌てて声を掛けると、シロも慌ててマサツグに駆け寄り返事をする!…この時マサツグは何故か幻影コートを脱ぐと、近くに在った銅像の隣へ移動し!…シロも一緒に付いて来るとその銅像の隣に立ち!…マサツグと一緒にポージングを決め出すと、タイミング良くその物音を聞き付けた衛兵達が部屋に入って来る!…
__ガチャッ!!…キイイィィ……
「……ッ?…何も無いな?…」
「…と言うよりもこんな応接室に何があると言うのだ?…
もし夜盗だとするなら宝物庫の方を狙うだろ?…」
「……それもそうだな…悪い!…巡回に戻ろう…」
衛兵は二人…マサツグ達が居るのは如何やら応接室らしく、衛兵達も注意深くまでは観察して居ない様子で…軽く見て回る程度で直ぐに索敵を止め、ここに賊が来る訳無いと言った様子で言葉を残すと、応接室を後にする…この時その銅像の隣でポージングをして居るマサツグとシロの存在には全く気が付かず、スルーされた事に…マサツグとシロはしてやったり!…と言った様子でほくそ笑んでおり!…徐にポージングを解き出すと、シロと顔を合わせてはガッツポーズをする!…
__……スッ……グッ!!…
「……シロ?…これが擬態だ!…
例えバレそうになってもこんな感じで
誤魔化す事が出来る!……これはぁ?…
…別に覚えなくてもいいかな?…」
「…ッ~~♪…隠れるって!…楽しいですね!!…」
「…本当はこんな事やっちゃ駄目だからなぁ?…
あくまでもこれは散歩…散歩だからなぁ?…」
互いにガッツポーズをする際マサツグはこれも隠密術と言った様子で教えるのだが…これは汎用性が無いと自覚があるのか、覚えなくて良いとシロに言い…元の探索に戻ろうとして居ると、シロは先程の様子が楽しかったのか味を占めるよう静かに燥ぐ!…その際マサツグに隠れるのは楽しいと言うのだが、マサツグは改めてこんな事するのはいけないと言い聞かせ…その際散歩と言い訳をし…改めて今居る応接室を後にしようとして居ると、ふとある事にシロが気付く。
「……~~♪…~~♪……ッ!…ご主人様ぁ?…」
「…ッ!…如何したんだ?…そろそろ行く…ぞ?…」
シロも段々楽しくなって来た様子で軽くスキップをして居ると、先程自分達が紛れた銅像に目をやり…そこである人物の者である事に気が付き、徐にマサツグへ声を掛け出すと、シロはその銅像を指差す。そしてマサツグもシロに呼ばれた事で振り返ると、扉に手を掛けて先を急ぐ様に言うのだが…たまたまその部屋は月の光が入ってはしっかりと内装が見え、そのシロが指差す銅像もハッキリと見て取れる事に気が付く…と言うよりもシロが指を指して居る事で視線をそちらの方に向けると、シロ同様え?…と戸惑った様子で顔を顰める。…何故なら…
__ムッキイィィィン!!!
あっはアァァ~~~ン!!!!…
「……これ?…あのピカピカさんですよね?…」
「……何でこんな所にロディの銅像?…」
そこに有ったのは筋肉を強調するようポージングを決めて居るロディの銅像で、シロはそれを見るなりロディの事をピカピカと…一部分を強調するようマサツグに確認の声を掛け、マサツグもそれに同意するようロディの銅像を凝視すると、ただただその銅像の存在について疑問視する!…恐らくはあの女王様の趣味なのだろうが、あまりにも応接室との雰囲気にマッチしておらず!…先程見つからなかったのはコイツのお陰?…と考えてしまうと、ある意味助かった様な…納得が行かない様な…そんな気分にマサツグはなるのであった。ではそんな応接室を後にすると、マサツグ達の探索はまだまだ続く!…
__…ススススス……ッ!…
「……いいかシロ?…
こう言う隠密術って言うのは相手の不意を突く時にも
使えるんだ!…例えばほら!…
さっきからやって居る影から影への移動!…
これは敵から見つかり難くするだけじゃなくて、
自分がピンチになった時に隠れたり…
ワザと影に姿を隠す事で相手の後ろを取ったり…
…まぁ立派な状況を変える為の戦術にもなる!…
更に難しい事を言うと味方を騙せる程の
不意打ちってのは何よりも強力で…」
「……ッ!…ご主人様!…何か花の匂いが?…」
「ッ!…花の匂い?……どっちから?…」
影から影へと渡って行き、衛兵達の目を誤魔化す道中…マサツグはこの隠密術は隠れるだけじゃなくて、他に色々な事にも転用出来ると言った汎用性の高さについて説明をするのだが…その話よりも気になった事が有ったのか、シロは突如マサツグに花の匂いがすると言い…そのシロの言葉を聞いてマサツグもピタッと話を止めると、シロの話に耳を傾ける!…このタイミングで花の匂い!…もし最初からしていたのであればシロがとうに気付いて居る筈なのだが、今になって気付いたと言う事に疑問を持ち!…マサツグはその話を聞くと少し考えた後、警戒をし始め!…その花の匂いのする方向についてシロに質問をすると、シロはマサツグに指を指して答える!…
「えぇ~っと……スンスン…ッ!…
あっちからです!…」
「…あっち?…あっちってぇと確か…
…女王様の部屋が有る方面だったな?…
…どれ?…」
シロは若干悩みながらも匂いを嗅ぎ…確信した様子で次の曲がり角から匂うと指を差すと、マサツグもその先には覚えが有るのか思い出す…その際マサツグが思い出した事と言うのは、その先には女王様の部屋が在ると言う事で…勿論宮殿の間取りから考えての推測でしかなく、合っているかどうかは不明なのだが…恐らくそうだろう…と言った様子で言葉を口にして居ると、如何にもその匂いの正体が気になって来る!…
「……どれ?……ん?」
__……ぶっすぅぅぅ!!……
{……うへぇ~…
よりによってあのショートの方が居るのか!…
それも豪くご立腹の様子!…一体何が有ったのやら?……
…んでもって、これはもう通れないと考えて
迂回した方が…いや或いはもう探索を止め…}
そのシロの言う匂いの正体を確認する際、角に身を隠しつつその先の光景を覗き込むよう確認すると、シロもマサツグの真似をする様に覗き込み!…そしてそこであの副隊長のショートが扉の前で番をする様に立って居る姿を見つけ!…ついでに何やら仏頂面である事も確認すると、マサツグは面倒!と言った様子で厄介さを感じる!…この時副隊長は妙に辺りに対して警戒した様子で睨みを利かせて居ると、いつでも剣を向ける様に身構えており!…そんな警戒する副隊長の様子に!…マサツグも簡単に抜けられそうにない!…と言った様子で戸惑いながら考えて居ると、その副隊長から突如声を掛けられる!…
「……隠れてないで出て来たら如何だ?…」
__ビクウゥ!!……シャッ!!…
「…居るのは分かっている!…
出て来ないと言うのならこちらから行くぞ?…
…この不審者め!!…」
__カツゥン!…カツゥン!…カツゥン!…カツゥン!…
副隊長はまるでマサツグ達の存在に気付いたよう突如として声を掛け出し!…その声に反応してマサツグとシロも慌てて角に身を隠すよう引っ込むと、息を潜める様に声を殺す!…この時見つかった!…と感じては自身の心音が爆音で流れて居る様に聞こえ来ると、同時に自身の胸に手を当てては音を抑えて落ち着こうとするのだが!…慌てるばかりで一向に落ち着ける状態ではなくなってしまい!…その間にも向こうはやる気満々なのか、更に圧を掛けるよう声を掛けて来ると、徐々に近づいて来るよう足音も聞こえる!…その近付いて来る足音にマサツグも必死になって打開策を考えて居ると、ここでふとある事を思い付く!…
{ヤッベ!!…バレた!?…
いやでもあの様子だとこっちには
気付いて無さそうだったが?…
いやしかし現に声を掛けられて居る!!…
…如何する!?……あぁ~もう!…
足音も近付いて来て居る様な!!…
とにかくシロだけでも逃がす!…
いや、ここはワンチャン!!…}
__バサァ!!…ガバァ!!…ッ!?…
「ッ!?…ご主じ…ッ~~!!…」
アタフタしながらもマサツグが思い付いた突発的な行動と言うのは、自身とシロを幻影コートで隠すと言う荒業で!…突如自身が羽織っているコートを広げて見せると、シロを抱き込む様にして覆い被さる!…その際シロも困惑した様子でマサツグに話し掛けようとするが、マサツグはシロの口を押さえてはそのまま覆い被さり!…やって居る事は宛らヤベェ変質者なのだがマサツグは至って真剣で!…シロもマサツグに口を押さえられては喋る事無く目をパチパチとさせ!…ただ困惑した様子でマサツグの事を見詰め続けて居ると、その副隊長の足音が聞こえなくなり!…何処かで足を止めたと言う事だけが分かると、マサツグのお祈りタイムが始まる!…
__カツゥン!…カツゥン!…カッ!………
{ッ~~~~!!!…頼む!!…
こっち来ないでエェ~~~!!!…
そして見つからないでくれぇ~!!…
見つかったら色々と面倒!!…
お願いだからこっちに来ないでええぇぇ~~!!!!…}
「……一体何のつもりか知らんが…
そっちがその気なら!!…」
__チャキッ!!…スラアァ!!…
{ッ!?…やっぱバレてる!?…
ッ~~!!…かくなる上は!!!…}
シロを抱えながら必死に来ないよう祈り!…この場を乗り切る事を心から願うのだが!…次に聞こえて来たのはバレて居ると言った様子の副隊長の台詞で!…やはり向こうはやる気満々なのか鞘から剣を抜いた様な音を立てると、自ら動く気配を見せる!…当然そんな台詞にマサツグも慌てると、最悪シロを護る為に盾になる覚悟を見せるのだが!…次に聞こえて来た!…と言うよりも気配がしたのは全く別の方向からであった!…
__フォン!!…ガキイィィン!!!…
「ッ!!……え?…」
__パサァ……ッ!!…
剣を振り下ろした様な音が聞こえ!…マサツグが痛みに耐えるよう歯を食い縛るのだが、何も感じない…それ所か自身の背後からは人の気配を感じる事が無く…マサツグが疑問に思った様子でシロを解放し!…辺りを警戒するよう見渡し始めると、角の向こうから何やら荒々しい息遣いが聞こえて来る!…当然気になったマサツグは再度角に身を隠すようその先の光景を確認するのだが…そこに居たのは上から下まで黒ずくめの誰かさんで!…その誰かさんは絶賛その副隊長さんと鍔迫り合いをしており!…何方も一歩も引かない押し合いを見せて居ると、副隊長が相手を確認するよう問い質す!…
「……クッ!!…貴様、ダークエルフの者か!!!…」
「……だとしたら如何する?…
エルヴンナイツの副隊長さん!!!…」
__ギィン!!…チャキッ!!…
「…フン!!…
それを分かって居ながらも逃げようとしないのか?…
その度胸とここまで来た技量だけは褒めてやる!!…
だが!!…」
鍔迫り合いに負ける事無く副隊長はその黒ずくめの者をダークエルフと看破すると、気迫で押そうとし!…だがそのダークエルフも大した事は無いと!…軽口を叩くようその副隊長の剣を弾いて見せると、互いに距離を取っては硬直状態に発展する!…その際黒ずくめのダークエルフらしき人物が持って居たのは、若干粗悪なショートソードで…それに対して副隊長が持って居たのは如何やら魔法剣らしく!…副隊長は持っている物が違うと言った様子で余裕を見せると、更に仕掛けようとする!……だが!!…
__スッ…フォンッ!!…
「ッ!…フフフ♪…まるで猪ね♪…貴方?…」
「ッ!?…何ぃ!?…」
副隊長はその黒ずくめの刺客に対して剣を振り被るのだが、呆気無く躱されては空を切り!…そして踊る様に回避した黒ずくめの刺客はと言うと、まるで煽る様に副隊長の事を笑って見せる!…その際副隊長の事を猪突猛進と言った様子で馬鹿にすると、更に後ろへ下がり!…その馬鹿にする言葉を言われたせいで更に副隊長は躍起になり!…その刺客を追い掛ける様にして剣を構え直すと、間合いを詰めようとするのだが!…それを狙って居たとばかりに刺客が再び笑い出すと、今度は逆に仕掛けるよう動き出す!…
「ウッフフフフ!…
もっと周りを見なさい?…本当に私一人だけかしら?…」
「ッ!…何を言って!!…」
__バババッ!!!…
まるで教えるよう副隊長に声を掛けると、黒ずくめの刺客は意味深な事を笑いながら話し出し!…その言葉を聞いて副隊長も文句を言うよう突っ込んで行くのだが!…それが間違いだとばかりに次の瞬間驚かされる!…何故なら相手はこうなる事を想定して居たのか、自身の近くの影に仲間を忍ばせており!…マサツグ同様幻影コートを着ていたのか!…副隊長がその隠れて居た者達の間合いに入ると、突如近くに在った影から人影が数人バッと出て来ては襲い掛かる!…
「ッ!?…なぁ!?…クッ!!…」
__スッ…ギュッ!!…
{…おいおい!…マジかよ!!…}
「…ご主人様ぁ?…ッ!!…」
その突然の奇襲に副隊長も面を喰らった様で驚くと、如何する事も出来ず!…ただ咄嗟に腕をクロスさせては目を閉じ歯を食い縛るよう耐える構えをして見せ!…後ろで見て居たマサツグもその様子に驚き、シロも何が有ったのかとばかりにマサツグの見て居るモノに顔を覗かせると、途端に驚いた反応を見せる!…この時その襲い掛かって行く人影の手にはギラリと刃が光るダガーが握られており!…その黒ずくめの刺客も殺ったとばかりに!…余裕を見せる様に突如として笑い出すと、大した事は無いと切って捨てる!…
「うっふふふふふ!…所詮こんな物よね?…
…あぁ…猪の方が貴方より賢いかしら?……」
「クッ!!…おのれぇ!!…」
「……ッ!!…
って、黙って見てる場合じゃないよな!?…
刹那!!!…」
__ヴウゥン!!……バシュン!!…ッ!…ガッシ!!…
もはや絶体絶命!…その状況を救える者が居るとするなら二人しか居らず!…そんな二人の事など御構い無しに場面はドンドン進み!…マサツグ達自身も刹那を発動して居ないにも関わらず、何故かスローモーションで事が進んで行っている様に見える!…そしてマサツグもハッとした様子で気を取り直すと、さすがに不味いと感じ!…自分が見つかる事より人命救助と!…自身にツッコミを入れるよう刹那を発動すると、その襲い掛かろうとして居る人影に迫って行く!…因みにシロもマサツグが刹那を発動した事に気が付くと、咄嗟に腕にしがみ付いてはマサツグと共に現場へ参上するのであった!…
__バシュン!!…ッ!?…
「なっ!?…」
「一体何処から!?…」
「……あっ!…シロちゃん掴まってたの!?…
…って、言ってる場合じゃないよな!?…」
自身の時間を加速させるよう副隊長が襲われる前にマサツグが割って入ると、突然のマサツグの登場に副隊長と刺客は驚き!…二人揃ってどこに隠れて居た!?…と言った反応を見せて居るのだが、マサツグはそんな事お構いなしで突如若干慌て出す!…何故なら、いつの間にか自身の腕にシロが引っ付いて居た事に気が付き、シロに危険が及ぶと!…だがそのしがみ付いて居た当の本人はと言うと、全く気にして居ない様子でケロッとしており…今にも襲われそうな状況に対してスッとデコピンをするよう手を構え出すと、その襲い掛かって来る人影に対してデコピンを放つ!…
__……スッ…ピンッ!…ボウッ!!…
「ッ!?…きゃあああぁぁぁ!!!…」
「なっ!?…」
「……シロさん?…」
シロが放ったデコピンはいつものカマイタチでは無く…暴風の様に突如突風を巻き起こすと、まるで壁になったよう!…その襲い掛かって来た人影達を丸ごと薙ぎ払い!…同時に仕掛けたであろう張本人の黒ずくめの刺客をも押し飛ばすと、副隊長を驚かせる!…それも当然マサツグの腕にしがみ付いている幼女にそんな力が有る様には見えず!…ただ目の前の光景に目を疑うよう何度も副隊長は瞬きをし!…マサツグもお株を奪われたとばかりにシロの事をさん付けで呼んで居ると、シロはキョトンとした様子でマサツグに確認を取る…
「……あれ?…シロ…やり過ぎちゃいました?…」
「いやそんななろう小説の主人公みたいに言われても…
…てかまた器用な事を!…」
「ッ!…はいです!!…シロ頑張ったです!!」
「ッ!……我が娘ながら末恐ろしいわ…」
若干反省をしている様にも見て取れる表情で、マサツグに首を傾げつつシロが尋ね出すと、マサツグは戸惑いつつもシロが言った言葉にツッコミを入れ…そしていつの間にそんな芸当を覚えた?…と言った様子で同時に尋ねるよう声を掛けると、シロは笑顔で手を上げて返事をする!…本人曰く今のは何と無くでやったらしく…シロはマサツグが怒って居ない事を確認すると、マサツグに褒めて欲しいとばかりに尻尾を振っては目を輝かせ!…そんなシロにマサツグも苦笑いしつつ…シロの頭に手をやり撫で始めると、末恐ろしいと言ってはワシワシと撫でながら褒めていた。…さて、そうしてマサツグがシロを褒めている一方で、納得が行かない二人はただただ今の状況に戸惑い続け!…副隊長はマサツグとシロを交互に見詰めては何が有ったと困惑し!…黒ずくめの刺客はと言うと、突然の乱入者達に敵意を向けて居た!…
「……チッ!!…一体アンタは何なのよ!!…」
「ッ!…一体アンタは何なのよ!!…
と、聞かれたら!…答えてあげるのが世の情け!!……
……って、何か思わず懐かしいのが出て来たな?…
まぁとにかく!…一対多人数ってのは頂けねぇな?…
まだやるってんなら相手すんぜ?…」
「ッ!?…クッ!!…」
完全に予定外と言った様子で声を荒げてはマサツグ達に文句を言い!…その言葉を受けてマサツグの中でふと懐かしい台詞が出て来ると、思わず声に出して答えそうになる!…しかしそれも途中でハッとした様子で止めてしまうと、改めてその黒ずくめの刺客達に対して宣戦布告をし!…シロもマサツグが宣戦布告をした事でその黒ずくめの刺客達を敵認定し!…いつでも飛び出せると言った様子で身構え出すと、そんなマサツグ達の様子に黒ずくめの刺客は鬱陶しいそうな反応を見せるのであった!…




